IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レエンジニアリング株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社 NGRの特許一覧

<>
  • 特開-欠陥検査方法 図1
  • 特開-欠陥検査方法 図2
  • 特開-欠陥検査方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142892
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】欠陥検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050018
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久世 康之
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051AC21
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】装置の稼働率を低下させることなく、ステージの動作を監視し、装置が故障する前兆を事前に検知することができる欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】ウェハ上に形成されたチップ内の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、ステージ10に載置したウェハ60をグローバルアライメントした後、ステージを移動させながら、チップ内の欠陥を検査する途中に、ステージの動作異常を検知する工程が実行され、当該工程は、チップ内で、予め登録されたアライメントパターンの位置座標を取得する工程と、取得されたアライメントパターンの位置座標と、アライメントパターンの設計上の位置座標とのズレ量を算出する工程とを含み、ズレ量が、予め定められたしきい値を超えたとき、ステージに動作異常が発生していると判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ上に形成されたチップ内の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
前記ウェハをステージに載置した後、前記ウェハ上の座標系と前記ステージ上の座標系とをグローバルアライメントする工程(A)と、
前記工程(A)の後、前記ステージを移動させながら、前記ウェハ上に形成された前記チップ内の欠陥を検査する工程(B)と、
を含み、
前記工程(B)の途中に、前記ステージの動作異常を検知する工程(C)が実行され、
前記工程(C)は、
前記チップ内で、予め登録されたアライメントパターンを検出し、該アライメントパターンの前記ウェハ上の位置座標を取得する工程と、
前記取得された前記アライメントパターンの位置座標と、前記アライメントパターンの予め登録された設計上の位置座標とのズレ量を算出する工程と、
を含み、
前記ズレ量が、予め定められたしきい値を超えたとき、前記ステージに動作異常が発生していると判定する、欠陥検査方法。
【請求項2】
前記工程(C)は、前記工程(B)の途中に、断続的に実行される、請求項1に記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記アライメントパターンは、複数個登録され、
前記工程(C)において算出されるズレ量は、前記ウェハ上の座標系における並進ズレ量及び回転ズレ量を含む、請求項1または2に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記工程(B)は、前記ステージを、検査すべき前記チップの位置に移動させたときに、前記ウェハ上の座標系と前記ステージ上の座標系とをファインアライメントする工程を含み、
前記工程(C)は、前記ファインアライメント工程で実行される、請求項1または2に記載の欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ上に形成されたチップ内の欠陥を検査する欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、1枚の半導体ウェハ上に、複数の半導体デバイス回路(チップ)をマトリクス状に繰り返し形成した後、個々のチップに個片化して、個片化したチップをパッケージングすることにより製造される。
【0003】
個々のチップが個片化される前に、ウェハ上に形成された各チップの外観パターンを逐次撮像しながら、検査画像と基準画像とを、画素単位で比較して、対比した画素同士の輝度値の差などに基づいて、チップ内の欠陥を検出している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-155610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウェハ上に形成された各チップ内の欠陥検査は、ステージ上に載置したウェハを、逐次、欠陥撮像装置(例えば、光学顕微鏡)の撮像位置に移動させながら実行される。このとき、ウェハを載置するステージ(例えば、XYθステージ)は、駆動機構(例えば、サーボモータ等)によって駆動されるが、駆動中に、渦電流や静定不良などの異常を検知すると、ハード故障としてアラームが出力される。
【0006】
一方、XYθステージのハード故障以外で、例えば、レールの変形やレールとの摩擦抵抗の増加、あるいは、駆動機構の出力低下などの経時変化等に起因するステージの動作異常が起きる場合がある。しかしながら、このような故障の前兆があったとしても、動作異常として自動的に検知することは難しかった。
【0007】
ハード故障が発生してからでは、異常箇所の調査や、部品交換の手配等で、装置復旧に時間を要してしまう。また、毎回、ハード故障を確認するためのテスト動作を行うと、装置の稼働率が低下してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、ウェハ上に形成されたチップ内の欠陥を検査する欠陥検査において、装置の稼働率を低下させることなく、ステージの動作を監視し、ステージが故障する前兆を事前に検知することができる欠陥検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る欠陥検査方法は、ウェハ上に形成されたチップ内の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、ウェハをステージに載置した後、ウェハ上の座標系とステージ上の座標系とをグローバルアライメントする工程(A)と、工程(A)の後、ステージを移動させながら、ウェハ上に形成されたチップ内の欠陥を検査する工程(B)とを含み、工程(B)の途中に、ステージの動作異常を検知する工程(C)が実行され、工程(C)は、チップ内で、予め登録されたアライメントパターンを検出し、該アライメントパターンのウェハ上の位置座標を取得する工程と、取得されたアライメントパターンの位置座標と、アライメントパターンの予め登録された設計上の位置座標とのズレ量を算出する工程と、を含み、ズレ量が、予め定められたしきい値を超えたとき、ステージに動作異常が発生していると判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウェハ上に形成されたチップ内の欠陥を検査する欠陥検査において、装置の稼働率を低下させることなく、ステージの動作を監視し、ステージが故障する前兆を事前に検知することができる欠陥検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態における欠陥検査方法に使用する欠陥検査装置の構成を模式的に示した図である。
図2】本実施形態における欠陥検査方法を示したフローチャートである。
図3】ステージの動作異常の検知工程を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態における欠陥検査方法に使用する欠陥検査装置の構成を模式的に示した図である。なお、欠陥検査方法に使用する欠陥検査装置は、これに限定されず、欠陥検査の目的に応じて、適宜、好適な欠陥検査装置を使用することができる。
【0014】
図1に示すように、欠陥検査装置は、ウェハ60を載置するステージ10と、ステージ10を駆動する駆動機構11と、ウェハ60上に形成された各チップ内の欠陥を撮像する撮像装置12とを備えている。ステージ10は、例えば、XYθステージ等を用いることができる。また、撮像装置12は、例えば、撮像素子を備えた光学顕微鏡等を用いることができる。
【0015】
ウェハ60上に形成された各チップ内の欠陥検査は、ステージ10上に載置したウェハ60を、逐次、撮像装置12の撮像位置に移動させながら実行される。撮像装置12で撮像された画像は、画像処理部20で処理され、例えば、検査画像と基準画像とを、画素単位で比較して、対比した画素同士の輝度値の差などに基づいて、チップ内の欠陥を検出する。
【0016】
欠陥検査装置は、さらに、ステージ10の動作異常を検知する手段として、アライメントのズレ量を算出する算出部30と、アライメントパターンの設計上の位置座標が予め登録された記憶部40と、ステージ10の動作異常の発生の有無を判定する判定部50とを備えている。
【0017】
図2は、本実施形態における欠陥検査方法を示したフローチャートで、欠陥検査工程の途中に、ステージの動作異常を検知する工程が実行される。
【0018】
まず、ウェハ60をステージ10に載置した後、ウェハ60上の座標系とステージ10の座標系とをグローバルアライメントする(ステップS101)。グロ-バルアライメントは、例えば、ウェハ60上に形成されたアライメントマークを、撮像装置12で検出することにより行われる。
【0019】
グローバルアライメントを行うことにより、ステージ10を移動させながら、ウェハ60上に形成されたチップ内の欠陥を検査する際、各チップにおいて、大きな位置や角度のズレがない状態で、欠陥検査を実行することができる。
【0020】
グローバルアライメント工程の後、ステージ10を移動させながら、ウェハ60上に形成されたチップ内の欠陥検査を開始する(ステップS102)。チップ内の欠陥検査は、ステージ10上に載置したウェハ60を、逐次、撮像装置12の撮像位置に移動させながら実行される。
【0021】
欠陥検査工程の途中、ステージ10の動作異常を検知するかどうかを判断する(ステップS103)。ステージ10の動作異常の検知は、欠陥検査工程の途中であれば、どのタイミングで行ってもよい。例えば、予め、ウェハ60上に形成された複数のチップのうち、特定のチップを複数登録しておき、この特定のチップ内の欠陥を検出する前のタイミングで、断続的に行ってもよいし、チップ毎に行ってもよい。ステージ10の動作異常の検知を開始しない場合は、欠陥検査工程を続行する(ステップS104)。
【0022】
次に、ステージ10の動作異常の検知を開始する場合の工程を説明する。なお、ここでは、図3に示すように、ウェハ60内の複数のチップ61のうち、特定の3つのチップ61a、61b、61cを予め登録しておき、各チップ61a、61b、61cの欠陥を検出する前のタイミングで、ステージ10の動作異常の検知を実行する場合を説明する。
【0023】
まず、図3に示すように、チップ61a内で、予め登録されたアライメントパターンPを撮像装置12で検出し、アライメントパターンPのウェハ60上の位置座標を取得する(ステップS201)。アライメントパターンPの位置座標は、例えば、撮像装置12で撮像したアライメントパターンPの画像を、画像処理部20で画像処理して求めたアライメントパターンPの中心部とする。
【0024】
次に、ステップS201で取得されたアライメントパターンPの位置座標と、アライメントパターンPの設計上の位置座標とのズレ量を算出する(ステップS202)。ここで、アライメントパターンPの設計上の位置座標は、予め、記憶部40に登録されている。
【0025】
そして、ズレ量が、予め定められたしきい値を超えたとき(ステップS203のYes)、ステージ10に動作異常が発生していると判定する(ステップS204)。ステージ10に動作異常が発生していると判定した場合、必要であれば、アラームを出力し、欠陥検査工程を中断する(ステップS205)。
【0026】
ステージ10の動作異常の発生の判定基準となるしきい値は、使用するステージ10の特性等に応じて、適宜決めればよい。例えば、過去に発生したハード故障の事例から、その前兆と考えられる種々の事象を分析し、その事象に特徴的なズレ量を、しきい値とすることができる。また、ズレ量の経時的変化を監視し、その変化量が一定の基準を超えたとき、ステージ10の動作異常が発生していると判定してもよい。
【0027】
一方、ズレ量が、予め定められたしきい値を超えていないときは(ステップS203のNo)、欠陥検査工程が終了していなければ(ステップS105のNo)、欠陥検査を続行する。そして、欠陥検査工程の途中で、図3に示すように、チップ61b、61c内の欠陥検査を開始する前のタイミングで、断続的に、ステージ10の動作異常を検知する工程(ステップS201~ステップS205)を実行する。
【0028】
最後に、全てのチップ内の欠陥検査が終了していれば(ステップS105のYes)、欠陥検査工程を終了する。
【0029】
本実施形態によれば、ウェハ60上に形成されたチップ内の欠陥を検査する工程の途中に、ステージ10の動作異常を検知する工程を実行することによって、ステージ10が故障する前兆を事前に検知することができる。これにより、ステージ10の故障が発生する前に、事前の対応の準備ができるため、ハード故障が発生してから、異常箇所の調査や、部品交換の手配等で、装置復旧に要する時間を削減することができる。
【0030】
また、ステージ10の動作異常を検知する工程を、欠陥検査工程の途中で実行できるため、装置の稼働率を低下させることなく、ステージ10の動作を監視し、ステージ10が故障する前兆を事前に検知することができる。
【0031】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、ステージ10の動作異常を検知する工程を、チップ内の予め登録されたアライメントパターンPを用いて実行する例を説明したが、欠陥検査工程において、ステージ10を検査すべきチップの位置に移動させたときに、通常行うウェハ60上の座標系とステージ10上の座標系とをファインアライメントする工程で実行してもよい。
【0032】
また、ステージ10の動作異常を検知する工程で、ウェハ60上の特定のチップを使用する場合、図3に示すように、直線上に並んだ複数のチップを用いることによって、ステージ10の回転ズレ量も算出することができる。
【0033】
また、上記実施形態では、ステージ10の動作異常を検知する工程を、チップ内の欠陥検査工程の途中に実行したが、ウェハ60内の良品画像を撮像して、良品画像モデルを学習する工程(トレーング工程)の途中で実行してもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 ステージ
11 駆動機構
12 撮像装置
20 画像処理部
30 算出部
40 記憶部
50 判定部
60 ウェハ
61 チップ
図1
図2
図3