(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143012
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20230928BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050190
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 和
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA02
5E322AB01
5E322AB06
5E322AB08
5E322BA01
5E322EA11
5E322FA04
5E322FA06
5F136BA06
5F136BA24
5F136BB11
5F136DA33
5F136DA34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放熱性能が向上したヒートシンクを提供し、電子部品から発生した熱によって電子部品の性能が劣化する可能性を低減することが可能な電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置10は、放熱部材1と電子部品2を備えている。放熱部材1は、第1上面14aと第1上面14aの反対側に位置する第1下面14bとを有する基部14と、第1下面14bに位置し第1下面14bから遠ざかる方向に延びるとともに、第1端面111を有する1つまたは複数の第1柱状部11と、を有している。電子部品2は、第1上面14aに位置し、配線部21を有している。放熱部材1はさらに、第1柱状部11の第1端面111から基部14の第1上面14aにかけて貫通する第1貫通孔112を有している。配線部21の少なくとも一部は、第1貫通孔112内に位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1上面と該第1上面の反対側に位置する第1下面とを有する基部と、前記第1下面に位置し前記第1下面から遠ざかる方向に延びるとともに、第1端面を有する1つまたは複数の第1柱状部と、を有する放熱部材と、
前記第1上面に位置し、配線部を有する電子部品と、を備え、
前記放熱部材は、前記第1柱状部の前記第1端面から前記基部の前記第1上面にかけて貫通する第1貫通孔を有し、
前記配線部の少なくとも一部は、前記第1貫通孔内に位置している、電子装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記第1下面に位置し前記第1下面から遠ざかる方向に延びるとともに、第2端面および該第2端面と前記基部の前記第1下面とを接続する側面を有する1つまたは複数の第2柱状部を更に備え、
前記第2柱状部は、前記第2端面に第1開口を有するとともに前記第2端面から前記第1下面に向かって延びる第1孔部と、該第1孔部と連続するとともに前記側面に第2開口を有する1つまたは複数の第2孔部と、を有している、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1下面と交差する断面視において、前記第1下面から少なくとも1つの前記第2孔部までの前記第2柱状部の長さが、前記第1下面から前記第2端面までの第2柱状部の長さの1/2以下である、請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記放熱部材は、複数の前記第1柱状部および複数の前記第2柱状部を有しており、
平面視において、
複数の前記第1柱状部のうち、互いに近接する前記第1柱状部との距離をD1とし、
前記第1柱状部と前記第2柱状部との距離をD2とした場合、
D1≧D2を満たす、請求項2または3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記電子部品を搭載する第2上面と、前記第1上面に位置する第2下面と、を有する搭載部材を更に備え、
前記搭載部材は、前記第1貫通孔と重なる位置において、前記第2上面から前記第2下面にかけて貫通する第2貫通孔を有しており、
前記配線部の少なくとも一部は、前記第2貫通孔内に位置している、請求項1~4のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1上面と平行な断面視において、前記搭載部材の前記第2貫通孔の面積は、前記放熱部材の少なくとも1つの前記第1貫通孔の面積より大きい部分を有している、請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記搭載部材の熱伝導率は、前記放熱部材の熱伝導率よりも大きい、請求項5または6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記第2上面と交差する断面視において、前記搭載部材は、段差部を有している、請求項5~7のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項9】
前記第2上面と交差する断面視において、前記搭載部材は、前記第2上面から前記第2下面にかけて傾斜する傾斜面を有している、請求項5~8のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項10】
前記第2上面と交差する断面視において、前記搭載部材の前記傾斜面と前記放熱部材の前記第1上面との成す角は45度以下である、請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記電子部品を前記基部に固定する、柱状の1つまたは複数の固定部材を更に備え、
前記放熱部材は、前記第1上面から前記第1下面にかけて貫通する第3貫通孔を有し、
前記固定部材は、前記第1上面側から前記第3貫通孔に挿入されるとともに、前記第1下面から突出する第3柱状部を有している、請求項1~10のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項12】
前記固定部材の熱伝導率は、前記放熱部材の熱伝導率以上である、請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
平面視において、
前記第1柱状部と前記第2柱状部との距離をD2とし、
前記第1柱状部と前記第3柱状部との距離をD3とした場合、
D2≧D3を満たす、請求項11または12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記電子部品は、発光素子である、請求項1~13のいずれか1つに記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱部材を備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、電子部品を冷却するために特許文献1に示すようなヒートシンク等の放熱部材を使用することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたヒートシンクは、フィンおよび支持体を備えている(例えば、特許文献1の
図1A、段落0006および段落0007参照)。
【0005】
電子部品の冷却のために上記のようなヒートシンクを用いる場合、ヒートシンクの支持体の上に電子部品を実装しなくてはならず、支持体に貫通孔を設け、該貫通孔を通して配線を電子部品に接続しなくてはならなかった。支持体に貫通孔を設けた場合、支持体の貫通孔が設けられた箇所の周辺において、フィンを除去する必要があった。そのため、ヒートシンクの放熱性能が低下し、電子部品から発生した熱をヒートシンクによって効率よく放熱させることが困難な場合があった。
【0006】
また、ヒートシンクの放熱性能が低下することにより、電子部品から発生した熱によって、電子部品の性能が劣化する可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る電子装置は、放熱部材と電子部品を備えている。放熱部材は、第1上面と該第1上面の反対側に位置する第1下面とを有する基部と、第1下面に位置し第1下面から遠ざかる方向に延びるとともに、第1端面を有する1つまたは複数の第1柱状部と、を有している。電子部品は、第1上面に位置し、配線部を有している。放熱部材は、第1柱状部の第1端面から基部の第1上面にかけて貫通する第1貫通孔を有している。配線部の少なくとも一部は、第1貫通孔内に位置している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係る電子装置は、上記のような構成であることにより、放熱部材の放熱性能を向上させることができ、電子部品から発生した熱を放熱部材によって効率よく放熱することが可能となる。従って、熱によって電子部品の性能が劣化する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電子装置の断面図である。
【
図4】
図4(A)は、本発明の第1実施形態に係る搭載部材および固定リングの分解斜視図、
図4(B)は、本発明の第1実施形態に係る搭載部材の別の角度から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る放熱部材の平面図である。
【
図6】
図6(A)は、本発明の第2実施形態に係る搭載部材の斜視図、
図6(B)は、本発明の第2実施形態に係る搭載部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<電子装置の構成>
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、電子装置は、いずれの方向が上方もしくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z軸の正の方向を上方とする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1~
図5を参照して本発明の第1の実施形態に係る電子装置10について説明する。
【0012】
電子装置10は、少なくとも放熱部材1と、電子部品2とを備えている。また、電子装置10は、搭載部材3、固定部材4、固定基板5、固定リング6を備えていてもよい。
【0013】
放熱部材1は、
図1および
図2に示すように、基部14と、1つまたは複数の第1柱状部11と、を有している。基部14は、第1上面14aと該第1上面14aの反対側に位置する第1下面14bとを有する。第1柱状部11は、第1下面14bに位置し、第1下面14bから遠ざかる方向に延びるとともに、第1端面111を有する。また、放熱部材1は、第1柱状部11の第1端面111から基部14の第1上面14aにかけて貫通する第1貫通孔112を有している。電子部品2は、直接または他の部材を介して基部14に搭載される。電子部品2で発生した熱は、基部14を通じて第1柱状部11へ伝達され、第1柱状部11から空間へ放出される。なお、放熱部材1が有する第1柱状部11は、1つに限られず、第1柱状部11を複数有していてもよい。
【0014】
放熱部材1は、例えば、電源を不要とする部材で構成される。放熱部材1の材料としては、例えば、金属材料、セラミック材料、樹脂材料などが適用される。金属材料には、例えば、銅、アルミニウム、マグネシウム、金、銀、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、ベリリウム、モリブデン、タングステンまたはこれらの合金などが挙げられる。セラミック材料には、例えば、炭化ケイ素、窒化アルミなどが挙げられる。樹脂材料には、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂などが挙げられる。また、放熱部材1の表面には黒化処理等が施されていてもよい。
【0015】
放熱部材1は、例えば平面視において、大きさが10mm×10mm~100mm×100mmであり、z方向における高さが、5mm~100mmである。なお、放熱部材1の大きさは、搭載される電子部品2の種類や数に応じて適宜選択することがきる。
【0016】
次に
図2および
図5を参照して第1柱状部11および第1貫通孔112の形状について説明する。
【0017】
本実施形態において、
図5に示すように、第1柱状部11の平面視における形状は、矩形状である。このような形状であれば、第1柱状部11の製造が容易となる。また、
図2に示すように、第1柱状部11は、第1面14aと交差する断面視において、基部14に対して垂直に延びる形状である。なお、第1柱状部11の形状はこれに限らない。第1柱状部11の平面視における形状は、細長い四角形状や円形状、多角形状などであってもよい。第1上面14aと交差する断面視において、第1柱状部11は、弧状を有する形状であってもよいし、傾斜を有する形状であってもよい。
【0018】
そして、本実施形態において、放熱部材1は、第1柱状部11を複数有している。複数の第1柱状部11のうち互いに近接する2つの第1柱状部11間の距離D1は、第1柱状部11の全長に渡って一定でなくてもよい。例えば、第1端面111へ向かうにつれて、距離D1が徐々に大きくなる形状であってもよい。ここでいう距離とは、平面視における各部材の外縁同士の間隔のうち最短の距離のことを指す。具体的には、距離D1とは、平面視における第1柱状部11の外縁同士の間隔のうち最短の距離のことである。すなわち、本実施形態においては、距離D1は、互いに近接する2つの第1柱状部11の外縁同士のx軸方向またはy軸方向に沿う距離のことである。後述する距離D2、距離D3についても同様に定義できる。なお、全長に渡って変化するときにおける距離D1と、後述する当該第1柱状部11と第2柱状部12の距離(第1柱状部11と近接する第2柱状部12との距離)D2の大小関係を比較する場合は、最小の距離D1をD2と比較すればよい。
【0019】
図5に示すように、本実施形態において、第1貫通孔112は、平面視において、円形状である。また、平面視において、第1貫通孔112は、楕円形状、正方形状、角部が丸い矩形状などであってもよい。また、第1貫通孔112のxy平面に沿う断面積の大きさは、第1柱状部11の全長に渡って一定でなくてもよい。例えば、第1端面111へ向かうにつれて、第1貫通孔112が徐々に大きくなる形状であってもよい。この場合、基部14側において放熱部材1による放熱性を確保しつつ第1貫通孔112を含む第1柱状部11の表面積が増加するとともに、第1端面111側で空気が滞留する可能性を低減できるため、第1柱状部11での放熱性を向上させつつ、放熱部材1の軽量化を可能とすることができる。
【0020】
電子部品2は、
図1~
図3に示すように、第1上面14aに位置し、配線部21を有している。電子部品2の配線部21の少なくとも一部は、放熱部材1の第1貫通孔112内に位置している。この場合、平面視において、電子部品2の付近に、第1貫通孔112および第1柱状部11が位置する。そのため、電子部品2の配線部21を第1貫通孔112内に収納しつつ、電子部品2から発生した熱を基部14および第1柱状部11に効率よく伝達することができ、第1柱状部11を通じて空間に熱を放出することができる。その結果、熱によって電子部品2の性能が劣化する可能性を低減できる。
【0021】
また、後述する配線部21の導線部212が、第1柱状部11や後述する第2柱状部12、第3柱状部43に接触して損傷する可能性を低減することができる。更に、導線部212が基部14の第1下面14bに位置していないため、第1柱状部11や第2柱状部12、第3柱状部43の周辺において空気が滞留する可能性を低減することができる。
【0022】
電子部品2の配線部21の少なくとも一部は、第1貫通孔112内に位置している。すなわち、電子部品2の配線部21が、第1柱状部11の内部に位置することになる。そのため、配線部21が外部からの電磁波による影響を低減することができ、配線部21において、電磁ノイズが発生する可能性を低減することができる。
【0023】
電子部品2(配線部21)、基部14、第1柱状部11および第1貫通孔112を上述のような配置とすることで、放熱部材1の放熱性能の向上と、電子部品2の性能が劣化する可能性の低減、これら両方の効果を奏することができる。
【0024】
なお、本実施形態のように、平面視において、電子部品2と重なる位置に、第1貫通孔112および第1柱状部11が位置する場合には、電子部品2の直下に第1貫通孔112が位置することで放熱性能が高まるとともに、放熱部材1の小型化も図ることができる。
【0025】
電子部品2としては、例えば、半導体レーザー(LD)または、フォトダイオード(PD)、LED(Light Emitting Diode)等の光半導体素子、半導体
集積回路素子などが挙げられる。なお、本開示において、配線部21とは、
図2および
図3に示すように、電子部品2の有する端子部211および端子部211に接続される導線部212を含む概念とすることができる。導線部212は、導体が絶縁部材によって被覆されている構造であってもよい。また、電子部品2として半導体レーザーを使用する場合には、電子部品2の配線部21は、ピン部分214Pを有するソケット214、ピン部分214Pを導線部212と接続する半田ボール213を有していてもよい。この場合、端子部211がソケット214にはめ込まれ、端子部211と導線部212とがソケット214を介して電気的に接続されている。
【0026】
電子部品2が、半導体レーザーまたはLEDなどの発光素子である場合には、電子装置10は照明装置としても用いることができる。この場合、電子装置10は、半導体レーザーまたはLEDを用いた放熱性能の高い照明装置とすることができる。
【0027】
放熱部材1は、
図1および
図2に示すように、第1下面14bに位置し、第1下面14bから遠ざかる方向に延びる1つまたは複数の第2柱状部12を更に備えていてもよい。第2柱状部12は、第2端面121と側面123とを有する。側面123は、第2端面121と基部14の第1下面14bとを接続する面である。
【0028】
第2柱状部12は、第1孔部122と1つまたは複数の第2孔部124とを有している。第1孔部122は、第2端面121に第1開口121Oを有する。第2孔部124は、第1孔部122と連続するとともに側面123に第2開口123Oを有する。放熱部材1が上記のような第2柱状部12を備えている場合、側面123に位置する第2開口123Oから空気が入り、第2端面121に位置する第1開口121Oから空気が抜けることで、第2柱状部12の内側、つまり第2孔部124内での熱伝達が促進される。このことによって、放熱部材1の放熱性能を更に向上させることができ、熱による電子部品2の性能が劣化する可能性をより一層低減することができる。
【0029】
本実施形態においては、
図2に示すように、第1柱状部11と第2柱状部12のz方向における高さは同じである。第1柱状部11と第2柱状部12のz方向における高さはこれに限らず、互いに異なっていてもよい。また、本実施形態においては、
図5に示すように、平面視における第2柱状部12の形状は、平面視における第1柱状部11の形状と同じである。平面視における第2柱状部12の形状は、これに限らず、平面視における第1柱状部11の形状と異なっていてもよい。また、第1開口121Oおよび第2開口123Oの形状は、本実施形態においては円形状であるが、正方形状、多角形状、角部が丸い矩形状などであってもよい。また、第1開口121Oの形状と第2開口123Oの形状は同じであっても異なっていてもよい。
【0030】
本実施形態においては、
図1および
図2に示すように、複数の第2柱状部12は、いずれも、1つの第2開口123Oと1つの第2孔部124とを有しているが、第2柱状部12の内部構造はこれに限らない。例えば、第2柱状部12は、側面123に第2開口123Oを複数有しており、第2孔部124が複数位置していてもよい。この場合には、放熱部材1の軽量化を可能にしつつ、放熱部材1の放熱性能を高めることができる。
【0031】
また、
図1および
図5に示すように、本実施形態において、放熱部材1は複数の第2柱状部12を有しており、それぞれの第2柱状部12の第2孔部124はいずれもy軸の負の方向に対して開口して位置している。言い換えれば、第2開口123Oがいずれもy軸の負の方向に向かって開口している。このように複数の第2開口123Oの開口方向が一致している場合には、空気が滞留する可能性を低減することができる。第2柱状部12および基部14の放熱性能を向上させることが可能であれば、それぞれの第2柱状部12の第2孔部124は同じ方向に対して開口していなくてもよい。なお、
図5において、第2
開口123O(第2孔部124)は点線で示してある。
【0032】
また、
図2および
図3に示すように、第1下面14bと交差する断面視において、第1下面14bから少なくとも1つの第2孔部124までの第2柱状部12の長さL123は、第1下面14bから第2端面121までの長さL12の1/2以下であってもよい。この場合、第1孔部122内および第2孔部124内を空気が通る距離が増加することで、放熱部材1の放熱性能を向上させることができる。なお、ここでいうL123は、第2柱状部12のうち、第1下面14bと第2孔部124との間の最短の距離とすることができる。本実施形態においては、第2柱状部12が第1下面14bに対して垂直に延びて位置するため、長さL123は、z軸方向に沿う、第1下面14bと第2孔部124までの距離のことである。
【0033】
図5に示すように、放熱部材1は、複数の第1柱状部11および複数の第2柱状部12を有していてもよい。この場合、平面視において、複数の第1柱状部11のうち、互いに近接する2つの第1柱状部11の距離D1は、第1柱状部11と第2柱状部12の距離(第1柱状部11と当該第1柱状部11と近接する第2柱状部12との距離)D2以上であってもよい。つまり、本実施形態においては、平面視において、第1柱状部11の周囲に第2柱状部12が位置しており、D1≧D2である。なお、平面視における、基部14における第1柱状部11と第2柱状部12の配置は、放熱部材1に求められる放熱性能に応じて適宜選択可能である。
【0034】
また、本実施形態において、
図5に示すように、第1柱状部11と第2柱状部12は、x方向およびy方向において、等間隔に配置されている。なお、第1柱状部11と第2柱状部12の配置はこれに限らず、第1柱状部11と第2柱状部12は、x方向およびy方向において、等間隔に配置されていなくてもよい。例えば、平面視において、第1柱状部11を中心として、その周囲に複数の第2柱状部12が渦巻状、放射状に位置していてもよい。
【0035】
電子装置10は、
図1~
図4に示すように、電子部品2を搭載する第2上面3aと、第1上面14aに位置する第2下面3bと、を有する搭載部材3を更に備えていてもよい。また、搭載部材3は、第1貫通孔112と重なる位置において、第2上面3aから第2下面3bにかけて貫通する第2貫通孔32を有している。電子部品2の配線部21の少なくとも一部は、第2貫通孔32内に位置している。上記構成であることによって、第2上面3aに位置した電子部品2の端子部211と導線部212との接続を確保しつつ、第2上面3aに位置する電子部品2から発生した熱を効率よく放熱部材1の基部14へ拡散させることができる。
【0036】
搭載部材3の材料としては、例えば、放熱部材1と同様の材料を用いることができる。また、搭載部材3の放熱部材1への固定方法としては様々な方法を採用することができる。例えば、搭載部材3は、放熱部材1に1つまたは複数のネジによってネジ止めされていてもよく、搭載部材3と放熱部材1の間には放熱グリスが位置していてもよい。あるいは、高熱伝導フィラーを含む接着剤で搭載部材3を放熱部材1に固定してもよい。あるいは、シンタリングペーストを用いて搭載部材3を放熱部材1に固定してもよい。
【0037】
搭載部材3は、例えば、平面視において、大きさが10mm×10mm~100mm×100mmであり、z方向における高さが、5mm~50mmである。なお、搭載部材3の大きさは、搭載される電子部品2の種類や数に応じて適宜変更することがきる。
【0038】
搭載部材3の第2貫通孔32内の少なくとも一部には絶縁性ペーストが位置していてもよい。このような構成によれば、電子部品2の配線部21の端子部211または導線部2
12の導体が露出している場合に、搭載部材3に接触することによってショートする可能性を低減できる。なお、絶縁性ペーストの材料としては、伝熱性を高めるために、シリコンや銀、ナノダイヤなどの高熱伝導性材料を含有する材料を用いることができる。
【0039】
図3に示すように、第2貫通孔32の内壁部分の少なくとも一部には、ネジ溝が設けられていてもよい。また、第2貫通孔32内には、後述する固定リング6がはめ込まれていてもよい。
【0040】
第1上面14aと平行な断面視(本実施形態においては、xy平面と平行な断面視)において、搭載部材3の第2貫通孔32の面積は、放熱部材1の少なくとも1つの第1貫通孔112の面積より大きい部分を有していてもよい。つまり、本実施形態のように、第1貫通孔112および第2貫通孔32が、いずれも円形状である場合には、搭載部材3のxy平面と平行な断面における第2貫通孔32の径はz方向に常に一定でなくてもよく、少なくとも一部が第1貫通孔112の径よりも大きい箇所を有していればよい。この場合、搭載部材3の第2貫通孔32内に電子部品2をはめ込むことができる。その結果、電子部品2の搭載部材3への固定が簡易になるとともに、電子部品2が放熱部材1の第1貫通孔112内に落下する可能性を低減することができる。
【0041】
また、搭載部材3の熱伝導率は、放熱部材1の熱伝導率より大きくてもよい。この場合には、電子部品2で発生した熱を搭載部材3に拡散し、拡散した熱を好適に放熱部材1に伝達することができる。そのため、熱が電子部品2付近でとどまらず、放熱部材1の基部14の第1上面14a全体へ効率よく熱を伝達することができる。その結果、放熱部材1の放熱性を向上させることができるとともに、電子部品2が熱によって性能が劣化する可能性を低減することができる。
【0042】
さらに、
図2に示すように、第2上面3aと交差する断面視(本実施形態においてはxz平面と平行な断面視)において、搭載部材3は、段差部311を有していてもよい。この場合、搭載部材3における電子部品2の固定領域を確保しつつ搭載部材3を軽量化することができる。
【0043】
電子装置10は、
図3および
図4に示すように、搭載部材3の第2貫通孔32にはめ込まれる固定リング6を更に備えていてもよい。そして、固定リング6は第5貫通孔65を有しており、固定リング6の外周面61には、第2貫通孔32の内壁部分に設けられたネジ溝に噛み合うようにネジ溝が設けられていてもよい。
【0044】
また、第5貫通孔65の平面視における大きさは、ソケット214の平面視における大きさよりも小さい(
図3参照)。従って、電子部品2として半導体レーザーを使用する場合には、固定リング6は、ソケット214を搭載部材3の第2貫通孔32内に固定することができる。
【0045】
固定リング6は、例えば、平面視において、直径が5mm~20mmであり、z方向における高さが、1mm~5mmである。固定リング6の材料としては、例えば、放熱部材1および搭載部材3と同様の材料を用いることができる。固定リング6の材料は、放熱部材1および搭載部材3と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0046】
図2および
図3に示すように、電子装置10は、電子部品2を基部14に固定する、柱状の1つまたは複数の固定部材4を更に備えていてもよい。この場合、放熱部材1は、第1上面14aから第1下面14bにかけて貫通する第3貫通孔13を更に有しており、固定部材4は、第1上面14a側から第3貫通孔13に挿入されるとともに、第1下面14bから突出する第3柱状部43を有していてもよい。このような構成であることによって
、電子部品2で発生した熱を固定部材4に伝達し、第3柱状部43から空間へ熱を放出することができる。その結果、放熱部材1の放熱性をより一層高めることができる。
【0047】
固定部材4は、例えば、平面視において、直径が1mm~10mmの円柱状であり、z方向における高さが、5mm~100mmである。固定部材4の材料としては、例えば、放熱部材1および搭載部材3と同様の材料を用いることができる。固定部材4の材料は、放熱部材1および搭載部材3と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
また、固定部材4の熱伝導率は、放熱部材1の熱伝導率以上であってもよい。この場合、電子部品2で発生した熱が、電子部品2の周囲に位置する固定部材4に伝わりやすく、第3柱状部43から効率的に熱を空間に放出できる。
【0049】
なお、固定部材4が挿入される第3貫通孔13の内壁面には、放熱グリスが位置していてもよい。あるいは、高熱伝導フィラーを含む接着剤で固定部材4を放熱部材1に固定してもよい。あるいは、シンタリングペーストを用いて固定部材4を放熱部材1に固定してもよい。
【0050】
このように電子装置10が固定部材4を備える場合には、搭載部材3は、
図1~
図4に示すように第4貫通孔34を有していてもよい。この場合、固定部材4の外周の少なくとも一部にネジ溝が設けられており、搭載部材3の第4貫通孔34の内壁面の一部に固定部材4のネジ溝と噛み合うようにネジ溝が設けられていてもよい。
【0051】
また、電子装置10が固定部材4を備える場合には、
図1~
図3に示すように、電子装置10は更に1つまたは複数の固定基板5を有していてもよい。固定基板5は、固定部材4が挿入される第6貫通孔56を有していてもよい。本実施形態では、第6貫通孔56は、平面視において、放熱部材1の第3貫通孔13、固定部材3の第4貫通孔34と重なって位置している。また、本実施形態において、固定基板5は、固定部材4とともに、電子部品2を搭載部材3または放熱部材1に固定している。なお、本実施形態においては、固定部材4と固定基板5とは別体で構成されているが、固定部材4と固定基板5とは、一体化していてもよい。
【0052】
さらに、電子装置10が固定部材4を備える場合には、
図5に示すように、平面視において、第1柱状部11と第2柱状部12の距離D2は、第1柱状部11と第3柱状部43との距離D3以上であってもよい。本実施形態においては、平面視において、第1柱状部11と当該第1柱状部11と近接する第2柱状部12との間に第3柱状部43が位置しており、D2≧D3である。この場合、電子部品2で発生した熱が、電子部品2の周囲に位置する固定部材4に伝熱しやすいため、第3柱状部43から効率的に熱を空間に放出しつつ、電子部品2を固定部材4によって搭載部材3に安定して搭載することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電子装置10について説明する。なお、以下では、第2実施形態の構成のうち、第1実施形態の構成と異なるものについてのみ説明し、それ以外の構成については、第1実施形態と同様の符号を付すとともに説明を省略する。
【0054】
第2実施形態に係る電子装置10は、第1実施形態に対して、搭載部材3の形状が異なっている。具体的には、第2上面3aと交差する断面視において、搭載部材3は、第2上面3aから第2下面3bにかけて傾斜する傾斜面312を有している。この場合においても、搭載部材3における電子部品2の固定領域を確保しつつ搭載部材3を軽量化し、電子部品2で発生した熱を第2下面3b側へ効率よく拡散することができる。その結果、拡散
した熱を放熱部材1に伝達することができ、熱によって電子部品2が劣化する可能性を低減することができる。
【0055】
そして、
図6に示すように、第2上面3aと交差する断面視において、搭載部材3の傾斜面312と放熱部材1の第1上面14aとの成す角θ1は45度以下であってもよい。このような構成によれば、固定部材4によって搭載部材3を放熱部材に安定して固定することができるとともに、搭載部材3の小型化を図ることができる。
【0056】
なお、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものでない。また、各実施形態同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 放熱部材
11 第1柱状部
111 第1端面
112 第1貫通孔
12 第2柱状部
121 第2端面
121O 第1開口
122 第1孔部
123 側面
123O 第2開口
124 第2孔部
13 第3貫通孔
14 基部
14a 第1上面
14b 第1下面
L12 第1下面から第2端面までの第2柱状部の長さ
L123 第1下面から第2孔部までの第2柱状部の長さ
D1 互いに近接する2つの第1柱状部間の距離
D2 第1柱状部と該第1柱状部に近接する第2柱状部との距離
D3 第1柱状部と第3柱状部との距離
θ1 成す角
2 電子部品
21 配線部
211 端子部
212 導線部
213 半田ボール
214 ソケット
214P ピン部分
3 搭載部材
3a 第2上面
3b 第2下面
311 段差部
312 傾斜面
32 第2貫通孔
34 第4貫通孔
4 固定部材
43 第3柱状部
5 固定基板
56 第6貫通孔
6 固定リング
61 外周面
65 第5貫通孔
10 電子装置