(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142920
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】立位支持器具
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A61H1/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050054
(22)【出願日】2022-03-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示及び刊行物配布による公開 展示日:令和3年11月10日~令和3年11月12日 展示会名:第48回国際福祉機器展H.C.R.2021 開催場所:東京都江東区青梅1-2-33 東京ビッグサイト青梅展示棟(小間番号B-805:株式会社ダンロップホームプロダクツの出展スペース)
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山下 英里
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA29
4C046AA42
4C046AA47
4C046BB08
4C046CC01
4C046DD33
4C046DD42
(57)【要約】
【課題】介助者の負担を軽減
【解決手段】
ここで開示される立位支持器具は、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置の周りに配置された支えと、支えを支持する支柱と、支えよりも低い位置で支柱に取り付けられた環状の立位支持部材とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置の周りに配置された支えと、
前記支えを支持する支柱と、
前記支えよりも低い位置で支柱に取り付けられた環状の立位支持部材と
を有する、
立位支持器具。
【請求項2】
前記立位支持部材は、前記立位支持部材は空気が封入されたリング状の袋体で構成されている、請求項1に記載された立位支持器具。
【請求項3】
前記立位支持部材はクッション材であり、前記支柱に弾性材を介して支持されている、請求項1に記載された立位支持器具。
【請求項4】
前記弾性材がゴム紐である、請求項3に記載された立位支持器具。
【請求項5】
前記支柱の前記支えよりも低い位置に取り付けられた環状の支持枠と、
前記環状の支持枠に周方向に位置をずらして張られ、前記環状の支持枠の中心部に環状空間を形成する複数の弦と
前記環状空間に沿って前記弦に取り付けられたクッション材と
を有する、請求項1に記載された立位支持器具。
【請求項6】
前記複数の弦は、
前記環状の支持枠に内接する正三角形に沿って中心から120度ずつずらした3つの弦からなる一組の弦が、周方向に位置をずらして前記環状の支持枠に取り付けられている、請求項5に記載された立位支持器具。
【請求項7】
前記弦がゴム紐である、請求項5または6に記載された立位支持器具。
【請求項8】
前記環状の立位支持部材は、周方向において少なくとも一部が欠けている、請求項1から7までの何れか一項に記載された立位支持器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立位支持器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-296714号公報には、立位でつかまる支持棒を支柱により支持せしめた立位練習器が開示されている。ここで開示される立位練習器は、支柱に加えられた力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた力を検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置と床反力検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備えている。演算装置は、各演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装置と、該同期演算処理装置の同期演算結果を表示する表示装置と、該同期演算結果を記憶するデータ記憶装置と、該同期演算結果に応じて予め設定した指針を表示装置に表示する指針出力装置とを備えている。ここで開示される立位練習器によれば、脳卒中や糖尿病を患った人や膝関節の手術後の患者など、歩行障害を有する患者がリハビリを行う時の立位練習中における各種データを記録して、練習状況を定量的に把握することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高齢者が健康な生活を送るうえで、歩行を自立させ転倒予防を実現することが重要である。そのためには、歩行・立位姿勢の維持に必要となる腸腰筋・大臀筋などの筋肉をトレーニングする必要がある。また、基本的に立位の状態で生活をしていることから、座位ではなく、立位でこれらの筋肉を正しく使えるようトレーニングすることが重要となる。立位で行うトレーニング機器は、高齢者の安全面への考慮から介助者を必要とする機器が多く、介助者や施設の負担が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される立位支持器具は、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置の周りに配置された支えと、支えを支持する支柱と、支えよりも低い位置で支柱に取り付けられた環状の立位支持部材とを有する。
【0006】
ここで開示される立位支持器具によれば、使用者は立位支持部材の中に入り、立った姿勢となった後は、立位支持部材によって使用者の胴回りが支持される。さらに、使用者は、支えや支柱を掴むことができる。このため、使用者は、使用中に転倒しにくく、介助者の負担が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、ここで開示される立位支持器具10を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、立位支持器具10Aを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、立位支持器具10Aの立位支持部材13Aの平面図である。
【
図4】
図4は、弦32の他の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ここで開示される発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〈立位支持器具10〉
図1は、ここで開示される立位支持器具10を示す斜視図である。立位支持器具10は、
図1に示されているように、支え11と、支柱12と、立位支持部材13とを備えている。立位支持器具10では、使用者は、予め定められた位置A1で立った姿勢で支持される。ここで、位置A1は、立位支持器具10において支え11や支柱12に対して定められる位置である。
【0010】
〈支柱12〉
支柱12は、支え11を支持する柱である。
図1に示された形態では、支柱12は、使用者が立った姿勢で支持される位置A1の周りに6本の支柱12が配置されている。6本の支柱12は、使用者が立った姿勢で支持される位置A1を中心にして、支柱12の内側下部に設けられた環状のリング部材12aに接続されている。この実施形態では、6本の支柱12とリング部材12aとは、それぞれ径方向に延びた接続部材12bによって接続されている。6本の支柱12の下端には設置部12cが設けられている。この実施形態では、設置部12cは、使用者が立った姿勢で支持される位置A1を中心にして、それぞれ径方向外側に延びて設置する足部12dと、支柱12と足部12dとを繋ぐ斜材部12eとを有する。6本の支柱12は、それぞれ同じ高さを有している。6本の支柱12は、隣接する2本ずつが一組になるように、2本の支柱12の高さ方向の中間部位が横架材12fで繋がれている。
【0011】
〈支え11〉
支え11は、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置の周りに配置されているとよい。この実施形態では、かかる横架材12fで繋がれた2本の支柱12の上端部を繋ぐように取り付けられている。この結果、立位支持器具10を利用する使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置A1の周りを囲うように、支え11が環状に配置されている。支柱12および支え11の各部材は、所要の剛性を有する棒材が用いられるとよい。棒材は、鉄やステンレスやアルミニウムなどの金属製でもよく、プラスチック製のパイプが用いられうる。接続箇所には、パイプを繋ぐジョイントが取り付けられるとよい。かかるパイプやジョイントには、例えば、矢崎化工株式会社製の市販部品を利用することができる。
【0012】
〈立位支持部材13〉
立位支持部材13は、
図1に示されているように、支え11よりも低い位置で支柱12に取り付けられている。この実施形態では、立位支持部材13は空気が封入されたリング状の袋体で構成されている。かかる立位支持部材13は、例えば、浮き輪のような形態でよい。かかる立位支持部材13は、支柱12に取り付けられた支持部材に支持されているとよい。かかる立位支持部材13は、自身が弾性変形可能である。なお、浮き輪のような形態の立位支持部材13の内径は、使用者の胴囲に合わせられるとよく。使用者の胴回りに接触するものでもよいし、立位支持部材13と使用者の胴回りとの間に、少し隙間があってもよい。
【0013】
この実施形態では、立位支持部材13は、空気が封入されたリング状の袋体13aは、外周に円環状のパイプ13bが装着されている。リング状の袋体13aと円環状のパイプ13bとは、周方向に間欠的にカバー13cが巻付けられている。カバー13cは、円環状のパイプ13bに固定されている。かかるカバー13cによって、リング状の袋体13aが円環状のパイプ13bに固定されている。カバー13cには、ターポリン製の布地が用いられている。円環状のパイプ13bは、さらに支柱12に径方向に取り付けられた支持部材13dに支持されている。円環状のパイプ13bと支持部材13dとは、プラスチック製のジョイントで連結されている。
【0014】
ここで、立位支持部材13は、支柱12に対して交換可能であり、使用者の腹囲などに合わせて、適当なサイズのものが取り付けられるとよい。立位支持部材13の内径は、例えば、使用者の腰部が接触する、もしくは近接する位置となるように調整されるとよい。立位支持部材13の外形は、例えば、支柱12の内側に収まり、衝撃吸収性が得られ、使用者の身体が前後・左右に揺動可能であるとよい。立位支持部材13が、浮き輪のような形態である場合、使用者が出入りする際は少し空気を抜いていてもよい。そして、使用者が立位支持部材13の中に入った後で、空気が補充されて使用者の体型に合わせて膨らませてもよい。これにより、使用者の出入りが容易になる。また、空気が補充されて使用者の体型に合わせて膨らませることで、立位支持部材13を使用者にフィットさせやすく、使用者を支持する上で安定感が向上する。この場合、立位支持部材13に空気を送ったり、立位支持部材13から空気を排出したりする給排気の機構と、空気の出し入れを行なう制御装置を備えているとよい。
【0015】
支柱12に対して立位支持部材13が取り付けられる位置も、使用者の体型に合わせて適宜に変更されうる。支柱12の高さなどは、適当な長さの部品を用いることによって調整されうる。また、支柱12は、高さ調整が可能なように伸長式のパイプ構造を備えていてもよい。
【0016】
この立位支持器具10によれば、使用者は、例えば、6本の支柱12のうち、横架材12fや支え11がない側方の間隙から、6本の支柱12で囲まれた空間に入り、しゃがんだ状態で立位支持部材13の下側に入る。そこから、起立し、立位支持部材13の内側の空間に入り、立った状態で支え11を掴むとよい。この時、使用者の胴回りが、浮き輪のような形態の立位支持部材13に支えられるので、バランスを崩して転倒するようなことが防止されうる。また、バランスを崩しそうな時には、すぐに支え11を持つことができる。このため、高齢者の方も怪我の恐れも少なく安心して効率的に立位・歩行に関連する筋肉をトレーニングでき、立位・歩行時のバランス能力を向上し、転倒を予防できると期待される。また、一度、立位支持部材13の内側に使用者が収まれば、高齢者でも立った状態を維持しやすいので、介助者による支えも少なくてよい。
【0017】
また、立位支持器具10の床には、バランスボードやバランスディスクのようなものを設置したり、クッション性のある不安定な床面を構成したり、使用者がバランスを取りにくい状態としてもよい。この場合、使用者のバランスをあえて崩させることができる。使用者のバランスをあえて崩させることによって、脚部も含めた使用者の体幹を鍛えることができる。また、床面に傾斜を設けてもよい。また、床面を傾斜させる装置を組み合わせてもよい。このような装置が組み合わされることでも、脚部も含めた使用者の体幹を鍛えることができる。当該装置では、傾斜を予め定められたプログラムに沿って制御できるものとしてもよい。床面を傾斜させる装置は、例えば、床面を空圧で傾ける装置などが用いられうる。
【0018】
かかる観点で、立位支持器具10は、例えば、支え11や支柱12の形状や構造は上記に限定されない。例えば、支え11は、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置A1の周りにおいて、使用者が掴みやすい位置に配置されているとよい。例えば、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置A1の周りにおいて、使用者の左右両側に支え11が配置されていてもよい。また、支え11は、使用者が掴みやすい形状としてもよい。例えば、円形でなく楕円形状としてもよい。
図1に示された形態では、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置の周りにおいて、支え11が間欠的に配置されている。これに限らず、支え11は、使用者が立った姿勢で左右に配置されていてもよい。これに合わせて、支柱12の配置も適宜変更されうる。
【0019】
立位支持部材13についても、
図1に示された形態に限定されない。立位支持部材13は、例えば、クッション材でもよい。クッション材としては、例えば、スポンジやウレタンフォームのような発泡体でもよい。この場合、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置A1の周りに、クッション材からなる立位支持部材13が配置されているとよい。立位支持部材13は、支柱12に弾性材を介して支持されているとよい。かかる構成によって、使用者は、立った姿勢で立位支持部材13に支持される。立位支持部材13がウレタンフォームである場合、反発弾性率は、例えば20%~50%であるとよい。ここで、反発弾性率は、加えた力と跳ね返る力の比をパーセントで表したものである。立位支持部材13に用いられる材料としては、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどでもよい。
【0020】
〈立位支持器具10A〉
図2は、立位支持器具10Aを模式的に示す斜視図である。
図3は、立位支持器具10Aの立位支持部材13Aの平面図である。
【0021】
図2に示された立位支持器具10Aは、支え11と支柱12の構造は、
図1に示された立位支持器具10と同じである。立位支持器具10Aでは、
図2に示されているように、立位支持部材13Aはクッション材であり、支柱12に弾性材14を介して支持されている。この実施形態では、弾性材14は、ゴム紐で構成されている。
【0022】
〈立位支持部材13A〉
立位支持部材13Aは、
図3に示されているように、支持枠31と、複数の弦32と、クッション材33とを有する。支持枠31は、支柱12の支え11よりも低い位置に取り付けられた環状の部材である。この実施形態では、支持枠31は、
図2に示されているように、支柱12から内径側に突出した支持材34に取り付けられている。複数の弦32は、環状の支持枠31に周方向に位置をずらして張られている。これにより、複数の弦32は、環状の支持枠31の中心部に環状空間35を形成している。
【0023】
図2に示された形態では、複数の弦32は、環状の支持枠31に内接する正三角形に沿って中心から120度ずつずらした3つの弦からなる一組の弦32が、周方向に位置をずらして環状の支持枠31に取り付けられている。この場合、
図3に示されているように、複数の弦32は、環状の支持枠31に内接する正三角形に合わせた予め定められた長さの環状の紐材を結線材36によって環状の支持枠31に結線されていてもよい。
図4は、弦32の他の形態を示す平面図である。弦32は、環状の支持枠31に巻付けられながら環状の支持枠31に内接する正三角形に沿って環状の支持枠31に取り付けられているとよい。この場合も、弦32の位置がずれないように、弦32の位置が保持されるとよい。例えば、環状の支持枠31に弦32が嵌まる溝が形成されていてもよい。また、結線材で、環状の支持枠31に弦32が結び付けられていてもよい。弦32は、例えば、ゴム紐で構成されているとよい。
【0024】
クッション材33は、かかる環状空間35に沿って弦32に取り付けられている。ここで、クッション材33は、例えば、所要の反発性を有するパイプ状のウレタンフォームであり、軸方向に沿って切れ目が入れている。そして、環状空間35に沿って弦32の内側をクッション材33の切れ目に入れ込み、環状空間35に沿って弦32に装着されているとよい。クッション材33の大きさは、例えば、使用者の対角に合わせて変更可能であるとよい。クッション材33は、弦32に装着された状態で脱落が防止するように、さらにベルトなどで弦32に係止されていてもよい。
図2に示された立位支持器具10Aにおいても、使用者は、クッション材33で囲まれた空間35の内側に立った姿勢で、支え11に捕まるとよい。クッション材33の形態はかかる形態に限定されない。また、この実施形態では、クッション材33は、周方向において間欠的に欠けている。このため、クッション材33で囲まれた空間35に出入りする際に、間欠的に欠けた部位によってクッション材33の変位が許容される。このため、使用者にとって扱いやすい。
【0025】
以上のように、ここで開示される立位支持器具10,10Aは、使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置の周りに配置された支え11と、支え11を支持する支柱12と、支柱12よりも低い位置で支柱12に取り付けられた環状の立位支持部材13,13Aとを有する。ここで開示される立位支持器具10,10Aによれば、使用者が要介助者であっても、使用者が立位支持部材13,13Aの中に入り、立った姿勢となった後は、立位支持部材13,13Aによって使用者の胴回りが支持される。さらに、使用者は、支え11や支柱12を掴むことができる。このため、使用者は、使用中に転倒しにくい。このため、立位支持器具10,10Aは、立位で行うトレーニング機器として、高齢者のような要介助者にとっても安全に使える。また、使用者が立位支持部材13の中に入り、立った姿勢となった後は、介助者の支えが必要となる場面が少なく、介助者の負担が少なくなる。
【0026】
かかる観点で、立位支持部材13,13Aは、上述した例では、環状であるが、例えば、C形のように、環状の一部が欠けていてもよい。この場合、使用者の体格に合わせて欠けた部分が開いたり閉じたりすることで、立位支持部材13,13Aの内径が調整されてもよい。C形のように、環状の一部が欠けていることで、使用者が、立位支持部材13,13Aの中に入りやすくなり、介助者の負担も軽減される。なお、かかる観点で、環状の立位支持部材13,13Aは、C形に限定されず、周方向において少なくとも一部が欠けているとよい。これにより、立位支持部材13,13Aが変形しやすく、使用者が扱いやすい。
【0027】
立位支持部材13,13Aの内部にいる使用者が腰部を前後・左右へ預けるように揺れ動くと、立位支持部材13,13Aの弾性反力により使用者の身体が初期の立位姿勢に戻される。使用者が、このような動作を繰り返し実施することにより、使用者の立位・歩行姿勢の維持に必要となる筋肉・バランス力を鍛えられ、腰回りや股関節部を前後・左右へ安定的に動かすことができ、これらの部位の可動域を広くすることができる。これにより、使用者の筋力やバランスが向上することで、立位や歩行時の不安定感が軽減される。また、床面を、不安定なバランスボードや空圧で傾ける床面などとすることによって、バランス力の強化につながるとともに、バランスが崩された際に反射的に筋肉に刺激が入り、使用者の筋力やバランスを向上させることができる。
【0028】
立位支持器具10,10Aによる一定期間のトレーニングにより効果が得られる。トレーニングとしては、例えば、立位支持器具10,10Aによって、立った姿勢で支持された使用者が、例えば、1回5分間程度、予め定められた動きで、使用者が自らの身体を揺さぶるだけでもよい。例えば、不安定なバランスボードや空圧で傾ける床面などの上でバランスを取りつつ揺れるだけでもよい。立位トレーニングの内容は、これに限定されず、自由に設定できる。
【0029】
トレーニングにより効果は、長座体前屈、ファンクショナルリーチテスト、2ステップテストなどの種々の体力測定テストで把握されうる。ここで、長座体前屈は、文部科学省が定める新体力テスト実施要項に定められている。ファンクショナルリーチテストや2ステップテストは、転倒等災害リスク評価セルフチェック実施マニュアル(平成21年度 中央労働災害防止協会)などで定められている。
【0030】
以上、ここで開示される発明について、種々説明したが、ここで開示される発明は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態や変形例に限定されない。また、種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。
【0031】
以上のとおり、本開示(1)は、立位支持器具に関する。
本開示(1)における立位支持器具は、
使用者が立った姿勢で支持される予め定められた位置の周りに配置された支えと、
前記支えを支持する支柱と、
前記支えよりも低い位置で支柱に取り付けられた環状の立位支持部材と
を有する。
【0032】
本開示(2)は、本開示(1)における立位支持器具に関し、前記立位支持部材は、前記立位支持部材は空気が封入されたリング状の袋体で構成されている。
【0033】
本開示(3)は、本開示(1)における立位支持器具に関し、前記立位支持部材はクッション材であり、前記支柱に弾性材を介して支持されている。
【0034】
本開示(4)は、本開示(3)における立位支持器具に関し、前記弾性材がゴム紐である。
【0035】
本開示(5)は、本開示(1)における立位支持器具に関し、
前記支柱の前記支えよりも低い位置に取り付けられた環状の支持枠と、
前記環状の支持枠に周方向に位置をずらして張られ、前記環状の支持枠の中心部に環状空間を形成する複数の弦と
前記環状空間に沿って前記弦に取り付けられたクッション材と
を有する。
【0036】
本開示(6)は、本開示(5)における立位支持器具に関し、
前記複数の弦は、
前記環状の支持枠に内接する正三角形に沿って中心から120度ずつずらした3つの弦からなる一組の弦が、周方向に位置をずらして前記環状の支持枠に取り付けられている。
【0037】
本開示(7)は、本開示(5)または(6)における立位支持器具に関し、前記弦がゴム紐である。
【0038】
本開示(8)は、本開示(1)から(7)までの何れかに記載された立位支持器具に関し、環状の立位支持部材は、周方向において少なくとも一部が欠けている。
【符号の説明】
【0039】
10,10A 立位支持器具
11 支え
12 支柱
12a リング部材
12b 接続部材
12c 設置部
12d 足部
12e 斜材部
12f 横架材
13,13A 立位支持部材
13a リング状の袋体
13b 円環状のパイプ
13c カバー
13d 支持部材
14 弾性材
31 支持枠
32 弦
33 クッション材
34 支持材
35 環状空間(クッション材33で囲まれた空間)
36 結線材