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特開2023-142803情報処理方法、情報処理装置、プログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142803
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20230928BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049896
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 英雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 定之
(72)【発明者】
【氏名】西村 涼太
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】対象の食事に起因する肥満リスクを顕在化する。
【解決手段】情報処理方法は、サーバ10のCPU11が、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習データ(学習用情報)に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデル132に、ユーザー(対象ユーザー)の食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該ユーザーの肥満度を表す肥満度指標(体脂肪率)を推定し、推定された肥満度指標に基づいて、ユーザーの肥満リスクを予測する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の処理部が、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
前記肥満度指標推定モデルは、或る対象が食事を終了した時点から所定時間経過したときに実測された肥満度指標を教師データとして機械学習されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記食事に起因する血糖値の上昇に関する情報は、血糖値データ又は当該血糖値データと相関性のある生体データから得られた情報である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記推定用情報は、前記対象ユーザーの前記食事が行われるごとに取得される情報である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記食事に起因する血糖値の上昇に関する情報は、当該血糖値の上昇曲線の接線の傾きが最大となる点での当該接線の傾きを示す最大斜度、当該上昇曲線のピーク値、及び、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間の各情報である、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記学習用情報は、前記食事に起因する血糖値の上昇に関する情報が測定される対象の運動量であって、当該対象が当該食事を終了した時点から所定時間経過するまでの期間に係る運動量を示す運動量データを含み、
前記推定用情報は、前記対象ユーザーの前記運動量データを含む、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記推定用情報は、前記対象ユーザーの現在の肥満度指標を含み、
前記推定用情報に基づいて推定された前記肥満度指標と、当該推定用情報に含まれている前記対象ユーザーの現在の肥満度指標と、の関係を表すパラメータに基づいて、当該対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記肥満度指標は、体脂肪率又はBMI(Body Mass Index)である、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
処理部を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
情報処理装置のコンピュータに、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定する処理、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する処理、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
情報処理装置と端末装置とが互いに通信接続された情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を、前記端末装置を介して入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
処理部を備え、
前記端末装置は、
前記対象ユーザーの肥満リスクの予測の結果を取得し、
前記結果を表示部に表示させる、
処理部を備えることを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糖尿病に関連する使用者の緊急状態を評価する方法として、例えば、特許文献1には、使用者のグルコース濃度、正常グルコースパターンからの偏差、使用者の体重等のデータに基づいて血糖緊急度指数を決定し、決定された血糖緊急度指数をモバイルデバイスに表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-78648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている方法では、対象の血糖緊急度指数を提示することに留まっており、対象の食事に起因する肥満リスクを顕在化することは行われていない。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、対象の食事に起因する肥満リスクを顕在化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理方法は、
情報処理装置の処理部が、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
ことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
処理部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
情報処理装置のコンピュータに、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定する処理、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する処理、
を実行させることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理システムは、
情報処理装置と端末装置とが互いに通信接続された情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を、前記端末装置を介して入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
処理部を備え、
前記端末装置は、
前記対象ユーザーの肥満リスクの予測の結果を取得し、
前記結果を表示部に表示させる、
処理部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象の食事に起因する肥満リスクを顕在化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】肥満リスク評価システムを示す図である。
図2】サーバの機能構成を示すブロック図である。
図3】端末装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】装着型装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】学習処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6】血糖値データを時系列にプロットしたグラフである。
図7】肥満リスク予測処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
<肥満リスク評価システムの構成>
図1は、本実施形態の肥満リスク評価システム1を示す図である。
図1に示すように、肥満リスク評価システム(情報処理システム)1は、サーバ(情報処理装置)10と、端末装置20と、装着型装置30と、を備える。肥満リスク評価システム1は、端末装置20及び装着型装置30の使用者であるユーザー(対象ユーザー)のパーソナルデータに基づいてユーザーの食事に起因する肥満リスクを予測して、その結果をユーザーに提示する。肥満リスク評価システム1は、複数のユーザーがそれぞれ使用する複数の端末装置20及び複数の装着型装置30を備え、これらの複数のユーザーのパーソナルデータを取得し、当該パーソナルデータに基づいて各ユーザーの食事に起因する肥満リスクを予測して、それぞれの結果を各ユーザーに提示することができる。図1では、1人のユーザーが使用する端末装置20及び装着型装置30が代表して描かれている。
【0014】
図2は、サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、通信部14と、バス15などを備える。サーバ10の各部は、バス15を介して接続されている。なお、サーバ10は、サーバ10の管理者により使用される操作部や表示部などをさらに備えていてもよい。
【0015】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、サーバ10の各部の動作を制御するプロセッサである。本実施形態では、CPU11が「処理部」に相当する。なお、処理部は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが「処理部」に相当する。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0016】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0017】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。また、記憶部13には、肥満度指標推定モデル132が記憶されている。
【0018】
肥満度指標推定モデル132は、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習データ(学習用情報)に基づいて機械学習された学習モデル(学習済モデル)である。この肥満度指標推定モデル132に、ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含むパーソナルデータ(推定用情報)を入力することで、ユーザーの肥満度を表す体脂肪率(肥満度指標)を推定することができる。ここで、推定対象の体脂肪率は、ユーザーが食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過したときの体脂肪率(予測体脂肪率)を意味する。このように推定対象の体脂肪率を、食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過したときのものとしているのは、肝臓の中にストックされた糖質や脂質は食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過すると体脂肪として蓄積されるためである。
【0019】
通信部14は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部14は、この通信動作により、ネットワークNを介して端末装置20との間で情報の送受信を行う。ネットワークNは、例えばインターネットであるが、これに限定されない。
【0020】
図3は、端末装置20の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、端末装置20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、表示部24と、操作部25と、通信部26と、バス27などを備える。端末装置20の各部は、バス27を介して接続されている。端末装置20は、ユーザーにより主に携帯されて用いられる機器であり、例えばスマートフォンである。なお、端末装置20はスマートフォンに限られず、例えば、タブレット型端末やノートPCなどであってもよく、デスクトップPCといった据置型端末であってもよい。
【0021】
CPU21は、記憶部23に記憶されている肥満リスク評価アプリ231等のプログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、端末装置20の各部の動作を制御するプロセッサである。なお、端末装置20は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU21が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0022】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0023】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、ユーザーの食事に起因する肥満リスクを評価するサービスをユーザーに提供するための肥満リスク評価アプリ231等のプログラム及び各種データを記憶する。記憶部23は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部23に格納されている。
【0024】
表示部24は、CPU21による制御下で、肥満リスク評価アプリ231の操作画面や、サーバ10より受信したユーザーの肥満リスクの予測結果などの情報を表示する。表示部24としては、例えば、ドットマトリクス方式で表示を行う液晶表示装置を用いることができるが、これに限られない。
【0025】
操作部25は、ユーザーの入力操作を受け付けて、入力操作に応じた入力信号をCPU21に出力する。操作部25は、表示部24の表示画面に重ねられて設けられたタッチパネルを備え、このタッチパネルによりユーザーの指などの接触を入力操作として検知する。また、操作部25は、タッチパネルとともに、又はタッチパネルに代えて、ハードウェアボタンを備えていてもよく、このハードウェアボタンにより入力操作を受け付け可能であってもよい。
【0026】
通信部26は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部26は、この通信動作により、ネットワークNを介してサーバ10との間で情報の送受信を行う。また、通信部26は、装着型装置30との間で無線通信(本実施形態では、近距離無線通信としてのブルートゥース(登録商標))による情報の送受信を行う。
【0027】
図4は、装着型装置30の機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、装着型装置30は、CPU31と、RAM32と、記憶部33と、血糖値センサ34と、モーションセンサ35と、通信部36と、バス37などを備える。装着型装置30の各部は、バス37を介して接続されている。装着型装置30は、ユーザーの身体(例えば、手首)に装着されて用いられるリスト型端末(ウェアラブル端末)であり、例えばスマートウォッチである。
【0028】
CPU31は、記憶部33に記憶されているプログラム331を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、装着型装置30の各部の動作を制御するプロセッサである。なお、装着型装置30は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU31が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0029】
RAM32は、CPU31に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0030】
記憶部33は、コンピュータとしてのCPU31により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム331及び各種データ(例えば、パーソナルDB(データベース)332など)を記憶する。記憶部33は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラム331は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部33に格納されている。パーソナルDB332には、例えば、年齢、性別、身長、体重、体脂肪率といったユーザーの基本的なパーソナルデータが記録されるとともに、ユーザーの血糖値データ及び運動量データが記録されている。
【0031】
血糖値センサ34は、例えば、高輝度の中赤外線レーザを使用して血糖値を測定する非侵襲性のセンサである。血糖値センサ34は、装着型装置30を装着したユーザーの手首を介して血糖値を所定のサンプリング周波数で測定し、測定結果として血糖値データをCPU31に出力する。CPU31に出力された血糖値データは測定時刻と対応付けられた状態で、CPU31による制御下で記憶部33のパーソナルDB332に記録される。
【0032】
モーションセンサ35は、装着型装置30の運動状態を検出するためのセンサとして、例えば、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサを備える。3軸加速度センサは、ユーザーの運動に応じて装着型装置30に加わる各軸方向の加速度を所定のサンプリング周波数で検出し、検出結果として加速度データをCPU31に出力する。3軸ジャイロセンサは、ユーザーの運動に応じて装着型装置30に加わる各軸回りの角速度を所定のサンプリング周波数で検出し、検出結果として角速度データをCPU31に出力する。3軸地磁気センサは、装着型装置30を通る地磁気の向きを所定のサンプリング周波数で検出し、検出結果として地磁気データをCPU31に出力する。3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ及び3軸地磁気センサから出力されるデータは、互いに直交する3軸についての各信号成分を含む。モーションセンサ35は、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ及び3軸地磁気センサから出力されたアナログ信号をそれぞれ増幅する図示略のアンプと、増幅されたアナログ信号をデジタルデータに変換してCPU31に出力する図示略のADコンバータとを備える。CPU31は、モーションセンサ35から入力された加速度データ、角速度データ、及び、地磁気データに加え、バイタルDB332に記録されているユーザーの基本的なバイタル情報に基づいて、当該ユーザーの運動量を算出し、算出結果として運動量データを、時刻と対応付けて記憶部33のパーソナルDB332に記録する。ここで、運動量とは、ユーザーの基礎代謝量と当該ユーザーの運動による消費カロリーとを総合した総消費カロリー(kcal)を意味する。
なお、モーションセンサ35は、装着型装置30の運動状態を検出可能なものであればよく、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサを備えた構成に限られない。
【0033】
通信部36は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部36は、この通信動作により、端末装置20との間で無線通信(本実施形態では、近距離無線通信としてのブルートゥース)によるデータ(例えば、血糖値データや運動量データ)の送受信を行う。
【0034】
<肥満リスク評価システムの動作>
次に、肥満リスク評価システム1の動作について説明する。
【0035】
(学習処理)
肥満リスク評価システム1の動作として、まず、肥満度指標推定モデル132を機械学習するための学習処理の制御手順について、図5のフローチャートを参照して説明する。
図5は、学習処理の制御手順を示すフローチャートである。学習処理は、サーバ10のCPU11により実行される。ただし、これに限られず、サーバ10の外部に設けられた情報処理装置において実行されてもよい。この学習処理を実行するにあたり、機械学習用のデータとして、多数のユーザーの各々から取得したパーソナルデータが予め用意され記憶部13に記憶されているものとする。このパーソナルデータは、年齢、性別、身長、体重、及び体脂肪率といった各ユーザーの基本的なパーソナルデータに加え、当該ユーザーの血糖値データ及び食後運動量データで構成されている。また、パーソナルデータは、後述の肥満リスク予測処理の予測対象であるユーザーと同様に、多数のユーザーの各々に装着された装着型装置30から取得されたものとする。基本的なパーソナルデータである年齢、性別、身長、体重、及び体脂肪率は、血糖値データのサンプリング対象となる食事の直前に、ユーザーにより登録されたデータであるものとする。血糖値データは、少なくとも食事が行われる直前から当該食事の終了後、所定時間(例えば、2時間)が経過するまでの間にサンプリングされた血糖値データであるものとする。例えば、食事の直前にユーザーに装着型装置30を装着してもらい、当該食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過するまで当該装着型装置30を継続して装着してもらうことにより、血糖値データと食後運動量データとを取得する。ここで、食事が行われる直前のタイミングは、装着型装置30に対するユーザーの入力操作に基づいて、CPU31が、当該タイミングを判定するものとするが、例えば、食事により血糖値が上昇したタイミングに基づいて、CPU31が、当該食事が行われる直前のタイミングを判定してもよい。食後運動量データは、血糖値データのサンプリング対象となる食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過するまでの期間に係る運動量を示す運動量データであるものとする。また、このパーソナルデータには、対象が食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過したときに実測された体脂肪率(肥満度指標)が教師データとして付帯されているものとする。ここで、対象が食事を終了した時点は、装着型装置30に対する当該対象の入力操作に基づいて、CPU31が、当該対象が食事を終了した時点を判定するものとするが、例えば、上記の血糖値データに基づいて、食事により上昇した血糖値が下降して空腹時の値(例えば、70~110mg/dL)に戻ったタイミングの2時間前を、当該対象が食事を終了した時点としてCPU31が判定してもよい。なお、本実施形態の学習処理では、機械学習用のデータとして、多数のユーザーの各々からパーソナルデータを取得しているが、当該多数のユーザーには、後述の肥満リスク予測処理の予測対象であるユーザーは含まれていないものとする。
【0036】
学習処理が開始されると、CPU11は、一の対象のパーソナルデータを記憶部13から取得する(ステップS1)。
【0037】
次いで、CPU11は、ステップS1で取得されたパーソナルデータに含まれている血糖値データに基づいて、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を特徴量として抽出する(ステップS2)。具体的には、図6に示すように、血糖値データを時系列にプロットしたグラフ(1回の食事の前後の10時間の血糖値変化を表したグラフ)から、血糖値が所定の規定値(例えば、140mg/dL)を超える上昇曲線を捉え、当該上昇曲線の上昇開始(すなわち食事により血液中に糖が入ったタイミング)の日時(DateTime)、当該上昇曲線の最大斜度(Slope)、当該上昇曲線のピーク値(Peak)、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間(Period)を特徴量として抽出する。具体的には、或る基準値(例えば、100mg/dL(正常な空腹時血糖値))に対して血糖値が所定値以上増加した時点を、上昇曲線の上昇開始の日時として抽出する。また、上昇曲線の接線の傾き(変化率)が最大となる時点での当該接線の傾きを、当該上昇曲線の最大斜度として抽出する。また、上昇曲線において血糖値が最大となる時点での当該血糖値を、当該上昇曲線のピーク値として抽出する。これらの情報を特徴量として抽出しているのは、食事に起因する血糖値の上昇から収束までに要する時間は2時間前後であるが、食事の量や質などに応じて、上述した上昇曲線の最大斜度、当該上昇曲線のピーク値、及び、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間のそれぞれが大きく変化するためである。一般的な肥満のメカニズムによれば、上記の特徴量(Slope、Peak、Period)は、各々の数値が大きいほど脂肪の蓄積が高まる傾向にあり、肥満リスクを増大させる主要な特徴量となっている。
【0038】
次いで、CPU11は、ステップS2で抽出された特徴量を含む学習データを取得する(ステップS3)。具体的には、CPU11は、上記特徴量である食事に起因する血糖値の上昇に関する情報、すなわち当該血糖値の上昇曲線の上昇開始の日時(DateTime)、当該上昇曲線の最大斜度(Slope)、当該上昇曲線のピーク値(Peak)、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間(Period)に加えて、ステップS1で取得されたパーソナルデータのうちの基本的なパーソナルデータ(年齢、性別、身長、体重、及び体脂肪率)、食後運動量データ、及び教師データを学習データとして取得する。
【0039】
次いで、CPU11は、ステップS3で取得された学習データで肥満度指標推定モデル132を機械学習させる(ステップS4)。具体的には、取得された学習データを肥満度指標推定モデル132に入力したときに当該肥満度指標推定モデル132から出力される値(体脂肪率)が、当該学習データに含まれている教師データの値に近づくように、誤差逆伝播法により、肥満度指標推定モデル132の重み係数とバイアスの値を更新する。
【0040】
次いで、CPU11は、ステップS1~ステップS4の一連の処理を所定回数繰り返したか否かを判定する(ステップS5)。所定回数とは、記憶部13に予め記憶されている機械学習用のデータであるパーソナルデータの個数分の回数である。
【0041】
ステップS5において、ステップS1~ステップS4の一連の処理を所定回数繰り返していないと判定された場合(ステップS5;NO)、CPU11は、処理をステップS1に戻し、それ以降の処理の繰り返し行う。なお、処理をステップSに戻し、一の対象のパーソナルデータを取得する場合、それまで取得したパーソナルデータに係る対象とは異なる対象のパーソナルデータを取得する、すなわち、対象が重複しないようにパーソナルデータを取得する。
【0042】
また、ステップS5において、ステップS1~ステップS4の一連の処理を所定回数繰り返したと判定された場合(ステップS5;YES)、CPU11は、学習処理を終了させる。以上の学習処理によって、肥満度指標推定モデル132(学習済モデル)が生成される。
【0043】
(肥満リスク予測処理)
次に、肥満リスク予測処理の制御手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。
図7は、肥満リスク予測処理の制御手順を示すフローチャートである。肥満リスク予測処理は、サーバ10のCPU11により実行される。また、肥満リスク予測処理は、端末装置20の肥満リスク評価アプリ231上で、ユーザーから食事に起因する肥満リスクの予測結果を表示する指示が入力された場合に開始される。ここで、食事に起因する肥満リスクの予測結果を表示する指示は、各日の所定時刻(例えば、朝6時00分など)に行われるものとする。肥満リスクの予測対象であるユーザーは、上述の学習処理でパーソナルデータを提供した多数のユーザーには含まれていないものとする。なお、肥満リスク予測処理の実行にあたり、ユーザーのパーソナルデータが予め装着型装置30から端末装置20に転送されているものとし、上記の指示が入力された場合に、当該パーソナルデータが端末装置20からサーバ10に送信されるようになっている。パーソナルデータには、例えば、年齢、性別、身長、体重、及び体脂肪率といった当該ユーザーの基本的なパーソナルデータの他、当該ユーザーの血糖値データ及び食後運動量データが含まれている。基本的なパーソナルデータである年齢及び性別は、ユーザーの血糖値データのサンプリング対象となる食事の直前に登録されたデータである。また、身長、体重、及び体脂肪率は、ユーザーの血糖値データのサンプリング対象となる食事の直前に計測されたデータと、当該食事の終了時点から所定時間(例えば、48時間)経過したときに計測されたデータとで構成されている。血糖値データは、少なくとも食事が行われる直前から当該食事の終了後、所定時間(例えば、2時間)が経過するまでの間にサンプリングされた血糖値データである。ここで、食事が行われる直前のタイミングは、装着型装置30に対するユーザーの入力操作に基づいて、CPU31が、当該タイミングを判定するものとするが、例えば、食事により血糖値が上昇したタイミングに基づいて、CPU31が、当該食事が行われる直前のタイミングを判定してもよい。食後運動量データは、血糖値データのサンプリング対象となる食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過するまでの期間に係る運動量を示す運動量データである。つまり、パーソナルデータは、ユーザーの食事(血糖値データのサンプリング対象となる食事)が行われるごとに取得(生成)されるデータとなっており、後述のステップS13で取得される推定用情報についてもユーザーの食事が行われるごとに取得される情報となっている。
【0044】
肥満リスク予測処理が開始されると、CPU11は、端末装置20から送信されたユーザーのパーソナルデータを取得(受信)する(ステップS11)。
【0045】
次いで、CPU11は、ステップS11で取得されたパーソナルデータに含まれている血糖値データに基づいて、ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を特徴量として抽出する(ステップS12)。具体的には、CPU11は、上述の学習処理のステップS2と同様にして、ユーザーの血糖値の上昇曲線の上昇開始の日時(DateTime)、当該上昇曲線の最大斜度(Slope)、当該上昇曲線のピーク値(Peak)、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間(Period)を特徴量として抽出する。
【0046】
次いで、CPU11は、ステップS12で抽出された特徴量を含む推定用情報を取得する(ステップS13)。具体的には、CPU11は、上記特徴量である食事に起因する血糖値の上昇に関する情報、すなわち当該血糖値の上昇曲線の上昇開始の日時(DateTime)、当該上昇曲線の最大斜度(Slope)、当該上昇曲線のピーク値(Peak)、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間(Period)に加えて、ステップS11で取得されたユーザーのパーソナルデータのうちの基本的なパーソナルデータ(年齢、性別、身長、体重、及び体脂肪率)、及び食後運動量データを推定用情報として取得する。ここで、食後運動量データは、食事を終了した時点から所定時間(例えば、48時間)経過するまでの期間に係る運動量を示す運動量データである。
【0047】
次いで、CPU11は、ステップS13で取得された推定用情報を肥満度指標推定モデル132に入力し、肥満度指標推定モデル132により肥満度指標である体脂肪率(予測体脂肪率)を推定させ、取得する(ステップS14)。
【0048】
次いで、CPU11は、ステップS14で肥満度指標推定モデル132により推定させて取得した肥満度指標である体脂肪率(予測体脂肪率)に基づいて、ユーザーの食事に起因する肥満リスクを予測する(ステップS15)。具体的には、CPU11は、ステップS14で推定された体脂肪率(予測体脂肪率)を、ステップS13で推定用情報として取得した体脂肪率(対象となる食事の前に計測された体脂肪率(現在体脂肪率))で割ることにより、ユーザーの食事に起因する肥満リスク(=予測体脂肪率/現在体脂肪率)を導出する。そして、CPU11は、例えば、導出された肥満リスクの値が第2所定値(例えば1.05)を超えている場合、体脂肪率が増大傾向にあると予測する。また、CPU11は、例えば、導出された肥満リスクの値が第1所定値(例えば0.95)と第2所定値(例えば1.05)とで規定される所定範囲内にある場合、体脂肪率は維持傾向にあると予測する。また、CPU11は、例えば、導出された肥満リスクの値が第1所定値を下回っている場合、体脂肪率が減少傾向にあると予測する。
【0049】
次いで、CPU11は、ユーザーの食事に起因する肥満リスクの予測結果の情報を端末装置20に送信し、端末装置20によりユーザーに対して当該肥満リスクの予測結果を表示部24に提示させ(ステップS16)、肥満リスク予測処理を終了させる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理方法は、サーバ10のCPU11が、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習データ(学習用情報)に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデル132に、ユーザー(対象ユーザー)の食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報(パーソナルデータ)を入力(図7のステップS13)することで、当該ユーザーの肥満度を表す肥満度指標(体脂肪率)を推定(図7のステップS14)し、推定された肥満度指標に基づいて、ユーザーの肥満リスクを予測(図7のステップS15)する。
したがって、本実施形態に係る情報処理方法によれば、ユーザーの食事に起因する肥満リスクを顕在化することができる。この結果、ユーザーに対して食事に関する理解や反省を促すことができ、延いてはユーザーの特性に合った食事コントロールが可能となる。
【0051】
また、肥満度指標推定モデル132は、或る対象が食事を終了した時点から所定時間経過したときに実測された体脂肪率(肥満度指標)を教師データとして機械学習されたものである。これによれば、或る対象が食事を終了した時点から所定時間経過したとき、すなわち、肝臓の中にストックされた糖質や脂質が体脂肪として蓄積されるタイミングに実測された体脂肪率を教師モデルとして用いることで肥満度指標推定モデル132の学習精度を高めることができる。この結果、肥満度指標推定モデル132により、ユーザーの体脂肪率(予測体脂肪率)をより正確に推定することができる。
【0052】
また、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報は、血糖値データから得られた情報である。これにより、信頼性の高い上記情報を用いて肥満度指標推定モデル132を機械学習することができる。この結果、肥満度指標推定モデル132により、ユーザーの体脂肪率(予測体脂肪率)をより一層正確に推定することができる。
【0053】
また、推定用情報は、ユーザーの食事が行われるごとに取得される情報であるので、当該ユーザーの体脂肪率(予測体脂肪率)を、当該食事が行われるごとに推定することができる。
【0054】
また、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報は、当該血糖値の上昇曲線の最大斜度、当該上昇曲線のピーク値、及び、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間の各情報である。したがって、過剰なインスリンの分泌による体脂肪の蓄積に大きく関わる上記の各情報を用いて肥満度指標推定モデル132を機械学習することができる。この結果、肥満度指標推定モデル132により、ユーザーの体脂肪率(予測体脂肪率)をより一層正確に推定することができる。
【0055】
また、学習データは、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報が測定される対象の運動量であって、当該対象が当該食事を終了した時点から所定時間経過するまでの期間に係る運動量を示す食後運動量データを含み、推定用情報は、ユーザーの上記食後運動量データを含む。これにより、肝臓の中にストックされた糖質や脂質が脂肪に変わることを運動により阻止することが可能な期間に係るユーザーの運動量を加味して、当該ユーザーの体脂肪率(予測体脂肪率)を推定することができる。この結果、肥満度指標推定モデル132により、ユーザーの体脂肪率(予測体脂肪率)をより一層正確に推定することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る情報処理方法は、推定用情報に基づいて推定された体脂肪率(予測体脂肪率)と、当該推定用情報に含まれているユーザーの対象となる食事の前に計測された体脂肪率と、の比率(関係)を表すパラメータに基づいて、当該ユーザーの肥満リスクを予測する。
したがって、本実施形態に係る情報処理方法によれば、ユーザーの予測体脂肪率と対象となる食事の前に計測された体脂肪率とを比べることにより、当該ユーザーの肥満リスクを予測するので、当該肥満リスクの予測を的確に行うことができる。
【0057】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、ユーザーの1回の食事を対象として肥満リスクの予測を行っているが、例えば、日ごと又は週ごとなど、任意の期間に行われた全ての食事を対象として肥満リスクの予測を行ってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、食事に起因する血糖値の上昇に関する情報は、血糖値データから抽出しているが、当該情報を血糖値データと相関性のある生体データ(例えば、生体インピーダンス)から抽出してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、推定用情報に基づいて推定された体脂肪率(予測体脂肪率)と、当該推定用情報に含まれているユーザーの対象となる食事の前に計測された体脂肪率と、の比率を表すパラメータに基づいて、当該ユーザーの肥満リスクを予測しているが、推定用情報に基づいて推定された体脂肪率(予測体脂肪率)と、当該推定用情報に含まれているユーザーの対象となる食事の前に計測された体脂肪率と、の差分を表すパラメータに基づいて、当該ユーザーの肥満リスクを予測してもよい。具体的には、予測体脂肪率から対象となる食事の前に計測された体脂肪率(現在体脂肪率)を減算することにより、ユーザーの食事に起因する肥満リスク(=予測体脂肪率-現在体脂肪率)を導出する。例えば、導出された肥満リスクの値が第2所定値(例えば0.05)を超えている場合、体脂肪率が増大傾向にあると予測する。また、例えば、導出された肥満リスクの値が第1所定値(例えば-0.05)~第2所定値(例えば+0.05)の範囲にある場合、体脂肪率は維持傾向にあると予測する。また、例えば、導出された肥満リスクの値が第1所定値を下回っている場合、体脂肪率が減少傾向にあると予測する。
【0060】
また、上記実施形態では、ユーザーの肥満度を表す肥満度指標として体脂肪率を用いているが、例えば、BMI(Body Mass Index)を用いてもよい。かかる場合、パーソナルデータには、体脂肪率の代わりにBMIを含むものとする。
【0061】
また、上記実施形態では、ユーザーが実際に食事を行った際に測定された血糖値データから当該食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を抽出し、当該情報を含む推定用情報に基づいて体脂肪率(予測体脂肪率)を推定して肥満リスクを予測しているが、例えば、食事メニューごとに当該食事メニューによる食事を行った場合の血糖値データを紐付けて用意しておき、ユーザーが所望の食事メニューを選択すると、当該食事メニューに対応する血糖値データから当該食事メニューによる食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を抽出し、当該情報を含む推定用情報に基づいて体脂肪率(予測体脂肪率)を推定して肥満リスクを予測できるようにしてもよい。これによれば、肥満リスクを考慮しながら食事メニューの選択ができるようになる。
【0062】
また、上記実施形態では、肥満リスクの予測結果を、端末装置20によりユーザーに対して提示しているが、例えば、当該肥満リスクの予測結果や付随する情報等を、1日分、1週間分、1か月分といったように一定の期間を対象として集計し、当該情報をグラフ化、イラスト化、マトリクス状に配置するなどして俯瞰した提示を行うようにしてもよい。これによれば、時間や曜日、月ごと等のパターンを発見できるようにして、長期的な視点での食事の改善をサポートすることができる。
【0063】
また、上記実施形態において、情報処理装置としてのサーバ10が行っていた処理(例えば、肥満リスク予測処理)を、端末装置20が実行してもよい。この場合には、端末装置20が情報処理装置に相当し、端末装置20のCPU21が処理部に相当する。
また、上記実施形態において、情報処理装置としてのサーバ10が行っていた処理(例えば、肥満リスク予測処理)を、装着型装置30が実行してもよい。この場合には、装着型装置30が情報処理装置に相当し、装着型装置30のCPU31が処理部に相当する。
【0064】
また、端末装置20及び装着型装置30を統合してもよい。例えば、上記実施形態において端末装置20が実行していた機能を装着型装置30が実行可能である場合には、端末装置20を省略してもよい。
【0065】
また、記憶部13に記憶されている肥満度指標推定モデル132は、サーバ10の外部に設けられた外部記憶装置に記憶されていてもよい。この場合には、CPU11は、肥満度指標推定モデル132による出力を外部記憶装置から取得すればよい。
【0066】
また、上記した実施形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13、23、33を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD、SSD,フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0067】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
情報処理装置の処理部が、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
ことを特徴とする情報処理方法。
<請求項2>
前記肥満度指標推定モデルは、或る対象が食事を終了した時点から所定時間経過したときに実測された肥満度指標を教師データとして機械学習されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
<請求項3>
前記食事に起因する血糖値の上昇に関する情報は、血糖値データ又は当該血糖値データと相関性のある生体データから得られた情報である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理方法。
<請求項4>
前記推定用情報は、前記対象ユーザーの前記食事が行われるごとに取得される情報である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
<請求項5>
前記食事に起因する血糖値の上昇に関する情報は、当該血糖値の上昇曲線の接線の傾きが最大となる点での当該接線の傾きを示す最大斜度、当該上昇曲線のピーク値、及び、当該血糖値が規定値を超えてから当該規定値を下回るまでの時間の各情報である、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
<請求項6>
前記学習用情報は、前記食事に起因する血糖値の上昇に関する情報が測定される対象の運動量であって、当該対象が当該食事を終了した時点から所定時間経過するまでの期間に係る運動量を示す運動量データを含み、
前記推定用情報は、前記対象ユーザーの前記運動量データを含む、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
<請求項7>
前記推定用情報は、前記対象ユーザーの現在の肥満度指標を含み、
前記推定用情報に基づいて推定された前記肥満度指標と、当該推定用情報に含まれている前記対象ユーザーの現在の肥満度指標と、の関係を表すパラメータに基づいて、当該対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
<請求項8>
前記肥満度指標は、体脂肪率又はBMI(Body Mass Index)である、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
<請求項9>
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
処理部を備えることを特徴とする情報処理装置。
<請求項10>
情報処理装置のコンピュータに、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定する処理、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する処理、
を実行させることを特徴とするプログラム。
<請求項11>
情報処理装置と端末装置とが互いに通信接続された情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む学習用情報に基づいて機械学習された肥満度指標推定モデルに、対象ユーザーの食事に起因する血糖値の上昇に関する情報を含む推定用情報を、前記端末装置を介して入力することで、当該対象ユーザーの肥満度を表す肥満度指標を推定し、
推定された前記肥満度指標に基づいて、前記対象ユーザーの肥満リスクを予測する、
処理部を備え、
前記端末装置は、
前記対象ユーザーの肥満リスクの予測の結果を取得し、
前記結果を表示部に表示させる、
処理部を備えることを特徴とする情報処理システム。
【符号の説明】
【0068】
1 肥満リスク評価システム
10 サーバ(情報処理装置)
11 CPU(処理部)
12 RAM
13 記憶部
131 プログラム
132 肥満度指標推定モデル
14 通信部
15 バス
20 端末装置
21 CPU
22 RAM
23 記憶部
231 肥満リスク評価アプリ
24 表示部
25 操作部
26 通信部
27 バス
30 装着型装置(ウェアラブル端末)
31 CPU
32 RAM
33 記憶部
331 プログラム
332 バイタルDB
34 血糖値センサ
35 モーションセンサ
36 通信部
37 バス
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7