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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142808
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】シャワーヘッド装着用アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20230928BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A47K3/28
B05B1/18 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049909
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【テーマコード(参考)】
2D132
4F033
【Fターム(参考)】
2D132FA00
2D132FA02
2D132FJ04
2D132FJ07
2D132FJ17
2D132FJ21
2D132FK00
4F033AA11
4F033BA03
4F033DA05
4F033EA01
4F033LA09
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】液状洗剤を利用して効率良く身体を洗浄できるシャワーヘッド装着用アダプタを提供する。
【解決手段】シャワーヘッド100のシャワー壁102を覆う基壁部4と、この基壁部4と対向する先壁部20とを、外筒壁10を介して連結してなる中空本体2と、前記基壁部4が前記シャワー壁102を覆った状態で前記シャワーヘッド100へ前記中空本体2を装着させるための装着手段50とを具備する。前記基壁部4には注水口8を、前記先壁部20には噴出孔22をそれぞれ形成している。外部の液体容器110から液剤を注入するための注液口6が前記中空本体2の適所に開口されている。前記中空本体2の内部空間の全部又は一部を、前記注液口6から導入された液剤を収容するための充填室Aとし、充填室A内の液剤と前記注水口8から導入された水とが混合され、この混合流体を前記噴出孔22から吐出できるように構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッド(100)のシャワー壁(102)の全部又は一部を覆う基壁部(4)と、この基壁部(4)と対向する先壁部(20)とを、外筒壁(10)を介して連結してなる中空本体(2)と、
前記基壁部(4)が前記シャワー壁(102)を覆った状態で前記シャワーヘッド(100)へ前記中空本体(2)を装着させるための装着手段(50)と、を具備しており、
前記基壁部(4)には、前記シャワー壁(102)のシャワー孔(104)と連通可能な注水口(8)を、前記先壁部(20)にはシャワー噴出用の噴出孔(22)をそれぞれ形成しており、
外部の液体容器(110)から液剤を注入するための注液口(6)が前記中空本体(2)の適所に開口されており、
前記中空本体(2)の内部空間の全部又は一部を、前記注液口(6)から導入された液剤を収容するための充填室(A)としており、
前記注水口(8)側から前記充填室(A)への液体の出入りを規制する流路規制弁(V)を介して、前記充填室(A)内の液剤と前記注水口(8)から導入された水とが混合され、この混合流体を前記噴出孔(22)から吐出できるように構成した、シャワーヘッド装着用アダプタ。
【請求項2】
前記基壁部(4)又は前記先壁部(20)に前記注液口(6)を配置させるとともに、この注液口(6)を覆うスリット弁(28)が設けられており、
このスリット弁(28)は、前記液体容器(110)が有する吐出管(118)の挿脱により開閉するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシャワーヘッド装着用アダプタ。
【請求項3】
前記中空本体(2)の内部には、前記基壁部(4)及び前記先壁部(20)の間に配置され、前記注水口(8)の内側を覆う受動板(R)を含む可動部材(30)が配備されており、
この可動部材(30)は、前記シャワーヘッド(100)から前記注水口(8)内へ流入する水流の圧力を前記受動板(R)が受圧して前記中空本体(2)の内方へ後退することが可能に形成しており、
かつ前記受動板(R)の後退に伴って、前記流路規制弁(V)が開弁するように設けられていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のシャワーヘッド装着用アダプタ。
【請求項4】
前記装着手段(50)は、金属製のシャワー壁(102)へ吸着させるための磁石(50A)であり、前記基壁部(4)に組み付けられていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のシャワーヘッド装着用アダプタ。
【請求項5】
前記装着手段(50)は、前記中空本体(2)との間に前記シャワーヘッド(100)を抱持できるように前記中空本体(2)の二か所に一対の端部(52)を係止させたバンド部材(50B)であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のシャワーヘッド装着用アダプタ。
+^
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッド装着用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッド装着用アダプタとして、側面にシャワー壁を有するシャワーヘッドの全体を覆う有頂の筒体として形成され、この筒体の筒壁の一部で前記シャワー壁と向かい合う部分に複数の吐出孔を穿設するとともに、当該一部の内面に、固形石鹸や香料などの添加物を収納するための収納凹部を形成したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-119090
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にシャワーを使用して身体を洗うときには、まず頭髪をシャンプーで洗い、また石鹸で顔を洗い、さらに胴体や手足を洗うという3段階を経ることが多い。
そのために身体の洗浄に多くの時間を要していた。故に、時間の短縮のために、より身体の洗浄作業の手順を簡略化することが要望されていた。
近年では、頭髪も身体も洗浄できる全身洗浄液(いわゆるボディシャンプー)が市販されている。こうした洗浄液を使用すれば、全身にシャワーを浴びた後に頭部に多めの洗浄液を適用して、頭髪を泡立たせ、余分の洗浄液で顔及び首から下の身体を洗うことができる。これにより、シャンプー及び石鹸を使い分ける場合に比べて作業時間を短縮できる。
しかしながら、特許文献1のものは、固形石鹸などを筒体の下端から挿入して収納凹部へ嵌入させるように使用するものであり、液状洗剤を収納することは構造的に困難だった。
【0005】
本発明の第1の目的は、液状洗剤を利用して効率良く身体を洗浄できるシャワーヘッド装着用アダプタを提供することである。
本発明の第2の目的は、液体容器の内容物を効率よく前記シャワーヘッド装着用アダプタ内に充填できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、シャワーヘッド100のシャワー壁102の全部又は一部を覆う基壁部4と、この基壁部4と対向する先壁部20とを、外筒壁10を介して連結してなる中空本体2と、
前記基壁部4が前記シャワー壁102を覆った状態で前記シャワーヘッド100へ前記中空本体2を装着させるための装着手段50と、を具備しており、
前記基壁部4には、前記シャワー壁102のシャワー孔104と連通可能な注水口8を、前記先壁部20にはシャワー噴出用の噴出孔22をそれぞれ形成しており、
外部の液体容器110から液剤を注入するための注液口6が前記中空本体2の適所に開口されており、
前記中空本体2の内部空間の全部又は一部を、前記注液口6から導入された液剤を収容するための充填室Aとしており、
前記注水口8側から前記充填室Aへの液体の出入りを規制する流路規制弁Vを介して、前記充填室A内の液剤と前記注水口8から導入された水とが混合され、この混合流体を前記噴出孔22から吐出できるように構成している。
【0007】
本手段では、シャワーヘッド100に装着手段50を介して装着する中空本体2の基壁部4にシャワー孔104と連通可能な注水口8を、基壁部4と向かい合う先壁部20に噴出孔22をそれぞれ設け、中空本体の適所に開口した注液口6から導入する液剤を充填するための充填室Aを前記中空本体2内に形成している(図1(B)、図3(B)、図5(B)参照)。
この構造によれば、液状洗剤をシャワーヘッド100からの噴出水に効率良く混合させることができるとともに、中空本体2内に充填した液状洗剤を使い切ったら随時注液口6から補充できるので、効率良く身体を洗浄することができる。
また前記注水口8側から前記充填室Aへの液体の流入(例えば図2(C)、図4(C)参照)及び液体の流出(例えば図6(C)参照)を規制する流路規制弁Vを介して、充填室A内に充填された液剤と注水口8から導入された水とが混合させるように構成している。
この構造によれば、充填室A内の液剤が前記注水口8を介して漏出することなどを防止できる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記基壁部4又は前記先壁部20に前記注液口6を配置させるとともに、この注液口6を覆うスリット弁28が設けられており、
このスリット弁28は、前記液体容器110が有する吐出管118の挿脱により開閉するように形成されている。
【0009】
本手段では、前記注液口6が前記基壁部4に配置された態様(図1(B)又は図5(B)参照)又は前記先壁部20に配置された態様(図3(B)参照)とするとともに、当該注液口6を覆うスリット弁28が設けられている。
このスリット弁28は、液体容器110が有する吐出管118の挿入により開き(図2(A)、図4(A)、図6(A)参照)、吐出管118の抜脱により閉じるように形成している。
この構造によれば、前記注液口6より前記充填室内へ液状洗剤を充填させた後に当該充填室Aから前記注液口6を経て外部へ液状洗剤が逆流することがなく、液体容器110から充填室A内へ液状洗剤を充填する作業を効率的に行うことができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記中空本体2の内部には、前記基壁部4及び前記先壁部20の間に配置され、前記注水口8の内側を覆う受動板Rを含む可動部材30が配備されており、
この可動部材30は、前記シャワーヘッド100から前記注水口8内へ流入する水流の圧力を前記受動板Rが受圧して前記中空本体2の内方へ後退することが可能に形成しており、
かつ前記受動板Rの後退に伴って、前記流路規制弁Vが開弁するように設けられている。
【0011】
本手段では、前記中空本体2は、前記注水口8の内側を覆う受動板Rを含む可動部材30を備え(図1(B)、図3(B)、及び図5(B)参照)、前記シャワーヘッド100から前記注水口8内へ流入する水流の圧力を前記受動板Rが受圧して前記中空本体2の内方へ後退することが可能に形成している(図2(C)、図4(C)、及び図6(C)参照)。
そして、前記受動板Rの後退に伴って開弁する流路規制弁Vを介して、前記充填室A内の液剤と、前記注水口8から流入した水とが混合する。
この構造によれば、シャワー設備を作動させるだけで液状洗剤をシャワー水と混合させて噴出させることができ、混合のために特別の操作を必要としない。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記装着手段50は、金属製のシャワー壁102へ吸着させるための磁石50Aであり、前記基壁部4に組み付けられている。
【0013】
本手段では、図1(B)及び図3(B)に示す如く、前記装着手段50は、金属製のシャワー壁102へ吸着させるための磁石50Aであり、前記基壁部4に組み付けられている。
この構造によれば、前記シャワー壁102が金属製である場合に、当該シャワー壁102に対する着脱を容易に行うことができ、液状洗剤の補充を容易に行うことができる。
【0014】
第5の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記装着手段50は、前記中空本体2との間に前記シャワーヘッド100を抱持できるように前記中空本体2の二か所に一対の端部52を係止させたバンド部材50Bである。
【0015】
本手段では、図5(A)に示す如く、前記装着手段50は、前記中空本体2との間に前記シャワーヘッド100を抱持するためのバンド部材50Bである。
この構造によれば、シャワーヘッド100のシャワー壁102が合成樹脂などの非磁性体である場合でも、シャワーヘッドに対する着脱を容易に行うことができ、液状洗剤の補充を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシャワーヘッド装着用アダプタによれば、液状洗剤を利用して効率良く身体を洗浄できる。
また液体容器の内容物を効率よく前記シャワーヘッド装着用アダプタ内に充填できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るシャワーヘッド装着用アダプタの構成図であり、同図(A)は当該アダプタの平面図、同図(B)は側方から見た断面図である。
図2図1に示すシャワーヘッド装着用アダプタの作用説明図であり、同図(A)は当該アダプタに液剤を注入する作業を、同図(B)は当該アダプタをシャワーヘッドに装着する段階を、同図(C)は液剤及び水の混合液体を噴出する段階をそれぞれ示している。
図3】本発明の第2実施形態に係るシャワーヘッド装着用アダプタの構成図であり、同図(A)は当該アダプタの平面図、同図(B)は側方から見た断面図である。
図4図3に示すシャワーヘッド装着用アダプタの作用説明図であり、同図(A)は当該アダプタに液剤を注入する段階を、同図(B)は当該アダプタをシャワーヘッドに装着する段階を、同図(C)は液剤及び水の混合液体を噴出する段階をそれぞれ示している。
図5】本発明の第3実施形態に係るシャワーヘッド装着用アダプタの構成図であり、同図(A)は当該アダプタの平面図、同図(B)は側方から見た断面図である。
図6図5に示すシャワーヘッド装着用アダプタの作用説明図であり、同図(A)は当該アダプタに液剤を注入する段階を、同図(B)は当該アダプタをシャワーヘッドに装着する段階を、同図(C)は液剤及び水の混合液体を噴出する段階をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1及び図2は、第1実施形態に係るシャワーヘッド装着用アダプタ1を示している。
本発明のシャワーヘッド装着用アダプタ1は、図2(B)に示すように、シャワーヘッド100のシャワー噴出部であるシャワー壁102に対して使用するものである。
本実施形態において、前記シャワーヘッド装着用アダプタ1は、図1(B)に示すように、中空本体2と、可動部材30と、装着手段50とからなる。
これら各部材は、例えば合成樹脂材により形成できる。
これらの構造は適宜変更することができる。
【0019】
中空本体2は、前記シャワーヘッド100から注入させたシャワー水と、予め内部に充填した液剤とを混合させ、その混合液体をシャワー水の水圧を利用して、外部へ噴出させる機能を有する。
この機能を実現するために、前記中空本体2は、図1(B)に示す如く、相互に向かい合う基壁部4及び先壁部20の各周端を外筒壁10で連結するとともに、前記基壁部4には、図2(C)に示す如く前記シャワー壁102のシャワー孔104と連通可能な注水口8を、前記先壁部20にはシャワー噴出用の噴出孔22をそれぞれ形成している。
本実施形態では、図1(B)に示す如く、前記中空本体2の内部空間を、液剤を充填させるための充填室Aとするとともに、この充填室Aに液剤を注入するための注液口6を前記中空本体2の一部(本実施形態では前記基壁部4)に開口している。
本実施形態では、前記中空本体2を、前記基壁部4を含む基部材2aと、前記先壁部20を含む先部材2bとで形成している。もっともこの構造は適宜変更できる。
【0020】
前記基部材2aは、前記基壁部4の周端から基筒部10aを立設する有底筒状に形成されている。
図示の基筒部10aは、基壁部4より下方に延設する脚筒部12を含み、その脚筒部12の下端に鍔部14を付設している。
前記基筒部10aの外面には、前記先壁部20から垂設する後述の垂下筒部10bが嵌着されており、この垂下筒部10bの内面と基筒部10aの外面との一方面部には、他方面部へ係着する環状の係止部11が付設されている。
そしてこれら基筒部10aと垂下筒部10bとで前述の外筒壁10が形成されている。
図示例では、前記脚筒部12と連設させて、前記基壁部4の外周部の下面から組付け筒部17を垂設しており、この組付け筒部17内に後述の磁石50Aを嵌着できるように設けている。
前記組付け筒部17の垂下長さは脚筒部12の筒長以下とする。
【0021】
前記基壁部4は、本実施形態において、前述の注水口8の他に注液口6を有する。
図示例では、基壁部4の中心部に一つの注液口6を、また注液口6の周りに複数の注水口8をそれぞれ配置している。もっとも、これらの配置は適宜変更することができる。
前記注液口6の周囲からは、前記脚筒部12より短い係止筒15を垂設させている。この係止筒15の内面には係止リブ16が周設されている。
図示例では、前記基壁部4は、シャワー壁102の一部(中央部)を覆っているが、シャワー壁102の全体を覆うように設計してもよい。
【0022】
前記係止筒15には、口筒部26が嵌合されており、この口筒部26の内側にスリット弁28が付設されている。
本実施形態の口筒部26は、スリット弁28を備えるとともに、後述の環状凹部120への嵌合部を兼ねており、前記基壁部4の下方へ突出されている。もっともこの構造は適宜変更することができる。
前記口筒部26は、環状の連結端部jを介して起立する内筒部及び外筒部からなる2重筒状に形成されており、その内筒部に前記係止リブ16が食い込んでいる。
前記スリット弁28は、後述の液体容器110が有する吐出管118の挿脱により開閉するように形成されている。具体的には前記口筒部26の内面に連設する弾性変形可能な膜部に例えば十字形のスリットを穿設した構造でも構わない。
【0023】
前記先部材2bは、先壁部20の周端から垂下筒部10bを垂設させてなる有頂筒状に形成されている。図示例の垂下筒部10bは、小内径の上半部から下向き段部sを介して大内径の下半部を垂下してなり、この下半部を前記基筒部10aの外面へ嵌着している。また前記下向き段部sは、前記基筒部10aの上端部に突き当てている。
図示例では、前記先壁部20の周端から延長壁部25を上方へ延設するとともに、この延長壁部25に複数の透孔fを穿設している。
前記先壁部20には、シャワー噴出用の複数の小径の噴出孔22が形成されている。
図示例では、外筒壁10の筒軸Оを中心とする3重の仮想円上に複数の噴出孔22を配列している。もっとも噴出孔22の配置は適宜変更することができる。
前記先壁部20の下面からは、後述のコイルスプリング32を支持するための受持部24を突設している。
【0024】
本実施形態において、前記基壁部4及び前記先壁部20は相互に平行であり、これら基壁部4及び先壁部20の対向面と外筒壁10の内面とで画成される空間の全体を充填室Aに形成している。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
図示例において、前記充填室Aの内径dは、充填室Aの高さhより大である。
【0025】
可動部材30は、前記注水口8の内側を覆う受動板Rを有し、この受動板Rがシャワーヘッド100からのシャワー水の水圧を受圧することにより動くように設計された部材である。
当該可動部材30は、前記中空本体2の内部に配備されている。
なお、「注水口8の内側を覆う」とは、前記注水口8の周囲で基壁部4の内面(図1(B)の上面)を覆うという意味である。
本実施形態の可動部材30は、前記注水口8を開閉するための弁部材30Aとして形成されている。
弁部材30Aは、コイルスプリング32と、受動板Rである環状の弁板34とからなる。
図示例では、コイルスプリング32の下端に弁板34が一体的に連設されている。他方、コイルスプリング32の上端は前記受持部24を介して先壁部20に支持されている。
コイルスプリング及び弁板を一体成形するときには、その素材は合成樹脂とするとよい。また両者を別体とするときには、コイルスプリングは例えば金属製とすることができる。
前記弁板34は、リング板状に形成されており、前記注水口8を覆うように前記基壁部4の上面に配置されている。
これら弁板34の下面と注水口8の周りの基壁部分の上面とで、充填室Aへの液体の出入りを規制する流路規制弁Vが形成されている。
「液体の出入りを規制」とは、充填室A内に充填された液体が不意に漏出することを防止でき、かつ、シャワーヘッドが噴出するシャワー水を取り込めるように構成されているという程度に意味である。
なお、前記コイルスプリング32は、先壁部20と弁板34との間に介装される弾性手段の一例であり、コイルスプリング以外の手段を採用しても構わない。
前記弁板34は、シャワーヘッド100からの水流が前記注水口8を経て衝突したときに、図2(C)に示す如く、その水流の圧力を受けて、前記弾性手段32の弾性力に抗して注水口8から離れる向きへ動き(以下「後退」という。)、水流が停止したときに、弾性手段32の弾性復元力により前記注水口8に近づく向きへ動く(以下「前進」という)ことで、当該注水口8を閉塞する。
そのためには、前記弾性手段32の弾性力より注水口8から流入するシャワーヘッド100の水流の水圧が大となるように、注水口8の開口面積及び弁板34の受圧面積並びに弾性手段32の弾性力を設計すればよい。
前記弁板34の後退・前進により前記流路規制弁Vが開閉される。
【0026】
装着手段50は、前記基壁部4が前記シャワー壁102を覆った状態で前記シャワーヘッド100へ前記中空本体2を装着させるための部材である。
本実施形態の装着手段50は、金属製のシャワー壁102へ吸着させるための磁石50Aであり、前記組付け筒部17内へ抜出し不能に嵌め込むことにより、前記基壁部4に固定されている。
【0027】
図2(A)は、液剤収納用の液体容器110の要部を描いている。この液体容器110は、少なくとも外方(図示例では上方)へ突設する吐出管118を有し、この吐出管118が前記スリット弁28を介して充填室A内に挿入され、液状洗剤などの液剤Lを供給するように構成されている。
好適な一実施例として、前記液体容器110は、容器体の口頸部にシリンダを挿入するとともに、このシリンダ内に作動部材の下半部を挿入し、この作動部材が有するステム112の上部に押下げヘッド114を付設してなる。なお、この液体容器の構成のうちでステム112より下方の部分は、公知であるため、図示しない。
そして押下げヘッド114の昇降により、容器体内の液体が第1逆止弁を介してシリンダ内へ吸い上げられるとともに、このシリンダ内から第2逆止弁を介して押下げヘッド114が有する吐出管118から吐出されるように構成されている。
図示例の押下げヘッド114は、リング状のヘッド頂壁115の外周からヘッド周壁116を、また内周から連結筒部117をそれぞれ垂設しており、この連結筒部117を前記ステム112に嵌合させている。前記連結筒部117は、大径筒部117aから縮径部を介して小径筒部117bを垂下して、この小径筒部117bに前記ステム112を嵌合させるとともに、小径筒部117bから前記吐出管118を上方へ延設している。
この吐出管118と前記大径筒部117aとの間には前記口筒部26を嵌入させるための環状凹部120が形成されている。
液体容器110に収納する液体としては、全身洗浄が可能な洗浄液(ボディシャンプー)の他、通常のシャンプーやボディソープとしてもよい。
【0028】
前記構成において、シャワーヘッド装着用アダプタ1に液剤を充填するときには、図2(A)に示す如く、前記基部材2aに取り付けられた口筒部26を前記液体容器110の環状凹部120内に嵌入する。
そうすると、前記吐出管118が前記スリット弁28を押し広げて、前記充填室A内に挿入される。
この状態で、図2(A)に矢示する如く、前記先部材2bの上面を押し下げると、シャワーヘッド装着用アダプタ1を介して前記押下げヘッド114及びステム112が下降し、ステム112から充填室A内へ液剤Lが充填される。
次に、前記中空本体2を前記押下げヘッド114から引き上げると、前記吐出管118が前記スリット弁28から抜脱され、これによりスリット弁28が閉弁する。従って、充填室A内の液剤が外部へ漏出することはない。
次に、図2(B)に示す如く、前記基壁部4がシャワーヘッド100のシャワー壁102に対向するように前記中空本体2の向きを整え、前記シャワー壁102に当接させると、中空本体2に組み込まれた磁石50Aが金属製のシャワー壁102に吸着される。これにより、前記シャワーヘッド100へのアダプタ1の装着作業が完了する。
シャワー設備を作動させると、図2(C)に示す如く、シャワー壁102から水流Wの圧力を受けて前記受動板Rが内方へ後退する。これにより流路規制弁Vが開いて、水流Wが注水口8を経て充填室A内へ入り、充填室A内に予め充填されていた液剤Lと混合する。
そして混合液体Mがシャワー壁102からの水流Wの圧力により先壁部20側へ押し出され、噴出孔22から外部へ噴出される。
この混合液体を利用して全身を洗浄することができる。
なお、シャワー壁102のうちで前記基壁部4に覆われていない箇所からは、通常通り、シャワー孔104からシャワー水が噴出されている。
液剤(液状洗剤)による全身の洗浄が完了した後には、前記シャワー壁102から中空本体2を外して、全身に付着した液状液剤をシャワーヘッド100のシャワーで洗い落とすことができる。
なお、洗浄作業中に、中空本体2内に充填した液状洗剤を使い切ったときには、随時注液口6から補充できるので、効率良く身体を洗浄することができる。
【0029】
前記構成及び作用によれば、注水口8を形成した基壁部4と噴出孔22を形成した先壁部20とを外筒壁10を介して連結してなる中空本体2を、装着手段50によりシャワーヘッド100へ装着するとともに、液体容器110から液剤を注入するための注液口6を前記中空本体2の適所に開口したから、液状洗剤を利用して効率良く身体を洗浄することができる。
また注液口6の周囲に設けた口筒部26の内側にスリット弁28を付設し、このスリット弁28へ前記液体容器110の吐出管118を挿脱させることにより、液体容器110から充填室A内へ液状洗剤を充填する作業を効率的に行うことができる。
またシャワーヘッド100から前記注水口8内へ流入する水流の圧力を受圧する受動板Rを設け、この受動板Rの後退に伴って開弁する流路規制弁Vを介して、前記充填室A内の液剤と、前記注水口8から流入した水とが混合するから、シャワー設備を作動させるだけでシャワー水を充填室A内の液剤に混合させることができ、使い勝手がよい。
また前記中空本体2の基壁部4に磁石50Aを組み付けたから、シャワーヘッド100のシャワー壁102が金属製である場合に、シャワーヘッドに対する着脱を容易に行うことができ、液状洗剤の補充を容易に行うことができる。
【0030】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構造については解説を省略する。
【0031】
図3及び図4は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態においては、第1実施形態の構成のうちで注液口6及びスリット弁28の配置と、磁石50Aの配置とを変更したものである。
すなわち、本実施形態では、前記注液口6を前記基壁部4に代えて前記先壁部20の適所(図示例では中心部分)に配置する。口筒部26及びスリット弁28は第1実施形態と上下反転した態様で前記注液口6の上側に設ける。
具体的には、前記注液口6の周囲から上方へ係止筒15を立設する。前記口筒部26は、環状の連結端部jを介して内筒部及び外筒部を垂設してなり、これら両筒部を前記係止筒15の内外面に上側から嵌め合わせる。そして、注液口6の上方に、前記口筒部26の内側に付設したスリット弁28を配備させる。
また磁石50A及び組付け筒部17は前記基壁部4の中央部の下面側に配置されている。
【0032】
本実施形態では、液剤を充填する作業においては、図4(A)に示すように、先壁部20が下側に位置するように、前記中空本体2を上下反転させる。そして、先壁部20に付設されたスリット弁28に吐出管118を挿入し、前記基壁部4を押し下げることにより、充填室A内に液剤を充填させることができる。
前記中空本体2をシャワーヘッド100に装着するときには、第1実施形態と同様に基壁部4をシャワー壁102側に向けて磁石で吸着させる(図4(B)参照)。そして、シャワー設備を作動させ、図4(C)に示すように、混合液体Mを噴出させればよい。
【0033】
図5及び図6は、本発明の第3実施形態を示している。本実施形態においては、図3(B)に示す如く、前記中空本体2の内部空間を、充填室Aと流路領域Bとに区分している。
具体的には、基壁部4から内筒壁18を起立させるとともに、前記基壁部4のうちで前記内筒壁18の内側に前記注液口6を、その外側に前記注水口8をそれぞれ配置させている。
また前記可動部材30として、前記内筒壁18に摺動可能に嵌合させた有頂のスライド筒36の外面から外向きフランジ44を付設してなる仕切り部材30Bを装備している。
なお、「外向きフランジ」とは、スライド筒からはみ出すように出っ張った部分という意味であり、図示例では上方から見て環状の部位として形成されている。
前記スライド筒36の頂壁部38及び内筒壁18の内側に充填室Aを画成するとともに、またスライド筒36と前記先壁部20及び外筒壁10との間に流路領域Bを形成している。
前記スライド筒36の筒壁部40は、前記内筒壁18に遊嵌されており、これら筒壁部40の内面と内筒壁18の外面との間には、前記内筒壁18の上端側の入口e1から内筒壁18の下端側の出口e2に至る連通路Cが形成されている。
前記頂壁部38の下面からは、前記内筒壁18の上端部内面に液密に嵌合するシール筒42が垂設されている。
そして、これら内筒壁18の上端部と前記シール筒42とで前記流路規制弁Vが形成されている。
前記外向きフランジ44は、前述の受動板Rの役割を果たす部位であり、前記筒壁部40の下端に付設されるとともに、前記注水口8を内側から覆うように設けている。
但し、前記外向きフランジ44の外周端と、前記基筒部10aの内面との間には僅かな空隙gが形成されている。
前記外向きフランジ44は、シャワーヘッド100からの水流が前記注水口8を経て前記外向きフランジ44に衝突したときに、図6(C)に示す如く、その水流の圧力を受けて、前記注水口8から離れる方向へ後退するように設ける。前記外向きフランジ44の後退により、前記スライド筒36が前記内筒壁18の外面をスライドして、前記流路規制弁Vが開くように構成されている。
そのためには、前記スライド筒36及び内筒壁18の外面の間の摩擦力と、前記シール筒42及び前記内筒壁18の内面の間の摩擦力との和よりも、注水口8から流入するシャワーヘッド100の水流の水圧が大となるように、注水口8の開口面積及び外向きフランジ44の受圧面積などを設計すればよい。
【0034】
なお、図示例では、前記口筒部26及びスリット弁28は第1実施形態と上下反転した態様で前記注液口6の上側に設ける。具体的な説明に関しては、第2実施形態の前記口筒部26及びスリット弁28と係止筒15の構造の説明を援用する。
この構成において、充填室Aに液剤を充填するときには、例えば図5(A)に示すように、吐出管118であるノズルを押下げヘッド114の側方(横方向)へ突設させた公知の液体容器110を使用するとよい。前記吐出管118の先端と前記注水口8とが向かい合うように前記中空本体2を横向きにして、スリット弁28に対して吐出管118を挿入すればよい。
なお、前記口筒部26及びスリット弁28の構造は適宜変更することができ、第1実施形態の構造を採用してもよい。
【0035】
次に本実施形態の前記装着手段50は、前記中空本体2との間に前記シャワーヘッド100を抱持できるように設けたバンド部材50Bである。このバンド部材の一対の端部52、52は、前記中空本体2の二か所に係止させている。
好適な一例として、バンド部材はゴムバンドとすることができる。
図示例では、前記中空本体2の外筒壁10の筒径方向の両側から一対の保持部N、Nを突設している。そして、各保持部Nに前記バンド部材50Bの各端部52を嵌着させている。
【0036】
本実施形態の構成において、シャワーヘッド装着用アダプタ1に液剤を充填するときには、前述の如く、例えば図5(A)に示すように前記中空本体2を横向きにして、吐出管118を前記充填室A内へ挿入させる。そして、液体容器110の押下げヘッド114を押し下げ操作すると、充填室A内へ液剤Lが入る。
次に、図6(B)に示す如く、前記バンド部材50Bをシャワーヘッド100の後面側(シャワー壁102と反対側)に回して中空本体2とバンド部材50Bとの間にシャワーヘッド100を挟むようにすることで、前記シャワーヘッド100へアダプタ1を装着する。
次に、シャワーを噴出させたときの水W及び液剤Lの流れを、図6(C)を用いて説明する。
なお、同図では、説明の便宜上、中空本体2の上半分に水の流れを白矢印で、また中空本体2の下半分に液剤の流れを黒矢印でそれぞれ描いている。もっとも、2種類の流れが重なる場所では、実際には水と液剤とが合流した流れとなると理解すべきである。
シャワー設備を作動させると、前記流路領域Bにおいて、シャワー孔104から噴出された水Wが外向きフランジ44に衝突した後にこの外向きフランジ44の表面から前記空隙gを通って噴出孔22側へ流れる。
また前記外向きフランジ44への水流の衝突により外向きフランジ44とともにスライド筒36が先壁部20側へ後退し、これにより、流路規制弁Vが開弁する。
すると、シャワー孔104から噴出された前記スリット弁28を開弁させ、充填室A内へ流入する。
そして、このスリット弁28より充填室Aへ入る水流の圧に押し出されて、既に充填室A内に充填されていた液剤Lが、流路規制弁Vから連通路Cを通過して基壁部4及び外向きフランジ44の間の空間に入り、当該空間内でシャワー孔104からの水流と合流しつつ、空隙gを通って噴出孔22側へ流れる。
これにより、水W及び液剤Lの混合液体Mが噴出孔22から噴出される。
従ってこの混合液体Mを利用して全身を洗浄することができる。
【0037】
本実施形態では、前記装着手段50は、金属製のシャワー壁102へ吸着させるための磁石50Aであり、前記基壁部4に組み付けられているから、シャワーヘッド100のシャワー壁102が合成樹脂などの非磁性体である場合に、シャワーヘッドに対する着脱を容易に行うことができ、液状洗剤の補充を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
1…シャワーヘッド装着用アダプタ 2…中空本体 2a…基部材 2b…先部材
4…基壁部 6…注液口 8…注水口 10…外筒壁 10a…基筒部
10b…垂下筒部 11…係止部 12…脚筒部 14…鍔部 15…係止筒
16…係止リブ 17…組付け筒部 18…内筒壁 20…先壁部 22…噴出孔
24…受持部 25…延長壁部 26…口筒部 28…スリット弁
30…可動部材 30A…弁部材 30B…仕切り部材
32…コイルスプリング(弾性手段) 34…弁板 36…スライド筒 38…頂壁部
40…筒壁部 42…シール筒 44…外向きフランジ
50…装着手段 50A…磁石 50B…バンド部材 52…端部
100…シャワーヘッド 102…シャワー壁 104…シャワー孔
110…液体容器 112…ステム 114…押下げヘッド 115…ヘッド頂壁
116…ヘッド周壁 117…連結筒部 117a…大径筒部 117b…小径筒部
118…吐出管 120…環状凹部
A…充填室 B…流路領域 C…連通路 d…内径 e1…入口 e2…出口
f…透孔 g…空隙 h…高さ j…連結端部 L…液剤 M…混合液体
N…保持部 R…受動板 О…筒軸 S…下向き段部 t…抜止め用リブ
V…流路規制弁 W…水(水流)




図1
図2
図3
図4
図5
図6