(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142768
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】発電ユニット
(51)【国際特許分類】
H02S 10/10 20140101AFI20230928BHJP
【FI】
H02S10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049844
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100195659
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】長田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】奥山 勝
(72)【発明者】
【氏名】大森 俊英
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151BA05
5F151JA09
5F151JA13
5F251BA05
5F251JA09
5F251JA13
(57)【要約】
【課題】雨水を用いた発電を行う発電ユニットの小型化が可能な技術を提供する。
【解決手段】発電ユニットは、発電ユニットの外部から水を受け入れる開口を有する水受入部と、水受入部から供給された水を滴下する第1滴下ノズルを有する水滴下部と、滴下された水滴を表面に滑らすことにより発電する第1水滴発電モジュールを有する水滴発電部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電ユニットであって、
前記発電ユニットの外部から水を受け入れる開口を有する水受入部と、
前記水受入部から供給された水を滴下する第1滴下ノズルを有する水滴下部と、
滴下された水滴を表面に滑らすことにより発電する第1水滴発電モジュールを有する水滴発電部と、を備える、発電ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の発電ユニットであって、さらに、
太陽光により発電する太陽光発電モジュールを備える、発電ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の発電ユニットであって、
前記第1水滴発電モジュールと前記太陽光発電モジュールとは、水平方向において少なくとも一部が重なるように積層されている、発電ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発電ユニットであって、
前記水受入部と前記水滴下部とは、前記開口から前記第1滴下ノズルに到るまでの流路を画定している内壁を有し、
前記内壁の表面は、親水性を有している、発電ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発電ユニットであって、
前記水滴下部は、さらに、前記水受入部から供給された水を前記第1滴下ノズルに送る流路のうち前記第1滴下ノズルよりも上流側において、鉛直方向の下側に窪んだ窪み部を有する、発電ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発電ユニットであって、
前記第1滴下ノズルの内部流路を画定しているノズル内壁のうち少なくとも鉛直方向の下側端部の表面は、撥水性を有している、発電ユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発電ユニットであって、
前記第1滴下ノズルの内部流路内には、線材が配置されている、発電ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発電ユニットであって、
前記第1滴下ノズルには、前記第1滴下ノズルの内部流路を開閉する開閉機構が設けられている、発電ユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の発電ユニットであって、さらに、
前記水滴発電部より鉛直方向の下側に配置され、滴下された水滴を表面に滑らすことにより発電する第2水滴発電モジュールを有する副水滴発電部を備え、
前記水滴発電部は、さらに、前記第1水滴発電モジュールの表面を滑った水を前記水滴発電部の外部に排水する排水ノズルを有し、
前記副水滴発電部は、
前記排水ノズルに接続し、前記排水ノズルから排水された水を前記第2水滴発電モジュールに滴下する第2滴下ノズルと、
前記第2水滴発電モジュールの表面を滑った水を前記副水滴発電部の外部に滴下する第3滴下ノズルと、を有し、
前記水滴下部に隣り合って配置された前記水滴発電部よりも鉛直方向の下側において、前記水滴発電部と前記副水滴発電部とは、鉛直方向に沿って交互に積層され、
鉛直方向の下側から前記副水滴発電部に隣り合って配置された前記水滴発電部は、前記第3滴下ノズルから滴下される水滴を用いて発電する、発電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーである太陽光を用いた太陽光発電の普及が進んでいる。例えば、特許文献1には、路面に配置された太陽光発電パネルが発電した電力で、路面情報装置、照明装置、電光表示装置を動作させる交通支援システムが開示されている。特許文献2には、路面に配置された路面発電ユニット中の太陽電池チップが発電した電力で、景観照明、交通表示器、充電ステーション、及び通信モニタ設備を動作させる路面発電ユニットが開示されている。しかし、太陽光発電による発電量は、日射量に応じて変動し、特に雨天時には発電量が著しく低下する。そこで、雨天時における太陽光発電の発電量低下を補填する技術として、特許文献3では、太陽光発電システムと雨水を用いて発電する水力発電システムとを備えるハイブリッド発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-64153号公報
【特許文献2】特開2019-36711号公報
【特許文献3】特開2021-166422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3で用いられる従来の水力発電システムでは、雨水を集める集水器や流路、集めた雨水を貯水する貯水槽およびタービン等の設備を要することから、発電ユニットであるハイブリッド発電システムのサイズ増大につながる。このようなサイズの増大により、発電ユニットを設置する場所の自由度が損なわれていた。そのため、雨水を用いた発電を行う発電ユニットの小型化が要望されていた。なお、特許文献1,2に開示された技術では、雨水を用いた発電については、何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、雨水を用いた発電を行う発電ユニットの小型化が可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、発電ユニットが提供される。この発電ユニットは、前記発電ユニットの外部から水を受け入れる開口を有する水受入部と、前記水受入部から供給された水を滴下する第1滴下ノズルを有する水滴下部と、滴下された水滴を表面に滑らすことにより発電する第1水滴発電モジュールを有する水滴発電部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、発電ユニットの外部から受け入れた雨水等の水を滴下して、水滴発電モジュールにより発電が行われる。雨水を用いて従来の水力発電を行う発電ユニットの場合、雨水を集める集水器や流路、集めた雨水を貯水する貯水槽およびタービン等の設備を要することから、発電ユニットのサイズ増大につながる。一方、本構成によれば、水力発電に必要とされる設備のサイズと比べて、水滴発電に必要とされる設備のサイズは小さい傾向にあることから、雨水を用いた発電を行う発電ユニットの小型化を実現することが
できる。したがって、設置する場所の自由度が高い発電ユニットを提供することができる。また、この構成によれば、水力発電を行う発電ユニットに比べて、発電の際にタービン等による機械的駆動を介さないことから、発電ユニット設置後のメンテナンスや部品交換等に要するコストを削減できる。
【0009】
(2)上記形態の発電ユニットにおいて、さらに、太陽光により発電する太陽光発電モジュールを備えていてもよい。
この構成によれば、発電ユニットは、水滴発電モジュールと太陽光発電モジュールとを備える。このため、晴天時には太陽光を用いて発電を行うとともに、雨天時には雨水を用いて発電することができる。したがって、雨天時における太陽光発電モジュールによる発電の出力低下を、水滴発電モジュールによる発電で補填することができる。また、この構成によれば、常時の電力供給が求められる装置に対して発電ユニットが電力供給を行うことが想定されている場合、雨天時を考慮して発電ユニットに備えるバッテリーの仕様を緩和することができる。すなわち、雨天時において雨水を用いた水滴発電が可能であるため、晴天時に太陽光を用いて発電した電力を雨天時の対策のためにバッテリーに蓄電しておく必要性が低下することから、バッテリー容量の少量化やバッテリーレス化を図ることができる。その結果、発電ユニット設置後のバッテリーのメンテナンスや交換等に要するコストを削減できる。
【0010】
(3)上記形態の発電ユニットにおいて、前記第1水滴発電モジュールと前記太陽光発電モジュールとは、水平方向において少なくとも一部が重なるように積層されていてもよい。
この構成によれば、水平方向側における発電ユニットのサイズ増大を抑制できることから、設置する場所の自由度を更に高めた発電ユニットを提供することができる。
【0011】
(4)上記形態の発電ユニットにおいて、前記水受入部と前記水滴下部とは、前記開口から前記第1滴下ノズルに到るまでの流路を画定している内壁を有し、前記内壁の表面は、親水性を有していてもよい。
この構成によれば、開口から第1滴下ノズルに到るまでの流路内を流れる水を、内壁に沿って膜状に広がりやすくすることができる。したがって、各第1滴下ノズルへ均等に水が分配、供給され、ノズルごとの滴下むらを抑制できる。
【0012】
(5)上記形態の発電ユニットにおいて、前記水滴下部は、さらに、前記水受入部から供給された水を前記第1滴下ノズルに送る流路のうち前記第1滴下ノズルよりも上流側において、鉛直方向の下側に窪んだ窪み部を有していてもよい。
この構成によれば、水受入部から水滴下部に供給された水は、窪み部に一旦溜められる。その後の水の供給により窪み部の上端に水位が到達すると、窪み部より下流側に配置された第1滴下ノズルへの水の供給が開始される。したがって、過剰な量の水が一度に第1滴下ノズルへ供給されることを抑制できる。
【0013】
(6)上記形態の発電ユニットにおいて、前記第1滴下ノズルの内部流路を画定しているノズル内壁のうち少なくとも鉛直方向の下側端部の表面は、撥水性を有していてもよい。
この構成によれば、ノズル内壁と第1滴下ノズルから流出する直前の水との接触角は大きくなることから、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上することができる。
【0014】
(7)上記形態の発電ユニットにおいて、前記第1滴下ノズルの内部流路内には、線材が配置されていてもよい。
この構成によれば、水を線材に伝わせたのち線材の下端からの滴下を誘導することから、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上することができる。
【0015】
(8)上記形態の発電ユニットにおいて、前記第1滴下ノズルには、前記第1滴下ノズルの内部流路を開閉する開閉機構が設けられていてもよい。
この構成によれば、開閉機構の開閉によって第1滴下ノズルから間欠的に水を流出させることができるため、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上することができる。
【0016】
(9)上記形態の発電ユニットにおいて、さらに、前記水滴発電部より鉛直方向の下側に配置され、滴下された水滴を表面に滑らすことにより発電する第2水滴発電モジュールを有する副水滴発電部を備え、前記水滴発電部は、さらに、前記第1水滴発電モジュールの表面を滑った水を前記水滴発電部の外部に排水する排水ノズルを有し、前記副水滴発電部は、前記排水ノズルに接続し、前記排水ノズルから排水された水を前記第2水滴発電モジュールに滴下する第2滴下ノズルと、前記第2水滴発電モジュールの表面を滑った水を前記副水滴発電部の外部に滴下する第3滴下ノズルと、を有し、前記水滴下部に隣り合って配置された前記水滴発電部よりも鉛直方向の下側において、前記水滴発電部と前記副水滴発電部とは、鉛直方向に沿って交互に積層され、鉛直方向の下側から前記副水滴発電部に隣り合って配置された前記水滴発電部は、前記第3滴下ノズルから滴下される水滴を用いて発電してもよい。
この構成によれば、複数の水滴発電部および複数の副水滴発電部によって発電を行うことができる。また、これら複数の水滴発電部および複数の副水滴発電部は鉛直方向に沿って積層されていることから、水平方向側における発電ユニットのサイズを増大させることなく、積層する枚数に応じて発電量を増加させることができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、上記形態の発電ユニットを備えた発電システム、発電ユニットの製造方法、発電システムの製造方法、ならびに、その製造方法を実施する製造装置などの形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の発電ユニットの外観を示した斜視図である。
【
図2】路面に配置された発電ユニットを例示した説明図である。
【
図3】発電ユニットの構成を表す分解斜視図である。
【
図5】雨天時の発電ユニットによる水滴発電を説明する説明図である。
【
図6】第2実施形態の発電ユニットの断面図である。
【
図7】第3実施形態の発電ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態としての発電ユニット1の外観を示した斜視図である。
図2は、路面に配置された発電ユニット1を例示した説明図である。
図1,2には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸は発電ユニット1の幅方向に対応し、Y軸は発電ユニット1の奥行方向に対応し、Z軸は発電ユニット1の高さ方向に対応する。本実施形態の説明では、Z軸方向は鉛直方向に相当する。このXYZ軸は、
図3以降の各図においても共通する。発電ユニット1は、太陽光発電と水滴発電とを併用して発電を行う発電ユニットである。発電ユニット1における水滴発電では、+Z軸方向側から-Z軸方向側に向けて発電ユニット1に落下する雨水を利用する。発電ユニット1において発電された電力は、例えば、街灯や電光表示装置に供給される。
図2に示すように、発電ユニット1は、例えば、路面を構成するブロックBLと交互に配置されて用いられる。
【0020】
図3は、発電ユニット1の構成を表す分解斜視図である。
図4は、
図1に示すD4―D4断面における発電ユニット1の断面図である。
図4は、発電ユニット1のYZ断面に相
当する。また、
図3以降の各図には、発電ユニット1の中心を通る軸線O(破線)が示されている。以降の説明において、XY平面において軸線Oから離れる側を外側と呼び、軸線Oに近付く側を内側と呼ぶ。
図4に示された発電ユニット1のYZ断面は、軸線Oを通るYZ断面である。発電ユニット1は、水受入部10と、水滴下部20と、水滴発電部30と、を備える。発電ユニット1は、+Z軸方向側から-Z軸方向側に向けて、水受入部10、水滴下部20、水滴発電部30、の順に積層されて構成されている。
【0021】
水受入部10は、発電ユニット1の外部から水を受け入れる部分である。
図3に示すように、本実施形態では、水受入部10の概形は、+Z軸方向側から見て、中央に窪み部分11を有する直方体形状である。水受入部10は、太陽光発電モジュール12と、端子ボックス13と、内枠14と、外枠15と、を備える。
【0022】
太陽光発電モジュール12は、窪み部分11の底面(-Z軸方向側の面)を構成している。太陽光発電モジュール12は、太陽光により発電する板状の太陽光発電パネルである。太陽光発電モジュール12は、後述する第1水滴発電モジュール32よりも+Z軸方向側に配置されている。端子ボックス13は、
図4に示すように、太陽光発電モジュール12のうち-Z軸方向側を向いた面上に設けられ、太陽光発電モジュール12が発電した電力を、外部配線(不図示)を介して街灯や電光表示装置等の外部機器へ出力する。
【0023】
内枠14は、太陽光発電モジュール12の四方を取り囲み、板状である太陽光発電モジュール12の四方の端部を把持する枠状の部材である。四方とは、±X軸方向側および±Y軸方向側のことである。
図4に示すように、内枠14は、XY平面に沿って伸びた面部分14a、Z軸方向に沿って伸びた面部分14bと、XY平面に沿って伸びた面部分14cと、から構成されている。面部分14bは、面部分14aの外側端部と面部分14cの外側端部とを接続している。面部分14a、面部分14cは、それぞれ太陽光発電モジュール12のうち+Z軸方向側および-Z軸方向側を向いた面に接している。面部分14bは、太陽光発電モジュール12のうち外側を向いた面に接している。
【0024】
外枠15は、四方且つ+Z軸方向側から内枠14を覆う枠状の部材である。
図4に示すように、外枠15は、XY平面に沿って伸びた面部分15aと、Z軸方向に沿って伸びた面部分15bと、から構成されている。面部分15aの外側端部は、面部分15bの+Z軸方向側の端部と接続している。
【0025】
図4に示すように、内枠14と外枠15との間には、流路F1が形成されている。詳細には、流路F1は、内枠14を構成する面部分14aおよび面部分14bと、外枠15を構成する面部分15aおよび面部分15bと、によって画定されている。また、水受入部10は、流路F1の内側端部に形成された開口16を有する。
図3に示すように、開口16は、内側を向いた開口であり、窪み部分11の側面(四方)全周にわたって形成されている。水受入部10は、開口16を介して、発電ユニット1の外部から水を受け入れる。
【0026】
水滴下部20は、水滴発電部30に水を滴下する部分である。
図3に示すように、本実施形態では、水滴下部20の概形は、+Z軸方向側から見て、枠形状の面部分25aと枠形状の面部分24aとの間が窪んでいるとともに、矩形の面部分24aの内側がZ軸方向に貫通している直方体形状である。水滴下部20は、内枠24と、外枠25と、を備える。
【0027】
内枠24は、軸線Oを取り囲む枠状の部材である。内枠24は、
図4に示すように、XY平面に沿って伸びた面部分24aと、Z軸方向に沿って伸びた面部分24bと、XY平面に沿って伸びた面部分24cと、Z軸方向に沿って伸びたノズル形成面部分24dと、から構成されている。面部分24aは、面部分14cに取り付けられている。面部分24
aの内側端部は、面部分24bの+Z軸方向側の端部に接続している。
図4に示すように、後述する第1滴下ノズル27が存在するYZ断面においては、面部分24bの-Z軸方向側の端部は、面部分24cの内側端部に接続している。一方、第1滴下ノズル27が存在しないYZ断面(不図示)においては、面部分24bの-Z軸方向側の端部は、後述する面部分25dの内側端部に接続している。面部分24cの外側端部は、ノズル形成面部分24dの+Z軸方向側の端部に接続している。
【0028】
外枠25は、四方且つ-Z軸方向側から内枠24を覆う枠状の部材である。外枠25は、
図4に示すように、Z軸方向に沿って伸びた面部分25aと、XY平面に沿って伸びた面部分25bと、Z軸方向に沿って伸びた面部分25cと、XY平面に沿って伸びた面部分25dと、Z軸方向に沿って伸びたノズル形成面部分25eと、から構成されている。面部分25aの+Z軸方向側の端部は、面部分15bの-Z軸方向側の端部に取り付けられている。面部分25aの-Z軸方向側の端部は、面部分25bの外側端部と接続している。面部分25bの内側端部は、面部分25cの-Z軸方向側の端部と接続している。面部分25cの+Z軸方向側の端部は、面部分25dの外側端部と接続している。
図4に示すように、第1滴下ノズル27が存在するYZ断面においては、面部分25dの内側端部は、ノズル形成面部分25eの+Z軸方向側の端部に接続している。一方、第1滴下ノズル27が存在しないYZ断面(不図示)においては、面部分25dの内側端部は、上述したように、面部分24bの-Z軸方向側の端部に接続している。詳細には、この断面においては、面部分25dの内側端部は、面部分24bの-Z軸方向側の端部の位置まで伸びて、面部分24bの-Z軸方向側の端部に接続している。なお、
図3に示すように、面部分25aのうち四方の各々の面には、排水穴25hが2つずつ形成されている。
【0029】
図4に示すように、内枠24と外枠25との間には、流路F2が形成されている。詳細には、流路F2は、内枠24を構成する面部分24a~24cや、外枠25を構成する面部分25aの+Z軸方向側寄りの一部および面部分25dによって画定されている。流路F2の上流側端部は、流路F1の下流側端部と接続している。
【0030】
また、水滴下部20は、第1滴下ノズル27を有する。第1滴下ノズル27は、流路F2の下流側において、ノズル形成面部分24dとノズル形成面部分25eとの間に形成されている。すなわち、流路F2は、流路F1を介して水受入部10から供給された水を第1滴下ノズル27に送る流路である。第1滴下ノズル27は、水受入部10(流路F1)から流路F2を介して供給された水を-Z軸方向に向けて滴下する。なお、本実施形態において、発電ユニット1のYZ断面には、上述したように、面部分24bの-Z軸方向側の端部に面部分24cの内側端部が接続しているYZ断面(
図4)と、面部分24bの-Z軸方向側の端部に面部分25dの内側端部が接続しているYZ断面(不図示)と、が含まれており、発電ユニット1のXZ断面についても同様である。したがって、発電ユニット1には、軸線Oを囲むように複数の第1滴下ノズル27が点在して形成されている。
【0031】
上述したように、水受入部10と水滴下部20とは、開口16から第1滴下ノズル27に到るまでの流路F1および流路F2を画定している内壁として、面部分14a,14bおよび面部分15a,15bや、面部分24a~24cおよび面部分25a,25dを有する。本実施形態において、これら内壁の表面は、親水処理が施されていることから、親水性を有している。また、第1滴下ノズル27の内部流路を画定しているノズル内壁(ノズル形成面部分25e、ノズル形成面部分24d)のうち-Z軸方向側の端部の表面は、撥水処理が施されていることから、撥水性を有している。
【0032】
また、本実施形態では、水滴下部20は、水受入部10から供給された水を第1滴下ノズル27に送る流路F2のうち第1滴下ノズル27よりも上流側において、-Z軸方向側に窪んだ窪み部26を有する。窪み部26は、外枠25を構成する面部分25aの-Z軸
方向側寄りの一部、面部分25bおよび面部分25cによって形成されている。
【0033】
水滴発電部30は、水滴下部20から滴下された水滴を用いて発電を行う部分である。
図3に示すように、本実施形態では、水滴発電部30の概形は、+Z軸方向側から見て、上枠34に囲まれた部分が中央に向かうほど-Z軸方向側に窪んでいる直方体形状である。水滴発電部30は、第1水滴発電モジュール32と、上枠34と、下枠35と、を備える。
【0034】
第1水滴発電モジュール32は、
図4に示すように、プラスチックフィルム上に1層の二硫化モリブデンが成膜された成膜パネル32pの両端部上に、電極32a、電極32bが配置されて構成されている。成膜パネル32pは、XY平面に沿って伸びた面部分32cと、軸線Oに向かうほど-Z軸方向に窪んだ斜面部分32dと、から構成されている。なお、斜面部分32dのうち内側端部はXY平面に沿って伸びており、後述する突出部35pの根元部分に接続している。面部分32cの内側端部は、斜面部分32dの外側端部と接続している。第1水滴発電モジュール32は、第1滴下ノズル27から滴下された水滴を斜面部分32dの表面に滑らすことにより発電する。詳細には、水滴が成膜パネル32pに衝突する際に帯電されたのち斜面部分32dを流下することによって、電極32a、電極32b間で発電する。
【0035】
第1水滴発電モジュール32と太陽光発電モジュール12とは、水平方向(XY平面に沿った方向)において少なくとも一部が重なるように積層されている。本実施形態では、水平方向において、第1水滴発電モジュール32の内側に太陽光発電モジュール12全体が含まれるように、第1水滴発電モジュール32と太陽光発電モジュール12とが積層されている。換言すれば、発電ユニット1を+Z軸方向側から透過視したときに、第1水滴発電モジュール32が太陽光発電モジュール12全体を内包するように配置されている。
【0036】
上枠34は、成膜パネル32pの四方を取り囲み(
図3参照)、
図4に示すように、成膜パネル32pの面部分32cを把持する枠状の部材である。下枠35は、-Z軸方向側から上枠34に取り付けられ、成膜パネル32pの斜面部分32dの内側端部が載置される部材である。下枠35は、
図4に示すように、XY平面に沿って伸びた底面部分35aと、Z軸方向に沿って伸びた面部分35bと、XY平面に沿って伸びた面部分35cと、から構成されている。底面部分35aの外側端部は、面部分35bの-Z軸方向側の端部と接続している。面部分35bの+Z軸方向側の端部は、面部分35cの内側端部と接続している。面部分35cは、-Z軸方向側から上枠34に取り付けられている。また、面部分35bには、複数の排水穴35hが形成されている。
図4には、+Y軸方向側および-Y軸方向側の各々に形成された排水穴35hが図示されているが、同様に、+X軸方向側および-X軸方向側の各々にも排水穴35hが形成されている。すなわち、排水穴35hは、面部分35bのうち四方の各々の面に形成されている。
【0037】
図4に示すように、底面部分35aのうち中央部分には、+Z軸方向側に突出した突出部35pが形成されている。電極32aは、面部分32c上に配置されている。一方、電極32bは、突出部35pの周囲の斜面部分32d上に配置されている(
図3参照)。電極32aと電極32bとは、図示しない配線で接続されている。排水スリット36は、X軸方向およびY軸方向に沿って電極32bを切り込む(
図3参照)ように形成された溝である。排水スリット36が形成された位置には斜面部分32dが配置されていないことから、排水スリット36は、斜面部分32dを貫通している。
【0038】
図5は、雨天時の発電ユニット1による水滴発電を説明する説明図である。
図5において、雨滴RDを含めた水は、ドット状のハッチングで示されている。雨天により窪み部分11に対する雨滴RDの落下や、面部分15aを伝って雨水が窪み部分11に流れ込むこ
とにより、窪み部分11に水が溜まっていく。そして、面部分14aのうち+Z軸方向側を向いた面より窪み部分11における水位が高くなると、窪み部分11に溜まっていた水は、開口16から流路F1および流路F2の一部を通って窪み部26に流下し、窪み部26に一旦溜められる。このとき、流路F1および流路F2の内壁の表面は親水性を有していることから、開口16から進入した水は、内壁に沿って膜状に広がりながら、窪み部26に流下する。
【0039】
開口16からの水の進入が継続して、面部分25dのうち+Z軸方向側を向いた面より窪み部26における水位が高くなると、水が窪み部26から面部分25d上に流出して、第1滴下ノズル27に供給される。このときも、流路F2の内壁の一部である面部分25dの表面は親水性を有していることから、面部分25d上を流れる水は、膜状に広がりながら、第1滴下ノズル27に供給される。そして、第1滴下ノズル27に供給された水は、第1滴下ノズル27から斜面部分32dに向けて滴下される。このとき、第1滴下ノズル27の内部流路を画定しているノズル内壁のうち-Z軸方向側の端部の表面は撥水性を有していることから、水の間欠的な滴下が促進される。なお、第1滴下ノズル27から滴下される水量よりも第1滴下ノズル27に供給される水量の方が多い状態が継続することにより、窪み部26から水が溢れて水位が上昇し続けた場合、余剰の水は、破線矢印で示すように、排水穴25hから発電ユニット1の外部に排水される。第1滴下ノズル27から滴下された水は、斜面部分32dの表面に滑ることにより、水滴発電に用いられる。斜面部分32dの表面を滑った水は、排水スリット36を介して底面部分35aに到ったのち、排水穴35hから発電ユニット1の外部に排水される。
図5では、+Y軸方向側および-Y軸方向側の各々に形成された排水穴35hからの外部への排水が図示されているが、+X軸方向側および-X軸方向側の各々に形成された排水穴35hからの外部への排水も同様に行われる。
【0040】
以上説明したように、第1実施形態の発電ユニット1によれば、発電ユニット1の外部から受け入れた雨水RD等の水を滴下して、第1水滴発電モジュール32により発電が行われる。雨水を用いて従来の水力発電を行う発電ユニットの場合、雨水を集める集水器や流路、集めた雨水を貯水する貯水槽およびタービン等の設備を要することから、発電ユニットのサイズ増大につながる。一方、第1実施形態の発電ユニット1によれば、水力発電に必要とされる設備のサイズと比べて、水滴発電に必要とされる設備のサイズは小さい傾向にあることから、雨水を用いた発電を行う発電ユニット1の小型化を実現することができる。したがって、設置する場所の自由度が高い発電ユニット1を提供することができる。また、第1実施形態の発電ユニット1によれば、水力発電を行う発電ユニットに比べて、発電の際にタービン等による機械的駆動を介さないことから、発電ユニット1設置後のメンテナンスや部品交換等に要するコストを削減できる。
【0041】
また、第1実施形態の発電ユニット1は、第1水滴発電モジュール32と太陽光発電モジュール12とを備える。このため、晴天時には太陽光を用いて発電を行うとともに、雨天時には雨水を用いて発電することができる。したがって、雨天時における太陽光発電モジュール12による発電の出力低下を、第1水滴発電モジュール32による発電で補填することができる。また、第1実施形態の発電ユニット1によれば、常時の電力供給が求められる装置に対して発電ユニット1が電力供給を行うことが想定されている場合、雨天時を考慮して発電ユニット1に備えるバッテリーの仕様を緩和することができる。すなわち、雨天時において雨水を用いた水滴発電が可能であるため、晴天時に太陽光を用いて発電した電力を雨天時の対策のためにバッテリーに蓄電しておく必要性が低下することから、バッテリー容量の少量化やバッテリーレス化を図ることができる。その結果、発電ユニット1設置後のバッテリーのメンテナンスや交換等に要するコストを削減できる。
【0042】
また、第1実施形態の発電ユニット1では、第1水滴発電モジュール32と太陽光発電
モジュール12とは、水平方向において少なくとも一部が重なるように積層されている。このため、水平方向側における発電ユニット1のサイズ増大を抑制できることから、設置する場所の自由度を更に高めた発電ユニット1を提供することができる。
【0043】
第1実施形態の発電ユニット1では、流路F1および流路F2を画定している内壁の表面は、親水性を有している。このため、開口16から第1滴下ノズル27に到るまでの流路F1および流路F2内を流れる水を、内壁に沿って膜状に広がりやすくすることができる。したがって、各第1滴下ノズル27へ均等に水が分配、供給され、ノズルごとの滴下むらを抑制できる。
【0044】
第1実施形態の発電ユニット1では、水受入部10から水滴下部20に供給された水は、窪み部26に一旦溜められる。その後の水の供給により窪み部26の上端に水位が到達すると、窪み部26より下流側に配置された第1滴下ノズル27への水の供給が開始される。したがって、過剰な量の水が一度に第1滴下ノズル27へ供給されることを抑制できる。
【0045】
第1実施形態の発電ユニット1では、第1滴下ノズル27の内部流路を画定しているノズル内壁のうち-Z軸方向側の端部の表面は、撥水性を有している。このため、ノズル内壁と第1滴下ノズル27から流出する直前の水との接触角は大きくなることから、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上することができる。
【0046】
また、第1実施形態の発電ユニット1では、窪み部分11は、太陽光発電モジュール12が採光するための採光口、および、第1水滴発電モジュール32に用いる雨滴RDを受け入れるための受入口、として兼用されている。このため、採光口と受入口とを別個に設けた発電ユニットと比べて、発電ユニット1のサイズ増大を抑制できる。また、開口16は、窪み部分11の側面に形成されていて、且つ、面部分14aの厚さ分だけ窪み部分11の底面より高い位置に形成されていることから、面部分14aのうち+Z軸方向側を向いた面より窪み部分11における水位が高くなるまで、開口16への水の進入は開始されない。したがって、このような観点からも、過剰な量の水が開口16から第1滴下ノズル27へ一度に供給されることを抑制できる。
【0047】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の発電ユニット1aの断面図である。第2実施形態の発電ユニット1aは、第1実施形態の発電ユニット1と比べて、水滴下部20の-Z軸方向側において、水滴発電部30とは異なる水滴発電部30aおよび副水滴発電部40が交互に積層されている点を除いて、第1実施形態の発電ユニット1と同じである。
【0048】
水滴発電部30aは、第1実施形態の水滴発電部30と比べて、排水穴35hが形成されていない点および排水ノズル37が形成されている点が、第1実施形態の水滴発電部30と異なる。排水ノズル37は、底面部分35aに形成され、第1水滴発電モジュール32の表面を滑った水を水滴発電部30aの外部に排水する。第2実施形態では、斜面部分32dの表面を滑った水は、排水スリット36を介して底面部分35aに到ったのち、排水ノズル37から発電ユニット1の外部に排水される。また、第2実施形態では、底面部分35aのうち排水ノズル37の外側に突壁部39が形成されていることにより、排水スリット36を介して底面部分35aに到った水が面部分35bの方に流れるのを防いでいる。なお、
図6に示すYZ断面では、底面部分35aに排水ノズル37が形成されているが、水滴発電部30aの他のYZ断面では、底面部分35aに排水ノズル37が形成されていない部分も存在する。
【0049】
副水滴発電部40は、水滴発電部30aより-Z軸方向側に配置され、滴下された水滴
を表面に滑らすことにより発電する部分である。具体的には、副水滴発電部40は、水滴発電部30aの排水ノズル37から排水された水を用いて発電を行う。副水滴発電部40は、第2水滴発電モジュール42と、上枠44と、下枠45と、を備える。
【0050】
第2水滴発電モジュール42は、第1水滴発電モジュールと同様に、プラスチックフィルム上に1層の二硫化モリブデンが成膜された成膜パネル42pの両端部上に、電極42a、電極42bが配置されて構成されている。成膜パネル42pは、XY平面に沿って伸びた面部分42cと、軸線Oから離れるほど-Z軸方向に窪んだ斜面部分42dと、から構成されている。面部分42cの外側端部は、斜面部分42dの内側端部と接続している。なお、斜面部分42dのうち外側端部はXY平面に沿って伸びており、後述する下枠45の把持部分45bに把持されている。
【0051】
上枠44は、成膜パネル42pの四方を取り囲み、面部分42cの内側端部を把持する枠状の部材である。上枠44は、-Z軸方向側から水滴発電部30aに取り付けられている。上枠44は、XY平面に沿って伸びた頂面部分44aと、Z軸方向に沿って伸びた面部分44bと、XY平面に沿って伸びた面部分44cと、から構成されている。頂面部分44aの外側端部は、面部分44bの+Z軸方向側の端部と接続している。面部分44bの-Z軸方向側の端部は、面部分44cの内側端部と接続している。副水滴発電部40は、頂面部分44aを介して、水滴発電部30aの底面部分35aに取り付けられている。
【0052】
頂面部分44aのうち中央部分には、-Z軸方向側に突出した突出部44pが形成されている。また、頂面部分44aにおいて、突出部44pの外側には、第2滴下ノズル47が形成されている。第2滴下ノズル47は、水滴発電部30aの底面部分35aに形成された排水ノズル37に接続している。電極42aは、面部分42c上に配置されている。一方、電極42bは、斜面部分42dの外側端部上に配置されている。電極42aと電極42bとは、図示しない配線で接続されている。排水スリット46は、斜面部分42dの外側端部を切り込むように形成された溝である。
図6に示すように、排水スリット46が形成された位置には斜面部分42dが配置されていないことから、排水スリット46は、斜面部分42dを貫通している。
【0053】
下枠45は、成膜パネル42pの斜面部分42dの外側端部を把持する枠状の部材である。下枠45は、XY平面に沿って伸びる底面部分45aと、斜面部分42dを把持する把持部分45bと、から構成されている。底面部分45aの外側端部は、把持部分45bの内側端部と接続している。把持部分45bは、-Z軸方向側から面部分44cに取り付けられている。底面部分45aには、第3滴下ノズル48が形成されている。底面部分45aのうち第3滴下ノズル48の内側には、突壁部49が形成されている。
【0054】
発電ユニット1aにおいては、水滴下部20に隣り合って配置された水滴発電部30aよりも-Z軸方向側において、水滴発電部30aと副水滴発電部40とは、Z軸方向に沿って交互に積層されている。-Z軸方向側から副水滴発電部40に隣り合って配置された水滴発電部30aは、上枠34を介して、副水滴発電部40の把持部分45bに取り付けられている。
【0055】
水滴下部20に隣り合って配置された水滴発電部30aにおいて、第1滴下ノズル27から滴下されて第1水滴発電モジュール32の表面を滑った水は、排水ノズル37から排水される。その排水ノズル37と接続した第2滴下ノズル47は、排水ノズル37から排水された水を第2水滴発電モジュール42に滴下する。第2水滴発電モジュール42は、第2滴下ノズル47から滴下された水滴を第2水滴発電モジュール42(斜面部分42d)の表面に滑らすことにより発電する。第2水滴発電モジュール42の表面を滑った水は、排水スリット46を介して底面部分45aに到る。第3滴下ノズル48は、その水を副
水滴発電部40の外部に滴下する。上述したように、発電ユニット1aにおいては、水滴発電部30aと副水滴発電部40とは、Z軸方向に沿って交互に積層されていることから、-Z軸方向側から副水滴発電部40に隣り合って配置された水滴発電部30aは、第3滴下ノズル48から滴下される水滴を用いて発電する。この水滴発電部30aにおいて水滴発電に用いられた水は、さらに、この水滴発電部30aに対して-Z軸方向側から隣り合って配置された副水滴発電部40における水滴発電に用いられる。このように、-Z軸方向に向かって交互に積層された水滴発電部30aおよび副水滴発電部40において水滴発電に用いられた水は、最終的に発電ユニット1aの外部に排水される。具体的には、発電ユニット1aの-Z軸方向における端側に水滴発電部30aが配置されている場合、排水ノズル37から発電ユニット1aの外部に排水される。一方、発電ユニット1aの-Z軸方向における端側に副水滴発電部40が配置されている場合、第3滴下ノズル48から発電ユニット1aの外部に排水される。なお、排水ノズル37、第2滴下ノズル47および第3滴下ノズル48の各々の周囲の面部分(底面部分35a、頂面部分44aおよび底面部分45a)の表面は親水性を有していることから、その表面上に膜状に広がった水が、排水ノズル37、第2滴下ノズル47および第3滴下ノズル48に供給される。また、排水ノズル37、第2滴下ノズル47および第3滴下ノズル48の各々の内部流路を画定しているノズル内壁のうち-Z軸方向側の端部の表面は撥水性を有していることから、水の間欠的な滴下が促進される。
【0056】
以上のような第2実施形態の発電ユニット1aによっても、第1実施形態と同様に、雨水を用いた発電を行う発電ユニットの小型化を実現することができる。さらに、第2実施形態の発電ユニット1aでは、複数の水滴発電部30aおよび複数の副水滴発電部40によって発電を行うことができる。また、これら複数の水滴発電部30aおよび複数の副水滴発電部40は鉛直方向であるZ軸方向に沿って積層されていることから、水平方向側における発電ユニット1aのサイズを増大させることなく、積層する枚数に応じて発電量を増加させることができる。
【0057】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態の発電ユニット1bの断面図である。第3実施形態の発電ユニット1bは、第1実施形態の発電ユニット1と比べて、水滴下部20とは異なる水滴下部20bを備える点を除いて、第1実施形態の発電ユニット1と同じである。
【0058】
水滴下部20bは、第1実施形態の水滴下部20の構成に加えて、線材50を備える。線材50の+Z軸方向側の端部が面部分24aに取り付けられていることにより、線材50は、第1滴下ノズル27の内部流路内に配置されている。このような第2実施形態の発電ユニット1bによれば、水を線材50に伝わせたのち線材50の-Z軸方向側の端からの滴下を誘導することから、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上することができる。なお、線材50の取付位置は、面部分24aに限らず、第1滴下ノズル27の内部流路内に配置される限り、任意の位置であってよい。
【0059】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0060】
[変形例1]
上記実施形態では、
図2に示すように、発電ユニットは、路面に配置されていたが、これに限られない。例えば、発電ユニットは、建築物の屋根に配置されてもよいし、路面を構成せずに、単独で地面に埋められて配置されてもよい。
【0061】
[変形例2]
上記実施形態では、発電ユニットは、太陽光発電モジュール12を備えていたが、これに限られない。例えば、発電ユニットは、太陽光発電モジュール12を備えておらず、第1水滴発電モジュール32単独、もしくは、第1水滴発電モジュール32および第2水滴発電モジュール42を用いて発電する発電ユニットであってもよい。
【0062】
[変形例3]
上記実施形態では、成膜パネルに成膜される材料は、二硫化モリブデンであったが、これに限られない。例えば、成膜パネルに成膜される材料は、グラフェンやPTFE(テフロン(登録商標))であってもよい。
【0063】
[変形例4]
上記実施形態では、水受入部10の+Z軸方向側を向いた面に窪み部分11が形成されていたが、これに限られない。例えば、水受入部10の+Z軸方向側を向いた面は、平面であって、その平面の一部が太陽光発電パネルによって構成されていてもよい。
【0064】
[変形例5]
上記実施形態では、開口16は、内側(水平方向側)を向いた開口であったが、これに限られない。例えば、開口16は、+Z軸方向側を向いた開口であってもよい。このような形態によれば、上記実施形態と比べて、雨が降り始めてから水受入部10内への水の受け入れが開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0065】
[変形例6]
上記実施形態では、第1滴下ノズル27におけるノズル内壁の表面が撥水性を有することや、第1滴下ノズル27の内部流路内に線材50を設けることにより、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上させていたが、これに限られない。例えば、第1滴下ノズルの内部流路を開閉する開閉機構を設けることにより、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上させてもよい。このような開閉機構を備えた発電ユニットによれば、開閉機構の開閉によって第1滴下ノズル27から間欠的に水を流出させることができるため、水を間欠的に滴下する滴下精度を向上することができる。
【0066】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,1a,1b…発電ユニット
10…水受入部
11…窪み部分
12…太陽光発電モジュール
13…端子ボックス
14…内枠
14a,14b,14c…面部分
15…外枠
15a,15b…面部分
16…開口
20,20b…水滴下部
24…内枠
24a,24b,24c…面部分
24d…ノズル形成面部分
25…外枠
25a,25b,25c,25d…面部分
25e…ノズル形成面部分
25h…排水穴
26…窪み部
27…第1滴下ノズル
30,30a…水滴発電部
32…第1水滴発電モジュール
32a,32b…電極
32c…面部分
32d…斜面部分
32p…成膜パネル
34…上枠
35…下枠
35a…底面部分
35b,35c…面部分
35h…排水穴
35p…突出部
36…排水スリット
37…排水ノズル
39…突壁部
40…副水滴発電部
42…第2水滴発電モジュール
42a,42b…電極
42c…面部分
42d…斜面部分
42p…成膜パネル
44…上枠
44a…頂面部分
44b,44c…面部分
44p…突出部
45…下枠
45a…底面部分
45b…把持部分
46…排水スリット
47…第2滴下ノズル
48…第3滴下ノズル
49…突壁部
50…線材
F1…流路
F2…流路
O…軸線