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特開2023-143004機能部品組立体およびそれを備えたタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143004
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】機能部品組立体およびそれを備えたタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B60C19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050181
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 太智
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BA02
3D131BA08
3D131BB01
3D131BC36
3D131CB11
3D131LA03
3D131LA05
(57)【要約】
【課題】機能部品を支持体に挿入する際の作業性を損なうことなく、機能部品の脱落を防止することを可能にした機能部品組立体と、それを備えたタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品20と、機能部品20を収容してタイヤ内表面に取付けられる支持体30と、支持体30に装着される補助体40とからなる機能部品組立体10において、補助体40の拘束部41によって支持体30の側壁30Aの少なくとも上端側の周囲を囲み、側壁30Aの上端側を支持体30の収容部31の中心に向かって拘束し、補助体40を支持体30に装着した状態における拘束部41の内面上端位置での拘束部41の最大幅Rabと、補助体40を支持体30に装着しない状態における最大幅Rabに対応する位置での拘束部41の幅Rab’とがRab≧Rab’の関係を満たすようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品と、前記機能部品を収容してタイヤ内表面に取付けられる支持体と、前記支持体に装着される補助体とからなる機能部品組立体であって、
前記支持体は、シート状の基部と、前記基部の一方の面から突き出した側壁からなり前記機能部品を収容する収容部とを備え、前記基部の他方の面がタイヤ内表面への取付面であり、
前記補助体は、前記側壁の少なくとも上端側の周囲を囲む拘束部を含み、前記拘束部の内面が前記側壁の外表面に接して前記側壁の上端側を前記収容部の中心に向かって拘束する形状を有し、
前記収容部の中心を通る断面において、前記補助体を前記支持体に装着した状態における前記拘束部の内面上端位置での前記拘束部の最大幅Rabと、前記補助体を前記支持体に装着しない状態における前記最大幅Rabに対応する位置での前記拘束部の幅Rab’とがRab≧Rab’の関係を満たすことを特徴とする機能部品組立体。
【請求項2】
前記最大幅Rabと前記幅Rab’とが1<Rab/Rab’<2の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の機能部品組立体。
【請求項3】
前記収容部の中心を通る断面において、前記補助体を前記支持体に装着した状態における前記拘束部の内面下端位置での前記拘束部の最大幅Rcdと、前記補助体を前記支持体に装着しない状態における前記最大幅Rcdに対応する位置での前記拘束部の幅Rcd’とが1<Rcd/Rcd’<2の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の機能部品組立体。
【請求項4】
前記収容部の中心を通る断面において、前記拘束部の高さHと前記側壁の高さH’とが0.1≦H/H’≦1かつ2mm≦Hの関係を満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項5】
前記補助体を前記支持体に装着しない状態における前記補助体の厚さTが0.5mm≦T≦8mmであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項6】
前記支持体と前記補助体とが、係止部を介して固定され、
前記係止部は、嵌合凹部と嵌合凸部とからなる対で構成され、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合することで前記支持体を前記補助体とを固定し、
前記嵌合凹部および前記嵌合凸部の一方は前記収容部の前記側壁に設けられ、前記嵌合凹部および前記嵌合凸部の他方は前記拘束部の内面に設けられることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項7】
前記収容部の中心を通る断面において、前記拘束部の上端から前記係止部の最下点までの高さ方向距離hと前記拘束部の高さHとが、0.1≦h/H≦1かつ1mm≦hの関係を満たすことを特徴とする請求項6に記載の機能部品組立体。
【請求項8】
前記嵌合凸部の突き出し量をLefとし、前記嵌合凸部の厚さをLHとし、前記嵌合凹部の位置における前記拘束部または前記側壁の最小厚さをLghとしたとき、これらがLgh>Lefかつ0.3mm<Lef<5.0mmかつ0.10≦Lef/LH≦3.00の関係を満たすことを特徴とする請求項6または7に記載の機能部品組立体。
【請求項9】
前記機能部品の外形が円柱状であり、前記収容部が前記機能部品に対応する円筒状であり、前記側壁の周上における前記係止部の投影長さの合計が前記側壁の周長の3/4倍~1倍であることを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項10】
前記収容部の前記側壁の高さ方向および前記拘束部の高さ方向に沿って複数の係止部が設けられたことを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項11】
前記機能部品の外形が円柱状であり、前記収容部が前記機能部品に対応する円筒状であり、前記係止部が螺旋状に設けられたことを特徴とする請求項6~10のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項12】
前記補助体を構成するゴムまたは樹脂の室温下での100%伸長時のモジュラスが0.5MPa以上40.0MPa未満であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の機能部品組立体がタイヤ内表面に取付けられたことを特徴とするタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品とその支持体とからなる機能部品組立体と、それを備えたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内圧や温度等のタイヤ内部情報を取得するセンサを含むセンサユニット(機能部品)をタイヤ内腔に設置することが行われている。このような機能部品をタイヤ内表面に取り付けるために、機能部品の台座として機能する支持体をタイヤ内表面に接着し、その支持体の内部に機能部品を収納することが行われている(例えば、特許文献1,2を参照)。このような支持体を用いる場合、支持体によって機能部品が十分に保持されていないと、走行時の衝撃等で機能部品が脱落したり、破損する虞があった。そのため、特許文献1,2の支持体では、機能部品が挿入される開口部(特許文献1の「開口3」、特許文献2の「開口部4」)が狭く構成され、機能部品の脱落が防止されている。しかしながら、支持体の開口部が狭いと、機能部品を支持体に挿入することが困難になり、作業性が低下するという問題があった。そのため、機能部品を支持体に挿入する際の作業性を損なうことなく、機能部品の脱落を防止するための対策が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015‐160512号公報
【特許文献2】国際公開第2008/143326号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、機能部品を支持体に挿入する際の作業性を損なうことなく、機能部品の脱落を防止することを可能にした機能部品組立体と、それを備えたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の機能部品組立体は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品と、前記機能部品を収容してタイヤ内表面に取付けられる支持体と、前記支持体に装着される補助体とからなる機能部品組立体であって、前記支持体は、前記機能部品を収容する収容部を備え、前記収容部は、前記機能部品の周囲を囲む側壁と、前記機能部品を収容した際に前記機能部品の底面が当接する接触面とを含み、前記補助体は、前記側壁の少なくとも上端側の周囲を囲む拘束部を含み、前記拘束部の内面が前記側壁の外表面に接して前記側壁の上端側を前記収容部の中心に向かって拘束する形状を有し、前記収容部の中心を通る断面において、前記補助体を前記支持体に装着した状態における前記拘束部の内面上端位置での前記拘束部の最大幅Rabと、前記補助体を前記支持体に装着しない状態における前記最大幅Rabに対応する位置での前記拘束部の幅Rab’とがRab≧Rab’の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、機能部品を収容する支持体に加えて、機能部品の脱落を防止するための補助体を用いているので、支持体の収容部の開口については作業性を良好にするために広く設計することが可能になる。一方で、補助体が支持体の側壁の少なくとも上端側を収容部の中心に向かって拘束するので、機能部品の脱落を効果的に防止することができる。特に、補助体を支持体に装着した状態における拘束部の内面上端位置での拘束部の最大幅Rabと、補助体を支持体に装着しない状態における最大幅Rabに対応する位置での拘束部の幅Rab’とがRab≧Rab’の関係を満たすので、補助体によって収容部を拘束する効果を良好に発揮することができ、機能部品の脱落を効果的に防止することができる。
【0007】
本発明においては、最大幅Rabと幅Rab’とが1<Rab/Rab’<2の関係を満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、補助体によって収容部を拘束する効果を更に良好に発揮することができ、機能部品の脱落を防止するには有利になる。
【0008】
本発明においては、収容部の中心を通る断面において、補助体を支持体に装着した状態における拘束部の内面下端位置での拘束部の最大幅Rcdと、補助体を支持体に装着しない状態における最大幅Rcdに対応する位置での拘束部の幅Rcd’とが1<Rcd/Rcd’<2の関係を満たすことが好ましい。これにより、補助体が支持体の側壁の少なくとも上端側だけでなく下端側も拘束するので、機能部品の脱落を防止するには有利になる。
【0009】
本発明においては、収容部の中心を通る断面において、拘束部の高さHと側壁の高さH’とが0.1≦H/H’≦1かつ2mm≦Hの関係を満たすことが好ましい。このように拘束部が十分な高さを有することで、補助体によって収容部を拘束する効果を良好に発揮することができ、機能部品の脱落を効果的に防止することができる。
【0010】
本発明においては、補助体を支持体に装着しない状態における補助体の厚さTが0.5mm≦T≦8mmであることが好ましい。このように補助体が適度な厚さを有することで、補助体の耐久性を確保しながら、補助体を装着する際の作業性を良好に確保することができる。
【0011】
本発明においては、支持体と補助体とが、係止部を介して固定され、係止部は、嵌合凹部と嵌合凸部とからなる対で構成され、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合することで支持体を補助体とを固定し、嵌合凹部および嵌合凸部の一方は収容部の側壁に設けられ、嵌合凹部および嵌合凸部の他方は拘束部の内面に設けられることが好ましい。このように、嵌合凹部と嵌合凸部とからなる対で構成された係止部を設けることで、補助体が支持体に強固に固定され、支持体および補助体の中に収納された機能部品の脱落を効果的に防止することが可能になる。
【0012】
上記のように係止部を設ける場合、収容部の中心を通る断面において、拘束部の上端から係止部の最下点までの高さ方向距離hと拘束部の高さHとが、0.1≦h/H≦1かつ1mm≦hの関係を満たすことが好ましい。このように係止部を拘束部の高さ方向の適切な位置に配置することで、係止部によって補助体を支持体に強固に固定する効果を良好に発揮することができる。
【0013】
上記のように係止部を設ける場合、嵌合凸部の突き出し量をLefとし、嵌合凸部の厚さをLHとし、嵌合凹部の位置における拘束部または側壁の最小厚さをLghとしたとき、これらがLgh>Lefかつ0.3mm<Lef<5.0mmかつ0.10≦Lef/LH≦3.00の関係を満たすことが好ましい。これにより係止部が適度な大きさになるため、係止部自体の耐久性を確保したり、係止部を設けることによる拘束部または側壁への負荷を軽減することができ、係止部による効果を良好に発揮するには有利になる。
【0014】
上記のように係止部を設ける場合、機能部品の外形が円柱状であり、収容部が機能部品に対応する円筒状であり、側壁の周上における係止部の投影長さの合計が側壁の周長の3/4倍~1倍であることが好ましい。機能部品の外形が円柱状かつ収容部が機能部品に対応する円筒状である態様の場合、上記のように側壁の周上における係止部の長さを確保することで、補助体を支持体に強固に固定するには有利になる。
【0015】
本発明においては、収容部の側壁の高さ方向および拘束部の高さ方向に沿って複数の係止部が設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、複数の係止部のそれぞれによって補助体が支持体に固定されるので、より強固な固定が可能になり、機能部品の脱落を防止するには有利になる。
【0016】
本発明においては、機能部品の外形が円柱状であり、収容部が機能部品に対応する円筒状であり、係止部が螺旋状に設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、螺旋状の係止部が実質的にネジとして機能するので、補助体を回転させて支持体に固定することができ、より強固且つ安定的な固定が可能になる。
【0017】
本発明においては、補助体を構成するゴムまたは樹脂の室温下での100%伸長時のモジュラスが0.5MPa以上40.0MPa未満であることが好ましい。これにより、補助体を装着する際の作業性を確保しながら、補助体による拘束力を良好に発揮することが可能になる。尚、補助体を構成するゴムまたは樹脂の100%伸張時のモジュラスは、JIS‐K6251に準拠して測定したものである。
【0018】
本発明の機能部品組立体はタイヤ内表面に取り付けて使用される。本発明の機能部品組立体がタイヤ内表面に取付けられたタイヤ(以下、「本発明のタイヤ」という)は、本発明の機能部品組立体の上述の特徴により、機能部品を支持体に収容する際の作業性は良好に確保しながら、機能部品の脱落を効果的に防止することができる。尚、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであってもよい。空気入りタイヤの場合は、その内部に空気、窒素等の不活性ガスまたはその他の気体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。
図2図1のタイヤに取り付けられた機能部品組立体を示す斜視断面図である。
図3】本発明の実施形態からなる機能部品組立体を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の別の実施形態からなる機能部品組立体を模式的に示す断面図である。
図5】本発明の別の実施形態からなる機能部品組立体を模式的に示す断面図である。
図6】本発明の別の実施形態からなる機能部品組立体を示す斜視断面図である。
図7】本発明の別の実施形態からなる機能部品組立体を示す斜視断面図である。
図8】機能部品組立体に含まれる補助体を拡大して示す斜視断面図である。
図9】本発明の別の実施形態からなる機能部品組立体を示す斜視断面図である。
図10】係止部の一例を拡大して示す説明図である。
図11】係止部の別の例を示す説明図である。
図12】係止部の別の例を示す説明図である。
図13】本発明の別の実施形態からなる支持体を示す正面図および斜視断面図である。
図14】本発明の別の実施形態からなる機能部品組立体を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
本発明の機能部品組立体が取り付けられるタイヤ(空気入りタイヤ)は、例えば図1に示すように、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
【0022】
左右一対のビード部3間にはタイヤ径方向に延びる複数本の補強コード(以下、カーカスコードという)を含むカーカス層4が装架されている。各ビード部には、ビードコア5が埋設されており、そのビードコア5の外周上に断面略三角形状のビードフィラー6が配置されている。カーカス層4は、ビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。これにより、ビードコア5およびビードフィラー6はカーカス層4の本体部(トレッド部1から各サイドウォール部2を経て各ビード部3に至る部分)と折り返し部(各ビード部3においてビードコア5の廻りに折り返されて各サイドウォール部2側に向かって延在する部分)とにより包み込まれている。
【0023】
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図示の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コード(以下、ベルトコードという)を含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、ベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定することができる。ベルト層7を構成するベルトコードとしては、例えばスチールコードが好ましく使用される。
【0024】
更に、ベルト層7の外周側には、ベルトカバー層8が設けられている。ベルトカバー層8は、タイヤ周方向に配向する補強コード(以下、カバーコードという)を含む。ベルトカバー層8において、カバーコードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定することができる。ベルトカバー層8としては、ベルト層7の幅方向の全域を覆うフルカバー層8aや、ベルト層7のタイヤ幅方向の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層8bをそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて設けることができる(図示の例では、フルカバー層8aおよびエッジカバー層8bの両方が設けられている)。ベルトカバー層8を構成するカバーコードとしては、例えばナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0025】
本発明は、主として後述の機能部品組立体10に関するものであるので、機能部品組立体10が装着されるタイヤの基本的な構造は上述のものに限定されない。
【0026】
図1の例では、タイヤ内表面(トレッド部1のタイヤ幅方向中心)に、機能部品組立体10が取り付けられている。機能部品組立体10の取付位置は特に限定されないが、機能部品組立体10に含まれるセンサがタイヤトレッド情報を取得する場合は、図示のように、機能部品組立体10はトレッド部1のタイヤ幅方向中心に設けるとよい。
【0027】
図2に拡大して示すように、機能部品組立体10は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品20と、機能部品20を収容してタイヤ内表面に取付けられる支持体30と、支持体30に装着される補助体40とで構成される。補助体40は、後述のように、機能部品20を収容した支持体30の例えば開口部に装着されて、機能部品20が支持体30から脱落することを防止するための部材である。
【0028】
機能部品20は、例えば図2に示すように、筐体21と電子部品22とを含むものである。筐体21は中空構造を有し、その内部に電子部品22を収容する。電子部品22は、タイヤ情報を取得するためのセンサ23、送信機、受信機、制御回路及びバッテリー等を適宜含むように構成される。センサ23により取得されるタイヤ情報としては、空気入りタイヤの内部温度や内圧やトレッド部1の摩耗量、路面状態、タイヤ変形、接地長、接地幅、荷重、振動、車輪回転速度、加速度等を挙げることができる。例えば、内部温度や内圧の測定には温度センサや圧力センサが使用される。トレッド部1の摩耗量を検出する場合、センサ23として、タイヤ内表面に直接または間接的に当接する圧電センサ(圧電素子)を用いることができ、その圧電センサ(圧電素子)が走行時のタイヤ変形、振動、衝撃に応じた出力電圧を検出し、その出力電圧に基づいてトレッド部1の摩耗量を検出する。尚、圧電センサ(圧電素子)は、タイヤ内表面に対して筐体21や後述の支持体を介して間接的に当接していても走行時のタイヤ変形、振動、衝撃に応じた出力電圧を検出することができる。それ以外に、加速度センサや磁気センサを使用することも可能である。また、機能部品20は、センサ23により取得されたタイヤ情報をタイヤ外部に送信するよう構成されている。このタイヤ情報の送信は、定期的かつ自動的に行われるようにするとよい。尚、図2に示す機能部品20の内部構造は機能部品の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0029】
機能部品20(筐体21)の外形は、特に限定されないが、図3に示すように、タイヤ内表面に直接または間接的に当接する底面20Aと、タイヤ内腔側に面する上面20Bと、これら底面20Aと上面20Bとの間に介在して後述の支持体の側壁に当接する側面20Cとを有することが好ましい。そのような形状としては、円柱状(図2)や直方体状(不図示)を挙げることができる。尚、いずれの場合も、厳密な円柱や直方体である必要はなく、例えば角部が面取りされていてもよい。また、図示のように側面20Cが断面において直線状である必要はなく、側面20Cが円弧状(例えば支持体30の側壁30Aに向かって凸となる湾曲形状)であってもよい。
【0030】
支持体30は、機能部品20を収容するものである。支持体30は、図3に示すように、機能部品20が挿入される収容部31を有する。図示の例では、シート状の基部32の一方側の面に収容部31が設けられ、他方側の面がタイヤ内表面に対して取り付けられる取付面である。支持体30は、タイヤ内表面に加硫接着してもよく、加硫済みのタイヤに接着層Aを介して接着してもよい。支持体30は例えばゴム製であるとよい。即ち、支持体30がゴム製であると、収容部31から機能部品20を出し入れする際に伸び縮みするので好適である。
【0031】
支持体30の材料として、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)等を例示することができ、単独または二種以上を混合したブレンド体を用いることができる。これらの材料はタイヤ内表面を構成するブチルゴムとの接着性に優れているので、支持体30が上記材料から構成された場合、支持体30とタイヤ内表面との十分な接着性を確保することができる。
【0032】
支持体30を構成するゴムの物性は特に限定されないが、機能部品20を支持体30(収容部31)に挿入する際の作業性、支持体30による機能部品20の保持性、支持体30の耐破断性等の観点から、破断伸びEBは好ましくは50%~900%、300%伸張時のモジュラスは好ましくは2MPa~16MPaであるとよい。このような物性とすることで、前述の各特性(機能部品20を支持体30に挿入する際の作業性、支持体による機能部品20の保持性、支持体30の耐破断性)をバランス良く改善することができる。
【0033】
支持体30の収容部31は、機能部品20の周囲を囲む側壁30Aと、機能部品を収容した際に機能部品20の底面20Aが当接する接触面30Bとを含む。収容部31は、機能部品20(筐体21)の外形に対応する形状を有するとよい。例えば、機能部品20(筐体21)の外形が円柱状の場合は、収容部30は、機能部品20(筐体21)の円柱状に対応した円筒状であるとよく、機能部品20(筐体21)の外形が直方体状の場合は、収容部30は、機能部品20(筐体21)が収まる直方体状の窪みであるとよい。或いは、後述の補助体40によって支持体30の側壁30Aの少なくとも上端側が収容部31の中心に向かって拘束されるので、機能部品20(筐体21)の外形と収容部31の形状が異なっていてもよい。
【0034】
支持体30はタイヤ内表面に取り付けられるので、必ずしも上述の接触面30Bを備える必要はない。即ち、図4に示すように、収容部31が機能部品20の周囲を囲む側壁30Aのみで構成されていてもよい。この場合、側壁30Aとタイヤ内表面とで囲まれた空間が収容部31となり、機能部品20を収容することができる。この場合、収容部31に収容された機能部品20はタイヤ内表面に直接接触するので、タイヤ情報を取得するには有利になる。この場合も、後述の補助体40によって支持体30の側壁30Aの少なくとも上端側が収容部31の中心に向かって拘束されるので、機能部品20の脱落は防止される。
【0035】
側壁30Aの上端側には、図3,4に示す例のように、収容部31の中心に向かって突き出た鍔部30Cを設けてもよい。鍔部30Cを設けた場合、収容部31に収納された機能部品20は鍔部30Cによって押さえられるため、収容部31の垂直方向への機能部品20の移動が規制され、機能部品20が支持体30から脱落するのを防止することができる。尚、鍔部30Cを設けた場合、収容部31の開口部は機能部品20(筐体21)よりも狭くなるが、前述のように支持体30はゴム等の柔軟な材料で構成されるので、鍔部30Cによって狭まった開口部を広げるように変形させることで、機能部品20を収容部31に収納することができる。
【0036】
図5(a),(b)に示すように上述の鍔部30Cを設けないこともできる。尚、図5(a)は、後述の補助体40を支持体30に装着した状態の機能部品組立体10の全体を示し、図5(b)は、後述の補助体40を支持体30に装着しない状態の支持体30を示す。この場合、側壁30Aの上端によって囲まれた部位が開口部となる。そのため、鍔部30Cによって狭まった開口部を広げる作業は不要になるため、機能部品20を収容部31に収納する際の作業性の面では有利である。この態様の場合、作業性を向上する観点から、図5(b)の補助体40を支持体30に装着しない状態において、側壁30Aの下端から上端に向かって収容部の面積が拡大するように側壁30Aを傾斜させてもよい。この場合、収容部31の開口部は機能部品20(筐体21)よりも広くなるが、後述の補助体40によって支持体30の側壁30Aの少なくとも上端側が収容部31の中心に向かって拘束されるので、機能部品20の脱落は防止される。
【0037】
補助体40は、前述のように、機能部品20を収容した支持体30の開口部に装着されて、機能部品20が支持体30から脱落することを防止するための部材である。補助体40は、図6に示すように、支持体30の側壁30Aの少なくとも上端側の周囲を囲む拘束部41を含む。この拘束部41は、その内面が側壁30Aの外表面に接して側壁30Aの上端側を収容部31の中心に向かって拘束する形状を有する。特に、図5の例では、拘束部41は、円筒状の収容部31に対応する環状に構成されている。前述のように、支持体30はゴム等の柔軟な材料で構成されるので、補助体40を装着することで、支持体30の側壁30Aの少なくとも上端側は、拘束部41によって収容部31の中心に向かって変形・拘束され、それにより機能部品20の脱落を防止することができる。拘束部41の形状は、支持体30の側壁30Aの少なくとも上端側を収容部31の中心に向かって拘束できれば、支持体30(収容部31)の開口部と異なる形状であってもよい。
【0038】
補助体40は、図7に示すように、支持体30の開口部を塞ぐ蓋部42を備えていてもよい。蓋部42を有する場合、拘束部41によって拘束されるだけでなく、蓋部42によって機能部品20が押さえられるので、機能部品20の脱落を防止するには有利になる。蓋部42は、図7(a)に示すように支持体30の開口部の全体を塞ぐ構造であってもよいが、図7(b)に示すように支持体30の開口部の少なくとも一部を覆っていればよい。特に、機能部品20に含まれるセンサ23がタイヤ内に充填された空気に接する必要がある場合は、測定の妨げにならないように図7(b)に示すように蓋部42に穴を設けたり、蓋部42が開口部の一部のみを限定的に覆うようにするとよい。
【0039】
前述のように補助体40の形状は特に限定されないが、図8に示すように、収容部31の中心を通る断面において、補助体40を支持体30に装着した状態における拘束部41の内面上端位置での拘束部41の最大幅を「最大幅Rab」とし、補助体40を支持体30に装着しない状態における最大幅Rabに対応する位置での拘束部41の幅を「幅Rab’」としたとき、これらがRab≧Rab’、好ましくはRab>Rab’の関係を満たすとよい。尚、図8は、寸法線を見やすくするために補助体40のみを抽出して示している。即ち、補助体40を支持体30に装着し、拘束部41が支持体30の側壁30Aの上端側を締め付けている状態において、拘束部41の幅が、補助体40を支持体30に装着しない状態以上に拡大するので、効果的に拘束部41による拘束力を負荷することができる。尚、上述の範囲は、Rab=Rab’の場合を含んでいるが、これは、支持体30の側壁30Aを構成する材料が柔軟であるために装着前後で拘束部41の幅が変動しない場合を意味する。
【0040】
上述の最大幅Rabおよび幅Rab’は、好ましくは1<Rab/Rab’<2、より好ましくは1.1≦Rab/Rab’≦1.5の関係を満たすとよい。これにより、補助体40を支持体30に装着する前後での拘束部41の幅の変動が適度な範囲に抑えられるので、拘束部41による効果的な拘束が可能になる。このとき、比Rab/Rab’が1以下であると、拘束部41による拘束力を十分に発揮することが難しくなる。比Rab/Rab’が2以上であると、装着前後での拘束部41の幅の変動が大きくなり、補助体40に負荷が係りやすく破損が生じる虞がある。
【0041】
上述の最大幅Rabおよび幅Rab’は拘束部41の内面上端位置での寸法であるが、拘束部41の内面下端位置での寸法も適切な範囲に設定することで、補助体40による効果を高めることができる。具体的には、収容部31の中心を通る断面において、補助体40を支持体30に装着した状態における拘束部41の内面下端位置での拘束部41の最大幅を「最大幅Rcd」とし、補助体40を支持体30に装着しない状態における最大幅Rcdに対応する位置での拘束部41の幅を「幅Rcd’」としたとき、これらが好ましくは1<Rcd/Rcd’<2、より好ましくは1.1≦Rcd/Rcd’≦1.5の関係を満たすとよい。これにより、補助体40を支持体30に装着する前後での拘束部41の幅の変動が適度な範囲に抑えられるので、拘束部41による効果的な拘束が可能になる。このとき、比Rcd/Rcd’が1以下であると、拘束部41による拘束力を十分に発揮することが難しくなる。比Rcd/Rcd’が2以上であると、装着前後での拘束部41の幅の変動が大きくなり、補助体40に負荷が係りやすく破損が生じる虞がある。
【0042】
収容部31の中心を通る断面において、収容部31の垂直方向に沿った拘束部41の最大長さを「高さH」としたとき、この高さHは2mm≦Hの関係を満たすことが好ましい。また、この高さHは、収容部31の中心を通る断面における側壁30Aの高さH’に対して、好ましくは0.1≦H/H’≦1、より好ましくは0.3≦H/H’≦1、更に好ましくは0.3≦H/H’≦0.8の関係を満たすとよい。このように拘束部41が側壁30Aに対して十分な高さを有することで、補助体40によって収容部31を拘束する効果を良好に発揮することができ、機能部品20の脱落を効果的に防止することができる。また、H/H’≦0.8とすることで作業性を向上することができる。拘束部41の高さHが2mm未満である場合や比H/H’が0.1未満である場合、補助体40(拘束部41)と支持体30との接触面積が小さくなるため、補助体40による拘束効果を十分に発揮できず、また補助体40が支持体30から外れやすくなるため、機能部品20の脱落を防止する効果が十分に得られなくなる。尚、収容部31の垂直方向に沿った拘束部41の長さは一定である必要はないが、応力を均一にする観点から収容部31の垂直方向に沿った拘束部41の長さは一定であることが好ましい。
【0043】
補助体40は、前述のように収容部31の周囲に装着されて収容部31を拘束するものであるので、適度な厚みを有することが好ましい。具体的には、補助体40を支持体30に装着しない状態における補助体40の厚さTが、好ましくは0.5mm≦T≦8mmであるとよい。このように補助体40が適度な厚さを有することで、補助体40の耐久性を確保しながら、補助体40を装着する際の作業性を良好に確保することができる。補助体40の厚さTが0.5mmより小さいと、補助体40が容易に破損・破断しやすくなる虞がある。補助体40の厚さTが8mmを超えると、補助体40を装着する際の作業性が低下する虞がある。尚、本発明の補助体40は少なくとも拘束部41で構成されるものであるので、上述の補助体40の厚さTは基本的に拘束部41の厚さを意味するが、上述の蓋部42を備える場合は、蓋部42の厚さについても上述の厚さTの範囲を満たすことが好ましい。
【0044】
補助体40は、例えばゴムまたは樹脂で構成することができる。ゴムまたは樹脂のいずれを用いる場合も、室温下での100%伸長時のモジュラスが0.5MPa以上40.0MPa未満であることが好ましい。これにより、補助体40を装着する際の作業性を確保しながら、補助体40による拘束力を良好に発揮することが可能になる。補助体40を構成するゴムまたは樹脂の100%伸長時のモジュラスが0.5MPa未満であると、補助体による拘束力を十分に確保することが難しくなる。補助体40を構成するゴムまたは樹脂の100%伸長時のモジュラスが40.0MPa以上であると、補助体40を装着する際の作業性が低下する虞がある。
【0045】
本発明では、補助体40を支持体30に対して強固に固定するために、支持体30および補助体40を、係止部50を介して固定するようにしてもよい。支持体30および補助体40に設けられる係止部50は、嵌合凸部51と嵌合凹部52とからなる対で構成され、図9に示すように、嵌合凸部51が嵌合凹部52に嵌合することで補助体40を支持体30に固定する。嵌合凸部51および嵌合凹部52の一方は支持体30側(側壁30A)に設けられ、嵌合凸部51および嵌合凹部52の他方は補助体40側(拘束部41)に設けられる。つまり、支持体30側に嵌合凸部51が設けられる場合(図9(a)の場合)は、補助体40側に嵌合凹部52が設けられる。逆に、補助体40側に嵌合凸部51が設けられる場合(図9(b)の場合)は、支持体30側に嵌合凹部52が設けられる。このように係止部50が収容部30の側壁30Aと補助体40の拘束部41とに設けられ、嵌合凸部51が嵌合凹部52に嵌合することで補助体40が支持体30に固定されると、補助体40が支持体30に強固に固定されるので、補助体40による拘束効果をより効果的に発揮することが可能になり、機能部品20の脱落を効果的に防止することができる。
【0046】
このように係止部50を設ける場合、図10に拡大して示すように、収容部31の中心を通る断面において、拘束部41の上端から係止部50の最下点までの高さ方向距離hと拘束部51の高さHとが、0.1≦h/H≦1かつ1mm≦hの関係を満たすことが好ましい。このように係止部を拘束部の高さ方向の適切な位置に配置することで、係止部によって補助体を支持体に強固に固定する効果を良好に発揮することができる。このとき、比h/Hが0.1未満あるいは高さhが1mm未満であると、係止部50によって補助体40を強固に固定する効果が十分に得られなくなる。
【0047】
上記のように係止部50を設ける場合、嵌合凸部51の最大突き出し量をLefとし、嵌合凸部51の厚さをLHとし、嵌合凹部52の位置における拘束部41または側壁30Aの最小厚さをLghとしたとき、これらがLgh>Lefかつ0.3mm<Lef<5.0mmかつ0.10≦Lef/LH≦3.00の関係を満たすことが好ましい。これにより係止部50が適度な大きさになるため、係止部50自体の耐久性を確保したり、係止部を設けることによる拘束部または側壁への負荷を軽減することができ、係止部による効果を良好に発揮するには有利になる。このとき、最大厚さLefが0.3mm以下であると嵌合凸部51の突き出し量が小さいため係止部50の嵌合によって補助体40を強固に固定する効果が十分に得られなくなる。最大厚さLefが5.0mm以上であると係止部50を嵌合させるために補助体40を大きく変形させる必要が生じるため作業性が悪化する。Lef/LHが0.10未満であると、嵌合凸部51の厚さLHに対して嵌合凸部51の突き出し量が小さくなるため係止部50の嵌合によって補助体40を強固に固定する効果が十分に得られなくなる。Lef/LHが3.00を超えると、嵌合凸部51の厚さLHに対して嵌合凸部51の突き出し量が過剰になるため嵌合凸部51の付け根に負荷が係りやすくなり、係止部50(嵌合凸部51)が破損する虞がある。
【0048】
尚、係止部50(嵌合凸部51)は、機能部品20の水平方向に沿って突き出している必要はない。例えば、図11(a)に示すように、支持体30側に設けられた嵌合凸部51の先端がタイヤ内表面側(図の下側)を向くように嵌合凸部51を傾斜させることができる。また、図11(b)に示すように、補助体40側に設けられた嵌合凸部51の先端がタイヤ内表面側(図の下側)を向くように嵌合凸部51を傾斜させることもできる。逆に、図11(c)に示すように、支持体30側に設けられた嵌合凸部51の先端がタイヤ内腔側(図の上側)を向くように嵌合凸部51を傾斜させることができる。また、図11(d)に示すように、補助体40側に設けられた嵌合凸部51の先端がタイヤ内腔側(図の上側)を向くように嵌合凸部51を傾斜させることもできる。これら態様のうち、図11(a)や図11(d)の態様では、機能部品が脱落する方向(タイヤ内腔側)に向かう力がかかったとしても係止部50が引っかかることから耐脱落性を向上することができる。また、図11(b)や図11(c)の態様では、機能部品20が脱落する方向(タイヤ内腔側)に向かう力がかかった際の係止力が図11(a)や図11(d)の態様と比べて低くなるが、係止部50に負荷がかかりにくいことから係止部50の耐破損性に優れる。
【0049】
また、個々の係止部50(嵌合凸部51)の断面形状は、図9~11に例示した矩形状に限定されない。例えば、図12(a)に示すように、一部に曲線・曲面部を含んでいてもよい。図12(a)の例では係止部50(嵌合凸部51)の先端の断面形状が半円形状になっている。この場合、曲線部に沿って滑らかに補助体40を装着できるので作業性を向上することができる。また、図12(b)に示すように、係止部50(嵌合凸部51)の断面形状が、先端に向かって先細る形状(例えば三角形状)であってもよい。この場合、支持体30または補助体40に係止部50を形成する際に、係止部50を成形しやすくなる。また、図12(c)に示すように、係止部50(嵌合凸部51)の根元部分よりも先端側に係止部50(嵌合凸部51)の厚さが大きくなる部位を設けてもよい。この場合、嵌合凸部51が嵌合凹部52から外れにくくなり耐脱落性を高めるには有利になる。
【0050】
上述の係止部50の様々な形状および寸法は、適宜組み合わせて採用することができる。尚、係止部50(嵌合凸部51)の断面形状が矩形状でない場合や傾斜している場合、上述の各部の寸法は、図示のように、水平方向または鉛直方向に沿って測定されるものとする。
【0051】
上述の係止部50を設けるにあたって、図13に示すように、機能部品20の外形が円柱状であり、収容部31が機能部品20に対応する円筒状であり、更に拘束部41が収容部31(側壁30A)に対応する円筒状である場合、係止部50(嵌合凸部51および嵌合凹部52)は側壁30Aおよび拘束部41の全周に亘って形成されている必要はない。図示の例では、複数の円弧状の係止部50(支持体30側に設けられた嵌合凸部51)が、側壁30Aに間欠的に設けられている(図示されていないが、補助体40側にはこの嵌合凸部51に対応する嵌合凹部52が設けられる)。このような態様では、側壁30Aの周上における係止部40の投影長さαの合計は側壁30Aの周長(全周)の好ましくは75%~100%、より好ましくは90%~100%であるとよい。このように側壁30A(および拘束部41)の周上に十分な量の係止部50を設けることで、補助体40を支持体30に強固に固定して機能部品20の脱落を防止するには有利になる。尚、補助体40を強固に固定する観点からは、係止部50は側壁30Aおよび拘束部40の全周に亘って形成されることが好ましいが、補助体40を着脱する際の操作性の観点から、上述の長さの範囲内で、係止部50を間欠的に設けることも好ましい。
【0052】
上述の係止部50は複数設けることができる。即ち、収容部31の側壁30Aの高さ方向および補助体40の拘束部41の高さ方向に沿って複数の係止部50が設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、複数の係止部50のそれぞれによって補助体40が支持体30に固定されるので、より強固な固定が可能になり、機能部品20の脱落を防止するには有利になる。更に、機能部品20の外形が円柱状であり、収容部31が機能部品20に対応する円筒状であり、拘束部41が収容部31(側壁30A)に対応する円筒状である場合、図14に示すように、係止部50を螺旋状に設けた仕様にすることもできる。螺旋状の係止部50を設けた仕様では、螺旋状の係止部50が実質的にネジとして機能するので、補助体40を回転させて収容部31に固定することができる。そのため、より強固且つ安定的な固定が可能になり、機能部品20の脱落を防止するには有利になる。
【0053】
上述の機能部品組立体を使用した場合、補助体40を取り外して補助体40による拘束を解除すれば、機能部品20を支持体30から容易に取り出すことが可能になる。そのため、支持体30をタイヤ内表面に固定する一方で、機能部品20および補助体40は支持体30から脱着可能である仕様にしてもよい。この仕様では、支持体30をタイヤ内表面に残した状態で、その中に収容される機能部品20や補助体40を交換することが可能になるので、環境負荷やコストを軽減する点で有利になる。
【0054】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0055】
タイヤサイズが275/40R21であり、図1に示す基本構造を有する空気入りタイヤのトレッド部の内表面に機能部品組立体を取り付けるにあたって、機能部品の仕様(補助体の有無、最大幅Rab、幅Rab’、比Rab/Rab’、最大幅Rcd、幅Rcd’、比Rcd/Rcd’高さH、高さH’、比H/H’、厚さT)を表1のように設定し、比較例1および実施例1~10の空気入りタイヤ(試験タイヤ)を製作した。
【0056】
尚、「最大幅Rab」は、収容部の中心を通る断面において、補助体を支持体に装着した状態における拘束部の内面上端位置での拘束部の最大幅である。「幅Rab’」は、補助体を支持体に装着しない状態における最大幅Rabに対応する位置での拘束部の幅である。「最大幅Rcd」は、収容部の中心を通る断面において、補助体を支持体に装着した状態における拘束部の内面下端位置での拘束部の最大幅である。「幅Rcd’」は、補助体を支持体に装着しない状態における最大幅Rcdに対応する位置での拘束部の幅である。「高さH」は、収容部の中心を通る断面における拘束部の高さ(収容部の垂直方向に沿った拘束部の最大長さ)である。「高さH’」は、収容部の中心を通る断面における支持体の側壁の高さである。「厚さT」は、補助体を支持体に装着しない状態における補助体(拘束部)の厚さである。
【0057】
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、耐脱落/破損性および作業性を評価し、その結果を表1~2に併せて示した。
【0058】
耐脱落/破損性
各試験タイヤを、リムサイズ21×9.5Jのホイールに組み付け、ドラム径1707mmのドラム試験機に装着し、空気圧を360kPaとし、最大負荷荷重の88%を負荷した状態で、走行速度をタイヤの速度記号に応じた基準速度から10分毎に10km/h増加させ、速度毎に機能部品の脱落の有無および機能部品組立体の破損状態を確認し、脱落または破損が発生した際の速度を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数で示し、指数値が大きいほど脱落や破損が発生した時の速度が大きく、耐脱落/破損性に優れることを意味する。
【0059】
作業性
各試験タイヤの内表面に予め支持体を取り付けておき、機能部品組立体を組み立てる作業(取り付け済みの支持体に機能部品を挿入し、補助体を有する場合は更に補助体を装着する作業)を10回行い、組立作業に要する平均時間を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用いて、従来例1を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど作業時間が短く、作業性に優れることを意味する。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から判るように、最大幅Rabと幅Rab’とがRab≧Rab’の関係を満たす補助体を使用した実施例1~10は、補助体を使用しない比較例1との対比において、耐脱落/破損性を良好に発揮しながら作業性を向上した。
【符号の説明】
【0062】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 機能部品組立体
20 機能部品
30 支持体
40 補助体
CL タイヤ赤道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14