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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143014
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230928BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J3/407
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050195
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】木村 賢人
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056HA12
2C056HA29
2C056HA41
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】ヘッドギャップの変動を抑制することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】搬送面に設置され、その搬送面に対して垂直方向に立設される側面を有する立体の印刷媒体Pを搬送する搬送ユニット2と、搬送ユニット2によって搬送された印刷媒体Pの側面に対して液滴を吐出するヘッドユニット10と、搬送ユニット2によって搬送された印刷媒体Pをヘッドユニット10側に吸着し、印刷媒体Pとヘッドユニット10との距離が一定となるように支持しながら搬送する吸着支持部5とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面に設置され、該搬送面に対して垂直方向に立設される側面を有する立体の印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された印刷媒体の側面に対して液滴を吐出するヘッド部と、
前記搬送部によって搬送された印刷媒体を前記ヘッド部側に吸着し、前記印刷媒体と前記ヘッド部との距離が一定となるように支持しながら搬送する吸着支持部とを備えた印刷装置。
【請求項2】
前記吸着支持部よりも搬送方向下流側に、前記吸着支持部から前記印刷媒体を剥がす剥がし機構が設けられている請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記吸着支持部よりも搬送方向上流側に、前記搬送部によって搬送された印刷媒体を前記ヘッド部側に吸着しながら搬送する補助吸着部が設けられている請求項1または2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記吸着支持部よりも前記補助吸着部の方が吸引力が強い請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記搬送部が、前記印刷媒体を搬送方向へ搬送しつつ、前記ヘッド部側に向けて前記印刷媒体を案内する請求項1から4いずれか1項記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体の印刷媒体に印刷を行う印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を施すインクジェット印刷装置が提案されている。
【0003】
インクジェット印刷装置としては、印刷面が水平となるように配置された印刷媒体に対して、鉛直方向上方からインクを吐出するインクジェット印刷装置だけでなく、印刷面が水平以外の方向となるように配置された印刷媒体に対して、印刷面に垂直な方向からインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置が提案されている。
【0004】
たとえばベルトコンベアによって段ボール箱を水平に搬送し、その搬送された段ボール箱の側面に、インクジェットヘッドによって印刷を行う装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-217788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように段ボール箱の側面に印刷を行う場合、段ボール箱の底面が一様でない場合や、ベルトコンベアに置かれる位置により、段ボール箱の印刷面とインクジェットヘッドとの距離、いわゆるヘッドギャップを安定させ難いという問題がある。
【0007】
特許文献1では、ベルトコンベア上の段ボール箱の片側を浮かせることによって、段ボール箱を安定して設置する方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、段ボール箱のぐらつきは抑制することができるが、段ボール箱がベルトコンベアに置かれる位置によって、ヘッドギャップが変動する場合がある。
【0009】
上述したようにヘッドギャップが変動した場合、印刷面におけるインクの着弾位置ズレが生じ、線のズレや色ムラ発生の原因となり、印刷画像の品質が低下する。
【0010】
本発明は、ヘッドギャップの変動を抑制することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の印刷装置は、搬送面に設置され、その搬送面に対して垂直方向に立設される側面を有する立体の印刷媒体を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された印刷媒体の側面に対して液滴を吐出するヘッド部と、搬送部によって搬送された印刷媒体をヘッド部側に吸着し、印刷媒体とヘッド部との距離が一定となるように支持しながら搬送する吸着支持部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の印刷装置によれば、搬送部によって搬送された立体の印刷媒体をヘッド部側に吸着し、印刷媒体とヘッド部との距離が一定となるように支持しながら搬送する吸着支持部を備えるようにしたので、ヘッドギャップの変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の印刷装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置の基本的な構成を示す外観斜視図
図2】ラインヘッドの詳細な構成を示す図
図3】吸着支持部の構成を示す図
図4】本発明の印刷装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
図5】ローラコンベアを用いた吸着支持部の構成を示す図
図6】スキュードローラコンベアを用いた吸着支持部の構成を示す図
図7】補助吸着部の構成を示す図
図8】帯電部を有する吸着支持部の構成を示す図
図9】吸着支持部のその他の実施形態の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の印刷装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置について詳細に説明する。本実施形態のインクジェット印刷装置は、印刷媒体の吸着支持部に特徴を有するものであるが、まず、本実施形態のインクジェット印刷装置の吸着支持部を除く基本的な構成について説明する。図1は、インクジェット印刷装置1の基本的な構成を示す外観斜視図である。以下に示す実施形態の説明では、図1に矢印で示す上下左右前後を、インクジェット印刷装置1の上下左右前後方向とする。また、インクジェット印刷装置1の上下方向が鉛直方向である。
【0015】
インクジェット印刷装置1は、図1に示すように、ヘッドユニット10と、搬送ユニット2とを備えている。
【0016】
搬送ユニット2は、印刷媒体Pを図1に示す矢印方向に搬送する。印刷媒体Pとしては、たとえば図1に示すような鉛直方向に立設する印刷面Psを有する立体の印刷媒体(たとえば段ボール箱などの箱体)が用いられる。ただし、印刷媒体Pは、箱体に限らず、鉛直方向に立設する印刷面を有するものであれば如何なるものでもよく、たとえば円柱形状をした缶などでもよい。なお、本実施形態においては、搬送ユニット2が、本発明の搬送部に相当する。
【0017】
搬送ユニット2は、支持台3と、搬送ベルト部4とを備えている。支持台3は、搬送ベルト部4を支持する台である。
【0018】
搬送ベルト部4は、印刷媒体Pの搬送方向に直交する方向に延設された2本のプラテンローラと搬送ベルトなどを備える。2本のプラテンローラは、印刷媒体Pの搬送方向について離間して平行に配置される。そして、平行に配列された2本のプラテンローラ間に環状の搬送ベルトが掛け渡される。後述する制御部60の制御によってプラテンローラが回転して搬送ベルトが移動し、これにより印刷媒体Pが搬送される。
【0019】
また、搬送ベルト部4のヘッドユニット10側には、吸着支持部5が設けられるが、図1では図示省略している。吸着支持部5については、後で詳述する。
【0020】
ヘッドユニット10は、搬送ユニット2によって搬送された印刷媒体Pの印刷面Psに対してインクを吐出することによって印刷を施す。
【0021】
ヘッドユニット10は、図1に示すように、4本のラインヘッド11,12,13,14を有する。4本のラインヘッド11~14は、鉛直方向に延設されるものであり、印刷媒体Pの搬送方向について平行に配列される。本実施形態においては、各ラインヘッド11~14が、本発明のヘッド部に相当する。
【0022】
4本のラインヘッド11~14は、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック)のインクを吐出するものである。
【0023】
図2は、ラインヘッド11~14の詳細な構成を示す図である。ここでは4本のラインヘッド11~14のうちのラインヘッド11の構成について説明するが、残りのラインヘッド12~14についても同様の構成である。
【0024】
ラインヘッド11は、6つのインクジェットヘッド11a,11b,11c,11d,11e,11fを備えている。
【0025】
各インクジェットヘッド11a~11fは、インクを吐出する複数のノズルを有し、その複数のノズルの配列方向が鉛直方向となるように配置されている。なお、ノズルの配列方向とは、たとえばノズルが2次元状に配列される場合には、ノズル列が最も長い配列方向のことをいう。
【0026】
また、ラインヘッド11は、3つのインクジェットヘッド11a,11c,11eから構成される第1のヘッド列と、3つのインクジェットヘッド11b,11d,11fから構成される第2のヘッド列とを有する。第1のヘッド列と第2のヘッド列は、印刷媒体Pの搬送方向について異なる位置に隣接して配置される。
【0027】
第1のヘッド列の3つのインクジェットヘッド11a,11c,11eは、鉛直方向について所定の間隔を空けて配置されている。また、第2のヘッド列の3つのインクジェットヘッド11b,11d,11fは、鉛直方向について所定の間隔を空けて配置されている。
【0028】
そして、図2に示すように、第1のヘッド列のインクジェットヘッド11a,11c,11eと、第2のヘッド列のインクジェットヘッド11b,11d,11fは、鉛直方向について異なる位置となるように千鳥配置される。
【0029】
たとえばラインヘッド11によって鉛直方向に延びる直線を印字する場合には、第1のヘッド列と第2のヘッド列とで異なるタイミングでインクを吐出することによって、上記直線が印字される。
【0030】
次に、吸着支持部5について説明する。図3Aは、吸着支持部5を上方から見た図であり、図3Bは、図3Aに示す吸着支持部5を右側から見た図である。
【0031】
吸着支持部5は、搬送ユニット2によって搬送された印刷媒体Pをヘッドユニット10側に吸着し、印刷媒体Pとヘッドユニット10との距離が一定となるように支持する。吸着支持部5は、具体的には、ベルト搬送ローラ50,51と、吸着ベルト52,53と、吸引機構54,55とを備えている。
【0032】
ベルト搬送ローラ50とベルト搬送ローラ51は、搬送方向についてヘッドユニット10を挟んで上流側と下流側とに設けられる。
【0033】
ベルト搬送ローラ50は、図3Bに示すように、鉛直方向に立設されたローラ軸50aと、2つの搬送ローラ50b,50cを有する。搬送ローラ50bと搬送ローラ50cは、ローラ軸50aの上側と下側とに設けられ、搬送ローラ50bと搬送ローラ50cは、少なくともヘッドユニット10からのインク吐出範囲の鉛直方向の幅よりも広い間隔を空けて配置される。また、搬送ローラ50bと搬送ローラ50cは、想定される印刷媒体Pの鉛直方向の幅よりも狭い間隔で配置されている。
【0034】
ベルト搬送ローラ51は、鉛直方向に立設されたローラ軸51aと、2つの搬送ローラ51b,51cを有する。搬送ローラ51bと搬送ローラ51cは、ローラ軸51aの上側と下側とに設けられ、搬送ローラ51bと搬送ローラ51cは、ベルト搬送ローラ50の搬送ローラ50bと搬送ローラ50cと同じ間隔で配置されている。
【0035】
そして、ベルト搬送ローラ50の上側の搬送ローラ50bとベルト搬送ローラ51の上側の搬送ローラ51bとの間に、吸着ベルト52が掛け渡される。吸着ベルト52は、環状ベルトであり、多数の吸引孔52aが形成されている。図3Aに示すように、吸着ベルト52の内側には、吸引機構54が設けられており、吸引機構54による吸引動作によって、吸着ベルト52の吸引孔52aに負圧が発生し、印刷媒体Pを吸着する。吸引機構54は、たとえば吸引ファンなどから構成される。
【0036】
また、ベルト搬送ローラ50の下側の搬送ローラ50cとベルト搬送ローラ51の下側の搬送ローラ51cとの間に、吸着ベルト53が掛け渡される。吸着ベルト53は、環状ベルトであり、多数の吸引孔53aが形成されている。図3Aに示すように、吸着ベルト53の内側には、吸引機構55が設けられており、吸引機構55による吸引動作によって、吸引孔53aに負圧が発生し、印刷媒体Pを吸着する。吸引機構55は、たとえば吸引ファンなどから構成される。
【0037】
そして、図3Bに示すように、ヘッドユニット10は、搬送方向についてベルト搬送ローラ50のローラ軸50aとベルト搬送ローラ51のローラ軸51aとの間であって、鉛直方向について吸着ベルト52と吸着ベルト53との間に設けられる。
【0038】
そして、図3Bに示すように、ベルト搬送ローラ51のローラ軸51aの下端部には、プーリー51dとベルト51eが設けられている。そして、ベルト51eが接続された駆動モータ51fが回転することによって、プーリー51dを介してベルト搬送ローラ51が回転し、吸着ベルト52,53を介してベルト搬送ローラ50が回転する。ベルト搬送ローラ50,51の回転によって吸着ベルト52,53が、ベルト搬送ローラ50とベルト搬送ローラ51との間を回転移動する。
【0039】
また、図3Aに示すように、搬送方向に直交する方向について、ベルト搬送ローラ50と対向する位置には、ガイド部材56が設けられている。ガイド部材56は、搬送ユニット2によって搬送された印刷媒体Pを吸着支持部5に向けて案内する部材である。ガイド部材56は、たとえば柔軟性および弾性を有する樹脂または金属などから形成され、印刷媒体Pを傷つけることなく、吸着支持部5に向けて案内する。ガイド部材56によって案内された印刷媒体Pは吸着支持部5に吸着した後、吸着支持部5および搬送ユニット2によって下流側に搬送される。
【0040】
また、図3Aに示すように、吸着支持部5の下流側には、剥がし機構57が設けられている。剥がし機構57は、吸着ベルト52,53に吸着した印刷媒体Pを吸着ベルト52,53から剥がす機構である。剥がし機構57は、印刷処理済みの印刷媒体Pの印刷面Psが当接し、剥がし機構57に沿って搬送されることによって、印刷媒体Pを吸着ベルト52,53から離れる方向に案内するガイド部材を有する。なお、図3Bにおいては、剥がし機構57は図示省略している。このように、剥がし機構57を設けることによって、印刷媒体Pの搬送をスムーズにすることができる。
【0041】
図4は、本実施形態のインクジェット印刷装置の全体構成を示すブロック図である。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)並びに半導体メモリおよびハードディスクなどの記憶媒体を備え、インクジェット印刷装置1全体を制御する。制御部60は、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶された制御プログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって、インクジェット印刷装置の各部の動作を制御するものである。
【0042】
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1による印刷媒体Pの搬送処理および印刷処理について説明する。
【0043】
まず、搬送ベルト部4の上流に、印刷対象の印刷媒体Pが設置される。そして、搬送ベルト部4に設置された印刷媒体Pは、搬送ベルト部4によって搬送され、ガイド部材56に接しながら、吸着支持部5側に寄るように案内される。
【0044】
そして、吸着支持部5に印刷媒体Pの印刷面Ps(側面)が接した場合には、吸着支持部5の吸引機構54,55による吸引動作によって、吸着ベルト52,53に印刷媒体Pの印刷面Psが吸着する。そして、印刷媒体Pが、吸着ベルト52,53に吸着することによって、図3Aに示すように、印刷媒体Pとヘッドユニット10との距離D(ヘッドギャップ)が一定となるように支持される。
【0045】
そして、吸着ベルト52,53に印刷媒体Pが吸着して支持された状態で、搬送ベルト部4および吸着ベルト52,53による印刷媒体Pの搬送が継続され、ヘッドユニット10へと搬送される。なお、搬送ベルト部4と吸着支持部5の吸着ベルト52,53の搬送速度は同じ速度に設定されている。
【0046】
続いて、印刷媒体Pが、ヘッドユニット10を通過する際、ヘッドユニット10のラインヘッド11~14から印刷媒体Pの印刷面Psに向けて所定のタイミングでインクが吐出され、印刷面Psに対して印刷が施される。
【0047】
そして、ヘッドユニット10による印刷処理が終了した後、印刷処理済みの印刷媒体Pは下流へと搬送され、印刷媒体Pの印刷面Psが剥がし機構57に当接することによって、印刷媒体Pが、吸着ベルト52,53から離脱する。
【0048】
本実施形態のインクジェット印刷装置1によれば、搬送ユニット2によって搬送された立体の印刷媒体Pをヘッドユニット10側に吸着し、印刷媒体Pとヘッド部ユニットとの距離Dが一定となるように支持しながら搬送する吸着支持部5を備えるようにしたので、ヘッドギャップの変動を抑制することができる。また、吸着支持部5によって吸着して印刷媒体Pを搬送するので、搬送ユニット2の速度ムラの影響を抑制することができる。
【0049】
また、上記実施形態のインクジェット印刷装置1においては、上述したようにガイド部材56によって印刷媒体Pを吸着支持部5に向けて案内するが、この際、搬送方向に直交する方向への印刷媒体Pの移動抵抗が少ない方が好ましい。そこで、図5に示すように、搬送ユニット2として、ローラコンベア6を用いるようにしてもよい。
【0050】
さらに、図6に示すように、搬送ユニット2として、印刷媒体Pを搬送方向へ搬送しつつ、ヘッドユニット10側に向けて印刷媒体Pを案内するスキュードローラコンベア7を用いるようにしてもよい。
【0051】
搬送ユニット2として、ローラコンベア6やスキュードローラコンベア7を用いることによって、重い印刷媒体Pでもスムーズにヘッドユニット10側に移動させることができ、吸着支持部5に対してより確実に吸着させることができる。
【0052】
また、吸着支持部5に対してより確実に印刷媒体Pを引き渡して吸着させるため、吸着支持部5よりも搬送方向上流側に、搬送ユニット2によって搬送された印刷媒体Pをヘッドユニット10側に吸着する補助吸着部8を設けるようにしてもよい。以下、補助吸着部8について、詳細に説明する。図7Aは、補助吸着部8を上方から見た図であり、図7Bは、図7Aに示す補助吸着部8を右側から見た図である。
【0053】
補助吸着部8は、ベルト搬送ローラ80,81と、吸着ベルト82と、吸引機構83とを備えている。
【0054】
ベルト搬送ローラ80とベルト搬送ローラ81は、搬送方向について吸引機構83を挟んで上流側と下流側とに設けられる。
【0055】
ベルト搬送ローラ80は、図7Bに示すように、鉛直方向に立設されたローラ軸80aと、2つの搬送ローラ80b,80cを有する。搬送ローラ80bと搬送ローラ80cは、ローラ軸80aの上側と下側とに設けられる。そして、搬送ローラ80bと搬送ローラ80cは、図7Bに示すように、吸着支持部5の搬送ローラ50bと搬送ローラ50cとの間隔よりも狭い間隔で配置されている。
【0056】
ベルト搬送ローラ81は、図7Bに示すように、鉛直方向に立設されたローラ軸81aと、2つの搬送ローラ81b,81cを有する。搬送ローラ81bと搬送ローラ81cは、ローラ軸81aの上側と下側とに設けられ、ベルト搬送ローラ80の搬送ローラ80bと搬送ローラ80cと同じ間隔で配置されている。
【0057】
そして、ベルト搬送ローラ80の搬送ローラ80b,80cとベルト搬送ローラ81の搬送ローラ81b,81cとの間に、吸着ベルト82が掛け渡される。吸着ベルト82は、環状ベルトであり、多数の吸引孔82aが形成されている。図7Aに示すように、吸着ベルト82の内側には、吸引機構83が設けられており、吸引機構83による吸引動作によって、吸引孔82aに負圧が発生し、印刷媒体Pを吸着する。吸引機構83は、たとえば吸引ファンなどから構成される。
【0058】
そして、図7Bに示すように、ベルト搬送ローラ81のローラ軸81aの下端部にプーリー81dが設けられ、ベルト搬送ローラ50のローラ軸50aの下端部にプーリー50dが設けられ、プーリー81dとプーリー50dとの間に、環状のベルト81eが掛け渡されている。
【0059】
そして、駆動モータ51fが回転することによって、ベルト搬送ローラ51が回転し、吸着ベルト52,53を介してベルト搬送ローラ50が回転し、ベルト搬送ローラ50の回転によってベルト搬送ローラ81が回転する。そして、ベルト搬送ローラ81の回転によって、ベルト搬送ローラ80とベルト搬送ローラ81との間を吸着ベルト82が回転移動する。
【0060】
そして、搬送ユニット2に設置された印刷媒体Pは、搬送ユニット2によって搬送され、ガイド部材56に接しながら、補助吸着部8側に寄るように案内される。
【0061】
そして、補助吸着部8に印刷媒体Pの印刷面Ps(側面)が接した場合には、補助吸着部8の吸引機構83による吸引動作によって、吸着ベルト82に印刷媒体Pの印刷面Psが吸着する。
【0062】
そして、吸着ベルト82に印刷媒体Pが吸着した状態で、搬送ユニット2および吸着ベルト82による印刷媒体Pの搬送が継続され、印刷媒体Pの下流側の一部が吸着支持部5に到達すると、吸着支持部5による吸着も開始される。なお、補助吸着部8と吸着支持部5の搬送速度は同じ速度に設定されている。また、吸着ベルト82の吸着面と吸着ベルト52,53の吸着面は、搬送方向に直交する方向について、同じ鉛直面上となるように設定されている。
【0063】
そして、補助吸着部8と吸着支持部5との両方による印刷媒体Pの吸着搬送が所定時間行われた後、印刷媒体Pが補助吸着部8から吸着支持部5に引き渡される。続いて、印刷媒体Pは、吸着支持部5によって搬送されるが、その後は、上記実施形態のインクジェット印刷装置1と同様である。
【0064】
上述したように補助吸着部8を設けることによって、印刷媒体Pが重く、吸着しづらい場合でも、より確実に吸着支持部5に吸着させることができる。
【0065】
また、上述したように補助吸着部8を設ける場合には、吸着支持部5よりも補助吸着部8の方が吸引力を強くすることが好ましい。これにより、より確実に印刷媒体Pを補助吸着部8に吸着させることができる。
【0066】
なお、上記実施形態のインクジェット印刷装置1においては、吸引機構54,55によって吸着ベルト52,53の吸引孔52a,53aに負圧を発生して印刷媒体Pを吸着するようにしたが、印刷媒体Pを吸着する機構としてはこれに限らず、たとえば静電気によって印刷媒体Pを吸着するようにしてもよい。
【0067】
図8は、静電気によって印刷媒体Pを吸着するインクジェット印刷装置9の概略構成を示す図である。インクジェット印刷装置9は、上記実施形態のインクジェット印刷装置1と同様に吸着ベルト70,71を備えるが、吸着ベルト70,71には、吸引孔は設けられていない。そして、その代わりに、吸着ベルト70,71に接するように帯電部73が設けられている。
【0068】
帯電部73は、静電気を発し、その発生した静電気によって吸着ベルト70,71を帯電させるものである。帯電部73としては、公知な帯電装置を用いることができる。
【0069】
インクジェット印刷装置9は、その他の構成は、上述したインクジェット印刷装置1と同様である。なお、帯電部73によって吸着ベルト70,71を帯電させることによって印刷媒体Pを吸着させる場合には、剥がし機構57は、イオナイザなどの除電機構としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態のインクジェット印刷装置1においては、吸着支持部5において、吸着ベルト52,53をヘッドユニット10の上下に設けるようにしたが、これに限らず、ヘッドユニット10からのインクの吐出範囲を確保できる配置であれば、その他の配置でもよい。
【0071】
たとえば印刷媒体Pの下端部まで印刷する場合には、下側の吸着ベルト53を設けず、上側の吸着ベルト52で吸着搬送するようにしてもよい。また、図9に示すように、ヘッドユニット10の前後に対して吸着ベルト58,59を設けるようにしてもよい。
【0072】
吸着ベルト58には複数の吸引孔58aが形成されており、ローラ軸50aに接続された搬送ローラ58b,58cの回転によって移動する。吸着ベルト58の内側には、図示省略した吸引機構が設けられ、その吸引機構によって吸引孔58aに負圧を発生させる。
【0073】
また、吸着ベルト59には複数の吸引孔59aが形成されており、ローラ軸51aに接続された搬送ローラ59b,59cの回転によって移動する。吸着ベルト59の内側には、図示省略した吸引機構が設けられ、その吸引機構によって吸引孔59aに負圧を発生させる。それ以外の構成は、上記実施形態のインクジェット印刷装置1の吸着支持部5と同様である。吸着ベルト58,59については、吸引機構を設けるのではなく、帯電部によって帯電させるようにしてもよい。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0075】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
【0076】
本発明の印刷装置においては、吸着支持部よりも搬送方向下流側に、吸着支持部から印刷媒体を剥がす剥がし機構を設けることができる。
【0077】
本発明の印刷装置においては、吸着支持部よりも搬送方向上流側に、搬送部によって搬送された印刷媒体をヘッド部側に吸着しながら搬送する補助吸着部を設けることができる。
【0078】
本発明の印刷装置においては、吸着支持部よりも補助吸着部の方が吸引力を強くすることができる。
【0079】
本発明の印刷装置において、搬送部は、印刷媒体を搬送方向へ搬送しつつ、ヘッド部側に向けて印刷媒体を案内することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 インクジェット印刷装置
2 搬送ユニット
3 支持台
4 搬送ベルト部
5 吸着支持部
6 ローラコンベア
7 スキュードローラコンベア
8 補助吸着部
9 インクジェット印刷装置
10 ヘッドユニット
10~14 ラインヘッド
11a~11f インクジェットヘッド
50,51 ベルト搬送ローラ
50a ローラ軸
50b,50c 搬送ローラ
50d プーリー
51 ベルト搬送ローラ
51a ローラ軸
51b,51c 搬送ローラ
51d プーリー
51e ベルト
51f 駆動モータ
52,53 吸着ベルト
52a,53a 吸引孔
54,55 吸引機構
56 ガイド部材
57 剥がし機構
58,59 吸着ベルト
58a,59a 吸引孔
58b,58c 搬送ローラ
59b,59c 搬送ローラ
60 制御部
70,71 吸着ベルト
73 帯電部
80,81 ベルト搬送ローラ
80a ローラ軸
80b,80c 搬送ローラ
81 ベルト搬送ローラ
81a ローラ軸
81b,81c 搬送ローラ
81d プーリー
81e ベルト
82 吸着ベルト
82a 吸引孔
83 吸引機構
D 距離
P 印刷媒体
Ps 印刷面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9