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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143008
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/02 20060101AFI20230928BHJP
   B65D 30/14 20060101ALI20230928BHJP
   B65D 33/14 20060101ALI20230928BHJP
   B65D 33/04 20060101ALI20230928BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65D30/02 BSE
B65D30/14 J BRP
B65D33/14 A
B65D33/04
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050186
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】矢島 勲
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】大高 貞夫
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA01
3E064BA26
3E064BA27
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC20
3E064EA05
3E064HF10
3E064HG01
3E064HH10
3E064HL01
3E064HL05
3E064HP01
3E086AA23
3E086AC15
3E086AC22
3E086AC32
3E086AD01
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB21
3E086BB51
3E086BB85
3E086BB87
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA28
3E086CA40
(57)【要約】
【課題】破れにくく、シワが生じにくい包装袋を提供する。
【解決手段】紙を含む積層体で構成された包装袋であって、前記積層体は、前記紙で構成された紙層と、ポリエチレン樹脂で構成された第1樹脂層と、ポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成された第2樹脂層と、を含み、前記第2樹脂層の厚みが、3μm以上45μm以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を含む積層体で構成された包装袋であって、
前記積層体は、
前記紙で構成された紙層と、
ポリエチレン樹脂で構成された第1樹脂層と、
ポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成された第2樹脂層と、を含み、
前記第2樹脂層の厚みが、3μm以上45μm以下である、
包装袋。
【請求項2】
前記第1樹脂層の厚みが、10μm以上150μm以下である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
第2樹脂層が、前記紙層と前記第1樹脂層との間に積層されている、
請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記第1樹脂層が、前記包装袋の最内層に積層されている、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂の少なくとも1種を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記ポリエチレン樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項8】
前記積層体全体に対する前記紙層の質量比が、0.5以上である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項9】
前記包装袋の少なくとも一部が透明または半透明である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項10】
少なくとも底面を有する、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項11】
前記底面が、透明または半透明である、
請求項10に記載の包装袋。
【請求項12】
2枚の前記積層体が積層方向に接着されたシール部を有し、
前記シール部の厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDGsやカーボンニュートラルの観点から、プラスチックの減量化が求められている。その中で、従来から、包装袋の基材として、紙と樹脂を積層した積層体を用いる技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、セロファン、ナイロンまたはポリエステルからなる外層と、紙と、LLDPE(低圧法低密度ポリエチレン)を含有した樹脂からなる内層と、が積層された積層材の内層同士を接着した包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59-56031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の包装袋は、基材に紙が含まれていることで、包装袋としての強度が低下し、重量のある内容物や嵩張る内容物を入れたり、吊り下げたりすると破れやすく、また、包装袋にシワが生じやすい。
【0006】
本発明の課題は、破れにくく、シワが生じにくい包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示の一態様は、紙を含む積層体で構成された包装袋であって、前記積層体は、前記紙で構成された紙層と、ポリエチレン樹脂で構成された第1樹脂層と、ポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成された第2樹脂層と、を含み、前記第2樹脂層の厚みが、3μm以上45μm以下である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、破れにくく、シワが生じにくい包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】包装袋の正面図である。包装袋を構成するラミネート積層体の断面図である。
図2】第1実施形態の包装袋を構成するラミネート積層体の断面図である。
図3】第2実施形態の包装袋を構成するラミネート積層体の断面図である。
図4図1のA-A線断面図である。
図5図1のB-B線断面図である。
図6図1のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図における各部材の縮尺は、実際とは異なる場合がある。なお、各図では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、包装袋の短手方向をX方向とし、長手方向をY方向とし、厚み方向をZ方向とする。
【0011】
また、本明細書において、直交などの方向には、実施形態の作用、効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。直交には、略直交が含まれてもよい。
【0012】
図1は、本実施形態に係る包装袋の正面図である。図1において、包装袋100は、本実施形態に係る包装袋の一例である。なお、包装袋100は、例えば、パウチ、二方袋、三方袋、ガゼット袋等の各種の形状を有するものでもよい。このうちパウチは、スタンディングパウチ(自立型パウチともいう)を含む。なお、包装袋100がスタンディングパウチ(自立型パウチともいう)であると、多くの内容物を充填することができる上、生産性が良好なものとなるので好ましい。
【0013】
包装袋100は、積層体10で形成されている。また、包装袋100には、内容物として被包装体(図示せず)が収容される。被包装体(内容物)は、特に限定されず、例えば、固体、液体、又はこれらの混合物でもよい。なお、固体は、粉体又は粒体であってもよい。また、これらの内容物は、ボトル等の容器に充填された状態で包装袋100に収容してもよい。なお、容器の材質は、限定されず、例えば、ガラス製、樹脂製等である。
【0014】
内容物の用途は、特に限定されず、例えば、化粧品、医薬品、食料品、調味料、飲料、洗剤、接着剤などが挙げられる。また、これらの用途は、家庭用、工業用に限定されない。
【0015】
積層体10は、紙を含み、包装袋100の基材を構成する。積層体(基材)10は、紙層11、第1樹脂層12、第2樹脂層13で構成されている。
【0016】
紙層11は、基材10の基部を構成する。また、基層10Aは、上述の紙で構成されている。紙層11を構成する紙は、植物繊維を膠着させたもの(パルプ)である。紙におけるパルプ組成は、限定されず、例えば、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比が0:100~70:30であり、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、パルプには、古紙パルプが用いられていても良い。
【0017】
紙層11を構成する紙の材質は、特に限定されないが、例えば、クラフト紙で形成することができる。ここで、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙であり、晒クラフト紙と未晒クラフト紙がある。また、晒クラフト紙には、クラフト紙を白色まで漂白し、片面をプレスした片艶クラフト紙が含まれる。
【0018】
紙層11を構成する紙の坪量は、限定されないが、例えば、10g/m以上100g/m以下であり、好ましくは12g/m以上90g/m以下、より好ましくは30g/m以上80g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0019】
また、紙層11を構成する紙の厚みは、限定されないが、例えば、50μm以上500μm以下であり、好ましくは60μm以上400μm以下、より好ましくは70μm以上300μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0020】
積層体(基材)10における紙層11の比率は、例えば、積層体10全体に対する質量比として、0.3以上であり、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上である。なお、包装袋100の樹脂使用量削減という点で、積層体10における紙層11の比率は高い程好ましい。
【0021】
第1樹脂層12は、ポリエチレン樹脂で構成されている。第1樹脂層12を構成するポリエチレン樹脂は、特に限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。
【0022】
ここで、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、低圧下で重合され、直線状のポリエチレンに多くの側鎖が導入された嵩高の(密度が低い)ポリエチレンである。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)に比べて引張強度などの物理的強度、ヒートシールなどのシール強度、および剛性が高い。なお、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、低圧法低密度ポリエチレンともいう。
【0023】
第1樹脂層12は、紙層11の一方の面(または片面)側に積層されている。本実施形態では、第1樹脂層12は、紙層11との間に第2樹脂層13を挟んで積層され、積層体(基材)10のシーラントを構成する。
【0024】
また、第1樹脂層12は、包装袋100の内側に配置され、包装袋100の最内層に積層されている。ここで、包装袋100の内側は、包装袋100に被包装体が収容される側を示す。また、包装袋100の最内層は、包装袋100に収容された被包装体と接し得る最も内側の層である。
【0025】
第1樹脂層12の厚みは、限定されないが、好ましくは10μm以上150μm以下であり、より好ましくは20μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは30μm以上50μm以下である。なお、第1樹脂層12の厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0026】
第2樹脂層13は、ポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成されている。第2樹脂層13を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂またはポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂であることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂は、PET樹脂、PBT樹脂またはポリエステル系樹脂(但し、PET樹脂およびPBT樹脂を除く)の少なくとも1種を含むものでもよい。
【0027】
ここで、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、エチレングリコールとテレフタル酸から合成されるポリエステルである。ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、PETのエチレン(CHがブテン(CHに代ったものである。
【0028】
第2樹脂層13は、紙層11の一方の面または他方の面に積層されている。第1実施形態では、図2に示すように、第2樹脂層13が、紙層11と第1樹脂層12との間に積層されている。この場合、第2樹脂層13は、積層体(基材)10のバリア層を構成することができる。
【0029】
なお、第2樹脂層13の配置は、図2の例に限定されない。例えば、第2実施形態では、図3に示すように、紙層11の一方の面に第1樹脂層12が積層された状態で紙層11の他方の面(紙層11の第1樹脂層12が積層された面と反対側に面)に積層されていてもよい。この場合、第2樹脂層13は、積層体(基材)10の印刷層を構成することができる。
【0030】
第2樹脂層13の厚みは、限定されないが、好ましくは3μm以上45μm以下であり、より好ましくは5μm以上40μm以下であり、さらに好ましくは8μm以上35μm以下である。なお、第2樹脂層13の厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0031】
包装袋100は、袋本体20、下端シール部30、上端シール部40を有する。
【0032】
本実施形態では、図1に示すように、包装袋100が、互いに平面形状が同一である2枚の積層体(基材)10と、折り線32を中心にして2つ折りにされた底部フィルム31で構成されている。
【0033】
2枚の積層体(基材)10、10は、最内層の第1樹脂層12がそれぞれ内側になるように重ね合わされ、下端シール部30、側端シール部(側端23、24)、及び上端シール部40がヒートシールにより包装袋100の一部が溶着されることで、包装袋100が形成されている。
【0034】
袋本体20は、被包装体(内容物)が収容される。具体的には、袋本体20では、ヒートシールにより積層体10の一部が溶着された下端21、上端22、及び側端23、24の内側に空間Vが形成され、この空間Vに被包装体(内容物)が収容される(図4)。被包装体(内容物)は、包装袋100の製造時に袋本体20の上端22に形成された開口(図示せず)から袋本体20内に収容される。
【0035】
袋本体20の上端22寄りの側端23、24には、それぞれ切欠き50が形成されている。この切欠き50間を開裂することで、包装袋100を開封することができる。
【0036】
下端シール部30は、袋本体20の下端21に配置されている。下端シール部30には、折り線32を中心にして2つ折りにされた底部フィルム31が設けられている。下端シール部30は、各積層体10、10の下部側と底部フィルム31とが互いに対向する対向面の下端縁部同士がシールされることで形成されている(図5)。
【0037】
包装袋100では、2つ折りにされた底部フィルム31は、折り線32を中心に展開させることで、包装袋100の底面を構成する。また、展開した底部フィルム31により、包装袋100は自立することができる。なお、底部フィルム31は、本実施形態に係る包装袋が少なくとも有する底面の一例である。
【0038】
また、底部フィルム31は、上述の積層体10で形成してもよいし、積層体10以外の材質を用いてもよい。積層体10以外の材質を用いる場合は、透明または半透明であることが好ましい。透明または半透明の材質としては、例えば、ナイロン樹脂等を用いることができる。このような透明または半透明の底面は、本実施形態に係る包装袋の透明または半透明である少なくとも一部の一例である。
【0039】
なお、透明または半透明である包装袋の少なくとも一部は、底部フィルム31に限定されず、底部フィルム31を除いた包装袋の一部であってもよい。例えば積層体(基材)10の一部が透明または半透明であってもよい。
【0040】
上端シール部40は、袋本体20の上端22に配置されている。上端シール部40は、ヒートシールにより包装袋100の一部が溶着され、袋本体20の空間Vを封止する。
【0041】
上端シール部40の略中央には、厚み方向(Z方向)に貫通する貫通孔60が形成されている。貫通孔60は、棚等の設備に固定されたバー(図示せず)に挿通させることで、包装袋100を吊り下げることができる。
【0042】
なお、上端シール部40は、本実施形態に係る包装袋における2枚の積層体が積層方向に接着されたシール部の一例である。また、貫通孔60は、実施形態に係る包装袋に形成れているシール部の厚み方向に貫通する貫通孔の一例である。
【0043】
本実施形態の包装袋100は、上述のように、紙で構成された紙層11、ポリエチレン樹脂で構成された第1樹脂層12、及びポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成された厚みが3μm以上45μm以下の第2樹脂層13を含む積層体10で構成されている。
【0044】
これにより、本実施形態では、積層体(基材)10に紙が含まれている場合でも、包装袋としての強度が低下しにくく、重量のある内容物や嵩張る内容物を入れたり、吊り下げたりしたときに、包装袋が破れにくくなる。また、基材に紙が含まれている場合でも、包装袋にシワが生じにくくなる。さらに、基材に紙が含まれている場合でも、積層体(基材)10が引き裂きやすくなり、包装袋の開封が容易になる。
【0045】
本実施形態の包装袋100は、上述のように、第1樹脂層12の厚みが、10μm以上150μm以下であることで、包装袋の基材に紙が含まれる場合でも、包装袋の破れを抑制しながら、包装袋の開封性を向上させることができる。また、積層体(基材)10のシール性の低下を抑制することができる。
【0046】
本実施形態の包装袋100は、上述のように、第2樹脂層13が、紙層11と第1樹脂層12との間に積層されていることで、包装袋の破れを抑制しながら、包装袋にシワが生じにくくなる。なお、このような構成では、積層体(基材)10に紙層11が破れる程度の外力が加わっても、第1樹脂層12が紙層11に追随して破れることが抑制され、積層体(基材)10自体が破れにくいものとなる。
【0047】
本実施形態の包装袋100は、上述のように、第1樹脂層12が、包装袋100の最内層に積層されていることで、包装袋の基材に紙が含まれる場合でも、積層体(基材)10のシール強度の低下を抑制することができる。
【0048】
本実施形態の包装袋100は、上述のように、ポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂であることにより、あるいはポリエステル系樹脂、PET樹脂またはPBT樹脂の少なくとも1種を含むことにより、包装袋の破れをさらに抑制しながら、包装袋におけるシワの発生をさらも抑制することができる。
【0049】
本実施形態の包装袋100は、上述のように、ポリエチレン樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることで、積層体(基材)10のシール強度を向上させることができる。
【0050】
本実施形態の包装袋100は、上述のように、積層体10全体に対する紙層11の質量比が0.5以上であることで、包装袋100の樹脂量の大幅な削減が可能となり、環境負荷を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態の包装袋100では、紙で構成された紙層11、ポリエチレン樹脂で構成された第1樹脂層12、及びポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成された厚みが3μm以上45μm以下の第2樹脂層13を含む積層体10で構成されていることで、積層体10全体に対する紙層11の質量比が50%以上の場合でも、包装袋100のシール性を低下させずに、包装袋100の破れを抑制しながら、包装袋におけるシワの発生を抑制し、さらに包装袋の開封が容易になる。
【0052】
本実施形態の包装袋100では、上述のように、包装袋100の少なくとも一部が透明または半透明であることで、包装袋の基材に紙が含まれる場合でも、透明または半透明の一部から包装袋の内部を目視することができる。そのため、本実施形態では、包装袋に収容された被収容体(内容物)を外部から確認することができる。
【0053】
本実施形態の包装袋100では、上述のように、少なくとも底面(底部フィルム31)を有することで、包装袋100を自立させることができる(例えば、スタンディングパウチを構成することができる)。
【0054】
本実施形態の包装袋100では、上述のように、底面が透明または半透明であることで、包装袋の内部を目視できるようにするために、包装袋100の底面(底部フィルム31)以外の部分を透明または半透明にする必要がない。そのため、紙層11を含む積層体10で構成された包装袋100の一部に積層体10と異なる部材を適用する必要がないため、包装袋100の製造コストの増加を抑制することができる。
【0055】
本実施形態の包装袋100では、上述のように、2枚の積層体10、10が積層方向(LD方向)に接着されたシール部(第1樹脂層12)を有し、該シール部の包装袋100(上端シール部40)の厚み方向(Z方向)に貫通する貫通孔が形成されている。これにより、本実施形態では、貫通孔60は、棚等の設備に固定されたバー(図示せず)に挿通させることで、包装袋100を吊り下げることができる。
【0056】
また、本実施形態の包装袋100では、紙で構成された紙層11、ポリエチレン樹脂で構成された第1樹脂層12、及びポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成された厚みが3μm以上45μm以下の第2樹脂層13を含む積層体10で構成されていることで、上述のように、包装袋100を吊り下げた場合でも貫通孔60が破れにくいものとなる。
【実施例0057】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0058】
[吊り下げ穴の引っ張り強度]
それぞれ略長方形の2枚の積層体を重ね、一対の積層体の周縁(下端、上端、側端)をヒートシールで溶着し、上端のシール部の略中央に、厚み方向に貫通する貫通孔(吊り下げ穴)を形成した試験体の吊り下げ穴にフックを通してプッシュプルゲージで一定速度(100mm/min)で引っ張ったときの強度を測定した。500g程度の内容物を入れて吊り下げた場合でも吊り下げ穴が破れない強度として8N以上を設定した。評価は、以下の基準で行い、Aは良好、Cは不良と判定した。
A:引っ張り強度が10N以上
B:引っ張り強度が8N以上10N未満
C:引っ張り強度が8N未満
【0059】
[溶着強度]
2枚の積層体の端部5mmをヒートシールで溶着し、15mm幅の試験片の両端をプッシュプルゲージで一定速度(100mm/min)で引っ張ったときの、試験片が切れる強度を測定する。500g程度の内容物を入れた場合でも落下などの衝撃で破袋しない強度として10N以上を設定した。評価は以下の基準で行い、A、Bは良好、Cは不良と判定した。
A:溶着強度が15N以上
B:溶着強度が10N以上15N未満
C:溶着強度が10N未満
【0060】
[外観(シワ)]
積層体で構成された包装袋に被収容体(内容物)を入れたものを試験体として、積層体の表面にシワが発生したかを確認した。評価は以下の基準で行い、A、Bは良好、Cは不良と判定した。
A:シワは確認できなかった
B:表面の一部にシワを確認した
C:表面全体にシワが発生した
【0061】
[開封性試験]
2枚のシートをヒートシールで溶着した試験片に切れ込みを入れ、手で容易に切ることができるかどうかを確認した。評価は以下の基準で行い、A、Bは良好、Cは不良と判定した。
A:手で切れる
B:やや切れにくい
C:手では切れない
【0062】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0063】
[実施例1]
積層体の層構成を、紙(紙層)と30μmのLLDPE層(第1樹脂層)との間に10μmのPET層(第2樹脂層)を積層した構成とした。結果を表1に示す。
【0064】
[実施例2]
第2樹脂層として、PET層の代わりに10μmのPBT層を積層した以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表1に示す。
【0065】
[実施例3]
紙(紙層11)の一方の面(包装袋の内側)に最内層として40μmのLLDPE層(第1樹脂層12)を積層し、紙(紙層11)の他方面(包装袋の外側)に10μmのPET層(第2樹脂層13)を積層した以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表1に示す。
【0066】
[実施例4]
第2樹脂層として、PET層の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
[実施例5]
PET層の厚みを30μmとした以外は、実施例4と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表1に示す。
【0068】
[実施例6]
第1樹脂層として、LLDPE層の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表1に示す。
【0069】
[実施例7]
第1樹脂層として、LLDPE層の厚みを100μmとした以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表1に示す。
【0070】
[比較例1]
第1樹脂層として、LLDPE層の代わりに30μmのポリプロピレン(PP)層を積層した以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表2に示す。
【0071】
[比較例2]
第1樹脂層として、PP層の厚みを10μmとした以外は、比較例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表2に示す。
【0072】
[比較例3]
第2樹脂層として、PET層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表2に示す。
【0073】
[比較例4]
第2樹脂層として、PET層の厚みを50μmとした以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表2に示す。
【0074】
[比較例5]
第1樹脂層として、LLDPE層の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表2に示す。
【0075】
[比較例6]
第1樹脂層として、LLDPE層の厚みを200μmとした以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表1に示す。
【0076】
[比較例7]
紙(紙層11)の一方の面(包装袋の内側)に30μmのLLDPE層(第1樹脂層)のみを積層した以外は、実施例1と同様に積層体を構成し、評価した。結果を表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1より、紙で構成された紙層11、ポリエチレン樹脂で構成された第1樹脂層12、及びポリエチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂で構成された厚みが3μm以上45μm以下の第2樹脂層13を含む積層体10で構成された包装袋(試験体)は、吊り下げ穴の引っ張り強度、溶着強度、外観(シワ)、開封性試験のいずれも良好であった(実施例1~7)。
【0080】
一方、表2より、第1樹脂層としてポリプロピレン(PP)層を積層した試験体は、溶着強度が低下した(比較例1、2)。また、第2樹脂層としてPET層の厚みが3μm未満では、外観と吊り下げ穴の引っ張り強度が低下し、PET層の厚みが45μmを超えると開封性が低下した(比較例3、4)。また、第1樹脂層としてLLDPE層の厚みが10μm未満では、引っ張り強度と溶着強度が低下し、150μmを超えると開封性が低下した(比較例5、6)。さらに、第2樹脂層を形成しなかった試験体は、引っ張り強度、溶着強度および外観がいずれも低下した(比較例7)。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 包装袋
10 積層体
11 紙層
12 第1樹脂層
13 第2樹脂層
20 袋本体
21 下端
22 上端
23、24 側端
30 下端シール部
31 底部フィルム
32 折り線
40 上端シール部
50 切欠き
60 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6