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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142983
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230928BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230928BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20230928BHJP
   G09G 3/38 20060101ALI20230928BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20230928BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230928BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230928BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230928BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230928BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
G09G3/20 691D
G09G3/20 642E
G09G3/36
G09G3/20 680E
G09G3/38
G09G3/20 670E
G09G3/20 631U
G02F1/15 506
H05B33/14 A
H01L27/32
G06F3/041 490
G06F3/041 534
G09F9/30 380
G09F9/30 365
G09F9/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050151
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白澤 拓也
【テーマコード(参考)】
2K101
3K107
5C006
5C080
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DC02
2K101EC05
2K101ED12
2K101EE02
2K101EK03
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107EE65
3K107EE66
3K107FF06
5C006AA15
5C006AA22
5C006AC11
5C006AC25
5C006AF13
5C006AF27
5C006AF38
5C006AF42
5C006AF43
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF53
5C006AF61
5C006AF71
5C006AF78
5C006BB08
5C006BB16
5C006BC22
5C006BC23
5C006BF16
5C006BF28
5C006EC02
5C006EC05
5C006FA16
5C006FA18
5C006FA22
5C006FA54
5C006GA02
5C006GA03
5C080AA06
5C080AA10
5C080AA11
5C080BB06
5C080CC03
5C080CC08
5C080DD05
5C080DD09
5C080DD13
5C080DD21
5C080EE25
5C080EE26
5C080EE28
5C080FF03
5C080FF11
5C080FF13
5C080GG02
5C080GG12
5C080HH22
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK07
5C094AA56
5C094AA60
5C094BA27
5C094BA43
5C094BA52
5C094CA19
5C094DA03
5C094DA12
5C094ED01
5C094FA02
5C094JA11
5G435AA00
5G435BB05
5G435BB12
5G435BB13
5G435DD05
5G435FF13
5G435HH02
(57)【要約】
【課題】領域の区分を明示可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、画像を表示出力する表示領域AAを有する表示パネル60と、表示領域AAをカバーするタッチ検出領域TAに対するタッチ検出を行うタッチパネル70と、当該タッチ検出領域をカバーする透光制御領域ECAにおける透光の度合いを制御可能に設けられた透光制御部10と、を備え、透光制御部10は、エレクトロクロミック物質を挟んで対向する2つの電極を有し、透光制御領域ECAは、それぞれ異なる透光の度合いを設定可能な複数の部分領域を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示出力する表示領域を有する表示部と、
前記表示領域を含むタッチ検出領域に対するタッチ検出を行うタッチ検出部と、
前記タッチ検出領域をカバーする透光制御領域における透光の度合いを制御可能に設けられた透光制御部と、を備え、
前記透光制御部は、エレクトロクロミック物質を挟んで対向する2つの電極を有し、
前記透光制御領域は、それぞれ異なる透光の度合いを設定可能な複数の部分領域を含む、
表示装置。
【請求項2】
前記複数の部分領域は第1方向に並び、
前記部分領域の長手方向は、前記第1方向に直交する第2方向に沿う、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の部分領域はマトリクス状に配置されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は液晶ディスプレイパネルである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部はOLEDパネルである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の部分領域のうち、透光の度合いが第1レベルの領域では前記画像の表示出力及び前記タッチ検出が行われ、
前記複数の部分領域のうち、透光の度合いが前記第1レベルよりも低い第2レベルの領域では前記画像の表示出力が行われ、前記タッチ検出が行われず、
前記複数の部分領域のうち、透光の度合いが前記第2レベルよりも低い第3レベルの領域では前記画像の表示出力及び前記タッチ検出が行われない、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記透光制御部による透光の度合いの制御範囲における最高の透光の度合いを100%とし、最低の透光の度合いを0%とすると、
前記第1レベルは、30%以上100%以下であり、
前記第2レベルは、20%以上30%未満であり、
前記第3レベルは、0%以上20%未満である、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記透光制御部は、複数のエレクトロクロミックパネルを有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数のエレクトロクロミックパネルの各々による透光の度合いは、個別に制御可能に設けられている、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記透光制御部は、エレクトロクロミックパネルを有し、
前記エレクトロクロミックパネルが透光の度合いを変化させるように動作する場合の時間と透光の度合いの変化との関係を示すデータを記憶する記憶部と、
前記データに基づいて前記エレクトロクロミックパネルの透光の度合いの特定に係る演算を行う演算部と、を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記時間と透光の度合いの変化との関係は、以下の式(1)に基づく、
請求項10に記載の表示装置。
【数1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルとしての機能を有する表示装置が知られている(例えば特許文献1)。また、エレクトロクロミック素子に関する技術が公開されている(例えば特許文献2)。特許文献2は、エレクトロクロミック素子が、エレクトロクロミック材料の酸化反応および還元反応の少なくとも一方が生じる電圧をパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)で印加する場合にDuty比をある比率から他の比率に変化させた時、エレクトロクロミック素子の透過率が第1透過率から第2透過率に変化し、Duty比を当該他の比率から当該ある比率に変化させた時に、エレクトロクロミック素子の透過率が第2透過率とは異なる第3透過率から第1透過率とは異なる第4透過率に変化するエレクトロクロミック素子に関する技術である。特許文献2では、エレクトロクロミック素子の透過率を下げて目標の透過率を達成しようとする場合と、エレクトロクロミック素子の透過率を上げて目標の透過率を達成しようとする場合とで、目標の透過率を達成するためのDuty比が異なるように制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-35403号公報
【特許文献2】特開2015-143826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネルでは、入力としての意図をユーザが持っているか否かに関わらずタッチパネルに触れた場合にタッチパネルに対する入力操作として扱われることから、ユーザが意図せずタッチパネルに触れた場合に意図しない入力操作及びそのリアクションが生じることがあった。特定の状況下において、タッチパネルによるタッチ検出領域のうち一部を機能させないようにすることはタッチパネルの構成として不可能ではなかったが、どの部分がタッチ検出領域として機能し、どの部分がタッチ検出領域として機能していないのかをユーザに通知することは考慮されていなかった。従って、領域の区分を明示可能な構成が求められていた。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、領域の区分を明示可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、画像を表示出力する表示領域を有する表示部と、前記表示領域を含むタッチ検出領域に対するタッチ検出を行うタッチ検出部と、前記タッチ検出領域をカバーする透光制御領域における透光の度合いを制御可能に設けられた透光制御部と、を備え、前記透光制御部は、エレクトロクロミック物質を挟んで対向する2つの電極を有し、前記透光制御領域は、それぞれ異なる透光の度合いを設定可能な複数の部分領域を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表示装置の主要構成例を示すブロック図である。
図2図2は、透光制御部の構成例を示す模式図である。
図3図3は、ECパネルの構成を示す模式図である。
図4図4は、図2に示す透光制御部による透光制御例を示す模式図である。
図5図5は、エレクトロクロミックパネルの透明度率と、透明度率変化速度と、の関係の一例を示すグラフである。
図6図6は、透明度率が100%から0%へ変化する途中で、透明度率の変化の方向が逆転するように制御される切り替えが生じた場合の透明度率の変化と透明度率変化速度との関係の一例を示すグラフである。
図7図7は、EC状態演算回路の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、部分領域の透光率を第1状態から変化させる途中で変化後の透光率を当初予定されていた第2状態とは異なる第3状態CL2に変更した場合を示す模式図である。
図9図9は、部分領域でZ方向に重なるECパネルが5つである場合の各々のECパネルの制御例を示す模式図である。
図10図10は、図9を参照して説明した透明度率C(t)と、透明度率変化速度と、の関係を示すグラフである。
図11図11は、エレクトロクロミックパネルの動作に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12図12は、ホストによるアプリケーションの実行処理に伴う表示装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図13は、透光制御部の構成例を示す模式図である。
図14図14は、透光制御部の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、表示装置1の主要構成例を示すブロック図である。表示装置1は、透光制御部10と、表示パネル60と、タッチパネル70と、バックライト80と、EC制御回路21と、EC状態演算回路30と、ECドライバ回路22と、EC状態演算回路30と、タッチ検出回路23と、DDIC(Display Driver Integrated Circuit)24と、光源制御回路25と、を備える。
【0010】
図1に示す表示パネル60は、透過型の液晶ディスプレイパネルである。表示パネル60は、パネルの板面に沿って配置された複数の画素を有する。画素は、例えばパネルの板面に直交する方向に対向する2つの電極(画素電極、共通電極)と、当該2つの電極と平面視点で重なる位置の液晶と、を含む。平面視点とは、表示パネル60のパネルの板面を正面視する視点である。画素における透光の度合いは、液晶に含まれる液晶分子の配向に対応する。液晶分子の配向が当該2つの電極同士の電位差に応じた配向になることで、画素における透光の度合いが制御される。表示パネル60は、液晶分子の配向を画素毎に個別に制御可能に設けられる。
【0011】
タッチパネル70は、検出領域におけるタッチ検出を行う。検出領域は、平面視点で、表示パネル60において複数の画素が設けられた表示領域AAを内包する。タッチパネル70は、パネルの板面に沿って配置された複数のタッチ検出電極を有する。表示装置1に対して外部の物体が接触又は近接すると、外部の物体が接触又は近接した位置に応じて、平面視点で当該物体と重なる位置及びその付近に設けられたタッチ検出電極の静電容量が変化する。タッチパネル70は、係る静電容量の変化の度合い及び係る静電容量の変化が生じた電極の位置に基づいて、タッチ検出を行う。
【0012】
なお、タッチパネル70によるタッチ検出の方式として、大きく分けて、マトリクス状に配置されたタッチ検出電極の静電容量の変化に基づいてタッチ検出を行う自己容量方式(セルフ)と、パネルの板面に直交する方向にタッチ検出電極と対向する電極とタッチ検出電極との間の静電容量の変化に基づいてタッチ検出を行う相互容量方式(ミューチュアル)と、がある。タッチパネル70は、いずれの方式を採用したタッチパネルであってもよい。また、表示パネル60とタッチパネル70とは一体化されていてもよいし、個別のパネルとして重ね合わされてもよい。
【0013】
また、画素に設けられる2つの電極、タッチパネル70に設けられてタッチ検出に用いられる電極(タッチ検出電極等)ならびに後述する第1電極103及び第2電極104(図3参照)は、透光性を有する電極である。具体的には、透光性を有する電極は、例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)を用いて形成されるが、これに限られるものでなく、他の透光性を有する導電性材料を用いて形成されてもよい。
【0014】
バックライト80は、表示パネル60と対向する発光面を有する。当該発光面には、例えば、表示パネル60側に光を導く導光板が設けられる。また、バックライト80は、当該導光板に光を照射する光源を有する。光源は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であるが、例えば有機EL(Electro Luminescence)を利用した発光素子等、他の構成であってもよい。また、発光面に1又は複数のLEDが配置されてもよい。また、発光面に沿って有機EL照明が設けられてもよい。
【0015】
表示装置1は、バックライト80側から見て、バックライト80、表示パネル60、タッチパネル70、透光制御部10の順にこれらの構成が重なり合っている。バックライト80から発せられた光のうち、表示パネル60、タッチパネル70及び透光制御部10を透過した光が表示装置1のユーザに視認され、画像として認識される。透光制御部10ならびに透光制御部10の制御に係るEC制御回路21、ECドライバ回路22及びEC状態演算回路30については後述する。
【0016】
タッチ検出回路23は、タッチパネル70におけるタッチ検出電極等の静電容量に応じて生じる電気信号に基づいてタッチ検出を行う回路である。タッチ検出回路23によるタッチ検出の結果を示す信号は、例えばホスト40へ出力される。
【0017】
ホスト40は、表示装置1の外部に設けられる情報処理装置である。図1に示すホスト40は、タッチ検出回路23からの信号に基づいて、表示パネル60の表示内容を制御する。具体的には、ホスト40は、DDIC24に対して画像データを出力する。当該画像データには、表示パネル60が有する複数の画素に対して個別に与えられる画素信号を含む。当該画素信号は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の各々の階調値を示す情報を含む信号であるが、異なる色の階調値を示す情報を含んでいてもよい。また、ホスト40は、バックライト80の動作を制御するための発光制御信号を光源制御回路25に対して出力する。
【0018】
DDIC24は、ホスト40からの画像データに含まれる画素信号に応じて各画素を制御する。DDIC24は、信号線及びスイッチング素子を介して画素電極と接続される。また、DDIC24は、走査線を介して当該スイッチング素子と接続される。DDIC24は、画素信号が与えられる画素電極と接続されているスイッチング素子を駆動する駆動信号を走査線に与えるゲートドライバとして機能する。また、DDIC24は、駆動された状態のスイッチング素子と接続されている画素電極に画素信号に対応した電気信号を与えるソースドライバとして機能する。画素における液晶分子の配向は、画素電極に画素信号に対応した電気信号が与えられることで生じた上記2つの電極(画素電極、共通電極)同士の電位差に応じる。なお、DDIC24に代えて、ゲートドライバ、ソースドライバならびにゲートドライバ及びソースドライバを制御する制御回路が設けられてもよい。
【0019】
光源制御回路25は、上記発光制御信号に応じてバックライト80の動作を制御する回路である。光源がLEDである場合、光源制御回路25はLEDドライバ回路であるが、光源制御回路25の具体的構成はこれに限られるものでなく、光源の種類に応じた構成として設けられる。
【0020】
次に、透光制御部10及び透光制御部10の動作に係る構成について説明する。透光制御部10は、それぞれ異なる透光の度合いを設定可能な複数の部分領域(例えば、後述する部分領域11)を含む透光制御部として機能する。
【0021】
図2は、透光制御部10の構成例を示す模式図である。透光制御部10は、例えば、複数の部分領域11と、第1スイッチ12と、第2スイッチ13と、を有する。以下、透光制御部10の板面に沿う2方向のうち一方をX方向とし、他方をY方向とする。また、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。図2に示す複数の部分領域11は、X方向及びY方向に沿ってマトリクス状に配置される。
【0022】
具体的には、図2に示す複数の部分領域11の各々のX方向の幅は幅H2である。X方向に並ぶ複数の部分領域11は、幅H2よりも大きい幅H1の範囲内で並ぶ。X方向に並ぶ部分領域11の数は、幅H2に対する幅H1の比に対応する。また、図2に示す複数の部分領域11の各々のY方向の幅は幅V2である。Y方向に並ぶ複数の部分領域11は、幅V2よりも大きい幅V1の範囲内で並ぶ。Y方向に並ぶ部分領域11の数は、幅V2に対する幅V1の比に対応する。
【0023】
実施形態において、部分領域11が配置されている領域は、透光制御領域ECAとして機能する。以下、図2で部分領域11が配置されている領域と、表示領域AA及びタッチ検出領域TAと、は一致しているものとする。これらのうち1つが他の領域と異なっていてもよいが、平面視点でタッチ検出領域TAは表示領域AAを内包し、透光制御領域ECAはタッチ検出領域TAを内包する。
【0024】
図2では、X方向及びY方向に11の部分領域11が並んでいるが、各方向の複数の部分領域11の並び数はこれに限られるものでなく、10以下であってもよいし、12以上であってもよい。また、複数の部分領域11は、X方向の並び数とY方向の並び数とが異なってもよい。
【0025】
より具体的には、部分領域11は、例えば複数のECパネル14(図3参照)がZ方向に重なり合って形成されている。ECは、エレクトロクロミック(Electro Chromic)をさす。実施形態では、平行線透過率の高い光学特性を持つエレクトロクロミック素子セルを表示パネル60の前面側に備えている。
【0026】
図3は、ECパネル14の構成を示す模式図である。ECパネル14は、第1基板101と、第2基板102と、第1電極103と、第2電極104と、EC物質105と、電解質106と、を有する。ECパネル14は、Z方向の一方から他方に向かって、第1基板101、第1電極103、EC物質105、電解質106、第2電極104、第2基板102の順にこれらの構成が積層されている。
【0027】
第1基板101及び第2基板102は、透光性を有する基板である。第1基板101及び第2基板102は、例えばガラス基板であるが、これに限られるものでなく、例えば透光性を有する樹脂等を用いて形成された基板であってもよい。第1電極103及び第2電極104は、透光性を有する電極である。
【0028】
EC物質105は、エレクトロクロミック物質である。電解質106は、EC物質105に対応して設けられた電解液である。例えば、EC物質105が酸化タングステンである場合、電解質106は、硫酸若しくは水のような水系電解液又はリチウム塩を含む有機電解液である。第1電極103と第2電極104との電位差に応じて、EC物質105と電解質106との間で水素イオン(H)又はリチウム塩イオン(Li)が移動する酸化還元反応が引き起こされることで、EC物質105の透光の度合いが変化する。ECパネル14は、第1電極103と第2電極104との電位差の有無を制御することでEC物質105の透光の度合いを制御可能に設けられたECパネルである。
【0029】
ECパネル14は、Z方向の透光性が最低である状態と、Z方向の透光性が最高である状態と、のいずれか一方となるよう制御される。ECパネル14の具体的な透光率は、EC物質105に対応する。例えば、EC物質105が酸化タングステンである場合、Z方向の透光性が最低である状態の透光率は20%程度であり、Z方向の透光性が最高である状態の透光率は80%程度である。
【0030】
透光制御部10は、例えば、X方向に並ぶ複数のECパネル14と、Y方向に並ぶ複数のECパネル14と、の組み合わせによって図2に示す複数の部分領域11の配置を実現している。具体例を挙げると、X方向の幅が幅H2であり、Y方向の幅が幅V1であるh個のECパネル14がX方向に並ぶ第1層と、X方向の幅が幅H1であり、Y方向の幅が幅V2であるv個のECパネル14がY方向に並ぶ第2層と、がZ方向に重なることで、X方向にh個、Y方向にv個の部分領域11がマトリクス状に配置された透光制御部10が構成される。h及びvは自然数であり、少なくとも一方が2以上である。
【0031】
第1スイッチ12は、X方向の一方側から他方側に向かって並ぶスイッチ121,122,…,12hを含む。スイッチ121,122,…,12hは、第1層でX方向に並ぶh個のECパネル14と、1対1の関係となるよう個別に接続される。スイッチ121,122,…,12hは、接続されたECパネル14のEC物質105と電解質106との間の電位差の有無を切り替えるためのスイッチとして設けられる。スイッチ121,122,…,12hのON/OFFを個別に制御することで、X方向に並ぶh個のECパネル14の各々の透光の度合いを個別に制御できる。
【0032】
第2スイッチ13は、Y方向の一方側から他方側に向かって並ぶスイッチ131,132,…,13vを含む。スイッチ131,132,…,13vは、第2層でY方向に並ぶv個のECパネル14と、1対1の関係となるよう個別に接続される。スイッチ131,132,…,13vは、接続されたECパネル14のEC物質105と電解質106との間の電位差の有無を切り替えるためのスイッチとして設けられる。スイッチ131,132,…,13vのON/OFFを個別に制御することで、Y方向に並ぶV個のECパネル14の各々の透光の度合いを個別に制御できる。
【0033】
図4は、図2に示す透光制御部10による透光制御例を示す模式図である。図4に示す部分領域11は、第1状態11a、第2状態11b又は第3状態11cのいずれかになるよう制御されている。第1状態11aは、第1層のECパネル14及び第2層のECパネル14の両方が透光の度合いを最高にするように制御された状態である。第3状態11cは、第1層のECパネル14又は第2層のECパネル14の一方が透光の度合いを最低にするように制御され、かつ、他方が透光の度合いを最高にするように制御された状態である。第3状態11cは、第1層のECパネル14及び第2層のECパネル14の両方が透光の度合いを最低にするように制御された状態である。
【0034】
図4では、スイッチ121,12h,131,13(v-3),13(v-2),13(v-1),13vに接続されたECパネル14が透光の度合いを最低にするように制御され、他のECパネル14が透光の度合いを最高にするように制御された状態を示している。これによって、複数の第1状態11aがX方向及びY方向に隣り合うアクティブエリアAA1が生じている。アクティブエリアAA1と、表示パネル60の表示領域AAにおいて画像が出力される範囲と、が平面視点で重なり合うようにすることで、画像をより鮮明に出力するために必要な光の透光性を確保できる。一方、平面視点でアクティブエリアAA1外の範囲では、部分領域11が第2状態11b又は第3状態11cになっていることで、透光の度合いがアクティブエリアAA1内に比して低くなっている。
【0035】
実施形態の表示装置1は、アクティブエリアAA1内に限らずアクティブエリアAA1外の一部又は全部において画像の表示出力及びタッチ検出ができるよう、透光制御部10、表示パネル60、タッチパネル70、バックライト80が重ねられている。具体例を挙げると、部分領域11が配置された全ての領域と、表示領域AA及びタッチ検出領域TAと、は平面視点で対応する。言い換えれば、透光制御部10によって透光の度合いを制御可能な範囲は、平面視点で表示領域AA及びタッチ検出領域TAをカバーする。
【0036】
ここで、タッチ検出領域TAのうち一部におけるタッチ検出を機能させないようにしたいというニーズがある。また、タッチ検出が機能する領域と機能しない領域とを視覚的に区別できるようにしたいというニーズがある。そこで、実施形態では、図4を参照して説明した第2状態11b,第3状態11cのように第1状態11aに比して透光の度合いが相対的に低い領域ではタッチ検出を機能させず、第1状態11aのように透光の度合いがより高い領域でタッチ検出を機能させる。言い換えれば、実施形態では、タッチ検出を機能させないようにしたい領域と重なる部分領域11の透光の度合いを低下させる制御が行われる。さらに、透光の度合いが低下した部分領域11と重なる領域で画像の表示出力が行われないようにしてもよい。
【0037】
ECパネル14の透光性の変化は瞬時に生じるものでなく、透光性が最高の状態と最低の状態との切り替えに少なくとも数十秒以上、一般的に数分程度の時間を要する。具体的には、透過率に変化をもたらすエレクトロクロミック物質の反応速度は順方向反応速度と逆反応速度の差である。また、第1電極103、第2電極104のような電極から注入される反応電流はデバイス全体で透過率のムラを少なくするために十分な拡散時間が設けられることが望ましく、そのように反応電流の制御が行われる。これらの事情から、透過率の変化速度はエレクトロクロミック物質の分子(エレクトロクロミック分子)のみでは決まらず、デバイスの設計によって異なり、数十秒から数分かかる場合がある。透過率に変化をもたらすエレクトロクロミック物質の反応では、時間とともに反応物質は逆反応物質に戻る反応も同時に起こるため、ECパネル14又はECパネル14と同様に機能するECセルの透過率を維持するために要する電流がわずかに生じる。また、設計によりECセルもしくはパネルのリーク電流が生じる可能性があり、その場合には制御ではこのリーク電流も設計事項として考慮される。そのため、透過率に応じた保持電流が生じる可能性がある透明度率変化速度v(t)は反応に要する電流に対応する。ECセルへの投入電流ではその他上記の保持電流を加算する。また、電極から注入される反応電流はデバイス全体で透過率のムラを少なくするために十分な拡散時間が設けられることもあり、透過率の変化速度はエレクトロクロミック分子のみでは決まらず、デバイスの設計によって異なり、数十秒から数分かかる場合がある。電極から注入される電流の制御においては、固定の電圧に対してPWMなどで間欠電流を供給するか印加電圧を変化させるなどして電流が供給される。透明度率変化速度v(t)は印加電圧が途絶えない場合の透明度率変化速度が求められるのに対し、間欠電流を供給する場合の速度は瞬間的に変化するが、短時間の積分平均からその時間の速度を見積もることができる。以下、ECパネル14の透光性の変更に係る制御と時間との関係について、図5及び図6を参照して説明する。
【0038】
図5は、ECパネル14の透明度率C(t)と、透明度率変化速度v(t)と、の関係の一例を示すグラフである。なお、透明度率C(t)は、ECパネルの性能の範囲内での最低透光率(例えば、透光率20%)を0%とし、当該範囲内での最高透光率(例えば、透光率80%)を100%としたものである。また、図5及びこれ以降の説明では、透明度率C(t)が0%又は100%の一方である状態から他方である状態へ変化するまでにかかる時間を飽和反応時間t_satとして表している。
【0039】
図5に示すグラフは、透明度率C(t)が0%から100%になる変化における透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係を、透明度率C(t)を示す横軸よりも上側で示している。また、透明度率C(t)が100%から0%になる変化における透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係を、透明度率C(t)を示す横軸よりも下側で示している。すなわち、正の透明度率変化速度v(t)は、透明度率C(t)が0%から100%に向かって高くなることを示す。また、負の透明度率変化速度v(t)は、透明度率C(t)が100%から0%に向かって低くなることを示す。透明度率変化速度v(t)は、単位時間あたりの透明度率C(t)の変化の度合いを示す。
【0040】
図5のグラフで示す例では、透明度率C(t)が0%又は100%の一方である状態から他方である状態へ変化する場合、他方の透明度率C(t)との差がより大きい時点(例えば、変化開始直後)ほど、時間あたりの透明度率変化速度v(t)が大きい。すなわち、透明度率C(t)が0%又は100%の一方である状態から中間(50%)の状態を経て他方である状態へ変化する場合、一方の状態から中間の状態になるまでの時間は、中間の状態から他方の状態になるまでの時間よりも短い。言い換えれば、他方の状態により近い状態になるほど、他方の状態になりきるまでの時間あたりの透明度率C(t)の変化量はより小さくなる。
【0041】
ECパネル14が透明度率C(t)が0%又は100%の一方である状態から他方である状態へ変化する動作の開始時点をt=0とした場合の透明度率C(t)は、以下の式(1)のように表せる。これは、透明又は不透明の平衡状態である一方の状態から他方の状態へ変化する動作の説明である。例として平衡状態が不透明0%(透明度率C(t)が0%)と透明100%(透明度率C(t)が100%)の場合を説明する。t_satを飽和状態までの時間ではなく、目的透明度までの変化に要する時間としてもよい。
【数1】
【0042】
図5では、t=0から飽和反応時間t_satまでの時間経過における透明度率変化速度v(t)の変化が、一方から他方に向かって一次曲線的に減少する場合を例示しているが、透明度率変化速度v(t)の変化パターンはこれに限られるものでない。EC物質によっては、透明度率C(t)に関わらず透明度率変化速度v(t)が固定である場合もありうるし、一次曲線とは異なる透明度率変化速度v(t)の変化が現れる場合もありうる。ただし、実施形態の説明では、図5に示す透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)に基づいた説明を行う。
【0043】
図6は、透明度率C(t)が100%から0%へ変化する途中で、透明度率C(t)の変化の方向が逆転するように制御される切り替えが生じた場合の透明度率C(t)の変化と透明度率変化速度v(t)との関係の一例を示すグラフである。
【0044】
t=0からタイミングt1までは、透明度率C(t)が100%から0%へ変化する通常の変化工程が生じている。従って、t=0からタイミングt1までの透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係は、図5において横軸の下側で示すグラフと同様である。
【0045】
一方、図6に示す例では、タイミングt1の透明度率C(t)から、透明度率C(t)を100%へ変化させるよう変化の方向を逆転させる切り替えが生じている。従って、図6の時間と透明度率C(t)との関係のグラフで示すように、0からタイミングt1まで低下していた透明度率C(t)が、タイミングt1を開始時点として時間経過に伴い高まるように変化している。
【0046】
さらに、図6に示す例では、タイミングt1後のタイミングt2の透明度率C(t)から、透明度率C(t)を0%へ変化させるよう変化の方向を再度逆転させる再度の切り替えが生じている。従って、図6の時間と透明度率C(t)との関係のグラフで示すように、タイミングt1からタイミングt2まで高まっていた透明度率C(t)が、タイミングt2を開始時点として時間経過に伴い低下するように変化している。透明度率ct1は、タイミングt2後のタイミングt3時点での透明度率C(t)である。
【0047】
タイミングt1からタイミングt2までの透明度率変化速度v(t)は、透明度率C(t)を高める変化における透明度率変化速度v(t)であるので、時間軸よりも上側にグラフの線が現れている。タイミングt1からタイミングt2までの透明度率変化速度v(t)は、図5において横軸の上側で示すグラフにおける透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係に対応する。0からタイミングt1及びタイミングt2からタイミングt3までの透明度率変化速度v(t)は、透明度率C(t)を低下させる変化における透明度率変化速度v(t)であるので、時間軸よりも下側にグラフの線が現れている。0からタイミングt1及びタイミングt2からタイミングt3までの透明度率変化速度v(t)は、図5において横軸の下側で示すグラフにおける透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係に対応する。
【0048】
図5を参照して説明したような、透明度率C(t)が0%又は100%の一方である状態から他方である状態へ変化する過程における飽和反応時間t_sat及び透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係は、定性的である。従って、図6を参照して説明した切り替えが生じないならば、透明度率C(t)が0%又は100%の一方である状態から他方である状態へ変化を開始した時間からの経過時間(t)だけで、変化途中の透明度率C(t)及び透明度率変化速度v(t)を求められる。一方、図6のような、0%又は100%の一方である状態から他方である状態へ変化する途中での切り替えが生じた場合、一方でも他方でもない透明度率C(t)を開始時点とした変化が開始される。このような切り替えを含む透明度率C(t)の制御では、変化を完了しきっていない変化途中時点での透明度率C(t)を、変化開始からの経過時間(t)だけで求めることはできない。そこで、実施形態では、このような切り替えが生じる場合であっても透明度率C(t)を導出できるようにするための演算が行われている。
【0049】
図7は、EC状態演算回路30の構成例を示すブロック図である。EC状態演算回路30は、タイミングコントローラ31と、記憶部32と、係数選択部34と、第1演算部35と、第2演算部36と、積分演算部37と、を含む。
【0050】
タイミングコントローラ31は、EC状態演算回路30の各機能ブロックの動機制御を行う。具体的には、タイミングコントローラ31は、少なくとも係数選択部34と積分演算部37の処理を整合させるためのクロック信号を出力する。
【0051】
また、EC制御回路21(図1図7参照)は、透光制御部10が有するECパネルに透明度率C(t)の変化を開始させるための制御信号をタイミングコントローラ31及びECドライバ回路22(図1参照)へ出力する。タイミングコントローラ31は、当該制御信号に応じて、係数選択部34及び積分演算部37に透明度率C(t)の変化が完了するまでの演算を行わせる命令として機能する信号(開始信号)を出力する。当該制御信号及び当該開始信号は、ECパネルの透明度率C(t)を高める変化又は低下させる変化のいずれであるのかを示す情報(含有情報)を含む。また、図6を参照して説明した切り替えが生じるたび、EC制御回路21は、当該切り替えが生じたことを示す信号(反転信号)をタイミングコントローラ31及びECドライバ回路22へ出力する。当該反転信号は、タイミングコントローラ31を介して係数選択部34及び積分演算部37へ伝送される。
【0052】
記憶部32は、透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係を示す情報を記憶する。具体的には、記憶部32は、LUT(Look Up Table)33を記憶する。LUT33は、透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係を示すLUTデータである。より具体的には、LUT33は、例えば図5を参照して説明した透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係を示す。また、LUT33は、飽和反応時間t_satを示す情報を含む。なお、LUT33の具体的なデータ形式はLUTに限られるものでない。LUT33の具体的なデータ形式は、係数選択部34から参照可能なものであればよく、任意である。
【0053】
係数選択部34は、LUT33を参照して透明度率変化速度v(t)を選択し、選択された透明度率変化速度v(t)を示す信号を第1演算部35へ出力する。具体的には、係数選択部34は、上記開始信号の入力後の経過時間と、積分演算部37からフィードバックされた最新の透明度率C(t)と、に基づいて、現時点のECパネルで生じている透明度率C(t)の変化の度合いに対応した透明度率変化速度v(t)を選択する。なお、積分演算部37からフィードバックされた最新の透明度率C(t)を示す情報が入力されていない時点、すなわち、開始時点(t=0)では、係数選択部34は、図5に示す透明度率C(t)が0%である場合の透明度率変化速度v(t)を選択する。また、係数選択部34は、上記含有情報が示す透明度率C(t)の変化の方向性に対応した透明度率変化速度v(t)を選択する。
【0054】
第1演算部35は、上記式(1)におけるv(t)dtを算出する。第2演算部36は、第1演算部35が算出した上記式(1)におけるv(t)dtに対応したΔtを導出する。Δtは、図5図6に示すようなグラフにおける横軸と、v(t)dtのtの値に対応した微小範囲の定積分面積を示す。積分演算部37は、上記式(1)における積分(∫)演算を行う。すなわち、積分演算部37は、開始信号の入力時点から経過した時間(t)に応じて変化が生じたECパネルの最新の透明度率C(t)を導出する。積分演算部37は、導出された最新の透明度率C(t)を示す信号を、係数選択部34及びタッチ検出回路23(図1参照)へ出力する。
【0055】
なお、上記反転信号が奇数回入力された場合、係数選択部34は、上記含有情報が示す透明度率C(t)の変化の方向性の反対に対応する透明度率変化速度v(t)を選択する。また、上記反転信号が偶数回入力された場合、係数選択部34は、上記含有情報が示す透明度率C(t)の変化の方向性の反対に対応する透明度率変化速度v(t)を選択する。
【0056】
EC状態演算回路30は、透光制御部10が有するECパネル(例えば、ECパネル14)のうち、透明度率C(t)を変化させるように動作する全てのECパネルについて、個別に係数選択部34、第1演算部35、第2演算部36、積分演算部37による演算を行わせるよう動作する。EC状態演算回路30の係数選択部34、第1演算部35、第2演算部36、積分演算部37による演算は、透光制御部10が有する全てのECパネルの透明度率が0%又は100%になるまで継続される。透光制御部10が有する全てのECパネルの透明度率が0%又は100%になった場合、EC状態演算回路30の係数選択部34、第1演算部35、第2演算部36、積分演算部37による演算は終了する。
【0057】
図1に示すECドライバ回路22は、EC制御回路21からの上記制御信号に応じて透光制御部10が有するECパネル(例えば、ECパネル14)のうち、透明度率C(t)を変化させるように動作する全てのECパネルを動作させる。ECドライバ回路22の制御下で動作するECパネルの透明度率C(t)は、積分演算部37が出力する透明度率C(t)に対応する。すなわち、EC状態演算回路30は、ECパネルの透明度率C(t)を演算によって都度特定する。
【0058】
なお、図2から図4を参照して説明した部分領域11のように、Z方向に複数のECパネル14が重なっている場合、各部分領域11の透明度率C(t)は、各部分領域11の位置で重なり合うECパネル14の各々の透明度率C(t)の積算値で表される(式(2)参照)。其其のパネルが複数重なるとパネル色は減色混合となる。例えば、部分領域11で重なり合うECパネル14の数が2つであり、当該2つのECパネル14の一方の透明度率C(t)が80%であり、他方の透明度率C(t)が60%である場合、当該部分領域11の透明度率C(t)は48%になる。
【0059】
タッチ検出回路23は、平面視点でタッチパネル70と重なる部分領域11の透明度率C(t)に応じて、当該部分領域11と重なる範囲に設けられたタッチ検出電極の静電容量に基づいたタッチ検出機能の有効/無効を切り替え可能に設けられていてもよい。
【0060】
実施形態において、透明度率C(t)がα%未満になった部分領域11と重なる範囲に設けられたタッチ検出電極の静電容量に基づいたタッチ検出機能は無効とされる。すなわち、係るタッチ検出電極の静電容量の変化に基づいて入力された信号によって外部の物体の近接が検出されたとしても、タッチ検出回路23は、当該入力された信号を破棄し、タッチ操作の入力として扱わない。
【0061】
DDIC24は、平面視点で表示パネル60と重なる部分領域11の透明度率C(t)に応じて、当該部分領域11と重なる範囲に設けられた画像の表示出力の有効/無効を切り替え可能に設けられていてもよい。
【0062】
実施形態において、透明度率C(t)がβ%未満になった部分領域11と重なる範囲に設けられた画素による画像の表示出力は無効とされる。すなわち、ホスト40からの画像データの入力に基づいて、当該画素に与えられる画素信号があったとしても、当該画素は当該画素信号に応じた制御の対象とならない。DDIC24は、画素信号に応じた制御の対象とならない画素を、最低の透光率(黒表示)とするよう制御する。
【0063】
なお、α%は例えば30%であり、β%は例えば20%であるが、これらに限られるものでない。α%、β%にはそれぞれ任意の値(%)が適宜設定されてよい。また、DDIC24に対する透明度率C(t)を示す情報の入力は、例えばEC状態演算回路30からタッチ検出回路23及びホスト40を介してDDIC24に対して行われてもよいし、積分演算部37からの出力が直接DDIC24に与えられるようにしてもよい。
【0064】
また、各部分領域11で重なり合う複数のECパネル14の各々の透明度率C(t)の制御を組み合わせて部分領域11の透明度率C(t)を制御できるようにしてもよい。
【0065】
図8は、部分領域11の透光率を第1状態CL0から変化させる途中で変化後の透光率を当初予定されていた第2状態CL1とは異なる第3状態CL2に変更した場合を示す模式図である。図8では、タイミングt4の時点で変化後の透光率を第2状態CL1から第3状態CL2へ変更する指示が行われている。
【0066】
図9は、部分領域11でZ方向に重なるECパネル14が5つである場合の各々のECパネル14の制御例を示す模式図である。図9の透明度率C(t),C(t),C(t),C(t),C(t)はそれぞれ、部分領域11でZ方向に重なる5つのECパネル14の各々の透明度率C(t)を示す。係る5つのECパネル14が重なり合った領域の透明度率(Ctotal(t))は、以下の式(2)のように表せる。式(2)のiは、部分領域11でZ方向に重なるECパネル14の数から1を差し引いた値である。
【数2】
【0067】
図8に示す第1状態CL0は、Z方向に重なる5つのECパネル14のうち1つの透明度率C(t)が0%であり、他の4つの透明度率C(t)が100%である場合の透光率である。従って、図9の最左で示すように、5つのECパネル14のうち1つ(透明度率C(t))のみON状態で透明度率C(t)が0%であり、他の4つ(透明度率C(t),C(t),C(t),C(t))がOFF状態で透明度率C(t)が100%である。
【0068】
図8に示す第2状態CL1は、Z方向に重なる5つのECパネル14のうち3つの透明度率C(t)が0%であり、他の2つの透明度率C(t)が100%である場合の透光率である。従って、図9の中央で示すように、5つのECパネル14のうち3つ(透明度率C(t),C(t),C(t))がON状態とされ、透明度率C(t),C(t)が100%から0%に変化するように動作制御される。一方、他の2つ(透明度率C(t),C(t))は、OFF状態のままとされる。
【0069】
図8に示す第3状態CL2は、Z方向に重なる5つのECパネル14のうち2つの透明度率C(t)が0%であり、他の3つの透明度率C(t)が100%である場合の透光率である。従って、図9の最右で示すように、5つのECパネル14のうち2つ(透明度率C(t),C(t))がON状態とされ、透明度率C(t)がタイミングt4前と同様、100%から0%に変化するように動作制御される。一方、他の3つのうち1つであって、変化後の透光率が第2状態CL1であった時点ですでに動作を開始していた1つ(透明度率C(t))を100%に変化するように動作制御内容が変更される。なお、他の3つのうち2つ(透明度率C(t),C(t))は、OFF状態のままとされる。
【0070】
図10は、図9を参照して説明した透明度率C(t)と、透明度率変化速度v(t)と、の関係を示すグラフである。タイミングt4までは、透明度率C(t)が100%から0%へ変化する通常の変化工程が生じている。従って、t=0からタイミングt1までの透明度率C(t)と透明度率変化速度v(t)との関係は、図5において横軸の下側で示すグラフと同様である。一方、タイミングt4から、透明度率C(t)を100%へ変化させるよう変化の方向を逆転させる切り替えが生じている。従って、タイミングt4まで低下していた透明度率C(t)が、タイミングt1を開始時点として時間経過に伴い高まるように変化している。タイミングt4以降の透明度率変化速度v(t)は、透明度率C(t)を高める変化における透明度率変化速度v(t)であるので、時間軸よりも上側にグラフの線が現れている。タイミングt4までの透明度率変化速度v(t)は、透明度率C(t)を低下させる変化における透明度率変化速度v(t)であるので、時間軸よりも下側にグラフの線が現れている。
【0071】
図8から図10を参照して説明したように、複数のECパネル(例えば、ECパネル14)が重ね合わされた透光制御領域ECA又は透光制御領域ECAの部分領域(例えば、部分領域11)では、ある時点で決定されていた変化後の透光率を目標とした透光率の変化中に、当該変化後の透光率とは異なる透光率を新たな目標とするような変更が行われた場合、変更前の時点で透明度率(例えば、図5を参照して説明した透明度率C(t))を変化させるように制御されていたパネルの一部又は全部の透明度率の変化の方向性を0%又は100%の一方から他方に変更するようにしてもよい。このような変更に応じた動作制御は、ECドライバ回路22によって行われ、EC状態演算回路30によって変更に応じた各ECパネルの透明度率の導出が行われる。
【0072】
なお、部分領域11に含まれるECパネル14の透明度率C(t)を変更させる命令が生じるトリガーをどのように設定するかは任意であるが、例えばホスト40で実行処理されるアプリケーションソフトウェア・プログラムに含まれる処理に当該トリガーを設けることができる。以下、アプリケーションという記載は、当該アプリケーションソフトウェア・プログラムをさす。また、動作中のホスト40と記載した場合、アプリケーションを実行処理中のホスト40をさす。具体例を挙げると、動作中のホスト40が、(平面視点で)特定の表示領域(例えば、アクティブエリアAA1)外の領域におけるタッチ操作を無効にするよう指定するユーザからの入力を受け付けた場合、動作中のホスト40は、アクティブエリアAA1外に配置されたECパネル14の透明度率C(t)を低下させる命令をEC制御回路21へ出力する。このとき、ホスト40は、例えば、透明度率C(t)を低下させる命令の対象となるアクティブエリアAA1外に配置されたECパネル14を、座標(x,y)で指定する。
【0073】
アプリケーションの実行処理内容は、例えば画像出力内容に反映される。また、画像出力内容に応じてユーザによって行われた表示装置1に対するタッチ操作を、動作中のホスト40に対するユーザからの入力として扱うことができる。
【0074】
図2及び図4を参照して説明すると、(x,y)=(1,0)の場合、スイッチ121に接続されたECパネル14をさす。また、(x,y)=(0,v)の場合、スイッチ13vに接続されたECパネル14をさす。無論、二次元的な座標を指定できるようにしてもよい。例えば、(x,y)=(2,2)の場合、スイッチ122に接続されたECパネル14と、スイッチ132に接続されたECパネル14と、が重なり合う部分領域11をさす。(x,y)=(2,2)が指定された場合、スイッチ122に接続されたECパネル14と、スイッチ132に接続されたECパネル14と、の両方が動作する。また、透明度率C(t)を低下させる場合に限らず、透明度率C(t)を高める場合にも同様の座標指定が行われる。上記制御信号、上記開始信号及び上記反転信号は、このような座標指定を伴う。これによって、透明度率C(t)を変化させる動作制御の対象となるECパネル14が決定される。
【0075】
図11は、ECパネルの動作に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。表示装置1に電力が供給されて表示装置1が起動すると(ステップS1)、EC状態演算回路30は、透明度率C(t)を初期値(t=0)で設定する(ステップS2)。透明度率C(t)の初期値はECパネル14の仕様(EC物質の性質等)に応じるが、例えば透明度率C(t)の初期値は、100%である。
【0076】
ステップS2の処理後、上記座標(x,y)を用いた部分領域11の透明度変更指定が生じた場合(ステップS3;Yes)、係数選択部34は、時間(t)を初期化(t=0)してセットする(ステップS4)。ステップS4の処理が行われる場合、例えば、上記制御信号(及び上記開始信号)又は上記反転信号の出力が行われている。
【0077】
時間(t)が飽和反応時間t_satよりも小さい場合(ステップS5;Yes)、係数選択部34は、ステップS4以降の経過時間を測定する(ステップS6)。当該経過時間の測定は、例えばタイミングコントローラ31からのクロック信号の入力回数に基づくが、図示しないタイマーがEC状態演算回路30に設けられており、当該タイマーによる計時情報を係数選択部34が参照できるようにしてもよい。
【0078】
EC状態演算回路30は、ステップS6で測定された経過時間(t)に対応した透明度率C(t)を導出する(ステップS7)。具体的には、上記したように、係数選択部34、第1演算部35、第2演算部36及び積分演算部37によって最新の透明度率C(t)が導出される。
【0079】
ステップS7で導出された透明度率C(t)がα%未満である場合(ステップS8;Yes)、タッチ検出回路23は、ステップS3の処理で指定された座標(x,y)と重なる位置に配置されたタッチ検出電極の静電容量に基づいたタッチ検出を無効にする(ステップS9)。ステップS7で導出された透明度率C(t)がα%以上である場合(ステップS8;No)、タッチ検出回路23は、ステップS3の処理で指定された座標(x,y)と重なる位置に配置されたタッチ検出電極の静電容量に基づいたタッチ検出を有効にする(ステップS10)。
【0080】
ステップS7で導出された透明度率C(t)がβ%未満である場合(ステップS11;Yes)、DDIC24は、ステップS3の処理で指定された座標(x,y)と重なる位置に配置された画素による画像の表示出力を無効にする(ステップS12)。ステップS7で導出された透明度率C(t)がβ%以上である場合(ステップS11;No)、DDIC24は、ステップS3の処理で指定された座標(x,y)と重なる位置に配置された画素による画像の表示出力を有効にする(ステップS13)。
【0081】
時間(t)が飽和反応時間t_sat以上の場合(ステップS5;No)、ステップS3の処理に移行する。なぜなら、ステップS4の処理でtが初期化されて以降に飽和反応時間t_satが経過しているということは、最新のステップS3で指定された座標のECパネル(例えば、ECパネル14)の透明度率C(t)の変化が完了しているからである。
【0082】
ステップS3の処理で、上記座標(x,y)を用いた部分領域11の透明度変更指定が生じていない場合(ステップS3;No)、表示装置1動作が終了していない限り(ステップS14;No)、ステップS3の処理に戻る。言い換えれば、上記座標(x,y)を用いた部分領域11の透明度変更指定が生じるまで、ステップS4以降の処理を行わない待機状態が継続する。表示装置1の動作が終了することで(ステップS14;Yes)、ECパネルの動作に係る処理は、終了する。
【0083】
図12は、ホスト40によるアプリケーションの実行処理に伴う表示装置1の動作の流れの一例を示すフローチャートである。ホスト40がアプリケーションの実行処理を開始することで、ホスト40は、動作中のホスト40、すなわち、アプリケーションが動作している状態のホスト40になる(ステップS21)。なお、この時点では、例えば図2に示すように、全ての部分領域11が最高の透明度率C(t)(100%)の状態であるとする。
【0084】
アクティブエリアAA1外のタッチ検出をOFFにする指示があった場合(ステップS22;Yes)、動作中のホスト40は、アクティブエリアAA1外の透明度低下指定をONにする(ステップS23)。係る透明度低下指定のONは、上記トリガーとして機能する。すなわち、動作中のホスト40の制御下で、EC制御回路21によって上記制御信号が出力される。これによって、例えば図4を参照して説明した状態になるように、透光制御部10が動作する。
【0085】
ステップS23の処理後、アクティブエリアAA1の位置変更指定があった場合(ステップS24;Yes)、動作中のホスト40は、位置変更後のアクティブエリアAA1の位置に対応した透光制御部10の透明度制御を行う(ステップS25)。具体例を挙げると、例えば図4に示すスイッチ132に接続されたECパネル14の透明度率C(t)を低下させ、スイッチ13(v-3)に接続されたECパネル14の透明度率C(t)を高めることで、アクティブエリアAA1のY方向の位置を図4に示す例よりも相対的に下に変更できる。このようなアクティブエリアAA1の位置変更は、ホスト40が取得した位置変更指定(例えば、ユーザの入力)に対応して行われる。
【0086】
また、タッチ検出のアクティブエリアAA1限定を解除する指定があった場合(ステップS26;Yes)、動作中のホスト40は、アクティブエリアAA1外の透明度低下指定をOFFにする(ステップS27)。係る透明度低下指定のOFFは、上記トリガーとして機能する。すなわち、動作中のホスト40の制御下で、EC制御回路21によって上記制御信号が出力される。これによって、例えば図4を参照して説明した状態から図2を参照して説明した状態になるように、透光制御部10が動作し、全ての部分領域11が最高の透明度率C(t)(100%)の状態になる。一方、タッチ検出のアクティブエリアAA1限定を解除する指定がない場合(ステップS26;No)、ステップS23の処理によって生じたアクティブエリアAA1外の透明度低下状態が維持される(ステップS29)。
【0087】
なお、ステップS24の処理で、アクティブエリアAA1の位置変更指定がない場合(ステップS24;No)、ステップS26の処理に移行する。また、ステップS22の処理で、アクティブエリアAA1外のタッチ検出をOFFにする指示がない場合(ステップS22;No)、ホスト40によるアプリケーションの実行処理が終了しない限り(ステップS30;No)、ステップS22の処理に戻る待機状態が継続する。ホスト40によるアプリケーションの実行処理が終了することで(ステップS30;Yes)、ホスト40によるアプリケーションの実行処理に伴う表示装置1の動作に係る処理は、終了する。
【0088】
以上、図2を参照して説明した透光制御部10の構成に基づいた表示装置1の説明を行ったが、表示装置1でエレクトロクロミズムを利用するための具体的な構成は、透光制御部10に限られるものでない。
【0089】
図13は、透光制御部10Aの構成例を示す模式図である。透光制御部10Aは、X方向に並ぶ複数のECパネル14と、第1スイッチ12と、を有する。図13では、ECパネル14のうち、透明度率C(t)が100%の状態となるよう制御されたものを第1状態14aとして示している。また、ECパネル14のうち、透明度率C(t)が0%の状態となるよう制御されたものを第2状態14bとして示している。透光制御部10Aが採用された構成では、例えば図13に示す第1状態14aの領域と、アクティブエリアとして扱われる表示領域AAと、を対応させることで、図2を参照して説明した透光制御部10と概ね同様の機能を提供できる。
【0090】
図14は、透光制御部10Bの構成例を示す模式図である。図14に示す透光制御部10Bは、図2を参照して説明した透光制御部10の構成に、さらにサブエリアAA2を設定可能に設けられている。サブエリアAA2は、上記第1層及び上記第2層のECパネル14が、他の座標とは独立して設けられた領域である。図示しないが、第1スイッチ12及び第2スイッチ13と同様にECパネル14の動作を制御するためのスイッチが、サブエリアAA2のために個別に設けられる。例えば、サブエリアAA2の透明度率C(t)をアクティブエリアAA1と同様に高くすることで、サブエリアAA2を画像の表示出力及びタッチ検出と組み合わせた特定の用途に利用できる。特定の用途の例として、アプリケーションに対する特定の入力のためのボタン表示及びタッチ検出等が挙げられる。無論、特定の用途が不要な場合には、透光制御部10Bは、図4を参照して説明した透光制御部10の状態と同様の状態も再現できる。
【0091】
透光制御部10に代えて、透光制御部10A又は透光制御部10Bが設けられてもよいし、ECパネル(例えば、ECパネル14)の異なる配置が採用された他の構成が透光制御部10に代えて採用されてもよい。
【0092】
以上説明したように、実施形態によれば、表示装置(例えば、表示装置1)は、画像を表示出力する表示領域(例えば、表示領域AA)を有する表示部(例えば、表示パネル60)と、当該表示領域を含むタッチ検出領域(例えば、タッチ検出領域TA)に対するタッチ検出を行うタッチ検出部(例えば、タッチパネル70)と、当該タッチ検出領域をカバーする透光制御領域(例えば、透光制御領域ECA)における透光の度合いを制御可能に設けられた透光制御部(例えば、透光制御部10)と、を備える。当該透光制御部は、エレクトロクロミック物質(例えば、EC物質105)を挟んで対向する2つの電極(例えば、第1電極103、第2電極104)を有する。当該透光制御領域は、それぞれ異なる透光の度合いを設定可能な複数の部分領域(例えば、部分領域11等)を含む。従って、区分を明示したい複数の領域の透光の度合いが異なるよう、部分領域の透光の度合いを設定することで、領域の区分を明示できる。
【0093】
また、複数の部分領域(例えば、図13に示すECパネル14)は第1方向(例えば、X方向)に並び、部分領域の長手方向は、当該第1方向に直交する第2方向(例えば、Y方向)に沿う。これによって、当該第1方向について、領域の区分を明示できる。
【0094】
また、複数の部分領域(例えば、部分領域11)はマトリクス状に配置されている。これによって、行列方向について二次元的に領域の区分を明示できる。
【0095】
また、表示部(例えば、表示パネル60)は液晶ディスプレイパネルである。従って、液晶ディスプレイパネルを採用することで得られる画質、表示効果等を表示装置1の機能に含めることができる。
【0096】
また、複数の部分領域(例えば、部分領域11等)のうち、透光の度合いが第1レベル(例えば、透明度率C(t)がα%以上)の領域では画像の表示出力及びタッチ検出が行われ、当該複数の部分領域のうち、透光の度合いが当該第1レベルよりも低い第2レベル(例えば、透明度率C(t)がβ%以上α%未満)の領域では画像の表示出力が行われ、タッチ検出が行われず、当該複数の部分領域のうち、透光の度合いが当該第2レベルよりも低い第3レベル(例えば、透明度率C(t)がβ%未満)の領域では画像の表示出力及びタッチ検出が行われない。これによって、タッチ検出が行われない領域やタッチ検出及び画像の表示出力が行われない領域と、画像の表示出力及びタッチ検出が行われる領域と、の区分を明示できる。
【0097】
また、透光制御部による透光の度合いの制御範囲における最高の透光の度合いを100%とし、最低の透光の度合いを0%とすると、上記第1レベルは、30%以上100%以下であり、上記第2レベルは、20%以上30%未満であり、上記第3レベルは、0%以上20%未満であってよい。これによって、タッチ検出が行われない領域を暗く見せることができる。また、タッチ検出及び画像の表示出力が行われない領域を、より暗く見せることができる。
【0098】
また、透光制御部(例えば、透光制御部10,10A,10B)は、複数のエレクトロクロミックパネル(例えば、ECパネル14)を有する。これによって、エレクトロクロミズムを利用して領域の区分を明示できる。
【0099】
また、複数のエレクトロクロミックパネル(例えば、ECパネル14)の各々による透光の度合いは、個別に制御可能に設けられている。従って、複数のエレクトロクロミックパネルの各々の透光の度合いを異ならせることで、領域の区分を明示できる。
【0100】
また、透光制御部は、エレクトロクロミックパネル(例えば、ECパネル14)を有し、当該エレクトロクロミックパネルが透光の度合いを変化させるように動作する場合の時間と透光の度合いの変化との関係を示すデータ(例えば、LUT33)を記憶する記憶部(例えば、記憶部32)と、当該データに基づいて当該エレクトロクロミックパネルの透光の度合いの特定に係る演算を行う演算部(例えば、係数選択部34、第1演算部35、第2演算部36、積分演算部37)と、を備える。これによって、当該エレクトロクロミックパネルの透光の度合いをモニタリングできることから、透光の度合いを変化させる動作中に透光の度合いの変化の方向性を変更することが行われた場合においても、当該エレクトロクロミックパネルの状態を示す情報をより的確に取得した状態での表示装置1の動作制御を行える。
【0101】
また、エレクトロクロミックパネル(例えば、ECパネル14)が透光の度合いを変化させるように動作する場合の時間(t)と透光の度合い(透明度率C(t))の変化との関係は、上記式(1)に基づく。これによって、当該時間と当該透光の度合いとの関係を定性的なものとして扱うことができる。
【0102】
なお、上記実施形態では、表示パネル60が液晶ディスプレイパネルであるが、これに限られるものでない。表示パネル60は、OLED(Organic Light Emitting Diode)パネルのような自発光型のディスプレイパネルであってもよい。OLEDパネルが採用された場合、バックライト80は不要である。
【0103】
また、部分領域を設ける具体的な方法は、複数のECパネル(例えば、ECパネル14)を複数並べたりZ方向に重ね合わせたりすることによるものに限定されない。例えば、1枚のECパネルに複数の電極を設け、個別の電極が設けられたエリアを個別の部分領域として動作させるようにしてもよい。
【0104】
また、ECパネルの具体的構成は、図3を参照して説明したECパネル14に限定されるものでなく、他の積層構造を有しながらもECパネル14と同様に機能する構成が採用されていてもよい。
【0105】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0106】
1 表示装置
10 透光制御部
11 部分領域
14 ECパネル
30 EC状態演算回路
32 記憶部
33 LUT
34 係数選択部
35 第1演算部
36 第2演算部
37 積分演算部
60 表示パネル
70 タッチパネル
103 第1電極
104 第2電極
105 EC物質
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14