(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142982
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230928BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20230928BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230928BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20230928BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09G3/36
G09G3/20 680G
G09G3/20 621M
G09G3/20 611F
G09G3/20 612R
G09G3/20 622K
G09G3/20 622B
G09G3/20 621E
G09G3/20 622E
G09F9/30 348A
G09F9/30 349D
G02F1/1368
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050150
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小倉 潤
【テーマコード(参考)】
2H192
2H193
5C006
5C080
5C094
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192CB08
2H192DA12
2H192FB03
2H192FB27
2H192FB32
2H192FB33
2H192GD61
2H192JA06
2H192JA13
2H192JA28
2H193ZA04
2H193ZA07
2H193ZB02
2H193ZC21
2H193ZF21
2H193ZF22
2H193ZF23
2H193ZQ06
2H193ZQ11
2H193ZQ12
5C006AA16
5C006AA22
5C006AF42
5C006AF43
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC13
5C006BC20
5C006BC22
5C006BC23
5C006BF03
5C006BF31
5C006BF37
5C006BF41
5C006BF49
5C006BF50
5C006EA01
5C006FA36
5C006FA41
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080BB06
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5C080DD22
5C080EE29
5C080FF11
5C080FF13
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ06
5C094AA02
5C094AA15
5C094AA22
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA09
5C094DA15
5C094DB01
5C094ED11
5C094FA01
5C094FA02
(57)【要約】
【課題】 表示特性を向上させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、画像を表示する表示領域4に設けられ、複数の画素を有する画素アレイ10と、画素アレイ10に設けられ、第1方向に延びる複数の走査線GLと、表示領域4に設けられ、複数の走査線GLに接続され、複数の第1トランジスタを含むゲートドライバGDと、複数の第1トランジスタを覆う反射膜41とを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域に設けられ、複数の画素を有する画素アレイと、
前記画素アレイに設けられ、第1方向に延びる複数の走査線と、
前記表示領域に設けられ、前記複数の走査線に接続され、複数の第1トランジスタを含むゲートドライバと、
前記複数の第1トランジスタを覆う第1反射膜と、
を具備する表示装置。
【請求項2】
前記複数の第1トランジスタの各々は、第1ゲート電極と、第2ゲート電極とを含む
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の第1トランジスタを覆う第1電極をさらに具備し、
前記第1反射膜は、前記第1電極上に設けられ、
前記第1電極は、前記第1トランジスタの前記第2ゲート電極として機能する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1トランジスタは、第1半導体層を含み、
前記第1トランジスタの前記第1ゲート電極は、前記第1半導体層の下方に絶縁膜を介して設けられ、
前記第1トランジスタの前記第2ゲート電極は、前記第1半導体層の上方に絶縁膜を介して設けられる
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1電極に電圧を印加する制御回路をさらに具備する
請求項3又は4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御回路は、走査動作時に、前記第1電極に正電圧を印加し、走査停止時に、前記第1電極に負電圧を印加する
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記画素アレイは、複数のサブアレイを含み、
前記ゲートドライバは、前記複数のサブアレイにそれぞれ設けられた複数のゲートドライバを含み、
前記第1電極は、前記サブアレイごとに電気的に分離される
請求項3乃至6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素の各々は、第2トランジスタを含み、
前記第2トランジスタは、第2反射膜で覆われている
請求項1乃至7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2トランジスタは、第1ゲート電極と、第2ゲート電極とを含む
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2トランジスタを覆う第2電極をさらに具備し、
前記第2反射膜は、前記第2電極上に設けられ、
前記第2電極は、前記第2トランジスタの前記第2ゲート電極として機能する
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2トランジスタは、第2半導体層を含み、
前記第2トランジスタの前記第1ゲート電極は、前記第2半導体層の下方に絶縁膜を介して設けられ、
前記第2トランジスタの前記第2ゲート電極は、前記第2半導体層の上方に絶縁膜を介して設けられる
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記ゲートドライバは、縦続接続された複数のコア回路を有するシフトレジスタを含み、
前記複数のコア回路の各々は、
前段のコア回路の出力信号に対応する入力信号を第1ノードに転送する入力部と、
第1フレーム信号により有効化され、前記第1ノードの反転信号を第2ノードで保持する第1インバータ回路と、
前記第1フレーム信号と相補である第2フレーム信号により有効化され、前記第1ノードの反転信号を第3ノードで保持する第2インバータ回路とを含む
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記コア回路は、出力部を含み、
前記出力部は、出力トランジスタと、キャパシタとを含み、
前記出力トランジスタは、前記第1ノードに接続されたゲートと、クロック信号を受ける第1端子と、走査線に接続された第2端子とを有し、
前記キャパシタは、前記第1ノードに接続された第1電極と、前記走査線に接続された第2電極とを有する
請求項12に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置或いは有機EL(electroluminescence)表示装置は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)をアクティブ素子として使用し、TFTをマトリクス状に配置した基板(TFT基板と呼ぶ)を備えている。TFT基板は、カラム方向にそれぞれが延びかつ画像信号が入力される複数の信号線と、ロウ方向にそれぞれが延びる複数の走査線とを有している。
【0003】
近年、走査線を駆動するゲートドライバをTFT基板上に形成し、ドライバICのコスト削減および表示パネルの狭額縁(narrow bezel)化が図られている。また、TFT基板上にゲートドライバを形成することで、走査線の引き回し配線の制約がなくなるため、車載向けなどで要求が高い異形ディスプレイ(四角形ではないディスプレイ)に対しても有用な技術となっている。このような技術は、GIP(Gate driver in panel)、或いはGOA(Gate driver on array)と呼ばれている。
【0004】
GIPは、狭額縁及び異形ディスプレイを低コストで実現する上で極めて重要な技術である。しかし、額縁にゲートドライバを配置する構成の場合、ゲートドライバの配置領域が必要であるため狭額縁化にも限界がある。また、信頼性の問題(特に光リーク)を考慮すると、ある程度の面積の額縁を許容せざるを得ない。
【0005】
このような状況下で、ゲートドライバを表示領域内に搭載する技術が提案されている。ゲートドライバを表示領域内に搭載する技術は、例えばGIA(Gate driver in Active array)、或いはGDM(Gate driver monolithic circuitry)と呼ばれている。GIAは、狭額縁や異形ディスプレイに適用する技術として注目されている。また、GIAは、狭額縁化された複数の表示パネルを接続してマルチパネル型ディスプレイを形成するための技術や、Foldable(折りたためる)ディスプレイ構造を形成するための技術として開発されている。
【0006】
しかしながら、GIPのようにTFTを用いた駆動回路をTFT基板上に形成しようとした場合には、TFTのもつ特性にばらつきがあるとゲートドライバの誤動作を引き起こしやすい。TFTの特性ばらつきを補正する手段として、TFTをデュアルゲート構造にした上で、バックゲート電圧でしきい値電圧を補正する技術がある。しかし、デュアルゲート構造を有するTFTをゲートドライバに適用すると、表示装置の構成が複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6077704号公報
【特許文献2】特許第5178801号公報
【特許文献3】特許第6312947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、表示特性を向上させることが可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様によると、画像を表示する表示領域に設けられ、複数の画素を有する画素アレイと、前記画素アレイに設けられ、第1方向に延びる複数の走査線と、前記表示領域に設けられ、前記複数の走査線に接続され、複数の第1トランジスタを含むゲートドライバと、前記複数の第1トランジスタを覆う第1反射膜とを具備する表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第2態様によると、前記複数の第1トランジスタの各々は、第1ゲート電極と、第2ゲート電極とを含む、第1態様に係る表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第3態様によると、前記複数の第1トランジスタを覆う第1電極をさらに具備し、前記第1反射膜は、前記第1電極上に設けられ、前記第1電極は、前記第1トランジスタの前記第2ゲート電極として機能する、第2態様に係る表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第4態様によると、前記第1トランジスタは、第1半導体層を含み、前記第1トランジスタの前記第1ゲート電極は、前記第1半導体層の下方に絶縁膜を介して設けられ、前記第1トランジスタの前記第2ゲート電極は、前記第1半導体層の上方に絶縁膜を介して設けられる、第3態様に係る表示装置が提供される。
【0013】
本発明の第5態様によると、前記第1電極に電圧を印加する制御回路をさらに具備する、第3又は第4態様に係る表示装置が提供される。
【0014】
本発明の第6態様によると、前記制御回路は、走査動作時に、前記第1電極に正電圧を印加し、走査停止時に、前記第1電極に負電圧を印加する、第5態様に係る表示装置が提供される。
【0015】
本発明の第7態様によると、前記画素アレイは、複数のサブアレイを含み、前記ゲートドライバは、前記複数のサブアレイにそれぞれ設けられた複数のゲートドライバを含み、前記第1電極は、前記サブアレイごとに電気的に分離される、第3乃至第6態様の何れかに係る表示装置が提供される。
【0016】
本発明の第8態様によると、前記複数の画素の各々は、第2トランジスタを含み、前記第2トランジスタは、第2反射膜で覆われている、第1乃至第7態様の何れかに係る表示装置が提供される。
【0017】
本発明の第9態様によると、前記第2トランジスタは、第1ゲート電極と、第2ゲート電極とを含む、第8態様に係る表示装置が提供される。
【0018】
本発明の第10態様によると、前記第2トランジスタを覆う第2電極をさらに具備し、前記第2反射膜は、前記第2電極上に設けられ、前記第2電極は、前記第2トランジスタの前記第2ゲート電極として機能する、第9態様に係る表示装置が提供される。
【0019】
本発明の第11態様によると、前記第2トランジスタは、第2半導体層を含み、前記第2トランジスタの前記第1ゲート電極は、前記第2半導体層の下方に絶縁膜を介して設けられ、前記第2トランジスタの前記第2ゲート電極は、前記第2半導体層の上方に絶縁膜を介して設けられる、第10態様に係る表示装置が提供される。
【0020】
本発明の第12態様によると、前記ゲートドライバは、縦続接続された複数のコア回路を有するシフトレジスタを含み、前記複数のコア回路の各々は、前段のコア回路の出力信号に対応する入力信号を第1ノードに転送する入力部と、第1フレーム信号により有効化され、前記第1ノードの反転信号を第2ノードで保持する第1インバータ回路と、前記第1フレーム信号と相補である第2フレーム信号により有効化され、前記第1ノードの反転信号を第3ノードで保持する第2インバータ回路とを含む、第1乃至第11態様の何れかに係る表示装置が提供される。
【0021】
本発明の第13態様によると、前記コア回路は、出力部を含み、前記出力部は、出力トランジスタと、キャパシタとを含み、前記出力トランジスタは、前記第1ノードに接続されたゲートと、クロック信号を受ける第1端子と、走査線に接続された第2端子とを有し、前記キャパシタは、前記第1ノードに接続された第1電極と、前記走査線に接続された第2電極とを有する、第12態様に係る表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、表示特性を向上させることが可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置の模式的なレイアウト図である。
【
図5】
図5は、
図2に示したゲートドライバ群の模式図である。
【
図7】
図7は、ゲートドライバに含まれるシフトレジスタのブロック図である。
【
図9】
図9は、ゲートドライバの配置領域を説明する模式図である。
【
図10】
図10は、サブアレイ及びゲートドライバの平面図である。
【
図11】
図11は、
図10のA-A´線に沿ったサブアレイ及びゲートドライバの断面図である。
【
図12】
図12は、
図10のB-B´線に沿ったサブアレイ及びゲートドライバの断面図である。
【
図13】
図13は、
図10のC-C´線に沿ったサブアレイ及びゲートドライバの断面図である。
【
図14】
図14は、
図10のD-D´線に沿ったサブアレイ及びゲートドライバの断面図である。
【
図15】
図15は、
図10のE-E´線に沿ったサブアレイ及びゲートドライバの断面図である。
【
図17】
図17は、複数の分割領域の配線を説明する図である。
【
図18】
図18は、表示領域の実施例を説明する模式図である。
【
図19】
図19は、デュアルゲート型TFTの特性を説明するグラフである。
【
図20】
図20は、デュアルゲート型TFTの特性を説明するグラフである。
【
図21】
図21は、走査線が選択された場合の電圧の立ち下がりの挙動を説明する図である。
【
図22】
図22は、走査線が選択された場合の電圧の立ち下がりの挙動を説明するグラフである。
【
図23】
図23は、第1実施形態に係る分割領域の走査動作を説明するタイミング図である。
【
図24】
図24は、第1実施形態に係る分割領域の走査停止動作を説明するタイミング図である。
【
図25】
図25は、第1実施形態に係る液晶表示装置の駆動パターン1を説明する模式図である。
【
図26】
図26は、第1実施形態に係る液晶表示装置の駆動パターン2を説明する模式図である。
【
図27】
図27は、シフトレジスタの動作を説明するタイミング図である。
【
図28】
図28は、選択期間におけるコア回路のインバータ動作を説明する模式図である。
【
図29】
図29は、第2実施形態に係る複数の分割領域の配線を説明する図である。
【
図30】
図30は、第2実施形態に係る分割領域の走査動作を説明するタイミング図である。
【
図31】
図31は、第2実施形態に係る分割領域の走査停止動作を説明するタイミング図である。
【
図32】
図32は、第3実施形態に係る表示領域の模式図である。
【
図33】
図33は、第3実施形態に係る液晶表示装置の駆動パターン1を説明する模式図である。
【
図34】
図34は、第3実施形態に係る液晶表示装置の駆動パターン2を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
本実施形態では、表示装置として、液晶表示装置を例に挙げて説明する。本実施形態の液晶表示装置は、表示領域内にゲートドライバを配置する構成を有する。また、本実施形態の液晶表示装置は、外光を利用した反射表示と、バックライトを利用した透過表示とを行うことが可能な半透過型液晶表示装置である。
【0026】
[1] 第1実施形態
[1-1] 液晶表示装置1の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の模式的なレイアウト図である。
図1において、X方向は、走査線GLが延びるロウ方向であり、Y方向は、信号線SLが延びるカラム方向である。液晶表示装置1は、TFT基板2、集積回路(IC:integrated circuit)3、画素アレイ10、及びゲートドライバ群11を備える。
【0027】
TFT基板2は、透明な絶縁基板で構成され、例えば、ガラス基板又はプラスチック基板などで構成される。TFT基板2上には、画素アレイ10、ゲートドライバ群11、及び集積回路3が設けられる。TFT基板2の上方には対向基板(図示せず)が配置され、TFT基板2及び対向基板間には液晶層(図示せず)が配置される。
【0028】
画素アレイ10には、それぞれがX方向に延びる複数の走査線GLと、それぞれがY方向に延びる複数の信号線SLとが配設される。画素アレイ10が配置される領域は、表示領域4を構成する。表示領域4は、画像が表示される領域である。
【0029】
ゲートドライバ群11は、表示領域4内に配置される。ゲートドライバ群11は、複数の走査線GLに接続される。なお、ゲートドライバ群11の一部は、表示領域4の周辺の周辺領域に配置される。周辺領域は、液晶表示装置1の額縁に対応する。額縁は、例えば黒の遮光層で覆われ、観察者からは黒の領域として視認される。
【0030】
集積回路3は、複数の信号線SLに接続される。また、集積回路3は、ゲートドライバ群11に接続される。集積回路3は、ICチップで構成される。
【0031】
図2は、液晶表示装置1のブロック図である。液晶表示装置1は、画素アレイ10、ゲートドライバ群11、ソースドライバ12、共通電極ドライバ13、電圧発生回路14、制御回路15、及びバックライト16を備える。
図1に示した集積回路3は、
図2に示したソースドライバ12、共通電極ドライバ13、電圧発生回路14、及び制御回路15を含む。
【0032】
バックライト16は、面光源を構成する。バックライト16は、例えば、サイドライト型または直下型の照明装置で構成される。バックライト16は、TFT基板2の液晶層が配置される側と反対側に配置される。バックライト16は、照明光を発光し、この照明光を画素アレイ10に向けて照射する。
【0033】
画素アレイ10は、マトリクス状に配置された複数の画素を備える。また、画素アレイ10は、マトリクス状に配置された複数のサブアレイを備える。サブアレイの具体的な構成については後述する。画素アレイ10には、それぞれがX方向に延びる複数の走査線GLと、それぞれがY方向に延びる複数の信号線SLとが配設される。走査線GLと信号線SLとの交差領域には、画素が配置される。
【0034】
ゲートドライバ群11は、複数の走査線GLに接続される。ゲートドライバ群11は、複数のサブアレイに対応して設けられた複数のゲートドライバを備える。ゲートドライバの具体的な構成については後述する。ゲートドライバ群11は、制御回路15から送られる制御信号に基づいて、画素に含まれるスイッチング素子をオン/オフするための複数の走査信号を画素アレイ10に送る。
【0035】
ソースドライバ12は、複数の信号線SLに接続される。ソースドライバ12は、制御回路15から制御信号、及び画像データを受ける。ソースドライバ12は、制御信号に基づいて、画像データに対応する複数の階調信号(複数の駆動電圧)を画素アレイ10に送る。
【0036】
共通電極ドライバ13は、共通電圧Vcomを生成し、この共通電圧Vcomを画素アレイ10内の共通電極に供給する。共通電極は、複数の画素ごとに設けられた複数の画素電極に液晶層を介して対向するように設けられる電極である。
【0037】
電圧発生回路14は、液晶表示装置1の動作に必要な各種電圧を生成し、これら電圧を対応する回路に供給する。
【0038】
制御回路15は、液晶表示装置1の動作を統括的に制御する。制御回路15は、外部から画像データDT及び制御信号CNTを受ける。制御回路15は、画像データDTに基づいて、各種制御信号を生成し、これら制御信号を、対応する回路に送る。
【0039】
[1-1-1] 表示領域4の構成
図3は、
図1に示した表示領域4の模式図である。
【0040】
表示領域4は、マトリクス状(m行×n列)に配置された複数の分割領域DI_(1,1)~DI_(m,n)を備える。“m”及び“n”はそれぞれ、2以上の整数である。表示領域4が備える分割領域DIの数は任意に設定可能である。本実施形態では、添え字(m,n)を省略した参照符号DIの説明は、複数の分割領域に共通に適用される。他の添え字付きの参照符号についても同様である。
【0041】
各分割領域DIには、サブアレイSA、及びゲートドライバGDが設けられる。
【0042】
図4は、
図2に示した画素アレイ10の模式図である。画素アレイ10は、マトリクス状(m行×n列)に配置された複数のサブアレイSA_(1,1)~SA_(m,n)を備える。複数のサブアレイSA_(1,1)~SA_(m,n)はそれぞれ、分割領域DI_(1,1)~DI_(m,n)に設けられる。
【0043】
各サブアレイSAは、マトリクス状に配置された複数の画素PXを備える。1個のサブアレイSAには、複数の走査線GLが配設される。すなわち、複数のサブアレイSAは、個別に走査が可能である。各列に含まれる複数のサブアレイSA(すなわち、列方向に並んだ複数のサブアレイSA)は、共通の信号線SLに接続される。
【0044】
図5は、
図2に示したゲートドライバ群11の模式図である。ゲートドライバ群11は、マトリクス状(m行×n列)に配置された複数のゲートドライバGD_(1,1)~GD_(m,n)を備える。ゲートドライバGD_(1,1)~GD_(m,n)はそれぞれ、分割領域DI_(1,1)~DI_(m,n)に設けられる。各ゲートドライバGDは、対応するサブアレイSAに配設された複数の走査線GLに接続され、この複数の走査線GLを走査する。
図5では、ゲートドライバGDを構成する複数の回路素子が分割領域DI内に分散して配置される様子を模式的に示している。
【0045】
図6は、
図4に示したサブアレイSAの回路図である。サブアレイSAには、複数の走査線GL1~GLi、及び複数の信号線SL1~SLjが配設される。“i”及び“j”はそれぞれ、2以上の整数である。
【0046】
画素PXは、スイッチング素子(アクティブ素子)17、液晶容量(液晶素子)Clc、及び蓄積容量Csを備える。
【0047】
スイッチング素子17としては、例えばTFT(Thin Film Transistor)が用いられ、またnチャネルTFTが用いられる。また、スイッチング素子17は、第1ゲート電極と第2ゲート電極とを有するデュアルゲート型TFTで構成される。第1ゲート電極が回路図の上側のゲート電極であり、第2ゲート電極が回路図の下側のゲート電極である。第2ゲート電極は、TFTのバックゲートとして機能する。なお、トランジスタのソース及びドレインは、トランジスタに流れる電流の向きによって変化するが、以下の説明では、トランジスタの接続状態の一例を説明する。しかし、ソース及びドレインが名称通りに固定されるものでないことは勿論である。
【0048】
TFT17の第1ゲート電極は、走査線GLに接続され、TFT17の第2ゲート電極は、蓄積容量線(蓄積電極ともいう)CsLに接続される。TFT17のドレインは、信号線SLに接続され、そのソースは、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。液晶素子としての液晶容量Clcは、画素電極と、共通電極と、これらに挟まれた液晶層とにより構成される。液晶容量Clcの他方の電極には、共通電極ドライバ13により共通電圧Vcomが印加される。
【0049】
蓄積容量Csの一方の電極は、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。蓄積容量Csの他方の電極は、蓄積容量線CsLに接続される。蓄積容量Csは、画素電極に生じる電位変動を抑制するとともに、画素電極に印加された駆動電圧を次の信号に対応する駆動電圧が印加されるまでの間保持する機能を有する。蓄積容量Csは、画素電極と、蓄積容量線CsLと、これらに挟まれた絶縁膜とにより構成される。蓄積容量線CsLには、電圧発生回路14により蓄積容量電圧Vcsが印加される。蓄積容量電圧Vcsは、画素PXが表示動作を行う期間に、例えば共通電圧Vcomと同じ電圧に設定される。
【0050】
[1-1-2] ゲートドライバGDの構成
次に、ゲートドライバGDの構成について説明する。ゲートドライバGDは、シフトレジスタSRを備える。
図7は、ゲートドライバGDに含まれるシフトレジスタSRのブロック図である。
【0051】
シフトレジスタSRは、複数のコア回路RG1~RGiを備える。コア回路RG1~RGiはそれぞれ、走査線GL1~GLiに対応して設けられる。
【0052】
複数のコア回路RG1~RGiは、縦続接続される。各コア回路RGは、入力データを一時的に記憶するレジスタとして機能する。シフトレジスタSRは、クロック信号に同期して動作し、入力データ(パルス信号)を順次シフトするように動作する。
【0053】
各コア回路RGは、自身に入力される複数の信号の条件に応じて、パルス信号を出力するように構成される。各コア回路RGは、入力端子V_IN、出力端子OUT、フレーム端子Fr_o、フレーム端子Fr_e、クロック端子CLK、クリア端子CR、及びリセット端子RST_INを備える。
【0054】
複数のコア回路RG1~RGiは、任意のコア回路RGの出力端子OUTが、後段のコア回路RGの入力端子V_INに接続されるようにして、縦続接続される。なお、1段目のコア回路RG1の入力端子V_INには、スタート信号STが入力される。
【0055】
コア回路RG1~RGiのフレーム端子Fr_oには、フレーム信号Frame_oが入力される。コア回路RG1~RGiのフレーム端子Fr_eには、フレーム信号Frame_eが入力される。コア回路RG1~RGiのクリア端子CRには、クリア信号CLRが入力される。
【0056】
奇数番目のコア回路RG1、RG3、・・・のクロック端子CLKには、クロック信号ClkAが入力される。偶数番目のコア回路RG2、RG4、・・・のクロック端子CLKには、クロック信号ClkBが入力される。クロック信号ClkAとクロック信号ClkBとは、相補的な位相関係を有する。
【0057】
任意のコア回路RGの出力端子OUTは、前段のコア回路RGのリセット端子RST_INに接続される。最終段のコア回路RGiのリセット端子RST_INには、クリア信号CLRが入力される。
【0058】
複数のコア回路RG1~RGiの出力端子OUTはそれぞれ、走査線GL1~GLiに接続される。
図7の各走査線GLに接続されたキャパシタは、走査線に接続された画素の容量を簡略化して表している。
【0059】
制御回路15は、前述したフレーム信号Frame_o、フレーム信号Frame_e、クロック信号ClkA、クロック信号ClkB、及びクリア信号CLRを生成し、これらの信号をシフトレジスタSRに供給する。
【0060】
[1-1-3] コア回路RGの具体的な構成
次に、コア回路RGの具体的な構成について説明する。
図8は、
図7に示したコア回路RGの回路図である。コア回路RGは、入力部20、レジスタ部21、出力部22、プルダウン部23、及びクリア部24を備える。
【0061】
コア回路RGは、画素アレイ10のTFT17と同じ構成を有するTFTで構成される。すなわち、コア回路RGに含まれるTFTは、NチャネルTFTで構成され、またデュアルゲート型TFTで構成される。
図8では、図面が煩雑になるのを避けるために、TFTのバックゲート(第2ゲート電極)の図示を省略している。画素アレイ10と同様に、TFTのバックゲートは、蓄積容量線CsLに接続される。以下、TFTを単にトランジスタと呼ぶ場合もある。本明細書では、トランジスタのソース及びドレインの一方を第1端子、他方を第2端子と呼ぶ場合もある。
【0062】
入力部20は、入力信号VINを受けるための回路である。入力部20は、2個のトランジスタM2、M5を備える。トランジスタM2のゲートには、入力端子V_INを介して、入力信号VINが入力される。入力信号VINは、前段のコア回路RGの出力信号に対応する。トランジスタM2のドレインは、自身のゲートに接続される。すなわち、トランジスタM2は、ダイオード接続される。トランジスタM2のソースは、ノードAnに接続される。トランジスタM2は、入力信号VINがハイレベルの場合に、入力信号VINをノードAnに転送し、入力信号VINがローレベルの場合にオフする。
【0063】
トランジスタ(リセットトランジスタともいう)M5のゲートには、リセット端子RST_INを介して、リセット信号RSTが入力される。リセット信号RSTは、後段のコア回路RGの出力信号に対応する。トランジスタM5のドレインは、ノードAnに接続される。トランジスタM5のソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。電圧Vglは、信号をローレベルに設定するための基準電圧であり、信号のハイレベル電圧より低い電圧である。電圧Vglは、例えば、接地電圧GNDより低い負電圧であり、-10V~-20Vの範囲に設定される。
【0064】
レジスタ部21は、選択状態および非選択状態においてキャパシタCbにかかる電圧を保持するための回路である。レジスタ部21は、2個のインバータ回路21o、21eと、トランジスタM1bとを備える。
【0065】
インバータ回路21oは、3個のトランジスタM1o、M6o、M7oを備える。トランジスタM1oのゲートには、フレーム端子Fr_oを介して、フレーム信号Frame_oが入力される。トランジスタM1oのドレインは、自身のゲートに接続される。トランジスタM1oのソースは、ノードBnoに接続される。トランジスタM1oは、フレーム信号Frame_oがハイレベルの場合に、フレーム信号Frame_oをノードBnoに転送し、フレーム信号Frame_oがローレベルの場合にオフする。すなわち、インバータ回路21oは、フレーム信号Frame_oがハイレベルの場合に有効化される。
【0066】
トランジスタM6oのゲートは、ノードBnoに接続される。トランジスタM6oのドレインは、ノードAnに接続される。トランジスタM6oのソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。トランジスタM6oは、ノードAnの電位をプルダウンする機能を有する。
【0067】
トランジスタM7oのゲートは、ノードAnに接続される。トランジスタM7oのドレインは、ノードBnoに接続される。トランジスタM7oのソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。トランジスタM7oは、ノードBnoの電位をプルダウンする機能を有する。
【0068】
インバータ回路21eは、3個のトランジスタM1e、M6e、M7eを備える。トランジスタM1eのゲートには、フレーム端子Fr_eを介して、フレーム信号Frame_eが入力される。トランジスタM1eのドレインは、自身のゲートに接続される。トランジスタM1eのソースは、ノードBneに接続される。トランジスタM1eは、フレーム信号Frame_eがハイレベルの場合に、フレーム信号Frame_eをノードBneに転送し、フレーム信号Frame_eがローレベルの場合にオフする。すなわち、インバータ回路21eは、フレーム信号Frame_eがハイレベルの場合に有効化される。
【0069】
トランジスタM6eのゲートは、ノードBneに接続される。トランジスタM6eのドレインは、ノードAnに接続される。トランジスタM6eのソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。トランジスタM6eは、ノードAnの電位をプルダウンする機能を有する。
【0070】
トランジスタM7eのゲートは、ノードAnに接続される。トランジスタM7eのドレインは、ノードBneに接続される。トランジスタM7eのソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。トランジスタM7eは、ノードBneの電位をプルダウンする機能を有する。
【0071】
トランジスタM1bのゲートは、ノードAnに接続される。トランジスタM1bの電流経路の一端は、ノードBnoに接続される。トランジスタM1bの電流経路の他端は、ノードBneに接続される。トランジスタM1bは、ノードAnがハイレベルの場合に、ノードBnoとノードBneとを接続する。
【0072】
出力部22は、出力信号を走査線GLに出力するための回路である。出力部22は、トランジスタ(出力トランジスタともいう)M3と、キャパシタCbとを備える。トランジスタM3のゲートは、ノードAnに接続される。トランジスタM3のドレインには、クロック信号Clkが入力される。クロック信号Clkは、クロック信号ClkA、ClkBのいずれかであり、奇数番目のコア回路RGの場合はクロック信号ClkAであり、偶数番目のコア回路RGの場合はクロック信号ClkBである。トランジスタM3のソースは、ノードQnに接続される。
【0073】
キャパシタCbの一方の電極は、ノードAnに接続され、キャパシタCbの他方の電極は、ノードQnに接続される。ノードQnは、対応する走査線GLに接続される。
【0074】
プルダウン部23は、ノードQnの電位をプルダウンするための回路である。プルダウン部23は、2個のトランジスタ(プルダウントランジスタともいう)M4o、M4eを備える。トランジスタM4oのゲートは、ノードBnoに接続される。トランジスタM4oのドレインは、ノードQnに接続される。トランジスタM4oのソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。
【0075】
トランジスタM4eのゲートは、ノードBneに接続される。トランジスタM4eのドレインは、ノードQnに接続される。トランジスタM4eのソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。
【0076】
クリア部24は、ノードAn、及びノードQnをクリアするための回路である。クリア部24は、2個のトランジスタM8、M9を備える。トランジスタM8のゲートには、クリア端子CRを介して、クリア信号CLRが入力される。トランジスタM8のドレインは、ノードQnに接続される。トランジスタM8のソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。
【0077】
トランジスタM9のゲートには、クリア端子CRを介してクリア信号CLRが入力される。トランジスタM9のドレインは、ノードAnに接続される。トランジスタM9のソースは、電圧Vglが供給される電源端子に接続される。
【0078】
[1-1-4] ゲートドライバGDの配置
次に、ゲートドライバGDの配置について説明する。
図9は、ゲートドライバGDの配置領域を説明する模式図である。
【0079】
X方向に隣接する画素PXの間の領域、及びY方向に隣接する画素PXの間の領域は、ゲートドライバ配置領域GAとして用いられる。
【0080】
ゲートドライバGDは、複数のアクティブ素子(複数のデュアルゲート型TFT及び複数のキャパシタを含む)を含む。複数のアクティブ素子は、ゲートドライバ配置領域GAに配置される。
【0081】
図9の例では、ゲートドライバ配置領域GAには、ノードAnを構成する配線AnL、及び電圧Vglを供給するための電源線VglLが配設されている。
図9には、一例として、トランジスタM6e、M7eを示している。トランジスタM6e、M7eの接続関係は、
図8と同じである。トランジスタM6e、M7eは、デュアルゲート型TFTで構成される。トランジスタM6e、M7eのバックゲート(第2ゲート電極)は、蓄積容量線CsLに接続される。
【0082】
[1-1-5] サブアレイSA及びゲートドライバGDの詳細な構成
図10は、サブアレイSA及びゲートドライバGDの平面図である。
図11は、
図10のA-A´線に沿ったサブアレイSA及びゲートドライバGDの断面図である。
図12は、
図10のB-B´線に沿ったサブアレイSA及びゲートドライバGDの断面図である。
図13は、
図10のC-C´線に沿ったサブアレイSA及びゲートドライバGDの断面図である。
図14は、
図10のD-D´線に沿ったサブアレイSA及びゲートドライバGDの断面図である。
図15は、
図10のE-E´線に沿ったサブアレイSA及びゲートドライバGDの断面図である。
図10には、サブアレイSAに含まれるX方向に並んだ6個の画素PXを抽出して示している。また、
図10には、ゲートドライバGDに含まれるトランジスタM6e、M7eを抽出して示している。
【0083】
(サブアレイSAの構成)
最初に、サブアレイSAに含まれる画素PXの構成について説明する。
液晶表示装置1は、スイッチング素子及び画素電極などが形成されるTFT基板2と、TFT基板2に対向配置されかつカラーフィルタなどが形成されるカラーフィルタ基板(CF基板という)31とを備える。TFT基板2及びCF基板31の各々は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。
【0084】
液晶層32は、TFT基板2及びCF基板31間に挟持及び充填される。具体的には、液晶層32は、TFT基板2、CF基板31、及びシール材(図示せず)によって包囲された表示領域内に封入される。シール材は、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFT基板2又はCF基板31に塗布された後、紫外線照射、又は加熱等により硬化させられる。
【0085】
液晶層32を構成する液晶材料は、印加された電界に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。本実施形態の液晶表示装置1は、例えば、垂直配向(VA:Vertical Alignment)型液晶を用いたVAモードである。液晶層32としては、負の誘電率異方性を有するネガ型(N型)のネマティック液晶が用いられる。液晶層32は、初期状態において、垂直配向となる。液晶分子は、無電圧(無電界)時には基板の主面に対してほぼ垂直に配向する。電圧印加(電界印加)時には、液晶分子のダイレクタが水平方向(基板の主面に平行な方向)に向かって傾く。なお、液晶モードとしては、VAモードに限定されず、TN(Twisted Nematic)モード、及びホモジニアスモードなど種々の液晶モードを適用することができる。
【0086】
次に、TFT基板2側の構成について説明する。TFT基板2の液晶層32側には、画素ごとに、デュアルゲート型TFT17が設けられる。TFT17は、第1ゲート電極33、ゲート絶縁膜34、半導体層35、ソース電極36、ドレイン電極37、及び第2ゲート電極(蓄積容量電極)40を備える。TFT17をトランジスタと呼ぶ場合もある。
【0087】
TFT基板2上には、走査線GLと、走査線GLに接続された第1ゲート電極33とが設けられる。走査線GLは、X方向に延びる。第1ゲート電極33は、走査線GLからY方向に延びる。走査線GL、及び第1ゲート電極33は、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等で構成される。
【0088】
走査線GL、及び第1ゲート電極33上には、ゲート絶縁膜34が設けられる。ゲート絶縁膜34は、透明な絶縁材料で構成され、例えばシリコン窒化物(SiN)で構成される。
【0089】
ゲート絶縁膜34上には、半導体層35が設けられる。
図10において、半導体層35にハッチングを付している。半導体層35は、例えばアモルファスシリコンで構成される。
【0090】
半導体層35上には、X方向に離間したソース電極36及びドレイン電極37が設けられる。ゲート絶縁膜34上には、ソース電極36からX方向に延びる接続電極38が設けられる。ゲート絶縁膜34上には、Y方向に延びる信号線SLが設けられる。ドレイン電極37は、信号線SLに接続される。ソース電極36、ドレイン電極37、接続電極38、及び信号線SLは、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等で構成される。
【0091】
ソース電極36及びドレイン電極37上には、絶縁層39が設けられる。絶縁層39は、透明な絶縁材料で構成され、例えばシリコン窒化物(SiN)で構成される。
【0092】
絶縁層39上には、蓄積容量電極(Cs電極)40が設けられる。蓄積容量電極40は、TFT17の第2ゲート電極と兼用される。蓄積容量電極40は、透明電極で構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)で構成される。蓄積容量電極40は、画素PXごとに開口部40Aを有する。蓄積容量電極40は、画素PXの周囲を囲むように構成される。蓄積容量電極40は、半導体層35を覆う電極部分を含み、実質的に当該電極部分が第2ゲート電極として機能する。蓄積容量電極40は、走査線GL及び信号線SLを覆うように構成される。本実施形態では、蓄積容量電極40は、分割領域DIごとに電気的に分離される。すなわち、蓄積容量電極40に印加される蓄積容量電圧Vcsは、サブアレイSAごとに制御可能である。
【0093】
蓄積容量電極40上には、反射膜41が設けられる。反射膜41は、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、又はこれらの1種類以上を含む合金等で構成される。反射膜41は、画素PXごとに開口部41Aを有する。反射膜41は、画素PXの周囲を囲むように構成される。反射膜41は、半導体層35を覆うように構成される。これにより、TFT17は、反射膜41で遮光される。また、反射膜41は、走査線GL、及び信号線SLを覆うように構成される。画素PXのうち反射膜41が設けられた領域が反射領域であり、反射膜41が設けられていない領域(反射膜41の開口部41Aが占める領域)が透過領域である。反射領域は、太陽光を含む外光を利用した反射表示を行う領域であり、透過領域は、バックライトの光を利用した透過表示を行う領域である。
【0094】
本実施形態では、反射膜41の平面形状は、蓄積容量電極40の平面形状と同じである。しかし、これに限定されず、反射膜41と蓄積容量電極40とは同じ平面形状でなくてもよい。例えば、蓄積容量電極40の面積は、反射膜41の面積より大きくてもよい。反射膜41は、蓄積容量電極40と同様に、分割領域DIごとに電気的に分離される。
【0095】
反射膜41上には、絶縁層42が設けられる。絶縁層42は、透明な絶縁材料で構成され、例えばシリコン窒化物(SiN)で構成される。
【0096】
絶縁層42上には、画素電極43が設けられる。画素電極43は、透明電極で構成され、例えばITOで構成される。画素電極43は、画素として規定される領域全体に設けられる。画素PXは、画素電極43が占める領域に対応する。
【0097】
前述した蓄積容量電極40は、画素電極43と部分的に重なるように構成される。画素電極43と蓄積容量電極40とが重なった部分は、蓄積容量を構成する。
【0098】
絶縁層39、42内には、画素電極43と接続電極38とを接続するコンタクト44が設けられる。コンタクト44は、画素電極43と同じ材料で構成される。
【0099】
画素電極43上には、液晶層32の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。
【0100】
次に、CF基板31側の構成について説明する。
CF基板31の液晶層32側には、遮光層(ブラックマトリクス、ブラックマスクともいう)45が設けられる。ブラックマトリクス45は、画素PXの境界に配置される。ブラックマトリクス45は、例えば、画素PXを囲むようにして網目状に形成される。ブラックマトリクス45は、画素PXの境界で発生する不要な光を遮光し、コントラストを向上させる機能を有する。
【0101】
CF基板31上及びブラックマトリクス45上には、複数のカラーフィルタが設けられる。複数のカラーフィルタ(カラー部材)は、複数の赤フィルタ46R、複数の緑フィルタ46G、及び複数の青フィルタ46Bを備える。一般的なカラーフィルタは光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)で構成される。隣接したR、G、Bの三色のセットが表示の単位(画素)となっており、1つの画素中のR、G、Bのいずれか単色の部分はサブピクセル(サブ画素)と呼ばれる最小駆動単位である。TFT及び画素電極は、サブピクセルごとに設けられる。本明細書の説明では、画素とサブ画素との区別が特に必要な場合を除き、サブ画素を画素と呼ぶものとする。カラーフィルタの配列としては、ストライプ配列、モザイク配列、及びデルタ配列を含む任意の配列を適用可能である。
【0102】
カラーフィルタ46R、46G、46B上には、共通電極47が設けられる。共通電極47は、液晶表示装置1の表示領域全体に平面状に形成される。共通電極47は、透明電極で構成され、例えばITOで構成される。共通電極47上には、液晶層32の電圧印加時の配向を制御するために突起などの構造物を形成してもよい。
【0103】
共通電極47上には、液晶層32の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。
【0104】
なお、液晶表示装置1は、TFT基板2及びCF基板31を挟むように配置された2個の偏光板(図示せず)を備える。偏光板の構成は、表示モード(ノーマリーホワイト、又はノーマリーブラック)、及び液晶配向に応じて適宜設定される。
【0105】
(ゲートドライバGDの構成)
次に、ゲートドライバGDの構成について説明する。ゲートドライバGDは、前述したゲートドライバ配置領域GAに配置される。ゲートドライバ配置領域GAは、
図10に示すゲートドライバ配置領域GA1、GA2を含む。
【0106】
ゲートドライバ配置領域GA1において、TFT基板2上には、X方向に延びる配線AnLと、ジグザク形状を有しつつX方向に延びる配線BneLとが設けられる。配線BneLは、ノードBneを構成する。
【0107】
まず、トランジスタM7eの構成について説明する。TFT基板2上には、配線AnLに接続された第1ゲート電極50が設けられる。第1ゲート電極50の上方には、ゲート絶縁膜34を介して、半導体層51が設けられる。
図10において、半導体層51にハッチングを付している。半導体層51は、例えばアモルファスシリコンで構成される。半導体層51上には、ソース電極52及びドレイン電極53が設けられる。
図10の例では、ソース電極52は、ドレイン電極53を挟む2個の電極で構成される。
【0108】
ゲート絶縁膜34上には、画素PXをY方向に横断する電源線VglL_1が設けられる。ソース電極52は、電源線VglL_1に接続される。ドレイン電極53は、コンタクト54を介して、配線BneLに接続される。
【0109】
半導体層51の上方には、絶縁層39を介して、蓄積容量電極40が設けられる。蓄積容量電極40は、トランジスタM7eの第2ゲート電極と兼用される。具体的には、蓄積容量電極40は、半導体層51を覆う電極部分を含み、実質的に当該電極部分が第2ゲート電極として機能する。このようにして、トランジスタM7eは、デュアルゲート型TFTで構成される。
【0110】
蓄積容量電極40上には、反射膜41が設けられる。反射膜41は、ゲートドライバ配置領域GA1、GA2全体に設けられる。すなわち、ゲートドライバGDに含まれるTFTは、反射膜41で遮光される。
【0111】
次に、トランジスタM6eの構成について説明する。TFT基板2上には、配線BneLに接続された第1ゲート電極55が設けられる。第1ゲート電極55の上方には、ゲート絶縁膜34を介して、半導体層56が設けられる。
図10において、半導体層56にハッチングを付している。半導体層56は、例えばアモルファスシリコンで構成される。半導体層56上には、ソース電極57及びドレイン電極58が設けられる。
図10の例では、ソース電極57は、ドレイン電極58を挟む2個の電極で構成される。ソース電極57は、電源線VglL_1に接続される。ドレイン電極58は、コンタクト59を介して、配線AnLに接続される。
【0112】
半導体層56の上方には、絶縁層39を介して、蓄積容量電極40が設けられる。蓄積容量電極40は、トランジスタM6eの第2ゲート電極と兼用される。具体的には、蓄積容量電極40は、半導体層56を覆う電極部分を含み、実質的に当該電極部分が第2ゲート電極として機能する。このようにして、トランジスタM6eは、デュアルゲート型TFTで構成される。
【0113】
次に、ゲートドライバ配置領域GAに設けられる他の配線の一例について説明する。
ゲートドライバ配置領域GA2において、TFT基板2上には、X方向に延びる電源線VglL_2が設けられる。Y方向に延びる複数の電源線VglL_1は、複数のコンタクト60を介して、電源線VglL_2に接続される。
【0114】
ゲート絶縁膜34上には、Y方向にゲートドライバ配置領域GA1、GA2を横断する電源線VglL_3が設けられる。電源線VglL_3は、コンタクト60を介して、電源線VglL_2に接続される。
【0115】
ゲートドライバ配置領域GA2において、TFT基板2上には、X方向に延びるゲート配線61が設けられる。ゲート絶縁膜34上には、画素PXをY方向に横断する配線63が設けられる。配線63は、コンタクト62を介して、ゲート配線61に接続される。
【0116】
ゲートドライバ配置領域GA1において、TFT基板2上には、X方向に延びるゲート配線65が設けられる。配線63は、コンタクト64を介して、ゲート配線65に接続される。
【0117】
[1-1-6] 蓄積容量電極40の構成
次に、蓄積容量電極40の構成について説明する。
【0118】
図16は、蓄積容量電極40の構成を説明する図である。以下では、表示領域4が9(=3×3)個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)で構成される場合を例に挙げて説明する。
【0119】
一行目の分割領域DI_(1,1)~DI_(1,3)の各々には、複数の走査線GL1、GL2、GL3、・・・が配設される。2行目の分割領域DI_(2,1)~DI_(2,3)の各々には、複数の走査線GLp、GL(p+1)、GL3(p+2)、・・・が配設される。3行目の分割領域DI_(3,1)~DI_(3,3)の各々には、複数の走査線GLq、GL(q+1)、GL3(q+2)、・・・が配設される。
【0120】
蓄積容量電極40は、9個の蓄積容量電極40_(1,1)~40_(3,3)で構成される。蓄積容量電極40_(1,1)~40_(3,3)はそれぞれ、分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)に配置される。蓄積容量電極40_(1,1)~40_(3,3)は、互いに電気的に分離される。なお、本実施形態では、反射膜41は、蓄積容量電極40と同様に、分割領域DIごとに電気的に分離される。これにより、複数の蓄積容量電極40を電気的に分離することができる。
【0121】
制御回路15は、蓄積容量電極40_(1,1)~40_(3,3)を個別に電圧制御可能である。また、制御回路15は、蓄積容量電極40_(1,1)~40_(3,3)に印加する蓄積容量電圧Vcsを個別に制御可能である。これにより、制御回路15は、分割領域DIごとに、デュアルゲート型TFTの第2ゲート電極の電圧を制御可能である。
【0122】
[1-2] 複数の分割領域DIの配線
次に、複数の分割領域DIの配線について説明する。
【0123】
図17は、複数の分割領域DIの配線を説明する図である。以下では、表示領域4が9(=3×3)個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)で構成される場合を例に挙げて説明する。以下の説明では、電圧Vgl、フレーム信号Frame_e、クリア信号CLR、スタート信号ST、クロック信号ClkA、及びクロック信号ClkBを供給するための配線をそれぞれ、Vgl線、Frame_e線、及びFrame_o線、CLR線、ST線、ClkA線、及びClkB線と呼ぶ。
【0124】
複数の分割領域DIへの配線は、以下のように行う。
・ゲートドライバGDは、分割領域DIごとに配置する。
・電源線は、Vgl線のみ配線する。
・Frame_e線、及びFrame_o線は、全画面共通信号として配線する。
・CLR線は、分割領域DIごとに配線する。
・ST線、ClkA線、及びClkB線は、走査線方向(X方向)の分割領域DIごとに配線する。
【0125】
スタート信号STは、3個のスタート信号ST1~ST3で構成される。スタート信号ST1~ST3はそれぞれ、3本のST1線~ST3線を用いて供給される。
【0126】
クロック信号ClkAは、3個のクロック信号ClkA1~ClkA3で構成される。クロック信号ClkA1~ClkA3はそれぞれ、3本のClkA1線~ClkA3線を用いて供給される。
【0127】
クロック信号ClkBは、3個のクロック信号ClkB1~ClkB3で構成される。クロック信号ClkB1~ClkB3はそれぞれ、3本のClkB1線~ClkB3線を用いて供給される。
【0128】
クリア信号CLRは、9個のクリア信号CLR11~CLR33で構成される。クリア信号CLR11~CLR33は、9本のCLR11線~CLR33線を用いて供給される。
【0129】
スタート信号ST1は、1行目の分割領域DI_(1,1)、DI_(1,2)、DI_(1,3)に入力される。スタート信号ST2は、2行目の分割領域DI_(2,1)、DI_(2,2)、DI_(2,3)に入力される。スタート信号ST3は、3行目の分割領域DI_(3,1)、DI_(3,2)、DI_(3,3)に入力される。9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)は、行単位で、スタート制御を行うことが可能である。
【0130】
クロック信号ClkA1、ClkB1は、1行目の分割領域DI_(1,1)、DI_(1,2)、DI_(1,3)に入力される。クロック信号ClkA2、ClkB2は、2行目の分割領域DI_(2,1)、DI_(2,2)、DI_(2,3)に入力される。クロック信号ClkA3、ClkB3は、3行目の分割領域DI_(3,1)、DI_(3,2)、DI_(3,3)に入力される。9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)は、行単位で、クロック制御を行うことが可能である。
【0131】
9個のクリア信号CLR11~CLR33はそれぞれ、9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)に入力される。9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)は、9個のクリア信号CLR11~CLR33を用いて、個別に走査を停止し、データの書き換えを行わないようにする(表示を保持する)ことが可能である。
【0132】
フレーム信号Frame_eは、全ての分割領域DIに入力される。フレーム信号Frame_oは、全ての分割領域DIに入力される。Vgl線は、全ての分割領域DIに配線される。
【0133】
[1-3] 表示領域4の実施例
次に、表示領域4の実施例について説明する。
図18は、表示領域4の実施例を説明する模式図である。分割領域DIの行番号m、分割領域DIの列番号n、分割領域DI内の走査線番号iとする。
【0134】
表示領域4は、例えば、(480×640)ピクセルを有する。表示領域4は、9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)を有する。
【0135】
各分割領域DIの走査線の数は、160本である。1列目の分割領域DIの列数は、213である。2列目の分割領域DIの列数は、214である。3列目の分割領域DIの列数は、213である。分割領域DIの列数は、信号線SLの数に対応する。
【0136】
[1-4] 動作
上記のように構成された液晶表示装置1の動作について説明する。
【0137】
[1-4-1] デュアルゲート型TFTの特性
デュアルゲート型TFTの特性について説明する。本実施形態では、画素PXに含まれるTFT17、及びゲートドライバGDを構成するTFTは、デュアルゲート型TFTで構成される。
【0138】
図19は、デュアルゲート型TFTの特性を説明するグラフである。
図19の縦軸は、デュアルゲート型TFTのドレイン電流Id(A)、横軸は、第1ゲート電極のゲート電圧(第1ゲート電圧ともいう)Vgs(V)である。ゲート電圧は、ゲート及びソース間の電圧を意味する。
図19の条件は、ドレイン電圧Vd=1V、W/L=10である。ドレイン電圧は、ドレイン及びソース間の電圧を意味する。W/Lは、チャネル長Lに対するチャネル幅Wの比である。
【0139】
第2ゲート電極には、蓄積容量電圧Vcsが印加される。
図19には、蓄積容量電圧Vcsを、-5V、-3V、-2V、0V、1V、2Vに変化させたグラフを載せている。
【0140】
図19から理解できるように、第2ゲート電極の電圧を変化させることで、デュアルゲート型TFTの特性を変化させることができる。また、第2ゲート電極の電圧が高くなるにつれて、ドレイン電流Idが大きくなり、すなわち、駆動能力が高くなる。
【0141】
図20は、デュアルゲート型TFTの特性を説明するグラフである。
図20の縦軸は、デュアルゲート型TFTのドレイン電流Id(A)、横軸は、第2ゲート電極のゲート電圧(第2ゲート電圧ともいう)(V)である。
図20の条件は、第1ゲート電極のゲート電圧Vgs=20V、ドレイン電圧Vd=1Vである。
【0142】
図20から理解できるように、第2ゲート電極の電圧が高くなるほど、ドレイン電流Idが大きくなり、すなわち、駆動能力が高くなる。
【0143】
本実施形態では、デュアルゲート型TFTの第1ゲート電極は、TFTをオン及びオフさせるために使用し、第2ゲート電極は、TFTの特性を調整するために使用する。本実施形態では、第2ゲート電極として利用される蓄積容量電極40は、分割領域DIごとに電気的に分離される。すなわち、蓄積容量電極40に印加される蓄積容量電圧Vcsは、分割領域DIごとに制御可能である。
【0144】
分割領域DIごとに第2ゲート電極の電圧を制御できる構造を用いることで、表示動作を行うときには、第2ゲート電圧を高くして、TFTの駆動能力を高くする。また、走査を停止する際には、第2ゲート電圧を低くして、電流Issを低くする。電流Issは、ゲート電圧Vgs=0V時のドレイン電流である。これにより、TFTのリーク電流を抑制する。
【0145】
また、第2ゲート電極に負バイアスを印加すると、第1ゲート電圧の立ち下がり挙動が大きく変化することから、画素TFTのフィードスルー電圧を制御することも可能となる。すなわち、第2ゲート電圧によって液晶表示装置の表示特性を調整することにも利用できる。
【0146】
図21は、走査線GLが選択された場合の電圧の立ち下がりの挙動を説明する図である。
図22は、走査線GLが選択された場合の電圧の立ち下がりの挙動を説明するグラフである。走査線GL及び信号線SLの各々に示した“R”、“C”は、配線の抵抗、容量を表している。
【0147】
走査線GLがハイレベル(電圧Vgh)になると、TFT17がオンし、ドレイン電流Idが流れる。走査線GLの電圧が電圧Vghから電圧Vglに立ち下がる際、TFT17の第1ゲート電極と画素電極との間の寄生容量Cgsを介して画素電極に電位変動が生じる。信号線SLの電圧がVlcdであるとすると、第1ゲート電圧がVlcdに到達するまではTFT17はオン状態であるため、寄生容量Cgsによる電位差に応じてドレイン電流Idが流れる。最終的に、VlcdよりΔVだけ小さい電圧が画素電極に印加される。
【0148】
走査線GLの電圧が電圧Vghから電圧Vglに立ち下がる時間をΔtとする。ΔVは、以下の式(1)で表される。
【数1】
【0149】
上記説明により、第1ゲート電圧Vgs及びドレイン電圧Vdともに小さな電位差が画素電極に書き込まれる電圧を決定することが分かる。本実施形態では、分割領域DIごとに蓄積容量電圧Vcsを制御できるため、複数の分割領域DIで画素電極に書き込まれる電圧をおおよそ同じにするように制御できる。これにより、分割領域DIの境界における表示の差(例えば輝度の差)を低減できる。
【0150】
[1-4-2] 表示領域4の走査動作
まず、1個の分割領域DIの走査動作について説明する。
図23は、分割領域DIの走査動作を説明するタイミング図である。
【0151】
制御回路15は、外部から垂直同期信号Vsyncを受ける。垂直同期信号Vsyncが一旦ローレベルになってから、再度ローレベルになるまでの期間(又は、垂直同期信号Vsyncがハイレベルの期間)が1フレームである。1フレームとは、サブアレイSAに含まれる全ての走査線を1回走査する期間であり、また、分割領域DIに1つの画像を表示する期間である。
【0152】
任意の分割領域DI_(m,n)には、クロック信号ClkAm、ClkBm、スタート信号STm、及びクリア信号CLRmnが入力される。
【0153】
時刻t1において、垂直同期信号Vsyncがローレベルからハイレベルに遷移する。時刻t1において、制御回路15は、スタート信号STmをハイレベルにする。スタート信号STmに応答して、ゲートドライバGD_(m,n)は、スキャン動作を開始する。
【0154】
時刻t2において、制御回路15は、分割領域DI_(m,n)に、クロック信号ClkAm、ClkBmを入力する。クロック信号ClkAmとクロック信号ClkBmとは、相補的な位相関係を有する。クロック信号ClkAm、ClkBmに応答して、ゲートドライバGD_(m,n)は、スキャン動作を実行、すなわち複数の走査線GLを順にハイレベルにする。
【0155】
時刻t3において、最後の走査線GLiがハイレベルからローレベルに遷移する。時刻t3において、制御回路15は、クリア信号CLRmnをハイレベルにする。これにより、ゲートドライバGD_(m,n)のシフトレジスタSRがクリア、すなわちシフトレジスタSRの出力がローレベルになる。このようにして、分割領域DI_(m,n)のデータが書き換えられる。
【0156】
さらに、制御回路15は、走査動作を行う分割領域DI_(m,n)において、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ローレベルVcs_LoからハイレベルVcs_Hiに遷移する。具体的には、時刻t2(分割領域DI_(m,n)の走査が開始されるタイミング)において、制御回路15は、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ローレベルVcs_LoからハイレベルVcs_Hiに遷移する。ローレベルVcs_Loは、接地電圧GNDより低い負電圧であり、ハイレベルVcs_Hiは、接地電圧GNDより高い正電圧である。時刻t4(分割領域DI_(m,n)の走査が終了するタイミング)において、制御回路15は、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ハイレベルVcs_HiからローレベルVcs_Loに遷移する。
【0157】
分割領域DI_(m,n)に含まれる複数のデュアルゲート型TFTにおいて、その第2ゲート電極にハイレベルVcs_Hiが印加される。これにより、デュアルゲート型TFTの駆動能力が向上する。制御回路15は、蓄積容量電圧VcsのローレベルVcs_Lo及びハイレベルVcs_Hiを、デュアルゲート型TFTの特性に応じて最適に設定可能である。また、制御回路15は、蓄積容量電圧VcsのローレベルVcs_Lo及びハイレベルVcs_Hiを、分割領域DIごとに最適に設定可能である。
【0158】
次に、1個の分割領域DIの走査停止動作について説明する。
図24は、分割領域DIの走査停止動作を説明するタイミング図である。
図24は、スタート信号STmが入力された同一行の分割領域のうちデータの書き換えを行わない分割領域の動作である。
【0159】
時刻t1において、垂直同期信号Vsyncがローレベルからハイレベルに遷移する。時刻t1において、制御回路15は、スタート信号STmをハイレベルにする。
【0160】
時刻t2において、制御回路15は、スタート信号STmをハイレベルからローレベルに遷移する。時刻t2において、制御回路15は、クリア信号CLRmnをハイレベルにする。すなわち、制御回路15は、スタート信号STmの直後に、クリア信号CLRmnを入力する。これにより、実質的にスタート信号STmを無効化できる。その後、走査線GLにパルスが入力されない。この場合、分割領域DI_(m,n)は、走査が実行されず、表示が保持される。
【0161】
時刻t3において、制御回路15は、クリア信号CLRmnをハイレベルからローレベルに遷移する。また、時刻t3において、制御回路15は、分割領域DI_(m,n)に、クロック信号ClkAm、ClkBmを入力する。
【0162】
さらに、制御回路15は、走査停止動作を行う分割領域DI_(m,n)において、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ハイレベルVcs_HiからローレベルVcs_Loに遷移する。具体的には、時刻t4(走査動作が行われる他の分割領域の走査が開始されるタイミング)において、制御回路15は、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ハイレベルVcs_HiからローレベルVcs_Loに遷移する。時刻t5(他の分割領域の走査が終了するタイミング)において、制御回路15は、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ローレベルVcs_LoからハイレベルVcs_Hiに遷移する。
【0163】
分割領域DI_(m,n)に含まれる複数のデュアルゲート型TFTにおいて、その第2ゲート電極にローレベルVcs_Loが印加される。これにより、デュアルゲート型TFTのリーク電流が低減できるとともに、デュアルゲート型TFTの保持能力が向上する。
【0164】
[1-4-3] 駆動パターン
次に、液晶表示装置1の駆動パターンについて説明する。以下では、一例として、m=3、n=3である9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)の動作について説明する。
【0165】
図25は、液晶表示装置1の駆動パターン1を説明する模式図である。制御回路15は、第1フレームにおいて、スタート信号ST1を有効化(ハイレベル)する。制御回路15は、第1フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR11、CLR12、CLR13を有効化(ハイレベル)する。これにより、1行目の分割領域DI_(1,1)~DI_(1,3)の走査動作が実行される。
【0166】
制御回路15は、第1フレームに続く第2フレームにおいて、スタート信号ST2を有効化する。制御回路15は、第2フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR21、CLR22、CLR23を有効化する。これにより、2行目の分割領域DI_(2,1)~DI_(2,3)の走査動作が実行される。
【0167】
制御回路15は、第2フレームに続く第3フレームにおいて、スタート信号ST3を有効化する。制御回路15は、第3フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR31、CLR32、CLR33を有効化する。これにより、3行目の分割領域DI_(3,1)~DI_(3,3)の走査動作が実行される。
【0168】
図26は、液晶表示装置1の駆動パターン2を説明する模式図である。制御回路15は、第1フレームにおいて、スタート信号ST1を有効化する。制御回路15は、スタート信号ST1の直後に、クリア信号CLR12、CLR13を有効化する。これにより、分割領域DI_(1,2)、DI_(1,3)の走査が停止される。制御回路15は、第1フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR11を有効化する。このようにして、分割領域DI_(1,1)の走査動作が実行され、分割領域DI_(1,1)のデータが書き換えられる。また、分割領域DI_(1,2)、DI_(1,3)は、表示を保持する。
【0169】
制御回路15は、第1フレームに続く第2フレームにおいて、スタート信号ST2を有効化する。制御回路15は、スタート信号ST2の直後に、クリア信号CLR22、CLR23を有効化する。これにより、分割領域DI_(2,2)、DI_(2,3)の走査が停止される。制御回路15は、第2フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR21を有効化する。このようにして、分割領域DI_(2,1)の走査動作が実行され、分割領域DI_(2,1)のデータが書き換えられる。また、分割領域DI_(2,2)、DI_(2,3)は、表示を保持する。
【0170】
以下同様に、スタート信号STmが有効化され、m行に含まれる任意の分割領域DIが走査動作を実行する。また、m行に含まれる残りの分割領域DIに対応するクリア信号CLRが有効化され、当該残りの分割領域DIの走査が停止される。
【0171】
これにより、第1乃至第9フレームが順に駆動され、分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)のデータが書き換えられる。
【0172】
なお、
図25及び
図26では、全ての分割領域DIのデータを書き換える例を示している。スタート信号ST及びクリア信号CLRを制御することにより、任意の分割領域DIの走査を飛ばすようにして、表示領域4に画像を表示することも可能である。
【0173】
[1-4-4] シフトレジスタSRの動作
次に、シフトレジスタSRの動作について説明する。
図27は、シフトレジスタSRの動作を説明するタイミング図である。
図7に示すように、シフトレジスタSRには、フレーム信号Frame_o、Frame_eが入力される。
【0174】
フレーム信号Frame_o、Frame_eは、最少単位を1フレームとして、任意のフレームごとに交互に有効化(ハイレベル)される。フレーム信号Frame_o、Frame_eに応じて、2個のインバータ回路21o、21eは、交互に動作する。制御回路15は、垂直同期信号Vsyncがローレベルの期間に、フレーム信号Frame_o、Frame_eの状態を切り替える。
【0175】
一例として、フレーム信号Frame_oが有効化(ハイレベル)されるものとする。フレーム信号Frame_eは、ローレベルである。フレーム信号Frame_oがハイレベルになると、インバータ回路21oのトランジスタM1oがオンし、インバータ回路21oが有効化される。インバータ回路21eのトランジスタM1eはオフし、インバータ回路21eは無効化される。
【0176】
フレーム信号Frame_oがハイレベルになった後、スタート信号STがハイレベルにされる。これにより、1段目のコア回路RG1の入力信号VINがハイレベルになる。すると、入力部20のトランジスタM2がオンし、ノードAnがハイレベルになる。
【0177】
ノードAnがハイレベルになると、インバータ回路21oのトランジスタM7oがオンし、ノードBnoがローレベルになる。すなわち、インバータ回路21oは、ノードBnoにおいてノードAnの反転データを保持する。これにより、プルダウン部23のトランジスタM4oがオフし、ノードQnのプルダウン動作が停止する。
【0178】
また、ノードAnがハイレベルになると、出力部22のトランジスタM3がオンする。続いて、クロック信号ClkAがハイレベルになる。すると、走査線GL1がハイレベルになる。
【0179】
2段目のコア回路RG2は、入力信号VINとして前段のコア回路RG1から出力信号を受ける。続いて、クロック信号ClkBがハイレベルになる。すると、コア回路RG2は、走査線GL2をハイレベルにする。
【0180】
1段目のコア回路RG1は、2段目のコア回路RG2の出力信号をリセット信号RSTとして受ける。リセット信号RSTは、入力部20のトランジスタM5のゲートに入力される。すると、トランジスタM5がオンし、ノードAnがローレベルになる。
【0181】
ノードAnがローレベルになると、インバータ回路21oのトランジスタM7oがオフし、ノードBnoがハイレベルになる。すなわち、インバータ回路21oは、ノードBnoにおいてノードAnの反転データを保持する。ノードBnoがハイレベルになると、トランジスタM6oがオンし、ノードAnは、ローレベルに保持される。これにより、プルダウン部23のトランジスタM4oがオンし、ノードQnがローレベルになる。
【0182】
また、ノードAnがローレベルになると、出力部22のトランジスタM3がオフする。これにより、走査線GL1がローレベルになる。
【0183】
なお、詳細な設計として、隣接するコア回路RGが同時に動作しないようにする。このため、クロック信号ClkAのパルスとクロック信号ClkBのパルスとが重ならないように、互いのエッジに間隔を空けている。
【0184】
以下同様に、コア回路RG3~RGiは、順にパルス信号を出力する。
【0185】
最終段のコア回路RGiがパルス信号を出力した後、クリア信号CLRがハイレベルにされる。クリア信号CLRがハイレベルになると、クリア部24のトランジスタM8、M9がオンする。すると、ノードQn、及びノードAnがローレベルになる。これにより、コア回路RGiは、走査線GLiをローレベルにする。
【0186】
その後、フレーム信号Frame_eがハイレベル、フレーム信号Frame_oがローレベルにされる。すると、コア回路RGのインバータ回路21eが有効化される。その後、シフトレジスタSRによる走査動作が繰り返される。
【0187】
このような動作により、コア回路RGにおいて、正バイアスが印加され続けるトランジスタをなくすことができる。これにより、コア回路RGを構成するトランジスタの特性が劣化するのを抑制できる。特に、トランジスタとしてTFTを用いた場合、正バイアスが印加され続けると、閾値電圧Vthがシフトしてしまう。しかし、本実施形態では、TFTの特性が劣化するのを抑制できる。
【0188】
[1-4-5] コア回路RGの動作
次に、シフトレジスタSRに含まれるコア回路RGの動作について説明する。選択期間は、走査線が選択された期間であり、走査線がパルス信号を出力する期間である。非選択期間は、選択期間以外の期間であり、走査線がパルス信号を出力しない期間である。
【0189】
図28は、選択期間におけるコア回路RGのインバータ動作を説明する模式図である。一例として、フレーム信号Frame_oが有効化(ハイレベル(
図28の“Hi”))され、インバータ回路21oがインバータ動作を行うものとする。フレーム信号Frame_eは、ローレベル(
図28の“Lo”)である。
【0190】
トランジスタM2のゲートには、前段のコア回路RGからハイレベル(
図28の“ON”)の入力信号VINが入力される。よって、トランジスタM2がオンし、ノードAnがハイレベル(
図28の“Hi”)になる。
【0191】
トランジスタM1oのゲートには、ハイレベルのフレーム信号Frame_oが入力される。よって、トランジスタM1oがオンし、インバータ回路21oは、有効化される。
【0192】
ノードAnがハイレベルであるため、トランジスタM7oがオンし、ノードBnoは、プルダウンされる。
図28の矢印が電流を意味している。
【0193】
さらに、選択期間におけるインバータ動作には、インバータ回路21eのトランジスタM7eも動作させることができる。すなわち、ノードAnがハイレベルであるため、トランジスタM1b、M7eがオンしている。よって、ノードBnoは、トランジスタM1b、ノードBne、及びトランジスタM7eの経路でもプルダウンされる。これにより、ノードBnoを確実にローレベルに設定できる。
【0194】
トランジスタM6oの駆動能力は、トランジスタM7oの駆動能力より大きく設定される。非選択期間では、トランジスタM6oによりノードAnがプルダウンされ、ノードAnを確実にローレベルに設定できる。
【0195】
上記インバータ動作を実現するための条件として、トランジスタM6、M7は、以下の条件を満たすように設定される。トランジスタM6は、トランジスタM6o、M6eそれぞれを意味し、トランジスタM7は、トランジスタM7o、M7eそれぞれを意味する。トランジスタM6、M7のチャネル幅をそれぞれW6、W7と表記する。チャネル幅は、ゲート幅とも呼ばれる。
【0196】
W7≦W6≦2×W7
“W6≦2×W7”とすることで、トランジスタM7o、M7eを合わせた駆動能力がトランジスタM6o(又はトランジスタM6e)の駆動能力より大きくなる。これにより、選択期間において、ノードBnoを確実にローレベルに設定できる。
【0197】
“W7≦W6”とすることで、トランジスタM6の駆動能力がトランジスタM7の駆動能力より大きくなる。これにより、非選択期間において、ノードAnを確実にローレベルに設定できる。
【0198】
最終段に近いコア回路RGに含まれるインバータ回路に着目する。インバータ回路21o、21eのうち無効化されたインバータ回路(例えば、インバータ回路21eとする)のノードBneの電位は、トランジスタM1eのリーク電流により低下していく。そのため、最終段に近いコア回路RGでは、選択期間においてトランジスタM1bがオンすることで、有効化された側のノードBnoが、ノードBneと導通することで、より着実にローレベルに設定できる仕組みになっている。
【0199】
[1-5] 第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、ゲートドライバGDを構成するトランジスタを反射膜41で覆うことができる。これにより、ゲートドライバGDの動作性能を向上させることができる。ひいては、液晶表示装置1の表示特性を向上させることができる。
【0200】
また、ゲートドライバGDに含まれるトランジスタは、第1ゲート電極及び第2ゲート電極を有するデュアルゲート型TFTで構成される。第2ゲート電極に印加する電圧(蓄積容量電圧Vcs)を制御することで、デュアルゲート型TFTの駆動能力を向上させることができるとともに、リーク電流を低減することができる。これにより、ゲートドライバGDの動作性能を向上させることができる。
【0201】
また、画素PXに含まれるトランジスタは、第1ゲート電極及び第2ゲート電極を有するデュアルゲート型TFTで構成される。第2ゲート電極に印加する電圧(蓄積容量電圧Vcs)を制御することで、デュアルゲート型TFTの駆動能力を向上させることができるとともに、リーク電流を低減することができる。これにより、画素PXの特性を向上させることができる。
【0202】
また、画素が反射領域と透過領域とを備えた半透過型液晶表示装置を実現できる。これにより、液晶表示装置1が使用される環境照度によらず、液晶表示装置1の画面に表示される画像を視認できる。
【0203】
また、ゲートドライバGDが配置されるゲートドライバ配置領域GAは、反射膜41で覆われる。これにより、反射表示の輝度を向上できる。
【0204】
また、表示領域4を、マトリクス状に配置された複数の分割領域DIに分割して構成する。複数の分割領域DIの各々には、サブアレイSA及びゲートドライバGDが配置される。これにより、狭額縁化が可能な液晶表示装置1を実現できる。また、表示領域4を分割領域DIごとに分割駆動させることができる。また、分割領域DIごとに自由に走査を行うことができる。
【0205】
また、分割領域DIごとに走査することで、全画面を1フレームとして走査する場合に比べて、フレーム周波数を下げることができる。これにより、クロック信号による充放電による消費電力が下がる。さらに、画素にデータ(駆動電圧)を書き込む書き込み時間を延ばすことができるので、画素に含まれるTFTを駆動する電流を小さくすることができ、またTFTのサイズを小さくすることもできる。この結果として、走査線GL及び信号線SLに供給する電流を小さくすることもできるため、消費電力を低減することができる。
【0206】
また、クロック信号ClkA、ClkBを分割領域DIごとに時間分割による駆動が可能になる。これにより、全画面にクロック信号を供給する場合に比べて、消費電力を低減することができる。
【0207】
また、各コア回路RGが2個のインバータ回路21o、21eを備え、フレーム信号Frame_o、Frame_eに応じて、インバータ回路21o、21eが交互に有効化される。よって、シフトレジスタSRを構成するトランジスタに電圧が印加され続けるのを防ぐことができる。これにより、高耐圧なゲートドライバGDを実現できる。
【0208】
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、表示領域4の配線に関する他の実施例である。第2実施形態は、複数の分割領域DIの列ごとに異なるクロック信号を配線するようにしている。
【0209】
[2-1] 複数の分割領域DIの配線
図29は、第2実施形態に係る複数の分割領域DIの配線を説明する図である。以下では、表示領域4が9(=3×3)個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)で構成される場合を例に挙げて説明する。
【0210】
複数の分割領域DIへの配線は、以下のように行う。
・ゲートドライバGDは、分割領域DIごとに配置する。
・電源線は、Vgl線のみ配線する。
・Frame_e線、及びFrame_o線は、全画面共通信号として配線する。
・CLR線は、分割領域DIごとに配線する。
・ST線は、走査線方向(X方向)の分割領域DIごとに配線する。
・ClkA線、及びClkB線は、信号線方向(Y方向)の分割領域DIごとに配線する。
【0211】
スタート信号STは、3個のスタート信号ST1~ST3で構成される。スタート信号ST1~ST3はそれぞれ、3本のST1線~ST3線を用いて供給される。
【0212】
クロック信号ClkAは、3個のクロック信号ClkA1~ClkA3で構成される。クロック信号ClkA1~ClkA3はそれぞれ、3本のClkA1線~ClkA3線を用いて供給される。
【0213】
クロック信号ClkBは、3個のクロック信号ClkB1~ClkB3で構成される。クロック信号ClkB1~ClkB3はそれぞれ、3本のClkB1線~ClkB3線を用いて供給される。
【0214】
クリア信号CLRは、9個のクリア信号CLR11~CLR33で構成される。クリア信号CLR11~CLR33は、9本のCLR11線~CLR33線を用いて供給される。
【0215】
スタート信号ST1は、1行目の分割領域DI_(1,1)、DI_(1,2)、DI_(1,3)に入力される。スタート信号ST2は、2行目の分割領域DI_(2,1)、DI_(2,2)、DI_(2,3)に入力される。スタート信号ST3は、3行目の分割領域DI_(3,1)、DI_(3,2)、DI_(3,3)に入力される。9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)は、行単位で、スタート制御を行うことが可能である。
【0216】
クロック信号ClkA1、ClkB1は、1列目の分割領域DI_(1,1)、DI_(2,1)、DI_(3,1)に入力される。クロック信号ClkA2、ClkB2は、2列目の分割領域DI_(1,2)、DI_(2,2)、DI_(3,2)に入力される。クロック信号ClkA3、ClkB3は、3列目の分割領域DI_(1,3)、DI_(2,3)、DI_(3,3)に入力される。9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)は、列単位で、クロック制御を行うことが可能である。
【0217】
9個のクリア信号CLR11~CLR33はそれぞれ、9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)に入力される。9個の分割領域DI_(1,1)~DI_(3,3)は、9個のクリア信号CLR11~CLR33を用いて、個別に走査を停止し、データの書き換えを行わないようにする(表示を保持する)ことが可能である。
【0218】
フレーム信号Frame_eは、全ての分割領域DIに入力される。フレーム信号Frame_oは、全ての分割領域DIに入力される。Vgl線は、全ての分割領域DIに配線される。
【0219】
[2-2] 表示領域4の走査動作
次に、1個の分割領域DIの走査動作について説明する。
図30は、分割領域DIの走査動作を説明するタイミング図である。
【0220】
制御回路15は、外部から垂直同期信号Vsyncを受ける。任意の分割領域DI_(m,n)には、クロック信号ClkAm、ClkBm、スタート信号STm、クリア信号CLRmnが入力される。第2実施形態における分割領域DIの走査動作は、第1実施形態の
図23と同じである。
【0221】
次に、1個の分割領域DIの走査停止動作について説明する。
図31は、分割領域DIの走査停止動作を説明するタイミング図である。
図31は、スタート信号STmが入力された同一行の分割領域のうちデータの書き換えを行わない分割領域の動作である。
【0222】
時刻t1において、垂直同期信号Vsyncがローレベルからハイレベルに遷移する。時刻t1において、制御回路15は、スタート信号STmをハイレベルにする。
【0223】
時刻t2において、制御回路15は、スタート信号STmをハイレベルからローレベルに遷移する。時刻t2において、制御回路15は、クリア信号CLRmnをハイレベルにする。すなわち、制御回路15は、スタート信号STmの直後に、クリア信号CLRmnを入力する。これにより、実質的にスタート信号STmを無効化できる。その後、走査線GLにパルスが入力されない。この場合、分割領域DI_(m,n)は、走査が実行されず、表示が保持される。
【0224】
時刻t3において、制御回路15は、クリア信号CLRmnをハイレベルからローレベルに遷移する。
【0225】
行方向に隣接する分割領域DIは、異なるクロック信号ClkA(及び異なるクロック信号ClkB)で動作する。
図31に示すように、行方向に隣接する分割領域のうちデータの書き換えを行わない分割領域では、クロック信号が入力されない。
【0226】
さらに、制御回路15は、走査停止動作を行う分割領域DI_(m,n)において、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ローレベルVcs_Loに設定する。具体的には、時刻t3の後(クリア信号CLRmnが入力された後)、制御回路15は、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ローレベルVcs_Loに設定する。時刻t4(他の分割領域の走査が終了するタイミング)において、制御回路15は、蓄積容量電極40_(m,n)に印加する蓄積容量電圧Vcsを、ローレベルVcs_LoからハイレベルVcs_Hiに遷移する。
【0227】
分割領域DI_(m,n)に含まれる複数のデュアルゲート型TFTにおいて、その第2ゲート電極にローレベルVcs_Loが印加される。これにより、デュアルゲート型TFTのリーク電流が低減できるとともに、デュアルゲート型TFTの保持能力が向上する。
【0228】
第2実施形態に係る液晶表示装置1においても、第1実施形態で説明した駆動パターンを実行できる。第2実施形態の効果も第1実施形態と同じである。
【0229】
[3] 第3実施形態
第3実施形態は、表示領域4を分割した複数の分割領域のうち一部の分割領域を、画像を表示しない非表示領域で構成するようにしている。
【0230】
図32は、第3実施形態に係る表示領域4の模式図である。
図32では、表示領域4が9個の分割領域を備える場合を一例として示している。
【0231】
表示領域4は、1個又は複数の非表示領域NDを備える。
図32では、表示領域4が3個の非表示領域NDを備える場合を一例として示している。非表示領域NDには、画素、及びゲートドライバが設けられない。
【0232】
表示領域4は、画像を表示可能な6個の分割領域DI_(2,1)、DI_(3,1)、DI_(1,2)、DI_(3,2)、DI_(1,3)、DI_(2,3)を備える。分割領域DIには、サブアレイSA及びゲートドライバGDが配置される。
【0233】
図33は、液晶表示装置1の駆動パターン1を説明する模式図である。
図33では、例えば第1実施形態における表示領域4の配線を有しているものとする。非表示領域NDには、配線(走査線及び信号線を含む)は設けられない。
【0234】
制御回路15は、第1フレームにおいて、スタート信号ST1を有効化(ハイレベル)する。制御回路15は、第1フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR12、CLR13を有効化(ハイレベル)する。これにより、1行目の分割領域DI_(1,2)、DI_(1,3)の走査動作が実行される。
【0235】
制御回路15は、第1フレームに続く第2フレームにおいて、スタート信号ST2を有効化する。制御回路15は、第2フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR21、CLR23を有効化する。これにより、2行目の分割領域DI_(2,1)、DI_(2,3)の走査動作が実行される。
【0236】
制御回路15は、第2フレームに続く第3フレームにおいて、スタート信号ST3を有効化する。制御回路15は、第3フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR31、CLR32を有効化する。これにより、3行目の分割領域DI_(3,1)、DI_(3,2)の走査動作が実行される。
【0237】
図34は、液晶表示装置1の駆動パターン2を説明する模式図である。
図34では、例えば第2実施形態における表示領域4の配線を有しているものとする。非表示領域NDには、配線(走査線及び信号線を含む)は設けられない。
【0238】
制御回路15は、第1フレームにおいて、スタート信号ST2を有効化する。制御回路15は、スタート信号ST2の直後に、クリア信号CLR23を有効化する。これにより、分割領域DI_(2,3)の走査が停止される。制御回路15は、第1フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR21を有効化する。このようにして、分割領域DI_(2,1)の走査動作が実行され、分割領域DI_(2,1)のデータが書き換えられる。また、分割領域DI_(2,3)は、表示を保持する。
【0239】
制御回路15は、第1フレームに続く第2フレームにおいて、スタート信号ST3を有効化する。制御回路15は、スタート信号ST3の直後に、クリア信号CLR32を有効化する。これにより、分割領域DI_(3,2)の走査が停止される。制御回路15は、第2フレームが終了する時刻において、クリア信号CLR31を有効化する。このようにして、分割領域DI_(3,1)の走査動作が実行され、分割領域DI_(3,1)のデータが書き換えられる。また、分割領域DI_(3,2)は、表示を保持する。
【0240】
以下同様に、スタート信号STmが有効化され、m行に含まれる任意の分割領域DIが走査動作を実行する。また、m行に含まれる残りの分割領域DIに対応するクリア信号CLRが有効化され、当該残りの分割領域DIの走査が停止される。
【0241】
これにより、6個の分割領域DI_(2,1)、DI_(3,1)、DI_(1,2)、DI_(3,2)、DI_(1,3)、DI_(2,3)が順に駆動され、分割領域DI_(2,1)、DI_(3,1)、DI_(1,2)、DI_(3,2)、DI_(1,3)、DI_(2,3)のデータが書き換えられる。
【0242】
非表示領域NDは、例えば常時黒表示である。また、非表示領域NDに所望の色のカラーフィルタを配置することで、非表示領域NDを黒以外のカラーで表示させてもよい。
【0243】
第3実施形態では、分割領域DIごとに複数の走査線及びゲートドライバGDが配置される。よって、列方向において、分割領域DI間に非表示領域NDが設けられた場合でも、全ての分割領域DIを、ゲートドライバGDを用いて走査することができる。
【0244】
また、第3実施形態では、四角形ではない異形ディスプレイを実現できる。また、異形ディスプレイを最適に駆動することができる。
【0245】
なお、上記各実施形態では、画素アレイが複数のサブアレイを備えるとともに、複数のサブアレイにそれぞれゲートドライバを配置した構成例を示している。しかし、この構成例に限定されず、画素アレイが複数のサブアレイに分割されていなくてもよい。すなわち、1個の画素アレイと1個のゲートドライバとで液晶表示装置を構成してもよい。この変形例の場合、実施形態で説明した複数の部分領域DIを個別に制御する信号は不要である。
【0246】
また、上記各実施形態では、トランジスタを全てN型トランジスタで構成する場合について説明している。しかし、これに限定されず、電源電圧、及びクロック信号の極性を反転させることで、全てのトランジスタをP型トランジスタで構成することも可能である。
【0247】
また、ゲートドライバGDに含まれるシフトレジスタSRは、上記各実施形態で説明した構成に限定されるものではない。複数の走査線GLに順にパルスを出力することが可能な他の種類のシフトレジスタを用いることも可能である。
【0248】
また、上記各実施形態では、半透過型液晶表示装置を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、外光を利用して表示を行う反射型液晶表示装置に適用することも可能である。反射型液晶表示装置では、画素全体が反射膜で覆われる。
【0249】
また、上記各実施形態では、表示装置として液晶表示装置を例に挙げて説明している。しかし、これに限定されず、有機EL表示装置などの他の表示装置に適用することも可能である。
【0250】
また、上記各実施形態は、表示装置を例に挙げて説明している。しかし、これに限定されず、シフトレジスタを備えたセンサなどに適用することも可能である。
【0251】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0252】
1…液晶表示装置、2…TFT基板、3…集積回路、4…表示領域、10…画素アレイ、11…ゲートドライバ群、12…ソースドライバ、13…共通電極ドライバ、14…電圧発生回路、15…制御回路、16…バックライト、17…スイッチング素子、20…入力部、21…レジスタ部、21e…インバータ回路、21o…インバータ回路、22…出力部、23…プルダウン部、24…クリア部、31…CF基板、32…液晶層、33…ゲート電極、34…ゲート絶縁膜、35…半導体層、36…ソース電極、37…ドレイン電極、38…接続電極、39…絶縁層、40…蓄積容量電極、40A…開口部、41…反射膜、41A…開口部、42…絶縁層、43…画素電極、44…コンタクト、45…ブラックマトリクス、46R,46G,46B…カラーフィルタ、47…共通電極、50…ゲート電極、51…半導体層、52…ソース電極、53…ドレイン電極、54…コンタクト、55…ゲート電極、56…半導体層、57…ソース電極、58…ドレイン電極、59…コンタクト、60…コンタクト、61…ゲート配線、62…コンタクト、63…配線、64…コンタクト、65…ゲート配線、GL…走査線、SL…信号線、GD…ゲートドライバ、SR…シフトレジスタ、RG…コア回路、GA…ゲートドライバ配置領域。