(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142917
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】炎検出装置、炎検出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20230928BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230928BHJP
G08B 17/12 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06T7/60 300A
H04N7/18 D
H04N7/18 K
G08B17/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050049
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】森 智彦
(72)【発明者】
【氏名】野田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】久木 祐弥
【テーマコード(参考)】
5C054
5C085
5L096
【Fターム(参考)】
5C054FC09
5C054FC12
5C054FC14
5C054FC16
5C054FE28
5C054FF06
5C054HA20
5C085AA12
5C085BA36
5C085CA01
5C085EA41
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096EA03
5L096EA43
5L096FA35
5L096FA67
5L096FA68
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】円形度による判定とは異なる方法を用いて精度よく炎を検出する。
【解決手段】監視対象が撮像された対象画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された対象画像から炎候補領域を抽出する抽出部と、前記炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出し、前記算出した指標に基づいて前記炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する判定部、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象が撮像された対象画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された対象画像から炎候補領域を抽出する抽出部と、
前記炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出し、前記算出した指標に基づいて前記炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する判定部、
を備える炎検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群から選択した三つの画素を前記輪郭に沿って接続させた線分がなす角度を前記輪郭線がなす角度として、前記選択する画素の組合せごとに特定される複数の前記線分の各々がなす角度の統計量を用いて前記指標を算出する、
請求項1に記載の炎検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群から選択した、互いに隣接しない三つの画素を前記輪郭に沿って接続させた線分がなす角度を前記輪郭線がなす角度とする、
請求項2に記載の炎検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記輪郭を構成する画素群のうちN画素(Nは2以上の整数)離れた3つの画素を前記輪郭に沿うように接続させてなる角度を前記輪郭線がなす角度として算出する、
請求項3に記載の炎検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記輪郭線がなす角の総数に対する、最頻値である角度の数の割合を前記指標として算出する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の炎検出装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記監視対象が時系列に撮像された複数の前記対象画像を取得し、
前記判定部は、複数の前記対象画像のそれぞれに対応する前記輪郭線がなす角のうち最頻値となった角度のばらつきを前記指標として算出する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の炎検出装置。
【請求項7】
前記抽出部は、画像における色情報に基づいて前記炎候補領域を抽出する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の炎検出装置。
【請求項8】
コンピュータである炎検出装置が行う炎検出方法であって、
取得部が、監視対象が撮像された対象画像を取得し、
抽出部が、前記取得部によって取得された対象画像から炎候補領域を抽出し、
判定部が、前記炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出し、前記算出した指標に基づいて前記炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する、
炎検出方法。
【請求項9】
コンピュータである炎検出装置に、
監視対象が撮像された対象画像を取得させ、
前記取得された対象画像から炎候補領域を抽出させ、
前記炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出し、前記算出した指標に基づいて前記炎候補領域に炎が示されているか否かを判定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎検出装置、炎検出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像を用いて火災の発生を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1-2)。画像において炎らしい物体が示されているか否かを画素ごとに判定し、炎らしい画素の集合体からなる領域を抽出する。そして、抽出した領域の形状が円形から遠い場合にその領域に炎が示されていると判定する。円形の度合いを示す指標として、例えば、円形度(=4πS/L^2)を適用することができる。ここでのSは領域の面積、Lは領域における外周の長さを示す。円形に近い物体を炎から除外することにより、回転灯などの発光物が誤って炎と検出されないようにして検出精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-305980号公報
【特許文献2】特開2020-021300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、円形度による判定では炎を精度よく検出できるとは限らない。例えば、発光物には蛍光灯など矩形に近い形状を有するものがある。このような矩形の発光物が発光する様子が撮像された画像において、発光した領域の形状は円形から遠い形状となり、誤って炎と検出されるおそれがある。当然ながら、炎を検出する場合において矩形など円形とは異なる形状を有する発光物が誤って炎と検出されないほうが望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、円形度による判定とは異なる方法を用いて精度よく炎を検出することができる炎検出装置、炎検出方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、監視対象が撮像された対象画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された対象画像から炎候補領域を抽出する抽出部と、前記炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出し、前記算出した指標に基づいて前記炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する判定部、を備える炎検出装置である。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、コンピュータである炎検出装置が行う炎検出方法であって、取得部が、監視対象が撮像された対象画像を取得し、抽出部が、前記取得部によって取得された対象画像から炎候補領域を抽出し、判定部が、前記炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出し、前記算出した指標に基づいて前記炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する、炎検出方法である。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、監視対象が撮像された対象画像を取得させ、前記取得された対象画像から炎候補領域を抽出させ、前記炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、前記炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出し、前記算出した指標に基づいて前記炎候補領域に炎が示されているか否かを判定させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、円形度による判定とは異なる方法を用いて精度よく炎を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る炎検出装置10が適用される炎検出システム1の構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る炎検出装置10の構成例を示すブロック図である。
【
図3A】実施形態に係る炎判定部102が行う処理を説明する図である。
【
図3B】実施形態に係る炎判定部102が行う処理を説明する図である。
【
図3C】実施形態に係る炎判定部102が行う処理を説明する図である。
【
図4】実施形態に係る炎検出装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る炎検出装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る炎検出装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施形態の対象画像、炎候補領域、統計量及び指標の例を説明する図である。
【
図8】実施形態の対象画像、炎候補領域、統計量及び指標の例を説明する図である。
【
図9】実施形態の対象画像、炎候補領域、統計量及び指標の例を説明する図である。
【
図10】実施形態の対象画像、炎候補領域、統計量及び指標の例を説明する図である。
【
図11】実施形態の対象画像が動画である場合における指標の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る炎検出装置10が適用される炎検出システム1の構成例を示す図である。炎検出システム1は、例えば、カメラCAと、炎検出装置10とを備える。カメラCAと炎検出装置10は、通信ネットワーク、無線LAN(Local Area Network)などを用いた近距離通信、或いはUSB(Universal Serial Bus)ケーブルなどを介して通信可能に接続される。
監視対象Tは、炎検出システム1が監視する対象となる領域又は物体である。監視対象Tは任意に設定されてよい。例えば、監視対象Tは、車道、トンネル構内、建物、建物構内等である。
カメラCAは監視対象Tを撮像する。カメラCAは、動画を撮像してもよいし、静止画を撮像してもよい。カメラCAは撮像した画像を炎検出装置10に出力する。
炎検出装置10は、コンピュータであり、例えば、PC(Personal Computer)、サーバ装置などにより実現される。炎検出装置10は、監視対象Tが撮像された画像(対象画像)をカメラCAから取得し、取得した画像に炎が示されているか否かを判定する。
【0013】
図2は、実施形態に係る炎検出装置10の構成例を示すブロック図である。炎検出装置10は、例えば、画像取得部100と、炎候補領域抽出部101と、炎判定部102と、判定結果出力部103と、画像情報記憶部104とを備える。
炎検出装置10が備える機能部(画像取得部100と、炎候補領域抽出部101と、炎判定部102と、判定結果出力部103)は、炎検出装置10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
【0014】
画像取得部100は、対象画像の画像情報を取得する。画像取得部100は、カメラCAにより撮像された、対象画像の画像情報を取得する。画像取得部100は、取得した画像情報を炎候補領域抽出部101に出力する。
【0015】
炎候補領域抽出部101は、対象画像から炎候補領域を抽出する。炎候補領域は、対象画像において、炎らしい物体が示されている領域である。
炎候補領域抽出部101は、対象画像における色情報に基づいて炎候補領域を抽出する。具体的には、炎候補領域抽出部101は、対象画像における画素を、その画素値が炎らしい色を示しているか否かに応じて二値化する。
例えば、色情報がRGB(Red、Green、Blue)にて示される場合、炎らしい色とは、色情報における赤色成分であるR値が閾値より大きい色、又は、赤色成分と緑色成分の差分(R-G)値が閾値より大きい色である。色情報がHSV(Hue、Saturation、Value・Brightness)にて示される場合、炎らしい色とは、例えば、色相成分であるH値が赤寄りで、且つ明度成分であるV値が閾値より大きい色である。
炎候補領域抽出部101は、二値化した画素のうち、炎らしい色を示す画素群からなる領域を抽出し、抽出した領域を炎候補領域とする。この場合において、炎候補領域抽出部101は、炎らしい色を示す画素群からなる領域のうち、閾値未満の面積を有する領域をノイズとして排除し、閾値以上の面積を有するものを炎候補領域とするようにしてもよい。炎候補領域抽出部101は、抽出した炎候補領域を示す情報を炎判定部102に出力する。
【0016】
炎判定部102は、炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。炎判定部102は、炎候補領域における形状の複雑さを示す指標に基づいて、炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。炎判定部102は、炎候補領域における形状の複雑さを示す指標を、炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出する。
【0017】
炎候補領域の形状が、単純な形状、例えば、円形、三角形、四角形、或いは多角形などである場合、輪郭線がなす角度は、特定の角度に集中する。例えば、円形であれば、輪郭線がなす角度はその円の曲率、及び画像の解像度に応じた角度である。三角形であれば、三つの頂点がなす角度、又は直線がなす角度(180度)のいずれかである。四角形であれば、4つの頂点がなす角度(正方形や長方形であれば90度)又は直線がなす角度(180度)のいずれかである。例えば、蛍光灯であれば略平行四辺形の組み合わせとして画像上に表れるが、この略平行四辺形の形状も、頂点がなす角度と、多くの部分で直線がなす角度(180度)が表れることとなる。
【0018】
炎の形状は、上述したような単純な形状ではなく、複雑な形状であることが一般的である。炎の輪郭線は様々な角度からなり、特定の角度に集中していないのが通常である。このような炎の形状が有する複雑さを利用し、本実施形態では、炎判定部102は、炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて、形状の複雑さを示す指標を算出する。そして、炎判定部102は、算出した指標に基づいて炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。炎判定部102が、輪郭線がなす角度を算出する具体的な方法については後で詳しく説明する。
【0019】
判定結果出力部103は、炎判定部102による判定結果、すなわち対象画像に炎が示されているか否かを出力する。判定結果出力部103は、例えば、図示しないディスプレイに判定結果を表示することにより、判定結果を表示するように構成されてもよい。この場合、対象画像に炎が示されている場合には、火災の可能性がある旨のメッセージを表示したり、アラーム音などを出力させたりする等してユーザに注意を促すようにしてもよい。
【0020】
画像情報記憶部104は画像情報を記憶する。画像情報は、対象画像の画像情報である。画像情報に、炎候補領域抽出部101によって抽出された炎候補領域を示す情報や、炎判定部102によって判定された判定結果、判定に用いられた指標などを示す情報が含まれていてもよい。
画像情報記憶部104は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0021】
ここで、炎判定部102が、輪郭線がなす角度を算出する具体的な方法について、
図3(
図3A~
図3C)を用いて説明する。
図3は、実施形態に係る炎判定部102が行う処理を説明する図である。
図3のそれぞれには、対象画像TGが示され、対象画像TGにおいて抽出された炎候補領域Rに対応されている画素が模式的に示されている。また、
図3のそれぞれには、炎候補領域Rの輪郭を構成する画素群として、画素P1~P17が示されている。
【0022】
図3Aに示すように、炎判定部102は、炎候補領域Rの輪郭を構成する画素群である画素P1~P17から1つの画素、この例では画素P11を起点Bとして選択する。そして、炎判定部102は、起点Bから一方の方向にある画素と、他方の方向にある画素とを、炎候補領域Rの輪郭を構成する画素群から選択する。この図では、起点Bから左上方向にある画素P14を一方の方向にある点Aとして選択し、起点Bから右上方向にある画素P8を他方の方向にある点Cとして選択した例が示されている。
【0023】
また、
図3Bに示すように、炎判定部102は、
図3Aで選択した画素の組合せとは異なる組合せにて三つの画素を選択する。この図では、炎判定部102が画素P16を起点Eとして選択した例が示されている。そして、炎判定部102は、起点Eから下方向にある画素P13を一方の方向にある点Dとして選択し、起点Eから右方向にある画素P3を他方の方向にある点Fとして選択した例が示されている。
【0024】
また、
図3Cに示すように、
図3A及び
図3Bで選択した画素の組合せとは異なる組合せにて三つの画素を選択する。この例では、炎判定部102が画素P7を起点Hとして選択した例が示されている。そして、炎判定部102は、起点Hから左上方向にある画素P4を一方の方向にある点Gとして選択し、起点Hから左上方向にある画素P10を他方の方向にある点Kとして選択した例が示されている。
【0025】
このようにして、炎判定部102は、炎候補領域Rの輪郭を構成する画素群から三つの画素を選択する。
この場合において、炎判定部102は、炎候補領域Rの輪郭を構成する画素群から、隣接しない三つの画素を選択するようにしてもよい。一般に、画素が格子状に配置されていることから、隣接する三つの画素を接続させてなる線分がなす角度は、特定の角度、0度、45度、90度、135度、180度等となり、炎候補領域の形状が複雑であっても、輪郭がなす角が特定の角度に集中する傾向になりやすいためである。
【0026】
例えば、炎判定部102は、炎候補領域Rの輪郭を構成する画素群のうち、N個(Nは2以上の整数)離れた画素を選択する。これにより、炎候補領域の形状が複雑である場合には輪郭がなす角が様々な角度になり、候補領域の形状が単純な円形や方形である場合には輪郭がなす角が特定の角度に集中するという特徴が定量的に検出できるようになる。
【0027】
具体的に、炎判定部102は、輪郭情報として、輪郭を構成する画素群の座標を示す数列Pnを抽出する。数列Pnは、例えば、輪郭を構成する画素群を、所定の方向、例えば時計回り、又は反時計回りの方向に沿って順に並べた数列である。炎判定部102は、数列Pnから、所定の間隔離れた画素を3つ選択する。具体的に、炎判定部102は、数列Pn{P1、P2、…、Pn}から、距離d離れた三つの画素(Pk-d、Pk、Pk+d)を選択する。
【0028】
炎判定部102は、選択した三つの画素のそれぞれを輪郭に沿って接続させてなる線分がなす角度を算出する。具体的に、炎判定部102は、数列Pnから選択した三つの画素(Pk-d、Pk、Pk+d)のそれぞれの座標のうち、起点とするPkから、他の点(Pk-d)、及び(Pk+d)に向かうベクトルV1、V2を計算する。ベクトルV1は画素(Pk)から画素(Pk-d)に向かうベクトルである。ベクトルV2は画素(Pk)から画素(Pk+d)に向かうベクトルである。炎判定部102は、例えば、式(1)に示すように、ベクトルの内積を用いて線分がなす角度θを算出する。
【0029】
dx1*dx2+dy1*dy2
=√(dx1^2+dy1^2)×√(dx2^2+dy2^2)×cosθ …(1)
但し、
(dx1,dy1):ベクトルV1の座標値
(dx2,dy2):ベクトルV2の座標値
θ:線分がなす角度
【0030】
このようにして、炎判定部102は、炎候補領域Rの輪郭を構成する画素群から選択した三つの画素を輪郭に沿って接続させてなる線分がなす角度を、輪郭線がなす角度として算出する。具体的に、炎判定部102は、
図3Aにおける線分ABCがなす角度ABC、
図3Bにおける線分DEFがなす角度DFE、及び
図3Cにおける線分GHKがなす角度GHKのそれぞれを、輪郭線がなす角度として算出する。
【0031】
炎判定部102は、例えば、輪郭を構成する全ての画素のそれぞれを起点にした線分のそれぞれがなす角度を、輪郭線がなす角度として算出する。炎判定部102は輪郭線がなす角度の統計量を用いて形状の複雑さを示す指標を算出する。
【0032】
ここでの統計量は、輪郭線がなす角度が特定の角度、例えば、180度などに集中しているか否かを示す指標となる統計量であれば任意に決定されてよい。例えば、統計量は、平均値、代表値、最頻値、最大値、最小値、分散、標準偏差、及びこれらの組合せを用いることができる。
【0033】
ここで、炎判定部102が、統計量を用いて指標を算出する具体的な方法について説明する。本実施形態では、炎候補領域形状の複雑さを示す指標として、(1)集中度、及び(2)最頻値となった角度のばらつき、の2つの指標を用いる。
【0034】
(1)集中度は、輪郭線がなす角度が特定の角度に集中している度合を示す指標であり、輪郭線がなす角の総数に対する、最頻値となった角度の数の比率である。例えば、輪郭を構成する全ての画素のそれぞれを起点にした線分を生成し、生成した線分のそれぞれがなす角度を取得した場合、輪郭線がなす角の総数は、輪郭線を構成する画素の総数と同じである。
【0035】
例えば、輪郭線がなす角の総数が100個であり、そのうちの最頻値となった角度が180度であり、角度が180度である角の数が67個である場合、集中度は0.67(=67/100)である。また、輪郭線がなす角の総数が100個であり、そのうちの最頻値となった角度が7度であり、角度が7度である角の数が6個である場合、集中度は0.06(=6/100)である。
【0036】
(2)最頻値となった角度のばらつきは、監視対象Tを撮像した動画像を用いた場合に、各画像において輪郭線がなす角度の最頻値が集中していない度合、つまり、ばらつく度合を示す指標である。例えば、炎判定部102は、動画像を構成する対象画像のそれぞれについて最頻値を算出する。ここでの最頻値は、対象画像から抽出された炎候補領域における輪郭線がなす角のうち最頻値となった角度である。
【0037】
例えば、動画を構成する対象画像の総数が100枚であり、それぞれの画像において最頻値となった角度が、17度、3度、69度、41度、…とばらばらである場合、ばらつきは大きくなる。一方、それぞれの画像において最頻値となった角度が、180度、180度、181度、179度、…と180度の近傍に集中している場合、ばらつきは小さくなる。ばらつきを示す度合として、分散又は標準偏差などの統計量が用いられてもよい。
【0038】
図4は、実施形態に係る炎検出装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
炎検出装置10は、対象画像を取得する(ステップS10)。炎検出装置10は、例えば、カメラCAによって監視対象Tが撮像された画像を対象画像として取得する。
次に、炎検出装置10は、対象画像から炎候補領域を抽出する(ステップS11)。炎検出装置10は、対象画像における色情報に基づいて、炎らしい色が示された表域を炎候補領域として抽出する。
次に、炎検出装置10は、ステップS11で抽出した炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する(ステップS12)。炎検出装置10は、炎候補領域の形状の複雑さを示す指標に基づいて炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。
次に、炎検出装置10は、ステップS12で判定した判定結果を出力する(ステップS13)。炎検出装置10は、判定結果を視認可能に表示させたり、判定結果に応じたアラーム音を出力させたりする。
【0039】
図5は、
図4のステップS11、つまり、対象画像から炎候補領域を抽出する処理の流れを示すフローチャートである。
炎検出装置10は、対象画像における全ての画素を、炎らしい色か否かに応じて二値化する(ステップS110)。例えば、炎検出装置10は、色情報がRGBであればR値が閾値より大きい画素、又は、(R-G)値が閾値より大きい画素を炎らしい色の画素と判定する。或いは、炎検出装置10は、色情報がHSVにて示される場合、H値が赤寄り、且つV値が閾値より大きい画素を炎らしい色との画素と判定する。
炎検出装置10は、二値化した画素のうち、炎らしい色を示す画素群からなる領域を抽出する(ステップS111)。炎検出装置10は、抽出した領域のうち、閾値以上の面積を有する領域を炎候補領域として選択する(ステップS112)。
【0040】
図6は、
図4のステップS12、つまり、炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する処理の流れを示すフローチャートである。
炎検出装置10は、ステップS11で抽出した炎候補領域において輪郭を構成する画素群を取得する(ステップS120)。炎検出装置10は、取得した輪郭を構成する画素群のうちから選択した三つの画素を選択する(ステップS121)。炎検出装置10は三つの画素を輪郭に沿って接続させた線分がなす角度を算出する(ステップS122)。
【0041】
炎検出装置10は、輪郭を構成する画素のそれぞれを起点とした線分がなす角度を算出する(ステップS123)。炎検出装置10は、算出した角度の統計量として、例えば角度の分布を示すヒストグラムを作成する(ステップS124)。炎検出装置10は、例えば、5度刻みの角度にて、角度に、その角度となった角の数を対応づけたヒストグラムを作成する。炎検出装置10は、作成したヒストグラムに基づいて、形状の複雑さを示す指標として、集中度を算出する(ステップS125)。
【0042】
炎検出装置10は、全ての対象画像について、集中度を算出したか判定する(ステップS126)。炎検出装置10は、集中度を算出していない対象画像がある場合、ステップS10に示す処理に戻る。
【0043】
一方、炎検出装置10は、集中度を算出していない対象画像がない場合、集中度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS127)。
炎検出装置10は、例えば、指標を算出した全ての対象画像の各々から算出した集中度が閾値未満であるか否かを判定する。この場合、例えば、炎検出装置10は、集中度が閾値未満である場合、その対象画像における炎候補領域に炎が示されていると判定する。
或いは、炎検出装置10は、指標を算出した全ての対象画像の各々から算出した集中度の平均値が閾値未満であるか否かを判定するようにしてもよい。
炎判定部102は、集中度(又は集中度の平均値)が閾値未満である場合、炎候補領域に炎が示されていると判定する(ステップS128)。一方、炎判定部102は、集中度(又は集中度の平均値)が閾値以上である場合、炎候補領域に炎が示されていないと判定する(ステップS129)。
【0044】
なお、上記のフローチャートでは、集中度を指標として用いる場合を例に説明したが、これに限定されない。指標として、動画像を構成する複数の対象画像の各々から算出した最頻値のばらつき度を用いてもよい。例えば、対象画像の各々から算出した最頻値の分散が閾値以上である場合、対象画像のそれぞれの最頻値のばらつきが大きいことから、炎検出装置10は炎候補領域に炎が示されていると判定する。一方、対象画像の各々から算出した最頻値の分散が閾値未満である場合、対象画像のそれぞれの最頻値のばらつきが小さいことから、炎検出装置10は炎候補領域に炎が示されていないと判定する。
【0045】
ここで、実施形態の対象画像、炎候補領域、統計量及び指標の例を、
図7から
図10を用いて説明する。
図7から
図10は実施形態の対象画像、炎候補領域、統計量及び指標の例を説明する図である。
図7から
図10には、対象画像TGと、対象画像TGから抽出された炎候補領域HKと、炎候補領域HKの輪郭がなす角度のヒストグラムHG、及び輪郭がなす角度の統計量から求めた指標SH(集中度)のそれぞれが示されている。
【0046】
図7には、炎が撮像された対象画像TGの例が示されている。このような対象画像TGから抽出される炎候補領域HKは複雑な形状となる。この場合、炎候補領域HKの輪郭がなす角度のヒストグラムHGは、炎候補領域HKが、0度から180度までの様々な角度をもつ角で構成されていることを示している。また、集中度は、0.082であり、指標からも、炎候補領域HKが、特定の角度に集中した形状ではなく、複雑な形状をしていることが判る。
【0047】
図8には、
図7に示す対象画像TGに遮蔽物体が重ねられた場合の例が示されている。このように遮蔽された場合、対象画像TGから抽出される炎候補領域HKは、遮蔽された部分を含まない形状となる。このような場合であっても、炎候補領域HKの輪郭がなす角度のヒストグラムHGは、炎候補領域HKが、0度から180度までの様々な角度をもつ角で構成されていることを示している。また、集中度は、0.114であり、指標からも、炎候補領域HKの一部が遮蔽されたとしても、炎であると判定できることが判る。
【0048】
図9には、円形の物体が撮像された対象画像TGの例が示されている。このような対象画像TGから抽出される単純な円形となる。この場合、炎候補領域HKの輪郭がなす角度のヒストグラムHGは、特定の角度が数多く存在していることを示しており、炎候補領域HKが特定の角度をもつ角で構成されていることを示している。また、集中度は、0.516であり、指標からも、炎候補領域HKが、特定の角度に集中した単純な形状であることを示している。
【0049】
図10には、方形の物体が撮像された対象画像TGの例が示されている。このような対象画像TGから抽出される単純な方形となる。この場合、炎候補領域HKの輪郭がなす角度のヒストグラムHGは、ほぼ特定の角度で占められており、炎候補領域HKが特定の角度をもつ角で構成されていることを示している。また、集中度は、0.709であり、指標からも、炎候補領域HKが、特定の角度に集中した単純な形状であることを示している。
【0050】
ここで、
図11を用いて、対象画像が動画である場合における指標の例を説明する。
図11には、左側に炎が撮像された動画から求めた指標、右側に自動車が撮像された動画から求めた指標の例が示されている。
図11の上側には、集中度を指標として用いた場合の例が示されており、横軸に時間軸としてフレーム画像番号、縦軸に集中度が示されている。
図11の下側には、最頻値(最頻となる補角)を指標として用いた場合の例が示されており、横軸に時間軸としてフレーム画像番号、縦軸に最頻値が示されている。ここでの補角は、(180度-角度)である。
【0051】
図11の上側に示すように、炎が撮像された動画を用いた場合、どの画像も集中度が0.2未満であることが示されている。これに対し、自動車が撮像された動画を用いた場合、どの画像も集中度が0.2以上であることが示されている。このように、時系列に連続して撮像された動画であっても集中度を用いて、炎であるか否かを精度よく判定することができる。
【0052】
図11の下側では、時間的な角度のばらつきについて、補角(=180度-角度)を用いて示している。「補角=180度-角度」であるから、補角にばらつきがあるということは、角度にばらつきがあるということとなる。
図11の下側に示すように、炎が撮像された動画を用いた場合、最頻値(最頻となる補角)が画像ごとに様々に変化する、つまり、ばらつきが大きいことが示されている。これに対し、自動車が撮像された動画を用いた場合、最頻値は、どの画像も0(ゼロ)であり、ばらつきがないことが示されている。このように、時系列に連続して撮像された動画であっても最頻値のばらつき度合を用いて、炎であるか否かを精度よく判定することができる。
【0053】
以上説明したように、実施形態の炎検出装置10は、画像取得部100と、炎候補領域抽出部101と、炎判定部102とを備える。画像取得部100は、対象画像を取得する。炎候補領域抽出部101は、対象画像から炎候補領域を抽出する。炎判定部102は、炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。炎判定部102は、炎候補領域における形状の複雑さを示す指標に基づいて、炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。炎判定部102は、炎候補領域の輪郭を構成する画素群を接続させた輪郭線がなす角度の統計量を用いて指標を算出する。
【0054】
これにより実施形態の炎検出装置10は、形状の複雑さを示す指標に基づいて、炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。炎検出装置10は、指標を炎候補領域の輪郭線がなす角度の統計量を用いて算出するため、単純な方形などの形状を有する領域を誤って炎と判定してしまうことを抑制できる。したがって、円形度による判定とは異なる方法を用いて精度よく炎を検出することができる。
【0055】
また、実施形態の炎検出装置10では、炎判定部102は、炎候補領域の輪郭を構成する画素群から選択した三つの画素を輪郭に沿って接続させた線分がなす角度を前記輪郭線がなす角度とする。炎判定部102は、選択する画素の組合せごとに特定される複数の線分の各々がなす角度の統計量を用いて指標を算出する。これにより実施形態の炎検出装置10は、輪郭線がなす角度を、炎候補領域の輪郭を構成する画素群から選択した三つの画素を輪郭に沿って接続させた線分がなす角度として求めることができ、輪郭線がなす角度の統計量を容易に算出することができ、炎候補領域に炎が示されているか否かを容易に判定することができる。
【0056】
また、実施形態の炎検出装置10では、炎判定部102は、炎候補領域の輪郭を構成する画素群から選択した、互いに隣接しない三つの画素を前記輪郭に沿って接続させた線分がなす角度を輪郭線がなす角度とする。これにより実施形態の炎検出装置10は、隣接した三つの画素の組合せを避けることができ、形状が複雑であるにもかかわらず、見かけ上、輪郭線がなす角度が特定の角度に集中してしまい判定を誤ってしまうような事態を回避することができる。
【0057】
また、実施形態の炎検出装置10では、炎判定部102は、輪郭を構成する画素群のうちN画素(Nは2以上の整数)離れた3つの画素を、輪郭に沿うように接続させてなる角度を輪郭線がなす角度として算出する。これにより実施形態の炎検出装置10は、ほぼ同じような間隔だけ離れた三つの画素の組合せにて生成される線分がなす角度を算出することができ、画素の間隔が大きかったり小さかったり様々である場合と比較して、形状の複雑さをより正確に示す指標を算出することが可能となる。
【0058】
また、実施形態の炎検出装置10では、炎判定部102は、集中度、つまり輪郭線なす角の総数に対する最頻値である角度の数の割合を、統計量として指標を算出する。これにより、実施形態の炎検出装置10では、形状の複雑さを、形状をなす角が特定の角度に集中する度合として定量的に示すことができる。
【0059】
また、実施形態の炎検出装置10では、画像取得部100は、動画像、すなわち監視対象が時系列に撮像された複数の前記対象画像を取得する。炎判定部102は、複数の対象画像のそれぞれに対応する、輪郭線がなす角のうち最頻値となった角度のばらつきを、指標として算出する。これにより、実施形態の炎検出装置10では、形状が複雑であり、且つ、時々刻々とその形状が変化するもの炎と判定することができ、より精度よく判定をすることができる。
【0060】
また、実施形態の炎検出装置10では、炎候補領域抽出部101は、画像における色情報に基づいて、炎候補領域を抽出する。これにより、実施形態の炎検出装置10では、色に基づいて炎候補領域を抽出することができ、容易な方法で炎候補領域を抽出することができる。
【0061】
ここで変形例について説明する。本変形例では、対象画像を拡大させたり縮小させたりする(リサイズする)点において上述した実施形態と相違する。
【0062】
対象画像を撮像するカメラCAと、炎が発生した領域との距離によっては、炎の輪郭が画像的につぶれて不鮮明となったり、炎の形状が画像の大きさと比較して大きくなりすぎたりする場合があり得る。本変形例では、このような場合に、対象画像を拡大又は縮小させることによって、炎候補領域を抽出する精度の低下を抑制する。
【0063】
例えば、カメラCAを設置する時などに、一定のサイズ(例えば、横幅10m、高さ5m)の検知枠が対象画像に設定されるようにする。例えば、第1検知枠として、四隅に対応する画素座標(x、y)が(30、100)、(530、100)、(530、350)、(30、350)となるような検知枠、カメラCAに近い領域を示す枠として設定する。第2検知枠として、四隅に対応する画素座標(x、y)が(130、80)、(430、80)、(430、230)、(130、230)となるような検知枠、カメラCAから遠い領域を示す枠として設定する。
なお、画像の上側から下側に向かう方向を、y軸における正方向とする。y軸に直行する軸をx軸とする。
【0064】
このような検知枠を設定した場合、例えば、画像における、第1検知枠の大きさは500×250画素であり、第2検知枠の大きさは300×150画素である。このような検知枠が設定された対象画像を取得すると、炎検出装置10は、各検知領域を抽出し、抽出した検知領域のそれぞれを、一律のサイズ、例えば、200×125画素に、拡大又は縮小させる。こうすることにより、1画素に撮像されている実空間の大きさを、カメラCAからの距離によらず、同じ大きさとする。これにより、同等サイズの炎が発生した場合において、その発生箇所が、カメラCAから近い距離にある場所か遠い距離にある場所かで、検出結果が異なる結果となってしまうことを抑制することができる。
【0065】
但し、検知枠にある画像を拡大させたり縮小させたりする場合、拡大率縮小率が大きすぎると輪郭が不鮮明となり得る。このため、各検知枠の大きさと拡大率縮小率との組合せを適切に設定することが好ましい。
【0066】
炎検出装置10は、上述したリサイズをする処理を、炎候補領域を抽出する前、或いは炎候補領域に炎が示されているか判定する前に行う。例えば、炎候補領域を抽出する前にリサイズをすることにより、炎検出装置10は、炎候補領域を精度よく抽出することができるようになる。また、炎候補領域に炎が示されているか判定する前にリサイズをすることにより、炎候補領域に炎が示されているか精度よく判定することが可能となる。
【0067】
以上説明したように、実施形態の変形例に係る炎検出装置10では、画像取得部100は、カメラCAからの距離と、実空間における領域の大きさとの組合せに応じて設定された複数の検知枠が設けられた対象画像を取得する。
炎候補領域抽出部101は、対象画像から検知枠内にある画像領域を抽出し、抽出した画像領域を、検知枠に対応づけて設定された倍率で拡大又は縮小する。炎候補領域抽出部101は、倍率で拡大又は縮小した画像を用いて当該画像から炎候補領域を抽出する。
また、炎判定部102は、判定対象とする炎候補領域が、検知枠内にある領域である場合、その炎候補領域を、検知枠に対応づけて設定された倍率で拡大又は縮小する。炎判定部102は、倍率で拡大又は縮小した炎候補領域を用いて、当該炎候補領域に炎が示されているか否かを判定する。
【0068】
上述した実施形態における炎検出装置10の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0069】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0070】
S…炎検出システム
10…炎検出装置
100…画像取得部(取得部)
101…炎候補領域抽出部(抽出部)
102…炎判定部(判定部)