(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142730
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】映像通信システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230928BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230928BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230928BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230928BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/01 A
G08G1/09 H
G07C5/00 Z
H04N7/18 E
H04N7/18 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049774
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 史朗
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA01
3E138MB02
3E138MB03
3E138MB08
3E138MB10
3E138MC03
3E138MD05
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA07
5C054EA03
5C054EA07
5C054GB02
5C054HA18
5C054HA30
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC27
5H181EE15
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MB07
5H181MB08
5H181MC17
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】車両の位置情報の通信が困難な環境においても適切な車両から映像を送信する。
【解決手段】映像通信システムは、対象車両にイベントが発生した場合には、イベント発生方位を含む緊急信号が生成されて周辺車両に送信され、周辺車両においてイベント発生方位、周辺車両方位及び受信方位に基づいて映像送信処理が制御される。このため、対象車両及び周辺車両の位置情報を検出することなく映像送信処理が行われる。したがって、車両の位置情報の通信が困難な環境においても適切な車両から映像を送信することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントが発生した対象車両の周辺に存在する周辺車両から、当該周辺車両の周囲を撮影した映像を所定のサーバに送信する映像通信システムであって、
前記対象車両には、
前記周辺車両との間で通信が可能な対象側通信部と、
前記対象車両の前部が向いている方位である対象車両方位を検出する対象車両方位検出部と、
前記対象車両についての前記イベントを検出するイベント検出部と、
前記対象車両について前記イベントが検出された場合、前記イベント検出部の検出結果と前記対象車両方位とに基づき、前記対象車両における前記イベントが発生した方位であるイベント発生方位を検出するイベント方位検出部と、
前記イベント発生方位の情報を含む緊急信号を生成する緊急信号生成部と、
生成された前記緊急信号を前記対象側通信部から送信させる対象側通信制御部と
を有する送信側装置が配置され、
前記周辺車両には、
前記周辺車両の周囲を撮影する撮影部と、
前記対象車両から送信される前記緊急信号を受信する周辺側通信部と、
前記周辺車両の前部が向いている方位である周辺車両方位を検出する周辺車両方位検出部と、
前記緊急信号の受信方位を検出する受信方位検出部と、
前記緊急信号に含まれる前記イベント発生方位と、前記周辺車両方位と、前記受信方位とに基づいて、前記撮影部で撮影された映像を所定のサーバに送信する映像送信処理を制御する周辺側通信制御部と
を有する受信側装置が配置される
映像通信システム。
【請求項2】
前記周辺側通信制御部は、前記撮影部で撮影された映像から前記対象車両の、前記イベント発生方位に対応する部位が映る対象映像が存在するか否かを判定し、前記対象映像が存在すると判定した場合に前記対象映像を所定のサーバに送信するように前記映像送信処理を制御する
請求項1に記載の映像通信システム。
【請求項3】
前記イベント検出部は、前記対象車両に配置された加速度センサによって前記対象車両におけるどの方向から衝撃が加えられたかを検出し、
前記対象車両方位検出部は、前記対象車両に配置された地磁気センサによって前記対象車両の前部が向いている方位である対象車両方位を検出し、
前記周辺車両方位検出部は、前記周辺車両に配置された地磁気センサによって前記周辺車両の前部が向いている方位である周辺車両方位を検出する
請求項1または請求項2に記載の映像通信システム。
【請求項4】
前記イベント検出部は、前記対象車両における異なる複数の部位に設置された複数の加速度センサによって前記対象車両におけるどの部位に衝撃が加えられたかを検出する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の映像通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両において車両周辺の映像を撮影するドライブレコーダが知られている。特許文献1には、事故等のイベントが発生した場合、イベントが発生した車両の周辺の車両に搭載されるドライブレコーダで撮影された映像をサーバに送信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、イベント発生車両の位置情報と周辺車両の位置情報とに基づいて適切な車両を検出し、当該車両の映像をサーバに送信させる構成である。このような技術においては、車両の位置情報の通信が困難な環境においても適切な車両から映像を送信可能な構成が求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、車両の位置情報の通信が困難な環境においても適切な車両から映像を送信することが可能な映像通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る映像通信システムは、イベントが発生した対象車両の周辺に存在する周辺車両から、当該周辺車両の周囲を撮影した映像を所定のサーバに送信する映像通信システムであって、前記対象車両には、前記周辺車両との間で通信が可能な対象側通信部と、前記対象車両の前部が向いている方位である対象車両方位を検出する対象車両方位検出部と、前記対象車両についての前記イベントを検出するイベント検出部と、前記対象車両について前記イベントが検出された場合、前記イベント検出部の検出結果と前記対象車両方位とに基づき、前記対象車両における前記イベントが発生した方位であるイベント発生方位を検出するイベント方位検出部と、前記イベント発生方位の情報を含む緊急信号を生成する緊急信号生成部と、生成された前記緊急信号を前記対象側通信部から送信させる対象側通信制御部とを有する送信側装置が配置され、前記周辺車両には、前記周辺車両の周囲を撮影する撮影部と、前記対象車両から送信される前記緊急信号を受信する周辺側通信部と、前記周辺車両の前部が向いている方位である周辺車両方位を検出する周辺車両方位検出部と、前記緊急信号の受信方位を検出する受信方位検出部と、前記緊急信号に含まれる前記イベント発生方位と、前記周辺車両方位と、前記受信方位とに基づいて、前記撮影部で撮影された映像を所定のサーバに送信する映像送信処理を制御する周辺側通信制御部とを有する受信側装置が配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の位置情報の通信が困難な環境においても適切な車両から映像を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る映像通信システムの一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、映像通信システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、映像通信システムの動作の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る映像通信システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る映像通信システムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る映像通信システム100の一例を模式的に示す図である。
図2は、映像通信システム100の一例を示す機能ブロック図である。
図1及び
図2に示すように、映像通信システム100は、イベントが発生した対象車両M1の周辺に存在する周辺車両M2から、当該周辺車両M2の周囲を撮影した映像を所定のサーバSに送信するものである。対象車両M1及び周辺車両M2には、それぞれドライブレコーダが搭載される。
【0011】
対象車両M1には、送信側装置10が配置される。送信側装置10は、通信部11(対象側通信部)と、加速度センサ12と、速度センサ13と、地磁気センサ14と、制御部15と、記憶部16とを有する。
【0012】
通信部11は、周辺車両M2との間で無線通信が可能である。通信部11は、例えば近距離無線信号を発信可能である。
【0013】
加速度センサ12は、対象車両M1に対して生じる加速度を検出するセンサである。加速度センサ12は、検出結果を制御部15のイベント検出部31に出力する。加速度センサ12は、例えば3軸方向の加速度を検出するセンサである。3軸方向とは、対象車両M1の前後方向、左右方向、および上下方向である。対象車両M1に衝撃が加えられた場合に、加速度センサ12により、衝撃の大きさ及び衝撃が加えられた方向が検出される。加速度センサ12は、例えば対象車両M1の前部、後部、左側部、右側部の各部位に配置することができる。この構成により、対象車両M1のどの部位において衝撃が加えられたかをより適切に検出することができる。
【0014】
速度センサ13は、対象車両M1の速度を検出する。速度センサ13としては、例えば対象車両M1に搭載されるドライブレコーダの速度センサを用いてもよい。
【0015】
地磁気センサ14は、地磁気を検出するセンサである。地磁気センサ14は、検出結果を制御部15の車両方位検出部32に出力する。
【0016】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。制御部15は、イベント検出部31と、車両方位検出部(対象車両方位検出部)32と、イベント方位検出部33と、緊急信号生成部34と、通信制御部(対象側通信制御部)35とを有する。
【0017】
イベント検出部31は、加速度センサ12の検出結果に基づいて、対象車両M1に生じるイベントを検出する。イベント検出部31は、例えば加速度センサ12において所定の閾値以上の衝撃が検出された場合、当該衝撃をイベントとして検出する。イベント検出部31は、対象車両M1に配置される複数の加速度センサ12の検出結果に基づいて、対象車両M1の前部、後部、左側部、右側部のどの位置にイベントが発生したかを検出する。
【0018】
車両方位検出部32は、地磁気センサ14の検出結果に基づいて、対象車両M1の前部が向いている方位である対象車両方位を検出する。車両方位検出部32は、対象車両方位について、東西南北を基準とした方位として検出する。
【0019】
イベント方位検出部33は、イベント検出部31によりイベントが検出された場合、イベントが発生した方位であるイベント発生方位を検出する。イベント方位検出部33は、イベント検出部31で検出された対象車両M1におけるイベントの発生部位と、車両方位検出部32で検出された対象車両M1の対象車両方位とに基づいて、東西南北を基準とした方位としてイベント発生方位を検出する。
【0020】
緊急信号生成部34は、イベント検出部31によりイベントが検出された場合、イベント発生方位の情報を含む緊急信号を生成する。緊急信号生成部34は、例えば近距離無線信号により緊急信号を生成することができる。
【0021】
通信制御部35は、生成された緊急信号を通信部11から送信させる。
【0022】
記憶部16は、各種情報を記憶する。記憶部16は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部16として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。
【0023】
周辺車両M2には、受信側装置20が配置される。受信側装置20は、撮影部21と、通信部(周辺側通信部)22と、速度センサ23と、地磁気センサ24と、制御部25と、記憶部26とを有する。
【0024】
撮影部21は、周辺車両M2の周囲を撮影する。本実施形態において、撮影部21は、例えば周辺車両M2の前方及び後方を撮影可能である。なお、撮影部21は、周辺車両M2の左方及び右方についても撮影可能であってもよい。撮影部21としては、例えばドライブレコーダに設けられるカメラ等が用いられる。撮影部21は、ドライブレコーダとは異なる形態のカメラであってもよい。
【0025】
通信部22は、対象車両M1、サーバSとの間で無線通信が可能である。通信部22は、対象車両M1から送信される近距離無線信号を受信する。通信部22は、対象車両M1から送信される緊急信号を受信する。通信部22は、受信した緊急信号を制御部15に出力する。また、通信部22は、撮影部21で撮影された映像をサーバSに送信可能である。
【0026】
速度センサ23は、周辺車両M2の速度を検出する。速度センサ23としては、例えば周辺車両M2に搭載されるドライブレコーダの速度センサを用いてもよい。
【0027】
地磁気センサ24は、地磁気を検出するセンサである。地磁気センサ24は、検出結果を制御部25の車両方位検出部41に出力する。
【0028】
制御部25は、CPU等の処理装置と、RAM又はROM等の記憶装置を有する。制御部25は、車両方位検出部41と、受信方位検出部42と、通信制御部(周辺側通信制御部)42とを有する。
【0029】
車両方位検出部41は、地磁気センサ24の検出結果に基づいて、周辺車両M2の前部が向いている方位である周辺車両方位を検出する。車両方位検出部41は、周辺車両方位について、東西南北を基準とした方位として検出する。
【0030】
受信方位検出部42は、通信部22において受信した緊急信号の受信方位を検出する。具体的には、通信部22に複数の指向性アンテナを持たせ、各指向性アンテナにおける受信信号強度に基づいて、受信信号が周辺車両M2の前後左右を基準にしたどの方向から発信されたものかを検出する。更に受信方位検出部42は、地磁気センサ24の検出結果に基づいて、東西南北を基準とした方位として受信方位を検出する。
【0031】
通信制御部43は、緊急信号に含まれるイベント発生方位と、車両方位検出部41で検出された周辺車両方位と、受信方位検出部42で検出された受信方位とに基づいて、撮影部21で撮影された映像をサーバSに送信する映像送信処理を制御する。
【0032】
通信制御部43は、イベント発生方位と、周辺車両方位と、受信方位とに基づいて、撮影部21で撮影された映像から、対象車両M1のイベント発生方位に対応する部位が映る対象映像が存在するか否かを判定する。
【0033】
通信制御部43は、例えばイベント発生方位と受信方位との間に、互いに向き合う方向の成分が検出されない場合、対象映像が存在しないと判定することができる。例えばイベント発生方位が「東」であり、受信方位が「南東」である場合、それぞれの方位の間に向き合う成分が検出されない。このため、通信制御部43は、対象映像が存在しないと判定することができる。対象映像が存在しないと判定した場合、通信制御部43は、サーバSに映像を送信しないようにする。
【0034】
また、例えばイベント発生方位が「東」であり、受信方位が「南西」である場合、それぞれの方位の間に東西方向に向き合う成分が検出される。この場合、通信制御部43は、周辺車両M2から受信方位に対応する方向を撮影した映像が存在するか否かを検出する。周辺車両M2の周辺車両方位が「北」である場合、周辺車両M2の「南西」の方向を映す映像は、周辺車両M2の左後方を映す映像に対応する。したがって、通信制御部43は、当該周辺車両M2の左後方を映す映像が存在するか否かを検出する。本実施形態のように例えば撮影部21において周辺車両の前方及び後方を撮影する構成においては、通信制御部43は、後方を撮影した映像のうち左後方の部分を対象映像として検出することができる。対象映像が検出された場合、通信制御部43は、対象映像が存在すると判定し、検出した対象映像を通信部22からサーバSに送信させる。
【0035】
記憶部26は、各種情報を記憶する。記憶部26は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部26として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部26は、撮影部21により撮影された映像を記憶することができる。
【0036】
次に、上記のように構成された映像通信システム100の動作について説明する。
図3は、映像通信システム100の動作の一例を示す図である。
図3では、対象車両M1と複数台の周辺車両M2とが同じ方向、例えば北の方位に走行している場合を例に挙げている。
図3において、複数の周辺車両M2を区別する場合、それぞれM2a、M2b、M2c、M2dと表記する。
【0037】
図3に示すように、対象車両M1の右側部に他の車両M3が衝突した場合、対象車両M1の加速度センサ12は、当該衝撃の大きさ及び衝撃が加えられた方向を検出し、検出結果を制御部15に出力する。
【0038】
対象車両M1側において、イベント検出部31は、加速度センサ12において所定の閾値以上の衝撃が検出された場合、当該衝撃をイベントとして検出する。
図3に示す場合において、イベント検出部31は、加速度センサ12の検出結果に基づいて、対象車両M1の右側部にイベントが発生したことを検出する。また、車両方位検出部32は、地磁気センサ14の検出結果に基づいて、対象車両方位が「北」であることを検出する。
【0039】
イベント方位検出部33は、イベント検出部31で検出された対象車両M1におけるイベントの発生部位と、車両方位検出部32で検出された対象車両方位とに基づいて、東西南北を基準とした方位としてイベント発生方位を検出する。
図3に示す場合において、イベントの発生部位が対象車両M1の「右側部」であり、対象車両方位が「北」と検出されるため、イベント方位検出部33は、イベント発生方位を「東」として検出する。
【0040】
緊急信号生成部34は、イベント検出部31によりイベントが検出されたことにより、イベント発生方位が「東」である旨の情報を含む緊急信号を生成する。そして、通信制御部35は、生成された緊急信号を通信部11から送信させる。
【0041】
複数の周辺車両M2では、それぞれ、対象車両M1から送信される近距離無線信号を通信部22において受信する。通信部22は、受信した緊急信号を制御部15に出力する。また、各周辺車両M2の車両方位検出部41は、地磁気センサ24の検出結果に基づいて、周辺車両方位を検出する。
図3に示す場合、周辺車両M2a、M2b、M2cにおいて、車両方位検出部41は、周辺車両方位が「北」であることを検出する。また、周辺車両M2dにおいて、車両方位検出部41は、周辺車両方位が「南」であることを検出する。
【0042】
各周辺車両M2の受信方位検出部42は、通信部22において受信した緊急信号の受信方位を検出する。
図3に示す場合、周辺車両M2aにおいて、受信方位検出部42は、受信方位を「北西」として検出する。周辺車両M2bにおいて、受信方位検出部42は、受信方位を「北東」として検出する。周辺車両M2cにおいて、受信方位検出部42は、受信方位を「南西」として検出する。周辺車両M2dにおいて、受信方位検出部42は、受信方位を「南西」として検出する。
【0043】
各周辺車両M2の通信制御部43は、イベント発生方位と、周辺車両方位と、受信方位とに基づいて、撮影部21で撮影された映像から、対象車両M1のイベント発生方位に対応する部位が映る対象映像が存在するか否かを判定する。
【0044】
例えば、周辺車両M2aでは、受信方位が「北西」であり、イベント発生方位が「東」である。したがって、通信制御部43は、それぞれの方位の間に東西方向に向き合う成分を検出することができる。この場合、通信制御部43は、周辺車両M2aから受信方向である「北西」の方向を撮影した映像が存在するか否かを検出する。ここでは、周辺車両M2aの周辺車両方位が「北」であることから、周辺車両M2aの左前方を映す映像が存在するか否かを検出する。通信制御部43は、撮影部21で撮影された映像のうち、前方を撮影する映像のうち左前方の部分を対象映像として検出することができる。対象映像を検出した場合、通信制御部43は、対象映像が存在すると判定し、検出した対象映像を通信部22からサーバSに送信させる。
【0045】
また、周辺車両M2bでは、受信方位が「北東」であり、イベント発生方位が「東」である。したがって、通信制御部43は、それぞれの方位の間に向き合う成分が検出することができない。この場合、通信制御部43は、対象映像が存在しないと判定する。この場合、通信制御部43は、サーバSに対して映像を送信しないようにする。
【0046】
また、周辺車両M2cでは、受信方位が「南西」であり、イベント発生方位が「東」である。したがって、通信制御部43は、それぞれの方位の間に東西方向に向き合う成分を検出することができる。この場合、通信制御部43は、周辺車両M2cから受信方位である「南西」の方向を撮影した映像が存在するか否かを検出する。ここでは、周辺車両M2cの周辺車両方位が「北」であることから、周辺車両M2cの左後方を映す映像を検出する。通信制御部43は、撮影部21で撮影された映像のうち、後方を撮影する映像のうち左後方の部分を対象映像として検出することができる。対象映像を検出した場合、通信制御部43は、対象映像が存在すると判定し、検出した対象映像を通信部22からサーバSに送信させる。
【0047】
また、周辺車両M2dでは、受信方位が「南西」であり、イベント発生方位が「東」である。したがって、通信制御部43は、それぞれの方位の間に東西方向に向き合う成分を検出することができる。この場合、通信制御部43は、周辺車両M2dから受信方位である「南西」の方向を撮影した映像が存在するか否かを検出する。ここでは、周辺車両M2dの周辺車両方位が「南」であることから、周辺車両M2dの右前方を映す映像を検出する。通信制御部43は、撮影部21で撮影された映像のうち、前方を撮影する映像のうち右前方の部分を対象映像として検出することができる。対象映像を検出した場合、通信制御部43は、対象映像が存在すると判定し、検出した対象映像を通信部22からサーバSに送信させる。
【0048】
図4は、本実施形態に係る映像通信システム100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、対象車両M1の送信側装置10において、イベント検出部31は、加速度センサ12の検出結果に基づいてイベントの有無を検出する(ステップS101)。イベント検出部31は、イベントを検出しない場合(ステップS101のNo)、ステップS101を繰り返し行う。
【0049】
イベント検出部31は、がイベントを検出した場合(ステップS101のYes)、対象車両M1におけるイベントの発生部位を検出する(ステップS102)。また、車両方位検出部32は、地磁気センサ14の検出結果に基づいて、対象車両方位を検出する(ステップS103)。イベント方位検出部33は、イベントの発生部位と、対象車両方位とに基づいて、東西南北を基準とした方位としてイベント発生方位を検出する(ステップS104)。
【0050】
緊急信号生成部34は、イベント発生方位を含む緊急信号を生成する(ステップS105)。通信制御部35は、生成された緊急信号を通信部11から送信させる(ステップS106)。ステップS106を行った後、送信側装置10の処理が終了する。
【0051】
周辺車両M2の受信側装置20において、撮影部21は、周辺車両M2の周囲を撮影する(ステップS107)。通信部22は、対象車両M1から送信される緊急信号を受信して制御部15に出力すする(ステップS108)。また、車両方位検出部41は、地磁気センサ24の検出結果に基づいて、周辺車両方位を検出する(ステップS109)。
【0052】
受信方位検出部42は、通信部22において受信した緊急信号の受信方位を検出する(ステップS110)。通信制御部43は、イベント発生方位と、周辺車両方位と、受信方位とに基づいて、撮影部21で撮影された映像から、対象車両M1のイベント発生方位に対応する部位が映る対象映像が存在するか否かを判定する(ステップS111)。
【0053】
対象映像が存在すると判定した場合(ステップS111のYes)、通信制御部43は、対象映像を通信部22からサーバSに送信させる(ステップS112)。対象映像が存在しないと判定した場合(ステップS111のNo)、通信制御部43は、映像をサーバSに送信しないようにする(ステップS113)。ステップS112又はステップS113を行った後、受信側装置20の処理が終了する。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る映像通信システム100は、イベントが発生した対象車両M1の周辺に存在する周辺車両M2から、当該周辺車両M2の周囲を撮影した映像を所定のサーバSに送信する映像通信システム100であって、対象車両M1には、周辺車両M2との間で通信が可能な通信部11と、対象車両M1の前部が向いている方位である対象車両方位を検出する車両方位検出部32と、対象車両M1についてのイベントを検出するイベント検出部31と、対象車両M1についてイベントが検出された場合、イベント検出部31の検出結果と対象車両方位とに基づき、対象車両M1におけるイベントが発生した方位であるイベント発生方位を検出するイベント方位検出部33と、イベント発生方位の情報を含む緊急信号を生成する緊急信号生成部34と、生成された緊急信号を通信部11から送信させる通信制御部35とを有する送信側装置10が配置され、周辺車両M2には、周辺車両M2の周囲を撮影する撮影部21と、対象車両M1から送信される緊急信号を受信する通信部22と、周辺車両M2の前部が向いている方位である周辺車両方位を検出する車両方位検出部41と、緊急信号の受信方位を検出する受信方位検出部42と、緊急信号に含まれるイベント発生方位と、周辺車両方位と、受信方位とに基づいて、撮影部21で撮影された映像を所定のサーバSに送信する映像送信処理を制御する通信制御部43とを有する受信側装置20が配置される。
【0055】
この構成によれば、対象車両M1にイベントが発生した場合には、イベント発生方位を含む緊急信号が生成されて周辺車両M2に送信され、周辺車両M2においてイベント発生方位、周辺車両方位及び受信方位に基づいて映像送信処理が制御される。このため、対象車両M1及び周辺車両M2の位置情報を検出することなく映像送信処理が行われる。したがって、車両の位置情報の通信が困難な環境においても適切な車両から映像を送信することができる。
【0056】
本実施形態に係る映像通信システム100において、通信制御部43は、撮影部21で撮影された映像から対象車両M1のイベント発生方位に対応する部位が映る対象映像が存在するか否かを判定し、対象映像が存在すると判定した場合に対象映像を所定のサーバSに送信するように映像送信処理を制御する。この構成によれば、対象映像を適切に抽出してサーバSに送信することができる。
【0057】
本実施形態に係る映像通信システム100において、通信制御部43は、対象映像が存在しないと判定した場合に、映像をサーバSに送信しないようにする。この構成によれば、不必要な映像がサーバに送信されることを抑制できる。
【0058】
本実施形態に係る映像通信システム100において、イベント検出部31は、対象車両M1に配置された加速度センサ12によって対象車両M1におけるどの方向から衝撃が加えられたかを検出し、車両方位検出部32は、対象車両M1に配置された地磁気センサ14によって対象車両M1の前部が向いている方位である対象車両方位を検出し、車両方位検出部41は、周辺車両M2に配置された地磁気センサ24によって周辺車両M2の前部が向いている方位である周辺車両方位を検出する。この構成によれば、イベントの発生部位、対象車両方位及び周辺車両方位を精度よく検出できる。
【0059】
本実施形態に係る映像通信システム100において、イベント検出部31は、対象車両M1における異なる複数の部位に設置された複数の加速度センサ12によって対象車両M1におけるどの部位に衝撃が加えられたかを検出する。この構成によれば、複数の加速度センサ12によりイベントの発生部位を精度よく検出できる。
【0060】
上記説明では、加速度センサ12を対象車両M1の前部、後部、左側部、右側部の各部位に配置し、イベント検出部31が対象車両M1に配置される複数の加速度センサ12の検出結果に基づいて、対象車両M1の前部、後部、左側部、右側部のどの位置にイベントが発生したかを検出し、イベント方位検出部33は、イベント検出部31で検出された対象車両M1におけるイベントの発生部位と、車両方位検出部32で検出された対象車両M1の対象車両方位とに基づいて、東西南北を基準とした方位としてイベント発生方位を検出する構成を説明したが、加速度センサ12は一つとすることも可能である。加速度センサ12を一つとした場合、イベント検出部31は加速度センサ12の検出結果に基づいて、対象車両の前後左右を基準としたどの方向に加速度が検出されたかをイベント発生方向として検出し、イベント方位検出部33は、イベント検出部31で検出された対象車両M1におけるイベント発生方向と、車両方位検出部32で検出された対象車両M1の対象車両方位とに基づいて、東西南北を基準とした方位としてイベント発生方位を検出する。
【符号の説明】
【0061】
M1…対象車両、M2(M2a,M2b,M2c,M2d)…周辺車両、M3…車両、S…サーバ、10…送信側装置、11,22…通信部、12…加速度センサ、13,23…速度センサ、14,24…地磁気センサ、15,25…制御部、16,26…記憶部、20…受信側装置、21…撮影部、31…イベント検出部、32,41…車両方位検出部、33…イベント方位検出部、34…緊急信号生成部、35,42,43…通信制御部、42…受信方位検出部、100…映像通信システム