(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143018
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】搬送装置作動方法および搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/08 20060101AFI20230928BHJP
B65H 3/48 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65H3/08 350A
B65H3/08 320
B65H3/48 310B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050204
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江田 拓朗
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FA09
3F343FA10
3F343FB17
3F343FC01
3F343FC20
3F343GA01
3F343GB01
3F343GD04
3F343JB02
3F343JB14
3F343JB17
3F343JB27
3F343JD04
3F343JD21
3F343JD28
3F343LA13
3F343LA14
3F343LC20
(57)【要約】
【課題】搬送対象物を1つずつ保持して搬送することが可能である搬送装置の作動方法および搬送装置を提供する。
【解決手段】第1吸着部11および第2吸着部12と、搬送対象物100を載置する載置台40と、を有し、搬送対象物100を搬送する装置1の作動方法であって、載置台40は、上面部41を有しており、第1吸着部11および第2吸着部12を搬送対象物100に吸着させる吸着工程と、第1吸着部11および第2吸着部12を上方に移動させる吸着部移動工程と、を有しており、吸着工程において、載置台40に載置されている搬送対象物100に第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している状態では、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22は、載置台40の上面部41に対して水平であり、吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面12は、第2吸着部12の方向へ傾斜しており、第2吸着部12の吸着面22は、第1吸着部11の方向へ傾斜している搬送装置作動方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1吸着部および第2吸着部と、搬送対象物を載置する載置台と、を有し、前記搬送対象物を搬送する装置の作動方法であって、
前記載置台は、上面部を有しており、
前記第1吸着部および前記第2吸着部を前記搬送対象物に吸着させる吸着工程と、
前記第1吸着部および前記第2吸着部を上方に移動させる吸着部移動工程と、を有しており、
前記吸着工程において、前記載置台に載置されている前記搬送対象物に前記第1吸着部および前記第2吸着部が吸着している状態では、前記第1吸着部の吸着面および前記第2吸着部の吸着面は、前記載置台の前記上面部に対して水平であり、
前記吸着部移動工程において、前記第1吸着部の吸着面は、前記第2吸着部の方向へ傾斜しており、前記第2吸着部の吸着面は、前記第1吸着部の方向へ傾斜している搬送装置作動方法。
【請求項2】
前記吸着部移動工程において、前記第1吸着部を、前記第2吸着部よりも先に上方に移動させ、前記第2吸着部を、前記第1吸着部が移動した後に上方に移動させる請求項1に記載の搬送装置作動方法。
【請求項3】
前記第1吸着部と前記第2吸着部を、同時に上方に移動させる請求項1に記載の搬送装置作動方法。
【請求項4】
前記搬送対象物に気体を吹き付ける吹き付け工程を有している請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送装置作動方法。
【請求項5】
前記搬送対象物の静電気の除去を行う除電工程を有している請求項1~4のいずれか一項に記載の搬送装置作動方法。
【請求項6】
前記第1吸着部および前記第2吸着部は、蛇腹部を有している請求項1~5のいずれか一項に記載の搬送装置作動方法。
【請求項7】
さらに、前記搬送対象物と接触する接触部を有しており、
前記吸着部移動工程において、前記接触部を前記第1吸着部および前記第2吸着部が吸着している前記搬送対象物に接触させる請求項1~6のいずれか一項に記載の搬送装置作動方法。
【請求項8】
搬送対象物を搬送する装置であって、
第1吸着部および第2吸着部と、前記搬送対象物を載置する載置台と、を有しており、
前記載置台は、上面部を有しており、
前記載置台に載置されている前記搬送対象物に前記第1吸着部および前記第2吸着部が吸着している下降状態において、前記第1吸着部の吸着面および前記第2吸着部の吸着面は、前記載置台の前記上面部に対して水平であり、
前記搬送対象物に吸着している前記第1吸着部および前記第2吸着部を上方に引き上げた上昇状態において、前記第1吸着部の吸着面は、前記第2吸着部の方向へ傾斜しており、前記第2吸着部の吸着面は、前記第1吸着部の方向へ傾斜している搬送装置。
【請求項9】
さらに、前記搬送対象物に気体を吹き付ける吹き付け装置を有している請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
さらに、前記搬送対象物の静電気を除去する除電器を有している請求項8または9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記第1吸着部および前記第2吸着部は、蛇腹部を有している請求項8~10のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項12】
さらに、前記第1吸着部および前記第2吸着部が吸着している前記搬送対象物の端部と接触する接触部を有している請求項8~11のいずれか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する装置および搬送装置の作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療器具や薬剤等の物品を包装する際に、使用説明書等の添付文書が物品の包装体に同封されることがある。また、例えば、ガラス板や金属板、フィルム等の物品を梱包する際に、物品を保護するための合紙として各物品間に紙やフィルム等を挟み込むことがある。
【0003】
近年、物品の包装や梱包において、添付文書や合紙といった薄板状物等の搬送対象物を所定の位置まで搬送する作業を自動化することが求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、紙片の外形よりも内側に突出する複数の支持爪上に複数の紙片を積層した状態で保持するマガジンラックと、該マガジンラックに保持されている紙片のうち、最下位にある紙片の下面側に吸着して下方へ引き出す引出装置とを備えた紙片の繰出装置において、前記引出装置によって引き出される紙片の上面側へエアを吹きつけるエア吐出装置を設けたことを特徴とする紙片の繰出装置が記載されている。特許文献2には、薄板状製品を積み重ねる際に、薄板状製品間に挿入して用いられる合紙を供給する合紙供給装置であって、積み重ねられた合紙群の最も上の合紙を、上側から吸着パッドで吸着して上側に持ち上げ、吸着した状態で合紙を搬送して、これを供給するもので、吸着パッドを、合紙の長手方向に並べて2個ないし2列設け、これらを一体として上下方向移動および、所定の位置への位置移動を行うもので、且つ、前記2個の吸着パッドの少なくとも1個、あるいは2列の吸着パッドの少なくとも1列を、上下方向に振動させる振動手段を備えていることを特徴とする合紙供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-310334号公報
【特許文献2】特開2000-177864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2の装置では、紙片やフィルム等の搬送対象物が積み重ねられた状態で装置に供給されているが、搬送対象物を1つずつ保持して搬送させる際に、複数の搬送対象物を保持してしまい、製品の不良や搬送トラブルが発生することがあるという問題があった。また、特許文献1や特許文献2の装置では、2つ折りや3つ折り等の折り加工がなされている紙片や冊子状の紙片等、搬送対象物の状態によっては、搬送対象物を確実に保持して目的の位置まで搬送することが困難であるという問題もあった。
【0007】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送対象物を1つずつ保持して搬送することが可能である搬送装置の作動方法および搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決することができた搬送装置作動方法は、第1吸着部および第2吸着部と、搬送対象物を載置する載置台と、を有し、搬送対象物を搬送する装置の作動方法であって、載置台は、上面部を有しており、第1吸着部および第2吸着部を搬送対象物に吸着させる吸着工程と、第1吸着部および第2吸着部を上方に移動させる吸着部移動工程と、を有しており、吸着工程において、載置台に載置されている搬送対象物に第1吸着部および第2吸着部が吸着している状態では、第1吸着部の吸着面および第2吸着部の吸着面は、載置台の上面部に対して水平であり、吸着部移動工程において、第1吸着部の吸着面は、第2吸着部の方向へ傾斜しており、第2吸着部の吸着面は、第1吸着部の方向へ傾斜していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の搬送装置作動方法は、吸着部移動工程において、第1吸着部を、第2吸着部よりも先に上方に移動させ、第2吸着部を、第1吸着部が移動した後に上方に移動させることが好ましい。
【0010】
本発明の搬送装置作動方法は、吸着部移動工程において、第1吸着部と第2吸着部を、同時に上方に移動させることが好ましい。
【0011】
本発明の搬送装置作動方法において、搬送対象物に気体を吹き付ける吹き付け工程を有していることが好ましい。
【0012】
本発明の搬送装置作動方法において、搬送対象物の静電気の除去を行う除電工程を有していることが好ましい。
【0013】
本発明の搬送装置作動方法において、第1吸着部および第2吸着部は、蛇腹部を有していることが好ましい。
【0014】
本発明の搬送装置作動方法において、さらに、搬送対象物と接触する接触部を有しており、吸着部移動工程において、接触部を第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物に接触させることが好ましい。
【0015】
前記課題を解決することができた搬送装置は、搬送対象物を搬送する装置であって、第1吸着部および第2吸着部と、搬送対象物を載置する載置台と、を有しており、載置台は、上面部を有しており、載置台に載置されている搬送対象物に第1吸着部および第2吸着部が吸着している下降状態において、第1吸着部の吸着面および第2吸着部の吸着面は、載置台の上面部に対して水平であり、搬送対象物に吸着している第1吸着部および第2吸着部を上方に引き上げた上昇状態において、第1吸着部の吸着面は、第2吸着部の方向へ傾斜しており、第2吸着部の吸着面は、第1吸着部の方向へ傾斜していることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の搬送装置において、さらに、搬送対象物に気体を吹き付ける吹き付け装置を有していることが好ましい。
【0017】
本発明の搬送装置において、さらに、搬送対象物の静電気を除去する除電器を有していることが好ましい。
【0018】
本発明の搬送装置において、第1吸着部および第2吸着部は、蛇腹部を有していることが好ましい。
【0019】
本発明の搬送装置において、さらに、第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物の端部と接触する接触部を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の搬送装置作動方法によれば、第1吸着部および第2吸着部を搬送対象物に吸着させる吸着工程と、第1吸着部および第2吸着部を上方に移動させる吸着部移動工程と、を有しており、吸着工程において、載置台に載置されている搬送対象物に第1吸着部および第2吸着部が吸着している状態では、第1吸着部の吸着面および第2吸着部の吸着面が載置台の上面部に対して水平であり、吸着部移動工程において、第1吸着部の吸着面が第2吸着部の方向へ傾斜しており、第2吸着部の吸着面が第1吸着部の方向へ傾斜していることにより、吸着工程において第1吸着部および第2吸着部が搬送対象物に吸着しやすく、かつ、吸着部移動工程において第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物が山なりの形状に湾曲しやすくなる。そのため、第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物の下面に空気が入り込みやすく、静電気等によって搬送対象物100の下側面に付着している他物を離しやすくすることができ、搬送対象物を1つずつ保持して搬送することが行いやすくなる。また、本発明の搬送装置作動方法であれば、搬送対象物の下面に空気が入り込みやすいため、折り加工が施されていない紙片だけでなく、折り加工が施された紙片や冊子状の紙片であっても搬送が可能である。
【0021】
また、本発明の搬送装置によれば、載置台に載置されている搬送対象物に第1吸着部および第2吸着部が吸着している下降状態において、第1吸着部の吸着面および第2吸着部の吸着面が載置台の上面部に対して水平であり、搬送対象物に吸着している第1吸着部および第2吸着部を上方に引き上げた上昇状態において、第1吸着部の吸着面が第2吸着部の方向へ傾斜しており、第2吸着部の吸着面が第1吸着部の方向へ傾斜していることにより、下降状態では第1吸着部および第2吸着部が搬送対象物に吸着しやすくなり、上昇状態では第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物が山なり状に湾曲しやすくなる。そのため、第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物の下面に空気が入り込みやすく、搬送対象物100の下側面に静電気等によって付着している他物が離れやすくなって、搬送対象物を1つずつ保持して搬送しやすくなる。また、搬送対象物の下面に空気が入り込みやすくなるため、折り加工が施されていない紙片や折り加工の施されている紙片、冊子状の紙片であっても、本発明の搬送装置によって搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施の形態における搬送装置の模式図(一部断面図)を表す。
【
図2】
図1に示した搬送装置の作動方法における吸着工程の模式図(一部断面図)を表す。
【
図3】
図1に示した搬送装置の作動方法における吸着部移動工程の模式図(一部断面図)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0024】
まず、本発明の搬送装置作動方法について説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施の形態における搬送装置1の模式図である。本発明の搬送装置作動方法は、
図1に示すように、第1吸着部11および第2吸着部12と、搬送対象物100を載置する載置台40と、を有し、搬送対象物100を搬送する装置1の作動方法であって、載置台40は、上面部41を有しており、第1吸着部11および第2吸着部12を搬送対象物100に吸着させる吸着工程と、第1吸着部11および第2吸着部12を上方に移動させる吸着部移動工程とを有しており、吸着工程において、載置台40に載置されている搬送対象物100に第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している状態では、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22は、載置台40の上面部41に対して水平であり、吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面21は、第2吸着部12の方向へ傾斜しており、第2吸着部12の吸着面22は、第1吸着部11の方向へ傾斜している。
【0026】
搬送装置1は、搬送対象物100を所定の位置に搬送する装置である。搬送対象物100としては、例えば、紙、フィルム、シート、樹脂板や金属板といった薄板状物等が挙げられる。中でも、搬送対象物100は、紙であることが好ましい。紙は、厚み方向にある程度の通気性を有するものであるため、空気を吸引することによって吸着部が搬送対象物100を保持して搬送する装置1を用いると、紙が複数重なった状態で吸着部に吸着されてしまい、搬送トラブルが起こりやすいものである。本発明の搬送装置作動方法であれば、搬送対象物100が通気性を有する紙であっても、搬送対象物100を1つずつ保持して搬送することが行いやすくなる。なお、搬送対象物100の紙としては、折り加工が施されていない紙片であってもよく、折り加工の施されている紙片や、冊子状の紙片であってもよい。
【0027】
載置台40は、搬送対象物100を載置するものである。載置台40は、上面部41を有しており、上面部41に搬送対象物100が載置される。
【0028】
載置台40を構成する材料としては、金属、合成樹脂、ゴム、木材等が挙げられる。中でも、載置台40を構成する材料は、金属であることが好ましい。載置台40を構成する材料が金属であることにより、載置台40の耐久性が高まる。
【0029】
搬送対象物100は、搬送対象物100の厚み方向に複数積み重ねられた状態であることが好ましい。具体的には、載置台40の上面部41に複数の搬送対象物100が積層された状態であることが好ましい。複数の搬送対象物100が積み重ねられた状態であることにより、搬送装置1によって搬送対象物100を搬送する効率を高めることが可能となる。
【0030】
図1に示すように、搬送装置1は、第1吸着部11および第2吸着部12を有している。搬送装置1は、第1吸着部11および第2吸着部12を搬送対象物100に吸着させることによって、搬送対象物100を保持することが可能となる。
【0031】
第1吸着部11および第2吸着部12は、吸引することによって搬送対象物100を吸着することが好ましい。つまり、第1吸着部11および第2吸着部12は、それぞれ吸引孔を有していることが好ましい。第1吸着部11および第2吸着部12が有している吸引孔の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0032】
図2は搬送装置1の作動方法における吸着工程の模式図である。
図2に示すように、吸着工程において、第1吸着部11および第2吸着部12を搬送対象物100に吸着させる。
【0033】
吸着工程において、搬送対象物100の上側の面に第1吸着部11および第2吸着部12を吸着させることが好ましい。第1吸着部11および第2吸着部12が搬送対象物100の上側の面に吸着することにより、第1吸着部11および第2吸着部12によって搬送対象物100を安定して吸着することができる。
【0034】
吸着工程では、第1吸着部11と第2吸着部12を同時に搬送対象物100へ吸着させてもよく、第1吸着部11を第2吸着部12よりも先に搬送対象物100へ吸着させてもよく、第2吸着部12を第1吸着部11よりも先に搬送対象物100へ吸着させてもよい。中でも、吸着工程において、第1吸着部11と第2吸着部12を同時に搬送対象物100へ吸着させることが好ましい。搬送対象物100へ第1吸着部11および第2吸着部12を同時に吸着させることにより、搬送装置1において搬送対象物100を所定の位置に搬送することにかかる時間を短縮することができる。
【0035】
図3は搬送装置1の作動方法における吸着部移動工程の模式図である。
図3に示すように、吸着部移動工程において、第1吸着部11および第2吸着部12を上方に移動させる。吸着部移動工程は、吸着工程の後に行う。第1吸着部11および第2吸着部12を上方に移動させることにより、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100が上方に移動し、所定の位置まで搬送対象物100を搬送することができる。
【0036】
図2に示すように、吸着工程において、載置台40に載置されている搬送対象物100に第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している状態では、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22は、載置台40の上面部41に対して水平であり、
図3に示すように、吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面21は、第2吸着部12の方向へ傾斜しており、第2吸着部12の吸着面22は、第1吸着部11の方向へ傾斜している。つまり、第1吸着部11の吸着面21の向きが吸着工程と吸着部移動工程とで異なっており、かつ、第2吸着部12の吸着面22の向きが吸着工程と吸着部移動工程とで異なっている。
【0037】
吸着工程において、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22が載置台40の上面部41に対して水平であることにより、載置台40に載置されている搬送対象物100の上面に第1吸着部11の吸着面21と第2吸着部12の吸着面22の全体が接しやすくすることができる。その結果、搬送対象物100に第1吸着部11および第2吸着部12が吸着しやすくなる。
【0038】
吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面21は、第2吸着部12の方向を向くように傾斜しており、第2吸着部12の吸着面22は、第1吸着部11の方向を向くように傾斜していることにより、第1吸着部11の吸着面21と第2吸着部12の吸着面22とが内向きとなる。そのため、
図3に示すように、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100において、第1吸着部11と第2吸着部12との間の部分が上方に向かって凸状に湾曲し、搬送対象物100が山なりの形状に湾曲しやすくなる。搬送対象物100が山なり状に湾曲することによって、この搬送対象物100の下側に空気が入り込みやすく、静電気等によって搬送対象物100の下側面に付着している他物を離しやすくすることができ、第1吸着部11および第2吸着部12によって搬送対象物100を1つずつ保持した状態にて移動させやすくなる。その結果、搬送対象物100の搬送が行いやすく、また、折り加工が施されていない紙片や、折り加工が施された紙片、冊子状の紙片等の搬送対象物100に対応することが可能である。
【0039】
図3に示すように、吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面21と載置台40の上面部41とがなす角度θ1は、5度以上であることが好ましく、10度以上であることがより好ましく、20度以上であることがさらに好ましく、30度以上であることがよりさらに好ましい。第1吸着部11の吸着面21と載置台40の上面部41とがなす角度θ1の下限値を上記の範囲に設定することにより、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100が山なり状に湾曲しやすくなり、搬送対象物100の下側に空気を入り込みやすくすることができる。また、吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面21と載置台40の上面部41とがなす角度θ1は、80度以下であることが好ましく、70度以下であることがより好ましく、60度以下であることがさらに好ましい。第1吸着部11の吸着面21と載置台40の上面部41とがなす角度θ1の上限値を上記の範囲に設定することにより、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100が過度に湾曲しにくくなり、搬送対象物100の折れ曲り等の破損が生じにくくなる。
【0040】
第1吸着部11の吸着面21と載置台40の上面部41とがなす角度θ1と同様に、吸着部移動工程において、第2吸着部12の吸着面22と載置台40の上面部41とがなす角度θ2は、5度以上であることが好ましく、10度以上であることがより好ましく、20度以上であることがさらに好ましく、30度以上であることがよりさらに好ましい。また、吸着部移動工程において、第2吸着部12の吸着面22と載置台40の上面部41とがなす角度θ2は、80度以下であることが好ましく、70度以下であることがより好ましく、60度以下であることがさらに好ましい。
【0041】
吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面21と載置台40の上面部41とがなす角度θ1と、第2吸着部12の吸着面22と載置台40の上面部41とがなす角度θ2とは、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。第1吸着部11の吸着面21と載置台40の上面部41とがなす角度θ1と、第2吸着部12の吸着面22と載置台40の上面部41とがなす角度θ2と、が同じ角度であることにより、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100の湾曲の度合いを調整しやすくなり、搬送対象物100の搬送を安定して行いやすくなる。
【0042】
吸着部移動工程において、第1吸着部11を、第2吸着部12よりも先に上方に移動させ、第2吸着部12を、第1吸着部11が移動した後に上方に移動させることが好ましい。吸着部移動工程において、第1吸着部11が上方へ移動した後に第2吸着部12が上方へ移動することにより、第1吸着部11のみが上方へ移動した際に、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100において、第1吸着部11が吸着している側の搬送対象物100の部分のみが上方に持ち上げられることとなる。そのため、搬送対象物100の第1吸着部11が吸着している側の部分から、搬送対象物100の下方に空気が入り込みやすくなり、静電気等によって搬送対象物100の下側面に付着している他物を離しやすくする効果を高めることができる。
【0043】
また、吸着部移動工程において、第1吸着部11と第2吸着部12を、同時に上方に移動させることも好ましい。吸着部移動工程において、第1吸着部11および第2吸着部12を同時に上方へ移動させることにより、搬送対象物100を所定の位置に搬送することにかかる時間を短縮することが可能となる。
【0044】
さらに、搬送対象物100に気体を吹き付ける吹き付け工程を有していることが好ましい。つまり、吸着部移動工程において、搬送対象物100に気体を吹き付けながら、第1吸着部11および第2吸着部12を上方に移動させることが好ましい。吹き付け工程を有していることにより、第1吸着部11および第2吸着部12の移動によってたわんだ搬送対象物100に気体が吹き付けられ、この搬送対象物100とは異なる搬送対象物100等、他物が静電気等によって搬送対象物100の下側面に付着しにくくなる。その結果、搬送対象物100の搬送を円滑に行いやすくなる。
【0045】
吹き付け工程において、搬送対象物100の下側面に気体を吹き付けることが好ましい。搬送対象物100の下側面に気体を吹き付けることにより、静電気等によって他物が付着しやすい傾向にある搬送対象物100の下側面に気体が当たり、搬送対象物100に他物が付着しにくくすることができる。
【0046】
吹き付け工程において搬送対象物100に吹き付ける気体としては、空気、窒素ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。中でも、搬送対象物100に吹き付ける気体は、空気であることが好ましい。搬送対象物100に吹き付ける気体が空気であることにより、搬送対象物100を傷めにくく、また、吹き付け工程において特殊な設備等を導入する必要がないため、搬送装置1の作動にかかるコストを低減することが可能となる。
【0047】
吹き付け工程は、吸着工程の前から吸着部移動工程まで行うことが好ましい。吹き付け工程を吸着工程の前から吸着部移動工程まで行うことにより、搬送対象物100を所定の位置まで搬送する工程において、搬送対象物100に他物が付着しにくい状態を維持することができる。そのため、搬送対象物100を1つずつ搬送することが行いやすくなる。
【0048】
さらに、搬送対象物100の静電気の除去を行う除電工程を有していることが好ましい。除電工程を有していることにより、第1吸着部11および第2吸着部12が上方に移動することによってたわんだ搬送対象物100の除電が行われ、静電気によって他物が搬送対象物100に付着することが起こりにくくなる。そのため、搬送対象物100の搬送を円滑に行いやすくなる。
【0049】
除電工程における搬送対象物100の静電気の除去を行う方法としては、静電気除去流体を搬送対象物100に噴射する方法、除電ブラシや除電紐、電極等を搬送対象物100に接触させる方法等が挙げられる。中でも、除電工程は、搬送対象物100に静電気除去流体を噴射することによって行うことが好ましい。搬送対象物100に静電気除去流体を噴射することによって除電工程を行うことにより、搬送対象物100を傷付けにくく、かつ搬送対象物100の全体について除電が行いやすくなる。
【0050】
除電工程は、吸着工程の前から吸着部移動工程まで行うことが好ましい。除電工程を吸着工程の前から吸着部移動工程まで行うことにより、搬送対象物100の搬送工程において、除電によって搬送対象物100に他物が付着しにくい状態を維持することができ、1つずつ搬送対象物100を搬送しやすくなる。
【0051】
吹き付け工程と除電工程は同時に行ってもよい。つまり、吸着工程の前から吸着部移動工程まで、静電気除去流体を含む気体を搬送対象物100に噴射し、吹き付け工程と除電工程を同時に行うことが好ましい。吹き付け工程と除電工程を同時に行うことにより、搬送対象物100に他物が付着しにくくなる効果を高めやすくなる。
【0052】
図2に示すように、吸着工程において、載置台40に載置されている搬送対象物100に第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している状態では、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22が載置台40の上面部41に対して水平であり、
図3に示すように、吸着部移動工程において、第1吸着部11の吸着面21が第2吸着部12の方向へ傾斜しており、第2吸着部12の吸着22面が第1吸着部11の方向へ傾斜している構成とするには、例えば、第1吸着部11および第2吸着部12が、蛇腹部80を有する構成とすることや、複数のリンク部材と関節で構成されたリンク機構と、エアシリンダ等の上下方向に駆動させる駆動機構と、を有する構成とすること等が挙げられる。リンク機構は、組み合わせた複数のリンク部材が相対的に動作し、入力動作を異なる動作に変換するための機械要素である。第1吸着部11および第2吸着部12が蛇腹部80やリンク機構と上下方向への駆動機構とを有することにより、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22の向きを吸着工程と吸着部移動工程とで異なる向きとなるように切り替えやすくなる。
【0053】
中でも、
図1~
図3に示すように、第1吸着部11および第2吸着部12は、蛇腹部80を有していることが好ましい。第1吸着部11および第2吸着部12がそれぞれ蛇腹部80を有していることにより、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22の向きを変えやすくすることができる。そのため、吸着工程では第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22を載置台40の上面部41に対して水平とし、かつ、吸着部移動工程では第1吸着部11の吸着面21を第2吸着部12の方向へ傾斜させ、第2吸着部12の吸着面22を第1吸着部11の方向へ傾斜させることが行いやすくなる。また、第1吸着部11および第2吸着部12がそれぞれ蛇腹部80を有していることにより、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22の向きを繰り返し変化させても、第1吸着部11および第2吸着部12が破損しにくいという効果も有している。
【0054】
図1~
図3に示すように、搬送装置1は、さらに、搬送対象物100と接触する接触部90を有しており、吸着部移動工程において、接触部90を第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100に接触させることが好ましい。吸着部移動工程において、接触部90を第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100に接触させることにより、第1吸着部11および第2吸着部12の移動によって持ち上げられている搬送対象物100に静電気等によって他物が付着している場合に、接触部90の接触によって付着している他物を離して落とすことができ、搬送対象物100を1つずつ第1吸着部11および第2吸着部12によって搬送することが行いやすくなる。
【0055】
接触部90の形状は、例えば、棒状、板状、爪状等が挙げられる。中でも、接触部90の形状は、爪状であることが好ましい。接触部90が爪状の形状であることにより、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100の端部に接触部90が接触しやすく、静電気等によって搬送対象物100に他物が付着している際に、搬送対象物100に付着している他物を離しやすくすることができる。
【0056】
接触部90は、載置台40と一体に形成されており、載置台40の一部であってもよく、載置台40とは異なる別の部材であって、載置台40に固定されていてもよく、搬送装置1の載置台40ではない部分に固定されていてもよい。中でも、接触部90は、載置台40とは別の部材であって、載置台40に固定されていることが好ましい。接触部90が載置台40とは別の部材であって、載置台40に固定されていることにより、搬送対象物100の厚みや形状、材質等に適した接触部90に交換することが容易となり、また、接触部90の位置等の調整も行いやすくなる。そのため、第1吸着部11および第2吸着部12によって搬送対象物100を1つずつ搬送しやすくすることが可能となる。
【0057】
接触部90の数は、1つであってもよいが、複数であることが好ましい。接触部90の数が複数であることにより、接触部90が搬送対象物100の端部の複数箇所において接触し、搬送対象物100に静電気等によって付着している他物をより引き離しやすくすることができる。
【0058】
次に、本発明の搬送装置について説明する。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0059】
図1~
図3に示すように、本発明の搬送装置1は、搬送対象物100を搬送する装置1であって、第1吸着部11および第2吸着部12と、搬送対象物100を載置する載置台40と、を有しており、載置台40は、上面部41を有しており、載置台40に載置されている搬送対象物100に第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している下降状態において、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22は、載置台40の上面部41に対して水平であり、搬送対象物100に吸着している第1吸着部11および第2吸着部12を上方に引き上げた上昇状態において、第1吸着部11の吸着面21は、第2吸着部12の方向へ傾斜しており、第2吸着部12の吸着面22は、第1吸着部11の方向へ傾斜している。
【0060】
図2に示すように、下降状態は、第1吸着部11および第2吸着部12が載置台40に載置されている搬送対象物100に吸着している状態である。つまり、下降状態は、載置台40に載置されている搬送対象物100に第1吸着部11および第2吸着部12が吸着しており、第1吸着部11および第2吸着部12によって搬送対象物100が上方に移動されていない状態である。
【0061】
下降状態において、第1吸着部11の吸着面21および第2吸着部12の吸着面22が載置台40の上面部41に対して水平であることにより、第1吸着部11の吸着面21と第2吸着部12の吸着面22との全体が載置台40に載置されている搬送対象物100の上面に接しやすく、第1吸着部11および第2吸着部12が搬送対象物100に吸着しやすくすることができる。
【0062】
図3に示すように、上昇状態は、搬送対象物100に吸着している第1吸着部11および第2吸着部12が上方に引き上げられた状態である。つまり、上昇状体は、第1吸着部11および第2吸着部12によって、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100が上方に移動している状態である。
【0063】
上昇状態において、第1吸着部11の吸着面21は、第2吸着部12の方向を向くように傾斜しており、第2吸着部12の吸着面22は、第1吸着部11の方向を向くように傾斜していることにより、第1吸着部11の吸着面21と第2吸着部12の吸着面22とが内向きとなる。そのため、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100が山なりの形状に湾曲しやすくなり、この搬送対象物100の下側に空気が入り込みやすく、静電気等によって搬送対象物100の下側面に付着している他物を離しやすくすることができ、第1吸着部11および第2吸着部12によって搬送対象物100を1つずつ保持した状態にて移動させやすくなる。その結果、搬送対象物100の搬送が行いやすく、また、折り加工が施されていない紙片や、折り加工が施された紙片、冊子状の紙片等の搬送対象物100に対応することが可能となる。
【0064】
図1~
図3に示すように、さらに、搬送対象物100に気体を吹き付ける吹き付け装置60を有していることが好ましい。搬送装置1が吹き付け装置60を有していることにより、搬送対象物100に気体を吹き付けることによって、搬送対象物100の下側面に、静電気等によって搬送対象物100とは異なる他物が静電気等によって付着しにくくなる。その結果、搬送対象物100の搬送を円滑に行うことが可能な搬送装置1とすることができる。
【0065】
吹き付け装置60は、搬送対象物100の下側面に気体を吹き付けることが好ましい。搬送対象物100の下側面は、静電気等によって他物が付着しやすい。搬送対象物100の下側面に気体を吹き付けることによって搬送対象物100の下側面に気体が当たり、搬送対象物100に他物を付着しにくくすることができる。
【0066】
吹き付け装置60が搬送対象物100に吹き付ける気体としては、空気、窒素ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。中でも、搬送対象物100に吹き付ける気体は、空気であることが好ましい。搬送対象物100に吹き付ける気体が空気であることにより、搬送対象物100を傷めにくくすることができ、また、吹き付け工程において特殊な設備等を導入する必要がないため、搬送装置1のコストを低減することが可能となる。
【0067】
図1~
図3に示すように、さらに、搬搬送対象物100の静電気の除去を行う除電器70を有していることが好ましい。搬送装置1が除電器70を有していることにより、搬送対象物100の除電が行われる。その結果、静電気によって他物が搬送対象物100に付着することが起こりにくくなり、搬送対象物100の搬送を円滑に行いやすくなる。
【0068】
除電器70としては、例えば、静電気除去流体を搬送対象物100に噴射するノズル、除電ブラシ、除電紐、電極等が挙げられる。中でも、除電器70は、搬送対象物100に静電気除去流体を噴射するノズルであることが好ましい。除電器70が静電気除去流体を噴射するノズルであることにより、搬送対象物100を傷付けずに搬送対象物100の全体を除電することが行いやすくなる。
【0069】
図1~
図3に示すように、第1吸着部11および第2吸着部12は、蛇腹部80を有していることが好ましい。第1吸着部11および第2吸着部12が蛇腹部80を有していることにより、第1吸着部11の吸着面21の向きと、第2吸着部12の吸着面22の向きを変化させやすく、かつ、それぞれの向きを繰り返し変化させても第1吸着部11および第2吸着部12が破損しにくくすることができる。
【0070】
図1~
図3に示すように、搬送装置1は、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100の端部と接触する接触部90を有していることが好ましい。搬送装置1が接触部90を有していることにより、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100の下側面に静電気等によって他物が付着している場合、第1吸着部11および第2吸着部12が吸着している搬送対象物100の端部に接触部90が接触することによって、他物を搬送対象物100から離して落としやすくすることができる。そのため、第1吸着部11および第2吸着部12によって搬送対象物100を1つずつ円滑に搬送しやすくなる。
【0071】
以上のように、本発明の搬送装置作動方法は、第1吸着部および第2吸着部と、搬送対象物を載置する載置台と、を有し、搬送対象物を搬送する装置の作動方法であって、載置台は、上面部を有しており、第1吸着部および第2吸着部を搬送対象物に吸着させる吸着工程と、第1吸着部および第2吸着部を上方に移動させる吸着部移動工程と、を有しており、吸着工程において、載置台に載置されている搬送対象物に第1吸着部および第2吸着部が吸着している状態では、第1吸着部の吸着面および第2吸着部の吸着面は、載置台の上面部に対して水平であり、吸着部移動工程において、第1吸着部の吸着面は、第2吸着部の方向へ傾斜しており、第2吸着部の吸着面は、第1吸着部の方向へ傾斜している。本発明の搬送装置作動方法がこのような工程を有していることにより、吸着工程において第1吸着部および第2吸着部が搬送対象物に吸着しやすく、かつ、吸着部移動工程において第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物が山なりの形状に湾曲しやすくなる。そのため、第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物の下面に空気が入り込みやすく、静電気等によって搬送対象物100の下側面に付着している他物を離しやすくすることができ、搬送対象物を1つずつ保持して搬送することが行いやすくなる。また、本発明の搬送装置作動方法であれば、搬送対象物の下面に空気が入り込みやすいため、折り加工が施されていない紙片だけでなく、折り加工が施された紙片や冊子状の紙片であっても搬送が可能である。
【0072】
また、本発明の搬送装置は、搬送対象物を搬送する装置であって、第1吸着部および第2吸着部と、搬送対象物を載置する載置台と、を有しており、載置台は、上面部を有しており、載置台に載置されている搬送対象物に第1吸着部および第2吸着部が吸着している下降状態において、第1吸着部の吸着面および第2吸着部の吸着面は、載置台の上面部に対して水平であり、搬送対象物に吸着している第1吸着部および第2吸着部を上方に引き上げた上昇状態において、第1吸着部の吸着面は、第2吸着部の方向へ傾斜しており、第2吸着部の吸着面は、第1吸着部の方向へ傾斜している。本発明の搬送装置がこのような構成であることにより、下降状態では第1吸着部および第2吸着部が搬送対象物に吸着しやすくなり、上昇状態では第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物が山なり状に湾曲しやすくなる。そのため、第1吸着部および第2吸着部が吸着している搬送対象物の下面に空気が入り込みやすく、搬送対象物100の下側面に静電気等によって付着している他物が離れやすくなって、搬送対象物を1つずつ保持して搬送しやすくなる。また、搬送対象物の下面に空気が入り込みやすくなるため、折り加工が施されていない紙片や折り加工の施されている紙片、冊子状の紙片であっても、本発明の搬送装置によって搬送することができる。
【符号の説明】
【0073】
1:搬送装置
11:第1吸着部
12:第2吸着部
21:第1吸着部の吸着面
22:第2吸着部の吸着面
40:載置台
41:上面部
60:吹き付け装置
70:除電器
80:蛇腹部
90:接触部
100:搬送対象物
θ1:第1吸着部の吸着面と載置台の上面部とがなす角度
θ2:第2吸着部の吸着面と載置台の上面部とがなす角度