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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142806
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ベルト搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049902
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 泰正
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA02
2H200FA04
2H200FA17
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA44
2H200GA47
2H200GB22
2H200GB43
2H200HA03
2H200HB12
2H200JA02
2H200JB10
2H200JC03
2H200JC07
2H200JC09
2H200JC10
2H200JC12
2H200JC19
2H200KA01
2H200LA17
2H200PA14
(57)【要約】
【課題】小型化が図られた構成で、ベルトの蛇行を停止させることが可能なベルト搬送装置を提供する。
【解決手段】ベルト搬送装置40の補正機構50は、一対の傾斜軸受52と、一対の本体ガイド54と、を備え、中間転写ベルト41の蛇行を補正する。一対の傾斜軸受52は、テンションローラー43の軸線方向Dxに対して対称に傾斜する一対の傾斜部521を有し、軸線方向Dxに移動可能である。一対の本体ガイド54は、一対の傾斜部521に接触し、中間転写ベルト41が蛇行することで移動する一対の傾斜軸受52とともにテンションローラー43の軸線方向Dxの一端部側を軸線方向Dxと直交する方向に移動させる。一対の傾斜部521及び一対の本体ガイド54は、軸線方向Dxと直交する方向から見て、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部よりも内側に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルトと、
前記ベルトを回転可能に架設する複数のローラーと、
前記ローラーに対する前記ベルトの蛇行を補正する補正機構と、
を備え、
前記補正機構は、
前記ローラーの軸線方向に対して対称に傾斜する一対の傾斜部を有し、複数の前記ローラーのうちいずれかの前記ローラーの軸部を回転可能に支持するとともに前記ローラーの軸線方向に移動可能な一対の傾斜軸受と、
前記一対の傾斜部に接触し、前記ベルトが蛇行することで前記ローラーの軸線方向に移動する前記一対の傾斜軸受とともに前記ローラーの軸線方向の一端部側を軸線方向と直交する方向に移動させる一対の本体ガイドと、
を備え、
前記一対の傾斜部及び前記一対の本体ガイドは、前記ローラーの軸線方向と直交する方向から見て、前記ローラーの軸線方向両端部よりも内側に配置されることを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項2】
前記一対の傾斜部及び前記一対の本体ガイドは、前記ローラーの下側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
前記一対の本体ガイドは、前記ローラーの軸線方向と直交する方向に延び、外周面が前記一対の傾斜部に接触する一対の円柱部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項4】
前記一対の本体ガイドは、前記一対の傾斜部に接触しながら前記ローラーの軸線方向と直交する方向に延びる軸線回りに回転する一対の回転体で構成されることを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項5】
前記補正機構は、前記一対の傾斜軸受を前記一対の本体ガイドに向けて付勢し、前記一対の傾斜軸受と前記一対の本体ガイドとの接触を維持する一対の付勢部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項6】
複数の画像形成部と、
前記画像形成部に隣接して配置され、前記画像形成部によって画像が記録される記録媒体を搬送する請求項1に記載のベルト搬送装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
複数の画像形成部と、
前記画像形成部に隣接して配置され、前記ベルトが、前記画像形成部で形成されたトナー像が順次重ねて転写される中間転写ベルトである請求項1に記載のベルト搬送装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置の構成要素として、例えば複数の感光体ドラムで形成された異なる色のトナー像が順次重ねて一次転写され、さらに当該トナー像を用紙に二次転写する中間転写ベルトや、用紙を吸着して搬送する搬送ベルトなど、無端状のベルトを備えるベルト搬送装置が知られている。ベルト搬送装置では、ベルトを回転可能に架設するローラーの軸線方向にベルトがずれ、ベルトが蛇行するという問題があった。
【0003】
この問題に対して、ローラーのアライメントを調整することによってベルトの蛇行を停止させる技術が提案された。ローラーのアライメントを調整することによってベルトの蛇行を停止させる従来技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1で開示された従来の画像形成装置は、ローラーに掛け渡されたベルトの、ローラーの軸方向への移動によってローラーを傾斜させる軸傾斜部及び軸ガイド部を備える。軸ガイド部は、軸傾斜部の傾斜面に接触するとともに、移動しないように固定される。この画像形成装置では、ベルトがローラーの軸線方向に移動(蛇行)すると、軸ガイド部に接触する傾斜面の位置が上下方向にずれ、軸傾斜部及びローラーが傾斜する。ローラーが傾斜することで、ベルトは大きく傾斜し、ローラーの軸線方向に対して元の位置に戻る方向に移動し、ベルトの蛇行を補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-211612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、ベルトの蛇行を補正する補正機構が、ベルトが掛け渡されたローラーの軸線方向外側に配置され、ローラーの軸線方向に装置が大型化することが課題であった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、小型化が図られた構成で、ベルトの蛇行を停止させることが可能なベルト搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のベルト搬送装置は、無端状のベルトと、複数のローラーと、補正機構と、を備える。前記複数のローラーは、前記ベルトを回転可能に架設する。前記補正機構は、前記ローラーに対する前記ベルトの蛇行を補正する。前記補正機構は、一対の傾斜軸受と、一対の本体ガイドと、を備える。前記一対の傾斜軸受は、前記ローラーの軸線方向に対して対称に傾斜する一対の傾斜部を有し、複数の前記ローラーのうちいずれかの前記ローラーの軸部を回転可能に支持するとともに前記ローラーの軸線方向に移動可能である。前記一対の本体ガイドは、前記一対の傾斜部に接触し、前記ベルトが蛇行することで前記ローラーの軸線方向に移動する前記一対の傾斜軸受とともに前記ローラーの軸線方向の一端部側を軸線方向と直交する方向に移動させる。前記一対の傾斜部及び前記一対の本体ガイドは、前記ローラーの軸線方向と直交する方向から見て、前記ローラーの軸線方向両端部よりも内側に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、ローラーを傾斜させる補正機構の一対の傾斜部及び一対の本体ガイドが、ローラーの軸線方向両端部よりも外側に位置していない。すなわち、ローラーの軸線方向において、装置の小型化を図ることができる。したがって、小型化が図られた構成で、ベルトの蛇行を停止させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の概略断面正面図である。
図2図1の画像形成装置のベルト搬送装置の概略断面正面図である。
図3】第1実施形態のベルト搬送装置の側面図である。
図4図3のベルト搬送装置のテンションローラー周辺の部分側面図である。
図5図4のテンションローラー周辺の部分側面図であって、中間転写ベルトが蛇行した状態を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態のベルト搬送装置のテンションローラー周辺の部分側面図である。
図7】本発明の第3実施形態のベルト搬送装置のテンションローラー周辺の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態の画像形成装置1の概略断面正面図である。図2は、図1の画像形成装置1のベルト搬送装置の概略断面正面図である。本実施形態の画像形成装置1の一例としては、中間転写ベルト41を用いてトナー像を用紙Sに転写するタンデム方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、例えば印刷、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたいわゆる複合機であって良い。
【0013】
画像形成装置1は、図1に示すように、その本体2に設けられた、給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、用紙排出部7及び制御部8を備える。
【0014】
給紙部3は、本体2の底部に配置される。給紙部3は、印刷前の複数枚の用紙(記録媒体)Sを収容し、印刷時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、本体2の側壁に沿って上下方向に延びる。用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Sを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Sを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。露光部5は、給紙部3の上側に配置される。露光部5は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部20に向かって照射する。
【0015】
画像形成部20は、露光部5の上側、且つ中間転写ベルト41の下側に配置される。画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Yと、シアン用の画像形成部20Cと、マゼンタ用の画像形成部20Mと、ブラック用の画像形成部20Bと、を含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。これにより、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の識別記号は省略することがある。
【0016】
画像形成部20は、所定の方向(図1及び図2における時計回り)に回転可能に支持された感光体ドラム(像担持体)21を備える。画像形成部20は、さらに感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って帯電部22、現像部23及びドラムクリーニング部24を備える。なお、現像部23とドラムクリーニング部24との間に一次転写部32が配置される。
【0017】
感光体ドラム21は、外周面に感光層を有する。帯電部22は、感光体ドラム21の外周面を所定電位に帯電させる。露光部5は、帯電部22によって帯電された感光体ドラム21の外周面を露光し、感光体ドラム21の外周面に原稿画像の静電潜像を形成する。現像部23は、この静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。4つの画像形成部20それぞれは、異なる色のトナー像を形成する。ドラムクリーニング部24は、トナー像が中間転写ベルト41の外周面に一次転写された後に、感光体ドラム21の外周面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。このようにして、画像形成部20は、後に用紙Sに転写される画像(トナー像)を形成する。
【0018】
転写部30は、ベルト搬送装置40と、一次転写部32Y、32C、32M、32Bと、二次転写部33と、ベルトクリーニング部34と、を備える。ベルト搬送装置40は、4つの画像形成部20の上側に配置される。ベルト搬送装置40は、所定の方向(図1及び図2における反時計回り)に回転可能に支持された中間転写ベルト41を備える。中間転写ベルト41は、4つの画像形成部20それぞれにおいて感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像が順次重ねて一次転写される無端状の中間転写体である。4つの画像形成部20は、中間転写ベルト41の回転方向上流側から下流側に向けて一列に並んだいわゆるタンデム方式にして配置される。
【0019】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、中間転写ベルト41を挟んで、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上側に配置される。二次転写部33は、用紙搬送部4の用紙搬送方向に対して定着部6よりも上流側であって、中間転写ベルト41の回転方向に対して4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、中間転写ベルト41の回転方向に対して二次転写部33よりも下流側に配置される。
【0020】
一次転写部32は、感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト41に転写する。言い換えれば、トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bで中間転写ベルト41の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト41の回転とともに所定のタイミングで4つの画像形成部20のトナー像が連続して重ねて中間転写ベルト41に転写されることにより、中間転写ベルト41の外周面にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0021】
中間転写ベルト41の外周面のカラートナー像は、用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Sに、二次転写部33に形成される二次転写ニップ部で転写される。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト41の外周面に残留するトナー等の付着物を除去してクリーニングする。このようにして、転写部30は、感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像を用紙Sに転写(記録)する。
【0022】
定着部6は、二次転写部33の上側に配置される。定着部6は、トナー像が転写された用紙Sを加熱、加圧してトナー像を用紙Sに定着させる。
【0023】
用紙排出部7は、転写部30の上側に配置される。トナー像が定着されて印刷が完了した用紙Sは、用紙排出部7に搬送される。用紙排出部7は、上側から印刷後の用紙(印刷物)が取り出される。
【0024】
制御部8は、CPU、画像処理部、記憶部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置1に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置1の機能に係る処理を行う。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30及び定着部6のそれぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの印刷を行う。記憶部は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0025】
続いて、ベルト搬送装置40の構成について、図2を用いて説明する。
【0026】
ベルト搬送装置40は、図2に示すように、4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bに沿って、それらの上側に配置される。ベルト搬送装置40は、中間転写ベルト41と、駆動ローラー42と、テンションローラー43と、一対のテンションばね44と、一対のテンションガイド部材45と、を備える。
【0027】
中間転写ベルト41は、複数のローラーに回転可能に架設される無端状のベルトである。この複数のローラーは、本実施形態では、駆動ローラー42と、テンションローラー43と、を含む。4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bのそれぞれの上側には、中間転写ベルト41を隔てて一次転写ローラー32rが配置される。4つの一次転写ローラー32rのそれぞれは、中間転写ベルト41を挟んで感光体ドラム21と対向する位置に配置され、中間転写ベルト41の内周面に接触する。
【0028】
駆動ローラー42は、中間転写ベルト41の回転方向に対して4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも下流側に配置される。駆動ローラー42は、駆動モーター(不図示)から動力を得て、中間転写ベルト41を図2における反時計回りに回転させる。
【0029】
駆動ローラー42は、二次転写部33に隣接して配置される。二次転写部33には、二次転写ローラー33rが配置される。二次転写ローラー33rは、中間転写ベルト41を挟んで駆動ローラー42と対向する位置に配置され、中間転写ベルト41の外周面に接触する。
【0030】
テンションローラー43は、中間転写ベルト41の回転方向に対して4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも上流側に配置される。テンションローラー43は、中間転写ベルト41の回転に従って、図2における反時計回りに回転する。テンションローラー43は、一対のテンションばね44によって、駆動ローラー42から離隔する方向に付勢される。これにより、中間転写ベルト41に、所定のテンションが付与される。
【0031】
一対のテンションばね44は、一対のテンションガイド部材45内に保持されている。一対のテンションばね44は、例えば圧縮コイルばねで構成され、一対のテンションガイド部材45とテンションローラー43の軸部431との間に配置される。一対のテンションばね44は、テンションローラー43を駆動ローラー42から離隔する方向に付勢している。
【0032】
一対のテンションガイド部材45のそれぞれは、テンションローラー43の軸線方向(図2の紙面奥行き方向)の両端部に配置される。一対のテンションガイド部材45のそれぞれは、テンションローラー43に対して駆動ローラー42に接近する方向に配置された、テンションローラー43の軸線方向と平行に延びる軸部451を有する。一対のテンションガイド部材45は、軸部451の軸線回りに回転可能に本体2に支持されている。
【0033】
一対のテンションガイド部材45は、例えば板金で構成され、テンションローラー43の軸線方向と直交する方向、且つ上下方向に延びる。一対のテンションガイド部材45は、テンションローラー43の軸部431を、駆動ローラー42に対して接近、離隔する方向に移動可能に支持する。一対のテンションガイド部材45は、一対のテンションガイド部材45の下側に配置された後述する一対の付勢部材55によって、軸部451の軸線を中心としてテンションローラー43側が下側に向かって回転する方向に付勢されている。
【0034】
<第1実施形態>
続いて、第1実施形態のベルト搬送装置40のテンションローラー43周辺の構成について、図3図4及び図5を用いて説明する。図3は、第1実施形態のベルト搬送装置40の側面図である。図4は、図3のベルト搬送装置40のテンションローラー43周辺の部分側面図である。図5は、図4のテンションローラー43周辺の部分側面図であって、中間転写ベルト41が蛇行した状態を示す図である。
【0035】
なお、図4及び図5は、テンションローラー43の軸線方向Dxの一端部周辺を、テンションローラー43の軸線方向Dxと直交する側方から見た図である。図4及び図5において、図の左側がテンションローラー43の軸線方向Dxの内側であり、図の右側がテンションローラー43の軸線方向Dxの外側である。また、説明の便宜上、図3では、後述する連結部材53を二点鎖線で描画し、他の構成要素を視認し易くした。また、図4及び図5では、連結部材53の描画を省略した。これらのことは、後述する図6及び図7も同様である。
【0036】
ベルト搬送装置40は、さらに、図3図4及び図5に示す補正機構50を備える。補正機構50は、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部、及びテンションローラー43の下側に配置される。補正機構50は、テンションローラー43に対する中間転写ベルト41の蛇行を補正する。補正機構50は、一対のベルトガイド51と、一対の傾斜軸受52と、連結部材53と、一対の本体ガイド54と、一対の付勢部材55と、を備える。
【0037】
一対のベルトガイド51は、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部それぞれに配置される。一対のベルトガイド51は、テンションローラー43の軸線方向Dxに対し、一対の傾斜軸受52よりも内側で、且つ中間転写ベルト41よりも外側に位置する。一対のベルトガイド51は、テンションローラー43の軸線方向Dxに移動可能である。
【0038】
一対のベルトガイド51は、テンションローラー43の軸線を中心として径方向に広がり、中間転写ベルト41の外周面よりも径方向外側に突出する円環状の部材でる。テンションローラー43の軸部431は、一対のベルトガイド51の径方向中心部を軸線方向Dxに貫通する。一対のベルトガイド51は、テンションローラー43の軸線方向Dxにおいて中間転写ベルト41の側端縁41eと対向し、接触する。
【0039】
一対の傾斜軸受52は、一対のベルトガイド51よりもテンションローラー43の軸線方向Dxの外側に配置される。一対の傾斜軸受52は、テンションローラー43の軸部431を軸線回りに回転可能に支持する。一対の傾斜軸受52は、テンションローラー43の軸線方向Dxに移動可能である。
【0040】
連結部材53は、テンションローラー43の側方であってテンションローラー43の径方向外側に、テンションローラー43に対して離間して配置される。連結部材53は、上下方向及びテンションローラー43の軸線方向Dxに沿って延びる板状部材である。連結部材53は、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部それぞれにおいて、一対の傾斜軸受52のそれぞれに接続する。すなわち、連結部材53は、一対の傾斜軸受52を連結する。これにより、一対の傾斜軸受52は、テンションローラー43の軸線方向Dxにおいて、同一方向に、同じタイミングで移動する。
【0041】
また、一対の傾斜軸受52は、一対の傾斜部521を有する。一対の傾斜部521のそれぞれは、一対の傾斜軸受52それぞれの下部に配置される。さらに、一対の傾斜部521のそれぞれは、テンションローラー43の軸線方向Dxと直交する側方から見て、テンションローラー43の下側に位置する。一対の傾斜部521のそれぞれは、一対の本体ガイド54のそれぞれと対向する。
【0042】
一対の傾斜部521の外面は、テンションローラー43の軸線方向Dxに対して傾斜している。詳細に言えば、傾斜部521は、テンションローラー43の軸線方向Dxの内側から外側に(図4及び図5の左から右に)向かうに連れてテンションローラー43の径方向中心部側から外側に(図4及び図5の上から下に)向かう傾斜を有する。なお、一対の傾斜部521のそれぞれの傾斜は、テンションローラー43の軸線方向Dxの中央部に対して互いに対称である。
【0043】
一対の本体ガイド54は、一対の傾斜部521と対向する位置に配置され、本体2に固定される。一対の本体ガイド54は、例えば一対の棒状部材で構成され、テンションローラー43の軸線方向Dxと直交する方向(図3図4及び図5の紙面奥行き方向)に延びる。言い換えれば、一対の本体ガイド54は、中間転写ベルト41の回転方向に沿って延びる。
【0044】
一対の本体ガイド54は、上部から軸線方向Dxの外側にわたって延びて一対の傾斜部521と対向する湾曲部54aを有する。一対の本体ガイド54は、上下方向及び軸線方向Dxにおいて一対の傾斜部521と対向し、接触する。詳細に言えば、本体ガイド54の湾曲部54aは、傾斜部521の斜面と対向して接触する。
【0045】
一対の付勢部材55は、一対のテンションガイド部材45の下側に配置される。一対の付勢部材55は、例えば引張コイルばねで構成され、本体2と一対のテンションガイド部材45との間に接続される。一対の付勢部材55は、一対のテンションガイド部材45を介し、テンションローラー43の軸部431を下側に向けて付勢している。言い換えれば、一対の付勢部材55は、一対の傾斜軸受52を一対の本体ガイド54に向けて付勢し、一対の傾斜軸受52を一対の本体ガイド54との接触を維持する。
【0046】
図4に示すように、一対の付勢部材55によってテンションローラー43の軸部431が下側に向けて付勢されることで、一対の傾斜軸受52は一対の本体ガイド54に押し付けられる。中間転写ベルト41が正常に回転して蛇行していない場合、テンションローラー43の軸部431は概ね水平である。中間転写ベルト41が正常に回転している間、図4の状態が維持される。
【0047】
図5に示すように、中間転写ベルト41が蛇行すると、中間転写ベルト41は、ベルトガイド51の一方に接触し、ベルトガイド51を軸線方向Dxの外側(図5の右側)に向かって押す。ベルトガイド51は、軸線方向Dxの外側に移動する。そして、ベルトガイド51が、傾斜軸受52を軸線方向Dxの外側(図5の右側)に向かって押す。傾斜軸受52は、軸線方向Dxの外側に移動する。
【0048】
これにより、傾斜軸受52が傾斜部521の斜面を介して本体ガイド54上を滑るようにして、テンションローラー43の軸線方向Dxの一端部側(図5の右側)が下側に移動する。すなわち、本体ガイド54は、中間転写ベルト41が蛇行することでテンションローラー43の軸線方向Dxに移動する一対の傾斜軸受52とともにテンションローラー43の軸線方向Dxの一端部側を軸線方向Dxと直交する方向に移動させる。
【0049】
そして、テンションローラー43の全体が傾斜し、中間転写ベルト41の蛇行が停止する。これにより、中間転写ベルト41は、安定して回転を継続する。
【0050】
上記のように、一対の傾斜部521及び一対の本体ガイド54は、テンションローラー43の軸線方向Dxと直交する方向から見て、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部よりも内側に配置される。この構成によれば、テンションローラー43を傾斜させる補正機構50の一対の傾斜部521及び一対の本体ガイド54が、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部よりも外側に位置していない。すなわち、テンションローラー43の軸線方向Dxにおいて、ベルト搬送装置40の小型化を図ることができる。したがって、ベルト搬送装置40は、小型化が図られた構成で、中間転写ベルト41の蛇行を停止させることが可能である。
【0051】
また、より詳細に言えば、一対の傾斜部521及び一対の本体ガイド54は、テンションローラー43の下側に配置される。この構成によれば、テンションローラー43に対する重力の作用を利用し、一対の傾斜部521と一対の本体ガイド54とを容易に接触させることができる。したがって、補正機構50を簡便な構成にすることができ、ベルト搬送装置40の小型化を進めることが可能である。
【0052】
また、補正機構50は、テンションローラー43の近傍に配置され、上記構成の一対のベルトガイド51と、一対の傾斜軸受52と、一対の本体ガイド54と、一対の付勢部材55と、を備える。テンションローラー43の箇所では、中間転写ベルト41にテンションを付与しているので、中間転写ベルト41の蛇行が発生し易くなる。したがって、テンションローラー43に対してアライメント調整機構である補正機構50を設けることで、中間転写ベルト41の蛇行を停止させる性能を向上させることが可能である。
【0053】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態のベルト搬送装置40のテンションローラー43周辺の構成について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第2実施形態のベルト搬送装置40のテンションローラー43周辺の部分側面図である。なお、第2実施形態の基本的な構成は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0054】
第2実施形態のベルト搬送装置40は、補正機構50を備える。補正機構50は、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部、及びテンションローラー43の下側に配置される。補正機構50は、一対のベルトガイド51と、一対の傾斜軸受52と、連結部材53(図6では不図示)と、一対の本体ガイド56と、一対の付勢部材55と、を備える。
【0055】
一対の本体ガイド56は、テンションローラー43の軸線方向Dxと直交する方向(図6の紙面奥行き方向)に延びる。言い換えれば、一対の本体ガイド54は、中間転写ベルト41の回転方向に沿って延びる。一対の本体ガイド56は、外周面が一対の傾斜部521に接触する一対の円柱部材で構成される。
【0056】
上記の構成によれば、一対の本体ガイド56を容易に形成することが可能である。したがって、補正機構50を簡便な構成にすることができ、ベルト搬送装置40の小型化を進めることが可能である。
【0057】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態のベルト搬送装置40のテンションローラー43周辺の構成について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第3実施形態のベルト搬送装置40のテンションローラー43周辺の部分側面図である。なお、第3実施形態の基本的な構成は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0058】
第3実施形態のベルト搬送装置40は、補正機構50を備える。補正機構50は、テンションローラー43の軸線方向Dxの両端部、及びテンションローラー43の下側に配置される。補正機構50は、一対のベルトガイド51と、一対の傾斜軸受52と、連結部材53(図7では不図示)と、一対の本体ガイド57と、一対の付勢部材55と、を備える。
【0059】
一対の本体ガイド57は、テンションローラー43の軸線方向Dxと直交する方向(図7の紙面奥行き方向)に延びる軸部57aの軸線回りに回転する一対の回転体で構成される。一対の本体ガイド57は、外周面が一対の傾斜部521に接触し、一対の傾斜部521に接触しながら回転する。
【0060】
上記の構成によれば、一対の傾斜軸受52と一対の本体ガイド57との接触状態を、転がり摩擦にすることができる。転がり摩擦は滑り摩擦に比べて摩擦力が非常に小さいので、摩擦負荷を軽減させることが可能である。摩擦負荷を軽減させることで、一対の傾斜軸受52及び一対の本体ガイド57の損耗を抑制することができ、中間転写ベルト41の蛇行を停止させる性能を好適に維持することが可能である。
【0061】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0062】
例えば、上記実施形態において、ベルト搬送装置40は、4つの画像形成部20で形成されたトナー像が順次重ねて転写される中間転写ベルト41を備える構成こととしたが、このような装置に限定されるわけではない。本発明は、例えば画像形成部によって画像が記録される記録媒体を搬送する搬送ベルトを備えるベルト搬送装置にも適用可能である。
【0063】
また、上記実施形態において、画像形成装置1は、いわゆるタンデム型のカラー印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではない。画像形成装置は、中間転写ベルトを備える機種であれば、タンデム型ではない他の形式のカラー印刷用の画像形成装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、、ベルト搬送装置及び画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
2 本体
20 画像形成部
21 感光体ドラム
30 転写部
40 ベルト搬送装置
41 中間転写ベルト(ベルト)
43 テンションローラー(ローラー)
50 補正機構
51 ベルトガイド
52 傾斜軸受
53 連結部材
54、56、57 本体ガイド
55 付勢部材
521 傾斜部
Dx 軸線方向
S 用紙(記録媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7