(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142843
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】駐車支援装置および駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B60W30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049962
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】赤浦 勝太
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA22
3D241BA57
3D241BB03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC33Z
(57)【要約】
【課題】自動駐車を途中で停止することなく、スムーズに行うことが可能な駐車支援装置および駐車支援方法を提供する。
【解決手段】駐車支援装置は、教師走行で得られる第1駐車経路に基づき第2駐車の駐車支援を行う駐車支援装置であって、第1駐車経路と、教師走行で得られる障害物の位置情報とに基づいて、障害物と重ならない第2駐車経路を生成する第2駐車経路生成部と、第2駐車経路を用いて駐車スペースに車両を駐車させる駐車制御部と、を備え、第2駐車経路は、第2駐車の駐車経路である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
教師走行で得られる第1駐車経路に基づき第2駐車の駐車支援を行う駐車支援装置であって、
前記第1駐車経路と、前記教師走行で得られる障害物の位置情報とに基づいて、前記障害物と重ならない第2駐車経路を生成する第2駐車経路生成部と、
前記第2駐車経路を用いて駐車スペースに車両を駐車させる駐車制御部と、
を備え、
前記第2駐車経路は、前記第2駐車の駐車経路である、
駐車支援装置。
【請求項2】
前記第2駐車経路生成部は、前記車両の教師走行が終了したタイミングで前記第2駐車経路を生成する、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記第2駐車経路生成部は、前記駐車制御部による前記車両の自動駐車制御中に障害物を検出した場合、前記第2駐車経路を修正する、
請求項1または請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記第2駐車経路生成部は、前記自動駐車制御中に検出された障害物を迂回するような経路に前記第2駐車経路を修正する、
請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記第2駐車経路生成部は、前記第2駐車経路の障害物が排除可能か否かを問い合わせる指令を出力する、
請求項3または請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記第2駐車経路生成部は、前記障害物と前記車両との距離に応じて、前記第1駐車経路と異なる経路を前記第2駐車経路として生成する、
請求項1~5の何れか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記第2駐車経路生成部は、前記第1駐車経路よりも、前記車両の操作頻度を減らすような経路を前記第2駐車経路として生成する、
請求項1~6の何れか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
教師走行で得られる第1駐車経路に基づき第2駐車の駐車支援を行う駐車支援装置の駐車支援方法であって、
前記第1駐車経路と、前記教師走行で得られる障害物の位置情報とに基づいて、前記障害物と重ならない第2駐車経路を生成し、
前記第2駐車経路を用いて駐車スペースに車両を駐車させ、
前記第2駐車は、前記第2駐車経路である、
駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置および駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の駐車スペースに教師走行に基づいて駐車可能な駐車支援装置が知られている。このような駐車支援装置は、運転者の運転により、駐車スペースに駐車された際の車両の走行経路を教師経路として記憶し、その教師経路に基づいて駐車スペースに車両を自動で駐車させる。
【0003】
例えば、特許文献1には、運転者の運転により取得した教師経路に基づいて、より最適な経路を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、最適化した経路に存在する障害物を考慮していないため、障害物が経路内に存在する場合でも、その経路を、車両の走行経路(駐車経路)として設定するおそれがあった。そのため、自動駐車を行う際に、障害物に起因して、自動駐車が途中で停止するおそれがあった。
【0006】
本開示の目的は、自動駐車を途中で停止することなく、スムーズに行うことが可能な駐車支援装置および駐車支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る駐車支援装置は、
教師走行で得られる第1駐車経路に基づき第2駐車の駐車支援を行う駐車支援装置であって、
前記第1駐車経路と、前記教師走行で得られる障害物の位置情報とに基づいて、前記障害物と重ならない第2駐車経路を生成する第2駐車経路生成部と、
前記第2駐車経路を用いて駐車スペースに車両を駐車させる駐車制御部と、
を備え、
前記第2駐車経路は、前記第2駐車の駐車経路である。
【0008】
本開示に係る駐車支援方法は、
教師走行で得られる第1駐車経路に基づき第2駐車の駐車支援を行う駐車支援装置の駐車支援方法であって、
前記第1駐車経路と、前記教師走行で得られる障害物の位置情報とに基づいて、前記障害物と重ならない第2駐車経路を生成し、
前記第2駐車経路を用いて駐車スペースに車両を駐車させ、
前記第2駐車は、前記第2駐車経路である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、自動駐車を途中で停止することなく、スムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る駐車支援装置が適用された車両の構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1駐車経路について説明するための図である。
【
図3】画像に映る物体の特徴点について説明するための図である。
【
図4B】
図4Aの第1駐車経路に基づいて生成された第2駐車経路の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Aの第1駐車経路に基づいて生成された第2駐車経路の一例を示す図である。
【
図6B】
図6Aの第1駐車経路に基づいて生成された第2駐車経路の一例を示す図である。
【
図7】駐車支援装置における第2駐車経路の生成制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図8A】生成後に障害物が置かれた第2駐車経路の一例を示す図である。
【
図8B】
図8Aの第2駐車経路に基づいて生成された第3駐車経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
以下、本開示の第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る駐車支援装置100が適用された車両1の構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、車両1は、所定の駐車スペースに自動で駐車させる自動駐車支援(いわゆるホームゾーン駐車支援)機能を有しており、操作部10と、検出部20と、報知部30と、駐車支援装置100とを有する。
【0013】
操作部10は、運転者が車両1の運転操作をするためのハンドル等を含む。また、操作部10は、駐車支援装置100により自動駐車制御が行われる場合、例えば、後述する第2駐車経路の走行に対応した動作をするように制御されてもよい。
【0014】
検出部20は、例えばレーダー、カメラ等の車載センサであり、車両1の周囲の物体を検出する。検出部20は、例えば、運転者の運転操作による走行(教師走行)中に、車両1の走行経路の周辺に存在する障害物の位置情報を取得しても良い。また、検出部20は、例えば、自動駐車制御の開始前に、これから車両1が自動走行する経路(例えば、後述する第2駐車経路)内の障害物の位置情報を取得しても良いし、自動駐車制御中における自動走行中の経路内の障害物の位置情報を取得しても良い。
【0015】
報知部30は、例えばカーナビゲーション装置等の表示部や、音声出力部等であり、運転者にナビゲーション情報を報知するだけでなく、例えば、駐車支援装置100からの駐車支援に関する情報を報知しても良い。駐車支援に関する情報としては、例えば、自動駐車制御中における自動走行中に、障害物となり得る物体を検出部20が検出した際に、自動駐車制御を停止した旨を示す情報等である。
【0016】
駐車支援装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力回路を備えている。駐車支援装置100は、所定の駐車スペースに自動で駐車させる自動駐車制御を行うことが可能であり、教師走行で得られる第1駐車経路に基づき第2駐車の駐車支援を行う。具体的には、駐車支援装置100は、運転者の運転操作により、所定の駐車スペースに駐車した際の教師経路(第1駐車経路)を、教師走行データとして記憶する。そして、車両1は、次に所定の駐車スペースに駐車する際に、教師走行データに基づいて、自動で駐車する制御(自動駐車制御)を行う。上記の第2駐車は、車両1における所定の駐車スペースへの駐車走行であり、自動駐車制御に係る駐車走行である。
【0017】
本実施の形態では、自動駐車制御により、車両1は、第1駐車経路周辺の障害物の位置情報に応じて生成される第2駐車経路を用いて、所定の駐車スペースに自動で駐車することが可能である。駐車支援装置100は、第1駐車経路生成部110と、位置推定部120と、第2駐車経路生成部130と、駐車制御部140とを有する。
【0018】
第1駐車経路生成部110は、車両1の運転者の手動運転に基づく教師経路である第1駐車経路を生成する。第1駐車経路は、例えば
図2に示すように、車両1の運転者の手動運転により車両1を所定の駐車スペースPに駐車させる際に車両1が走行した経路であり、例えば
図2における実線T1と実線T2とに囲まれた経路である。
【0019】
なお、以下の説明においては、直交座標系(X,Y)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y)を示している。例えば、X軸が図面における左右方向を示し、Y軸が図面における上下方向を示している。
【0020】
第1駐車経路生成部110は、車両1の運転者の手動運転中(操作部10の操作中)において車両1が走行する経路の情報を生成する。具体的には、第1駐車経路生成部110は、例えば、検出部20が検出した車両1の周囲にある壁などの障害物の情報に基づく、障害物の位置情報を取得する。
【0021】
なお、障害物の位置情報は、後述する位置推定部120によって推定された位置情報を用いても良いし、別の推定部によって推定された位置情報を用いても良い。
【0022】
そして、第1駐車経路生成部110は、例えば、車両1と障害物との間の位置関係に基づいて、所定のスタート位置から、所定の駐車スペースPまで車両1が走行した経路を算出し、当該経路を第1駐車経路(教師経路)として生成して、記憶部(不図示)に記憶する。
【0023】
なお、以下の説明では、
図2に破線で示される車両1の位置をスタート位置として自動駐車制御が行われるものとする。また、駐車スペースPの位置は、スタート位置からみて、X軸の-側およびY軸の-側である斜め方向の位置とする。そのため、例えば、第1駐車経路として、スタート位置から、車両1がX軸の-側に進んだ後、Y軸の-側に向けて曲がり、そのままY軸の-側に直進して駐車スペースPに入るような経路が採用されても良い。
【0024】
位置推定部120は、車両1の運転者の手動運転中において、検出部20により取得された第1駐車経路内に位置する物体などの障害物の位置情報および第1駐車経路周辺に位置する障害物の位置情報を推定する。
【0025】
例えば、検出部20がカメラ等の撮像装置である場合、位置推定部120は、運転者の手動運転中に取得した画像から、第1駐車経路周辺に位置する物体の特徴点を抽出する。特徴点は、例えば、
図3に黒点で示すように、撮像装置によって撮像された画像に映る物体2のコーナー部、エッジ部等を示す点である。
【0026】
特徴点の抽出方法は、例えば、SIFT法、Harris法、FAST法、又は学習済のCNN(Convolutional Neural Network)等、公知の方法であって良い。
【0027】
なお、検出部20が撮像装置およびレーダーで構成される場合も、撮像装置で取得した画像およびレーダーで検出した物体の距離等の情報に基づいて、車両1の周囲に位置する物体の特徴点を抽出しても良い。
【0028】
位置推定部120は、物体(障害物)の位置情報を、上記の特徴点に基づいて推定する。位置情報の推定方法は、例えば、撮像装置(検出部20)で検出した特徴点と地図データに記憶されている特徴点と照合する方法や、レーダーで検出した物体の距離情報を用いる方法等、公知の方法を用いてもよい。位置推定部120が推定した障害物の位置情報は、第1駐車経路とともに記憶部に記憶される。
【0029】
また、位置推定部120は、検出部20より取得した物体の特徴点に基づいて、物体が障害物であるか否かを判定しても良い。例えば、位置推定部120は、物体の高さが、車両1に衝突する高さである場合や、車両1の走行を妨害する高さである場合、物体が障害物であると判定しても良い。また、位置推定部120は、物体の高さが、車両1が乗り上げて走行可能な高さである場合、物体が障害物ではないと判定しても良い。
【0030】
第2駐車経路生成部130は、車両1の教師走行が終了したタイミングで上記の第2駐車経路を生成する。具体的には、第2駐車経路生成部130は、第1駐車経路と、障害物の位置情報とに基づいて、障害物と重ならない経路を第2駐車経路として生成する。
【0031】
例えば、第2駐車経路生成部130は、位置推定部120が推定した位置情報に基づく障害物から第1駐車経路までの距離が所定距離未満である部分において、障害物から所定距離以上離れるように、車両1の走行経路を算出して第2駐車経路を生成しても良い。
【0032】
所定距離は、例えば、車両1と障害物とが接触するおそれがない距離等、適宜設定可能な距離であっても良い。
【0033】
また、障害物から第1駐車経路までの距離が所定距離未満である部分以外については、第1駐車経路と同じ経路を第2駐車経路として適用しても良いし、新たに障害物と重ならない走行経路を生成して第2駐車経路としても良い。
【0034】
例えば、
図4Aに示すように、車両1が教師走行時に、障害物3を回避しつつも、比較的大回りするような経路を通り、その経路が第1駐車経路(破線T1と破線T2とで囲まれる部分)として生成されたとする。
【0035】
図4Aに示される第1駐車経路は、スタート位置からX軸の-側に延びる第1部分と、第1部分のX軸の-側の端部から、Y軸の-側に方向転換した部分であって、Y軸の-側に延びる第2部分とを有する経路である。
図4Aでは、例えば、障害物3が、第1駐車経路における第1部分のY軸の-側に位置している。
【0036】
ここで、例えば、車両1の自動駐車における制御効率、および、車両1の移動距離短縮の観点から、スタート位置から最短距離で駐車スペースPに駐車経路(破線T3と破線T4とで囲まれる部分)に第1駐車経路を修正したとする。この場合、第1駐車経路では、衝突することがない障害物3に衝突する可能性があるので、第1駐車経路を最適化する場合、最適化後の経路と元々存在する障害物3との位置関係を考慮する必要がある。
【0037】
本実施の形態では、教師走行時に、上記の障害物3の位置情報が位置推定部120によって推定されており、これらの位置情報と、生成された第1駐車経路とに基づいて、第2駐車経路生成部130が、経路と障害物3とが重ならない第2駐車経路を生成する。例えば、
図4Bに示すように、第2駐車経路生成部130は、第1駐車経路よりも小回りとしつつ、障害物3から離れた経路を第2駐車経路として生成しても良い。第2駐車経路は、実線T10と実線T20とで囲まれた経路である。
【0038】
また、
図5Aに示すように、車両1が教師走行時に、駐車スペース周辺の障害物に接触してはいないものの、障害物3Aに極めて近い経路を通り、その経路が第1駐車経路として生成されたとする。
図5Aに示される第1駐車経路は、
図4Aに示される経路と同様である。障害物3Aは、第1駐車経路(実線T1と実線T2とで囲まれた経路)における第1部分(X軸の-側に延びる部分)のY軸の+側に位置する物体である。
【0039】
また、
図5Aには、第1駐車経路(上記の第1部分)を挟んで障害物3Aとは反対側に障害物3Bが存在しており、障害物3Bは、第1駐車経路とは十分に離れているとする。
【0040】
この場合、
図5Bに示すように、障害物3Aの位置情報と、生成された第1駐車経路とに基づいて、第2駐車経路生成部130が、例えば、車両1と、上記の障害物3Aとの距離が第1駐車経路よりも離れるような経路を第2駐車経路(実線T10と実線T20とで囲まれた経路)として生成しても良い。
【0041】
この場合、障害物3Aから離れる分、障害物3Aとは経路を挟んで反対側に位置する障害物3Bに近づくことになるが、障害物3Bとの距離が、例えば所定距離以上であるように、第2駐車経路を生成しても良い。
【0042】
このように、第2駐車経路生成部130は、第1駐車経路における障害物と車両1との距離に応じて、第1駐車経路と異なる経路を第2駐車経路として生成しても良い。
【0043】
これにより、第1駐車経路を最適化した経路を第2駐車経路とすることができる。
【0044】
また、
図6Aに示すように、車両1が教師走行時に、駐車スペース周辺の障害物3を回避しようとして、車両1の位置や方向を変える操作がされた経路が第1駐車経路として生成されたとする。
【0045】
図6Aでは、例えば、車両1がスタート位置からX軸の-側に進行した後、Y軸の-側に方向転換した際に、障害物3を回避するために曲がりすぎて、Y軸に対して傾斜した方向に進んだ経路が第1駐車経路として示されている。また、第1駐車経路は、傾斜した方向に進んだ後、一旦、Y軸の+側に進んで、車両1が体勢を整えてから、駐車スペースPに進行するような経路となっている。障害物3は、車両1がY軸の-側に方向転換して、Y軸の-側に直線状に進行した際の経路(破線T5と破線T6とで囲まれる部分)と一部が重なる位置に位置している。
【0046】
この場合、
図6Bに示すように、第1駐車経路の周辺の障害物の位置情報と、生成された第1駐車経路とに基づいて、第2駐車経路生成部130が、上記の障害物と重ならず、かつ、自然な軌道を描く経路を、第2駐車経路として生成しても良い。
【0047】
図6Bには、第1駐車経路よりも緩い軌道を描いてスタート位置から駐車スペースPに入るような経路が第2駐車経路として示されている。
【0048】
このように、第2駐車経路生成部130は、第1駐車経路よりも、車両1の操作頻度を減らすような経路を第2駐車経路として生成しても良い。車両1の操作頻度を減らす、例としては、
図6Aの例のように、第1駐車経路では、ドライブ、リバース、ドライブと、ギアを変更する操作を行ったのに対して、第2駐車経路では、ドライブのみと、ギアを変更する操作を行わないことが挙げられる。また、所定の弧を描いて駐車スペースに入る際に、第2駐車経路では、第1駐車経路よりも小さく、かつ、滑らかな弧を描いて駐車スペースに入ることも挙げられる。
【0049】
これにより、第1駐車経路を最適化した経路を第2駐車経路とすることができる。また、第1駐車経路を最適化する例としては、例えば、
図6Aの経路を
図6Bの経路とするような車両1の動作をスムーズな動作とすることの他、第1駐車経路よりも、車両1の自動駐車に係る走行時間を減少させること等が挙げられる。
【0050】
駐車制御部140は、第2駐車経路を用いて駐車スペースに車両1を駐車させる自動駐車制御を行う。例えば、駐車制御部140は、操作部10を制御して、第2駐車経路で車両1を駐車スペースに駐車させる制御を行う。なお、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー等、その他の走行に関する制御は、駐車制御部140により全て行われても良いし、運転者の手動により一部の操作が行われても良い。
【0051】
以上のように構成された駐車支援装置100における第2駐車経路の生成制御の動作例について説明する。
図7は、駐車支援装置100における第2駐車経路の生成制御の動作例を示すフローチャートである。
図7における処理は、例えば、駐車スタート位置において、教師走行開始の指示を駐車支援装置100が受け付けた際に適宜実行される。
【0052】
図7に示すように、駐車制御部140は、障害物の位置情報を取得する(ステップS101)。具体的に、駐車制御部140は、走行中において連続的に障害物の位置情報を取得し続ける。
【0053】
次に、駐車制御部140は、教師走行が終了したか否かについて判定する(ステップS102)。教師走行の終了は、例えば、運転者が教師走行終了のボタンを押下する等、教師走行の終了を示す指令を駐車支援装置100が取得したことにより、判定可能である。判定の結果、教師走行が終了していない場合(ステップS102、NO)、処理はステップS101に戻る。
【0054】
一方、教師走行が終了した場合(ステップS102、YES)、駐車制御部140は、第1駐車経路を生成する(ステップS103)。具体的には、駐車制御部140は、教師走行時に記憶した車両1が通った経路を第1駐車経路として生成する。
【0055】
そして、駐車制御部140は、第2駐車経路を生成する(ステップS104)。具体的には、駐車制御部140は、ステップS103で生成した第1駐車経路と、ステップS101で取得した障害物の位置情報とに基づいて、第2駐車経路を生成する。その後、本制御は終了する。
【0056】
以上のように構成された本実施の形態によれば、教師走行に基づく第1駐車経路と、障害物の位置情報とに基づいて、障害物とは重ならない第2駐車経路を生成する。その結果、障害物を確実に回避した経路で自動駐車制御を行うことができるので、自動駐車を途中で停止することなく、スムーズに行うことができる。
【0057】
また、第1駐車経路よりも、車両1の操作頻度を減らすような経路を第2駐車経路として生成するので、よりスムーズに自動駐車を行うことができる。
【0058】
また、車両1の教師走行が終了したタイミングで、第2駐車経路を生成するので、第2駐車経路が準備された状態で、自動駐車制御を開始することができる。
【0059】
次に、本開示の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における駐車支援装置100は、上記第1の実施の形態と同様の構成を有しており、上記第1の実施の形態と同様の方法で、第2駐車経路を生成する。
【0060】
第2駐車経路生成部130は、駐車制御部140による自動駐車制御中に、障害物を検出した場合、第2駐車経路を修正しても良い。
【0061】
例えば、教師走行時に存在していなかった障害物が自動駐車制御を行う際に駐車経路中に存在する場合がある。この場合の障害物は、一時的に置かれた物体、人や動物等、経路内に入り込む移動物等や、その経路内で栽培された植物、建設された設置物等の恒常的に置かれた物体等を含む。
【0062】
この場合、第2駐車経路生成部130は、自動駐車制御中に位置推定部120により推定される障害物の位置情報を、連続的に取得し、第2駐車経路内に障害物が存在する場合において、障害物を回避するような駐車経路を生成する。具体的には、第2駐車経路生成部130は、教師走行時に取得した第1障害物の位置情報と、自動駐車制御中に取得した第2障害物の位置情報とに基づいて、第2駐車経路を修正した第3駐車経路を生成する。
【0063】
例えば、
図8Aに示すように、スタート位置から、X軸の-側に進んだ後、方向転換して、Y軸の-側に進んで駐車スペースPに入るような第2駐車経路(T10とT20とで囲まれた経路)が生成されていたとする。
【0064】
第2駐車経路は、X軸に沿って延びる部分のY軸の-側に位置する第1障害物4Aの位置情報に基づいて生成されている。しかし、第2駐車経路が生成されてから、所定の時間が経過して、第2障害物4Bが第2駐車経路内に置かれていたとする。第2障害物4Bは、第2駐車経路のX軸に沿って延びる部分のY軸の+側の端部に対応する位置に置かれているものとする。
【0065】
図8Bに示すように、第2駐車経路生成部130は、自動駐車制御中に検出された第2障害物4Bの位置情報に基づいて、第2駐車経路を修正した第3駐車経路を生成する。第3駐車経路は、実線T11と実線T21とで囲まれた経路である。
【0066】
図8Bに示される第3駐車経路は、第2障害物4Bを回避しつつ、第2障害物4Bの周辺に存在する第1障害物4Aも同時に回避するため、第2障害物4Bを迂回するような経路となっている。このように、第2駐車経路生成部130は、自動駐車制御中に検出された障害物を迂回するような経路に第2駐車経路を修正しても良い。
【0067】
このようにすることで、状況に応じて、第2駐車経路を修正することができるので、自動駐車が途中で停止することを抑制することができる。
【0068】
また、自動駐車制御中に取得した第2障害物を回避することができない場合は、第2駐車経路生成部130は、例えば、第2駐車経路を修正できない旨を運転者に報知する指令を報知部30に出力しても良い。この場合、報知部30は、自動駐車制御を行えない旨や、第2駐車経路に障害物がある旨を運転者に報知するようにしても良い。
【0069】
また、第2駐車経路生成部130は、第2駐車経路の障害物が排除可能か否かを運転者に問い合わせる指令を報知部30に出力しても良い。この場合、報知部30は、第2駐車経路の障害物が排除可能か否かを運転者に問い合わせる報知をおこなっても良い。
【0070】
例えば、第2駐車経路の障害物を排除可能である場合であって、運転者が当該障害物を排除した場合、駐車制御部140は、自動駐車制御を再スタートさせる指令(例えば、所定のボタンを運転者が押下する等)を取得次第、自動駐車制御を再スタートするようにしても良い。また、駐車制御部140は、検出部20によって障害物が検出されなくなり次第、自動駐車制御を再スタートするようにしても良い。
【0071】
また、第2駐車経路を生成後に、第3駐車経路を生成した場合、駐車制御部140は、第2駐車経路を第3駐車経路に更新しても良い。
【0072】
例えば、
図8Aに示す第2障害物4Bが、第2駐車経路が生成された後、恒常的に配置された障害物である場合、駐車スペースPに向けて自動駐車制御を行う際に、常に第2障害物4Bが存在することになる。そのため、最初に第3駐車経路を生成した時点で、第2駐車経路を更新しておくことにより、自動駐車制御を行う度に、第3駐車経路を生成する必要がなくなる。その結果、経路の生成処理を省くことができ、処理負荷を軽減することができる。
【0073】
また、第2駐車経路を生成後に、第3駐車経路を生成した場合、駐車制御部140は、自動駐車制御を行う際に、第2駐車経路および第3駐車経路を運転者に選択させるようにしても良い。
【0074】
例えば、
図8Aに示す第2障害物4Bが一時的に配置された障害物である場合、一定期間が経過後、第2障害物4Bが存在しなくなる。そのため、第2障害物4Bが存在する場合、運転者が第3駐車経路を選択し、第2障害物4Bが存在しなくなった後、運転者が、第2駐車経路を選択するようにすることで、経路の生成処理を省くことができ、処理負荷を軽減させることができる。
【0075】
なお、上記各実施の形態では、第1駐車経路生成部110が、第1駐車経路(教師経路)を生成していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1駐車経路として、車両1の運転者の手動運転により車両1を所定の駐車スペースPに駐車させる際に車両1が走行した経路を記憶部が記憶する構成でもよい。
【0076】
なお、上記各実施の形態では、教師走行時に取得した障害物の位置情報を用いて第2駐車経路を生成していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、教師走行時に取得した障害物の位置情報と、地図データ等に基づく物体の位置情報とを用いて第2駐車経路を生成しても良い。
【0077】
また、上記各実施の形態では、車両の教師走行が終了したタイミングで第2駐車経路を生成していたが、本開示はこれに限定されず、自動駐車制御が行われる前までに第2駐車経路を生成しても良い。また、自動駐車制御が行われる度に第2駐車経路を生成しても良い。
【0078】
また、上記実施の形態では、運転者の手動運転に基づく走行経路を第1駐車経路(教師経路)として生成していたが、本開示はこれに限定されず、車両の自動駐車支援機能に基づく走行経路を第1駐車経路として生成しても良い。
【0079】
また、上記実施の形態では、第1駐車経路生成部を有していたが、本開示はこれに限定されず、第1駐車経路生成部を有さなくても良い。この場合、例えば、外部の装置で生成された第1駐車経路を取得すれば良い。
【0080】
また、上記実施の形態では、駐車支援装置が車両に設けられていたが、本開示はこれに限定されず、車両の外部装置に設けられていても良い。この場合、外部装置が遠隔操作により車両を駐車スペースに駐車させる。また、駐車支援装置の一部の処理が、例えばクラウド上で行われても良い。具体的には、クラウド上で、教師経路および教師経路周囲の特徴点を処理して、第2駐車経路を生成して車両に送信し、車両が第2駐車経路の情報を取得して、駐車支援を行う構成であっても良い。
【0081】
また、複数の駐車支援装置で、教師経路および逆進経路のデータの送受信をできるようにしても良い。例えば、当該データを記録した駐車支援装置を有する装置を交換した場合や、当該データを記録した車両を、同一形状の車両に変えるような場合、当該データを別の装置に受け渡すことで、データの引継ぎを容易にすることができる。
【0082】
また、上記実施の形態では、第2駐車経路生成部および駐車制御部が駐車支援装置に組み込まれていたが、本開示はこれに限定されず、第2駐車経路生成部および駐車制御部が別々の装置に設けられた構成であっても良い。
【0083】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示の駐車支援装置は、自動駐車を途中で停止することなく、スムーズに行うことが可能な駐車支援装置および駐車支援方法として有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 車両
10 操作部
20 検出部
30 報知部
100 駐車支援装置
110 第1駐車経路生成部
120 位置推定部
130 第2駐車経路生成部
140 駐車制御部