IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 清水建設株式会社の特許一覧

特開2023-142761除去状況確認システムおよび除去状況確認方法
<>
  • 特開-除去状況確認システムおよび除去状況確認方法 図1
  • 特開-除去状況確認システムおよび除去状況確認方法 図2
  • 特開-除去状況確認システムおよび除去状況確認方法 図3
  • 特開-除去状況確認システムおよび除去状況確認方法 図4
  • 特開-除去状況確認システムおよび除去状況確認方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142761
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】除去状況確認システムおよび除去状況確認方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230928BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049824
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 拓宏
(72)【発明者】
【氏名】塚原 裕一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】石綿などの被除去物の除去状況の確認作業と記録作業の効率化を図ることができる除去状況確認システムおよび除去状況確認方法を提供する。
【解決手段】部材2に取り付いた被除去物3を除去する作業において被除去物3の除去状況を確認するためのシステム100であって、高所かつ狭隘部の前記部材2に取り付いた被除去物3の除去状況を確認する除去確認装置10を有し、前記除去確認装置10は、被除去物3の除去対象箇所を撮影して画像を取得する画像取得手段12と、前記画像取得手段12を移動可能に支持する支持手段14と、前記画像取得手段12で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力する出力手段16とを備えるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するためのシステムであって、
高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置を有し、
前記除去確認装置は、前記被除去物の除去対象箇所を撮影して画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段を移動可能に支持する支持手段と、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力する出力手段とを備えることを特徴とする除去状況確認システム。
【請求項2】
取得した画像に基づいて帳票を作成して出力する帳票作成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の除去状況確認システム。
【請求項3】
取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信する送信手段をさらに備え、送信された画像は前記端末で閲覧可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の除去状況確認システム。
【請求項4】
部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するための方法であって、
高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置に備わる前記画像取得手段を前記被除去物の除去対象箇所の近傍に配置するステップと、前記画像取得手段で除去対象箇所を撮影して画像を取得するステップと、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力するステップとを有することを特徴とする除去状況確認方法。
【請求項5】
取得した画像に基づいて帳票を作成して出力するステップをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の除去状況確認方法。
【請求項6】
取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信するステップをさらに有し、送信された画像は前記端末で閲覧可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の除去状況確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建物の改修・解体工事において石綿などの建材の除去状況を確認するのに好適な除去状況確認システムおよび除去状況確認方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の改修・解体工事に伴って、石綿を除去する作業が行われている(例えば、特許文献1を参照)。石綿は、主に耐火被覆材として鉄骨の梁や柱、天井、壁などに使用されている。石綿は、天井近くの高所や、外壁パネルと鉄骨梁の間などの狭隘部まで完全に除去する必要があり、作業員は石綿除去状況を目視で確認しながら除去作業を行っていた。
【0003】
この従来の除去状況確認方法について、図面を参照しながら説明する。図4(1)は、外壁パネル1に近接配置された鉄骨梁2を撮影した写真、(2)は(1)の要部断面図、(3)は(2)の要部の写真である。図4(3)では、鉄骨梁2の表面を被覆する耐火被覆材3(石綿含有材料)の除去前と除去後の状況が示されている。図4(2)に示すように、外壁パネル1と鉄骨梁2の間は狭隘部となっている。この狭隘部の石綿除去状況を確認する際には、図5に示すように、作業用足場4(移動足場など)に搭乗した作業員Pが狭隘部の除去箇所にライト5を照射し、除去状況を目視で確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-279861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高所や狭隘部の石綿除去状況の確認には、次のような問題がある。
(1)確認作業が大変
作業用足場を対象場所に移動させながら人の目で見て確認するため、膨大な時間と手間がかかるおそれがある。
(2)除去判断が困難
高所や狭隘部は見えづらい(または見えない)ため、石綿取り残し箇所が頻出するおそれがある。
(3)記録・帳票化が大変
除去箇所に対する膨大な写真の記録と帳票化作業が必要なため、時間と手間がかかるおそれがある。特に、令和3年の労働安全衛生法の改正により、事業者に対して実施状況の写真記録と3年間の保存が義務付けられたことから、その対策は喫緊の課題である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、石綿などの被除去物の除去状況の確認作業と記録作業の効率化を図ることができる除去状況確認システムおよび除去状況確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る除去状況確認システムは、部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するためのシステムであって、高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置を有し、前記除去確認装置は、前記被除去物の除去対象箇所を撮影して画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段を移動可能に支持する支持手段と、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の除去状況確認システムは、上述した発明において、取得した画像に基づいて帳票を作成して出力する帳票作成手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の除去状況確認システムは、上述した発明において、取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信する送信手段をさらに備え、送信された画像は前記端末で閲覧可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る除去状況確認方法は、部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するための方法であって、高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置に備わる前記画像取得手段を前記被除去物の除去対象箇所の近傍に配置するステップと、前記画像取得手段で除去対象箇所を撮影して画像を取得するステップと、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力するステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の除去状況確認方法は、上述した発明において、取得した画像に基づいて帳票を作成して出力するステップをさらに有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の除去状況確認方法は、上述した発明において、取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信するステップをさらに有し、送信された画像は前記端末で閲覧可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る除去状況確認システムによれば、部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するためのシステムであって、高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置を有し、前記除去確認装置は、前記被除去物の除去対象箇所を撮影して画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段を移動可能に支持する支持手段と、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力する出力手段とを備えるので、石綿などの被除去物の除去状況の確認作業と記録作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の除去状況確認システムによれば、取得した画像に基づいて帳票を作成して出力する帳票作成手段をさらに備えるので、帳票化作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の除去状況確認システムによれば、取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信する送信手段をさらに備え、送信された画像は前記端末で閲覧可能であるので、隔離養生の外側や遠隔の管理室から除去状況をリアルタイムに確認することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る除去状況確認方法によれば、部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するための方法であって、高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置に備わる前記画像取得手段を前記被除去物の除去対象箇所の近傍に配置するステップと、前記画像取得手段で除去対象箇所を撮影して画像を取得するステップと、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力するステップとを有するので、石綿などの被除去物の除去状況の確認作業と記録作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他の除去状況確認方法によれば、取得した画像に基づいて帳票を作成して出力するステップをさらに有するので、帳票化作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る他の除去状況確認方法によれば、取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信するステップをさらに有し、送信された画像は前記端末で閲覧可能であるので、隔離養生の外側や遠隔の管理室から除去状況をリアルタイムに確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係る除去状況確認システムおよび除去状況確認方法の実施の形態を示す概略図である。
図2図2は、本実施の形態を示す図であり、(1)は除去状況確認システムの構成図、(2)は図面およびアイコンの説明図、(3)は帳票の説明図である。
図3図3は、本実施の形態による撮影位置追跡機能の概念図であり、(1)は斜視概念図、(2)は図面上の概念図である。
図4図4は、従来の除去状況確認方法の説明図であり、(1)は外壁パネルと鉄骨梁の間を示す写真図、(2)は要部断面図、(3)は(2)の要部写真図である。
図5図5は、従来の除去状況確認方法の一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る除去状況確認システムおよび除去状況確認方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
(除去状況確認システム)
まず、本発明に係る除去状況確認システムの実施の形態について説明する。
図1および図2(1)に示すように、本発明の実施の形態に係る除去状況確認システム100は、鉄骨梁2(部材)に取り付いた石綿からなる耐火被覆材3(被除去物)を除去する作業において、その除去状況を確認するためのシステムであって、除去確認装置10と、除去確認支援装置20と、帳票作成装置30とを備える。
【0022】
除去確認装置10は、高所かつ狭隘部でも効率的に石綿(耐火被覆材3)の除去状況の確認が可能な装置であり、除去対象箇所を撮影して画像を取得するジンバルカメラ12と、撮影架台14と、確認端末16を有する。ジンバルカメラ12、撮影架台14は、隔離養生内R1に配置される。確認端末16は、隔離養生内R1の作業員Pが所持する。なお、確認端末16は、現地の隔離養生外R2の作業員P、現場内の事務所R3の作業員Pなど複数人がさらに所持してもよく、その他、遠隔の管理室に配置してもよい。
【0023】
ジンバルカメラ12は、3軸ジンバル機構と手振れ補正機構を有する小型の高解像度カメラ(画像取得手段)であり、写真(静止画像)と映像(動画像)のどちらでも高精細に撮影が可能である。このジンバルカメラ12は、小型のため狭隘部に対して容易に入り込ませることができる。ジンバルカメラ12は、揺れる場合でも、上記の機構の働きにより確認対象箇所を高精細に撮影可能である。したがって、高所撮影時のようなカメラの揺れが大きくなる場面でも、確認対象箇所を確実に高精細に撮影することができる。
【0024】
撮影架台14は、ジンバルカメラ12を移動可能に支持するための塔状の架台本体14Aと、架台本体14Aの脚部に設けられた車輪14Bとを備える支持手段である。架台本体14Aの上端面にジンバルカメラ12が載置される。撮影架台14は、車輪14Bによって床面Fを任意の方向に走行可能である。撮影架台14を用いることで、床面Fを走行しながらジンバルカメラ12で確認対象箇所を撮影したり、走行を停止した状態で撮影することができる。また、撮影架台14は、架台本体14Aの高さを自在に調整可能である。これにより、高所の撮影時でも、従来のように作業用足場を用いる必要はない。
【0025】
確認端末16は、画面を有するタブレット型の携帯端末で構成することができる。現場内の事務所R3の確認端末16については、据え置き型の情報端末で構成してもよい。確認端末16は、例えばWi-Fi(登録商標)などの無線通信または有線通信のネットワークNを介してジンバルカメラ12と接続しており、ジンバルカメラ12で撮影した映像をリアルタイムで受信できるようになっている。受信した映像は、確認端末16に搭載されたメモリに記録されるとともに、作業員Pからの要求に応じて確認端末16の画面上に表示することができる。この確認端末16は、除去確認支援装置20、帳票作成装置30を搭載しており、画像取得箇所と紐づけて映像を出力する出力手段としても機能する。作業員Pは手元の確認端末16の画面を見ることで、ジンバルカメラ12で撮影した映像などをリアルタイムに把握することができる。これにより、確認端末16を持つ作業員Pは、手元の画面で除去状況を確認することができる。なお、帳票作成装置30は、撮影後に使用することから、隔離養生内R1、隔離養生外R2の確認端末16に搭載せずに、事務所R3の確認端末16のみに搭載するようにしてもよい。
【0026】
除去確認支援装置20は、除去状況の確認を支援するための装置である。この除去確認支援装置20は、撮影位置記録部22、AI検査部24、ライブ配信部26を有する。撮影位置記録部22の一部と、AI検査部24、ライブ配信部26は、拡張機能として確認端末16に搭載される。
【0027】
撮影位置記録部22は、周知の自己位置特定装置の活用により、現場を表す図面上におけるジンバルカメラ12の撮影位置(画像取得箇所)を記録するものである。この撮影位置記録部22は、図2(2)および図3に示すように、図面D上のどの位置でジンバルカメラ12が撮影しているかを追跡し、確認端末16に記録する。自己位置特定装置は、例えば、GPS、慣性計測装置、ビーコン等を用いて構成することができる。自己位置特定装置をジンバルカメラ12や撮影架台14に設置することで、図面D上の撮影位置を特定することができる。特定された撮影位置は、確認端末16に記録される。図3の例では、平面図(図面D)上に示された複数のアイコンQが記録された撮影位置であり、矢印は追跡して記録された撮影順である。確認端末16の画面では、図3(2)のように表示される。画面上で各アイコンQを選択すると、その撮影位置における映像を再生することができる。なお、撮影位置の記録はこの方法に限るものではなく、撮影時において、確認端末16の画面に表示された図面D上の位置をタップ等で指定することで、現在地(撮影位置)を記録する方法を採用してもよい。
【0028】
AI検査部24は、ジンバルカメラ12で取得した画像に基づいて、除去対象箇所における石綿の除去状況を検査する。具体的には、このAI検査部24は、ジンバルカメラ12で撮影した映像(画像データ)に対して、AI(Artificial Intelligence)による画像認識を適用することによってAI画像分析を行い、確認対象箇所の除去状況を推定する。そして、推定された除去状況が適正か否かを判定し、除去状況を検査する。除去状況が適正か否かの判定基準は予め設定することが好ましい。AI検査部24による検査は、リアルタイムで行う。リアルタイムのAI画像分析の結果、除去状況が適正でない(除去不良)と判定した場合には、石綿取り残し箇所がある旨の警告情報を除去不良箇所(確認対象箇所)のアイコンQと紐づけて、確認端末16の画面に表示する。このAI検査部24は、目視のみの確認での見落とし防止や完全自動検査用として活用することができる。
【0029】
ライブ配信部26は、ジンバルカメラ12で撮影した映像を確認対象箇所から離れた場所に送信する送信手段として機能する。具体的には、このライブ配信部26は、ジンバルカメラ12からネットワークN経由で隔離養生内R1、隔離養生外R2、現場内の事務所R3や図外の遠隔の管理室などに置かれた確認端末16を含む端末にリアルタイムに配信する。配信された映像は、各端末で閲覧可能である。このため、隔離養生内R1はもちろんのこと、隔離養生外R2、現場内の事務所R3や遠隔の管理室からでもリアルタイムに除去状況を確認可能である。これにより、除去作業の遠隔監視や作業記録をリアルタイムに行うことができる。また、現地から離れた場所で除去状況を目視確認することで、除去不良箇所を発見した場合の対応方法を判断することもできる。例えば、除去作業を再度やり直すといった判断や、現場で再確認するといった判断を行うことができる。
【0030】
帳票作成装置30は、膨大な撮影映像から効率的に帳票を作成して出力する帳票作成手段であり、主に撮影後に使用される。帳票作成装置30は、カメラ映像確認部32、進捗管理部34、AI検査結果確認部36、帳票化画像選択部38、帳票作成部40を有する。帳票作成装置30は、拡張機能として確認端末16に搭載される。なお、上述したように、帳票作成装置30は、隔離養生内R1、隔離養生外R2の確認端末16に搭載せずに、事務所R3の確認端末16のみに搭載するようにしてもよい。
【0031】
カメラ映像確認部32は、各撮影位置での除去状況の映像を確認するためのものである。図2(2)に示すように、確認端末16の画面上でアイコンQを選択することで、その撮影位置の動画が再生される。作業員Pは、どこで撮影した映像かを視覚的に認識できるため、石綿取り残し箇所(再作業場所)を把握しやすい。記録漏れの防止対策(未撮影箇所の特定)として活用可能である。
【0032】
進捗管理部34は、作業進捗を管理するためのものである。図2(2)に示すように、確認端末16の画面に表示された図面D上のアイコンQに対して、「施工準備/施工中/施工済/撮影済/確認済/要確認」等の作業進捗に関するステータスを、色や記号の違いとして付与する。進捗状況の確認や要確認箇所の情報共有用として活用可能である。
【0033】
AI検査結果確認部36は、AI検査部24の検査結果を確認するためのものである。例えば、AI検査部24で除去不良が発見された場所を、確認端末16の画面に表示された図面D上に表示する。目視のみの確認での見落とし防止や完全自動検査用として使用することができる。
【0034】
帳票化画像選択部38は、帳票作成に用いる画像を選択するためのものである。図2(2)に示すように、確認端末16の画面に表示された図面D上の各アイコンQの動画からキャプチャ画像を生成して、数枚の画像を抽出して表示する。抽出した画像から帳票化する画像を選択する。
【0035】
帳票作成部40は、必要事項を入力した現場情報と、帳票化画像選択部38で選択した画像を用いて、完了報告用の帳票を作成し、出力するものである。図2(3)に、作成した帳票Tの例を示す。このようにすることで、帳票化作業の効率化を図ることができる。なお、AI検査部24で除去不良が発見された除去不良箇所は、除去作業をやり直した後、再度撮影をして画像を更新すればよい。
【0036】
本実施の形態によれば、石綿などの被除去物の除去状況の確認作業の効率化を図ることができ、工期を短縮することができる。また、膨大な画像の記録・帳票化作業の効率化を図ることができるため、作業員の作業負荷を軽減することができる。石綿取り残し箇所などの見落としが減り、施工進捗管理の効率化を図ることができる。高所や狭隘部はもちろんのこと、高所や狭隘部以外の場所でも使用することができる。
【0037】
また、隔離養生内R1は空調ができない過酷な環境であるが、本実施の形態によれば、短時間での確認と撮影が可能であり、高所に作業員が上がって撮影する作業は不要であることから、従来よりも作業負担が軽減し、作業安全性が向上する。
【0038】
(除去状況確認方法)
次に、本発明に係る除去状況確認方法の実施の形態について説明する。
図1図3に示すように、本発明の実施の形態に係る除去状況確認方法は、上記の除去状況確認システム100の構成を用いて、鉄骨梁2に取り付いた石綿を含む耐火被覆材3の除去状況を確認するものである。
【0039】
まず、耐火被覆材3の除去作業を行った後、床面Fに沿って撮影架台14を走行させて、確認対象箇所の近傍にジンバルカメラ12を配置する。続いて、ジンバルカメラ12で確認対象箇所を撮影して映像を取得する。この際、確認対象箇所を確認しながら動画撮影をすることが好ましい。取得した画像はネットワークNを介して確認端末16に送信され、確認端末16の画面上で確認可能となる。確認端末16に搭載された除去確認支援装置20により除去状況が検査され、検査の結果、除去不良箇所が発見された場合には警告情報が画面に出力される。除去不良箇所が発見された場合には、現地の場所がわかりやすくなるように、目印のシールなどを近傍に貼り付けておいてもよい。撮影後、確認端末16に搭載された帳票作成装置30で帳票Tを作成して出力する。
【0040】
本実施の形態によれば、石綿などの被除去物の除去状況の確認作業の効率化を図ることができ、工期を短縮することができる。また、膨大な画像の記録・帳票化作業の効率化を図ることができるため、作業員の作業負荷を軽減することができる。石綿取り残し箇所などの見落としが減り、施工進捗管理の効率化を図ることができる。高所や狭隘部はもちろんのこと、高所や狭隘部以外の場所でも使用することができる。
【0041】
また、隔離養生内R1は空調ができない過酷な環境であるが、本実施の形態によれば、短時間での確認と撮影が可能であり、高所に作業員が上がって撮影する作業は不要であることから、従来よりも作業負担が軽減し、作業安全性が向上する。
【0042】
以上説明したように、本発明に係る除去状況確認システムによれば、部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するためのシステムであって、高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置を有し、前記除去確認装置は、前記被除去物の除去対象箇所を撮影して画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段を移動可能に支持する支持手段と、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力する出力手段とを備えるので、石綿などの被除去物の除去状況の確認作業と記録作業の効率化を図ることができる。
【0043】
また、本発明に係る他の除去状況確認システムによれば、取得した画像に基づいて帳票を作成して出力する帳票作成手段をさらに備えるので、帳票化作業の効率化を図ることができる。
【0044】
また、本発明に係る他の除去状況確認システムによれば、取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信する送信手段をさらに備え、送信された画像は前記端末で閲覧可能であるので、隔離養生の外側や遠隔の管理室から除去状況をリアルタイムに確認することができる。
【0045】
また、本発明に係る除去状況確認方法によれば、部材に取り付いた被除去物を除去する作業において前記被除去物の除去状況を確認するための方法であって、高所かつ狭隘部の前記部材に取り付いた前記被除去物の除去状況を確認する除去確認装置に備わる前記画像取得手段を前記被除去物の除去対象箇所の近傍に配置するステップと、前記画像取得手段で除去対象箇所を撮影して画像を取得するステップと、前記画像取得手段で取得した画像を画像取得箇所と紐づけて出力するステップとを有するので、石綿などの被除去物の除去状況の確認作業と記録作業の効率化を図ることができる。
【0046】
また、本発明に係る他の除去状況確認方法によれば、取得した画像に基づいて帳票を作成して出力するステップをさらに有するので、帳票化作業の効率化を図ることができる。
【0047】
また、本発明に係る他の除去状況確認方法によれば、取得した画像を、前記被除去物の除去対象箇所から離れた場所の端末に送信するステップをさらに有し、送信された画像は前記端末で閲覧可能であるので、隔離養生の外側や遠隔の管理室から除去状況をリアルタイムに確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明に係る除去状況確認システムおよび除去状況確認方法は、建物の改修・解体工事に伴う石綿などの建材の除去作業に有用であり、特に、除去状況の確認作業と記録作業の効率化を図るのに適している。
【符号の説明】
【0049】
1 外壁パネル
2 鉄骨梁(部材)
3 耐火被覆材(被除去物)
10 除去確認装置
12 ジンバルカメラ(画像取得手段)
14 撮影架台(支持手段)
14A 架台本体
14B 車輪
16 確認端末(端末、出力手段)
20 除去確認支援装置
22 撮影位置記録部
24 AI検査部
26 ライブ配信部(送信手段)
30 帳票作成装置(帳票作成手段)
32 カメラ映像確認部
34 進捗管理部
36 AI検査結果確認部
38 帳票化画像選択部
40 帳票作成部
100 除去状況確認システム
D 図面
F 床面
N ネットワーク
P 作業員
R1 隔離養生内
R2 隔離養生外
R3 現場内の事務所
Q アイコン
T 帳票
図1
図2
図3
図4
図5