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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142812
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/04 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B65G67/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049914
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】川野 勉
【テーマコード(参考)】
3F076
【Fターム(参考)】
3F076AA01
3F076CA03
3F076CA04
3F076CA07
3F076DA05
3F076DA07
3F076GA04
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、荷を荷台に降ろす際に荷が受ける衝撃を軽減可能な移載装置を提供することにある。
【解決手段】ある態様の移載装置100は、移載通路部2と外部搬送装置8の荷台82との間で複数の荷1を一体的に移載するための移載装置であって、移載通路部2上および荷台82上を移動可能な複数のスケータ3と、複数のスケータ3の間を連結する連結部4と、を備える。スケータ3は、荷1を載置可能な載置部と、載置部を昇降させるための昇降機構と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載通路部と外部搬送装置の荷台との間で複数の荷を一体的に移載するための移載装置であって、
前記移載通路部上および前記荷台上を移動可能な複数のスケータと、
前記複数のスケータの間を連結する連結部と、
を備え、
前記スケータは、荷を載置可能な載置部と、前記載置部を昇降させるための昇降機構と、を有する、移載装置。
【請求項2】
前記複数のスケータの各昇降機構は、それぞれ独立して前記載置部を昇降可能である、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記昇降機構は、気体が供給されると膨張し、当該気体が抜かれると収縮する気体容器を含む、請求項1または2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記気体容器は、互いに左右に離れて複数配置される、請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記スケータの前記気体容器は、配管によって連結され、
前記気体容器および前記配管に気体が供給された状態で、前記配管の上下幅は前記気体容器の上下幅よりも小さい、請求項3または4に記載の移載装置。
【請求項6】
前記気体容器はホースであり、前記配管はパイプである、請求項5に記載の移載装置。
【請求項7】
前記連結部は、前記複数のスケータの間隔を変更可能に連結する、請求項1から6のいずれか1項に記載の移載装置。
【請求項8】
前記複数のスケータを移動させるための駆動機構を備え、
前記駆動機構は、前記移載通路部の前端近傍に配置されて前記複数のスケータに推進力を付与可能な第1駆動装置を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の移載装置。
【請求項9】
前記駆動機構は、前記複数のスケータに対して後方から後向きの力を付与可能な第2駆動装置を含む、請求項8に記載の移載装置。
【請求項10】
前記移載通路部の前記複数のスケータが移動するための移動面は、当該移動面の一部または全部が前記複数のスケータの移動方向に対して上下に傾斜する、請求項1から9のいずれか1項に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のパレット上に載置された荷をトラック荷台に移載する移載装置が知られている。例えば、特許文献1には、ローラ式伸縮コンベヤを有する移載装置が記載されている。この移載装置は、ローラ式伸縮コンベヤを上下方向に移動可能にする移動手段と、コンベヤをトラック荷台の前後方向に駆動する駆動手段と、コンベヤの前進側先端部に設けられ回動可能な荷移送手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-227948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、移載装置について以下の新たな認識を得た。荷が載置されたパレットを荷台に積み込むとき、荷が受ける衝撃は小さいことが望ましい。しかし、特許文献1に記載のトラックローダでは、パレットを荷台に降ろす際に、パレットの先端部を荷台面に接触させた後、パレットをガイドローラにより形成される斜面を滑落させる。このとき、パレットは、その後端部がガイドローラの先端からトラック荷台面に滑り落ちることにより、ローダからトラック荷台に移載される。このため、パレットに載置された荷は、先端部が荷台面に接触するときと、後端部が荷台面に滑り落ちるときとに衝撃を受ける。
【0005】
これらから、特許文献1に記載のトラックローダには、荷を荷台に降ろす際に荷が受ける衝撃を減らすという観点から改善すべき余地がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、荷を荷台に降ろす際に荷が受ける衝撃を軽減可能な移載装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の移載装置は、移載通路部と外部搬送装置の荷台との間で複数の荷を一体的に移載するための移載装置であって、移載通路部上および荷台上を移動可能な複数のスケータと、複数のスケータの間を連結する連結部と、を備える。スケータは、荷を載置可能な載置部と、載置部を昇降させるための昇降機構と、を有する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷を荷台に降ろす際に荷が受ける衝撃を軽減可能な移載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る移載装置の一例を示す側面図である。
図2図1の移載装置のスケータを示す側面図である。
図3図1の移載装置のスケータを示す別の側面図である。
図4図1の移載装置のスケータを示す別の側面図である。
図5図1の移載通路部上のスケータを示す正面図である。
図6図1の移載通路部上のスケータを示す別の正面図である。
図7】外部搬送装置の荷台上のスケータを示す正面図である。
図8】外部搬送装置の荷台上のスケータを示す別の正面図である。
図9図1の移載装置の積込動作を説明する側面図である。
図10図1の移載装置の積込動作を説明する側面図である。
図11図1の移載装置の荷下動作を説明する側面図である。
図12図1の移載装置の荷下動作を説明する側面図である。
図13図1の移載装置の荷下動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
図面を参照して実施形態に係る移載装置100の構成を説明する。図1は、移載装置100を示す側面図である。図2図3図4は、スケータ3を示す側面図である。図5図6は、移載通路部2およびスケータ3を示す正面図であり、移載通路部2およびスケータ3の一部を断面で示す。図7図8は、荷台82を示す正面図であり、荷台82およびスケータ3の一部を断面で示す。
【0014】
以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。便宜的に、X軸方向は水平な前後方向に対応し、Y軸方向は水平な左右方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。また、X軸方向で、移載通路部2を基準に荷台82が配置される側を「前」、「前方」といい、その逆を「後」、「後方」という。前向きに進むことを「前進」といい、後向きに進むことを「後進」という。つまり、後進中における後方は進行方向である。また、左右方向において、スケータ3の中心から離れる側を「外側」といい、中心に近づく側を「内側」という。
【0015】
本明細書では、荷1について下記の用語を用いる。内容物を収容した段ボール等の箱を「ケース」という。ケースには複数の物品が収容されてもよい。積込および荷下ろしで取り扱いされるケースの集合を「荷」という。また、ケースの集合がパレットに載置されている場合は、パレットを含めて「荷」という。実施形態では、ケースの集合がパレット11に載置されたものを荷1として一体的に取り扱いされる。
【0016】
移載装置100を説明する。移載装置100は、輸送先に出荷対象の荷1を移載通路部2からトラックなどの外部搬送装置8の荷台82へ積込する積込動作と、入荷した荷1を荷台82から移載通路部2へ荷下ろしする荷下動作とを実行できる。特に、移載装置100は、移載通路部2と荷台82の間で、互いに連結された複数のスケータ3それぞれに積載された複数の荷1を一体的に移載する用途に好適に適用できる。
【0017】
移載装置100は、移載通路部2と、複数のスケータ3と、連結部4と、駆動機構5と、制御装置6とを備える。
【0018】
移載通路部2を説明する。移載通路部2は、外部搬送装置8の荷台82との間で、荷1を搬入、搬出するための支持台である。移載通路部2は、移動台部22と、複数の支柱24とを含む。移動台部22は、前後方向に延伸する横長な構造体である。複数の支柱24は、複数のスケータ3を下から支持するための移動台部22を支持する。支柱24は、移動台部22の下面と床面90との間に所定の間隔で配置される。
【0019】
図5図6に示すように、移動台部22の上面には、スケータ3の車輪33をガイドするガイド部26が設けられる。ガイド部26は、前後方向に延伸し、延伸方向に直交する縦断面がL字状を有する。ガイド部26の横延在部262は、スケータ3の車輪33の軌道として機能し、ガイド部26の縦延在部263は、横延在部262の外端から上方に延び、車輪33の左右方向へのはみ出しを規制する。
【0020】
荷台82を説明する。図7図8に示すように、荷台82の上面には、スケータ3の車輪33をガイドする荷台ガイド部83と、荷置部84とが設けられる。荷台ガイド部83は、前後方向に延伸し、延伸方向に直交する縦断面がL字状を有する。荷台ガイド部83の横延在部831は、スケータ3の車輪33の軌道として機能し、荷台ガイド部83の縦延在部832は、横延在部831の外端から上方に延び、車輪33の左右方向へのはみ出しを規制する。
【0021】
荷置部84は、前後方向に延伸し、延伸方向に直交する縦断面がL字状を有する。荷置部84の横延在部841は、降ろされた荷1を保持する。一例として、横延在部841は、荷台ガイド部83の左右外側において、車輪33の上方に配置される。荷置部84の縦延在部842は、横延在部841から下方に延びて、横延在部841を荷台82に支持する脚部である。
【0022】
スケータ3を説明する。スケータ3は、車体31と、載置部32と、複数の車輪33と、昇降機構35とを有する。スケータ3は、昇降機構35によって載置部32上の荷1を昇降させる。図2において、上昇状態の載置部32を破線で示し、下降状態の載置部32を実線で示す。車体31は、平面視で略矩形の上下に扁平な箱形状を有する。載置部32は、積み込み対象の荷1を載置する台部である。載置部32は、車体31に対して昇降可能に支持される。車輪33は、車体31から左右両側に突出するように、それぞれ複数(例えば3)取り付けられる。
【0023】
複数のスケータ3は、前後のスケータ3が連結部4により連結され、スケータ列を構成する。
【0024】
昇降機構35は、制御装置6の制御に基づいて、車体31に対し載置部32を昇降させる。例えば、スケータ列において、単一の昇降機構で複数のスケータ3の載置部32を昇降する構成が考えられる。しかし、この構成では、昇降機構から各載置部32に昇降力を伝達する機構が複雑になり、前後のスケータ3の間が屈曲できず、一のスケータ3の姿勢が前後のスケータ3の姿勢を拘束する。この場合、スケータ列が、移載通路部2または荷台82の段差や傾斜変化がある路面を移動する際、前後のスケータ3の間が屈曲せず、一部の車輪33が浮き上がり、脱輪の原因となり得る。そこで、実施形態では、複数のスケータ3の各昇降機構35は、それぞれ独立して載置部32を昇降可能に構成される。この構成では、前後のスケータ3の間が屈曲できるため、スケータ列は、移載通路部2または荷台82の路面の変化に追従できる。
【0025】
昇降機構35は、その構成に限定はなく、公知の原理に基づく種々の昇降手段を採用できる。図3図4図5図6の例では、左右に離れて配置された2つの気体容器351、352を含む。気体容器351、352を総称するときは単に気体容器ということがある。気体容器351、352は、空気等の所定の気体(以下、単に「気体」という)が供給されることにより膨張し(図3図5を参照)、当該気体が抜かれることにより収縮する(図4図6を参照)。所定の気体は、エアーポンプ(不図示)などにより、気体容器351、352に供給できる。
【0026】
気体容器351、352は、車体31と載置部32の間に配置される。気体容器351、352は、可撓性、伸縮性等を有する素材で形成可能で、袋体、気球、ホース、マット等の様々な形態を有しうる。この例の気体容器351、352は、可撓性を有する素材で形成されたホースである。以下、気体容器351、352がホース353、354である例を説明する。
【0027】
例えば、スケータ列の先頭から最後尾まで貫通する一体のホースを用いることが考えられる。この場合、ホースのうち前後のスケータ3の間の部分も一体に膨張するため、前後のスケータ3の間が屈曲できず、スケータ列が路面の変化に追従できない。そこで、実施形態では、各昇降機構35はそれぞれホース353、354を有する。各昇降機構35の各ホース353の間は、配管358によって連結されている。また、各昇降機構35の各ホース354の間は、配管358によって連結されている。ホース353、354および配管358に気体が供給された状態で、配管358はホース353、354よりも細い状態を維持し、配管358の上下幅はホース353、354の上下幅よりも小さい。
【0028】
図5図6図7図8において、図中左側の第1ホース353および図中右側の第2ホース354は、複数のスケータ3のそれぞれに設けられている。それぞれの第1ホース353は、配管358により連結されている。したがって、最後尾のスケータ3の第1ホース353に気体を供給することにより、それぞれの第1ホース353は同時に膨張し、最後尾の第1ホース353から気体を排出することにより、それぞれの第1ホース353は同時に収縮する。第2ホース354も同様に構成されており、同時に膨張し、同時に収縮する。
【0029】
連結部4は、複数のスケータ3の間を連結する。このため、スケータ列の一のスケータ3に前向の力を加えると、スケータ列が一体的に前進し、スケータ列の一のスケータ3に後向きの力を加えると、スケータ列が一体的に後進する。スケータ列が段差や傾斜変化がある路面を移動しやすくする観点から、連結部4は、前後のスケータ3を柔軟に連結することが望ましい。そこで、実施形態では、連結部4は、複数のスケータ3の間隔を変更可能に連結する。例えば、連結部4は、スケータ列が停止状態から前進するときにスケータ3の間隔が変化する程度の伸縮性を有してもよい。このときの間隔変化は、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上に設定できる。この間隔変化は、50%以下に設定できる。
【0030】
実施形態の連結部4は、可撓性、伸縮性等を有する素材で、配管358を収容可能な筒状に形成されている。
【0031】
駆動機構5は、スケータ列に前進方向および後進方向の力を付与する。駆動機構5は、その構成に限定はなく、公知の原理に基づく種々の駆動手段を採用できる。実施形態では、駆動機構5は、移載通路部2の前端近傍に配置された第1駆動装置51と、移載通路部2の後端近傍に配置された第2駆動装置52とを含む。
【0032】
図1図5図6に示すように、第1駆動装置51は、移載通路部2に取り付けられた円形歯車56(例えば、ピニオン)と、スケータ3の下面に設けられたラック歯車54とを含む。円形歯車56は、ラック歯車54と噛み合い、モータ(不図示)で回転駆動されることにより、ラック歯車54を介してスケータ3に推進力と制動力を付与できる。
【0033】
図1に示すように、第2駆動装置52は、スケータ列の最後尾に接続されたワイヤ522と、ワイヤ522を巻くための巻取機とを含む。第2駆動装置52は、モータ(不図示)で巻取機を駆動することにより、ワイヤ522を通じてスケータ列に後進方向の力を付与できる。後進方向の力は、スケータ列を後退させることができ、前進するスケータ列に制動力を付与できる。
【0034】
スケータ列の後端に前進方向の推進力を加えると、スケータ列のうち前側の加速前のスケータ3に、後続の加速したスケータ3が追突して、スケータ列が曲がって脱輪する可能性がある。特に、前側のスケータ3に質量が大きい荷1が積まれ、前側のスケータ3が空荷である場合に、両者の速度差が大きくなり追突する可能性が高くなる。そこで、実施形態では、駆動機構5は、移載通路部2の前端近傍に配置されてスケータ列のうち前側のスケータ3に推進力を付与可能な第1駆動装置51を含む。前側のスケータ3が先に加速されるため、後続のスケータ3が追突する可能性が低くなる。
【0035】
作業時間を短縮するために、スケータ列の前進速度を上げることが考えられる。この場合に、スケータ列に搭載された荷1の質量が大きいと、所定の停止位置で停止できず、オーバーランする可能性がある。オーバーランを防止するために、スケータ列の前側のスケータ3に大きな制動力を加えると、前側のスケータ3が先に停止し、後続のスケータ3が前側のスケータ3に追突して、脱輪する可能性がある。そこで、実施形態では、駆動機構5は、スケータ列の後端に後進方向の力を付与可能な第2駆動装置52を含む。後続のスケータ3が先に減速するため、前側のスケータ3に追突する可能性が低くなる。
【0036】
制御装置6は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、上位システムに指示された搬入、搬出スケジュールに対応して、出荷対象の荷1を移載通路部2から外部搬送装置8の荷台82へ移動するように、第1駆動装置51、第2駆動装置52および昇降機構35の動作を制御する。また、制御装置6は、外部搬送装置8で入荷した荷1を、荷台82から移載通路部2へ移動するように、第1駆動装置51、第2駆動装置52および昇降機構35の動作を制御する。
【0037】
(積込動作)
図1図9図10を参照して、移載装置100の積込動作を説明する。図1図9図10は、移載装置100の積込動作を説明する側面図である。積込動作は、移載通路部2に置かれた積込対象の一群の荷1を外部搬送装置8の荷台82に移載する動作である。積込動作は、移載通路部2の所定位置に置かれたスケータ列の各スケータ3にそれぞれ荷1が置かれた状態で開始される(図1を参照)。このとき、1つのスケータ3に複数の荷1を置いてもよいが、1つの荷1を前後2つ以上のスケータ3に跨がって置かないことに留意すべきである。
【0038】
(1)積込動作が開始されたら、移載装置100は、移動を開始する前に、昇降機構35のホース353、354に気体を供給して載置部32を上昇させる。
(2)載置部32が上昇したら、移載装置100は、第1駆動装置51によりスケータ列を前進させる。前進したスケータ列は、移載通路部2の前端から荷台82に進入(図9を参照)し、荷台82の中を所定の積込位置まで移動する。スケータ列を前進させる際、移載装置100は、第2駆動装置52によりスケータ列に後向きの力を加えてもよい。この場合、スケータ3の不要な動き(横ブレ、上下動等)を抑制できる。
【0039】
(3)スケータ列が積込位置まで移動したら、移載装置100は、第1駆動装置51を停止し、昇降機構35のホース353、354の気体を抜いて載置部32を下降させ、荷1を荷置部84に降ろす。このとき、移載装置100は、荷1が載置部32から離れるまで載置部32を下降させる(図7図8も参照)。
【0040】
(4)載置部32が下降したら、移載装置100は、第2駆動装置52により、空荷のスケータ列を移載通路部2の所定位置まで後進させる(図10を参照)。スケータ列を後進させる際、移載装置100は、第1駆動装置51によりスケータ列に後向きの力を加えてもよいし、制動力を加えてもよい。
(5)スケータ列が所定位置に移動して停止したら積込動作は終了する。上述の動作は一例であり、各種の変形が可能である。
【0041】
(荷下動作)
図11図12図13を参照して、移載装置100の荷下動作を説明する。図11図12図13は、移載装置100の荷下動作を説明する側面図である。荷下動作は、荷台82の荷置部84に置かれている荷下対象の荷1を移載通路部2に移載する動作である。荷下動作は、移載通路部2に空荷のスケータ列が置かれた状態で開始される。
【0042】
(1)荷下動作が開始されたら、移載装置100は、移動を開始する前に、昇降機構35のホース353、354の気体を抜いて載置部32を下降させる。
(2)載置部32が下降したら、移載装置100は、第1駆動装置51によりスケータ列を前進させる。前進したスケータ列は、移載通路部2の前端から荷台82に進入(図12を参照)し、荷台82の中を所定のピックアップ位置まで移動する。載置部32が荷1の下面よりも下側に位置するため、スケータ列は、荷1の下を移動できる(図7図8も参照)。スケータ列が前進するとき、移載装置100は、第2駆動装置52によりスケータ列に後向きの力を加えてもよい。この場合、スケータ3の不要な動き(横ブレ、上下動等)を抑制できる。
【0043】
(3)スケータ列がピックアップ位置まで移動したら、移載装置100は、第1駆動装置51を停止し、昇降機構35のホース353、354に気体を供給して載置部32を上昇させ、荷1を荷置部84から持ち上げ、載置部32上に支持する。
(4)荷1が支持されたら、移載装置100は、第2駆動装置52により、荷1を載せたスケータ列を移載通路部2の所定位置に向かって後進させる(図12を参照)。
【0044】
(5)スケータ列が所定位置まで後進したら、移載装置100は、第2駆動装置52を停止する(図13を参照)。この後、昇降機構35のホース353、354から気体を抜いて、載置部32を下降させてもよい。スケータ列を後進させる際、移載装置100は、第1駆動装置51によりスケータ列に後向き(図中右向き)の力を加えてもよいし、制動力を加えてもよい。
(6)スケータ列が所定位置に移動して停止したら荷下動作は終了する。上述の動作は一例であり、各種の変形が可能である。
【0045】
移載通路部2の別例を説明する。上述の説明では、移動台部22の移動面222が前後方向に水平である例を示したが、移動面222の一部または全部を、前後方向に対して傾斜させてもよい。この場合、荷1とスケータ列に加わる重力を前後方向への推進力または制動力として利用できる。この推進力、制動力は、駆動機構5の推進力、制動力を補助するためにも利用できる。移動面222の傾斜は一定であってもよいし、可変であってもよい。例えば、移動面222の傾斜を可変とする構成は、移動台部22の一端を他端に対して昇降させる昇降手段を設けることにより実現できる。
【0046】
以上のように構成された移載装置100の特徴を説明する。実施形態の移載装置100は、移載通路部2と外部搬送装置8の荷台82との間で複数の荷1を一体的に移載するための移載装置であって、移載通路部2上および荷台82上を移動可能な複数のスケータ3と、複数のスケータ3の間を連結する連結部4と、を備える。スケータ3は、荷1を載置可能な載置部32と、載置部32を昇降させるための昇降機構35と、を有する。
【0047】
この構成によれば、昇降機構35により載置部32を下降させて荷1を荷台82に降ろすことができるため、荷1を荷台82に降ろす際に荷1が受ける衝撃を軽減できる。
【0048】
一例として、複数のスケータ3の各昇降機構35は、それぞれ独立して載置部32を昇降可能に構成される。この場合、前後のスケータ3の間が容易に屈曲できるため、スケータ列は、移載通路部2または荷台82の路面の変化に追従できる。
【0049】
一例として、昇降機構35は、気体が供給されると膨張し、当該気体が抜かれると収縮する気体容器351、352を含む。この場合、昇降機構35を軽量に構成できる。
【0050】
一例として、気体容器351、352は、互いに左右に離れて複数配置される。この場合、左右それぞれの気体容器が膨張するため、左右の昇降力のバランスが向上する。
【0051】
一例として、各スケータ3の気体容器351、352は、配管358によって連結され、気体容器351、352および配管358に気体が供給された状態で、配管358の上下幅は気体容器351、352の上下幅よりも小さい。この場合、配管358の膨張が少ないので、前後のスケータ3の間が容易に屈曲できる。
【0052】
一例として、気体容器351、352はホースであり、配管358はパイプである。この場合、昇降機構35を安価に構成できる。
【0053】
一例として、連結部4は、複数のスケータ3の間隔を変更可能に連結する。この場合、前後のスケータ3を柔軟に連結できるため、路面の変化部分を容易に通過できる。
【0054】
一例として、移載装置100は、複数のスケータ3を移動させるための駆動機構5を備え、駆動機構5は、移載通路部2の前端近傍に配置されて複数のスケータ3に推進力を付与可能な第1駆動装置51を含む。この場合、前側のスケータ3が先に加速されるため、後続のスケータ3が追突する可能性が低くなる。
【0055】
一例として、駆動機構5は、複数のスケータ3に対して後方から後向きの力を付与可能な第2駆動装置52を含む。この場合、後続のスケータ3が先に減速するため、前側のスケータ3に追突する可能性が低くなる。
【0056】
一例として、移載通路部2の複数のスケータ3が移動するための移動面222は、当該移動面222の一部または全部が複数のスケータ3の移動方向に対して上下に傾斜する。この場合、荷1とスケータ3に加わる重力をスケータ3の移動に利用することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0058】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0059】
上述の説明では、昇降機構35が気体容器351、352を備える例を示したが、これに限定されない。例えば、昇降機構は、リンク機構と当該リンク機構の姿勢を変化させる油圧シリンダを組み合わせて構成できる。
【0060】
上述の説明では、スケータ3が車輪33を有する例を示したが、これに限定されない。例えば、移載通路部と荷台にローラーコンベアを備え、スケータはその上を滑りながら移動する構成であってもよい。
【0061】
上述の説明では、2つの駆動装置51、52を備える例を示したが、これに限定されない。駆動装置の数は、1または3以上であってもよい。
【0062】
上述の説明では、第1駆動装置51が円形歯車56とラック歯車54とにより構成される例を示したが、これに限定されない。例えば、第1駆動装置は、円形歯車の代わりにロータを有し、このロータによりスケータを移動させる構成であってもよい。例えば、駆動装置は、移載通路部とは別の構造体に支持されてもよいし、移載通路部に沿って移動する構成であってもよい。
【0063】
上述の説明では、第2駆動装置52がワイヤを牽引する構成の装置である例を示したが、これに限定されない。例えば、スケータ列の後方から剛体を介して推進力を付与する構成であってもよい。
【0064】
上述の説明では、スケータ3がモータを有しない例を示したが、これに限定されない。例えば、スケータの一部または全部は車輪を回転させるためのモータを有してもよい。一例として、先頭のスケータと、最後尾のスケータとに車輪を回転させるためのモータを有してもよい。
【0065】
上述の説明では、連結部4と配管358が別ピースである例を示したが、これに限定されない。例えば、配管を連結部として用いてもよい。
【0066】
上述の説明では、車輪33が車体31から左右両側に突出する例を示したが、これに限定されない。例えば、車輪は、昇降機構(例えば気体容器)の下方に配置されてもよい。一例として、円形歯車56およびラック歯車54とは別に、気体容器の下方にラック歯車およびピニオンを配置し、このラック歯車およびピニオンによって移動可能に構成されてもよい。この場合、車輪を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0067】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0068】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0069】
1 荷、 2 移載通路部、 3 スケータ、 4 連結部、 5 駆動機構、 8 外部搬送装置、 32 載置部、 35 昇降機構、 51、52 駆動装置、 82 荷台、 100 移載装置、 222 移動面、 351 気体容器、 358 配管。
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