IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-雨水排水構造 図1
  • 特開-雨水排水構造 図2
  • 特開-雨水排水構造 図3
  • 特開-雨水排水構造 図4
  • 特開-雨水排水構造 図5
  • 特開-雨水排水構造 図6
  • 特開-雨水排水構造 図7
  • 特開-雨水排水構造 図8
  • 特開-雨水排水構造 図9
  • 特開-雨水排水構造 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142723
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】雨水排水構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20230928BHJP
   E04D 13/08 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E04D13/068 503A
E04D13/08 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049760
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】西本 舞
(57)【要約】
【課題】軒樋に設置された軒樋設置管を含む雨水排水構造において、軒樋設置管と別部材との接続作業の容易化を図ると共に、軒樋内の流路断面積の減少を抑制する。
【解決手段】雨水排水構造20は、軒樋と、軒樋より上側の屋根から排水された雨水を流す上縦管21と、上縦管21の下側に設けられた下縦管22と、上縦管21と下縦管22との間に設けられ、軒樋に設置される軒樋設置管であって、軒樋の底板に設けられた貫通孔の開口周縁部上に上側に延びるように設置され、上縦管21からの雨水を、貫通孔を通じて軒樋の下側に排水し、上端Tが、軒樋の水面上限L1の高さ以上に位置する軒樋設置管とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒樋と、
前記軒樋より上側の上屋根から排水された雨水を流す上縦管と、
前記上縦管の下側に設けられた下縦管と、
前記上縦管と前記下縦管との間に設けられ、前記軒樋に設置される軒樋設置管であって、前記軒樋の底板に設けられた貫通孔の開口周縁部上に上側に延びるように設置され、前記上縦管からの雨水を、前記貫通孔を通じて前記軒樋の下側に排水し、上端が、前記軒樋の水面上限の高さ以上に位置する軒樋設置管と、を備える、雨水排水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の雨水排水構造において、
前記軒樋設置管の上端が、前記軒樋の最上端の高さより上側に位置する、雨水排水構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の雨水排水構造において、
前記上縦管は、ソケットを介して、前記軒樋設置管に接続される、
雨水排水構造。
【請求項4】
請求項3に記載の雨水排水構造において、
前記ソケットは、少なくとも一端において、嵌合される相手部材に対し軸方向にスライド可能に嵌合されるやり取りソケットを含む、
雨水排水構造。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の雨水排水構造において、
前記上縦管と前記ソケットは、インクリーザを介して接続される、雨水排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雨水を排水する雨水排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の屋根の軒先等に取り付けられた軒樋に流れ落ちた雨水を集水し、竪樋等を通して下側から排出することが行われる。また、建物が、庇等の下屋と、下屋より上側の上屋根とを有する場合に、上屋根から排水された雨水を上側の竪樋(上縦管)に流し、下屋からの雨水を排水するための下軒樋に排水する構造では、下軒樋から排水があふれるおそれがある。
【0003】
このために、特許文献1に記載された配管構造(雨水排水構造)は、図10に示すように、建物1の上屋根である屋根10の軒先に設けられた上軒樋19を通じて、屋根10からの排水を流す上側の第1竪樋11と、下軒樋12の下側に位置する第2竪樋13と、下軒樋12に取り付けられた継手14とを含んでいる。継手14は、下軒樋12の底板を上下方向に挟んだ筒状の第1部材(軒樋設置管)15及び筒状の第2部材16から構成される。下軒樋12は、下屋である庇18に降った雨水を排水する。継手14は、第1竪樋11と第2竪樋13との間に接続される。第1部材15は、下軒樋12の貫通孔に対し上方から差し込まれ、そのフランジが下軒樋12の底部の上面に固着される。第2部材16は、下軒樋12の底部の下面に固着され、その内周面に設けた雌ネジに、第1部材15の外周面に設けた雄ネジがネジ結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6059463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、継手14の下軒樋12の底部上面に設置される軒樋設置管と第1竪樋11との間にソケットを接続する場合に、軒樋設置管とソケットとの接続部が下軒樋12の内側下部に配置される。これにより、作業者がその接続部の接続作業を、下軒樋12の中に手を差し込んで行う必要があるので、その接続作業が困難である。
【0006】
また、軒樋設置管と第1竪樋11との間にソケットを接続する場合に、軒樋設置管とソケットとの接続部が下軒樋12の水面上限線Lより下側になる。これにより、ソケットにおいて、軒樋設置管の筒部より大径になる分、下軒樋12内の流路断面積が減少する可能性がある。このため、下軒樋12内の雨水の流れが妨げられ、その結果、下軒樋12の軒樋設置管の近くで別の位置に設けられた第2貫通孔に設置された排水ドレン(図示せず)の排水性能が低下する可能性がある。
【0007】
本開示の目的は、軒樋に設置された軒樋設置管を含む雨水排水構造において、軒樋設置管とソケット等の別部材との接続作業の容易化を図ると共に、軒樋内の流路断面積の減少を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る雨水排水構造は、軒樋と、軒樋より上側の上屋根から排水された雨水を流す上縦管と、上縦管の下側に設けられた下縦管と、上縦管と下縦管との間に設けられ、軒樋に設置される軒樋設置管であって、軒樋の底板に設けられた貫通孔の開口周縁部上に上側に延びるように設置され、上縦管からの雨水を、貫通孔を通じて軒樋の下側に排水し、上端が、軒樋の水面上限の高さ以上に位置する軒樋設置管と、を備える、雨水排水構造である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様の雨水排水構造によれば、軒樋に設置された軒樋設置管を含む構造において、軒樋設置管の上端が、軒樋の水面上限の高さ以上に位置するので、軒樋設置管とソケット等の別部材との接続作業の容易化を図れると共に、別部材の少なくとも一部を軒樋の水面上限高さより高い位置に配置しやすくなるので、軒樋内の流路断面積の減少を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の雨水排水構造の要部を示す斜視図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】上縦管、下縦管及びソケットを省略して示している図2のB-B断面図である。
図4図2に示すソケットの拡大断面図である。
図5】実施形態において、下軒樋の内部にソケットが配置されないことによる効果を示している図1の上方から見た模式図である。
図6】実施形態の別例の雨水排水構造に用いる下軒樋を示す断面図である。
図7】実施形態の別例の雨水排水構造の一部を組み合わせる直前状態を示す断面図である。
図8図7からやり取りソケットを取り出して示す拡大断面図である。
図9】実施形態の別例の雨水排水構造の一部を分解して示す断面図である。
図10】比較例の雨水排水構造と、雨水排水構造が適用された建物とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る雨水排水構造の実施形態を説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。以下で説明する形状、配置、個数、材料等は、説明のための例示であって、雨水排水構造の仕様により適宜変更することができる。以下では全ての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。
【0012】
図1図5を用いて実施形態を説明する。図1は、実施形態の雨水排水構造20の要部を示す斜視図である。図2は、図1のA-A断面図である。図3は、上縦管21、下縦管22及びソケット40を省略して示している図2のB-B断面図である。雨水排水構造20が設けられた建物は、図10に示した構成と同様に、上屋根である屋根10とその下側の下屋である庇18とを備える。屋根10は、下軒樋12aより上側に位置する。
【0013】
雨水排水構造20は、屋根10に降った雨水を上軒樋19(図10参照)、上縦管21、及び軒樋設置管である上部材23を介して下縦管22に流し、下縦管22の下端から排水する。このために、雨水排水構造20は、屋根10に降った雨水を排水する上軒樋19、庇18に降った雨水を排水する下軒樋12a、上縦管21、下縦管22、上部材23、及び下部材30を含んで構成される。
【0014】
上縦管21は、建物1に対し屋根10の軒先の下側に取り付けられ、屋根10から上軒樋19を通じて排水された雨水を下側に流す。このために、上軒樋19の底板には上貫通孔(図示せず)が設けられ、その底板の上貫通孔の周辺部に固定された排水部材のうち、上貫通孔を貫通して下側に突出した筒部に、上縦管21の上端部が接続される。上縦管21は、上下方向に長尺であり、下端部にソケット40を介して、上部材23が接続される。
【0015】
下軒樋12aは、庇18のうち、建物の壁面近くであって、庇18の下側に傾斜した端の下側に取り付けられる。下軒樋12aは、第1壁51及び第2壁52の下端を底板53で連結し上側に開口した断面略U字形であり、建物の壁面に沿って水平方向に延びている。第1壁51及び第2壁52の上端部には、開口の外側に断面略矩形に曲げ形成された2つの耳部54,55が形成される。図1に示す例では、2つの耳部54,55の上端は、互いに高さが略同じ位置にある。これにより、下軒樋12aの水面上限L1(図2)の高さ位置は、下軒樋12aの上端の高さ位置と一致する。図2に示す例では、下軒樋12a内の雨水を砂地部で示している。下軒樋12aには、底板53において、上部材23の下端開口と対向する位置に、下貫通孔53aが形成される。
【0016】
下縦管22は、上下方向に長尺で、上縦管21の下側に設けられ、上端部が後述の下部材30に接続される。
【0017】
上部材23は、上縦管21と下縦管22との間に設けられ、下軒樋12aに設置される。具体的には、上部材23は、上下方向に長尺な筒部24と、筒部24の下端に径方向外側に広がるように形成された略円板状のフランジ25とを有する。上部材23はフランジ25の下面が、下軒樋12aの底板53において、下貫通孔53aの開口周縁部上面に接着等により固定される。この状態で、上部材23の筒部24は、上側に延びている。上部材23は、上縦管21からの雨水を、下貫通孔53aを通じて下軒樋12aの下側に排水する。さらに、上部材23の筒部24の上端Tは、下軒樋12aの最上端の高さと一致する、下軒樋12aの水面上限L1の高さより上側に位置する。上部材23の筒部24の上端Tの高さ位置は、下軒樋12aの水面上限L1の高さと一致させることもできるが、水面上限L1の高さより上側に位置させることがより好ましい。
【0018】
上部材23の上端と上縦管21の下端とは、ソケット40により接続される。図4は、ソケット40の拡大断面図である。図4に示すように、ソケット40は、外周面が円筒面である略円筒状であり、内周面の軸方向両端部のそれぞれに、軸方向中間部の小径筒部41に向かって、直径が小さくなるように傾斜した2つのテーパ面42,43を有する。ソケット40の各テーパ面42,43のそれぞれには、上部材23の上端と、上縦管21の下端とが嵌合される。図2の例では、上部材23の外径と上縦管21の外径とは略同じである。これにより、上部材23の上端は、ソケット40を介して上縦管21に接続される。
【0019】
下部材30は、上部材23と下軒樋12aの底板53を挟むように、底板53の下面に設置される。具体的には、下部材30は、上下方向に長尺な筒部31と、筒部31の上端に径方向外側に広がるように形成された略円板状のフランジ32とを有する。下部材30のフランジ32の上面は、下軒樋12aの底板53において、下貫通孔53aの開口周縁部下面に接着等により固定される。この状態で、下部材30の筒部31は、下側に延びている。そして、下部材30の筒部31の上端の外側に、下縦管22が嵌合固定される。下縦管22の上端は、下部材30のフランジ32の下面に突き当ててもよいが、この下面と下縦管22の上端との間に隙間をあけてもよい。
【0020】
上縦管21、下縦管22、ソケット40、上部材23、及び下部材30は、それぞれ硬質ポリ塩化ビニル樹脂や、ポリカーボネート、ABS、AES等の樹脂により形成される。ソケット40、上部材23、及び下部材30のいずれか1以上は、金属の鋳造等により形成されてもよい。
【0021】
例えば、上縦管21として、JISで規定される、呼び径が100mmのVP、VUの硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の管を用いる場合に、軸方向長さが104mmである呼び径が100mmのソケット40を用いることができる。また、その場合に、上部材23の高さ(軸方向長さ)は、150mm~400mmとし、一般的な非住宅用軒樋の高さ以上とすることができる。
【0022】
上記の雨水排水構造20によれば、下軒樋12aに設置された上部材23を含む構造において、上部材23の上端Tが、下軒樋12の水面上限L1の高さ以上に位置する。これにより、上部材23と別部材であるソケット40とを接続する際に、作業者が手を、狭い空間である下軒樋12a内に差し込む必要がないので、上部材23とソケット40との接続作業の容易化を図れる。これと共に、ソケット40の少なくとも一部を下軒樋12aの水面上限L1の高さより高い位置に配置しやすくなるので、下軒樋12a内の流路断面積の減少を抑制できる。
【0023】
図5は、実施形態において、下軒樋12aの内部にソケット40が配置されないことによる効果を示している図1の上方から見た模式図である。図5に示すように、下軒樋12aの底板53において、下貫通孔53aの近くで、下軒樋12aの長手方向について、下貫通孔53aと異なる位置には第2下貫通孔53bが形成される。図5では、底板53に固定した上部材23のフランジの図示を省略している。
【0024】
第2下貫通孔53bには、排水ドレン(図示せず)を上側から貫通させてそのフランジが底板53の上面に固定され、その排水ドレンの底板53より下側に突出した部分に、第2縦管(図示せず)が接続される。庇18(図10)から下軒樋12a内に入り込んだ雨水は、第2下貫通孔53bの開口周縁部に固定した排水ドレンを介して、第2縦管に排水され、第2縦管内を下側に流れて排水される。第2縦管の代わりに下縦管22の中間部に接続した枝管を用いて、下軒樋12a内の雨水を、排水ドレン及び枝管を介して、下縦管22に排水することもできる。
【0025】
上記のように、上部材23の上端にはソケット40が接続されるが、図2に示すように、ソケット40の外径は、上部材23及び上縦管21の外径より大きい。このため、ソケット40の多くの部分が、下軒樋12a内部の、下軒樋12aの水面上限より低い位置にある場合には、下軒樋12a内部を図5に矢印αで示すように、外径の大きいソケット40によって、下軒樋12a内部を第2下貫通孔53bに向かって流れる雨水の流れが妨げられる。これにより、第2下貫通孔53bに接続された排水ドレンの排水性能が低下する可能性がある。実施形態では、上記のように、ソケット40の少なくとも一部を、下軒樋12aの水面上限L1(図1)より高い位置に配置しやすくなるので、下軒樋12a内の流路断面積の減少を抑制できる。このため、下軒樋12a内部を第2下貫通孔53bに向かって流れる雨水の流れがソケット40で妨げられることを抑制できるので、第2下貫通孔53bに接続された排水ドレンの排水性能の低下も抑制できる。
【0026】
さらに、実施形態によれば、上縦管21から下縦管22へ向かう下方向の排水の流れが、下軒樋12a、上部材23、及び下部材30により妨げられることを抑制できる。これにより、上軒樋に雨水が大量に流れ込み、上縦管21の内部に雨水が充填された状態となったときにサイフォン現象を発生させて、大量の雨水を上軒樋から下縦管22に向かって効率よく排水できる。この場合に、上軒樋に設置する排水ドレンとして、上軒樋から上縦管21への排水が円滑に行われる構成を用いることが好ましい。例えば、排水ドレンは、排水筒部と、排水筒部の上端の周方向複数位置に連結された羽根と、複数の羽根の径方向内側端に連結され上下方向に延び、下端が排水筒部の内側空間に向いている内側筒部と、内側筒部の上端から連続して上側に向かって径方向外側に広がる漏斗部とを有する構成を用いることができる。複数の羽根によって、上軒樋からの排水の整流効果を高くできるので、その排水における渦の発生を抑制して、サイフォン現象が発生しやすくなる。
【0027】
図6は、実施形態の別例の雨水排水構造に用いる下軒樋12bを示す断面図である。本例の構造で用いる下軒樋12bは、上端部の幅方向両端部に、それぞれ開口内側に向かって折り曲げられた耳部56,57が形成される。一方の耳部56の上端は、他方の耳部57の上端より高い位置にある。これにより、下軒樋12bの水面上限L2の高さ位置は、他方の耳部57の上端高さ位置と一致する。このような下軒樋12bに上部材23(図1)を設置する場合に、上部材23の上端は、下軒樋12aの水面上限L2の高さ位置以上の高さに位置させる。一方、上部材23の上端を、下軒樋12aの水面上限L2の高さ位置より高い、一方の耳部56の上端より上側に位置させることにより、上部材23に接続するソケット40(図1)が下軒樋12bの内部に入り込むことをより抑制できると共に、そのソケット40が下軒樋12bの水面上限L2より低い位置に入り込むことをより抑制できる。これにより、上部材23とソケット40との接続作業のさらなる容易化を図れると共に、下軒樋12a内の流路断面積が減少することをさらに抑制できる。
【0028】
図7は、実施形態の別例の雨水排水構造の一部を組み合わせる直前状態を示す断面図である。図8は、図7からやり取りソケット60を取り出して示す拡大断面図である。本例の構成では、上縦管21は、上部材23の上端に接続された、図1図5の構成で用いられたソケット40と、そのソケット40の上端部に接続されたやり取りソケット60とを含むソケットを介して、上部材23に接続される。
【0029】
やり取りソケット60は、一端(図7図8の上端)において、嵌合される相手部材である上縦管21に対し軸方向にスライド可能に嵌合される。具体的には、図8に示すように、やり取りソケット60は、大径筒部61と、大径筒部61の他端側(図7図8の下端側)に設けられた小径筒部62とが段差部63で接続された筒状である。大径筒部61の一端には、径方向外側に拡径し、断面が径方向内側に向かって開口する略U字形である拡径部64が形成される。拡径部64の内側には環状のパッキン66が設けられる。パッキン66は、図8のように自由状態で、環状のシールリップ67が大径筒部61の内周面より内側に突出する。図7のように大径筒部61の内側に上側から上縦管21を嵌合して接続する場合には、シールリップ67の先端が上縦管21の外周面に摺接して上縦管21の外周面と大径筒部61の内周面との間をシールする。なお、やり取りソケット60の内側からパッキンを省略することもできる。
【0030】
やり取りソケット60の小径筒部62は、ソケット40の上側部分の内側に嵌合した状態で接続される。これにより、上縦管21は、やり取りソケット60及びソケット40を介して、上部材23に接続される。
【0031】
本例の構成によれば、上縦管21が使用時に、周囲の温度変化により熱伸縮した場合に、その熱収縮を上縦管21とやり取りソケット60との軸方向の相対移動によって吸収できる。これにより、上縦管21の熱収縮が無理に抑えられることを抑制できるので、上縦管21の破損をより効果的に防止できる。本例において、その他の構成及び作用は、図1図5の構成と同様である。なお、本例において、やり取りソケットは、軸方向両端において、嵌合される相手部材に対し軸方向にスライド可能に嵌合される構成としてもよい。
【0032】
図9は、実施形態の別例の雨水排水構造12dの一部を分解して示す断面図である。本例の構成では、上縦管21は、上部材23の上端に接続された、図1図5の構成で用いられたソケット40と、そのソケット40の上端部に接続されたインクリーザ70とを介して、上部材23に接続される。
【0033】
インクリーザ70は、一端の小径筒部71と他端の大径筒部72とを中間筒部73を介して連結した構成を有する。小径筒部71及び大径筒部72の外周面は円筒状である。小径筒部71の外側にはソケット40の上端部が嵌合される。一方、大径筒部72の内周面には、奥側に向かって直径が小さくなったテーパ面72aが形成される。大径筒部72の内側には上縦管21の下端部が嵌合して接続される。このような雨水排水構造12dでは、インクリーザ70を含むことにより、直径の異なる上縦管21と上部材23とを容易に接続できる。本例において、その他の構成及び作用は、図1図5の構成と同様である。なお、本例において、インクリーザ70の大径筒部72と、上縦管21との間に、図7図8の構成で示したやり取りソケット60を接続することもできる。
【0034】
また、上記の各例では、上縦管21と上部材23との間にソケット40を設けた場合を説明したが、ソケット40を省略して上縦管21と上部材23とを直接に接続した構成とすることもできる。例えば、上縦管21の外径を上部材23の外径より大きくして、上縦管21を上部材23の上端部の外側に嵌合して接続してもよい。この場合には、上部材23の上端を、下軒樋12aの水面上限の高さ以上に位置させることにより、上部材23と別部材としての上縦管21との接続作業の容易化を図れると共に、直径の大きな上縦管21が下軒樋内に入り込むことを抑制できる。これにより、下軒樋内の流路断面積の減少を抑制できる。
【符号の説明】
【0035】
1 建物、10 屋根、11 第1竪樋、12,12a,12b,12c,12d 下軒樋、13 第2竪樋、14 継手、15 第1部材、16 第2部材、18 庇、19 上軒樋、20 雨水排水構造、21 上縦管、22 下縦管、23 上部材、24 筒部、25 フランジ、30 下部材、31 筒部、32 フランジ、40 ソケット、41 小径筒部、42,43 テーパ面、51 第1壁、52 第2壁、53 底板、53a 下貫通孔、54,55 耳部、56,57 耳部、60 やり取りソケット、61 大径筒部、62 小径筒部、63 段差部、64 拡径部、70 インクリーザ、71 小径筒部、72 大径筒部、72a テーパ面、73 中間筒部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10