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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142923
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050057
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】奥田 康人
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088AA10
2C088AA12
2C088CA19
(57)【要約】
【課題】遊技者にオーバー入賞を体験させ易い遊技機の提供。
【解決手段】第2の大入賞装置62のスライド部材62aの開閉制御を行うソレノイド制御IC620には、ラウンド開始から終了までの所定時間Trndの間に、閉鎖時間Tc21、開放時間To21が設定された開閉動作を2回実行した後、閉鎖時間Tc22、開放時間To22が設定された開閉動作を3回実行し、その後は短時間で開閉する動作を繰り返し実行する。閉鎖時間Tc21,Tc22は、第2の大入賞装置62の上を通過する曲がりくねった内部流路に次々と進入した遊技球が減速されて渋滞することにより、それぞれ、スライド部材62aの上に4個、2個の遊技球が滞留した状態を形成し得る時間を目安に設定する。この結果、規定の入球個数9に対し、4+4+2=10個のオーバー入賞を体験させ易い。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞口閉鎖状態と入賞口開放状態の間で開閉動作が可能な開閉部材を備える入賞装置と、前記開閉部材の開閉動作を制御する開閉制御手段とを備え、前記開閉制御手段は、所定条件が成立したことを契機に前記入賞口開放状態を開始させ、少なくとも、前記入賞装置への遊技球の入球が所定個数に達したことを契機に前記入賞口閉鎖状態とする様に、前記開閉部材の開閉動作を制御する様に構成されている遊技機において、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記開閉制御手段は、前記開閉部材に、前記所定個数より少ない個数の遊技球の入球が可能な第1の開閉パターンが設定された第1の開閉動作と、前記所定個数より少なくかつ複数個の遊技球の入球が可能な第2の開閉パターンが設定された第2の開閉動作と、を所定の順番で実行させる手段として構成されていること。
(1B)前記開閉制御手段は、前記所定個数の遊技球が入球していなくても、前記所定条件が成立してから所定時間が経過した場合は前記入賞口閉鎖状態とする手段であって、前記所定個数の遊技球が入球していない場合は、前記所定時間が経過するまでは、前記第1,第2の開閉動作を各1回以上含む開閉動作を繰り返し実行し続ける手段として構成されていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
(2)前記第1の開閉パターンには、前記所定個数より少ない個数の遊技球の入球が可能となる様に第1の閉鎖時間又は第1の開放時間の一方又は両方が設定され、前記第2の開閉パターンには、前記所定個数より少なくかつ複数個の遊技球の入球が可能となる様に第2の閉鎖時間又は第2の開放時間の一方又は両方が設定されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
(3A)前記第2の閉鎖時間又は第2の開放時間には、前記第1の閉鎖時間又は第1の開放時間よりも短い時間が設定されていること。
(3B)前記開閉制御手段は、前記開閉部材に前記第1の開閉動作を実行させた後で前記第2の開閉動作を実行させる手段として構成されていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の遊技機。
(4)前記第1の開閉パターンには、前記所定個数の1/2より少ない個数の遊技球の入球が可能な開閉動作が設定され、前記開閉制御手段は、前記開閉部材に、前記第1の開閉動作を複数回実行させた後に前記第2の開閉動作を1回以上実行させる手段として構成されていること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の遊技機。
(5A)前記入賞装置の近傍に、遊技球の流下する流路に対し、流路の合流又は流下方向の変更により、前記入賞装置への遊技球の連続入球を促進する連続入球促進手段が備えられていること。
(5B)前記第1,第2の開閉動作には、前記連続入球促進手段による連続入球の可能性を高めるための開放動作前閉鎖期間の設定がなされていること。
【請求項6】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の遊技機。
(6A)前記入賞装置は、右打ち遊技領域に備えられていること。
(6B)前記開閉部材は、突出位置にあるときに前記入賞口閉鎖状態を形成し、没入位置にあるときに前記入賞口開放状態を形成する部材で構成されていること。
(6C)前記開閉部材及び遊技盤が、前記突出位置にあるときの前記開閉部材の上面に複数個の遊技球を渋滞又は滞留させ得る様に構成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を用いる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オーバー入賞演出により興趣を高めたパチンコ機(特許文献1)、オーバー入賞し易いルートとオーバー入賞し難いルートとを備えるパチンコ機(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-24750号公報(段落0029,0030、図4
【特許文献2】特開2016-112445号公報(段落1456、図184
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来技術は、オーバー入賞の発生に着目したとき、特許文献1は偶然性に依存し、特許文献2はテクニックに依存するものとなっていて、老若男女の誰もがオーバー入賞を体験できる訳ではない。
【0005】
本発明は、遊技者にオーバー入賞を体験させ易い遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、入賞口閉鎖状態と入賞口開放状態の間で開閉動作が可能な開閉部材を備える入賞装置と、前記開閉部材の開閉動作を制御する開閉制御手段とを備え、前記開閉制御手段は、所定条件が成立したことを契機に前記入賞口開放状態を開始させ、少なくとも、前記入賞装置への遊技球の入球が所定個数に達したことを契機に前記入賞口閉鎖状態とする様に、前記開閉部材の開閉動作を制御する様に構成されている遊技機において、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記開閉制御手段は、前記開閉部材に、前記所定個数より少ない個数の遊技球の入球が可能な第1の開閉パターンが設定された第1の開閉動作と、前記所定個数より少なくかつ複数個の遊技球の入球が可能な第2の開閉パターンが設定された第2の開閉動作と、を所定の順番で実行させる手段として構成されていること。
(1B)前記開閉制御手段は、前記所定個数の遊技球が入球していなくても、前記所定条件が成立してから所定時間が経過した場合は前記入賞口閉鎖状態とする手段であって、前記所定個数の遊技球が入球していない場合は、前記所定時間が経過するまでは、前記第1,第2の開閉動作を各1回以上含む開閉動作を繰り返し実行し続ける手段として構成されていること。
【0007】
本発明の遊技機は、所定条件(大当たり、役連作動ゲート通過等。以下、「開始条件」という。)が成立するまでは開閉部材を入賞口閉鎖状態とし、開始条件が成立したことを契機に開閉部材に入賞口開放状態を開始させ、入賞口開放状態において入賞装置に入球した遊技球の個数が所定個数(以下、「終了個数」という。)に達したこと(以下、「終了条件」という、)を契機として開閉部材を入賞口閉鎖状態とする。この間、開閉制御手段は、開閉部材に、第1の開閉動作と第2の開閉動作とを、所定の順番で実行させる。ここで、第1の開閉動作には終了個数より少ない個数の遊技球の入球が可能な第1の開閉パターンが設定されているから、第1の開閉動作を1回実行しただけでは終了条件は成立しない。また、第2の開閉動作には終了個数より少なくかつ複数個の遊技球の入球が可能な第2の開閉パターンが設定されているから、第2の開閉動作を1回実行しただけでは終了条件は成立しない。ここで、開閉制御手段は、終了個数の遊技球が入球していなくても、開始条件が成立してから所定時間(例えば、30秒。以下、「規定時間」という。)が経過した場合は入賞口閉鎖状態とするが、終了個数の遊技球が入球していない場合は、規定時間が経過するまでは、第1,第2の開閉動作を各1回以上含む開閉動作を繰り返し実行し続けるから、終了個数以上の遊技球の入球が可能である。
【0008】
より具体的には、本発明の遊技機は、さらに以下の構成をも備えたものとすることができる。
(2)前記第1の開閉パターンには、前記所定個数より少ない個数の遊技球の入球が可能となる様に第1の閉鎖時間又は第1の開放時間の一方又は両方が設定され、前記第2の開閉パターンには、前記所定個数より少なくかつ複数個の遊技球の入球が可能となる様に第2の閉鎖時間又は第2の開放時間の一方又は両方が設定されていること。
【0009】
ここで、入賞装置には、開閉部材を開放状態としたときに遊技球が入球し得る状態となるから、開放時間を長くすればより多くの入球が期待できる。一方、本発明の遊技機は規定時間内に開閉動作を繰り返し実行し得るから、開放状態の前後は閉鎖状態となる。この閉鎖状態となっている間、遊技者が遊技球の発射を止めることなく打ち続ければ、入賞装置の近傍には遊技球が次々と流下してくる。遊技機においては、遊技球は常に一定の経路を流下する訳ではなく、方向や速度を変化されながら流下するため、閉鎖時間の長短により、入賞装置の近傍に集まる遊技球の個数も増減する。本発明は、こうした遊技機特有の事情を考慮し、閉鎖時間又は開放時間の一方又は両方を設定することにより、終了個数より少ない個数の遊技球の入球が可能となる様に第1の開閉パターンを設定し、終了個数より少なくかつ複数個の遊技球の入球が可能となる様に第2の開閉パターンを設定することができるのである。以下、「オーバー入賞」の可能性についていくつかのケースを例示する。
【0010】
[ケース1]
終了個数を「9個」とし、第1の開閉パターンを「8個入球可能な時間」とし、第2の開閉パターンを「2個入球可能な時間」とし、第1の開閉動作の後で第2の開閉動作を実行する順番が設定されているとする。この場合、第1の開閉動作が終了した時点では「8個」の入球が期待される。第2の開閉動作の前に、一旦、入賞口閉鎖状態となっているから、遊技者が発射状態を一定に保っていて遊技球が連なって流下していると、第2の開閉動作における入賞口開放状態を開始したときに2個続けて入賞する可能性が生じる。この結果、遊技者に、発射状態を一定に保つだけで「8+2=10個」のオーバー入賞を体験させることが可能となる。
【0011】
[ケース2]
終了個数を「9個」とし、第1の開閉パターンを「2個入球可能な時間」とし、第2の開閉パターンを「8個入球可能な時間」とし、第1の開閉動作の後で第2の開閉動作を実行する順番が設定されているとする。この場合、第1の開閉動作が終了した時点では「2個」の入球が期待される。第2の開閉動作の前に、一旦、入賞口閉鎖状態となっているから、遊技者が発射状態を一定に保っていて遊技球が連なって流下していると、第2の開閉動作における入賞口開放状態を開始したときに8個続けて入賞する可能性が生じる。この結果、遊技者に、発射状態を一定に保つだけで「2+8=10個」のオーバー入賞を体験させることが可能となる。
【0012】
[ケース3]
終了個数を「9個」とし、第1の開閉パターンを「4個入球可能な時間」とし、第2の開閉パターンを「6個入球可能な時間」とし、第2の開閉動作の後で第1の開閉動作を実行する順番が設定されているとする。この場合、第2の開閉動作が終了した時点では「6個」の入球が期待される。第1の開閉動作の前に、一旦、入賞口閉鎖状態となっているから、遊技者が発射状態を一定に保っていて遊技球が連なって流下していると、第1の開閉動作における入賞口開放状態を開始したときに4個続けて入賞する可能性が生じる。この結果、遊技者は、発射状態を一定に保つだけで「6+4=10個」のオーバー入賞を楽しむことが可能となる。
【0013】
この遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(3A)前記第2の閉鎖時間又は第2の開放時間には、前記第1の閉鎖時間又は第1の開放時間よりも短い時間が設定されていること。
(3B)前記開閉制御手段は、前記開閉部材に前記第1の開閉動作を実行させた後で前記第2の開閉動作を実行させる手段として構成されていること。
【0014】
本発明の遊技機によれば、第1の開閉動作の後で実行される第2の開閉動作中に入球可能な遊技球の個数の方が少なくなる。上述した[ケース1]~[ケース3]で説明するなら[ケース1]がこれに対応する。遊技者が発射状態を一定に保つことで連なって流下している遊技球が連続して入球する可能性は、2個連続>4個連続>8個連続となる。従って、この遊技機の方が、より確実に、遊技者に「オーバー入賞」を体験させることができる。
【0015】
これらの遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(4)前記第1の開閉パターンには、前記所定個数の1/2より少ない個数の遊技球の入球が可能な開閉動作が設定され、前記開閉制御手段は、前記開閉部材に、前記第1の開閉動作を複数回実行させた後に前記第2の開閉動作を1回以上実行させる手段として構成されていること。
【0016】
特許文献1が偶然性による「オーバー入賞」を示唆する様に、[ケース1]における1回目の第1の開閉動作で「9個入球」が発生する可能性がある。その場合、終了条件が成立してしまう。これに対し、第1の開放パターンを終了個数の1/2以下とすることで、1回目の開閉動作で終了条件が成立する可能性を排除することができる。
【0017】
[ケース4]
終了個数を「9個」とし、第1の開閉パターンを「4個入球可能な開閉パターン」、第2の開閉パターンを「2個入球可能な開閉パターン」として、第1の開閉動作を2回実行した後に第2の開閉動作を実行する設定とする。この場合、「4+4+2=10個」となり、「オーバー入賞」の可能性が高まる。これは、第1の開閉動作で「5個入球」となる可能性は、[ケース1]において第1の開閉動作で「9個入球」となる可能性よりも低いからである。
【0018】
これらの遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(5A)前記入賞装置の近傍に、遊技球の流下する流路に対し、流路の合流又は流下方向の変更により、前記入賞装置への遊技球の連続入球を促進する連続入球促進手段が備えられていること。
(5B)前記第1,第2の開閉動作には、前記連続入球の可能性を高めるための開放動作前閉鎖期間の設定がなされていること。
【0019】
本発明の遊技機によれば、流路の合流又は流下方向の変更により、入賞装置への遊技球の連続入球を促進する連続入球促進手段を備え、第1,第2の開閉動作には、この連続入球の可能性を高めるための開放動作前閉鎖期間の設定がなされている。この結果、遊技者が連続発射を維持しさえすれば、第1,第2の開閉動作においてそれぞれ本発明の遊技機で予定されている個数の遊技球を入球させ易くなる。
【0020】
これらの遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(6A)前記入賞装置は、右打ち遊技領域に備えられていること。
(6B)前記開閉部材は、突出位置にあるときに前記入賞口閉鎖状態を形成し、没入位置にあるときに前記入賞口開放状態を形成する部材で構成されていること。
(6C)前記開閉部材及び遊技盤が、前記突出位置にあるときの前記開閉部材の上面に複数個の遊技球を渋滞又は滞留させ得る様に構成されていること。
【0021】
本発明の遊技機によれば、開閉部材は、出没動作によって入賞装置の入賞口の開閉を行い、かつ、突出位置にあるときの上面に複数個の遊技球が渋滞又は滞留し得るものとなっている。従って、入球口開放状態になって右打ち開始した後、一旦、入球口閉鎖状態になって開閉部材の上面に渋滞又は滞留した複数個の遊技球が、次の入球口開放状態に移行したときに連続して入賞装置に入球する可能性が高まる。特に、遊技者が発射状態を一定に保ち易い右打ち遊技領域に入賞装置を備えることにより、遊技者に「オーバー入賞」を体験させ易いものとなる。
【0022】
ここで、「開閉部材及び遊技盤が、突出位置にある開閉部材の上面に複数個の遊技球を渋滞又は滞留させ得る様にする構成」として、(a)開閉部材の上面を遊技球流下方向に緩やかな傾斜にすること、(b)開閉部材の上面を遊技球流下方向に幅広にすること、(c)入賞装置付近の障害釘等の配置が遊技球を開閉部材の上面に導き易くなっていること、(d)入賞装置の近傍に減速作用を発揮する曲がりくねった流路を設置すること、等を例示することができる。
【0023】
これらの遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(7)前記開閉制御手段は、前記所定条件が成立して前記第1の開閉動作及び前記第2の開閉動作を実行してもなお、前記所定個数の遊技球の入球がなされていないときは、所定回数の短時間開放動作を前記開閉部材に実行させる手段として構成されていること。
【0024】
本発明の遊技機は「オーバー入賞」の可能性を高めるものであるが、例えば、[ケース4]において、3個、4個、1個の入球しか得られない場合もあり得る。この場合、終了個数に至らないが、その後、短時間開放動作を開閉部材に実行させることにより、「オーバー入賞」は期待薄であるものの終了個数分の入球可能性を遊技者に期待させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、遊技者にオーバー入賞を体験させ易い遊技機の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例1のパチンコ機を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は前枠を開いた状態の正面図である。
図2】実施例1のパチンコ機の遊技盤を示し、(A)は正面図、(B)は組立式役物の正面図である。
図3】実施例1のパチンコ機の組立式役物を示し、(A1)は正面図、(A2)は背面図、(B)は前側部材と後側部材とに分解した状態の正面図、(C)は後側部材の背面図、(D1)は後側部材をさらに分解したときに前側に位置する部材の背面図、(D2)は最背面となる部材の正面図である。
図4】実施例1のパチンコ機の組立式役物の組み立て手順を示し、(A)は第1段階の組み立て状態の背面図、(B)は第2段階の組み立て状態の背面図である。
図5】実施例1のパチンコ機の組立式役物を遊技盤に組み付ける様子を示し、(A)は仮置き状態の正面図、(B)は後側部材を貫通孔を通過させる状態の背面図、(C)は仮置き状態の断面図である。
図6】実施例1のパチンコ機の組立式役物を遊技盤に組み付ける様子を示し、(A)は仮置き状態から正しい状態に取り付ける状態の正面図、(B)は表部材で前面側を押さえた状態の正面図である。
図7】実施例1のパチンコ機の組立式役物に備えられた入賞装置を示し、(A)は組立式役物装置の正面図、(B)は第1の大入賞装置の動作を示した正面図、(C)は第2の大入賞装置の動作を示した側面図、(D)は第2始動入賞装置の動作を示した側面図、(E)はその正面図である。
図8】実施例1のパチンコ機の制御装置の全体の構成を示すブロック図である。
図9】実施例1のパチンコ機における通常大当たり用特別遊技実行処理を説明する図であって、(A)は制御系統のブロック図、(B)は主制御基板が実行する制御処理のフローチャート、(C)は第1の大入賞装置の開閉動作を司るソレノイド制御ICが実行する制御処理のフローチャートである。
図10】実施例1のパチンコ機における通常大当たり用特別遊技を示し、(A)は開閉パターンのタイムチャート、(B)は第1の開閉動作の模式図、(C)は第2の開閉動作の模式図、(D)は第3の開閉動作の模式図である。
図11】実施例1のパチンコ機における変短ラッシュ中の大当たり用特別遊技実行処理を説明する図であって、(A)は制御系統のブロック図、(B)は主制御基板が実行する制御処理のフローチャート、(C)は第2の大入賞装置の開閉動作を司るソレノイド制御ICが実行する制御処理のフローチャートである。
図12】実施例1のパチンコ機における変短ラッシュ中の大当たり用特別遊技を示し、(A)は開閉パターンのタイムチャート、(B)は第1の開閉動作の模式図、(C)は第2の開閉動作の模式図、(D)は第3の開閉動作の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0028】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機P1は、図1(A),(B)に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤C、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機P1の外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤Cは、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは、施錠装置Hの操作によって、左端のヒンジを中心に開閉可能となる様に、中枠Bの前面側に組み付けられる。なお、前枠Dは、全体が中枠Bに対して開閉可能な構成、前枠上部と前枠下部とから構成されて前枠上部だけを独立して開閉する状態と前枠上部及び前枠下部を共に開閉する状態とを施錠装置Hに対する鍵の操作で切り換える構成、等とすることができる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿である。発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置である。また、前枠の上部にはスピーカーSP,SPが備えられている。そして、遊技盤Cの中央部には液晶表示装置LCDを備えている。
【0029】
遊技盤Cの裏面には、図1(B)に示す様に、液晶表示装置LCDを保持させる裏ユニットC2が取り付けられる。液晶表示装置LCDの表示内容は、遊技盤Cの中央部に設けられた開口窓C3を介して遊技者に視認させる。また、可動体演出用の各種可動体は、遊技盤Cと裏ユニットC2との間に形成される空間部C4内において、液晶表示装置LCDの前面への出没動作を実行する様に、裏ユニットC2の前面に取り付けられている。
【0030】
[2 遊技盤の概要]
遊技盤Cは、開口部や切り欠き部をルーター加工で形成した透明合成樹脂板に対し、図2(A)に示す様に、多数の障害釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央に、大きな開口部13を備え、この開口部13へと遊技球が浸入しない様にするための隔壁部14を備え、この隔壁部14の中央直下に始動入賞装置7が備えられる。本実施例においては、いわゆる大入賞口は右打ち領域に取り付けられた組立式役物40に組み込まれている。隔壁部14と始動入賞装置7との間にはステージ31が設けられ、このステージ31の左端部には左側遊技領域からステージ31へと遊技球を導くワープ通路32が設けられている。始動入賞装置7への遊技球の入球は、遊技領域10で転動しながら到達したもの以外に、ステージ31の中央部からこぼれ落ちたものによってなされる。遊技盤Cには、この他、誘導レール17、普通入賞口18,18,18、アウト口19等も設置されている。
【0031】
[3 組立式役物]
組立式役物40は、図2(B),図3(A1)に示す様に、ベース部51と、ベース部51から前方へ突出する様に形成され裏面開放とされた箱状部52と、からなる前側部材50を備え、第1,第2の大入賞装置61,62及び第2始動入賞装置63が箱状部52に収納された状態に組み立てられている。箱状部52の上面には上面開口53が備えられ、この上面開口53から入球した遊技球を第1,第2の大入賞装置61,62及び第2始動入賞装置63の入球位置近傍へと導く内部流路54,55が備えられている。箱状部52にはまた、第1の大入賞装置61、内部流路55の出口、及び第2始動入賞装置63の左側に位置する側面にも遊技球の出入りを許容する側面開口56A,56B,56Cも形成されている。側面開口56Aは、第1の大入賞装置61の開閉羽根が最大開放位置へと回動したときに先端を飛び出させるものとなっている。また、ベース部51には、裏面開放とされた箱状の突出部51Aが形成されている。
【0032】
さらに、第2の大入賞装置62から側面開口56Cへと至る内部流路55には、第2の大入賞装置62に対して下流側となる位置に役連作動ゲート62gtが備えられている。この役連作動ゲート62gtは、第2の大入賞装置62を開放する条件が成立した場合に、その開放動作の契機を与えるためのものである。
【0033】
また、内部流路55は、側面開口56Bから右下がりに傾斜する様に伸びた先に円弧状の反転部分を備え、この反転部分から緩い傾斜角度で左下がりに傾斜する様に伸び、第2の大入賞装置62のスライド部材の上を通過した先に屈曲部を備え、この屈曲部から側面開口56Cへと下向きに伸びる様に形成されている。箱状部52内には障害釘は備えられていないから、側面開口56Bから内部流路55に進入した遊技球は、右下がりに転動した後に反転部分で減速され、比較的ゆっくりとした動きで第2の大入賞装置62の直上を通過し、屈曲部から下方に向かって転動し、最後に側面開口56Cから排出される。
【0034】
箱状部52の左側を通過し、あるいは内部流路55を通過して側面開口56Cから排出された遊技球は、下方に向かって転動する。その先には、普通入賞口64が設けられると共に、箱状部52へと進入させる下部上面開口57Aも備えられている。下部上面開口57Aから箱状部52へと進入した遊技球は、第2始動入賞装置63に拾われるか、もしくは下面開口57Bから排出される。なお、第1の大入賞装置61、第2の大入賞装置62、又は第2始動入賞装置63に入球した遊技球は背面側の排出路へと導かれる。下面開口57Bから排出された遊技球はアウト口19から排出される。
【0035】
箱状部52の上面開口53は、内部流路54を形成する仕切り部材を跨ぐ様に形成されている。この結果、上方から流下して来る遊技球は、仕切り部材の右側の内部流路54へ進入するだけでなく、仕切り部材の左側へも進入する。特に、仕切り部材の左右に進入した遊技球は、第1の大入賞装置61の上面を左方向へ転動してから下方へと流下する。このとき、内部流路54を通過する遊技球の方が流下距離が長くなり、タイミングによっては、仕切り部材の左右に別々に進入した遊技球が第1の大入賞装置61の左側で合流して連なって流下する状態が生じ得る構造となっている。
【0036】
この様に、本実施例においては、右打ち遊技において、第1の大入賞装置61の近傍を合流により遊技球が連なって流下する可能性や、第2の大入賞装置62の上面を渋滞によって遊技球が連なって流下する可能性を高めたものとなっている。特に、第2の大入賞装置62の上面を通過する遊技球は減速による渋滞又は滞留を生じる可能性を高めたものとなっている。
【0037】
組立式役物40は、図3(B)に示す様に、ベース部51及び箱状部52からなる前側部材50と、第1,第2の大入賞装置61,62及び第2始動入賞装置63を備える後側部材60とを組み立てたものとなっていて、図3(A2),(C),(D2)に示す様に、後側部材60の最背面は、LED発光装置71,72、回路基板81,82を前面側に搭載した基板材70で構成されている。各回路基板81,82には、基板材70の右側縁近傍において右側外向きとなる入出力用コネクタ81a,82aが備えられている。
【0038】
また、図3(B)に示す様に、後側部材60は、第1,第2の大入賞装置61,62及び第2始動入賞装置63の入球口を備えた部材を前面側に備える垂直壁65を備えている。この垂直壁65の所定箇所には、前側部材40から後方に伸びるビス孔付きピラー及びタッピング用ピラー(各3本。いずれも図示略。)を挿通させる挿通穴64a~64c,65a~65cが貫通されている。また、垂直壁65には、第2の大入賞装置62及び第2始動入賞装置63の入球口を開閉するスライド部材を出没させ得るスリット62s,63s1,63s2も貫通されている。
【0039】
基板材70には、垂直壁65の挿通穴64a~64c,65a~65cを挿通させた6本のピラーを挿通させるボス穴74a~74c,75a~75cが貫通されている。基板材70は、そのボス穴74a~74c,75a~75cと、垂直壁65の挿通穴64a~64c,65a~65cとが同軸となる様に、垂直壁65に対して所定間隔の隙間をあけて固定される。この隙間の部分には、垂直壁65に取り付けられた第1,第2の大入賞装置61,62及び第2始動入賞装置63の入球口の開閉を行う開閉部材を動作させるためのソレノイドSOL61,SOL62,SOL63や、各入賞装置61,62,63から遊技球を排出するための排出路(図示略)が収容される。
【0040】
なお、遊技盤Cの盤面よりも前側に位置する内部流路54,55は、前側部材50の箱状部52の裏面側で後方に向かい、後側部材60の垂直壁65の前面に当接する位置まで突設されたプレート材(図示点線)によって形成される。
【0041】
組立式役物40は、LED発光装置71,72及び回路基板81,82を前面側に搭載した基板材70を最背面とする様に組み立てた後側部材60と、前側部材40とを、箱状部42の内側において、内部流路54,55が正しい位置に形成され、第1,第2の大入賞装置61,62及び第2始動入賞装置63が正しい位置に収容された状態となる様に組み付けた上で、図4(A)に示す様に、まず、ボス穴74a~74cに挿通させたビス孔付きピラーをワッシャ付きビスwbを用いてビス締めを行う。ここで、ボス穴74a~74cの内径はビス孔付きピラーの外径より大きなものとなっているが、ワッシャでボス穴を塞ぎつつビス締めを行うことで、前側部材40と後側部材60とを前後方向間隔は規定した上で上下左右方向には遊びを有する様に組み付けることができる。
【0042】
次に、図4(B)に示す様に、上下左右方向の遊びを利用して、後側部材60を前側部材40に対して上下左右方向に位置合わせを行い、ボス穴75a~75cから臨むことのできるタッピング用ピラーの先端部にタッピングネジtsをねじ込んで上下左右方向を規定した状態に組み付ける。
【0043】
遊技盤Cには、図5(A)~(C)に示す様に、組立式役物40の取付位置には、ルーター加工による貫通孔91が形成されている。この貫通孔91は、組立式役物40の最背面を構成する基板材70及び普通入賞口64を通過可能な寸法形状を有する。また、この貫通孔91の周辺部には仮置き用突起92a~92cが形成されている。この仮置き用突起92a~92cは遊技球の転動に影響を与えることがない程度の突出量とされている。
【0044】
組立式役物40は、図5(B),(C)に示す様に、基板材70及び普通入賞口64の裏側樋64aを貫通孔91を通過させる様に遊技盤Cの前面側から装着し、ベース部51を遊技盤Cの前面に当接させた状態で仮置き部92a~92cにて仮置き状態となる様に組み付ける。
【0045】
その後、図6(A)に示す様に、ベース部51を遊技盤Cの前面に当接させた状態で正しい位置となる様にずらした上で、遊技盤Cに対して何ヶ所かビス止めする。次に、ベース部51に対してオーバーラップさせつつ、表部品95,96を遊技盤Cにビス止めする。ここで、表部品95,96は、ベース部51の突出部51A,51Bを包み込むことのできる収容部95A,96Aを備えており、上述のオーバーラップに際しては、この収容部95A,96Aで突出部51A,51Bを包み込む様に表部品95,96を取り付ける。その後、図6(B)において、組立式役物40の右側に覗いている貫通孔91を塞ぎ、図2(A)に示した状態となる様にコーナー飾りを取り付ける。
【0046】
以上の様にして遊技盤Cに組み付けた組立式役物40においては、図7(B)に示す様に、第1の大入賞装置61にあっては、羽根部材61aが入球口を閉じる位置と開く位置の間を正しく開閉動作することができ、図7(C)に示す様に、第2の大入賞装置62にあっては、スライド部材62aが入球口を閉じる位置と開く位置の間を正しくスリット62sから出没動作をすることができ、図7(D)に示す様に、第2始動入賞装置63にあっては、回動式スライド部材63bが入球口を閉じる位置と開く位置の間を正しく回動することでスリット63s2に対して出没動作をすると共に、この動作に連動する様に、スロープ型スライド部材63aがスロープ型スリット63s1から出没動作して入球口を開いた状態において遊技球を第2始動入賞装置63へと誘導可能とするする動作を正しく実行することができる。なお、回動式スライド部材63bとスロープ型スライド部材63aは、リンク機構によって連結され、ソレノイドSOL63のストローク動作によって互いに連動した動作を実行する様に構成されている。
【0047】
[4 制御装置の概要]
次に、本実施例のパチンコ機P1のゲーム性等について説明する。まず、制御系統について図8に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置7に備えられている第1特図スイッチSW1、第2始動入賞装置63に備えられている第2特図スイッチSW63、組立式役物40の内部流路54に備えられている普図スイッチSW37、第1の大入賞装置61に備えられた入賞検知スイッチSW61、第2の大入賞装置62の入賞検知スイッチSW62、普通入賞口18,64に備えられた入賞検知スイッチSW18,SW64、及び排出球検知スイッチSW21からの検知信号が入力される様になっている。なお、第1の大入賞装置61の入賞検知スイッチSW61、第2の大入賞装置62の入賞検知スイッチSW62、第2特図スイッチSW63、入賞検知スイッチSW64、及び普図スイッチSW37からの検出信号は、基板材70に搭載された回路基板81のコネクタ81aを介して主制御基板310へと入力される。本実施例では、さらに、役連作動ゲート62gtを遊技球が通過したことを示す役連作動ゲートスイッチSW62gtの検出信号も主制御基板310へと入力される様になっている。
【0048】
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、第1の大入賞装置61の開閉用ソレノイドSOL61、第2の大入賞装置62の開閉用ソレノイドSOL62、及び第2始動入賞装置63の開閉用ソレノイドSOL63へとコマンドが出力される様になっている。
【0049】
インタフェース基板350は、払出制御基板330との間でコマンドのやり取りを行う構成となっている。なお、電源基板360は、電源中継基板380を介して主制御基板310への電源供給を行う構成となっている。そして、演出制御基板320は、表示制御基板370へとコマンドを出力する構成となっている。また、貸し玉ボタンQ、カード取り出しボタンRからの押下信号は、球貸し操作基板390へと入力され、この球貸し操作基板390からインタフェース基板350を経由して払出制御基板330へと入力される構成となっている。インタフェース基板350はまた、カードユニット500との間でもコマンドをやり取りする構成となっている。また、払出制御基板330を介してホールコンピュータ400へと賞球払出数等のホール管理用のデータやエラー報知等も行うことができる様に構成されている。制御系統には、この他、BCユニット335も備えられている。
【0050】
ここで、第1の大入賞装置61の開閉用ソレノイドSOL61、第2の大入賞装置62の開閉用ソレノイドSOL62、第2始動入賞装置63の開閉用ソレノイドSOL63へのコマンドは、基板材70のコネクタ81aを介して主制御基板310から回路基板81へと入力される。この回路基板81には、各ソレノイドSOL61,SOL62,SOL63に対応するソレノイド制御IC610,620,630が搭載されている。そして、各ソレノイド制御IC610,620,630には、各入賞装置61,62,63の開閉部材に所定の開閉動作を実行させるプログラムが記憶されている。
【0051】
各ソレノイド制御IC610,620,630は、主制御基板310から動作指令が入力されたとき、各入賞装置61,62,63の開閉部材に上述のプログラムに従った開閉動作を開始させる様に、各ソレノイドSOL61,SOL62,SOL63の駆動制御を開始する。
【0052】
一方、各ソレノイド制御IC610,620,630は、主制御基板310から停止指令が入力されたときは、それぞれに記憶されているプログラムによる開閉動作が完了していなくても、各入賞装置61,62,63の開閉部材を、直ちに閉鎖状態に戻す様に各ソレノイドSOL61,SOL62,SOL63を駆動制御する。
【0053】
演出制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、表示制御基板370へと表示演出のための指令信号を出力している。また、演出制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、音声演出、発光演出、可動体演出を実行させるための指令信号を信号中継基板410へと出力する。信号中継基板410は、演出制御基板320からの指令信号を発光演出を実行するためのランプ制御基板420、音声演出を実行するための音声制御基板430、及び可動体演出を実行するためのモータ制御IC510,520,530、ソレノイド制御IC540へと出力する。なお、演出制御基板320にはプッシュボタンPB及びカーソルキーCKYからの操作信号が入力される様にも構成されている。なお、組立式役物40に備えられているLED発光装置71,72に対してランプ制御基板420が出力する制御信号は、基板材70のコネクタ82aを介して回路基板82へと入力される。
【0054】
制御系統には、この他、BCユニット335、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370、電源中継基板380、球貸し操作基板390、ホールコンピュータ400、カードユニットCDU等も備えられている。
【0055】
主制御基板310は、特図1スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特図1判定用乱数を最大4個、特図2スイッチSW63の検知信号入力を契機として取得した特図2判定用乱数を最大4個、それぞれ保留記憶しておくため、RAM内に、特図1保留記憶部311及び特図2保留記憶部312を備えている。特図1判定用乱数及び特図2判定用乱数は、それぞれ、「当たり/はずれ判定用乱数(乱数1:SW1-1,SW2-1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2:SW1-2,SW2-2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3:SW1-3,SW2-3)」、及び「変動パターン振分用乱数(乱数4:SW1-4,SW2-4)」から構成される。乱数1は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてハードウェアロジックによって取得され、乱数2~4は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてソフトウェアロジックによって取得される。
【0056】
主制御基板310は、特図1スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特図1判定用乱数を最大4個、特図2スイッチSW63の検知信号入力を契機として取得した特図2判定用乱数を最大4個、それぞれ保留記憶しておくため、RAM内に、特図1保留記憶部311及び特図2保留記憶部312を備えている。特図1判定用乱数及び特図2判定用乱数は、それぞれ、「当たり/はずれ判定用乱数(乱数1:SW1-1,SW2-1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2:SW1-2,SW2-2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3:SW1-3,SW2-3)」、及び「変動パターン振分用乱数(乱数4:SW1-4,SW2-4)」から構成される。乱数1は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてハードウェアロジックによって取得され、乱数2~4は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてソフトウェアロジックによって取得される。
【0057】
主制御基板310は、所定のタイミングで実行する判定処理において、乱数1が予め設定された「大当たり判定値」と一致するときに「大当たり」と判定し、一致しない場合は「はずれ」と判定する。特図振分判定用乱数(乱数2)は、特別遊技のラウンド数など、大当たり種別を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(乱数3)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分用乱数(乱数4)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。なお、乱数1で「大当たり」となった場合、乱数2による大当たり種別振り分けにより、例えば、「2R」「7R」「15R」など、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別のいずれかに振り分けられる。本実施例では、大当たり種別には、変短ラッシュに突入するか否かの振分もなされている。組立式役物40の第2の大入賞装置62は、変短ラッシュに突入した場合に限って作動する様に構成されている。
【0058】
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、及び可動体演出を実行するための演出データ記憶手段325が備えられている。演出データ記憶手段325には、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDV、デモ中に実行するデモ中演出データDM、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZが記憶されている。
【0059】
変動ゲーム中演出データDHは、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの組み合わせとなっている。変動ゲーム中演出データDHは、主制御基板310による抽選結果(ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど)に対して、それぞれ複数種類のパターンが備えられている。これらのパターンにおいて、例えば、可動体演出を伴わない変動ゲーム中演出を行うデータは、可動体演出データがブランクデータで構成される。
【0060】
大当たり中演出データDVも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、大当たり種別に応じて複数パターンが備えられている。
【0061】
デモ中演出データDMも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、デモ1用、デモ2用など複数パターンが備えられている。
【0062】
飾り図柄変動演出データDKZは、ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応したデータとして記憶されている。このため、本実施例においては、通常状態用変動パターンテーブル315に対応する飾り図柄変動時間となる通常状態用飾り図柄変動演出データDKZaと、変短状態用変動パターンテーブル316に対応する飾り図柄変動時間となる変短状態用飾り図柄変動演出データDKZbとが、演出制御基板320の演出データ記憶手段325に記憶されている。
【0063】
演出表示制御基板370は、演出制御基板320から指令される背景表示用データに従って液晶表示装置LCDに表示した背景画像に対して重ね合わせる様にして、変動パターンに対応する飾り図柄変動演出データDKZを表示する。また、この表示演出においては、キャラクタ表示データが存在する場合はキャラクタ画像を重ねて表示する演出も実行される。
【0064】
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板320側で決定する構成となっている。同じく、飾り図柄変動演出データDKZも、例えば、変動パターン1に対しては変動時間1、変動パターン1に対しては変動時間2、…、と1対1の対応であるが、各変動時間に対して複数の飾り図柄変動パターンが備えられていて、これら複数の中から振り分けによって演出制御基板320が決定する構成となっている。これら振り分け可能な演出データDHや飾り図柄変動パターンDKZは、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定している。
【0065】
[5 本実施例における特徴的な制御処理]
「5.1 通常大当たり用特別遊技]
次に、第1の大入賞装置61を開閉して実行する通常大当たり用の特別遊技を実行するための制御処理について説明する。主制御基板310は、図9(A)に示す制御系統により、第1の大入賞装置61の羽根部材61aに開閉動作を実行させるべくソレノイドSOL61を駆動して通常大当たり用特別遊技を実行する。
【0066】
通常大当たり用特別遊技実行処理では、図9(B)のフローチャートに示す様に、主制御基板310は、特図表示器TKZに対して大当たり図柄の確定停止の指令を出力するタイミングを待ち(S110:YES)、大当たり種別に対応する特別遊技の内容をセットした上で(S120)、演出制御基板320へとオープニング演出を指令する(S125)。
【0067】
演出制御基板320は、液晶表示装置LCDによる表示演出及びスピーカSPによる音声演出により、「大当たりとなったこと」及び「右打ち遊技を実行すべきこと」を内容とするオープニング演出を実行する。これにより、遊技者は、大入賞装置61等が備えられている右側遊技領域へと遊技球を打ち込む様に発射装置Gのハンドル操作を行い、右打ち遊技が開始する。
【0068】
主制御基板310は、ラウンド数RNをデクリメントすると共に(S130)、所定の待機時間Twtの経過後に(S135:YES)、ソレノイド制御IC610に対して開閉動作開始指令を出力する(S140)。この待機時間Twtは、オープニング演出の右打ちアナウンスによって開始された右打ち遊技における遊技球の打ち込み状態が安定するのを待つために設定される時間である。
【0069】
その後、主制御基板310は、入賞スイッチSW61からの検知信号を積算した値が所定個数Nrnd(本実施例では、9カウント)に達したか否かを判定し(S150)、所定個数Nrndに達していない場合は(S150:NO)、S140でラウンド開始指令を出力してから所定時間Trnd(例えば、30秒)が経過したか否かを判定する(S160)。
【0070】
S150,S160の判定において、第1の大入賞装置61への入球個数が所定個数Trnd未満であっても所定時間Trndが経過した場合は(S150:NO→S160:YES)、主制御基板310は、ラウンド数RNが「0」になっているか否かを判定する処理(S170)に進み、ラウンド数RNが「0」ではないときは(S170:NO)、S130へと戻る。
【0071】
一方、S150,S160の判定において、所定時間Trndが経過する前に第1の大入賞装置61への入球個数が所定個数Nrnd以上となった場合は(S160:NO→S150:YES)、主制御基板310は、ソレノイド制御IC610に対して開閉動作終了指令を出力してから(S155)、S170へ進む。
【0072】
S170の判定においてラウンド数RNが「0」となっているときは、主制御基板310は、大当たり種別が確変付与に該当しているか否かを判定し(S180)、確変付与に該当している場合は(S180:YES)、変短継続回数Nhtに「99999」を設定する(S190)。一方、確変付与に該当していない場合は、主制御基板310は、非確変の変短が付与されているか否かを判定し(S185)、非確変の変短が付与されている場合は(S185:YES)、大当たり種別に応じて付与された継続回数(例えば、40回、70回又は100回)に基づいて、変短継続回数Nhtを設定する(S195)。
【0073】
こうして変短継続回数Nhtを設定した場合は、主制御基板310は、変短フラグをセットし(S200)、演出制御基板320に対してエンディング演出を指令して処理を終了する(S210)。なお、確変も変短も付与されていない場合は、主制御基板310は、変短フラグをセットすることなくエンディング指令を出力する(S180:NO、S185:NO→S200)。
【0074】
この間、ソレノイド制御IC610では、図9(C)に示す制御処理が実行される。ソレノイド制御IC610は、主制御基板310からの開閉動作開始指令を受信したら(S310:YES)、図10(A)のタイムチャートに従ってソレノイドSOL61に対するON/OFF制御を開始する(S320)。この結果、第1の大入賞装置61では、タイムチャートに対応する開閉パターンで羽根部材61aの回動による開閉動作が開始される。このタイムチャートに対応する開閉動作が完了する前に(S330:NO)、主制御基板310から開閉動作終了指令を受信した場合は(S340:YES)、ソレノイド制御IC610は、羽根部材61aを閉鎖状態とする様にOFF信号をソレノイドSOL61に出力して処理を終える(S350)。
【0075】
ソレノイド制御IC610には、大当たりラウンド中に、図10(A)に示す様に、ラウンド開始から終了までの所定時間Trndの間に、羽根部材61aに、第1の開放時間To11に対応する開放を2回、第2の開放時間To12に対応する開放を3回、第3の開放時間To13に対応する開放を4回実行させる開閉パターンのタイムチャートが設定されている。
【0076】
これにより、図10(B)~(D)に示す様に、第1の大入賞装置61の羽根部材61aは、第1の開放時間To11に対応する開閉動作、第2の開放時間To12に対応する開閉動作、第3の開放時間To13に対応する開閉動作を実行する。そして、これらの開閉動作において羽根部材61aが開放状態にあるときに第1の大入賞装置61への遊技球の入球が可能な状態となる。
【0077】
ここで、本実施例においては、第1の開放時間To11として4個の遊技球が入球可能な時間が、第2の開放時間To12として2個の遊技球が入球可能な時間が、第3の開放時間To13として1個の遊技球しか拾えない時間が設定されている。これら開放時間To11~To13は、遊技者が右打ち状態となる様に発射装置Gを最大角度へとハンドル操作した状態の発射速度等に基づいて設定することができる。
【0078】
この結果、通常大当たりの特別遊技ラウンドにおいては、第1の大入賞装置61の羽根部材61aが図10(A)のタイムチャートに示す開放パターンに基づく開閉動作を実行する間に、第1回目,第2回目の開閉動作で各4個、第3回目~第5回目の開閉動作で各2個、第6回目~第9回目の開閉動作で各1個の遊技球の入球が可能な開放状態が発生し得ることとなる。
【0079】
一方、本実施例では、特別遊技のラウンド終了条件がNrnd=9個に設定されているから、図10(A)のタイムチャートに示す開放パターンの途中であっても、9個以上の遊技球の入球が検知された時点でS150の判定がYESとなり、当該ラウンドにおける羽根部材61aの開閉動作を終了する。
【0080】
例えば、4個入球可能な第1の開放時間To11が設定された第1回目,第2回目の開放状態において各4個の入球があった場合、2個入球可能な第2の開放時間To12が設定された第3回目の開放状態において1個以上の入球があれば、第4回目以降の開放動作を実行することなくラウンド終了となる。このとき、本実施例では、上面開口53から箱状部52へと進入した遊技球は、第1の大入賞装置61の近傍を連なって流下し易い構造としているから、第3回目の開放状態において2個入球によってラウンド終了となり易い。これにより、遊技者は、右打ちアナウンスに従って、発射装置Gを最大角度へとハンドル操作して特別遊技を楽しむことにより、偶然性はあるもののかなりの確率でオーバー入賞を体験することが可能となる。
【0081】
なお、右打ちアナウンスの後にやや遅れてハンドル操作したために第1回目の開放動作では遊技球を入球させることができなかった場合も、第2回目の開放動作で4個、第3回目の開放動作で2個、第4回目の開放動作で2個の入球を達成できれば、第2の開放時間To12が設定された第5回目の開放動作で2個の入球を達成させてオーバー入賞を体験することができる。
【0082】
加えて、第5回目までに8個以下の入球であった場合も、その後の第6回目~第9回目までの短時間の開閉動作を繰り返す開閉パターンとなっているから、遊技者には、短時間の開放状態のいずれかでの入球によって1ラウンド中の最大入球個数の設定値Nrnd=9個の入球を達成し得るという期待感をもって右打ちを続行させることができる。
【0083】
「5.2 変短ラッシュ中の大当たり用特別遊技]
次に、第2の大入賞装置62を開閉して実行する変短ラッシュ中の大当たり用特別遊技を実行するための制御処理について説明する。主制御基板310は、図11(A)に示す制御系統により、役連作動ゲート62gtの通過を契機に第2の大入賞装置62のスライド部材62aに開閉動作を実行させるべくソレノイドSOL62を駆動して変短ラッシュ中の大当たり用特別遊技を実行する。
【0084】
通常大当たり用特別遊技実行処理では、図11(B)のフローチャートに示す様に、主制御基板310は、特図表示器TKZに対して大当たり図柄の確定停止の指令を出力するタイミングを待ち(S410:YES)、大当たり種別に対応する特別遊技の内容をセットした上で(S420)、演出制御基板320へとオープニング演出を指令する(S425)。
【0085】
演出制御基板320は、液晶表示装置LCDによる表示演出及びスピーカSPによる音声演出により、「大当たりとなったこと」及び「右打ち遊技を実行すべきこと」を内容とするオープニング演出を実行する。これにより、遊技者は、大入賞装置61等が備えられている右側遊技領域へと遊技球を打ち込む様に発射装置Gのハンドル操作を行い、右打ち遊技が開始する。
【0086】
主制御基板310は、ラウンド数RNをデクリメントすると共に(S430)、役連作動ゲートスイッチSW62gtから通過信号が入力されるのを待って(S435)、ソレノイド制御IC620に対して開閉動作開始指令を出力する(S440)。
【0087】
その後、主制御基板310は、入賞スイッチSW62からの検知信号を積算した値が所定個数Nrnd(本実施例では、9カウント)に達したか否かを判定し(S450)、所定個数Nrndに達していない場合は(S450:NO)、S440でラウンド開始指令を出力してから所定時間Trnd(例えば、30秒)が経過したか否かを判定する(S460)。
【0088】
S450,S460の判定において、第2の大入賞装置62への入球個数が所定個数Trnd未満であっても所定時間Trndが経過した場合は(S450:NO→S460:YES)、主制御基板310は、ラウンド数RNが「0」になっているか否かを判定する処理(S470)に進み、ラウンド数RNが「0」ではないときは(S470:NO)、S430へと戻る。
【0089】
一方、S450,S460の判定において、所定時間Trndが経過する前に第2の大入賞装置62への入球個数が所定個数Nrnd以上となった場合は(S460:NO→S450:YES)、主制御基板310は、ソレノイド制御IC620に対して開閉動作終了指令を出力してから(S455)、S470へ進む。
【0090】
S470の判定においてラウンド数RNが「0」となっているときは、主制御基板310は、大当たり種別が確変付与に該当しているか否かを判定し(S480)、確変付与に該当している場合は(S480:YES)、変短継続回数Nhtに「99999」を設定する(S490)。一方、確変付与に該当していない場合は、主制御基板310は、非確変の変短が付与されているか否かを判定し(S485)、非確変の変短が付与されている場合は(S485:YES)、大当たり種別に応じて付与された継続回数(例えば、40回、70回又は100回)に基づいて、変短継続回数Nhtを設定する(S495)。
【0091】
こうして変短継続回数Nhtを設定した場合は、主制御基板310は、変短フラグをセットし(S500)、演出制御基板320に対してエンディング演出を指令して処理を終了する(S510)。なお、確変も変短も付与されていない場合は、主制御基板310は、変短フラグをセットすることなくエンディング指令を出力する(S480:NO、S485:NO→S500)。
【0092】
この間、ソレノイド制御IC620では、図11(C)に示す制御処理が実行される。ソレノイド制御IC620は、主制御基板310からの開閉動作開始指令を受信したら(S610:YES)、図12(A)のタイムチャートに従ってソレノイドSOL62に対するON/OFF制御を開始する(S620)。この結果、第2の大入賞装置62では、タイムチャートに対応する開閉パターンでスライド部材62aの出没による開閉動作が開始される。このタイムチャートに対応する開閉動作が完了する前に(S630:NO)、主制御基板310から開閉動作終了指令を受信した場合は(S640:YES)、ソレノイド制御IC620は、スライド部材62aを突出状態とする様にOFF信号をソレノイドSOL62に出力して処理を終える(S650)。
【0093】
ソレノイド制御IC620には、大当たりラウンド中に、図12(A)に示す様に、ラウンド開始から終了までの所定時間Trndの間に、第1の閉鎖時間Tc21の間、スライド部材62aを没入状態に保った後、第1の開放時間To21に対応する第1回目の開放、第1の閉鎖時間Tc21に対応する閉鎖の後で第1の開放時間To21に対応する第2回目の開放、第2の閉鎖時間Tc22に対応する閉鎖の後で第2の開放時間To22に対応する第3回目の開放、第2の閉鎖時間Tc22に対応する閉鎖の後で第2の開放時間To22に対応する第4回目の開放、第2の閉鎖時間Tc22に対応する閉鎖の後で第2の開放時間To22に対応する第5回目の開放、第3の閉鎖時間Tc23に対応する閉鎖の後で第3の開放時間To23に対応する第6回目の開放、第3の閉鎖時間Tc23に対応する閉鎖の後で第3の開放時間To23に対応する第7回目の開放、第3の閉鎖時間Tc23に対応する閉鎖の後で第3の開放時間To23に対応する第8回目の開放、第3の閉鎖時間Tc23に対応する閉鎖の後で第3の開放時間To23に対応する第9回目の開放を実行させる開閉パターンのタイムチャートが設定されている。
【0094】
ここで、変短ラッシュ中の特別遊技においては、役連作動ゲート62の遊技球通過を契機として各ラウンドが開始する。通常大当たりではラウンド開始直後に第1の大入賞装置61の羽根部材61aが開放状態に動作されるタイムチャートとなっていたが、変短ラッシュ中の大当たりでは、第2の大入賞装置62のスライド部材62aは、図12(B)に示す様に、第1の閉鎖時間Tc21の閉鎖状態から開閉動作を開始し、その後、第1の開放時間To21の開放状態となった後に再び閉鎖状態へと戻る。
【0095】
第1の閉鎖時間Tc21は、第2の大入賞装置62の上を通過する曲がりくねった内部流路55に次々と進入した遊技球が減速されて渋滞し、スライド部材62aの上に4個の遊技球が滞留した状態を形成し得る時間を目安に設定されている。この結果、第1の閉鎖時間Tc21が経過してスライド部材62aが開放状態に動作すると、第2の大入賞装置62へと4個の遊技球が一気に入球し得ることとなる。本実施例では、この第1回目の開放によって4個の遊技球が入球する状態を目標として第1の開放時間To21を設定している。遊技球の渋滞、滞留を利用していることから、変短ラッシュ中の大当たりにおける第1の開放時間To21は、通常大当たりにおける第1の開放時間To11よりも短時間の設定となっている。
【0096】
こうして第1回目の開放が完了すると、第2回目の閉鎖状態となる。この第2回目の閉鎖状態も、第1回目と同じく、4個の遊技球の渋滞、滞留を意図した第1の閉鎖時間Tc21が設定されている。この結果、第2回目の開放が行われると、第2の大入賞装置62へと4個の遊技球が一気に入球し得ることとなる。なお、第2回目の開放のための開放時間には、第1回目の開放のための開放時間と同じく、To21を設定している。
【0097】
こうして第2回目の開放が完了すると、図12(C)に示す様に、第3回目の閉鎖状態からの開閉動作を実行する。この第3回目の閉鎖状態では、2個の遊技球の渋滞、滞留を意図した第2の閉鎖時間Tc22が設定されている。この結果、第3回目の開放が行われると、第2の大入賞装置62へと2個の遊技球が一気に入球し得ることとなる。このため、この第3回目の開放によって2個の遊技球が入球する状態を目標として第2の開放時間To22を設定している。遊技球の渋滞、滞留を利用していることから、変短ラッシュ中の大当たりにおける第2の開放時間To22は、通常大当たりにおける第2の開放時間To12よりも短時間の設定となっている。
【0098】
第4回目の開放、第5回目の開放についても、第3回目の開放と同じく、第2の閉鎖時間Tc22、第2の開放時間To22の設定に従って実行される。
【0099】
こうして第5回目の開放が完了すると、図12(D)に示す様に、第6回目の閉鎖状態からの開閉動作を実行する。この第6回目の閉鎖状態を実行するための第3の閉鎖時間Tc23、その後の第3の開放時間To23は、開放動作時に1個の遊技球を拾える程度の短時間の設定になっている。以後、第7回目~第9回目の開放が、第6回目の開放と同じく、第3の閉鎖時間Tc23、第3の開放時間To23の設定に従って実行される。
【0100】
この結果、変短ラッシュ中の大当たりの特別遊技ラウンドにおいては、第2の大入賞装置62のスライド部材62aが図12(A)のタイムチャートに示す開放パターンに基づく開閉動作を実行する間に、第1回目,第2回目の開閉動作で各4個、第3回目~第5回目の開閉動作で各2個、第6回目~第9回目の開閉動作で各1個の遊技球の入球が可能な開放状態が発生し得ることとなる。
【0101】
一方、本実施例では、特別遊技のラウンド終了条件がNrnd=9個に設定されているから、図12(A)のタイムチャートに示す開放パターンの途中であっても、9個以上の遊技球の入球が検知された時点でS450の判定がYESとなり、当該ラウンドにおけるスライド部材62aの開閉動作を終了する。
【0102】
例えば、4個の渋滞、滞留が可能な第1の閉鎖時間To21及び渋滞、滞留した4個の遊技球を一気に入球させ得る第1の開放時間To21が設定された第1回目,第2回目の開放状態において各4個の入球があった場合、2個の渋滞、滞留が可能な第2の閉鎖時間Tc22及び渋滞、滞留した2個の遊技球を一気に入球させ得る第2の開放時間To22が設定された第3回目の開放状態において1個以上の入球があれば、第4回目以降の開放動作を実行することなくラウンド終了となる。
【0103】
ラッシュ中の大当たりに対する特別遊技では、側面開口54から箱状部52へと次々と進入した遊技球は、第2の大入賞装置62の上を通過する曲がりくねった内部流路55において減速されて渋滞し、スライド部材62aの上に滞留し易い構造としているから、第1回目、第2回目の開放状態で各4個の遊技球が第2の大入賞装置62へと入球し、第3回目の開放状態において第2の大入賞装置62への2個入球によってラウンド終了となり易い。遊技者は、右打ちアナウンスに従って、発射装置Gを最大角度へとハンドル操作して特別遊技を楽しむことにより、偶然性はあるもののかなりの確率でオーバー入賞を体験することが可能となる。
【0104】
なお、右打ちアナウンスの後にやや遅れてハンドル操作したために第1回目の開放動作では遊技球を入球させることができなかった場合も、第2回目の開放動作で4個、第3回目の開放動作で2個、第4回目の開放動作で2個の入球を達成できれば、第5回目の開放動作で2個の入球を達成させてオーバー入賞を体験することができる。
【0105】
加えて、第5回目までに8個以下の入球であった場合も、その後の第6回目~第9回目までの短時間の開閉動作を繰り返す開閉パターンとなっているから、遊技者には、短時間の開放状態のいずれかでの入球によって1ラウンド中の最大入球個数の設定値Nrnd=9個の入球を達成し得るという期待感をもって右打ちを続行させることができる。
【0106】
以上、発明を実施するための最良の形態としての実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0107】
例えば、通常大当たりにおいて主制御基板310側で管理した待機時間をソレノイド制御IC610側で管理する閉鎖時間として、閉鎖→開放→閉鎖→開放→・・・→閉鎖の開閉パターンとしてもよい。また、変短ラッシュ中の大当たりにおいて役連作動ゲート通過は第1ラウンド開始条件にだけ利用し、第2ラウンド以降は前のラウンド終了をラウンド開始条件としてもよい。また、入賞装置の近傍に遊技球を集中させる機構としては曲がりくねった流路の設置や流路の合流以外の機構を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
7・・・始動入賞装置、10・・・遊技領域、11・・・障害釘、12・・・風車、13・・・開口部、14・・・隔壁部、17・・・誘導レール、18・・・普通入賞口、19・・・アウト口、40・・・組立式役物、50・・・前側部材、51・・・ベース部、51A,51B・・・突出部、52・・・箱状部、53・・・上面開口、54,55・・・内部流路、56A,56B,56C・・・側面開口、57A・・・下部上面開口、57B・・・下面開口、61・・・大入賞装置、61a・・・羽根部材、62・・・V入賞装置、62a・・・スライド部材、62g・・・役連作動ゲート、62s,63s1,63s2・・・スリット、63・・・第2始動入賞装置、63a・・・スロープ型スライド部材、63b・・・回動式スライド部材、64・・・普通入賞口、64a~64c,65a~65c・・・挿通穴、65・・・垂直壁、71,72・・・LED発光装置、74a~74c,75a~75c・・・ボス穴、81,82・・・回路基板、81a,82a・・・入出力用コネクタ、91・・・貫通孔、92a~92c・・・仮置き用突起、95,96・・・表部品、95A,96A・・・収容部。
310・・・主制御基板、320・・・演出制御基板、330・・・払出制御基板、335・・・BCユニット、340・・・発射制御基板、350・・・インタフェース基板、360・・・電源基板、370・・・表示制御基板、380・・・電源中継基板、390・・・球貸し操作基板、400・・・ホールコンピュータ、410・・・信号中継基板、420・・・ランプ制御基板、430・・・音声制御基板、500・・・カードユニット、510,520,530・・・モータ制御IC、540・・・ソレノイド制御IC、610~630・・・ソレノイド制御IC。
P1・・・パチンコ機、A・・・外枠、B・・・中枠、C・・・遊技盤、D・・・前枠、E・・・上の球受け皿、F・・・下の球受け皿、G・・・発射装置、H・・・施錠装置、SOL61,SOL62,SOL63・・・ソレノイド、SW1・・・第1特図スイッチ、SW18・・・入賞検知スイッチ、SW21・・・排出球検知スイッチ、SW37・・・普図スイッチ、SW61,SW62・・・入賞検知スイッチ、SW62g・・・役連作動ゲートスイッチ、SW63・・・第2特図スイッチ、SW64・・・入賞検知スイッチ。
図1
図2
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図6
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図12