(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142827
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】竪樋の接続構造及び竪樋の接続方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/08 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
E04D13/08 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049940
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政博
(57)【要約】
【課題】本発明は、竪樋の接続構造及び竪樋の接続方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係る竪樋の接続構造は、筒状の上部竪樋と、筒状の下部竪樋と、前記上部竪樋の下端部と前記下部竪樋の上端部に内挿されて前記上部竪樋と前記下部竪樋を接続する筒状の竪樋接続部材を備え、前記上部竪樋の下端部内周に設けられた接着剤層により、前記上部竪樋に前記竪樋接続部材の上部が接着され、前記下部竪樋の上端部内周に設けられた接着剤層により、前記下部竪樋に前記竪樋接続部材の下部が接着された竪樋の接続構造であり、前記上部竪樋の下端部内周において前記接着剤層が設けられた位置に、接着剤位置決め用の第1リング部材が設けられ、前記下部竪樋の上端部内周において前記接着剤層が設けられた位置に、接着剤位置決め用の第2リング部材が設けられたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の上部竪樋と、筒状の下部竪樋と、前記上部竪樋の下端部と前記下部竪樋の上端部に内挿されて前記上部竪樋と前記下部竪樋を接続する筒状の竪樋接続部材を備え、
前記上部竪樋の下端部内周に設けられた接着剤層により、前記上部竪樋に前記竪樋接続部材の上部が接着され、前記下部竪樋の上端部内周に設けられた接着剤層により、前記下部竪樋に前記竪樋接続部材の下部が接着された竪樋の接続構造であり、
前記上部竪樋の下端部内周において前記接着剤層が設けられた位置に、接着剤位置決め用の上側リング部材が設けられ、
前記下部竪樋の上端部内周において前記接着剤層が設けられた位置に、接着剤位置決め用の下側リング部材が設けられた竪樋の接続構造。
【請求項2】
前記上側リング部材において前記下部竪樋に近い側の端面に、接着剤位置決め用の規制面が形成された請求項1に記載の竪樋の接続構造。
【請求項3】
前記下側リング部材において前記上部竪樋に近い側の端面に、接着剤位置決め用の規制面が形成された請求項1または請求項2に記載の竪樋の接続構造。
【請求項4】
前記上部竪樋の外面に該上部竪樋の長さ方向に延在する中空の取付リブを有し、前記下部竪樋の外面に該下部竪樋の長さ方向に延在する中空の取付リブを有する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の竪樋の接続構造。
【請求項5】
前記リング部材の一方の端面または両方の端面に、前記竪樋接続部材の端面に接触する複数の突起部を有する請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の竪樋の接続構造。
【請求項6】
前記リング部材の一方の端面または両方の端面に、凹凸面が形成された請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の竪樋の接続構造。
【請求項7】
筒状の上部竪樋と、筒状の下部竪樋と、前記上部竪樋の下端部と前記下部竪樋の上端部に内挿して前記上部竪樋と前記下部竪樋を接続する筒状の竪樋接続部材を用いた竪樋の接続方法であって、
前記上部竪樋の下端部内周に上側リング部材を内挿し、前記下部竪樋の上端部内周に下側リング部材を内挿するとともに、前記上部竪樋の下端開口部側から前記上側リング部材の端面に沿って前記上部竪樋の内周に接着剤を塗布し、前記下部竪樋の上端開口部側から前記下側リング部材の端面に沿って前記下部竪樋の内周に接着剤を塗布した後、前記竪樋接続部材の上部を前記接着剤の塗布部分に到達するように前記上部竪樋の下端部に内挿し、前記竪樋接続部材の下部を前記接着剤の塗布部分に到達するように前記下部竪樋の上端部に内挿する竪樋の接続方法。
【請求項8】
前記竪樋接続部材の上端部を前記上部竪樋の下端部に挿入する最終深さより、前記上部竪樋の下端部に対する前記上側リング部材の初期挿入深さを浅くしておき、この初期挿入深さの上側リング部材の端面に沿って前記接着剤を前記上部竪樋の内周に塗布した後、前記竪樋接続部材の上端部を前記上部竪樋の下端部に挿入し、前記竪樋接続部材の上端部で前記接着剤を前記上部竪樋の奥側に拡げつつ前記上側リング部材を前記上部竪樋の奥側に所定距離ずらして前記竪樋接続部材の前記上端部を前記最終深さまで挿入する請求項7に記載の竪樋の接続方法。
【請求項9】
前記竪樋接続部材の下端部を前記下部竪樋の上端部に挿入する最終深さより、前記下部竪樋の上端部に対する前記下側リング部材の初期挿入深さを浅くしておき、この初期挿入深さの下側リング部材の端面に沿って前記接着剤を前記下部竪樋の内周に塗布した後、前記竪樋接続部材の下端部を前記下部竪樋の上端部に挿入し、前記竪樋接続部材の下端部で前記接着剤を前記下部竪樋の奥側に拡げつつ前記下側リング部材を前記下部竪樋の奥側に所定距離ずらして前記竪樋接続部材の前記下端部を前記最終深さまで挿入する請求項7または請求項8に記載の竪樋の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪樋の接続構造及び竪樋の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載の雨樋と特許文献2に記載の竪樋接続用部材、及び、特許文献3に記載の竪樋の取付構造が知られている。
【0003】
特許文献1には、合成樹脂からなる押出成形品よりなる雨樋の外面意匠性を考慮し、雨樋の外周面の押出方向に直交するように深さ5~50μm程度の溝を形成した構成が記載されている。
特許文献2には、取付リブを有する竪樋である第1の樋部材と、同様構成の第2の樋部材を接合するために、第1の樋部材に対する第1嵌合部と第2の樋部材に対する第2嵌合部を有し、第1嵌合部と第2嵌合部の間に、環状のフランジ部を有した竪樋接続用部材が記載されている。
特許文献3には、中空状の取付リブを備えた竪樋と、この竪樋を支持固定する竪樋支持具と、前記中空状の取付リブの上端を閉じる端部キャップを備えた軒樋の支持構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-77608号公報
【特許文献2】特許第5616777号公報
【特許文献3】特許第5616778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2、3に記載のリブ付きの竪樋について、竪樋接続用部材を介し接合する場合、第1樋部材と第2樋部材の接合部内周に沿って接着剤を塗布した後、竪樋接続用部材の上部と下部を上下の樋部材に嵌合し接合している。
【0006】
ところが、筒状の第1樋部材と第2樋部材の接合するべき内周面に均一に接着剤を塗布することは現場施工では容易ではない問題がある。例えば、樋部材の内周面に塗布する接着剤の量が少ないと、樋部材の接合部から水漏れの危険性があるので、現場施工では接着剤を多めに塗布する傾向がある。しかし、接着剤を必要以上に塗布すると、接着剤の膨潤により樋部材の接着部周りに変形を生じるおそれがある。
また、樋部材生産時の成型状態により、樋部材の内面に微妙な凹凸が生じていると、接着し難い箇所が発生し、接着不十分な部位から水漏れが発生するおそれがある。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑み、なされたものであって、接着剤を用いた竪樋の接合部において水漏れすることなく接合可能な構造及び竪樋の接続方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は以下の形態を提案している。
「1」本形態に係る竪樋の接続構造は、筒状の上部竪樋と、筒状の下部竪樋と、前記上部竪樋の下端部と前記下部竪樋の上端部に内挿されて前記上部竪樋と前記下部竪樋を接続する筒状の竪樋接続部材を備え、前記上部竪樋の下端部内周に設けられた接着剤層により、前記上部竪樋に前記竪樋接続部材の上部が接着され、前記下部竪樋の上端部内周に設けられた接着剤層により、前記下部竪樋に前記竪樋接続部材の下部が接着された竪樋の接続構造であり、前記上部竪樋の下端部内周において前記接着剤層が設けられた位置に、接着剤位置決め用の上側リング部材が設けられ、前記下部竪樋の上端部内周において前記接着剤層が設けられた位置に、接着剤位置決め用の下側リング部材が設けられたことを特徴とする。
【0009】
上側リング部材と下側リング部材により接着剤層の位置決めができるので、正確な位置に接着剤層を配置することができ、上部竪樋と下部竪樋の接続構造において漏水を生じない確実な接続構造を得ることができる。
【0010】
「2」本形態に係る竪樋の接続構造において、前記上側リング部材において前記下部竪樋に近い側の端面に、接着剤位置決め用の規制面が形成された構成を採用できる。
【0011】
上側リング部材の規制面で上部竪樋の内周に塗布する接着剤層の位置決めができる。正確に位置決めした接着剤層で上部竪樋に竪樋接続部材を接合でき、上部竪樋と下部竪樋の良好な接続性を確保できる。
【0012】
「3」本形態に係る竪樋の接続構造において、前記下側リング部材において前記上部竪樋に近い側の端面に、接着剤位置決め用の規制面が形成された構成を採用できる。
【0013】
下側リング部材の規制面で下部竪樋の内周に塗布する接着剤層の位置決めができる。正確に位置決めした接着剤層で下部竪樋に竪樋接続部材を接合でき、上部竪樋と下部竪樋の良好な接続性を確保できる。
【0014】
「4」本形態に係る竪樋の接続構造において、前記上部竪樋の外面に該上部竪樋の長さ方向に延在する中空の取付リブを有し、前記下部竪樋の外面に該下部竪樋の長さ方向に延在する中空の取付リブを有し、前記上部竪樋と前記下部竪樋の前記竪樋接続部材を介する接続により、前記取付リブどうしが接続された構成を採用できる。
【0015】
取付リブを有する上部竪樋と下部竪樋の接合であれば、取付リブを利用し、建物の外壁に上部竪樋と下部竪樋を安定支持した接続構造を提供できる。
【0016】
「5」本形態に係る竪樋の接続構造において、前記リング部材の一方の端面または両方の端面に、前記竪樋接続部材の端面に接触する複数の突起部を有することが好ましい。
【0017】
リング部材の突起部と竪樋接続部材の端面とが接触すると、リング部材と竪樋接続部材の間に均一な隙間を生成できる。この隙間を接着剤収容用の隙間として利用できる。このため、正確な位置に必要量の接着剤を収容した接着剤層を設けることができ、竪樋と竪樋接続部材の良好な接合性を確保できる。
【0018】
「6」本形態に係る竪樋の接続構造において、前記リング部材の一方の端面または両方の端面に、凹凸面が形成されたことが好ましい。
【0019】
リング部材の端面に凹凸面を設けることにより、リング部材と竪樋接続部材の間に隙間を生成できる。この隙間を接着剤収容用の隙間として利用できる。このため、正確な位置に必要量の接着剤を収容した接着剤層を設けることができ、竪樋と竪樋接続部材の良好な接合性を確保できる。
【0020】
「7」本形態に係る竪樋の接続方法は、筒状の上部竪樋と、筒状の下部竪樋と、前記上部竪樋の下端部と前記下部竪樋の上端部に内挿して前記上部竪樋と前記下部竪樋を接続する筒状の竪樋接続部材を用いた竪樋の接続方法であって、前記上部竪樋の下端部内周に上側リング部材を内挿し、前記下部竪樋の上端部内周に下側リング部材を内挿するとともに、前記上部竪樋の下端開口部側から前記上側リング部材の端面に沿って前記上部竪樋の内周に接着剤を塗布し、前記下部竪樋の上端開口部側から前記下側リング部材の端面に沿って前記下部竪樋の内周に接着剤を塗布した後、前記竪樋接続部材の上部を前記接着剤の塗布部分に到達するように前記上部竪樋の下端部に内挿し、前記竪樋接続部材の下部を前記接着剤の塗布部分に到達するように前記下部竪樋の上端部に内挿することを特徴とする。
【0021】
上部竪樋の下端開口部側から上部竪樋の内周に接着剤を塗布する場合、上側リング部材の端面に沿って上部竪樋の内周の規定位置に正確に接着剤を塗布することができる。下部竪樋の上端開口部側から下部竪樋の内周に接着剤を塗布する場合、下側リング部材の端面に沿って下部竪樋の内周の規定位置に正確に接着剤を塗布することができる。これらにより、竪樋接続部材を介し上部竪樋と下部竪樋を接着により接続する場合、正確な位置に塗布した接着剤により良好な接着性で下部竪樋と上部竪樋を接続できる。
【0022】
「8」本形態に係る竪樋の接続方法において、前記竪樋接続部材の上端部を前記上部竪樋の下端部に挿入する最終深さより、前記上部竪樋の下端部に対する前記上側リング部材の初期挿入深さを浅くしておき、この初期挿入深さの上側リング部材の端面に沿って前記接着剤を前記上部竪樋の内周に塗布した後、前記竪樋接続部材の上端部を前記上部竪樋の下端部に挿入し、前記竪樋接続部材の上端部で前記接着剤を前記上部竪樋の奥側に拡げつつ前記上側リング部材を前記上部竪樋の奥側に所定距離ずらして前記竪樋接続部材の前記上端部を前記最終深さまで挿入することが好ましい。
【0023】
竪樋接続部材の上端部を上部竪樋の下端部に挿入する最終深さより、上部竪樋の下端部に対する上側リング部材の初期挿入深さを浅くしておくことで、上側リング部材に沿って上部竪樋の内周に塗布した接着剤層を竪樋接続部材で上部竪樋の内周に塗り拡げることができる。これにより、上部竪樋の内周に塗布した接着剤を均一に所定の範囲に塗り拡げることができる。このため、上部竪樋の下端部に竪樋接続部材を水漏れ等を排除した形式で確実に接続することができる。
【0024】
「9」本形態に係る竪樋の接続方法において、前記竪樋接続部材の下端部を前記下部竪樋の上端部に挿入する最終深さより、前記下部竪樋の上端部に対する前記下側リング部材の初期挿入深さを浅くしておき、この初期挿入深さの下側リング部材の端面に沿って前記接着剤を前記下部竪樋の内周に塗布した後、前記竪樋接続部材の下端部を前記下部竪樋の上端部に挿入し、前記竪樋接続部材の下端部で前記接着剤を前記下部竪樋の奥側に拡げつつ前記下側リング部材を前記下部竪樋の奥側に所定距離ずらして前記竪樋接続部材の前記下端部を前記最終深さまで挿入することが好ましい。
【0025】
竪樋接続部材の下端部を下部竪樋の上端部に挿入する最終深さより、下部竪樋の下端部に対する下側リング部材の初期挿入深さを浅くしておくことで、下側リング部材に沿って下部竪樋の内周に塗布した接着剤層を竪樋接続部材で下部竪樋の内周に塗り拡げることができる。これにより、下部竪樋の内周に塗布した接着剤を均一に所定の範囲に塗り拡げることができる。このため、下部竪樋の上端部に竪樋接続部材を水漏れ等を排除した形式で確実に接続することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る竪樋の接続構造であれば、上側リング部材と下側リング部材により接着剤層の位置決めができるので、正確な位置に接着剤層を配置することができ、上部竪樋と下部竪樋の接続構造において漏水を生じない確実な接続構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る竪樋の接続構造を適用する竪樋の概要を示す斜視図。
【
図2】本発明に係る竪樋の接続構造の一例について説明するための分解斜視図。
【
図3】
図2に示す竪樋の接続構造に適用されるリング部材の斜視図。
【
図4】竪樋の接続方法において上部竪樋に上側リング部材を下部竪樋に下側リング部材を内挿した状態を示す断面図。
【
図5】竪樋の接続方法において上側リング部材の端面と下側リングの端面に沿って接着剤を塗布した状態を示す断面図。
【
図6】竪樋の接続方法において上部竪樋と下部竪樋の間に竪樋接続部材を配置した状態を示す断面図。
【
図7】竪樋の接続方法において上部竪樋と下部竪樋に対し竪樋接続部材を最終挿入位置まで挿入した状態を示す断面図。
【
図8】竪樋の接続構造に適用される第2形態のリング部材を示す斜視図。
【
図9】竪樋の接続構造に適用される第3形態のリング部材を示す斜視図。
【
図10】竪樋の接続構造に適用される第4形態のリング部材を示す斜視図。
【
図11】竪樋の接続構造に適用される第5形態のリング部材を示す斜視図。
【
図12】竪樋の接続構造に適用される第6形態のリング部材を示す斜視図。
【
図13】L字状の接続部を有する竪樋の接続構造において水漏れを生じた状態を示す説明図。
【
図14】直線状に接続した竪樋の接続構造において水漏れを生じた状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、
図1~
図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る竪樋の接続構造の一例について以下に説明する。
本実施形態に係る竪樋の接続構造を適用するのは、
図1に示すように筒状の竪樋本体1Aと、該竪樋本体1Aの側面に竪樋本体1Aの径方向外側に突出するように形成された取付リブ3を備えた竪樋1である。この竪樋1は、建物の外壁2に取り付けられた竪樋支持具4により鉛直上下向きに支持されている。
取付リブ3は、
図1に示すように、竪樋1の外周面1aから径方向外側に延びる軸部5と、軸部5の突出方向先端に設けられ、軸部5を中心に竪樋1の軸線O1の直交方向両側に突出して膨出状に形成された係止部6とを備えて断面略T字状に形成されている。さらに、取付リブ3が内側に中空部7を備えて形成されている。また、取付リブ3の軸線O1方向に中空部7が延設され、取付リブ3の軸線O1方向の上端及び下端でそれぞれ開口している。なお、この中空部7を備えた取付リブ3は、厚さを竪樋1の厚さと略同等にして形成され、竪樋1を押出成形や射出成形で製造する際に、取付リブ3の形状に応じた金型を用いることによって、竪樋1とともに一体形成されている。
【0029】
竪樋1は、ポリ塩化ビニルなどの樹脂を用いて押出成形により形成されている。
竪樋支持具4は、AES(アクリロニトリルエチレンスチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの樹脂を用いて押出成形や射出成形で形成されている。竪樋支持具4は、
図1に示すように、固定部8と、固定部8の先端側に形成された一対の係止片(弾性片)9とを備え、係止片9、9を形成した部分は断面略C字状に形成されている。これにより、竪樋支持具4は、先端側の一対の係止片9の間に上下方向に延びる嵌入溝8aを備えている。
【0030】
竪樋1を建物などの外壁2に取り付けるには、竪樋支持具4を外壁に取り付ける。このとき、固定部8に形成された図示略の貫通孔にビス(止具)を挿通し、このビスを外壁2に螺入することによって、外壁2に面接触させた状態で竪樋支持具4を固定する。これにより、竪樋支持具4は、一対の係止片9ひいては嵌入溝8aを外側に向けた状態で外壁2に設置される。
【0031】
竪樋1を所定位置に配置するとともに、取付リブ3の係止部6の先端面が一対の係止片9を押圧するようにして、竪樋1を竪樋支持具4の内部に向けて押し込む。このように竪樋1を押し込むと、取付リブ3の係止部6の円弧状の先端面と竪樋支持具4の係止片9が互いに案内し合って一対の係止片9が外側に倒れるように弾性変形し、嵌入溝8aが拡張する。これにより、嵌入溝8aを通じて取付リブ3の係止部6が竪樋支持具4の内部に入り込む。
このように取付リブ3の係止部6が竪樋支持具4の内部に挿入されると、取付リブ3の係止部6 が竪樋支持具4の一対の係止片9に係止される。これにより、嵌入溝8aから取付リブ3の係止部6を竪樋支持具4の内部に押し込んで嵌入させるだけで、竪樋支持具4に竪樋1を取り付けることができる。
【0032】
図1に示すように外壁2に竪樋1を取り付けることができるが、2本の竪樋を上下方向に接続する場合の接続構造について以下に説明する。
図2は、
図1に示すように外壁2に支持されている竪樋1の上方に、他の同等構造の竪樋10を接続した構造の断面を示す。
図1に示す竪樋1を
図2における下側の竪樋と見立てて、その上方に上側の竪樋10を接続する場合を想定し、以下に説明する。以降の説明では、
図2の下側の竪樋を下部竪樋1と呼称し、上側の竪樋を上部竪樋10と呼称し、説明する。
下部竪樋1の内部側であって下部竪樋1の上端から所定距離下方の位置に水平に下側リング部材11が内挿されている。上部竪樋10の内部側であって上部竪樋10の下端から所定距離上方の位置に水平に上側リング部材12が内挿されている。
下側リング部材11と上側リング部材12は、AES(アクリロニトリルエチレンスチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの樹脂を用いて押出成形や射出成形で形成されているが、これらは金属製であっても良い。
【0033】
下部竪樋1と上部竪樋10の間であって、下側リング部材11と上側リング部材12の間に筒状の竪樋接続部材13が挿入されている。竪樋接続部材13は、下部竪樋1に内挿される下部筒体13Aと上部竪樋10に内挿される上部筒体13Bを有し、下部筒体13Aと上部筒体13Bとの間に形成された円環状のフランジ部13Cを有する。下部筒体13Aと上部筒体13Bよりフランジ部13Cの外径が大きく形成されているので、フランジ部13Cは下部竪樋1と上部竪樋10には挿入されておらず、下部竪樋1と上部竪樋10の間に配置されている。換言すると、下部竪樋1と上部竪樋10はそれらの間にフランジ部13Cを介在させた状態で鉛直上下方向に延在するように接続されている。
フランジ部13Cの厚さは、一例として、下部筒体13Aあるいは上部筒体13Bの肉厚と同程度であり、下部筒体13Aあるいは上部筒体13Bの肉厚は、下部竪樋1あるいは上部竪樋10の肉厚よりも若干薄い。このため、フランジ部13Cを挟んで上下に配置される下部竪樋1と上部竪樋10の間隔は微小間隔となる。
【0034】
図2に示すように下側リング部材11の上端面11aに竪樋接続部材13の下端面13aが接触され、この接触部分周りに接着剤層が形成されている。この接触部分周りにおいて、竪樋接続部材13の内周面側と下側リング部材11の内周面側を部分的に覆うように内部接着剤層15が形成され、竪樋接続部材13の外周面側と下側リング部材11の外周面側とそれらの外側の下部竪樋1の内面に接するように外部接着剤層16が形成されている。内部接着剤層15と外部接着剤層16は、下部竪樋1の上端部内周側に形成された接着剤層であると説明できる。
また、上側リング部材12の下端面12aに竪樋接続部材13の上端面13bが接触され、この接触部分周りに接着剤層が形成されている。この接触部分周りにおいて、竪樋接続部材13の内周面側と上側リング部材12の内周面側を部分的に覆うように内部接着剤層17が形成され、竪樋接続部材13の外周面側と上側リング部材12の外周面側とそれらの外側の下部竪樋1の内面に接するように外部接着剤層18が形成されている。内接着剤層17と外部接着剤層18は、上部竪樋10の下端部内周側に形成された接着剤層であると説明できる。
【0035】
下部竪樋1と上部竪樋10は、下部竪樋1の上端部に竪樋接続部材13の下部筒体13Aを内挿し、上部竪樋10の下端部に竪樋接続部材13の上部筒体13Bを挿入し、下部竪樋1と上部竪樋10の間にフランジ部13Cを介在させて接続されている。下部竪樋1に対し、下側リング部材11と下部筒体13Aが外部接着剤層16により接着され、下部筒体13Aと下側リング部材11は内部接着剤層15により接着されている。また、上部竪樋10に対し、上側リング部材12と上部筒体13Bが外部接着剤層18により接着され、上部筒体13Bと上側リング部材12は内部接着剤層17により接着されている。
【0036】
下側リング部材11は、一定の肉厚のリング本体11Aからなり、リング本体11Aにおいて上端面11aに近い領域の周壁外面に、リング本体11Aの肉厚を上端面11aに近づくにつれて薄くするように傾斜する規制面11bが形成されている。
上側リング部材12は、一定の肉厚のリング本体12Aからなり、リング本体12Aにおいて下端面12aに近い領域の周壁外面に、リング本体12Aの肉厚を下端面12aに近づくにつれて薄くするように傾斜する規制面12bが形成されている。
下側リング部材11において、その高さ方向に沿う規制面11bの幅は、例えば3mm程度である。下側リング部材11の規制面11bは、その基端部側から先端部側にかけて下側リング部材11の肉厚を0.5mm程度薄くする傾斜面に形成されている。上側リング部材12に形成されている規制面12bの幅と傾斜について下側リング部材11と同様である。
【0037】
「竪樋の接続方法」
図3は、
図2に示す下部竪樋1と上部竪樋10との接続構造に関する分解斜視図を示す。
図2に示す下部竪樋1と上部竪樋10を接続するには、
図5に示すように配置されている下部竪樋1の上端部内側に下側リング部材11を挿入し、上部竪樋10の下端部内側に上側リング部材12を内挿する。
リング本体11Aの外径を下部竪樋1の内径とほぼ同等としておくことで、下側リング部材11を挿入する際、下部竪樋1の上端部内周の任意の深さまで下側リング部材11を挿入し、その位置に留めておくことができる。リング本体12Aの外径を上部竪樋10の内径とほぼ同等としておくことで、上側リング部材12を挿入する際、上部竪樋10の下端部内周の任意の深さまで上側リング部材12を挿入し、その位置に留めておくことができる。
【0038】
なお、
図5に示すように下部竪樋1の上端部内側に下側リング部材11を挿入する場合、
図2に示す接着固定後における下部竪樋1の上端から下側リング部材11の上端面11aまでの最終挿入深さより、
図5に示す下部竪樋1の上端から下側リング部材11の上端面11aまでの初期挿入深さを浅くする。換言すると、
図5に示す下部竪樋1の上端から下側リング部材11の上端面11aまでの深さを竪樋接続部材13の下部筒体13Aの長さより短くする。
また、上部竪樋10の下端部内側に上側リング部材12を挿入する場合、
図2に示す接着固定後における上部竪樋10の下端から上側リング部材12の下端面12aまでの最終挿入深さより、
図5に示す上部竪樋10の下端から上側リング部材12の下端面12aまでの初期挿入深さを浅くする。換言すると、
図5に示す上部竪樋10の下端から上側リング部材12の下端面12aまでの深さを竪樋接続部材13の上部筒体13Bの長さより短くする。
【0039】
次に、
図6に示すように、下部竪樋1の内周全周であって、下側リング部材11の上端面11aに沿うように所定の厚さと幅で下部接着剤層20を塗布する。また、上部竪樋10の内周全周であって、上側リング部材12の下端面12aに沿うように所定の厚さと幅で上部接着剤層21を塗布する。
下部接着剤層20を塗布する場合、下側リング部材11の上端面11aを案内として接着剤の塗布ができるので、下部竪樋1の内周面に均一幅かつ均一厚さの下部接着剤層20を容易に塗布できる。
上部接着剤層21を塗布する場合、上側リング部材12の下端面12aを案内面として接着剤の塗布ができるので、上部竪樋10の内周面に均一幅かつ均一厚さの上部接着剤層21を容易に塗布できる。
【0040】
次に、
図7に示すように下部竪樋1と上部竪樋10の間に竪樋接続部材13を鉛直に配置し、下部竪樋1に下部筒体13Aを挿入し、上部竪樋10に上部筒体13Bを挿入する。下部筒体13Aと上部筒体13Bの挿入作業はどちらが先であっても良いし、同時に行っても良い。
下部竪樋1に下部筒体13Aを挿入する場合、下部竪樋1の上端に竪樋接続部材13のフランジ部13Cが接するまで挿入する。上部竪樋10に上部筒体13Bを挿入する場合、上部竪樋10の下端に竪樋接続部材13のフランジ部13Cが接するまで挿入する。これらの挿入作業終了後、接着剤を乾燥させる。
接着剤の乾燥により、
図2に示すように下部竪樋1と上部竪樋10の間にフランジ部13Cを介在させてこれらを接着した接続構造が得られる。
【0041】
下部竪樋1に下部筒体13Aを挿入する場合、下部筒体13Aの下端部は接着剤層20に到達してこれを下側に押し拡げるとともに、下側リング部材11を下側に所定距離押し下げる。下部筒体13Aの下降はフランジ部13Cが下部竪樋1の上端に接して最終挿入深さに達するまで所定距離なされる。この下降の際、接着剤層20が下部筒体13Aの下端部により押し拡げられるとともに、下側リング部材11が下降される。これらの動作に伴い、下部筒体13Aの内周側にはみ出した接着剤層20により、内部接着剤層15が形成される。また、下部筒体13Aの外周側にはみ出した接着剤層20により外部接着剤層16が形成される。この外部接着剤層16は、下部筒体13Aの外周面と下部竪樋1の内周面に沿って拡がるとともに、下側リング部材11の上端面の規制面11bと下部竪樋1の内周面の間に拡がる。規制面11bは先に説明した傾斜を有する面であるため、下部竪樋1の内周面との間に若干の隙間を生じ、この隙間に接着剤が滞留し、接着剤層が形成される。
【0042】
以上により、内部接着剤層15と外部接着剤層16を形成することができる。内部接着剤層15と外部接着剤層16を形成することにより、下部筒体13Aと下側リング部材11と下部竪樋1の内周面の間に存在する隙間はほぼ接着剤で埋められるため、これらを緊密に接着することができる。
また、
図6に示すように下部竪樋1の上端部に対し下側リング部材11を挿入する初期深さを一定値にしておくならば、下部筒体13Aを挿入して接着剤を塗り拡げる場合の条件を一定にできるので、一定量の内部接着剤層15と外部接着剤層16を形成することができる。これにより、作業環境や作業者のバラツキによらずに一定の接着剤層を形成できるので、下部竪樋1に対し一定の接着力で下部筒体13Aを接合できる。以上説明のように、下側リング部材11は、下部竪樋1の上端部内周に設ける内部接着剤層15と外部接着剤層16の位置決めを行う。また、下側リング部材11の規制面11bの外周側に接着剤を確実に回り込ませることができるので、隙間の無い接着に寄与する。
【0043】
上部竪樋10に上部筒体13Bを挿入する場合、上部筒体13Bの上端部は接着剤層21に到達してこれを上側に押し拡げるとともに、上側リング部材12を上側に所定距離押し上げる。上部筒体13Bの上降はフランジ部13Cが上部竪樋10の上端に接して最終挿入深さとなるまで所定距離なされる。この上昇の際、接着剤層21が上部筒体13Bの上端部により押し拡げられるとともに、上側リング部材12が上昇される。これらの動作に伴い、上部筒体13Bの内周側にはみ出した接着剤層21により、内部接着剤層17が形成される。また、上部筒体13Bの外周側にはみ出した接着剤層21により外部接着剤層18が形成される。この外部接着剤層18は、上部筒体13Bの外周面と上部竪樋10の内周面に沿って拡がるとともに、上側リング部材12の下端面の規制面12bと上部竪樋10の内周面の間に拡がる。
以上により、内部接着剤層17と外部接着剤層18を形成することができる。内部接着剤層17と外部接着剤層18を形成することにより、上部筒体13Bと上側リング部材12と上部竪樋10の内周面の間に存在する隙間はほぼ接着剤で埋められるため、これらを緊密に接着することができる。
【0044】
図6に示すように上部竪樋10の下端部に対し上側リング部材12を挿入する初期深さを一定値にしておくならば、上部筒体13Bを挿入して接着剤を塗り拡げる場合の条件を一定にできるので、一定量の内部接着剤層17と外部接着剤層18を形成することができる。これにより、作業環境や作業者のバラツキによらずに一定の接着剤層を形成できるので、上部竪樋10に対し一定の接着力で上部筒体13Bを接合できる。以上説明のように、上側リング部材12は、上部竪樋10の下端部内周に設ける内部接着剤層17と外部接着剤層18の位置決めを行う。また、上側リング部材12の規制面12bの外周側に接着剤を確実に回り込ませることができるので、隙間の無い接着に寄与する。
【0045】
以上説明したように
図2に示す接続構造では、下部竪樋1と竪樋接続部材13の下部側との接着部分、及び、上部竪樋10と竪樋接続部材13の上部側との接着部分を緻密に接着できるので、竪樋の接続部分において水漏れなどを生じるおそれのない水密性の高い接続構造を得ることができる。
なお、現場においては、接着不良に配慮するあまり、接着剤を多めに塗布する傾向がある。
図2に示す接続構造を採用すると、仮に接着剤を塗布しすぎた場合であっても、下側リング部材11と上側リング部材12が接着剤を塗り拡げる結果、一部に大量の接着剤を集中させることがない。このため、接着剤の膨潤による下部竪樋1の変形と上部竪樋10の変形が発生し難い。このため、下部竪樋1と上部竪樋10の接合部において接着剤の膨潤により下部竪樋1と上部竪樋10の一部に変形を生じることがない。この面において雨水の漏水を防止できる接続構造を提供できる。
なお、
図2に示す構造において、下部竪樋1と上部竪樋10の接続部の漏水を効果的に防止するという意味では、竪樋接続部材13の上部筒体13B側の接続部分の水密性が十分であることが望ましい。よって、上側リング部材12を設けることが重要である。
【0046】
図8は、
図2に示す竪樋の接続構造に適用して好適なリング部材の第2形態を示す。
この第2形態のリング部材25は、一定の肉厚のリング板からなるリング本体25Aを主体として構成されている。
図8に示すようにリング本体25Aの開口面を上下に向けて水平面に設置した状態において、このリング本体25Aの上端面25aの近くの外周面に規制面25bが形成され、下端面25c近くの外周面に規制面25dが形成されている。リング本体25Aの上端面25aに近い規制面25bはリング本体25Aの肉厚を上端面25aに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング本体25Aの下端面25cに近い規制面25dはリング本体25Aの肉厚を下端面25cに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング部材25において、リング部材25の高さ方向に沿う規制面25b、25dの幅は、例えば3mm程度である。
第2形態のリング部材25には、上端面25aの周回りに一定の間隔で3つの突起部25eが形成されている。第2形態のリング部材25には、下端面25cの周回りに一定の間隔で3つの突起部25fが形成されている。突起部25e、25fの高さ(長さ)は一例として1~2mm程度に設定できる。なお、突起部25e、25fの数は複数あれば良く、3つ以上あることが好ましい。
【0047】
第2形態のリング部材25は、
図2を元に先に説明した第1実施形態に用いた下側リング部材11、上側リング部材12の代わりに使用できる。
第2形態のリング部材25を
図2に示す竪樋の接続構造に適用した場合、下部竪樋1の上部側にリング部材25を内挿し、上部竪樋10の下部側にリング部材25を内挿することができる。
この場合、下部竪樋1の上部側に内挿したリング部材25の突起部25eを下部筒体13Aの下端面に接触させた位置で下部竪樋1に竪樋接続部材13が接着される。上部竪樋10の下部側に内挿したリング部材25の突起部25fを上部筒体13Bの上端面に接触させた位置で上部竪樋10に竪樋接続部材13が接着される。
【0048】
この構造において、下部筒体13Aの下端面と下部竪樋1側のリング部材25の上端面25aとの間に突起部25eの長さに相当する間隔の隙間が生じる。この構造において、
図5~
図7を基に先に説明した場合と同じように接着剤を塗布して下部竪樋1と状津竪樋10を接続すると、前述の隙間は接着剤層で埋められる。これにより、下部筒体13Aの下端面とリング部材25の上端面25aとの間の隙間を接着剤溜まりとして利用し、一定量の接着剤が滞留する構造にできる。
このため、第2形態のリング部材25を用いて下部竪樋1と上部竪樋10を接続すると、接続部から雨水漏れを生じることのない緻密な接続構造を提供できる。
【0049】
図9は、
図2に示す竪樋の接続構造に適用して好適なリング部材の第3形態を示す。
この第3形態のリング部材26は、一定の肉厚のリング板からなるリング本体26Aを主体とし、このリング本体26Aの上端面26aの近くの外周面に規制面26bが形成され、下端面26c近くの外周面に規制面26dが形成されている。リング本体26Aの上端面26aに近い規制面26bはリング本体26Aの肉厚を上端面26aに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング本体26Aの下端面26cに近い規制面26dはリング本体26Aの肉厚を下端面26cに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング部材26において、リング部材26の高さ方向に沿う規制面26b、26dの幅は、例えば3mm程度である。リング部材26において、規制面26bの傾斜は、規制面26bの基端部から先端部までの間に、リング本体26Aの厚さを例えば1mm程度薄くする傾斜とされている。
【0050】
第3形態のリング部材26は、
図2を元に先に説明した第1実施形態に用いた下側リング部材11、上側リング部材12の代わりに使用できる。
リング部材26の規制面26b、26dは先に説明した傾斜を有する面であるため、下部竪樋1の内周面との間に若干の隙間を生じ、この隙間に接着剤が滞留し、接着剤層が形成される。リング部材26ではリング部材11、12の規制面11b、12bより傾斜を大きくしているので、下部竪樋1の内周面との間に生成する隙間を第1実施形態の場合より大きくすることができる。よって、この隙間に滞留できる接着剤を増量できる。これにより、下部竪樋1と上部竪樋10のより緊密な接合性を得ることができる。
第3形態のリング部材26を第2図の接続構造に適用した場合、その他の効果について、第1実施形態の接続構造と同等の作用効果を得ることができる。
【0051】
図10は、
図2に示す竪樋の接続構造に適用して好適なリング部材の第4形態を示す。
この第4形態のリング部材27は、一定の肉厚のリング板からなるリング本体27Aを主体とし、このリング本体27Aの上端面27aの近くの外周面に規制面27bが形成され、下端面27c近くの外周面に規制面27dが形成されている。リング本体27Aの上端面27aに近い規制面27bはリング本体27Aの肉厚を上端面27aに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング本体27Aの下端面27cに近い規制面27dはリング本体27Aの肉厚を下端面27cに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング部材27において、リング部材27の高さ方向に沿う規制面27b、27dの幅は、例えば5mm程度である。リング部材27において、規制面27bの傾斜は、規制面27bの基端部から先端部までの間に、リング本体27Aの厚さを0.5mm程度薄くする傾斜とされている。
第4形態のリング部材27は、
図2を元に先に説明した第1実施形態に用いた下側リング部材11、上側リング部材12の代わりに使用できる。
【0052】
リング部材27の規制面27b、27dは先に説明した傾斜を有する面であるため、下部竪樋1の内周面との間に若干の隙間を生じ、この隙間に接着剤が滞留し、接着剤層が形成される。リング部材27ではリング部材11、12の規制面11b、12bより面幅を大きくしているので、下部竪樋1の内周面との間に生成する隙間を第1実施形態の場合より幅広にすることができる。よって、この隙間に滞留できる接着剤の幅を大きくできる。これにより、下部竪樋1と上部竪樋10のより緊密な接合性を得ることができる。
第4形態のリング部材27を第2図の接続構造に適用した場合、その他の効果について、第1実施形態の接続構造と同等の作用効果を得ることができる。
【0053】
図11は、
図2に示す竪樋の接続構造に適用して好適なリング部材の第5形態を示す。
この第5形態のリング部材28は、一定の肉厚のリング板からなるリング本体28Aを主体とし、このリング本体28Aの上端面28aの近くの外周面に規制面28bが形成され、下端面28c近くの外周面に規制面28dが形成されている。
リング部材28の上端面28aと下端面28cは、リング本体28Aの周回りに滑らかな高低差(高低差1mm程度)を有する波状の凹凸面とされている。リング本体28Aの上端面28aに近い規制面28bはリング本体28Aの肉厚を上端面28aに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング本体28Aの下端面28cに近い規制面28dはリング本体28Aの肉厚を下端面28cに近づくにつれて薄くなるように傾斜させた傾斜面からなる。リング部材28において、リング部材28の高さ方向に沿う規制面28b、28dの幅は、例えば最大幅3mm程度、最小幅1.5mm程度である。リング部材28において、規制面28bの傾斜は、規制面28bの基端部から先端部までの間に、リング本体27Aの厚さを一例として0.5mm程度薄くする傾斜とされている。
第5形態のリング部材28は、
図2を元に先に説明した第1実施形態に用いた下側リング部材11、上側リング部材12の代わりに使用できる。
【0054】
リング部材28の規制面28b、28dは先に説明した傾斜を有する面であるため、下部竪樋1の内周面との間に若干の隙間を生じ、この隙間に接着剤が滞留し、接着剤層が形成される。リング部材28においては、上端面28aと下端面28cを凹凸面としているので、下部竪樋1の内周面との間に生じる隙間の幅に部分的な大小を形成できる。この大小幅の異なる隙間に接着剤を滞留させて、下部竪樋1と上部竪樋10のより緊密な接合性を得ることができる。
第5形態のリング部材28を第2図の接続構造に適用した場合、その他の効果について、第1実施形態の接続構造と同等の作用効果を得ることができる。
【0055】
図12は、
図2に示す竪樋の接続構造に適用して好適なリング部材の第6形態を示す。
この第6形態のリング部材29は、一定の肉厚のリング板からなるリング本体29Aを主体とし、このリング本体29Aの上端面29aの近くの外周面に規制面29bが形成され、下端面29c近くの外周面に規制面29dが形成されている。
リング本体29Aの上端面29aに近い規制面29bは周段部からなる。リング本体29Aの下端面29cに近い規制面29dは周段部からなる。リング部材29において、リング部材29の高さ方向に沿う規制面29b、29dの幅は、例えば3mm程度である。
第6形態のリング部材29は、
図2を元に先に説明した第1実施形態に用いた下側リング部材11、上側リング部材12の代わりに使用できる。
【0056】
リング部材29の規制面29b、29dは先に説明した周段部からなるため、下部竪樋1の内周面との間に若干の隙間を生じ、この隙間に接着剤が滞留し、接着剤層が形成される。
第6形態のリング部材29を第2図の接続構造に適用した場合、その他の効果について、第1実施形態の接続構造と同等の作用効果を得ることができる。
【0057】
図13は、竪樋の接続構造において、仮に水漏れを生じた場合の状態を例示的に示す説明図である。
図13は、取付リブ30を備えた上部竪樋31に対し、竪樋接続部材32を介し、取付リブ33を備えた下部竪樋34を接続し、仮に、下部竪樋34の下部にL字型の継手部35を接続した構造を示している。
この接続構造において、仮に、上部竪樋31と竪樋接続部材32と下部竪樋34の接合部において接着不良により水漏れが発生すると、漏水36は取付リブ33に沿って下降し、継手部35の部分から下方に水滴37となって落下する。
水滴37が落下すると、竪樋の接続構造として問題が大きく、建物使用者の感触は悪化するので、上述の
図2~
図12を基に説明した竪樋の構造を採用し、水漏れを防止した構造とすることが好ましい。
【0058】
図14は、竪樋の接続構造において、仮に水漏れを生じた他のケースを例示的に示す説明図である。
図14は、取付リブ40を備えた上部竪樋41に対し、竪樋接続部材42を介し、取付リブ43を備えた下部竪樋44を接続し、更に、下部竪樋44の下部に直管型の継手部45を接続した構造を示している。
この接続構造において、仮に、上部竪樋41と竪樋接続部材42と下部竪樋44の接合部において接着不良により水漏れが発生すると、漏水46は取付リブ43に沿って下降する。
漏水46が発生すると、竪樋の接続構造として問題が大きく、建物使用者の感触は悪化するので、上述の
図2~
図12を基に説明した竪樋の構造を採用し、水漏れを防止する構造とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0059】
1…竪樋(下部竪樋)、2…外壁、3…取付リブ、10…上部竪樋、11…下側リング部材、11a…上端面、11b…規制面、12…上側リング部材、12a…下端面、12b…規制面、13…竪樋接続部材、13A…下部筒体、13B…上部筒体、13C…フランジ部、15、17…内部接着剤層、16、18…外部接着剤層、25…リング部材、25b、25d…規制面、26…リング部材、26b、26d…規制面、27…リング部材、27b、27d…規制面、28…リング部材、28b、28d…規制面、29…リング部材、29b、29d…規制面。