(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142958
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230928BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20230928BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20230928BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/042 460
G06F3/04817
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050107
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐原 和子
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA12
5E555AA54
5E555BA01
5E555BA09
5E555BA10
5E555BA27
5E555BB01
5E555BB09
5E555BB10
5E555BB27
5E555BC01
5E555CA12
5E555CA29
5E555CB22
5E555CB24
5E555CB34
5E555CB53
5E555CC01
5E555DA01
5E555DB18
5E555DB57
5E555DC09
5E555DC85
5E555DD02
5E555DD06
5E555EA11
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】画面に含まれる操作アイコンに対して操作確定時間、ユーザが操作体を対向近接させることで、当該操作アイコンに対する非接触操作を確定する情報処理装置において、操作確定時間を固定した場合に比して、ユーザの非接触操作の操作性を向上させる。
【解決手段】表示処理部20は、非接触操作の対象である操作アイコン32を含む非接触操作画面30をディスプレイ12に表示させる。操作確定時間設定部26は、操作アイコン32に対向近接した操作体40の動きに応じて、操作確定時間を変更する。又は、操作アイコン32に対する非接触操作が行われ、当該操作アイコン32に関連付けられた処理が実行された後に、当該処理をキャンセルする指示を受け付けることが所定のキャンセル回数繰り返された場合に、操作確定時間設定部26は操作確定時間を長くする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、
前記操作アイコンに対向近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知し、
前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行し、
前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の動きに応じて、前記操作確定時間を変更する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記検知開始時点から前記操作確定時間内における、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体と前記操作アイコンとの間の、前記画面の垂線方向における距離の変動に応じて、前記操作確定時間を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記検知開始時点から前記操作確定時間内において、前記操作体が前記操作アイコンへ近づいていることを検知した場合は、前記操作確定時間を短くする、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記検知開始時点から前記操作確定時間内において、前記操作体が前記操作アイコンから遠ざかっていることを検知した場合は、前記操作確定時間を長くする、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記検知開始時点から前記操作確定時間、継続して、第1画面に含まれる第1操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記第1画面に代えて、前記第1操作アイコンと同じ位置にある第2操作アイコンを含む第2画面を表示させる画面遷移処理を実行し、
前記第2画面の表示開始時点において、既に前記操作体が前記第2操作アイコンに対向近接している場合、前記操作体が前記第2操作アイコンから遠ざかっていることを検知した場合であっても、前記操作確定時間を変更しない、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した後、前記操作確定時間内において当該操作アイコンへの前記操作体の対向近接を検知できなくなり、さらにその後、再度前記操作体が当該操作アイコンに対向近接したことを検知した場合は、前記操作確定時間を短くする、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記操作アイコンに対して非接触操作を行うユーザ毎に前記操作確定時間を設定し、
前記検知開始時点から前記操作確定時間内において前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知できなくなったことが、所定回数繰り返された場合に、当該操作体を操作した前記ユーザについての前記操作確定時間を短くする、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記操作アイコン毎に前記操作確定時間を設定し、
特定の処理が関連付けられた前記操作アイコンについての前記操作確定時間を所定時間より短くしない、
ことを特徴とする請求項1から3、6、又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、
前記操作アイコンへ近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知し、
前記操作アイコンへ近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行し、
前記処理の実行後に前記処理をキャンセルする指示を受け付けることが所定のキャンセル回数繰り返された場合に、前記操作確定時間を長くする、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記操作アイコンに対して非接触操作を行うユーザに対して、前記操作確定時間を変更したことを通知する、
ことを特徴とする請求項1又は9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記操作確定時間を短くした場合であって変更後の前記操作確定時間が第1閾値時間より短くなった場合、又は、前記操作確定時間を長くした場合であって変更後の前記操作確定時間が第2閾値時間より長くなった場合、前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、
前記操作アイコンに対向近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知させ、
前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行させ、
前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の動きに応じて、前記操作確定時間を変更させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、
前記操作アイコンへ近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知させ、
前記操作アイコンへ近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行させ、
前記処理の実行後に前記処理をキャンセルする指示を受け付けることが所定のキャンセル回数繰り返された場合に、前記操作確定時間を長くさせる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指やスタイラスなどの操作体を画面に直接触れさせずに、当該操作体によって当該画面に対する操作を行う非接触操作が可能な情報処理装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、情報を表示する画面に近接する空間領域内にある操作体を検知し、検知した当該操作体の所定の動きに基づいて入力操作を特定し、特定した入力操作に応じた処理を実行する情報処理装置が開示されている。また、特許文献2には、画面に対する操作内容の確定は接触操作により行うが、当該接触操作に先立って、画面に近接する操作体を検知し、当該操作体の動きから入力操作を予測し、予測した入力操作に応じた処理を開始する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-148960号公報
【特許文献2】特開2006-332889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、非接触操作においては、画面の所定の位置をタッチするなどの明確なトリガによってユーザの操作を確定する、ということができない。したがって、画面に含まれる操作アイコンに対する非接触操作を考えると、ユーザが、所定の操作確定時間、指やスタイラスなどの操作体を操作アイコンに対向近接させた場合に、当該操作アイコンに対する非接触操作が確定した、と判定する方法を採用することが考えられる。操作体が操作アイコンに対向近接する、とは、画面の近傍空間のうち操作アイコンに対向する領域であって、画面の垂線方向における画面からの距離が所定距離以内の領域に操作体が位置することを意味する。当該操作アイコンに対する非接触操作が確定されれば、当該情報処理装置は、当該操作アイコンに関連付けられた処理を実行することができる。
【0006】
ここで、操作アイコンに対して非接触操作を行うユーザにとって、正確な操作確定時間の把握が困難な場合があり、これに起因して、ユーザの非接触操作の操作性が悪くなってしまう場合がある。例えば、ユーザが操作アイコンを非接触操作しようとしているのに、操作体を操作アイコンに対向近接させてから操作確定時間が経過する前に、ユーザが操作体の操作アイコンへの対向近接を解除してしまい、当該非接触操作が確定されない場合がある。また、ユーザが操作アイコンに対する非接触操作を途中で止めようとしているのに、ユーザが操作体の操作アイコンへの対向近接を解除する前に、操作確定時間が経過してしまい、当該非接触操作が確定されてしまう場合がある。
【0007】
本発明の目的は、画面に含まれる操作アイコンに対して操作確定時間、ユーザが操作体を対向近接させることで、当該操作アイコンに対する非接触操作を確定する情報処理装置において、操作確定時間を固定した場合に比して、ユーザの非接触操作の操作性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、前記操作アイコンに対向近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知し、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行し、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の動きに応じて、前記操作確定時間を変更する、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、前記検知開始時点から前記操作確定時間内における、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体と前記操作アイコンとの間の、前記画面の垂線方向における距離の変動に応じて、前記操作確定時間を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に係る発明は、前記プロセッサは、前記検知開始時点から前記操作確定時間内において、前記操作体が前記操作アイコンへ近づいていることを検知した場合は、前記操作確定時間を短くする、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、前記検知開始時点から前記操作確定時間内において、前記操作体が前記操作アイコンから遠ざかっていることを検知した場合は、前記操作確定時間を長くする、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置である。
請求項5に係る発明は、前記プロセッサは、前記検知開始時点から前記操作確定時間、継続して、第1画面に含まれる第1操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記第1画面に代えて、前記第1操作アイコンと同じ位置にある第2操作アイコンを含む第2画面を表示させる画面遷移処理を実行し、前記第2画面の表示開始時点において、既に前記操作体が前記第2操作アイコンに対向近接している場合、前記操作体が前記第2操作アイコンから遠ざかっていることを検知した場合であっても、前記操作確定時間を変更しない、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項6に係る発明は、前記プロセッサは、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した後、当該操作アイコンへの前記操作体の対向近接を検知できなくなり、さらにその後、再度前記操作体が当該操作アイコンに対向近接したことを検知した場合は、前記操作確定時間を短くする、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うユーザ毎に前記操作確定時間を設定し、前記検知開始時点から前記操作確定時間内において前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知できなくなったことが、所定回数繰り返された場合に、当該操作体を操作した前記ユーザについての前記操作確定時間を短くする、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項8に係る発明は、前記プロセッサは、前記操作アイコン毎に前記操作確定時間を設定し、特定の処理が関連付けられた前記操作アイコンについての前記操作確定時間を所定時間より短くしない、ことを特徴とする請求項1から3、6、又は7に記載の情報処理装置である。
請求項9に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、前記操作アイコンへ近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知し、前記操作アイコンへ近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行し、前記処理の実行後に前記処理をキャンセルする指示を受け付けることが所定のキャンセル回数繰り返された場合に、前記操作確定時間を長くする、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項10に係る発明は、前記プロセッサは、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うユーザに対して、前記操作確定時間を変更したことを通知する、ことを特徴とする請求項1又は9に記載の情報処理装置である。
請求項11に係る発明は、前記プロセッサは、前記操作確定時間を短くした場合であって変更後の前記操作確定時間が第1閾値時間より短くなった場合、又は、前記操作確定時間を長くした場合であって変更後の前記操作確定時間が第2閾値時間より長くなった場合、前記ユーザに通知する、ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置である。
請求項12に係る発明は、コンピュータに、操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、前記操作アイコンに対向近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知させ、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行させ、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体の動きに応じて、前記操作確定時間を変更させる、ことを特徴とする情報処理プログラムである。
請求項13に係る発明は、コンピュータに、操作アイコンを含む画面を表示部に表示させ、前記操作アイコンへ近接した、前記操作アイコンに対して非接触操作を行うための操作体を検知させ、前記操作アイコンへ近接した前記操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、前記操作アイコンに対向近接した前記操作体を検知した場合に、前記操作アイコンに関連付けられた処理を実行させ、前記処理の実行後に前記処理をキャンセルする指示を受け付けることが所定のキャンセル回数繰り返された場合に、前記操作確定時間を長くさせる、ことを特徴とする情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1又は12に係る発明によれば、画面に含まれる操作アイコンに対して操作確定時間、ユーザが操作体を対向近接させることで、当該操作アイコンに対する非接触操作を確定する情報処理装置において、操作確定時間を固定した場合に比して、ユーザの非接触操作の操作性を向上させることができる。
請求項2に係る発明によれば、画面の垂線方向における操作体の移動に応じて操作確定時間を変更することができる。
請求項3に係る発明によれば、操作確定時間を固定した場合に比して、操作アイコンに対して非接触操作を行おうとしているユーザは、より早期に当該操作アイコンに対する非接触操作を確定させることができる。
請求項4に係る発明によれば、操作確定時間を固定した場合に比して、ユーザが操作アイコンに対する非接触操作を中止しようとしている場合に、当該操作アイコンに対する非接触操作が確定されてしまうことを抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、第1画面に含まれる第1操作アイコンに操作体を近接させて非接触操作を行って第2画面に遷移させた後、近接させた操作体を画面から離す操作によって、第2画面に含まれる第2操作アイコンについての操作確定時間が長くなってしまうことを防止することができる。
請求項6に係る発明によれば、ユーザが操作アイコンに対して非接触操作を行うかどうか迷った後に非接触操作をやり直した場合に、より早期に当該操作アイコンに対する非接触操作を確定させることができる。
請求項7又は9に係る発明によれば、ユーザの操作感覚に応じた操作確定時間をユーザ毎に設定することができる。
ことができる。
請求項8に係る発明によれば、特定の種類の操作アイコンについての操作確定時間が所定時間より短くなってしまうことを防止することができる。
請求項10又は11に係る発明によれば、ユーザは、操作確定時間が変更されたことを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る情報処理装置の構成概略図である。
【
図3】操作体及び操作アイコンの対向近接領域を示す図である。
【
図4】
図3に示す状態に比して操作体が操作アイコンに近づいた状態を示す図である。
【
図5】
図3に示す状態に比して操作体が操作アイコンから遠ざかった状態を示す図である。
【
図7】操作体が対向近接領域から外れる様子を表す第1の図である。
【
図8】操作体が対向近接領域から外れる様子を表す第2の図である。
【
図10】本実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図11】本実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成概略図である。詳しくは後述するように、情報処理装置10は非接触操作が可能な装置である。非接触操作とは、操作体を操作パネル(本実施形態ではディスプレイに表示された画面)に直接触れさせずに、当該操作体によって当該画面に対する操作を行うことである。操作体とは、非接触操作を行うためのものであり、例えばユーザの指やスタイラスなどである。なお、非接触操作は、ホバー操作とも呼ばれる。
【0012】
本実施形態では、情報処理装置10は、プリント機能、コピー機能、スキャン機能などを有し、ユーザからの処理命令(ジョブ)に応じてプリント処理、コピー処理、又はスキャン処理などを実行する複合機であるが、情報処理装置10はこれには限られず、非接触操作が可能な限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0013】
図1に示す通り、情報処理装置10は、表示部としてのディスプレイ12、操作体センサ14、メモリ16、及びプロセッサ18を含んで構成される。
図1には示されていないが、情報処理装置10は、これらの他、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信回線を介して他の装置と通信するための通信インターフェース(例えばNIC(Network Interface Card)など)、接触操作にてユーザからの指示を受け付ける接触操作インターフェース(例えばボタンやタッチパネルなど)、及び、プリント処理やスキャン処理を実行する処理装置(例えばプリンタやスキャナなど)を備えていてもよい。
【0014】
ディスプレイ12は、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネルを含んで構成される。ディスプレイ12には、プロセッサ18(特に後述の表示処理部20)によって種々の画面が表示される。特に、ディスプレイ12には、非接触操作の対象となる操作アイコンを含む非接触操作画面が表示される。
【0015】
操作体センサ14は、ディスプレイ12(より詳しくはディスプレイ12の表示面)に近づいてきた操作体を検知するセンサである。詳しくは、操作体センサ14は、ディスプレイ12に近づいてきた操作体の有無、及び、ディスプレイ12に接触していない操作体の位置を検知する。操作体の位置とは、ディスプレイ12に平行な面方向における位置、及び、ディスプレイ12の垂線方向における位置を含むものである。
【0016】
操作体の検知方法としては、既知の種々の方法を採用することができる。例えば、操作体センサ14は、ディスプレイ12と操作体との間の静電容量変化を検知する静電容量センサであってよい。この場合、プロセッサ18は、操作体センサ14が検知したディスプレイ12と操作体との間の静電容量変化に応じて、操作体の有無及び位置を検知することができる。あるいは、操作体センサ14は、光を検知する光センサであってもよい。この場合、不図示の光源からディスプレイ12の表示面方向に赤外線やレーザ光を出射させ、操作体センサ14は、その反射光、特に操作体からの反射光を検知する。プロセッサ18は、操作体センサ14が検知した反射光に基づいて、操作体の有無及び位置を検知することができる。なお、本明細書において、操作体の位置とは、操作体のうちディスプレイ12から最も近い部分(例えば指先やスタイラスの先端)の位置を意味する。
【0017】
操作体を検知したこと及び検知した操作体の位置を示す検知信号は、操作体センサ14からプロセッサ18に送信される。
【0018】
メモリ16は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)、ROM(Read Only Memory)、あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成される。メモリ16には、情報処理装置10の各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶される。なお、情報処理プログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納することもできる。情報処理装置10は、そのような記憶媒体から情報処理プログラムを読み取って実行することができる。
【0019】
プロセッサ18は、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ18としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
図1に示すように、プロセッサ18は、メモリ16に記憶された情報処理プログラムに従って、表示処理部20、操作判定部22、処理実行部24、操作確定時間設定部26、及び通知処理部28としての機能を発揮する。
【0020】
表示処理部20は、種々の画面をディスプレイ12に表示させる処理を行う。特に、表示処理部20は、非接触操作の対象である操作アイコンを含む非接触操作画面をディスプレイ12に表示させる。
【0021】
図2は、ディスプレイ12に表示された非接触操作画面30を示す図である。非接触操作画面30は、種々の処理が関連付けられた複数の操作アイコン32を含んでいる。具体的には、非接触操作画面30は、コピー機能に関する種々の設定(カラーモード、両面/片面選択、Nアップ、部数)を選択するための操作アイコン32a~32d、及び、コピー処理の開始を行うための操作アイコン32eを含んでいる。
【0022】
操作判定部22は、ディスプレイ12に表示された操作アイコン32に対して非接触操作が行われたか否かを判定する。具体的には、操作判定部22は、操作体センサ14の検知信号に基づいて操作アイコン32に対向近接した操作体を検知し、当該操作体の検知を開始した検知開始時点から、操作確定時間継続して、当該操作アイコン32に対向近接した操作体を検知した場合に、当該操作アイコン32に対する非接触操作が行われた、すなわち非接触操作が確定したと判定する。
【0023】
操作確定時間の初期値は情報処理装置10の管理者などによって予め定められていてよいが、後述するように、操作確定時間は、操作確定時間設定部26によって変更可能となっている。
【0024】
図3を参照しつつ、操作判定部22の処理を具体的に説明する。
図3は、操作アイコン32に対向近接した操作体40を示す図である。
図3(
図4、
図5、及び
図7においても同様)においては、ディスプレイ12と平行な方向(ディスプレイ12の横方向)をx軸とし、ディスプレイ12と平行な方向であってx軸に垂直な方向(ディスプレイ12の縦方向)をy軸とし、ディスプレイ12の垂線方向をz軸としている。
【0025】
操作体40が操作アイコン32に対向近接する、とは、操作体40の少なくとも一部が、当該操作アイコン32の対向近接領域34内に位置することを意味する。操作アイコン32の対向近接領域34とは、当該操作アイコン32に対向する領域、すなわち当該操作アイコン32をz軸方向に平行移動させたときに当該操作アイコン32が通過する領域であって、z軸方向における操作アイコン32からの距離が所定距離以内の領域である。なお、当該所定距離、つまり対向近接領域34のz軸方向の長さは、操作体センサ14の検知可能範囲に応じて決定されてもよい。すなわち、当該所定距離は、操作体センサ14による操作体40の検知可能距離であってもよい。
【0026】
まず、ユーザがディスプレイ12に操作体40を近付けると、操作体センサ14は当該操作体40を検知し、検知信号をプロセッサ18に送信する。操作判定部22は、操作体センサ14からの検知信号が示す操作体40の位置に基づいて、操作体40がディスプレイ12に表示されたいずれかの操作アイコン32に対向近接しているかを判定し、対向近接している場合は対向近接している操作アイコン32を特定する。また、操作判定部22は、操作アイコン32に対向近接している操作体40を検知した検知開始時点からの時間の計測を開始する。
【0027】
操作アイコン32に対向近接している操作体40の検知開始後、操作判定部22は、単位時間間隔で、操作体センサ14からの検知信号に基づいて、検知した操作体40の位置を確認する。ここで、単位時間間隔とは、例えばミリ秒オーダ間隔などの微小時間間隔である。そして、検知開始時点から操作確定時間継続して、検知した操作体40が特定した操作アイコン32に対向近接している場合、換言すれば、操作体40の位置が特定した操作アイコン32の対向近接領域34内にあった場合、操作判定部22は、当該操作アイコン32に対する非接触操作が行われたと判定する。
【0028】
仮に、検知開始時点から操作確定時間が経過する前に、操作判定部22が、検知した操作体40が当該操作アイコン32に対向近接しなくなった場合、換言すれば、操作体40の位置が特定した操作アイコン32の対向近接領域34外となった場合、操作判定部22は、当該操作アイコン32に対する非接触操作が行われたとは判定せず、当該非接触操作がキャンセルされたと判定する。この場合、それまでに計測した、当該操作体40が当該操作アイコン32に対向近接していた時間はリセットされる。
【0029】
検知した操作体40が当該操作アイコン32に対向近接しなくなった場合には、操作体40がz軸方向に移動して操作アイコン32から離れることで対向近接領域34外に出た場合、及び、操作体40がxy平面方向に移動することで対向近接領域34外に出た場合が含まれる。
【0030】
操作判定部22が操作アイコン32に対向近接している操作体40の検知を開始した場合、表示処理部20は、操作体40が対向近接している操作アイコン32、及び、操作確定時間までの時間経過をディスプレイ12に表示させるとよい。これにより、ユーザは、目的の操作アイコン32に操作体40を対向近接させることができていること、及び、操作確定時間まであとどのくらいの時間待てばよいのかを把握することができる。
【0031】
例えば、
図2を参照し、操作判定部22が操作アイコン32eに対向近接している操作体40の検知を開始した場合、表示処理部20は、操作アイコン32eの一端(
図2の例では左端)から他端(
図2の例では右端)に向けて徐々に伸びるプログレスバー42を表示するとよい。プログレスバー42の伸長スピードは、操作確定時間経過時に、プログレスバー42が操作アイコン32eの他端に到達するスピードであるとよい。もちろん、操作体40が対向近接している操作アイコン32、及び、操作確定時間までの時間経過の表示態様はこれに限られるものではない。
【0032】
処理実行部24は、操作判定部22が操作アイコン32に対する非接触操作が行われたと判定した場合、当該操作アイコン32に関連付けられた処理を実行する。
【0033】
上述のように、操作判定部22が操作アイコン32に対して非接触操作が行われたか否かを判定するための操作確定時間の初期値は予め所定の時間に定められていてよいが、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を変更する処理を実行する。特に、操作確定時間設定部26は、操作アイコン32に対向近接した操作体40の動きに応じて、操作確定時間を変更する。
【0034】
詳しくは、操作確定時間設定部26は、操作アイコン32に対向近接している操作体40の検知を開始した検知開始時点から操作確定時間内における、操作アイコン32に対向近接した操作体40と当該操作アイコン32との間の、ディスプレイ12の垂線方向(z軸方向)における距離の変動に応じて、操作確定時間を変更する。
【0035】
具体的には、操作確定時間設定部26は、検知開始時点から操作確定時間内において、操作体40が操作アイコン32へ近づいていることを検知した場合は、操作確定時間を短くする。操作体40が操作アイコン32へ近づいているということは、ユーザが当該操作アイコン32に対する非接触操作を行おうとしている場合が多いと言える。したがって、操作体40が操作アイコン32へ近づいている場合は、ユーザが早期に当該非接触操作を確定させることができるように、操作確定時間設定部26は操作確定時間を短くする。
【0036】
例えば、
図3に示すように、操作体40(そのうちの最も操作アイコン32に近い部分、以下単に操作体40と記載する)と操作アイコン32との間のz軸方向における距離がL1である状態を基準に考える。この状態から、
図4に示すように、操作体40が操作アイコン32に近づいて、操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離がL2(L2<L1)となった場合、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を短くする。具体的には、操作確定時間設定部26は、第1時点(ここでは操作体40の位置が
図3に示す位置の時点)で検知された操作体40のz軸方向における位置(L1)と、第1時点から所定の移動判定時間経過後である第2時点(ここでは操作体40の位置が
図4に示す位置の時点)で検知された操作体40のz軸方向における位置(L2)とを比較し、L2<L1であれば、操作確定時間を短くする。上述の通り、操作判定部22は、単位時間間隔で操作体40の位置を確認するところ、移動判定時間は、単位時間であってもよいが、必ずしも単位位時間である必要はない。例えば、移動判定時間は、複数の単位時間分の時間であってよく、第2時点は、第1時点から複数の単位時間経過後の時点であってもよい。
【0037】
また、操作体40が操作アイコン32に近づき続けている場合などにおいては、操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離を移動判定時間間隔で取得する度に、当該距離が前回取得時点よりも小さくなり続ける場合がある。この場合、操作確定時間設定部26は、複数回に亘って、操作確定時間を徐々に短くしていってもよい。あるいは、操作確定時間設定部26は、第1時点における操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離L1と、第2時点における操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離L2との差分(L1-L2)を演算し、当該差分が予め定められた閾値距離よりも大きくなった場合に、1回だけ操作確定時間を短くするようにしてもよい。
【0038】
また、例えば移動判定時間を単位時間とした場合など、移動判定時間がかなり短い時間である場合、操作体40のブレによって操作確定時間が短くなってしまうことも考えられる。このような操作体40のブレによって操作確定時間が短くなってしまうことを抑制するため、操作確定時間設定部26は、移動判定時間間隔において少なくとも3つ以上の時点における操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離を取得し、少なくとも2回以上連続して当該距離が前回取得時点よりも小さくなった場合に操作確定時間を短くするようにしてもよい。
【0039】
反対に、操作確定時間設定部26は、検知開始時点から操作確定時間内において、操作体40が操作アイコン32から遠ざかっていることを検知した場合は、操作確定時間を長くする。操作体40が操作アイコン32から遠ざかっているということは、ユーザが当該操作アイコン32に対する非接触操作を中止しようとしている場合が多いと言える。したがって、操作体40が操作アイコン32から遠ざかっている場合は、当該操作アイコン32に対する非接触操作が確定されてしまうことを抑制することができるように、操作確定時間設定部26は操作確定時間を長くする。
【0040】
操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離がL1である状態(
図3参照)を基準とすると、この状態から、
図5に示すように、操作体40が操作アイコン32から遠ざかって、操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離がL2(L1<L2)となった場合、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を長くする。具体的には、操作確定時間設定部26は、第1時点(ここでは操作体40の位置が
図3に示す位置の時点)で検知された操作体40のz軸方向における位置(L1)と、第1時点から所定の移動判定時間経過後である第2時点(ここでは操作体40の位置が
図5に示す位置の時点)で検知された操作体40のz軸方向における位置(L2)とを比較し、L1<L2であれば、操作確定時間を長くする。
【0041】
また、操作体40が操作アイコン32から遠ざかり続けている場合などにおいては、操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離を移動判定時間間隔で取得する度に、当該距離が前回取得時点よりも大きくなり続ける場合がある。この場合、操作確定時間設定部26は、複数回に亘って、操作確定時間を徐々に長くしていってもよい。あるいは、操作確定時間設定部26は、第2時点における操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離L2と、第1時点における操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離L1との差分(L2-L1)を演算し、当該差分が予め定められた閾値距離よりも大きくなった場合に、1回だけ操作確定時間を長くするようにしてもよい。
【0042】
また、操作体40のブレによって操作確定時間が長くなってしまうことを抑制するため、操作確定時間設定部26は、移動判定時間間隔において少なくとも3つ以上の時点における操作体40と操作アイコン32との間のz軸方向における距離を取得し、少なくとも2回以上連続して当該距離が前回取得時点よりも大きくなった場合に操作確定時間を長くするようにしてもよい。
【0043】
表示処理部20がディスプレイ12に表示させる非接触操作画面には、画面を遷移させる画面遷移処理が関連付けられている操作アイコンが含まれる場合がある。例えば、
図6に示す第1画面としての非接触操作画面50には、画面遷移処理が関連付けられた操作アイコン32が含まれている。例えば、非接触操作画面50には、第1操作アイコンとしての操作アイコン32fが含まれており、操作アイコン32fに対する非接触操作が確定すると、表示処理部20は、非接触操作画面50に代えて、
図2に示す第2画面としての非接触操作画面30をディスプレイ12に表示させる画面遷移処理を実行する。
【0044】
ここで、非接触操作画面30と非接触操作画面50とを比較して分かるように、非接触操作画面30に含まれる第2操作アイコンとしての操作アイコン32a及び32bの表示位置は、非接触操作画面50の操作アイコン32fの表示位置と重なっている(同じ位置に表示される)。非接触操作画面50において、操作アイコン32fに対する非接触操作を行うために、ユーザは、操作体40を操作アイコン32fに対向近接させて、操作確定時間保持する。そして、操作アイコン32fに対する非接触操作が確定され、表示処理部20はディスプレイ12に非接触操作画面30を表示させる。この時、操作体40は元々操作アイコン32fが表示されていた領域に対向近接した状態であるから、非接触操作画面30の表示開始時点において、既に操作体40が操作アイコン32a又は操作アイコン32bに対向近接している状態となる。
【0045】
このような場合、新たに表示された非接触操作画面30の全体を確認するなどのために、ユーザは操作体40を一旦ディスプレイ12から離す操作を行う場合がある。そうすると、操作判定部22によって、操作体40が操作アイコン32a又は32bから遠ざかっていくことが検知され、これにより操作確定時間設定部26は操作確定時間を長くすることになる。この場合、ユーザは、必ずしも操作アイコン32a又は32bに対する非接触操作を中止しようとしているわけではないので、操作確定時間を長くするのは適切ではない場合がある。
【0046】
このことに鑑み、操作確定時間設定部26は、画面遷移処理前にディスプレイ12に表示されていた第1画面(上述の例では非接触操作画面50)に含まれる操作アイコン32fに対する非接触操作を行い、それにより新たに第2画面(上述の例では非接触操作画面30)が表示された場合、第2画面の表示開始時点において、既に操作体40が第2画面に含まれる操作アイコン(上述の例では操作アイコン32a又は32b)に対向近接している場合、操作体40が当該操作アイコンから遠ざかっていることを操作判定部22が検知した場合であっても、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を変更しない(長くしない)ようにするとよい。
【0047】
図7に示すように、ユーザが、ある操作アイコン32に対して対向近接させた操作体40を操作確定時間内において一旦遠ざけた後に、再度、操作体40を当該操作アイコン32に対向近接させた場合を考える。この場合、ユーザは、当該操作アイコン32に対する非接触操作を行おうかどうか迷ったのだが非接触操作をやり直している可能性が高いと言える。この場合、操作判定部22は、操作アイコン32に対向近接した操作体40(その一部が操作アイコン32の対向近接領域34内に入った操作体40)を検知し、操作確定時間内において、操作アイコン32に対向近接する操作体40を検知できなくなり(操作体40の全部が当該対向近接領域34から外れ)、さらにその後、再度、当該操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知することになる。
【0048】
このように、操作判定部22が、操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において当該操作アイコン32への操作体40の対向近接を検知できなくなり、さらにその後、再度操作体40が当該操作アイコン32に対向近接したことを検知した場合は、やり直しの非接触操作をより早期に確定可能にすべく、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を短くするとよい。望ましくは、操作判定部22が、操作体40の対向近接を検知できなくなった後、所定時間以内に、再度操作体40が当該操作アイコン32に対向近接したことを検知した場合に、操作確定時間設定部26が操作確定時間を短くするとよい。ここでの所定時間は、情報処理装置10の管理者などによって予め設定されていてよい。
【0049】
また、ユーザが、ある操作アイコン32に対して対向近接させた操作体40を操作確定時間内において遠ざけるということを繰り返している場合を考える。この場合、当該ユーザが持つ操作確定時間の感覚が実際の操作確定時間よりも短く、実際の操作確定時間まで待てずに操作体40の当該操作アイコン32への対向近接を止めてしまった場合が多いとも言える。もちろん、ユーザは、上述のプログレスバー42(
図2参照)を確認することで操作確定時間までの時間経過を把握し得るのではあるが、当該ユーザがプログレスバー42を見ていない場合もあり得るし、プログレスバー42が表示されない場合もあり得る。
【0050】
特に、
図8に示すように、ユーザが、複数の操作アイコン32に対して、対向近接させた操作体40を操作確定時間内において遠ざけることを繰り返している場合、より確かに、当該ユーザが持つ操作確定時間の感覚が実際の操作確定時間よりも短い傾向が強いと言える。
図8の例では、操作判定部22は、操作アイコン32bに対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において、操作アイコン32bに対向近接する操作体40を検知できなくなり、一方において、操作アイコン32cに対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において、操作アイコン32cに対向近接する操作体40を検知できなくなることになる。
【0051】
したがって、操作判定部22が、操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において当該操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知できなくなったことが、所定回数繰り返された場合に、操作確定時間設定部26は、当該ユーザについての操作確定時間を短くするようにしてもよい。特に、操作判定部22が、複数の操作アイコン32において、操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において当該操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知できなくなったことを繰り返している場合に、操作確定時間設定部26は、当該ユーザについての操作確定時間を短くするようにするとよい。なお、ここでの所定回数は、情報処理装置10の管理者などによって予め設定されていてよい。
【0052】
詳しくは後述するが、操作確定時間設定部26は、ユーザを一意に識別するユーザIDと、当該ユーザによる非接触操作(操作体40の動き)に応じて設定した操作確定時間とを関連付けて、メモリ16に記憶させておくことで、ユーザ毎に操作確定時間を設定することができる。なお、この場合に設定される当該ユーザについての操作確定時間は、全ての操作アイコン32について適用されるとよい。
【0053】
ユーザが操作アイコンに対して非接触操作を行って、表示処理部20又は処理実行部24が当該操作アイコンに関連付けられた処理を実行した後、ユーザが当該処理をキャンセルする指示を情報処理装置10に入力した場合を考える。例えば、
図6に示す非接触操作画面50に含まれる、画面遷移処理が関連付けられた操作アイコン32fに対してユーザが非接触操作を行って、表示処理部20が
図2に示す非接触操作画面30を表示させた後、ユーザが非接触操作画面50を再度表示させる指示を入力した場合である。あるいは、
図2に示す非接触操作画面30において操作アイコン32a~32dのいずれかに対してユーザが非接触操作を行って、処理実行部24がコピー機能に関する設定を変更した後、ユーザが元の設定に戻す指示を入力した場合である。この場合、ユーザは、当該操作アイコン32に対する非接触操作を中止しようとしたのであるが、操作体40を当該操作アイコン32の対向近接領域34の外に出す前に当該非接触操作が確定してしまった可能性がある。なお、ユーザによる当該処理をキャンセルする操作は、非接触操作に限られない。
【0054】
したがって、ユーザが操作アイコン32に対して非接触操作を行って、表示処理部20又は処理実行部24が当該操作アイコン32に関連付けられた処理を実行した後、当該処理をキャンセルする指示を受け付けることが所定のキャンセル回数繰り返された場合に、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を長くするとよい。これにより、ユーザの操作アイコン32に対する誤非接触操作が抑制される。特に、この場合、当該ユーザが持つ操作確定時間の感覚が実際の操作確定時間よりも長い場合もあるので、操作確定時間設定部26は、当該ユーザについての操作確定時間を長くするようにしてもよい。ここでの所定のキャンセル回数も、情報処理装置10の管理者などによって予め設定されていてよい。
【0055】
操作確定時間設定部26は、操作アイコン32に対して非接触操作を行うユーザ毎に操作確定時間を設定可能であるとよい。具体的には、操作確定時間設定部26は、ユーザを一意に識別するユーザIDと、当該ユーザによる非接触操作(操作体40の動き)に応じて設定(変更)した操作確定時間とを関連付けて、メモリ16において構築されたユーザDBに登録しておく。ユーザIDは、ディスプレイ12に対する非接触操作に先立って、プロセッサ18がユーザを認証することで得ることができる。操作判定部22は、ユーザDBを参照することで、次回当該ユーザが情報処理装置10において非接触操作を行う際に、前回の非接触操作に応じて設定された操作確定時間に基づいて、操作アイコン32に対して非接触操作が行われたか否かを判定することができる。ユーザは、所望のタイミングで設定された操作確定時間をリセット(初期値に戻す)ことが可能であってよい。なお、操作確定時間設定部26は、操作確定時間をユーザ毎ではなく全ユーザ共通とするようにしてもよい。
【0056】
また、操作アイコン32が複数ある場合は、操作確定時間設定部26は、操作アイコン32毎に操作確定時間を設定することができる。例えば、
図2を参照し、操作確定時間設定部26は、1人のユーザについて、操作アイコン32a,32b,32c,32d,及び32eについて、それぞれ別個に操作確定時間を設定可能である。言うまでもなく、操作確定時間設定部26は、操作アイコン32aについての操作確定時間を、操作アイコン32aに対向近接した操作体40の動きに応じて設定する。各操作アイコン32に対する操作確定時間は互いに異なっていてもよい。
【0057】
この場合、操作確定時間設定部26は、上記のユーザDBにおいて、ユーザIDに対して、さらに各操作アイコン32に対する各操作確定時間を登録しておく。操作判定部22は、操作アイコン32に対向近接する操作体40を検知した際、ユーザ認証に得られたユーザIDと、操作体40に対向する操作アイコン32とに基づいて、ユーザDBから当該ユーザ及び当該操作アイコン32について設定された操作確定時間を特定する。そして、操作判定部22は、特定された操作確定時間に基づいて当該操作アイコン32に対して非接触操作が行われたか否かを判定する。なお、操作確定時間設定部26は、複数の操作アイコン32に共通の操作確定時間を設定するようにしてもよい。
【0058】
操作アイコン32毎に操作確定時間を設定する場合、特定の処理が関連付けられた操作アイコン32についての操作確定時間を所定時間より短くしないようにするとよい。特定の処理が関連付けられた操作アイコン32とは、ユーザの誤操作を防ぎたい操作アイコン32である。そのような操作アイコン32としては、例えば、コピー、プリント、スキャンなどの処理を開始する指示が関連付けられた操作アイコン32(例えば
図2の操作アイコン32e)、設定などをリセットするためのリセット指示が関連付けられた操作アイコン32、あるいは、ログアウト指示が関連付けられた操作アイコン32などがある。所定時間を操作確定時間の初期値に設定することで、特定の処理が関連付けられた操作アイコン32の操作確定時間を一切短くできないようにすることもできる。
【0059】
操作確定時間設定部26は、設定した操作確定時間を一時的に適用するようにしてもよい。例えば、操作確定時間設定部26は、ユーザが情報処理装置10に入力したジョブに関する非接触操作によって、ある操作アイコン32についての操作確定時間を変更した場合、当該ジョブの実行が完了するまで、変更後の操作確定時間をメモリ16に保持しておき、当該ジョブの実行が完了した際に、保持しておいた操作確定時間をメモリ16から消去してもよい。これにより、操作判定部22は、当該ジョブの実行中は、変更後の操作確定時間に基づいて当該操作アイコン32に対して非接触操作が行われたか否かを判定するが、当該ジョブの完了後は、初期値の操作確定時間に基づいて当該操作アイコン32に対して非接触操作が行われたか否かを判定する。また、操作確定時間設定部26は、情報処理装置10の電源がオフにされるまで、操作確定時間をメモリ16に保持するようにしてもよい。
【0060】
通知処理部28は、操作確定時間設定部26により操作確定時間が変更された場合、操作アイコン32に対して非接触操作を行うユーザに対して、操作確定時間を変更したことを通知する。通知処理部28が通知を行うことで、ユーザは、操作確定時間が変更されたことを容易に把握することができる。
【0061】
例えば、
図9に示すように、通知処理部28は、非接触操作画面30に操作確定時間が変更されていることを示すメッセージ60を表示させる。また、通知処理部28は、メッセージ60に代えてあるいは加えて、操作体40が対向近接している操作アイコン32を、操作確定時間が変更されていない場合とは異なる態様で表示させてもよい。例えば、
図9の例では、通知処理部28は、操作体40が対向近接している操作アイコン32eの色を操作確定時間が変更されていない場合とは異なる色で表示させている。もちろん、通知処理部28の通知の態様はこれらには限られない。ディスプレイ12への表示に代えてあるいは加えて音声を出力することで通知を行ってもよい。
【0062】
操作確定時間が少しでも変更された場合に通知処理部28が逐一通知を出力すると、ユーザにとって煩わしい場合も有り得る。したがって、通知処理部28は、操作確定時間設定部26が操作確定時間を短くした場合であって、変更後の操作確定時間が第1閾値時間より短くなった場合に、操作確定時間を変更したことをユーザに通知するとよい。また、通知処理部28は、操作確定時間設定部26が操作確定時間を長くした場合であって、変更後の操作確定時間が第2閾値時間より長くなった場合に、操作確定時間を変更したことをユーザに通知するとよい。ここでの第1閾値時間及び第2閾値時間は、情報処理装置10の管理者などによって予め設定されていてよい。
【0063】
本実施形態に係る情報処理装置10の構成は以上の通りである。以下、
図10及び
図11に示すフローチャートに従って、本実施形態に係る情報処理装置10の処理の流れを説明する。
【0064】
図10は、操作アイコン32に対向近接した操作体40と当該操作アイコン32との間の、ディスプレイ12の垂線方向(z軸方向)における距離の変動に応じて操作確定時間を変更する処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
ステップS10において、操作判定部22は、操作体センサ14からの検知信号に基づいて、ディスプレイ12に表示された操作アイコン32に対向近接する操作体40を検知したか否かを判定する。操作判定部22は、操作アイコン32に対向近接する操作体40を検知するまで待機し、検知した場合は検知開始時点からの時間の計測を開始してステップS12に進む。
【0066】
ステップS12において、操作判定部22は、上述の移動判定時間待機する。
【0067】
ステップS14において、操作判定部22は、ステップS10で検知した操作体40が依然として当該操作アイコン32に対向近接しているか否かを判定する。操作体40が当該操作アイコン32に対向近接していることを検知できなくなった場合はステップS10に戻る。依然として操作体40が当該操作アイコン32に対向近接している場合はステップS16に進む。
【0068】
ステップS16において、操作確定時間設定部26は、ステップS10で検知した操作体40とディスプレイ12(つまり操作アイコン32)との間のz軸方向における距離L1と、ステップS14で検知した操作体40とディスプレイ12との間のz軸方向における距離L2を比較する。L2<L1である場合、つまり操作体40がディスプレイ12に近づいた場合はステップS18に進む。
【0069】
ステップS18において、操作判定部22は、再度、移動判定時間待機する。
【0070】
ステップS20において、操作判定部22は、再度、ステップS10及びS14で検知した操作体40が依然として当該操作アイコン32に対向近接しているか否かを判定する。操作体40が当該操作アイコン32に対向近接していることを検知できなくなった場合はステップS10に戻る。依然として操作体40が当該操作アイコン32に対向近接している場合はステップS22に進む。
【0071】
ステップS22において、操作確定時間設定部26は、ステップS14で検知した操作体40とディスプレイ12との間のz軸方向における距離L2と、ステップS20で検知した操作体40とディスプレイ12との間のz軸方向における距離(ここではL3とする)を比較する。L3<L2である場合、つまり操作体40がさらにディスプレイ12に近づいた場合はステップS24に進む。L2<L3である場合、つまり、操作体40がディスプレイから遠ざかった場合はステップS24をバイパスしてステップS34に進む。
【0072】
ステップS24において、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を短くする。このように、本フローチャートでは、移動判定時間間隔で3回操作体40の位置を取得し、2回連続で操作体40がディスプレイ12に近づいている場合に、操作確定時間設定部26が操作確定時間を短くしている。
【0073】
ステップS16において、L1<L2である場合、つまり操作体40がディスプレイ12から遠ざかった場合はステップS26に進む。
【0074】
ステップS26において、操作判定部22は、再度、移動判定時間待機する。
【0075】
ステップS28において、操作判定部22は、再度、ステップS10及びS14で検知した操作体40が依然として当該操作アイコン32に対向近接しているか否かを判定する。操作体40が当該操作アイコン32に対向近接していることを検知できなくなった場合はステップS10に戻る。依然として操作体40が当該操作アイコン32に対向近接している場合はステップS30に進む。
【0076】
ステップS30において、操作確定時間設定部26は、ステップS14で検知した操作体40とディスプレイ12との間のz軸方向における距離L2と、ステップS28で検知した操作体40とディスプレイ12との間のz軸方向における距離(ここでもL3とする)を比較する。L2<L3である場合、つまり操作体40がさらにディスプレイ12から遠ざかっている場合はステップS32に進む。L3<L2である場合、つまり、操作体40がディスプレイから近づいた場合はステップS32をバイパスしてステップS34に進む。
【0077】
ステップS32において、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を長くする。このように、本フローチャートでは、移動判定時間間隔で3回操作体40の位置を取得し、2回連続で操作体40がディスプレイ12から遠ざかっている場合に、操作確定時間設定部26が操作確定時間を長くしている。
【0078】
ステップS16において、L1=L2である場合、つまり操作体40のz軸方向の位置に変化がない場合はステップS34に進む。
【0079】
ステップS34において、操作判定部22は、ステップS10で最初に操作アイコンに対向近接する操作体40を検知した検知開始時点から操作確定時間が経過したか否かを判定する。操作確定時間が経過していない場合はステップS10に戻る。操作確定時間が経過した場合はステップS36に進む。
【0080】
ステップS36において、処理実行部24は、当該操作アイコン32に関連付けられた処理を実行する。
【0081】
図11は、操作判定部22が、操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において当該操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知できなくなったことが所定回数繰り返された場合に操作確定時間を短くする処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
ステップS40において、操作判定部22は、操作体センサ14からの検知信号に基づいて、ディスプレイ12に表示された操作アイコン32に対向近接する操作体40を検知したか否かを判定する。操作判定部22は、操作アイコン32に対向近接する操作体40を検知するまで待機し、検知した場合は検知開始時点からの時間の計測を開始してステップS42に進む。
【0083】
ステップS42において、操作判定部22は、検知開始時点から操作確定時間が経過したか否かを判定する。操作確定時間が経過した場合はステップS44に進み、ステップS44において、処理実行部24が当該操作アイコン32に関連付けられた処理を実行して処理を終了する。操作確定時間が経過していない場合はステップS46に進む。
【0084】
ステップS46において、操作判定部22は、ステップS40で検知した操作体40が依然として当該操作アイコン32に対向近接しているか否かを判定する。依然として操作体40が当該操作アイコン32に対向近接している場合はステップS42に戻る。操作体40が当該操作アイコン32に対向近接していることを検知できなくなった場合はステップS48に進む。
【0085】
ステップS48において、操作確定時間設定部26は、カウントをインクリメントする。なお、当該カウントは当該フローチャートの開始時にリセットされている。当該カウントは、操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において当該操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知できなくなった回数を示す値である。
【0086】
ステップS50において、操作確定時間設定部26は、カウントが所定値に達したか否かを判定する。つまり、操作確定時間設定部26は、操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知した後、操作確定時間内において当該操作アイコン32に対向近接した操作体40を検知できなくなった回数が所定回数に達したか否かを判定する。当該カウントが所定値に達していない場合はステップS40に戻る。当該カウントが所定値に達した場合はステップS52に進む。
【0087】
ステップS52において、操作確定時間設定部26は、操作確定時間を短くする。
【0088】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 情報処理装置、12 ディスプレイ、14 操作体センサ、16 メモリ、18 プロセッサ、20 表示処理部、22 操作判定部、24 処理実行部、26 操作確定時間設定部、28 通知処理部、30,50 非接触操作画面、32 操作アイコン、34 対向近接領域、40 操作体、42 プログレスバー、60 メッセージ。