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特開2023-142777制御装置、異物除去装置及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142777
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】制御装置、異物除去装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20230928BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B09B5/00 F ZAB
B07C5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049855
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘規
【テーマコード(参考)】
3F079
4D004
【Fターム(参考)】
3F079AB00
3F079AB01
3F079CA31
3F079CB04
3F079CB24
3F079CB29
4D004AA33
4D004AB03
4D004CA04
4D004CA09
4D004CA12
4D004CB13
4D004CB45
4D004CC20
4D004DA01
4D004DA02
4D004DA20
(57)【要約】
【課題】廃材から異物を除去するに際して、より効率を高める。
【解決手段】制御装置は、搬送装置によって搬送される廃材から異物を採取して除去する除去部と、除去部の上流側にあり搬送装置上の廃材を検出する検出部と、を備える異物除去装置に用いられる。この制御装置は、検出部によって検出された搬送装置上の廃材の有無に基づいて、廃材から異物を除去する除去作業を実行する除去処理モードと、除去処理モードとは異なる所定の待機時処理モードとを切り替えて実行する制御部、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって搬送される廃材から異物を採取して除去する除去部と、前記除去部の上流側にあり前記搬送装置上の前記廃材を検出する検出部と、を備える異物除去装置に用いられる制御装置であって、
前記検出部によって検出された前記搬送装置上の廃材の有無に基づいて、前記廃材から前記異物を除去する除去作業を実行する除去処理モードと、前記除去処理モードとは異なる所定の待機時処理モードとを切り替えて実行する制御部、
を備えた制御装置。
【請求項2】
前記待機時処理モードには、前記除去部を含む装置構成のメンテナンスを行う待機時保守モード、前記除去部を含む装置構成の検査を行う待機時検査モード、及び前記検出部を除き前記除去部を含む装置構成の電力を前記除去処理モードに比して低減する省電力モード、のうち1以上が含まれる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記待機時処理モードには、前記除去部を含む装置構成のメンテナンスを行う待機時保守モードが含まれており、
前記制御部は、前記検出部によって前記搬送装置上に廃材がないと検出され、前記装置構成の前回のメンテナンスからの経過時間を含む所定時期において、前記待機時保守モードを実行する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記待機時処理モードには、前記除去部を含む装置構成のメンテナンスを行う待機時保守モードが含まれており、
前記制御部は、前記待機時保守モードとして前記除去部への潤滑剤の供給を実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記待機時処理モードには、前記除去部を含む装置構成の検査を行う待機時検査モードが含まれており、
前記制御部は、前記検出部によって前記搬送装置上に廃材がないと検出され、前記装置構成の前回の検査からの経過時間を含む所定時期において、前記待機時検査モードを実行する、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記待機時処理モードには、前記除去部を含む装置構成の検査を行う待機時検査モードが含まれており、
前記制御部は、前記待機時検査モードとして前記除去部が有する消耗品の状態を検査する、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記搬送装置上の前記廃材を撮像する撮像部を有し、
前記制御部は、前記撮像部によって撮像された撮像画像に基づいて前記廃材中に存在する異物を除去する前記除去処理モードを前記除去部に実行させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
搬送装置によって搬送される廃材から異物を採取して除去する除去部と、
前記除去部の上流側にあり前記搬送装置上の前記廃材を検出する検出部と、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御装置と、
を備えた異物除去装置。
【請求項9】
搬送装置によって搬送される廃材から異物を採取して除去する除去部と、前記除去部の上流側にあり前記搬送装置上の前記廃材を検出する検出部と、を備える異物除去装置に用いられる制御方法であって、
前記検出部によって検出された前記搬送装置上の廃材の有無に基づいて、前記廃材から前記異物を除去する除去作業を実行する除去処理モードと、前記除去処理モードとは異なる所定の待機時処理モードとを切り替えて実行するステップ、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、制御装置、異物除去装置及び制御方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃材としての廃プラスチック等の可燃物を破砕機にて破砕して加熱処理炉で燃焼する可燃性粉塵を含有する処理装置が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この処理装置では、高さセンサを用いて被処理物の高さを検出し、その高さに応じて水蒸気の供給量を制御し、粉塵爆発の発生を未然に防止することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-46797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、高さセンサを用いて被処理物の高さを検出し、その高さに応じて水蒸気の供給量を制御することは検討されていたが、作業効率や消費電力の効率については考慮されていなかった。例えば、廃材から異物を除去するに際して、より効率を高めることが求められていた。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、廃材から異物を除去するに際して、より効率を高めることができる制御装置、異物除去装置及び制御方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示する制御装置は、
搬送装置によって搬送される廃材から異物を採取して除去する除去部と、前記除去部の上流側にあり前記搬送装置上の前記廃材を検出する検出部と、を備える異物除去装置に用いられる制御装置であって、
前記検出部によって検出された前記搬送装置上の廃材の有無に基づいて、前記廃材から前記異物を除去する除去作業を実行する除去処理モードと、前記除去処理モードとは異なる所定の待機時処理モードとを切り替えて実行する制御部、
を備えたものである。
【0008】
この制御装置は、廃材から異物を採取して除去する異物除去装置に用いられるものであり、異物除去装置は、搬送装置上に廃材があるときには異物を除去する除去処理モードを行い、廃材がないときには異物除去モードとは異なる待機時処理を実行する。このため、この制御装置では、廃材から異物を除去するに際して、より効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】リサイクルシステム10の構成の一例を示す説明図。
図2】異物除去装置30の概略構成の一例を示す説明図。
図3】除去部40の概略構成の一例を示す斜視図。
図4】採取部47及び検査部55の概略構成の一例を示す説明図。
図5】検出部31の撮像画像81,82の一例を示す説明図。
図6】異物除去処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図7】除去処理モード実行ルーチンの一例を示すフローチャート。
図8】待機時処理モード実行ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1は、廃材をリサイクルするリサイクルシステム10の構成の一例を示す説明図である。図2は、異物除去装置30の概略構成の一例を示す説明図である。図3は、除去部40の概略構成の一例を示す斜視図である。図4は、採取部47及び検査部55の概略構成の一例を示す説明図である。図5は、検出部31によって撮像される撮像画像81,82の一例を示す説明図である。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、図1~3に示した通りとする。また、本実施形態において、廃材12を搬送する方向を搬送方向Dと称するものとする。
【0011】
リサイクルシステム10で処理される廃材12は、石、砂及びコンクリート等のリサイクルの対象となる対象物13と、紙、樹脂、木材及び金属等を含む異物14とが混合した混合物である。リサイクルシステム10は、図1に示すように、1次破砕機15、1次磁選機16、スクリーン機17、異物除去装置30、2次破砕機18、2次磁選機19及び搬送装置20~25を備える。
【0012】
1次破砕機15は、原料である廃材12を1次粉砕する装置である。この1次破砕機15は、例えば、所定の1次サイズ以下(例えば、40cm以下など)となるように廃材12を粉砕する。1次磁選機16は、廃材12に含まれる磁性体の異物を磁力によって除去する装置である。スクリーン機17は、例えば、廃材12がメッシュの上を通過することにより、1次サイズ以上の廃材12と1次サイズ未満の廃材12とを分離する装置である。2次破砕機18は、1次破砕機15よりも小さいサイズに廃材12を2次粉砕する装置である。この2次破砕機18は、所定の2次サイズ以下(例えば、10cm以下)となるように廃材12を粉砕する。2次磁選機19は、1次磁選機16及び異物除去装置30では除去しきれなかった磁性体を廃材12から除去する装置である。
【0013】
搬送ラインとしての搬送装置20~25は、廃材12を搬送面に載置して搬送方向Dに沿って搬送する装置であり、例えば、ベルトコンベアとして構成されている。なお、搬送装置20~25は、廃材12を搬送するものであれば、ベルトコンベア以外の構成としてもよい。
【0014】
異物除去装置30は、搬送装置22の搬送面に載置して廃材12を搬送ライン内で搬送し、異物14を除去する装置である。異物除去装置30は、図2に示すように、検出部31と、除去部40と、制御装置60と、によって構成される。また、異物除去装置30は、保守部50及び検査部55を備える。搬送装置22は、搬送面に廃材12を載置し、所定の搬送速度で廃材12を搬送する。
【0015】
検出部31は、除去部40よりも搬送方向Dの上流側に配置されている。検出部31は、搬送部22によって搬送される廃材12に含まれる異物14を撮像する撮像部32と、廃材12の高さを測定する測定部33とを備えている。撮像部32は、例えば、搬送装置22の搬送面に載置されて搬送される廃材12の画像を撮像するカメラとして構成されている。撮像部32は、搬送装置22を左右方向に跨ぐように設けられた保持部材によって搬送装置22の搬送面の上方で保持されている。撮像部32は、搬送装置22の搬送面の上方から廃材12を含む所定範囲を撮像し、画像データを異物除去装置30の制御装置60に出力する。図5に示すように、撮像部32は、対象物13と異物14とが含まれる撮像画像81,82を撮像する。撮像画像81は、搬送装置22上に廃材12が搬送されていない状態の画像の一例である。撮像画像82は、搬送装置22上に廃材12や異物14が搬送されている状態の画像の一例である。制御装置60は、撮像画像から廃材12の幅などを取得し、廃材12の量などを取得する。測定部33は、搬送装置22上の廃材12の高さを検出するものである。この測定部33は、例えば、除去部40よりも搬送方向Dの上流側に設けられており、2つのカメラを備えたステレオカメラとして構成されているものとしてもよい。測定部33は、搬送装置22を左右方向に跨ぐように設けられた保持部材によって搬送装置22の搬送面の上方で保持されている。測定部33は、検出した廃材12の高さに関する情報を制御装置60へ出力する。なお、測定部33を備える異物除去装置30は、廃材12の高さ方向の情報を利用して廃材12の搬送制御を行うことができる。一方、異物除去装置30は、この測定部33を省略してもよいし、廃材12の高さ情報の利用を省略してもよい。
【0016】
除去部40は、搬送装置22によって搬送される廃材12から異物14を除去する装置であり、例えば、XYロボットとして構成されている。除去部40は、撮像部32によって撮像された撮像画像に基づいて廃材12中に存在する異物14を除去する。除去部40は、検出部31よりも搬送方向Dの下流側に設けられている。除去部40は、X軸スライダ41と、Y軸スライダ43と、昇降部45と、採取部47と、除去ヘッド48と、支持部35と、ダストボックス36とを備える。除去部40は、採取した異物14を、搬送装置22の側方に配設されたダストボックス36へ廃棄する。なお、除去部40は、多関節アームロボットなどの他の構成としてもよい。
【0017】
X軸スライダ41は、駆動機構42を備える。この駆動機構42は、搬送装置22の搬送方向Dに直交する方向に沿って架設されたガイドレールと、ガイドレールに沿って移動するスライダと、スライダを駆動する駆動モータとを備える。ガイドレールは、搬送方向Dに沿って搬送部22上に架設されたY軸スライダ43のスライダに固定されている。X軸スライダ41のスライダには、昇降部45が配設された除去ヘッド48が固定されている。駆動機構42は、例えば、ねじ軸とナットとを備えるボールねじによる直動機構としてもよい。なお、駆動機構42は、直動機構とすれば特に限定されず、リニアモータなどとしてもよい。X軸スライダ41では、駆動機構42によって除去ヘッド48をX軸方向に沿って移動させる。
【0018】
Y軸スライダ43は、駆動機構44を備える。駆動機構44は、搬送方向Dに沿って架設されたガイドレールと、ガイドレールに沿って移動するスライダと、スライダを駆動する駆動モータとを備える。ガイドレールは、搬送方向Dに沿って搬送部22上に架設された支持部35に固定されている。Y軸スライダ43のスライダには、X軸スライダ41が配設されている。駆動機構44は、例えば、ねじ軸とナットとを備えるボールねじによる直動機構であるものとしてもよい。なお、駆動機構44は、駆動機構42と同様の構成を有するものとしてその説明を省略する。Y軸スライダ43では、駆動機構44によってX軸スライダ41をY軸方向に沿って移動させる。
【0019】
昇降部45は、X軸スライダ41に配設された除去ヘッド48に固定されている。昇降部45は、Z軸に沿って採取部47を昇降する駆動機構46を備える。駆動機構46は、例えば、ねじ軸とナットとモータとを備えるボールねじによる直動機構であるものとしてもよい。なお、駆動機構46は、直動機構とすれば特に限定されず、リニアモータなどとしてもよい。昇降部45では、駆動機構46によって採取部47をZ軸方向に沿って昇降させる。
【0020】
採取部47は、複数の把持部材49を有する。把持部材49は、物体を把持する把持爪としてもよい。採取部47は、把持部材49の開閉動作によって異物14を把持、把持解除して廃材12から採取、除去する。採取部47は、図示しない把持駆動部によって把持部材49を開閉する。この採取部47は、X軸スライダ41、Y軸スライダ43及び昇降部45によって、搬送部22の所定範囲内でX、Y,Z方向に移動される。
【0021】
保守部50は、除去部40を含む装置構成のメンテナンスを行うユニットである。この保守部50は、例えば、装置構成のメンテナンスとして、除去部40への潤滑剤の供給を実行するものとしてもよい。異物除去装置30では、廃材12の再生処理を行うため、粉塵等が発生する。保守部50は、除去部40の駆動部としての駆動機構42,44,46へ潤滑油を供給することによって、粉塵を洗浄除去し、粉塵による摩耗や動作不良などの発生をより抑制する。この保守部50は、供給部51と、供給管52とを備える。供給部51は、潤滑油が収容されたタンクの上部に配設され、潤滑油を送り出すポンプである。供給管52は、その一端が供給部51に接続され、その他端が駆動機構42,44,46のいずれかの端部に接続されている。除去部40では、各スライダを一端から他端まで移動しながら供給部51から潤滑油を供給することにより、駆動機構42,44,46の全体に潤滑油を行き渡らせるメンテナンス動作を実行する。なお、駆動機構42,44,46に供給された潤滑油は、フィルタを介して異物が除去されたのち回収され、供給部51へ循環されるものとしてもよい。
【0022】
検査部55は、除去部40を含む装置構成の検査を行うユニットである。検査部55は、例えば、破損、欠損、摩耗などを含む、把持部材49などの消耗品の状態を検査する。検査部55は、図3に示すように、異物14を除去する領域から外れた領域に配設されている。ここでは、検査部55は、X軸スライダ41の端部に配設されているものとするが、異物14の除去領域から外れていれば、いずれの領域に配設されていてもよい。この検査部55は、消耗品の状態を検査する検査センサ56を備えている。検査センサ56は、図4に示すように、把持部材49に当接してその存在を検出する接触式センサとしてもよい。検査センサ56は、接触子が押圧されると信号を出力するものであり、除去ヘッド48が検査領域にあり把持部材49を開放すると把持部材49に接触子が接触する位置に固定されている。接触式センサは、安価であり、簡便に消耗品の形状などを検出することができ、好ましい。なお、検査センサ56は、消耗品の状態を検査することが可能であれば、例えば、発光部と受光部とを有し光の検出により消耗品の形状などの状態を検査する光センサや、画像を撮像し消耗品の形状などの状態を検出するものなど、非接触式のセンサとしてもよい。
【0023】
制御装置60は、異物除去装置30全体を制御する装置であり、制御部61と、記憶部62とを備えている。制御部61は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体を制御する。制御部61は、検出部31、除去部40及び保守部50へ制御信号を出力すると共に、検出部31、除去部40、保守部50及び検査部55からの信号を入力する。この制御部61は、検出部31によって検出された搬送装置22上の廃材12の有無に基づいて、除去処理モードと、所定の待機時処理モードとを切り替えて実行する。制御装置60は、除去処理モードでは、対象物13を含む廃材12から異物14を除去する除去作業を実行する。また、制御装置60は、待機時処理モードでは、除去処理モードとは異なる処理を実行する。この待機時処理モードは、例えば、除去部40の待機時に実行可能な処理が実行されるものとしてもよいし、除去処理モードで実行するとサイクルタイムのロスになる処理が実行されるものとしてもよいし、除去処理モードでは実質的に実行できない処理が実行されるものとしてもよい。この待機時処理モードには、例えば、除去部40を含む装置構成のメンテナンスを行う待機時保守モード、除去部40を含む装置構成の検査を行う待機時検査モード、検出部31を除き除去部40を含む装置構成の電力を除去処理モードに比して低減する省電力モードのうち1以上が含まれるものとしてもよい。また、省電力モードは、検出部31を除き除去部40を含む装置構成の電源をオフする電源オフモードとしてもよい。記憶部62は、情報を記憶する記憶媒体であり、例えば、HDDやフラッシュメモリなどにより構成されている。記憶部62には、例えば、除去部40を含む装置構成のメンテナンスを実行した日時や、消耗品の検査を実行した日時などの管理情報が記憶されている。
【0024】
次に、このようにして構成された異物除去装置30の動作について説明する。まず、廃材12から異物14を除去し対象物13を生産する処理について説明する。図6は、制御装置60の制御部61によって実行される異物除去処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部62に記憶されており、異物除去装置30の起動ののち制御部61により実行される。このルーチンを開始すると制御部61は、まず、搬送装置22を駆動させ(S100)、搬送装置22上の廃材12の検出タイミングであるか否かを判定する(S110)。撮像部32において、検出タイミングは、例えば、搬送装置22で搬送される廃材12が切れ目ない静止画像ですべて撮像されるタイミングに設定されているものとしてもよい。また、測定部33において、検出タイミングは、例えば、撮像部32での撮像タイミングと同じタイミングとしてもよい。なお、撮像部32が動画を撮影する場合では検出タイミングは、静止画を取得する一定期間とすることができる。
【0025】
S110で検出タイミングでないときには、制御部61は、そのまま待機する。S110で演出タイミングであるときには、制御部61は、撮像部32に撮像画像を撮像させるとともに、測定部33に高さ測定を実行させ、撮像画像及び高さを取得して廃材12の検出処理を行う(S120)。制御部61は、廃材12の検出処理として、例えば、搬送装置22の輝度と異なる領域を検出し、その領域を廃材12の領域とする処理を行う。また、制御部61は、搬送装置22の搬送面からの、測定部33により測定された高さを取得する。次に、制御部61は、搬送装置22に廃材12があるか否かを判定する(S130)。制御部61は、撮像画像に廃材12の領域があるか否か、あるいは測定した高さが搬送装置22の搬送面からの所定高さ以上であるか否か、に基づいて廃材12の有無を判定することができる(図5参照)。
【0026】
搬送装置22が駆動中であり、その搬送面上に廃材12があるときには、制御部61は、廃材12から異物14を除去する除去作業を行う除去処理モードを除去部40に実行させる(S140)。一方、搬送装置22が駆動中であり、その搬送面上に廃材12がないときには、制御部61は、廃材12が検出されなくなってから所定時間経過しているか否かを判定する(S150)。この所定時間は、廃材12が検出されず、除去部40の動作モードの切り替えが頻繁に生じず、安定して動作可能かを判定可能な時間(例えば、10秒や30秒など)に経験的に設定されている。所定時間経過していないときには、制御部61は、S120以降の処理を実行する。一方、S150で、搬送装置22上に廃材12が検出されなくなってから所定時間経過しているときには、待機時処理モードを実行する(S160)。なお、除去処理モード及び待機時処理モードの詳細は、後述する。
【0027】
S160のあと、または、S140のあと、制御部61は、廃材12の再生処理がすべて完了したか否かを判定し(S170)、廃材12の再生処理がすべて完了していないときには、S110以降の処理を実行する。即ち、制御部61は、搬送装置22上に廃材12があるときには、除去処理モードを除去部40に実行させ、搬送装置22上に廃材12がない状態では、待機時処理モードを除去部40に実行させる。一方、S170で廃材12の再生処理がすべて完了したときには、このルーチンを終了する。
【0028】
次に、S140の除去処理モードについて説明する。図7は、制御装置60の制御部61によって実行される除去処理モード実行ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部62に記憶されており、S140で制御部61により実行開始される。なお、このルーチンは、S160で待機時処理モードが実行されると、強制的に終了する。このルーチンを開始すると、制御部61は、まず、S120で撮像した撮像画像を取得し(S200)、異物14が廃材12にあるか否かを判定する(S210)。制御部61は、異物14の検出処理として、例えば、対象物13の輝度と異なる領域を検出し、その領域を異物14の領域とする処理を行う。S210で異物14がないときには、制御部61は、S200以降の処理を行う。
【0029】
一方、S210で廃材12に異物14があるときには、制御部61は、1以上の異物14の採取順を設定する(S220)。制御部61は、例えば、搬送方向Dのより下流側に存在する異物14を優先的に採取するよう異物14の採取順を設定してもよい。また、制御部61は、採取部47の移動距離がより短くなり、搬送装置22による搬送速度で搬送される異物14のすべてを採取可能となるように、異物14の採取順を設定するものとしてもよい。次に、制御部61は、設定した採取順に従って異物14の採取位置へ採取部47を移動させ、異物14を採取させる(S230)。そして、制御部61は、次に採取する異物14があるか否かを判定し(S240)、次に採取する異物14があるときには、S230以降の処理を実行する。即ち、制御部61は、次の異物14の位置へ採取部47を移動させ、異物14を除去する処理を除去部40に実行させる。一方、S240で次に採取する異物14がないときには、S200以降の処理を除去部40に実行させる。このように、除去処理モードでは、制御部61は、廃材12の有無を検出する撮像画像を用いて、異物14の除去を実行することができる。
【0030】
次に、S160の待機時処理モードについて説明する。図8は、制御装置60の制御部61によって実行される除去処理モード実行ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部62に記憶されており、S160で制御部61により実行開始される。なお、このルーチンは、S140で除去処理モードが実行されると、強制的に終了する。このルーチンを開始すると、制御部61は、まず、所定の保守タイミングであるか否かを判定する(S300)。制御部61は、装置構成の前回のメンテナンスからの経過時間を含む所定時期に至っているときに、保守タイミングであると判定するものとしてもよい。この保守タイミングは、例えば、前回のメンテナンスから所定時間(例えば、1時間や2時間など)を経過したあととしてもよい。この保守タイミングは、異物除去装置30の安定的な動作を保障可能なタイミングとしてもよく、例えば、異物除去装置30が起動された直後など、任意のタイミングとしてもよい。現時点が保守タイミングであるときには、制御部61は、待機時保守モードとして、除去部40を含む装置構成のメンテナンス処理を実行し、実行した結果を記憶部62に記憶させる(S310)。制御部61は、装置構成のメンテナンスとして、例えば、除去部40への潤滑剤の供給を保守部50に実行させる。この処理では、制御部61は、供給部51により、駆動機構42,44,46へ潤滑剤を供給させ、各スライダを全域に移動させる処理を行い、潤滑剤を駆動機構の全体に行き渡らせる処理を行う。このように、異物除去装置30では、搬送装置22に廃材12がなく、更に保守を実行すべきときは、待機時処理モードとして待機時保守モードを実行し、空いている時間に装置構成の保守を実行することができる。
【0031】
S310のあと、またはS300で保守タイミングでないときには、制御部61は、所定の検査タイミングであるか否かを判定する(S320)。制御部61は、装置構成の前回の検査からの経過時間を含む所定時期に至っているときに、検査タイミングであると判定するものとしてもよい。この検査タイミングは、例えば、前回の検査から所定時間(例えば、4時間や8時間など)を経過したあととしてもよい。この検査タイミングは、異物除去装置30の安定的な動作を保障可能なタイミングとしてもよく、例えば、異物除去装置30が起動された直後など、任意のタイミングとしてもよい。現時点が検査タイミングであるときには、制御部61は、待機時検査モードとして、除去部40を含む装置構成の検査処理を実行し、実行した結果を記憶部62に記憶させる(S330)。制御部61は、装置構成の検査として、例えば、除去部40の有する消耗品の状態検査を検査部55に実行させる。この処理では、制御部61は、除去ヘッド48を検査領域へ移動させ、消耗品としての把持部材49の状態を検査センサ56により検出させる処理を行う。把持部材49は、異物14の除去の実行中に、湾曲、破損、欠損などが生じることがある。検査部55は、検査センサ56からの信号に基づいて、把持部材49の状態を検査する。このように、異物除去装置30では、搬送装置22に廃材12がなく、更に検査を実行すべきときは、待機時処理モードとして待機時検査モードを実行し、空いている時間に装置構成の検査を実行することができる。
【0032】
S330のあと、またはS320で検査タイミングでないときには、制御部61は、検出部31を除き除去部40を含む装置構成の電力を除去処理モードに比して低減する省電力モードを実行させ(S340)、S300以降の処理を実行する。省電力モードでは、例えば、除去部40などを含む装置構成の電力を50%以下や30%以下などにしてもよいし、電源をオフするものとしてもよい。異物除去装置30では、搬送装置22に廃材12がなく、更に装置構成の保守、検査を行わないときは、待機時処理モードとして省電力モードを実行し、消費電力をより低減することができる。
【0033】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の異物除去装置30が本開示の異物除去装置に相当し、制御装置60が制御装置に相当し、検出部31が検出部に相当し、除去部40が除去部に相当し、制御部61が制御部に相当する。また、搬送装置22が搬送装置に相当し、廃材12が廃材に相当し、異物14が異物に相当する。なお、本実施形態では、異物除去装置30の動作を説明することにより、本開示の制御方法の一例も明らかにしている。
【0034】
以上説明した異物除去装置30は、搬送装置22によって搬送される廃材12から異物14を採取して除去する除去部40と、除去部40の上流側にあり搬送装置22上の廃材12を検出する検出部31と、を備える。また、制御装置60は、検出部31によって検出された搬送装置22上の廃材14の有無に基づいて、廃材12から異物14を除去する除去作業を実行する除去処理モードと、除去処理モードとは異なる所定の待機時処理モードとを切り替えて実行する制御部61を備える。この制御装置60では、搬送装置22上に廃材12がないときに、待機時処理モードを実行するため、廃材12から異物14を除去するに際して、単に待機するのに比してより効率を高めることができる。
【0035】
また、制御装置60では、待機時処理モードには、除去部40を含む装置構成のメンテナンスを行う待機時保守モード、除去部40を含む装置構成の検査を行う待機時検査モード、及び検出部31を除き除去部40を含む装置構成の電力を除去処理モードに比して低減する省電力モード、のうち1以上が含まれる。この制御装置60では、異物除去装置30に関するメンテナンスや装置構成の検査などを効率よく実行することができる。また、この制御装置60では、装置構成の電力を低減することによって、消費電力の効率をより高めることができる。この省電力モードは、装置構成の電源をオフする電源オフモードとしてもよい。この電源オフモードでは、消費電力を最低限にすることができる。更に、制御装置60において、待機時処理モードには、除去部40を含む装置構成のメンテナンスを行う待機時保守モードが含まれており、制御部61は、検出部31によって搬送装置22上に廃材12がないと検出され、装置構成の前回のメンテナンスからの経過時間を含む所定時期において、待機時保守モードを実行する。この制御装置60では、除去部40の装置構成が異物14の除去作業を行っていないときに、メンテナンスを実行することができ、より適切なタイミングで、装置構成のメンテナンスを行うことにより、より作業効率を高めることができる。更にまた、制御装置60において、待機時処理モードには、待機時保守モードが含まれており、制御部61は、待機時保守モードとして除去部40への潤滑剤の供給を実行する。この制御装置60では、待機時検査モードにおいて、除去部40への潤滑剤の供給によって異物除去装置30のメンテナンスを行うことができる。
【0036】
また、制御装置60において、待機時処理モードには、除去部40を含む装置構成の検査を行う待機時検査モードが含まれており、制御部61は、検出部31によって搬送装置22上に廃材12がないと検出され、装置構成の前回の検査からの経過時間を含む所定時期において、待機時検査モードを実行する。この制御装置60では、より適切なタイミングで、装置構成の検査を行うことにより、より作業効率を高めることができる。更に、制御装置60において、待機時処理モードには待機時検査モードが含まれており、制御部61は、待機時検査モードとして除去部40が有する消耗品としての把持部材49の状態を検査する。この制御装置60では、待機時検査モードにおいて、除去部40が有する消耗品の状態を検査することができる。更にまた、制御装置60において、検出部31は、搬送装置22上の廃材12を撮像する撮像部32を有し、制御部61は、撮像部32によって撮像された撮像画像に基づいて廃材12中に存在する異物14を除去する除去処理モードを除去部40に実行させる。この制御装置60では、異物除去に用いられる撮像画像を用いて搬送装置22上の廃材12の有無を検出することができる。
【0037】
また、異物除去装置30は、搬送装置22によって搬送される廃材12から異物14を採取して除去する除去部40と、除去部40の上流側にあり搬送装置22上の廃材12を検出する検出部31と、制御装置60と、を備える。この異物除去装置30では、上述した制御装置60を備えるため、廃材12から異物14を除去するに際して、より効率を高めることができる。
【0038】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、待機時処理モードには、待機時保守モード、待機時検査モード、及び省電力モードが含まれるものとしたが、特にこれに限定されず、このうち1以上を省略してもよいし、これら以外の、除去処理モードとは異なる待機時処理モードを含むものとしてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、待機時保守モードでは、除去部40の駆動機構に対して潤滑剤を供給するメンテナンスを行うものとしたが、特にこれに限定されず、駆動機構以外の装置構成に潤滑剤を供給するものとしてもよいし、潤滑剤を供給する以外のメンテナンスを行うものとしてもよい。この異物除去装置30においても、除去部40が異物14の除去作業を行っていないときに他の装置構成のメンテナンスを行うことができ、作業効率をより向上することができる。
【0041】
上述した実施形態では、待機時検査モードでは、把持部材49の状態を検査するものとしたが、特にこれに限定されず、把持部材49以外の消耗品の状態を検査するものとしてもよいし、消耗品の状態検査以外の検査を行うものとしてもよい。この異物除去装置30においても、除去部40が異物14の除去作業を行っていないときに他の装置構成の検査を行うことができ、作業効率をより向上することができる。
【0042】
上述した実施形態では、制御装置60は、撮像部32の撮像画像と、測定部33の高さ情報とを用いて、搬送装置22上の廃材12の有無を検出するものとしたが、特にこれに限定されず、撮像部32の撮像画像と、測定部33の高さ情報とのいずれか一方を省略してもよい。この異物除去装置30においても、搬送装置22上の廃材12の有無を検出することができる。なお、異物除去装置30は、搬送装置22上の廃材12の有無の検出を撮像部32と測定部33とを用いて行う方が、より正確に検出でき好ましい。
【0043】
上述した実施形態では、撮像部32の撮像画像を、搬送装置22上の廃材12の有無の検出と、廃材12中に含まれる異物14の検出の2つに併用するものとしたが、特にこれに限定されず、それぞれの検出を別の画像で行ってもよい。また、異物除去装置30は、検出部31を複数有するものとしてもよい。なお、異物除去装置30は、搬送装置22上の廃材12の有無の検出と、廃材12中に含まれる異物14の検出とを同じ撮像画像で行う方が効率がよく好ましい。
【0044】
上述した実施形態では、本開示を制御装置60を備えた異物除去装置30として説明したが、特にこれに限定されず、本開示を制御装置60自体としてもよいし、制御方法としてもよい。
【0045】
ここで、本開示の制御方法は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の制御方法は、搬送装置によって搬送される廃材から異物を採取して除去する除去部と、前記除去部の上流側にあり前記搬送装置上の前記廃材を検出する検出部と、を備える異物除去装置に用いられる制御方法であって、
前記検出部によって検出された前記搬送装置上の廃材の有無に基づいて、前記廃材から前記異物を除去する除去作業を実行する除去処理モードと、前記除去処理モードとは異なる所定の待機時処理モードとを切り替えて実行するステップ、
を含むものである。
【0046】
この制御方法は、上述した制御装置と同様に、搬送装置上に廃材がないときには異物除去モードとは異なる待機時処理を実行するため、廃材から異物を除去するに際して、より効率を高めることができる。なお、この制御方法において、上述した制御装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した制御装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示は、産業廃棄物のリサイクルなどの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 リサイクルシステム、12 廃材、13 対象物、14 異物、15 1次破砕機、16 1次磁選機、17 スクリーン機、18 2次破砕機、19 2次磁選機、20~25 搬送装置、30 異物除去装置、31 検出部、32 撮像部、33 測定部、35 支持部、36 ダストボックス、40 除去部、41 X軸スライダ、42 駆動機構、43 Y軸スライダ、44 駆動機構、45 昇降部、46 駆動機構、47 採取部、48 除去ヘッド、49 把持部材、50 保守部、51 供給部、52 供給管、55 検査部、56 検査センサ、60 制御装置、61 制御部、62 記憶部、D 搬送方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8