(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142791
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】取付治具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/12 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
F16L3/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049881
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390009999
【氏名又は名称】日動電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】泉 孝盛
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄大
(72)【発明者】
【氏名】中内 純
(72)【発明者】
【氏名】蘆田 洋
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB04
3H023AD02
3H023AD18
3H023AD22
3H023AD54
3H023AE12
(57)【要約】
【課題】破損し易くなるのを回避又は抑制しながら、被取付面に対して接着させ易い取付治具を提供する。
【解決手段】被取付面に対して接着剤によって接着されるベース部材Aと、ベース部材Aに連結されると共に長尺体を囲繞して保持する長尺体保持部材Bとを備え、長尺体保持部材Bを、長尺体を囲繞する一対の囲繞部分5を連結させて長尺体を囲繞する囲繞状態と、長尺体が一対の囲繞部分5の間を通過可能なように一対の囲繞部分5を分離させた分離状態とに変形可能に樹脂によって構成し、ベース部材Aを、長尺体保持部材Bより接着剤が接着し易い樹脂によって構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を被取付面に取り付けるための取付治具であって、
前記被取付面に対して接着剤によって接着されるベース部材と、
前記ベース部材に連結されると共に前記長尺体を囲繞して保持する長尺体保持部材とを備え、
前記長尺体保持部材は、前記長尺体を囲繞する一対の囲繞部分を連結させて前記長尺体を囲繞する囲繞状態と、前記長尺体が前記一対の囲繞部分の間を通過可能なように前記一対の囲繞部分を分離させた分離状態とに変形可能に樹脂によって構成され、
前記ベース部材は、前記長尺体保持部材より接着剤が接着し易い樹脂によって構成されている取付治具。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記被取付面に対して接着される取付面を備え、
前記長尺体保持部材は、前記取付面に対して交差する回転軸心周りに回転可能な状態で前記ベース部材に連結されている請求項1に記載の取付治具。
【請求項3】
前記ベース部材を前記回転軸心周りの複数の回転位置で保持する位置保持部を備えている請求項2に記載の取付治具。
【請求項4】
前記長尺体保持部材は、ポリプロピレン又はポリエチレンによって構成され、
前記ベース部材は、硬質塩化ビニル又はABS樹脂又はポリカーボネートによって構成されている請求項1から3の何れか一項に記載の取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺体を被取付面に取り付けるための取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長尺体(配管材61)を被取付面(被固定面71)に取り付ける取付治具(固定具1)が示されている。この取付治具は、被取付面に対してネジ(72)によって固定されるベース部と長尺体を保持する長尺体保持部とを一体的に備えている。長尺体保持部は、長尺体を囲繞する一対の囲繞部分を連結させて長尺体を囲繞する囲繞状態と、一対の囲繞部分の間を長尺体を通過可能に一対の囲繞部分を分離させた分離状態とに変形可能に樹脂によって構成されている。そして、ベース部を締結具によって被取付面に締結固定させることで、長尺体保持部によって保持されている長尺体を被取付面に取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、締結具にて締結固定するのは手間がかかることから、作業性を向上するべく、接着剤にて簡易に接着固定できるようにすることが考えられる。ところが、接着剤に対して接着し易い樹脂(例えば、硬質塩化ビニル)によって取付治具を構成した場合では、被取付面に対してベース部を接着させ易くなる反面、難接着性樹脂に比べてヒンジ特性が劣る場合があるため、長尺体を長尺体保持部に保持させるべく長尺体保持部を変形させた際に長尺体保持部が破損し易くなる場合がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、破損し易くなるのを回避又は抑制しながら、被取付面に対して接着させ易い取付治具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、長尺体を被取付面に取り付けるための取付治具であって、前記被取付面に対して接着剤によって接着されるベース部材と、前記ベース部材に連結されると共に前記長尺体を囲繞して保持する長尺体保持部材とを備え、前記長尺体保持部材は、前記長尺体を囲繞する一対の囲繞部分を連結させて前記長尺体を囲繞する囲繞状態と、前記長尺体が前記一対の囲繞部分の間を通過可能なように前記一対の囲繞部分を分離させた分離状態とに変形可能に樹脂によって構成され、前記ベース部材は、前記長尺体保持部材より接着剤が接着し易い樹脂によって構成されている点にある。
【0007】
本発明によれば、取付治具を連結自在な長尺体保持部材とベース部材とに分離構成し、被取付面に取り付けられるベース部材を接着剤が接着し易い樹脂によって構成しているため、長尺体保持部材側でヒンジ特性等の性能の低下を回避又は抑制しながら、ベース部材側で被取付面に対して接着させ易くすることができる。
よって、破損し易くなるのを回避又は抑制しながら、被取付面に対して接着させ易い取付治具を提供することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記ベース部材は、前記被取付面に対して接着される取付面を備え、前記長尺体保持部材は、前記取付面に対して交差する回転軸心周りに回転可能な状態で前記ベース部材に連結されている点にある。
【0009】
本構成によれば、長尺体保持部材と共に保持している長尺体を回転軸心周りに回転させることで、ベース部材に対する長尺体の姿勢を変更することができ、ベース部材を被取付面に接着した後でも被取付面に対する長尺体の姿勢を任意の姿勢とすることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記ベース部材を前記回転軸心周りの複数の回転位置で保持する位置保持部を備えている点にある。
【0011】
本構成によれば、長尺体の姿勢が任意の姿勢となった回転位置でベース部材を位置保持部によって保持することで、長尺体を任意の姿勢で保持することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記長尺体保持部材は、ポリプロピレン又はポリエチレンによって構成され、前記ベース部材は、硬質塩化ビニル又はABS樹脂又はポリカーボネートによって構成されている点にある。
【0013】
本構成によれば、ベース部材は接着剤が接着し易い硬質塩化ビニル又はABS樹脂又はポリカーボネートによって構成されているため、被取付面に対してベース部材を接着させ易くなる。また、長尺体保持部材はヒンジ特性が高いポリプロピレン又はポリエチレンによって構成されているため、長尺体保持部材に長尺体を保持させるべく長尺体保持部材を変形させた場合でも長尺体保持部材が破損し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】長尺体保持部材が分離状態の取付治具の斜視図
【
図2】長尺体保持部材が囲繞状態の取付治具の斜視図
【
図5】長尺体保持部材が基準回転位置にある取付治具の平面図
【
図6】長尺体保持部材が正回転位置にある取付治具の平面図
【
図7】長尺体保持部材が逆回転位置にある取付治具の平面図
【
図10】別実施形態における複数の取付治具を連結する構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る取付け治具の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2は、配管やケーブル等の長尺体1(
図2参照)を天井スラブの下面や壁面等の被取付面(図示せず)に取付けるための取付治具3を示している。この取付治具3には、被取付面に対して接着剤によって接着されるベース部材Aと、ベース部材Aに連結されると共に長尺体1を囲繞して保持する長尺体保持部材Bとを備えている。取付治具3は、接着剤によってベース部材Aを被取付面に接着させることで、長尺体保持部材Bに保持されている長尺体1を被取付面に取り付けるようになっている。
【0016】
長尺体保持部材Bは、樹脂によって構成されており、長尺体1を囲繞する一対の囲繞部分5と、ベース部材Aに連結されている板状の連結部分6とを備えている。一対の囲繞部分5と連結部分6とは樹脂によって一体形成されている。また、長尺体保持部材Bは、一対の囲繞部分5を連結させて長尺体1を囲繞する囲繞状態(
図2参照)と、長尺体1が一対の囲繞部分5の間を通過可能なように一対の囲繞部分5を分離させた分離状態(
図1参照)とに変形可能に構成されている。
【0017】
一対の囲繞部分5のうちの一方を揺動囲繞部分5Aとし、他方を固定囲繞部分5Bとして、揺動囲繞部分5Aと固定囲繞部分5Bとのうちの揺動囲繞部分5Aにのみ、ヒンジ部8及び揺動部9が備えられている。そして、ヒンジ部8を中心に揺動囲繞部分5Aの揺動部9を揺動させることで、長尺体保持部材Bが囲繞状態と分離状態とに変形するように構成されている。
本実施形態では、囲繞状態における一対の囲繞部分5の内周面の形状が、取付治具3に取り付けられた長尺体1の長手方向視でオーバル形状となっており、具体的には、楕円形状となっている。
【0018】
揺動囲繞部分5Aは、ヒンジ部8及び揺動部9に加えて、連結部分6から上方側Z1に向けて突出する揺動側基部12を備え、固定囲繞部分5Bは、連結部分6から上方側Z1に向けて突出する固定側基部13のみを備えている。囲繞部分5は、揺動側基部12、揺動部9、及び固定側基部13の内面によって囲繞部分5の内周面が形成されている。
【0019】
図1に示すように、揺動側基部12と揺動部9との間にヒンジ部8が形成されており、揺動部9の先端側端部の内面に囲繞用係合部15が形成されている。固定側基部13の先端側端部の外面に囲繞用被係合部16が形成されており、
図2に示すように、囲繞状態では囲繞用係合部15が囲繞用被係合部16に係合することで囲繞状態に保持される。
また、
図1及び
図2に示すように、揺動部9には係合解除用の操作部17が備えられており、この操作部17を操作することで囲繞用係合部15の囲繞用被係合部16に対する係合を解除し易くなっている。
【0020】
揺動部9のヒンジ部8側端部の内面に囲繞用嵌合部18が形成され、揺動側基部12の先端側端部の外面に囲繞用被嵌合部19が形成されている。囲繞状態では囲繞用嵌合部18が囲繞用被嵌合部19に内面側から嵌合するようになっている。このように囲繞用嵌合部18と囲繞用被嵌合部19とが嵌合することで、揺動部9が揺動側基部12に対して揺動囲繞部分5Aの長手方向に沿って移動することが規制されており、これによって囲繞状態におけるヒンジ部8に対する負荷が軽減されている。
【0021】
図1から
図3に示すように、ベース部材Aは、被取付面に対して接着される取付面21を備え、
図1及び
図2に示すように、長尺体保持部材Bは、取付面21に対して直交(交差の一例)する回転軸心P周りに回転可能な状態でベース部材Aに連結されている。また、取付治具3は、ベース部材Aを回転軸心P周りの複数の回転位置で保持する位置保持部22を備えている。尚、本実施形態では、回転軸心Pに沿う方向を上下方向Zとしており、上下方向Zにおける被取付面に対してベース部材Aが存在する側を上方側Z1としている。
【0022】
図3及び
図4に示すように、取付治具3は、回転軸心P周りに回転可能な状態でベース部材Aと長尺体保持部材Bとが上下方向Zに嵌合する案内用嵌合部24と、長尺体保持部材Bがベース部材Aに対して上方側Z1に離脱することを規制する規制部25とを備えている。これら案内用嵌合部24と規制部25とによって、長尺体保持部材Bが回転軸心P周りに回転可能な状態でベース部材Aに連結されている。
【0023】
案内用嵌合部24は、ベース部材Aのベース本体26の上面に形成された円形状の案内用突起部27と、長尺体保持部材Bの連結部分6の下面に形成されて案内用突起部27が嵌合する円形状の案内用凹部28とを備えている。案内用突起部27と案内用凹部28とは、回転軸心P周りに回転可能に嵌合している。この案内用嵌合部24の嵌合によって、ベース部材Aと長尺体保持部材Bとは、上下方向Zに対して交差する方向への相対的な移動が規制されながら回転軸心P周りに相対的に回転可能となっている。
【0024】
規制部25は、ベース部材Aのベース本体26に形成された先端挿入部29(
図3参照)と、長尺体保持部材Bの連結部分6に備えられて先端挿入部29に挿入されている先端部30(
図4参照)とで構成されている。
先端挿入部29は、ベース本体26から立ち上がる一対の横枠部29Aと、これら一対の横枠部29Aに亘る上枠部29Bとを有している。先端挿入部29は、ベース部材Aの長辺方向の両端部に備えられている。先端部30は、連結部分6の長辺方向の両端部に備えられており、これら一対の先端部30の夫々が一対の先端挿入部29に挿入されている。そして、先端部30がベース本体26と先端挿入部29の上枠部29Bとの間に位置することで、ベース部材Aに対して長尺体保持部材Bが上下方向Zに移動することが規制されている。尚、ベース部材A及び長尺体保持部材Bの連結部分6は、いずれも上下方向視の形状が矩形状に形成されており、ベース部材Aの長辺に沿う方向をベース本体26の長辺方向とし、連結部分6の長辺に沿う方向を連結部分6の長辺方向としている。
【0025】
また、1つの先端挿入部29に備えられている一対の横枠部29Aは、長尺体保持部材Bにおける連結部分6の先端部30に対して回転軸心Pを中心とした周方向の両側にあり、それら一対の横枠部29Aの間隔は先端部30の幅より広くなっている。そのため、長尺体保持部材Bはベース部材Aに対して回転軸心P周りに回転することは可能であるものの、設定角度以上の回転は先端部30が横枠部29Aに当接することで規制されている。つまり、ベース部材Aの長辺方向と長尺体保持部材Bの長辺方向とが一致する回転位置を基準回転位置(
図5参照)として、この基準回転位置から時計回りに設定角度だけ回転させた正回転位置(
図6参照)や、基準回転位置から反時計回りに設定角度だけ回転させた逆回転位置(
図7参照)に回転可能となっている。
【0026】
図3及び
図4に示すように、位置保持部22は、ベース部材Aのベース本体26の上面に形成された保持用突起部31(
図3参照)と、長尺体保持部材Bの連結部分6の下面に形成されて保持用突起部31が嵌合する保持用凹部32(
図4参照)とを備えている。
図5に示すように、長尺体保持部材Bが基準回転位置にある状態では、保持用突起部31が保持用凹部32に嵌合しており、この嵌合によって長尺体保持部材Bは基準回転位置に保持されている。また、
図6及び
図7に示すように、長尺体保持部材Bを基準回転位置から回転させた状態では、保持用突起部31が保持用凹部32から外れた状態となり、この状態では連結部分6が保持用突起部31と先端挿入部29の上枠部29Bとで挟持される状態となることで長尺体保持部材Bは基準回転位置以外でも保持されている。
【0027】
長尺体保持部材Bをベース部材Aに取り付ける場合、長尺体保持部材Bの連結部分6の一対の先端部30を、ベース部材Aの一対の先端挿入部29に順次挿入して取り付ける。説明を加えると、まず、長尺体保持部材Bの連結部分6の一方の先端部30を、ベース部材Aにおける一方の先端挿入部29に対して斜め上方から挿入した後、長尺体保持部材Bを連結部分6がベース部材Aと平行となる姿勢に揺動させ、その後、長尺体保持部材Bを他方の先端挿入部29に向けてスライド移動させることで、他方の先端部30を先端挿入部29に挿入させると共に案内用凹部28を案内用突起部27に嵌合させる。
そして、一対の先端挿入部29の夫々は、上述のように先端部30を挿入可能な形状に形成されており、本実施形態では、
図1、
図2及び
図5に示す案内用凹部28が案内用突起部27が嵌合する位置よりも先端部30を先端挿入部29の奥に挿入可能なように、一対の先端挿入部29の夫々にはベース部材Aの長辺方向に貫通する孔が形成されている。
【0028】
ベース部材Aは、長尺体保持部材Bよりもヒンジ特性が低く且つ長尺体保持部材Bより接着剤、具体的には、変成シリコーン系接着剤が接着し易い樹脂によって構成されている。
具体的には、長尺体保持部材Bは、ポリプロピレン又はポリエチレンによって構成され、ベース部材Aは、硬質塩化ビニル又はABS樹脂又はポリカーボネートによって構成されている。
本実施形態では、長尺体保持部材Bは、ポリプロピレンによって構成され、ベース部材Aは、硬質塩化ビニルによって構成されている。
【0029】
ベース部材Aは長尺体保持部材Bより接着剤が接着し易い樹脂によって構成されているため、ベース部材Aを長尺体保持部材Bと同じ樹脂で構成した場合に比べて、被取付面に対してベース部材Aを接着させ易くなっている。
また、長尺体保持部材Bはベース部材Aよりヒンジ特性が高い樹脂によって構成されているため、長尺体保持部材Bをベース部材Aと同じ樹脂で構成した場合に比べて、長尺体保持部材Bに長尺体1を保持させるべく長尺体保持部材Bを変形させた場合でも長尺体保持部材Bが破損し難くなる。具体的には、長尺体保持部材Bを囲繞状態や分離状態に変形させるべく、ヒンジ部8を中心に揺動囲繞部分5Aの揺動部9を揺動させた場合でも、ヒンジ部8が破損し難くなる。
【0030】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0031】
(1)上記実施形態では、囲繞状態における長尺体保持部材Bの内周面の形状をオーバル形状とする例を説明した。しかし、囲繞状態における長尺体保持部材Bの内周面の形状は適宜変更してもよく、例えば、
図8に示すように、囲繞状態における長尺体保持部材Bの内周面の形状を円形状としてもよい。
【0032】
(2)上記実施形態では、取付治具3として、ベース部材Aの厚み(上下方向Zにおける取付面21とベース本体26の上面との間隔)が1種類のものを例として説明した。しかし、取付治具3として、ベース部材Aの厚みが異なる複数種類のものを用意してもよい。例えば、
図1に示すように、囲繞状態における長尺体保持部材Bの内周面の形状をオーバル形状であり、且つ、ベース連結部34を、他のベース部材Aのベース連結部34と上下方向Zに嵌合することで連結するように構成したものにおいて、
図1に示すようなベース部材Aの厚みが薄い種類のものに加えて、
図8に示すようなベース部材Aの厚みが厚い種類のものを用意してもよい。
【0033】
(3)上記実施形態では、ベース部材Aが他のベース部材Aと連結可能な構成とはなっていない例を説明した。しかし、
図8から
図10に示すように、ベース部材Aに、別の取付治具3のベース部材Aと連結するためのベース連結部34を備えて、ベース部材Aを他のベース部材Aと連結可能な構成としてもよい。
図8から
図10に示す例では、ベース部材Aには、複数のベース連結部34が備えられており、1つのベース部材Aに対して複数の別のベース部材Aを連結可能に構成されている。具体的には、
図8から
図10に示す例では、ベース部材Aの長辺方向の両端部の夫々にベース連結部34が備えられており、1つのベース部材Aに対して長辺方向の両側の夫々に別のベース部材Aを連結可能となっており、ベース部材Aの長辺方向に沿って1列に並ぶ状態で2つの別のベース部材Aを連結可能に構成されている。
【0034】
また、
図8から
図10に示すように、ベース連結部34の構造は適宜変更してもよい。例えば、
図8及び
図9に示すように、ベース部材Aに備えられている一対のベース連結部34を、一方を上下方向Zに沿って凹入する形状に形成し、他方を上下方向Zに沿って突出する凸状に形成して、ベース連結部34を、別のベース部材Aのベース連結部34を上下方向Zに嵌合することで連結するように構成してもよい。また、
図10に示すように、ベース連結部34に対して別のベース部材Aのベース連結部34をベース部材Aの短辺に沿う方向に嵌合することで連結するように構成してもよい。
【0035】
(4)上記実施形態では、長尺体保持部材Bをポリプロピレンによって構成し、ベース部材Aを、硬質塩化ビニルによって構成する例を説明した。しかし、ベース部材Aが、長尺体保持部材Bよりヒンジ特性が低く且つ接着剤が接着し易い樹脂によって構成されていれば、ベース部材Aや長尺体保持部材Bの材質は適宜変更してもよい。具体的には、例えば、長尺体保持部材Bを、ヒンジ特性に優れる樹脂であり且つ接着剤が接着し難い難接着性樹脂であるポリエチレンによって構成してもよく、ベース部材Aを、接着剤が接着し易い易接着性樹脂であるABS樹脂やポリカーボネートによって構成してもよい。
【0036】
(5)上記実施形態では、長尺体保持部材Bを、回転軸心P周りに回転可能な状態でベース部材Aに連結する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、長尺体保持部材Bを、回転不可能な状態でベース部材Aに連結する構成としてベース部材Aと長尺体保持部材Bとの連結構造を簡素なものとしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 長尺体
2 被取付面
3 取付治具
5 囲繞部分
21 取付面
22 位置保持部
A ベース部材
B 長尺体保持部材
P 回転軸心