(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142963
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20230928BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20230928BHJP
B01D 53/38 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B01D53/14 100
B01D53/04 ZAB
B01D53/04 230
B01D53/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050117
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】奥出 竜基
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
4D020
【Fターム(参考)】
4D002BA03
4D002BA04
4D002CA08
4D002DA31
4D002DA41
4D002DA45
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA03
4D012CB02
4D012CB16
4D012CD01
4D012CG01
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB01
4D020BC01
4D020CA03
4D020CA05
4D020CC01
4D020CC07
4D020CC08
(57)【要約】
【課題】ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する新たな構成の処理装置を提案する。
【解決手段】第1導入管は、第1吸収室及び第2吸収室に択一的に、物質を含む第1ガスを導入するように構成される。第2導入管は、第1吸収室及び第2吸収室に択一的に、第1吸収体及び第2吸収体に吸収された物質を脱離する第2ガスを導入するように構成される。第1導入管及び第2導入管は、いずれも移動可能は、第1吸収室及び第2吸収室との接続態様が異なる第1状態と、第2状態と、に遷移可能である。第1状態は、第1導入管が第1吸収室に接続し、かつ、第2導入管が第2吸収室に接続する。第2状態は、第1導入管が第2吸収室に接続し、かつ、第2導入管が第1吸収室に接続する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する処理装置であって、
前記物質を吸収するように構成された第1吸収体及び第2吸収体と、
前記第1吸収体が収容される第1吸収室と、
前記第2吸収体が収容される第2吸収室と、
前記第1吸収室及び前記第2吸収室に択一的に、前記物質を含む第1ガスを導入するように構成された第1導入管と、
前記第1吸収室及び前記第2吸収室に択一的に、前記第1吸収体及び前記第2吸収体に吸収された前記物質を脱離する第2ガスを導入するように構成された第2導入管と、
を備え、
前記第1導入管及び前記第2導入管は、いずれも移動可能であって、前記第1吸収室及び前記第2吸収室との接続態様が異なる第1状態と、第2状態と、に遷移可能であり、
前記第1状態においては、前記第1導入管が前記第1吸収室に接続し、かつ、前記第2導入管が前記第2吸収室に接続し、
前記第2状態においては、前記第1導入管が前記第2吸収室に接続し、かつ、前記第2導入管が前記第1吸収室に接続する、処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記第1状態及び前記第2状態のいずれの状態においても、前記第1導入管に接続する第1室と、
前記第1状態及び前記第2状態のいずれの状態においても、前記第2導入管に接続する第2室と、
を更に備え、
前記第1導入管は、前記第1吸収室及び前記第2吸収室に接続する側とは反対側の端部が前記第1室に接続し、
前記第2導入管は、前記第1吸収室及び前記第2吸収室に接続する側とは反対側の端部が前記第2室に接続し、
前記第1室と前記第2室とは、互いに連通しないように別々に設けられる処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の処理装置であって、
前記第1導入管から前記第1吸収室に至る流路において設けられ、前記第1吸収体に近づくにつれて流路断面が広くなり、前記第1吸収体が配置される空間に繋がる拡散室が形成されている、処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記第1導入管及び前記第2導入管は、共に回転することにより移動し、
前記第1導入管及び前記第2導入管が合わさることにより、1つの円筒状の回転体を構成する、処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記第1吸収室及び前記第2吸収室から択一的に、前記第1ガスから前記物質が前記第1吸収体及び前記第2吸収体に吸収された後の清浄ガスを排出するように構成された第1排出管と、
前記第1吸収室及び前記第2吸収室から択一的に、前記第1吸収体及び前記第2吸収体から脱離した前記物質を含む前記第2ガスである濃縮ガスを排出するように構成された第2排出管と、
を更に備え、
前記第1状態においては、前記第1排出管が前記第1吸収室に接続し、かつ、前記第2排出管が前記第2吸収室に接続し、
前記第2状態においては、前記第1排出管が前記第2吸収室に接続し、かつ、前記第2排出管が前記第1吸収室に接続する、処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有機溶剤含有ガスを処理することが可能な有機溶剤含有ガス処理装置が開示されている。当該装置は、吸着体ユニットの一方の側に濃縮ガス排出用回転チャンバ及び有機溶剤含有ガス導入用チャンバを備え、他方の側に脱着ガス導入用回転チャンバ及び清浄ガス排出用チャンバを備えている。有機溶剤含有ガス導入用チャンバは濃縮ガス排出用回転チャンバを内包するように設けられ、清浄ガス排出用チャンバは脱着ガス導入用回転チャンバを内包するように設けられる。また、濃縮ガス排出用回転チャンバと、脱着ガス導入用回転チャンバとは対向した状態で同期的に等速回転し、脱着ガス及び濃縮ガスの流路を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有機溶剤含有ガス導入用チャンバが濃縮ガス排出用回転チャンバを内包するように設けられ、清浄ガス排出用チャンバが脱着ガス導入用回転チャンバを内包するように設けられることから、メンテナンスが難しく、また、内部でガスが混ざり合い、吸収と脱離の性能が低下する可能性がある。
【0005】
本開示の一局面は、ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する新たな構成の処理装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する処理装置であって、第1吸収体及び第2吸収体と、第1吸収室と、第2吸収室と、第1導入管と、第2導入管と、を備える。第1吸収体及び第2吸収体は、物質を吸収するように構成される。第1吸収室は、第1吸収体が収容される。第2吸収室は、第2吸収体が収容される。第1導入管は、第1吸収室及び第2吸収室に択一的に、物質を含む第1ガスを導入するように構成される。第2導入管は、第1吸収室及び第2吸収室に択一的に、第1吸収体及び第2吸収体に吸収された物質を脱離する第2ガスを導入するように構成される。第1導入管及び第2導入管は、いずれも移動可能であって、第1吸収室及び第2吸収室との接続態様が異なる第1状態と、第2状態と、に遷移可能である。第1状態においては、第1導入管が第1吸収室に接続し、かつ、第2導入管が第2吸収室に接続する。第2状態においては、第1導入管が第2吸収室に接続し、かつ、第2導入管が第1吸収室に接続する。このような構成によれば、第1ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する新たな構成の処理装置を提供することができる。
【0007】
本開示の一態様は、第1室と、第2室と、を更に備えてもよい。第1室は、第1状態及び第2状態のいずれの状態においても、第1導入管に接続する。第2室は、第1状態及び第2状態のいずれの状態においても、第2導入管に接続する。第1導入管は、第1吸収室及び第2吸収室に接続する側とは反対側の端部が第1室に接続してもよい。第2導入管は、第1吸収室及び第2吸収室に接続する側とは反対側の端部が第2室に接続してもよい。第1室と第2室とは、互いに連通しないように別々に設けられてもよい。このような構成によれば、第1ガスと第2ガスとが別の流路を通るため、第1ガスと第2ガスとが混ざることを抑制することができる。
【0008】
本開示の一態様では、第1導入管から第1吸収室に至る流路において設けられ、第1吸収体に近づくにつれて流路断面が広くなり、第1吸収体が配置される空間に繋がる拡散室が形成されていてもよい。このような構成によれば、第1吸収室に偏りなく第1ガスを導入することができる。
【0009】
本開示の一態様では、第1導入管及び第2導入管は、共に回転することにより移動してもよい。第1導入管及び第2導入管が合わさることにより、1つの円筒状の回転体を構成してもよい。このような構成によれば、効率よく第1導入管及び第2導入管を移動させることができる。
【0010】
本開示の一態様は、第1排出管と、第2排出管と、を更に備えてもよい。第1排出管は、第1吸収室及び第2吸収室から択一的に、第1ガスから物質が第1吸収体及び第2吸収体に吸収された後の清浄ガスを排出するように構成される。第2排出管は、第1吸収室及び第2吸収室から択一的に、第1吸収体及び第2吸収体から脱離した物質を含む第2ガスである濃縮ガスを排出するように構成される。第1状態においては、第1排出管が第1吸収室に接続し、かつ、第2排出管が第2吸収室に接続してもよい。第2状態においては、第1排出管が第2吸収室に接続し、かつ、第2排出管が第1吸収室に接続してもよい。このような構成によれば、第1ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する新たな構成の処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3Aは第1状態におけるガスの流れを説明する概略図であり、
図3Bは第2状態におけるガスの流れを説明する概略図である。
【
図7】第1室、第2室、第1導入管及び第2導入管の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.概要]
図1~
図3A,3Bに示される本実施形態の処理システム1は、本開示の処理装置、すなわちガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離し、当該物質を回収及び貯留するための装置を含むシステムの一例である。処理システム1は、例えば、二酸化炭素回収システムであって、例えば発電機などの内燃機関から発生する燃焼排ガスG中の二酸化炭素を回収及び貯留するためのシステムに使用できる。
【0013】
まず、処理システム1におけるガスの流れについて説明する。処理システム1は、第1状態と、第2状態と、に遷移する。まず、
図1にて、第1状態について説明する。第1状態では、燃焼排ガスGが、第1室19を経由して後述する第1導入管15を通過し、第1吸収室13に送られる。第1吸収室13では第1吸収体11により二酸化炭素が吸収される。その後、二酸化炭素が吸収された後の清浄ガスは、後述する第2導入管16及び第3室21を介して当該システムの外部に排出される。また同時に、キャリアガスCが、第2室20を経由して後述する第1排出管17を通過し、第2吸収室14に送られる。第2吸収室14では、既に二酸化炭素を吸収している第2吸収体12から二酸化炭素が脱離される。その後、二酸化炭素が脱離された後の濃縮ガスは、後述する第2排出管18及び第4室22を経由して、図示しない貯留槽に貯留される。
【0014】
このように、第1状態では、燃焼排ガスGに含まれる二酸化炭素が第1吸収体11に吸収され、同時に、第2吸収体12に吸収されていた二酸化炭素がキャリアガスCにより脱離して濃縮ガスとなる。
【0015】
次に、第2状態について説明する。第2状態では、第1状態とは異なり、第1室19を経由した燃焼排ガスGが第2吸収室14に送られ、また同時に、第2室20を経由したキャリアガスCが第1吸収室13に送られる。それにより、第2吸収室14では燃焼排ガスGから二酸化炭素が吸収され、第1吸収室13では第1吸収室13では第1吸収体11から二酸化炭素が脱離される。すなわち、燃焼排ガスGとキャリアガスCとが送られる吸収室が入れ替わり、各吸収体における二酸化炭素の吸収と脱離が入れ替わる。
このように、第1状態と第2状態とを切り替えることで、二酸化炭素を吸収して清浄ガスを排出し、脱離した二酸化炭素の連続的な貯留が実現できる。
【0016】
[1-2.構成]
図2及び
図3A、3Bを用いて、上記ガス流れを実現する具体的な構造を説明する。
図2に示されるように、処理システム1は、第1室19と、第1導入管15と、第1拡散室23と、第2室20と、第2導入管16と、第2拡散室24と、第3室21と、第1排出管17と、第1接続室123と、第4室22と、第2排出管18と、第2接続室124と、を備える。ここで、燃焼排ガスGとキャリアガスCとが第1吸収室13及び第2吸収室14に備えられる第1吸収体11及び第2吸収体12に至るまでを上流側、第1吸収体11及び第2吸収体12以降を下流側として、まず上流側の具体的構成を説明する。
【0017】
本実施形態では、第1状態と第2状態とが切り替わるときに、第1導入管15、第2導入管16、第1拡散室23及び第2拡散室24が移動する。よって、まず第1状態における各管の配置を
図3Aを用いて説明する。
【0018】
第1室19は、当該システム1において燃焼排ガスGが最初に導入される、直方体の室である。
第1導入管15は、ガスの流れ方向と直交する平面における断面が半円筒形のパイプである。第1導入管15は、第1室19と第1拡散室23とを繋ぐ管である。この第1導入管15により、第1室19に入った燃焼排ガスGを第1吸収室13に向かって流す。
【0019】
なお、
図4に示されるように、第1吸収室13と第2吸収室14は、筒状の部材を中央で仕切って構成されている。
第1拡散室23は、第1導入管15から第1吸収室13に至る流路において設けられる。第1拡散室23は、第1吸収体11に近づくにつれて流路断面が広くなる流路であり、第1吸収体11が配置される空間に繋がる形状に形成されている。具体的には、第1拡散室23は、第1吸収体11に向かってテーパ状に広がっている。
【0020】
第2室20は、キャリアガスCが通る、直方体の室である。
第2導入管16は、ガスの流れ方向と直交する平面における断面が半円筒形のパイプである。第2導入管16は、第2室20と第2拡散室24とを繋ぐ管である。この第2導入管16により、第2室20に入ったキャリアガスCを第2吸収室14に向かって流す。
【0021】
第2拡散室24は、第2導入管16から第2吸収室14に至る流路において設けられる。第2拡散室24は、第2吸収体12に近づくにつれて流路断面が広くなる流路であり、第2吸収体12が配置される空間に繋がる形状に形成されている。具体的には、第2拡散室24は、第2吸収体12に向かってテーパ状に広がっている。第1拡散室23及び第2拡散室24によって、第1吸収室13及び第2吸収室14の側が底となる円錐形状が形成される。
【0022】
次に、第2状態における各管の配置を
図3Bを用いて説明する。
図3Aとの対比から明らかなように、第1導入管15と第2導入管16との配置が入れ替わっており、第1導入管15及び第2導入管16に接続される第1拡散室23と第2拡散室24との配置も入れ替わっている。
【0023】
第1導入管15は、第1室19に入った燃焼排ガスGを、第1拡散室23を介して第2吸収室14に向かって流す。第2導入管16は、第2室20に入ったキャリアガスCを、第2拡散室24を介して第1吸収室13に向かって流す。
【0024】
上記のように、第1導入管15は、第1吸収室13及び第2吸収室14に択一的に、二酸化炭素を導入するように構成されている。第2導入管16は、第1吸収室13及び第2吸収室14に択一的に、キャリアガスCを導入するように構成されている。
【0025】
図5に示されるように、第1導入管15及び第2導入管16は、第1室19から、第1拡散室23及び第2拡散室24までの間において、第1導入管15の平面状の部分である第1平面部151と、第2導入管16の平面状の部分である第2平面部161とが合わさることにより、1つの円筒状の回転体を構成する。言い換えると、第1導入管15及び第2導入管16は、円筒状体の内部を、円筒状体の長さ方向に広がる板によって中央で仕切ったような形状である。なお、第2導入管16が第1導入管15より長いため、第2導入管16のみが配置される部分では半円筒形となる。また第1導入管15と第2導入管16の間には、回転軸25が配置されている。第1導入管15及び第2導入管16は、共に回転軸25を軸にして回転することにより、互いの位置を入れ替えるように移動可能である。
【0026】
図6示されるように、第1導入管15及び第2導入管16は、第1平面部151及び第2平面部161の幅方向中央に、回転軸25を挿通するための凹み部31aを備える。凹み部31aは、第1導入管15及び第2導入管16の長さ方向に沿って、それぞれの長さ方向全域において窪んだ部分である。また、凹み部31aは、後述する隆起部32を挿通するための溝部33aを備える。溝部33aは、第1導入管15及び第2導入管16の長さ方向に沿って、それぞれの長さ方向全域において、凹み部31aよりもさらに窪んだ部分である。
【0027】
図7は、第1室19及び第2室20と、第1導入管15及び第2導入管16と、を抜き出して示した図である。
図7に示されるように、第2導入管16は、第1導入管15と隣接しない箇所であって、第1室19に設けられた第1貫通孔19aと対応する位置に配置される蓋部34a、及び、第2室20に設けられた貫通孔20aと対応する位置に設けられる蓋部34bを備える。蓋部34a、34bは、半円形の板状の部材である。
【0028】
第1室19及び第2室20に対して第1導入管15及び第2導入管16を組み付けた状態では、蓋部34aは第1貫通孔19aの内部に配置され、蓋部34bは貫通孔20aの内部に配置される。また、第1導入管15の第1拡散室23とは反対側の開口15aは、第1室19に形成される第2貫通孔19bに配置され、それにより、第1導入管15と第1室19が連通する。また、第2導入管16の第2拡散室24とは反対側の開口16aは、貫通孔20aに配置され、それにより、第2導入管16と第2室20が連通する。
【0029】
図8に示されるように、蓋部34aは、直径部分の中心に、回転軸25を挿通するための凹み部31bを備える。凹み部31bは、半円形の窪みである。また、凹み部31bは、隆起部32を挿通するための溝部33bを備える。溝部33bは、凹み部31bよりもさらに窪んだ、半円形の窪みである。蓋部34bも、蓋部34aと同様の形状である。
【0030】
回転軸25は、第1導入管15、第2導入管16、第1拡散室23及び第2拡散室24を回転させるための軸である。回転軸25は、モータ29aによって駆動される。回転軸25は、第1室19及び第2室20を貫通している。回転軸25は、隆起部32を備える。隆起部32は、回転軸25の長さ方向に沿って一端から他端まで隆起する突条部分である。隆起部32は、第1導入管15及び第2導入管16の溝部33aに嵌り、回転軸25が回転する際に溝部33aに引っかかり回転方向に押すことにより、第1導入管15及び第2導入管16を回転させる。また、隆起部32は、蓋部34a,34bの溝部33bに嵌り、回転軸25が回転する際に溝部33bに引っかかり回転方向に押すことにより、蓋部34a,34bを回転させる。
【0031】
なお、ガスが第1吸収体11及び第2吸収体12を通過した後の下流側の構成も、上流側とほぼ同様の構成である。
第3室21は、清浄ガスが通る、直方体の室である。
【0032】
第1排出管17は、第1導入管15と同様の構成であり、ガスの流れ方向と直交する平面における断面が半円筒形のパイプである。第1排出管17は、第3室21と第1接続室123とを繋ぐ管である。これにより、第1排出管17は、第1吸収室13又は第2吸収室14を通った清浄ガスを第3室21に向かって流す。
【0033】
第1接続室123は、第1吸収室13又は第2吸収室14から第1排出管17に至る流路において設けられる。例えば、第1状態においては、第1接続室123は、第1吸収体11に近づくにつれて流路断面が広くなり、第1吸収体11が配置される空間に繋がる形状に形成されている。具体的には、第1接続室123は、第1吸収体11に向かってテーパ状に広がっている。
【0034】
第4室22は、濃縮ガスが通る、直方体の室である。
第2排出管18は、第2導入管16と同様の構成であり、ガスの流れ方向と直交する平面における断面が半円筒形のパイプである。第2排出管18は、第4室22と第2接続室124とを繋ぐ管である。これにより、第2排出管18は、第1吸収室13又は第2吸収室14を通った濃縮ガスを第4室22に向かって流す。
【0035】
第2接続室124は、第1吸収室13又は第2吸収室14から第2排出管18に至る流路において設けられる。例えば、第1状態においては、第2接続室124は、第1吸収体11に近づくにつれて流路断面が広くなり、第1吸収体11が配置される空間に繋がる形状に形成されている。具体的には、第2接続室124は、第1吸収体11に向かってテーパ状に広がっている。
【0036】
第1排出管17は、第1吸収室13及び第2吸収室14から択一的に、清浄ガスを排出する。第2排出管18は、第1吸収室13及び第2吸収室14から択一的に、濃縮ガスを排出する。
【0037】
[1-3.第1吸収室及び第2吸収室]
図4に示されるように、第1吸収室13は、第1吸収体11を収容する。第1吸収室13は、ガスの流れ方向における断面が半円筒形の室である。第2吸収室14は、第2吸収体12を収容する。第2吸収室14は、ガスの流れ方向における断面が半円筒形の室である。上述したように、第1吸収室13及び第2吸収室14にて1つの筒体を構成する。つまり、筒体を長さ方向に半分に分断するように仕切り部材28が設けられ、筒体の内部に、2つの半円形の室が形成されている。第1吸収体11及び第2吸収体12は、ガス中に含まれる所定の物質を吸収するように構成されている。一例として、第1吸収体11及び第2吸収体12は、燃焼排ガスG中に含まれる二酸化炭素を吸収するように構成されている。具体的には、第1吸収体11及び第2吸収体12は、活性炭やゼオライト等の二酸化炭素を吸着する材料を粒状に成形した材料である。
図4に示されるように、第1吸収体11及び第2吸収体12は、半円形の形状に構成されている。
【0038】
[1-4.第1シール部及び第2シール部]
第2貫通孔19bと第1導入管15及び第2導入管16との境目51、第1貫通孔19aと第2導入管16及び蓋部34aとの境目52、並びに、貫通孔20aと第2導入管16及び蓋部34bとの境目53には、いずれも、第1シール部41aが設けられている。これらを代表して、境目51に位置する第1シール部41aの構成を
図9に示す。
図9に示されるように、第1シール部41aは、パッキン42aと、パッキン固定部43aと、パッキン抑え部44aと、ネジ孔45aと、ネジ固定部46aと、を備える。
【0039】
パッキン42aは、第1室19の第2貫通孔19bと、第1導入管15及び第2導入管16と、の間の隙間を埋めるように配置される部材である。パッキン42aは、環状の弾性部材であって、第1導入管15及び第2導入管16により構成される円筒状体を囲うように配置される。なお、第1貫通孔19aにおいては、第2導入管16の外周と、蓋部34aの円弧側の側面と、を囲うように配置される。また、貫通孔20aにおいては、第2導入管16の外周と、蓋部34bの円弧側の側面と、を囲うように配置される。
【0040】
パッキン42aは、パッキン固定部43aと、パッキン抑え部44aとに挟まれて固定される。パッキン固定部43a及びネジ固定部46aは、第1室19の壁面に接着して固定されている。パッキン抑え部44aは、パッキン抑え部44aと、ネジ固定部46aとに形成されるネジ孔45aにネジ47aが挿通されることにより固定される。
【0041】
第1拡散室23と第1吸収室13又は第2吸収室14との境目61、及び、第2拡散室24と第1吸収室13又は第2吸収室14との境目62には、第2シール部41bが設けられている。境目61に位置する第2シール部41bの構成を
図10に示す。
図10に示されるように、第2シール部41bは、パッキン42bと、パッキン固定部43bと、パッキン抑え部44bと、ネジ孔45bと、ネジ固定部46bと、を備える。
【0042】
パッキン42bは、第1拡散室23と第1吸収室13との間、及び、第2拡散室24と第2吸収室14との間の隙間を埋めるように配置される部材である。パッキン42bは、環状の弾性部材である。パッキン42bは、パッキン固定部43bと、パッキン抑え部44bとに挟まれて固定される。パッキン固定部43b及びネジ固定部46bは、第1吸収室13及び第2吸収室14の壁面に接着して固定されている。パッキン抑え部44bは、ネジ孔45bにネジ47bが挿通されることにより固定される。
【0043】
なお、第1吸収体11及び第2吸収体12よりも下流側においても、上述した第1シール部41a同様のシール部が、第3室21に形成される第2貫通孔19bと第1排出管17及び第2排出管18との境目51、第3室21に形成される第1貫通孔19aと第2排出管18及び蓋部34aとの境目52、並びに、第4室22に形成される貫通孔20aと第2排出管18及び蓋部34bとの境目53に備えられている。また、第2シール部41b同様のシール部が、第1接続室123と第1吸収室13又は第2吸収室14との境目61、及び、第2接続室124と第1吸収室13又は第2吸収室14との境目62に備えられている。
【0044】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1導入管15は、第1吸収室13及び第2吸収室14に択一的に、二酸化炭素を含む燃焼排ガスGを導入し、第1吸収体11又は第2吸収体12に二酸化炭素を吸収させるように構成されている。第2導入管16は、第1吸収室13及び第2吸収室14に択一的に、キャリアガスCを導入し、第1吸収体11又は第2吸収体12から二酸化炭素を脱離するように構成されている。そして、第1状態と第2状態とでは、第1導入管15と第2導入管16のガスの送り先が異なる。このような構成によれば、ガス中に含まれる所定の物質を吸収及び脱離する新たな構成の処理装置を提供することができる。
【0045】
(1b)第1拡散室23と第2拡散室24とは互いに連通しないように別々に設けられる。このような構成によれば、燃焼排ガスGとキャリアガスCとが別の流路を通るため、燃焼排ガスGとキャリアガスCとが混ざることを抑制することができる。
【0046】
(1c)第1拡散室23は、第1吸収体11に近づくにつれて流路断面が広くなる流路であり、第1吸収体11が配置される空間に繋がる形状に形成されている。このような構成によれば、第1吸収室13に偏りなく燃焼排ガスGを導入することができる。
【0047】
(1d)第1導入管15及び第2導入管16は、共に回転軸25を軸にして回転することにより、互いの位置を入れ替えるように移動可能である。このような構成によれば、効率よく第1導入管15及び第2導入管16を移動させることができる。
【0048】
(1e)第1導入管15と第2導入管16は、組み合わせることで円筒状になる。そのため、第1室19の第2貫通孔19bとの接続部分において、第1導入管15及び第2導入管16が回転しても隙間が生じにくくなり、ガス漏れの発生を抑制できる。
【0049】
また第1貫通孔19aの内部に配置される蓋部34a及び第2導入管16は、第1貫通孔19aの内周面とほぼ一致するような円形状となっているため、蓋部34a及び第2導入管16が回転しても隙間が生じにくくなる。また、貫通孔20aの内部に配置される蓋部34b及び第2導入管16についても同様である。
【0050】
[1-4.対応関係]
本実施形態では、燃焼排ガスGが第1ガスに相当し、キャリアガスCが第2ガスに相当する。
【0051】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0052】
(2a)上記実施形態では、第1吸収体11及び第2吸収体12が、活性炭やゼオライト等の二酸化炭素を吸着する材料を粒状に成形した材料である構成を例示した。しかし、第1吸収体11及び第2吸収体12の種類はこれに限定されるものではない。例えば、
図11Aに示されるように、第1吸収体11及び第2吸収体12は、アミン等の二酸化炭素と結合する化合物の液体の二酸化炭素吸収材を担持した粒状の固体であってもよい。また例えば、
図11Bに示されるように、第1吸収体11及び第2吸収体12は、多数の貫通孔が形成された形状、例えばハニカム形状であってもよい。ハニカム形状は、第1吸収室13及び第2吸収室14の長さ方向に延伸する複数の仕切り板が格子状に配置された立体形状であってもよいし、ブロックに孔が空けられた形状であってもよい。
【0053】
(2b)上記実施形態では、燃焼排ガスGが第1室19を通り、キャリアガスCが第2室20を通る構成を例示した。しかし、燃焼排ガスG及びキャリアガスCの流路はこれに限定されるものではない。例えば、
図12に示されるように、キャリアガスCが第1室19、第1導入管15及び第1拡散室23を通り、第1吸収室13に導入されてもよい。また、燃焼排ガスGが第2室20、第2導入管16及び第2拡散室24を通り、第2吸収室14に導入されてもよい。なお、このように構成された場合には、下流側の流路において、清浄ガスは、第2接続室124、第2排出管18及び第4室22に導入され、濃縮ガスは、第1接続室123、第1排出管17及び第3室21に導入されることとなる。
【0054】
(2c)第1室19に燃焼排ガスGを導入する導入口は、第1室19のいずれの側面に開口していてもよい。また、第2室20にキャリアガスCを導入する導入口は、第2室20のいずれの側面に開口していてもよい。例えば、
図3A,3Bに示されるように、第1室19の導入口が上方に開口し、第2室20の導入口が下方に開口してもよいし、
図13に示されるように、第1室19の導入口が下方に開口し、第2室20の導入口が上方に開口してもよい。
【0055】
(2d)上記実施形態では、処理システム1が、二酸化炭素回収システムであって、燃焼排ガスG中の二酸化炭素を回収及び貯留するためのシステムに使用する構成を例示した。しかし、処理システム1は他の用途に使用されてもよい。例えば、有機溶剤含有ガスから有機溶剤を回収及び貯留するためのシステムに使用されてもよい。
【0056】
(2e)上記実施形態では、回転軸25により、第1導入管15、第2導入管16、第1拡散室23及び第2拡散室24が回転する構成を例示した。しかし、第1拡散室23及び第2拡散室24は、第1導入管15及び第2導入管16と共に移動せず、第1導入管15及び第2導入管16のみが移動する構成であってもよい。つまり、第1拡散室23は第1吸収室13に固定されていてもよいし、第2拡散室24は第2吸収室14に固定されていてもよい。
【0057】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…処理システム、11…第1吸収体、12…第2吸収体、13…第1吸収室、14…第2吸収室、15…第1導入管、15a,16a…開口、16…第2導入管、17…第1排出管、18…第2排出管、19…第1室、19a…第1貫通孔、19b…第2貫通孔、20…第2室、20a…貫通孔、21…第3室、22…第4室、23…第1拡散室、24…第2拡散室、25…回転軸、28…仕切り部材、29a…モータ、31a,31b…凹み部、32…隆起部、33a,…溝部、34a,34b…蓋部、41a…第1シール部、41b…第2シール部、42a,42b…パッキン、43a,43b…パッキン固定部、44a,44b…パッキン抑え部、45a,45b…ネジ孔、46a,46b…ネジ固定部、47a,47b…ネジ、51,52,53,61,62…境目、123…第1接続室、124…第2接続室、151…第1平面部、161…第2平面部、C…キャリアガス、G…燃焼排ガス。