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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142852
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】麺用生地製造成形設備
(51)【国際特許分類】
   A21C 1/06 20060101AFI20230928BHJP
   A21C 3/02 20060101ALI20230928BHJP
   A21C 11/24 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A21C1/06 Z
A21C3/02 B
A21C11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049972
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】592046851
【氏名又は名称】株式会社高垣製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】高垣 正雄
【テーマコード(参考)】
4B031
【Fターム(参考)】
4B031CA01
4B031CD07
4B031CH08
4B031CH14
4B031CL13
4B031CM09
(57)【要約】
【課題】人の手がかけずに多量の生地を製造可能な麺用生地製造成形設備を提供する。
【解決手段】麺用生地製造成形設備1は、第1生地圧延成形装置11と、第1生地圧延成形装置11の下流側で直列に配設した第2生地圧延成形装置12と、第1の生地圧延成形装置11及び第2生地圧延成形装置12の上段位置に配設され混捏後の生地塊A1を供給する混捏機構20と、第2生地圧延成形装置12の下流側に配設した搬送機構30と、搬送機構30の下流側に配設した生地切断機構40と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の生地塊を供給し帯状の生地を成形し排出する所定の帯状生地成形機構(10)と、
前記帯状生地成形機構よりも上段位置に配設する1又は複数の混捏装置(20)と、
前記帯状生地成形機構の下流側に配設する所定の搬送機構(30)と、
前記搬送機構の下流側に配設する生地切断機構(40)と、
で構成し、
前記混捏装置で混捏後に排出された生地塊(A1)がその自重で前記帯状生地成形機構へ供給されかつ前記帯状生地成形機構から排出された帯状の生地(A2)が前記搬送機構及び前記生地切断機構を経由して麺線まで成形される麺用生地製造成形設備。
【請求項2】
前記帯状生地成形機構(10)について、生地塊を供給し帯状の生地を成形し排出する際の当該帯状生地が上下に複数枚積層された積層帯状生地である請求項1の麺用生地製造成形設備。
【請求項3】
前記帯状生地成形機構(10)を、上流側から下流側に向かって直列に配設する2台以上の生地圧延成形装置で構成し、
前記混捏装置を、前記各生地圧延成形装置の上段位置に配設した請求項2の麺用生地製造成形設備。
【請求項4】
前記搬送機構(30)を、前記帯状生地成形機構から排出された帯状の生地を水平面上にのせて移送する搬送ユニット部(31)と、当該帯状の生地の表面側及び裏面側から圧延しながら移送する圧延搬送ユニット部(32)と、で構成した請求項1から請求項3いずれかに記載の麺用生地製造成形設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、多量の麺用生地を製造し麺線(帯状の生地を所定の太さの麺に切断した状態)に成形するまでを行う設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の食用生地(麺用、パン用など)製造装置は、小麦粉、塩、水などの材料を混合・混捏した後に生地塊を排出していた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-149954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の食用生地製造装置によって排出された生地塊は、人の手によって所定の圧延成形装置に供給され、帯状に成形されることが多かった(生地が少量の場合には、人の手によって麺棒などで帯状に成形されることもあった)。また、帯状に成形された後は、さらに人の手を介して様々な生地切断装置によって所望の麺線へと切断成形されていた。
【0005】
上述したように、生地塊から帯状の生地、さらには帯状の生地から麺線へと成形するにあたっては、人の手が介入していた。
【0006】
ところで、日本国内及び一部の海外諸国からは多量の麺線を製造成形する設備が求められている一方で人手不足も問題化しており、人の手を極力かけることなく多量の麺線を製造成形することが可能な設備が求められている。
【0007】
そこで、人の手を極力かけることなく、多量の麺線を製造成形することが可能な麺用生地製造成形設備を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上述の課題を解決するために、所定の生地塊を供給し帯状の生地を成形し排出する所定の帯状生地成形機構と、前記帯状生地成形機構よりも上段位置に配設する1又は複数の混捏装置と、前記帯状生地成形機構の下流側に配設する搬送機構と、前記搬送機構の下流側に配設する生地切断機構と、で構成し、前記混捏装置で混捏後に排出された生地塊がその自重で前記帯状生地成形機構へ供給されかつ前記帯状生地成形機構から排出された帯状の生地が前記搬送機構及び前記生地切断機構を経由して麺線まで成形される麺用生地製造成形設備を提供する。
【0009】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、前記帯状生地成形機構について、生地塊を供給し帯状の生地を成形し排出する際の当該帯状生地が上下に複数枚積層された積層帯状生地である麺用生地製造成形設備を提供する。
【0010】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、前記帯状生地成形機構を、上流側から下流側に向かって直列に配設する2台以上の生地圧延成形装置で構成し、前記混捏装置を、前記各生地圧延成形装置の上段位置に配設した麺用生地製造成形設備を提供する。
【0011】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、前記搬送機構を、前記帯状生地成形機構から排出された帯状の生地を水平面上にのせて移送する搬送ユニット部と、当該帯状の生地の表面側及び裏面側から圧延しながら移送する圧延搬送ユニット部と、で構成した麺用生地製造成形設備を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の麺用生地製造成形設備は、所定の生地塊を供給し帯状の生地を成形し排出する所定の帯状生地成形機構と、前記帯状生地成形機構よりも上段位置に配設する1又は複数の混捏装置と、前記帯状生地成形機構の下流側に配設する搬送機構と、前記搬送機構の下流側に配設する生地切断機構と、で構成し、前記混捏装置で混捏後に排出された生地塊がその自重で前記帯状生地成形機構へ供給されかつ前記帯状生地成形機構から排出された帯状の生地が前記搬送機構及び前記生地切断機構を経由して麺線まで成形されるため、混捏装置へ生地材料を供給する作業のみしか人の手はかからず、人の手を極力かけることなく多量の麺線を製造成形することが可能となる。また、混捏装置を帯状生地成形機構の上段位置に配設したため設備全体としての設置面積を抑制することも可能となる。
【0013】
また、本願発明の麺用生地製造成形設備は、さらに、前記帯状生地成形機構について、生地塊を供給し帯状の生地を成形し排出する際の当該帯状生地が上下に複数枚積層された積層帯状生地であるであるため、より多量の麺線を製造成形することができる。
【0014】
また、本願発明の麺用生地製造成形設備は、前記帯状生地成形機構を、上流側から下流側に向かって直列に配設する2台以上の生地圧延成形装置で構成し、前記混捏装置を、前記各生地圧延成形装置の上段位置に配設したため、帯状の生地の積層を具現化でき、より多量の麺線を製造成形できた。
【0015】
また、本願発明の麺用生地製造成形設備は、前記搬送機構を、前記帯状生地成形機構から排出された帯状の生地を水平面上にのせて移送する搬送ユニット部と、当該帯状の生地の表面側及び裏面側から圧延しながら移送する圧延搬送ユニット部と、で構成したため、帯状生地の搬送中にも圧延を施すことができより良質な生地及び麺線の製造が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は麺用生地製造成形設備の全体構成をあらわしたイメージ図である。
図2図2は実施例1の麺用生地製造成形設備の全体構成を示した構成図である。
図3図3は実施例1の麺用生地製造成形設備の平面図である。
図4図4は混捏装置の一部を切り欠いた正面図である。
図5図5は混捏装置の一部を切り欠いた右側面図である。
図6図6は混捏ローラの拡大図である。
図7図7は麺用生地製造成形設備の作動(前半)を示す図である。
図8図8は麺用生地製造成形設備の作動(後半)を示す図である。
図9図9は実施例2の麺用生地製造成形設備の全体構成を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
多量の麺用生地を製造し麺線に成形するまでを行う設備として実施する。
【実施例0018】
まずは、麺用生地製造成形設備の構成について、図1から図6に従い説明する。
【0019】
麺用生地製造成形設備(1)は、所定の帯状生地成形機構(10)と、前記帯状生地成形機構よりも上段側に配設する1又は複数台の混捏装置(20)と、前記帯状生地成形機構の下流側に配設する搬送機構(30)と、前記搬送機構の下流側に配設する生地切断機構(40)とで構成する(図1)。
【0020】
前記帯状生地成形機構(10)は、上流側から下流側に向かって直列に配設する2台の生地圧延成形装置(11、12)で構成する(図2及び図3)。
【0021】
なお、便宜上、前記2台の生地圧延成形装置のうち、上流側に配設する装置を第1生地圧延成形装置(11)と、下流側に配設する装置を第2生地圧延成形装置(12)と呼ぶこととする(図2)。
【0022】
前記第1生地圧延成形装置(11)及び前記第2生地圧延成形装置(12)の構造に関して、少なくとも供給された生地塊を圧延し帯状に成形する構造については同一である(図示せず)。
【0023】
前記第1生地圧延成形装置(11)から排出される帯状の生地は、前記第2生地圧延成形装置を経由して、前記搬送機構(30)の供給部へ移送される。
【0024】
また、前記第2生地圧延成形装置(12)から排出される帯状の生地は、前記搬送機構(30)の供給部へ移送される。
【0025】
前記混捏装置(20)の配置に関して、前記第1生地圧延成形装置(11)及び前記第2生地圧延成形装置(12)よりも上段位置に配設することにより、当該混捏機構から排出される生地塊の自重を利用して、前記第1生地圧延成形装置又は前記第2生地圧延成形装置へ供給することを可能としている(図1)。
【0026】
前記第1生地圧延成形装置(11)の上段側に配設する混捏装置(20)の台数に関して、本実施例では2台としているが、食品生地の生産量に応じて台数を増減することも許容する(図1)。
【0027】
前記第2生地圧延成形装置(12)の上段側に配設する混捏装置(20)の台数に関して、本実施例では2台としているが、食品生地の生産量に応じてその台数を増減することも許容する(図1)。
【0028】
前記混捏装置(20)の構造について、生地材料供給口を備える容器(21)と、前記容器の内部のほぼ中央(中心)位置に設けられ軸心回りに回転する回転軸(22)と、前記回転軸から軸径方向放射状に設けられ前記回転軸と一体で回転する回転アーム(23)と、前記回転アームの先端位置でかつ前記回転軸と平行に設ける3本の混捏ローラ体(25)と、前記回転アームの中程位置でかつ前記回転軸と平行に設ける3本の生地落下防止棒体(24)と、を包含する(図4及び図5)。
【0029】
前記生地落下防止棒体(24)の役割について、前記容器(21)の内部で混捏中の粘度が増した生地塊がその自重で、前記容器の底部方向に落下することを抑制及び防止する。
【0030】
前記混捏ローラ体(25)の凹凸面形態について、最小径部から徐々に径を拡幅し最大径部となり、当該最大径部を一定程度維持した後に徐々に径を拡縮して最小径部に至る山型様の凹凸面を連続形成している(図6)。
【0031】
なお、前記混捏装置(20)を使用することにより、人の手によりつくられるいわゆる手打ち生地と同等のより良質な生地塊を生産することを可能としている。
【0032】
前記搬送機構(30)の構成について、前記帯状生地成形機構(10)から排出された帯状の生地を水平面上にのせて移送する搬送ユニット部(31)のみの構成も許容し得るが、当該帯状の生地の表面側及び裏面側から圧延しながら移送する圧延搬送ユニット部(32)を包含する構成とする方が好ましい(図2)。
【0033】
前記搬送機構(30)について、本実施例では5組の前記搬送ユニット部(31)及び前記圧延搬送ユニット部(32)を上流側から下流側に向かって直列に配置をしているが、設置スペースを考慮して組数を増減することも許容する(図2)。
【0034】
なお、前記圧延搬送ユニット部(32)の搬送開始箇所又は搬送終了箇所には所定のセンサを設け、搬送中の帯状の生地が切れてしまうこと又は必要以上に伸びてしまうことを防止している。
【0035】
次に、麺用生地製造成形設備の作動について、図7及び図8に従い説明する。
【0036】
第1生地圧延成形装置(11)の上段側に配設する2台の混捏機構(20)及び第2生地圧延成形装置(12)の上段側に配設する2台の混捏機構に小麦粉、塩、水などの生地材料を供給して作動を開始すると、各々の混捏機構(20)の内部で前記生地材料が混ぜ及び捏ねられ、一定の時間経過後に、生地塊(A1)が下段側に排出される(図7)。
【0037】
前記各々の混捏装置(20)の下段側に排出された生地塊(A1)は、その自重によって前記第1生地圧延成形装置(11)又は前記第2生地圧延成装置(12)へ供給される(図7)。
【0038】
前記第1生地圧延成形装置(11)に供給された生地塊(A1)は、当該装置内で圧延され帯状の生地(A2)に成形されて、当該装置の下段側に設ける搬送路に排出されるとともに前記第2生地圧延成形装置(12)の下段側搬送路へと移送される(図7)。
【0039】
また、前記第2生地圧延成形装置(12)に供給された生地塊(A1)は、当該装置内で圧延され帯状の生地(A2)に成形されて、当該装置の上段側搬送路に排出される(図7)。
【0040】
前記第2生地圧延成形装置(12)の下段側に排出された帯状の生地(A2)は、前記第1生地圧延成形装置(11)から移送されてきた帯状の生地の上に積層され、積層帯状生地となって搬送機構(30)を構成する圧延搬送ユニット部(32)へ供給される(図7)。
【0041】
前記圧延搬送ユニット部(32)へ供給された積層帯状生地(A2)は、当該帯状生地の表面側及び裏面側から圧延されながら移送され、搬送ユニット部(31)の水平面上にのせてさらに移送される(図7)。
【0042】
その後、前述の様な移送(搬送)を4回繰り返した後、生地切断機構(40)で当該帯状生地の長さ方向に切断され麺線(A3)となって排出される(図8)。
【0043】
なお、前記生地切断機構(40)から排出された麺線(A3)について、その後乾燥処理が行われ乾燥麺線となる場合もある。
【実施例0044】
実施例2の麺用生地製造成形設備は、麺用生地の搬送方向が実施例1とは異なる(逆方向である)設備であり、実施例1と異なる部分のみを図9に従い説明する。
【0045】
麺用生地製造成形設備(1)は、所定の帯状生地成形機構(10)と、前記帯状生地成形機構よりも上段側に配設する1又は複数台の混捏装置(20)と、前記帯状生地成形機構の下流側に配設する搬送機構(30)と、前記搬送機構の下流側に配設する生地切断機構(40)と、実施例1と同様の構成である(図9)。
【0046】
本実施例の麺用生地製造成形設備(1)で製造及び成形される麺用生地の搬送方向は、図9で示す下側から上側方向へ向かう(実施例1の麺用生地製造成形設備では、図1で示す上側から下側方向へ向かう)。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明の麺用生地製造成形設備は、人の手がほとんどかからないにもかかわらず多量の良質な麺用生地を製造し麺線にまで成形が可能な優れた設備であるため、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0048】
1 麺用生地製造成形設備
10 帯状生地成形機構
11 第1生地圧延成形装置
12 第2生地圧延成型装置
20 混捏装置
21 容器
22 回転軸
23 回転アーム
24 生地落下防止棒体
25 混捏ローラ体
30 搬送機構
31 搬送ユニット部
32 圧延搬送ユニット部
40 生地切断機構
A1 生地塊
A2 帯状の生地、積層帯状生地
A3 麺線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9