(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143020
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】クラムシェルバケット
(51)【国際特許分類】
E02F 3/47 20060101AFI20230928BHJP
B66C 3/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E02F3/47 D
B66C3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050206
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎也
(72)【発明者】
【氏名】乘田 雅幸
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004PA06
3F004PB06
(57)【要約】
【課題】当接部材の修理を容易に行う。
【解決手段】クラムシェルバケット11は、ベース部材12に支持ピン20,24を介して回動可能に支持され、開位置と閉位置との間で変位する一対のバケット17,21と、ベース部材12に設けられたベース側当接部材27と、一対のバケット17,21にそれぞれ設けられたバケット側当接部材32,36とを備えている。ベース側当接部材27は、ベース部材12に固定されたベース側固定部材28と、ベース側固定部材28に交換可能に取付けられたベース側交換部材29,30とにより構成され、バケット側当接部材32,36は、バケット17,21に固定されたバケット側固定部材33,37と、バケット側固定部材33,37に交換可能に取付けられ、ベース側交換部材29,30に当接するバケット側交換部材34,38とにより構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置を構成するアームの先端側に取付けられたベース部材と、
前記ベース部材に支持ピンを介して回動可能に支持され、互いに離間する開位置と接近する閉位置との間で変位する一対のバケットと、
前記ベース部材に設けられたベース側当接部材と、
前記一対のバケットにそれぞれ設けられ、前記一対のバケットが前記開位置に変位したときに前記ベース側当接部材に当接するバケット側当接部材と、を備えてなるクラムシェルバケットにおいて、
前記ベース側当接部材は、前記ベース部材に固定されたベース側固定部材と、前記ベース側固定部材に交換可能に取付けられたベース側交換部材とにより構成され、
前記バケット側当接部材は、前記一対のバケットに固定されたバケット側固定部材と、前記バケット側固定部材に交換可能に取付けられ、前記ベース側交換部材に当接するバケット側交換部材とにより構成されていることを特徴とするクラムシェルバケット。
【請求項2】
前記ベース側交換部材と前記バケット側交換部材とは、硬度が異なる材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクラムシェルバケット。
【請求項3】
前記ベース側固定部材と前記ベース側交換部材とには、前記ベース側固定部材に前記ベース側交換部材を取付けた状態で互いに嵌合する凹凸嵌合部が設けられ、
前記バケット側固定部材と前記バケット側交換部材とには、前記バケット側固定部材に前記バケット側交換部材を取付けた状態で互いに嵌合する凹凸嵌合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクラムシェルバケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立坑を掘削する建設機械に備えられたクラムシェルバケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地中深く立坑を掘削する場合には、立坑掘削機が好適に用いられる。立坑掘削機は、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを含んで構成されている。作業装置は、例えば上下方向に伸縮可能な多段伸縮式(テレスコピック式)のアームと、アームの先端に設けられたクラムシェルバケットとを備えている。
【0003】
クラムシェルバケットは、アームの先端側に取付けられたベース部材と、このベース部材に支持ピンを介して回動可能に支持され、互いに離間する開位置と接近する閉位置との間で変位する一対のバケットとを備えている。クラムシェルバケットは、一対のバケットを開位置とした状態で立坑の穴底まで降下した後、閉位置とすることにより土砂等を掘削する。そして、クラムシェルバケットは、一対のバケットを閉位置とした状態で立坑から地上へと上昇し、ダンプトラック等の上方で一対のバケットを開位置へと変位させることにより、土砂等の掘削物をダンプトラックの荷台に排出する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来技術によるクラムシェルバケットは、一対のバケットを開閉させるための油圧シリンダを備え、この油圧シリンダの動作に応じて一対のバケットを閉位置と開位置との間で変位させる。このため、クラムシェルバケットを構成するベース部材と一対のバケットには、通常、バケットが閉位置から開位置へと変位するときの変位量(最大開度)を設定するための当接部材が設けられている。この当接部材は、ベース部材と一対のバケットとにそれぞれ設けられ、一対のバケットが最大に開いたときに互いに衝突して最大開度を設定することにより、油圧シリンダが適正な範囲を超えて動作するのを規制する。これにより、油圧シリンダに過剰な負荷が作用するのを抑えると共に、当接部材同士が衝突するときの衝撃を利用して、一対のバケット内に残った土砂等の掘削物を排出することができる。
【0006】
ところで、クラムシェルバケットの開閉動作に伴ってベース部材側の当接部材と一対のバケット側の当接部材とが衝突を繰り返すことにより、これら当接部材は摩耗、変形を生じる。従って、一対のバケットの最大開度が大きくなり、油圧シリンダが適正な範囲を超えて動作するのを防止するため、当接部材は摩耗の度合いに応じて修理が必要となる。
【0007】
摩耗、変形を生じた当接部材の修理は、一般に、溶接等の手段を用いて金属を付加(肉盛り)した後、機械加工によって成形を施す。しかし、このような当接部材の修理を行う場合、一対のバケットのうち一方のバケット側の当接部材とベース部材側の当接部材、および一対のバケットのうち他方のバケット側の当接部材とベース部材側の当接部材とが、一対のバケットが開位置となったときに均等に当接するように、それぞれの当接部材を成形する必要がある。このため、当接部材の修理には多大な工数が必要となる上に、熟練した修理技術が必要となるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、当接部材の修理を容易に行うことができるようにしたクラムシェルバケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、作業装置を構成するアームの先端側に取付けられたベース部材と、前記ベース部材に支持ピンを介して回動可能に支持され、互いに離間する開位置と接近する閉位置との間で変位する一対のバケットと、前記ベース部材に設けられたベース側当接部材と、前記一対のバケットにそれぞれ設けられ、前記一対のバケットが前記開位置に変位したときに前記ベース側当接部材に当接するバケット側当接部材と、を備えてなるクラムシェルバケットにおいて、前記ベース側当接部材は、前記ベース部材に固定されたベース側固定部材と、前記ベース側固定部材に交換可能に取付けられたベース側交換部材とにより構成され、前記バケット側当接部材は、前記一対のバケットに固定されたバケット側固定部材と、前記バケット側固定部材に交換可能に取付けられ、前記ベース側交換部材に当接するバケット側交換部材とにより構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対のバケットの開閉動作により、ベース側交換部材とバケット側交換部材とが衝突を繰り返して摩耗、変形したとしても、ベース側固定部材に対してベース側交換部材を容易に交換し、またはバケット側固定部材に対してバケット側交換部材を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るクラムシェルバケットを備えた立坑掘削機を示す左側面図である。
【
図3】閉位置となったクラムシェルバケットを示す左側面図である。
【
図4】
図3中の矢示IV-IV方向から見たクラムシェルバケットの断面図である。
【
図5】ベース側当接部材およびバケット側当接部材を示す要部拡大図である。
【
図6】ベース側固定部材およびベース側交換部材を示す斜視図である。
【
図7】開位置となったクラムシェルバケットを示す左側面図である。
【
図8】ベース側当接部材とバケット側当接部材とが衝突した状態を
図7中の矢示VIII-VIII方向から見た断面図である。
【
図9】変形例によるベース側当接部材およびバケット側当接部材を示す
図8と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るクラムシェルバケットについて、立坑掘削機に搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0013】
図中、立坑掘削機1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。これら下部走行体2と上部旋回体3とは、立坑掘削機1の車体を構成している。上部旋回体3の前側には作業装置4が設けられ、この作業装置4を用いて地中深く立坑を掘削することができる。
【0014】
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の後端に設けられたカウンタウエイト6と、旋回フレーム5の左前部に設けられたキャブ7とを含んで構成されている。カウンタウエイト6は、上部旋回体3の前側に設けられた作業装置4との重量バランスを保っている。キャブ7は、オペレータが搭乗する運転室を画成し、キャブ7の内部には、運転席、作業用の操作レバー、走行用の操作レバー・ペダル等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0015】
作業装置4は、上部旋回体3の前側に設けられ、地中深く立坑Pを掘削する。作業装置4は、旋回フレーム5の前端側に上下方向に回動可能に取付けられたブーム8と、ブーム8の先端に回動可能に取付けられた多段伸縮式(テレスコピック式)のアーム9と、アーム9の先端に回動可能に取付けられた後述のクラムシェルバケット11とを含んで構成されている。アーム9は、ブーム8の先端に取付けられた外筒9Aと、外筒9Aの内部に伸縮可能に設けられた第1の内筒9Bと、第1の内筒9Bの内部に伸縮可能に設けられた第2の内筒9Cとを有し、第2の内筒9Cの先端には、クラムシェルバケット11が取付けられている。
【0016】
次に、本実施形態によるクラムシェルバケット11について、
図2ないし
図8を参照して説明する。
【0017】
クラムシェルバケット11は、作業装置4を構成するアーム9(第2の内筒9C)の先端に取付けられている。クラムシェルバケット11は、ベース部材12と、油圧シリンダ13と、一対のバケット17,21とを含んで構成され、油圧シリンダ13によって一対のバケット17,21を開閉させることにより土砂を掘削し、地中深く立坑Pを掘削する。なお、説明の便宜上、一対のバケット17,21が開閉する方向をクラムシェルバケット11の開閉方向とし、この開閉方向と直交する上下方向以外の方向をクラムシェルバケット11の幅方向として説明する。
【0018】
ベース部材12は、アーム9(第2の内筒9C)の先端に取付けられている。ベース部材12は、クラムシェルバケット11の芯(基礎)となる部材で、上下方向に延びるロッド部12Aと、ロッド部12Aの下端部に設けられた横梁部12Bとにより構成されている。横梁部12Bは、ロッド部12Aの軸方向(上下方向)と直交して幅方向に水平に延びている。これにより、ベース部材12は全体として逆T字状に形成されている。
【0019】
ベース部材12のロッド部12Aは、上下方向に延びる円柱体からなり、後述する油圧シリンダ13のロッドを兼ねている。ロッド部12Aの上端には、アーム取付部12Cが設けられ、アーム取付部12Cは、アーム9を構成する第2の内筒9Cの先端に支持軸を介して回動可能に取付けられている。
【0020】
ベース部材12の横梁部12Bは、幅方向に延びる角筒体により形成されている。横梁部12Bの幅方向の中央部は、ロッド部12Aの下端に固定されている。横梁部12Bの幅方向の両端には、開閉方向に張出すバケット取付板12Dがそれぞれ設けられ、バケット取付板12Dの開閉方向の両端には、一対のバケット17,21がそれぞれ回動可能(開閉可能)に取付けられている。
【0021】
油圧シリンダ13は、ベース部材12のロッド部12Aを含んで構成されている。即ち、油圧シリンダ13は、ベース部材12のロッド部12Aと、ロッド部12Aの軸方向の中間部に設けられたピストン(図示せず)と、ピストンを取囲んでロッド部12Aの外周側に設けられたチューブ13Aと、を備えた両ロッド式の油圧シリンダにより形成されている。チューブ13Aは、ロッド部12Aに対して軸方向(上下方向)に移動可能に取付けられ、チューブ13A内には、ピストンの上側に位置する上側油室とピストンの下側に位置する下側油室とが形成されている。
【0022】
油圧シリンダ13のチューブ13Aは、上側油室に圧油が供給されたときにはロッド部12Aに沿って下方に移動し(
図3参照)、下側油室に圧油が供給されたときにはロッド部12Aに沿って上方に移動する(
図7参照)。チューブ13Aの軸方向の中間部には、チューブ13Aから径方向外側に突出する一対のリンク取付ブラケット13Bが取付けられている。これらリンク取付ブラケット13Bには、後述するリンク14の一端がそれぞれ取付けられている。
【0023】
一対のリンク14は、油圧シリンダ13のチューブ13Aとバケット17,21との間にそれぞれ設けられている。
図2に示すように、リンク14は、幅方向においてチューブ13A側(上側)が狭幅となり、バケット17,21側(下側)が広幅となる三角形状に形成されている。一対のリンク14の一端(上端)14Aは、油圧シリンダ13のリンク取付ブラケット13Bに上側連結ピン15を用いて回動可能に連結されている。一対のリンク14の他端(下端)14Bは、バケット17,21の後述するリンク連結部18D,22Dに、下側連結ピン16を用いて回動可能に連結されている。
【0024】
一対のバケット17,21は、後述の支持ピン20,24を介してベース部材12に回動可能に取付けられている。バケット17,21は、ベース部材12の横梁部12Bを挟んで開閉方向で対称となるように配置され、互いに離間する開位置(
図7の位置)と、互いに接近する閉位置(
図3の位置)との間で回動(変位)する。一対のバケット17,21は、それぞれ立坑Pの穴底側に位置する開口部17A,21Aを有し、開位置から閉位置へと変位することにより、開口部17A,21Aから土砂等を掬い上げる。ここで、一対のバケット17,21は同一の形状および構成を有しているので、一方のバケット17について詳細に説明し、他方のバケット21についての説明は簡略化する。
【0025】
バケット17は、ベース部材12を構成する横梁部12Bの幅方向の両端に設けられた一対のバケット取付板12Dに、それぞれ支持ピン20を用いて回動可能に支持されている。
図3および
図4に示すように、バケット17は、幅方向で間隔をもって対面する一対の側板18と、一対の側板18間を連結する底板19とにより構成され、一対の側板18と底板19とによって囲まれた空間が、土砂溜め空間S1となっている(
図4参照)。
【0026】
バケット17の側板18は、側板18の外枠部分を形成する厚肉なU字状をなす厚板部18Aと、溶接等の手段を用いて厚板部18Aに固着された薄肉な薄板部18Bとを有している。厚板部18Aは、側板18のうちバケット17による掘削作業時に応力が集中する部位を補強している。厚板部18Aには、ベース部材12のバケット取付板12Dに対応するベース部材連結部18Cと、リンク14の他端14Bに対応するリンク連結部18Dとが設けられている。側板18のベース部材連結部18Cは、ベース部材12(横梁部12B)のバケット取付板12Dに、支持ピン20を用いて回動可能に連結されている。また、側板18のリンク連結部18Dは、リンク14の他端14Bに、下側連結ピン16を用いて回動可能に連結されている。
【0027】
バケット17の底板19は、一対の側板18間を連結している。底板19は、緩やかに湾曲する板体により形成され、底板19の幅方向の両端は、溶接等の手段を用いて一対の側板18にそれぞれ固着されている。バケット17の開口部17A側に位置する底板19の端縁部には、幅方向の全域に亘って厚肉な板体からなるカッティングエッジ19Aが固定されている。カッティングエッジ19Aには、幅方向に間隔をもって複数(例えば3個)の掘削爪19Bが取付けられている。
【0028】
バケット21は、バケット17と同様に、一対の側板22と、一対の側板22間を連結する底板23とにより構成され、一対の側板22と底板23とによって囲まれた空間が、土砂溜め空間S2となっている(
図4参照)。
【0029】
バケット21の側板22は、厚板部22Aと薄板部22Bとを有し、厚板部22Aには、ベース部材連結部22Cとリンク連結部22Dとが設けられている。ベース部材連結部22Cは、ベース部材12のバケット取付板12Dに支持ピン24を用いて回動可能に連結され、リンク連結部22Dは、リンク14の他端14Bに下側連結ピン16を用いて回動可能に連結されている。バケット21の底板23は、一対の側板22間を連結し、バケット21の開口部21A側に位置する底板23の端縁部には、カッティングエッジ23Aが固定されている。カッティングエッジ23Aには、幅方向に間隔をもって複数の掘削爪23Bが取付けられている。
【0030】
従って、油圧シリンダ13のチューブ13Aがロッド部12Aに沿って上下方向に移動すると、チューブ13Aの動作がリンク14を介してバケット17,21に伝わる。これにより、バケット17が支持ピン20を中心として回動すると共にバケット21が支持ピン24を中心として回動し、クラムシェルバケット11は、
図3に示す閉位置と
図7に示す開位置との間で変位する。
【0031】
一対の排土装置25,26は、ベース部材12の横梁部12Bにそれぞれ設けられている。一方の排土装置25は、バケット17の土砂溜め空間S1内に配置され、他方の排土装置26は、バケット21の土砂溜め空間S2内に配置されている。
【0032】
図4に示すように、排土装置25は、ベース部材12の横梁部12Bに固定された一対の取付部材25Aと、一対の取付部材25Aに取付けられ、バケット17の底板19側へと延びる一対のL字板25Bと、一対のL字板25Bの先端に固着され、バケット17の一対の側板18間を幅方向に延びる削ぎ板25Cとにより枠状に形成されている。削ぎ板25Cは、底板19の内側面に近接した位置に固定されている。これにより、排土装置25は、バケット17が閉位置から開位置に回動(移動)したときに、底板19の内側面に貼り付いた粘土、泥等の土砂を、削ぎ板25Cによって削ぎ落すことができる。
【0033】
排土装置26も排土装置25と同様に、一対の取付部材26Aと、一対のL字板26Bと、削ぎ板26Cとにより枠状に形成され、削ぎ板26Cは、バケット21を構成する底板23の内側面に近接した位置に固定されている。これにより、排土装置26は、バケット21が閉位置から開位置に回動したときに、底板23の内側面に貼り付いた粘土、泥等の土砂を、削ぎ板26Cによって削ぎ落すことができる。
【0034】
次に、本実施形態に用いられるベース側当接部材27、およびバケット側当接部材32,36について説明する。
【0035】
ベース側当接部材27は、ベース部材12を構成する横梁部12Bの幅方向の両端に1個ずつ(合計2個)設けられている(
図4参照)。ベース側当接部材27は、油圧シリンダ13によってクラムシェルバケット11が閉位置から開位置に変位したときに、バケット17,21に設けられたバケット側当接部材32,36が当接する。これにより、クラムシェルバケット11の開位置(最大開度)が設定され、油圧シリンダ13のチューブ13Aが適正な範囲を超えて移動するのを防止する。
【0036】
図6および
図8に示すように、ベース側当接部材27は、ベース部材12の横梁部12Bに固定されたベース側固定部材28と、ベース側固定部材28にボルト31を用いて交換可能(着脱可能)に取付けられたベース側交換部材29,30とにより構成されている。
【0037】
ベース側固定部材28は、直方体のブロック状をなし、横梁部12Bの上面に溶接等の手段を用いて固定されている。ベース側固定部材28のうちバケット17側に位置する一側面28A、およびバケット21側に位置する他側面28Bには、それぞれ複数(例えば4個)のボルト穴(雌ねじ穴)28Cが形成されている。また、ベース側固定部材28の一側面28Aおよび他側面28Bには、それぞれ凹状嵌合部としての切欠溝28Dが形成されている。切欠溝28Dは、ベース側固定部材28の一側面28Aおよび他側面28Bの幅方向の中央部を、ベース側固定部材28の上面から下面までの全域に亘って上下方向に直線状に切欠くことにより形成されている。
【0038】
ベース側交換部材29は、ベース側固定部材28の一側面28Aに4本のボルト31を用いて交換可能に取付けられ、ベース側交換部材30は、ベース側固定部材28の他側面28Bに4本のボルト31を用いて交換可能に取付けられている。
【0039】
ベース側交換部材29は、ベース側固定部材28の一側面28Aと等しい四角形状をなす厚肉な板体により形成されている。ベース側交換部材29には、ベース側固定部材28の一側面28Aに形成されたボルト穴28Cに対応する4個のボルト挿通孔29Aが形成され、これら4個のボルト挿通孔29Aには、ボルト31の頭部を収容する座ぐり穴29Bが同心上に形成されている。また、ベース側交換部材29のうちベース側固定部材28の一側面28Aに当接する面には、凸状嵌合部としての嵌合突起29Cが設けられている。嵌合突起29Cは、ベース側交換部材29の幅方向の中央部を上下方向に延びる直線状の突起により形成され、ベース側固定部材28の切欠溝28Dに嵌合する。
【0040】
そして、ベース側固定部材28の切欠溝28Dに、ベース側交換部材29の嵌合突起29Cを嵌合させることにより、ベース側固定部材28のボルト穴28Cとベース側交換部材29のボルト挿通孔29Aとを位置合わせすることができる。この状態で、ベース側交換部材29のボルト挿通孔29Aにボルト31を挿通し、このボルト31をベース側固定部材28のボルト穴28Cに螺着することにより、ベース側固定部材28の一側面28Aに、ベース側交換部材29を取付けることができる。
【0041】
この場合、
図4に示すように、切欠溝28Dと嵌合突起29Cとの間に形成される隙間Aは、ベース側交換部材29のボルト挿通孔29Aとボルト31との間に形成される径方向の隙間Bよりも小さく設定されている(A<B)。これにより、ベース側交換部材29に対し、後述のバケット側交換部材34の衝突によって大きな荷重が作用した場合でも、この荷重をボルト31に先立って切欠溝28Dと嵌合突起29Cとの嵌合部によって受けることができ、ボルト31の損傷を防止することができる。
【0042】
一方、ベース側交換部材30は、ベース側交換部材29と同一の形状および構造を有している。即ち、ベース側交換部材30には、ベース側固定部材28の他側面28Bに設けられたボルト穴28Cに対応する4個のボルト挿通孔30A、および座ぐり穴30Bが形成されている。また、ベース側交換部材30には、ベース側固定部材28の他側面28Bに設けられた切欠溝28Dに嵌合する凸状嵌合部としての嵌合突起30Cが形成されている。
【0043】
切欠溝28Dと嵌合突起30Cとの間に形成される隙間は、ベース側交換部材30のボルト挿通孔30Aとボルト31との間に形成される隙間よりも小さく設定されている。そして、ベース側固定部材28の切欠溝28Dに、ベース側交換部材30の嵌合突起30Cを嵌合させた状態で、ベース側交換部材30のボルト挿通孔30Aに挿通したボルト31を、ベース側固定部材28のボルト穴28Cに螺着する。これにより、ベース側固定部材28の他側面28Bに、ベース側交換部材30を取付けることができる。
【0044】
バケット側当接部材32は、バケット17を構成する一対の側板18に1個ずつ(合計2個)設けられている。バケット側当接部材32は、バケット17が開位置に移動したときにベース側当接部材27に衝突することにより、バケット17の開位置(最大開度)を設定する。バケット側当接部材32は、バケット17を構成する一対の側板18に固定されたバケット側固定部材33と、バケット側固定部材33にボルト35を用いて交換可能(着脱可能)に取付けられたバケット側交換部材34とにより構成されている。
【0045】
バケット側固定部材33は、厚肉な四角形状の板体により形成され、側板18の厚板部18Aのうちベース部材連結部18Cに近接した位置に、溶接等の手段を用いて固定されている。バケット側固定部材33のうちベース側当接部材27に対向する一側面33Aには、複数(例えば4個)のボルト穴(雌ねじ穴)33Bが形成されると共に、凹状嵌合部としての切欠溝33Cが形成されている。切欠溝33Cは、バケット側固定部材33の幅方向の中央部を、バケット側固定部材33の上面から下面までの全域に亘って上下方向に直線状に切欠くことにより形成されている。
【0046】
バケット側交換部材34は、バケット側固定部材33と等しい四角形状をなす板体により形成されている。バケット側交換部材34には、バケット側固定部材33の一側面33Aに形成されたボルト穴33Bに対応する4個のボルト挿通孔34Aと、ボルト35の頭部を収容する座ぐり穴34Bとが同心上に形成されている。また、バケット側交換部材34のうちバケット側固定部材33の一側面33Aに当接する面には、凸状嵌合部としての嵌合突起34Cが設けられている。嵌合突起34Cは、バケット側交換部材34の幅方向の中央部を上下方向に延びる直線状の突起により形成され、バケット側固定部材33の切欠溝33Cに嵌合する。
【0047】
この場合、切欠溝33Cと嵌合突起34Cとの間に形成される隙間は、バケット側交換部材34のボルト挿通孔34Aとボルト35との間に形成される隙間よりも小さく設定されている。そして、バケット側固定部材33の切欠溝33Cに、バケット側交換部材34の嵌合突起34Cを嵌合させた状態で、バケット側交換部材34のボルト挿通孔34Aに挿通したボルト35を、バケット側固定部材33のボルト穴33Bに螺着する。これにより、バケット側固定部材33の一側面33Aに、バケット側交換部材34を交換可能に取付けることができる。
【0048】
バケット側当接部材36は、バケット21を構成する一対の側板22に1個ずつ(合計2個)設けられている。バケット側当接部材36は、バケット21が開位置に移動したときにベース側当接部材27に衝突することにより、バケット21の開位置(最大開度)を設定する。バケット側当接部材36は、バケット21を構成する一対の側板22に固定されたバケット側固定部材37と、バケット側固定部材37にボルト35を用いて交換可能に取付けられたバケット側交換部材38とにより構成されている。
【0049】
バケット側固定部材37は、厚肉な四角形状の板体により形成され、側板22の厚板部22Aのうちベース部材連結部22Cに近接した位置に、溶接等の手段を用いて固定されている。バケット側固定部材37のうちベース側当接部材27に対向する一側面37Aには、複数のボルト穴37Bが形成されると共に、凹状嵌合部としての切欠溝37Cが形成されている。
【0050】
バケット側交換部材38は、バケット側固定部材37と等しい四角形状をなす板体により形成されている。バケット側交換部材38には、バケット側固定部材37の一側面37Aに形成されたボルト穴37Bに対応する4個のボルト挿通孔38Aと、ボルト35の頭部を収容する座ぐり穴38Bとが同心上に形成されている。また、バケット側交換部材38のうちバケット側固定部材37の一側面37Aに当接する面には、凸状嵌合部としての嵌合突起38Cが設けられ、嵌合突起38Cは、バケット側固定部材37の切欠溝37Cに嵌合する。
【0051】
この場合、切欠溝37Cと嵌合突起38Cとの間に形成される隙間は、バケット側交換部材38のボルト挿通孔38Aとボルト35との間に形成される隙間よりも小さく設定されている。そして、バケット側固定部材37の切欠溝37Cに、バケット側交換部材38の嵌合突起38Cを嵌合させた状態で、バケット側交換部材38のボルト挿通孔38Aに挿通したボルト35を、バケット側固定部材37のボルト穴37Bに螺着する。これにより、バケット側固定部材37の一側面37Aに、バケット側交換部材38を交換可能に取付けることができる。
【0052】
クラムシェルバケット11を用いた立坑Pの掘削作業時には、バケット17,21が開閉動作を行うことにより、バケット側当接部材32のバケット側交換部材34が、ベース側当接部材27のベース側交換部材29に衝突し、バケット側当接部材36のバケット側交換部材38が、ベース側当接部材27のベース側交換部材30に衝突する。このように、バケット側交換部材34,38、ベース側交換部材29,30は、繰り返される衝突時の衝撃により徐々に摩耗、変形等を生じる。
【0053】
これに対し、本実施形態では、ベース部材12に固定されたベース側固定部材28に対し、ベース側交換部材29,30をボルト31を用いて容易に交換することができる。また、バケット17に固定されたバケット側固定部材33に対し、ボルト35を用いてバケット側交換部材34を容易に交換することができ、バケット21に固定されたバケット側固定部材37に対し、ボルト35を用いてバケット側交換部材38を容易に交換することができる。
【0054】
ここで、バケット側交換部材34,38、ベース側交換部材29,30を、材質が等しい材料を用いて形成した場合には、それぞれが均等に摩耗、変形等を生じることにより、これらバケット側交換部材34,38、ベース側交換部材29,30を頻繁に交換する必要が生じる。
【0055】
これに対し、本実施形態では、ベース側当接部材27を構成するベース側交換部材29,30と、バケット側当接部材32を構成するバケット側交換部材34、およびバケット側当接部材36を構成するバケット側交換部材38とは、硬度が異なる材料を用いて形成されている。具体的には、ベース側交換部材29,30は、例えば一般構造用圧延鋼材を用いて形成し、バケット側交換部材34,38は、一般構造用圧延鋼材よりも硬度が高く、耐摩耗性に優れた耐摩耗鋼材を用いて形成されている。
【0056】
これにより、主としてベース側当接部材27を構成するベース側交換部材29,30が摩耗するため、バケット側当接部材32のバケット側交換部材34、およびバケット側当接部材36のバケット側交換部材38を交換する手間を省くことができ、交換作業の作業性を高めることができる。なお、バケット側交換部材34,38の材料の硬度を高めたのは、以下の理由に基づく。即ち、バケット側交換部材34が取付けられるバケット側固定部材33、およびバケット側交換部材38が取付けられるバケット側固定部材37は、いずれも四角形状の板体により形成され、バケット17の側板18、およびバケット21の側板22に対する溶接部が小さいため、ブロック状をなすベース側固定部材28に比較して変形し易い。このため、バケット側交換部材34,38が、ベース側交換部材29,30に衝突したときの衝撃によって変形しないように、バケット側交換部材34,38は、耐摩耗鋼材を用いて形成することが望ましい。
【0057】
本実施形態によるクラムシェルバケット11は、上述の如き構成を有するもので、以下、クラムシェルバケット11を用いた立坑Pの掘削作業について説明する。
【0058】
まず、
図1に示すように、立坑掘削機1を立坑Pの近傍まで走行させた後、作業装置4のブーム8を前側に延ばし、多段伸縮式のアーム9を地面に対して鉛直方向に伸長させる。そして、クラムシェルバケット11のバケット17,21を開位置に保持した状態で、アーム9の外筒9Aから第1の内筒9B、第2の内筒9Cを伸長させることにより、クラムシェルバケット11を立坑Pの底部(穴底)に接地させる。この状態で、バケット17,21を開位置から閉位置に回動させることにより、立坑Pの底部の土砂を掬い取ることができる。
【0059】
クラムシェルバケット11によって土砂を掬い取った後には、アーム9の外筒9A内に第1の内筒9B、第2の内筒9Cを収容してアーム9を縮小させる。この状態で、ブーム8の先端を上方に持ち上げると共に、ブーム8の先端側でアーム9を回動させることにより、クラムシェルバケット11を立坑Pから上方に抜き出すことができる。クラムシェルバケット11を立坑Pから上方に抜き出した後には、上部旋回体3を旋回させてクラムシェルバケット11をダンプトラック(図示せず)の上方に移動させる。そして、バケット17,21を閉位置から開位置に回動させることにより、掘削した土砂をダンプトラックの荷台に排出する。
【0060】
このようにして、土砂を排出した後には、上部旋回体3を旋回させてクラムシェルバケット11を立坑Pの上方に配置し、上述した行程を繰返すことにより、地中深く立坑Pを掘削することができる。
【0061】
ここで、立坑Pの掘削作業時には、クラムシェルバケット11を構成するバケット17,21が開閉動作を繰り返す。バケット17,21が閉位置から開位置へと回動するときには、バケット17に設けられたバケット側当接部材32,36が、ベース部材12に設けられたベース側当接部材27に衝突する。これにより、バケット17,21の開位置(最大開度)が設定され、油圧シリンダ13のチューブ13Aが適正な範囲を超えて移動することによって油圧シリンダ13に過剰な負荷が作用するのを防止できる。
【0062】
この場合、バケット17,21が開閉動作を繰り返すことにより、バケット側当接部材32のバケット側交換部材34は、ベース側当接部材27のベース側交換部材29に繰り返して衝突し、バケット側当接部材36のバケット側交換部材38は、ベース側当接部材27のベース側交換部材30に繰り返して衝突する。このため、バケット側交換部材34,38、ベース側交換部材29,30は、衝突時の衝撃により徐々に摩耗、変形等を生じる。
【0063】
これに対し、本実施形態では、ベース部材12に固定されたベース側固定部材28に対し、ベース側交換部材29,30をボルト31を用いて容易に交換することができる。また、バケット17に固定されたバケット側固定部材33に対し、ボルト35を用いてバケット側交換部材34を容易に交換することができ、バケット21に固定されたバケット側固定部材37に対し、ボルト35を用いてバケット側交換部材38を容易に交換することができる。これにより、摩耗、変形等を生じたベース側交換部材29,30、バケット側交換部材34,38を交換するときの作業性を高めることができる。
【0064】
しかも、本実施形態では、ベース側交換部材29,30は、例えば一般構造用圧延鋼材を用いて形成し、バケット側交換部材34,38は、一般構造用圧延鋼材よりも硬度が高く、耐摩耗性に優れた耐摩耗鋼材を用いて形成されている。これにより、主としてベース側当接部材27を構成するベース側交換部材29,30が摩耗するため、バケット側当接部材32のバケット側交換部材34、およびバケット側当接部材36のバケット側交換部材38を交換する手間を省くことができ、交換作業の作業性を一層高めることができる。
【0065】
さらに、本実施形態では、ベース側当接部材27を構成するベース側交換部材29,30を、ボルト31を用いてベース側固定部材28に取付けるときに、ベース側固定部材28に設けた切欠溝28Dに、ベース側交換部材29,30に設けた嵌合突起29C,30Cを嵌合させることができる。これにより、ベース側交換部材29に対し、バケット側交換部材34の衝突によって大きな荷重が作用した場合でも、この荷重をボルト31に先立って切欠溝28Dと嵌合突起29Cとの嵌合部によって受けることができる。同様に、ベース側交換部材30に対し、バケット側交換部材38の衝突によって大きな荷重が作用した場合でも、この荷重をボルト31に先立って切欠溝28Dと嵌合突起30Cとの嵌合部によって受けることができる。この結果、ボルト31の折損を防止することができ、ベース側交換部材29,30を、長期に亘ってベース側固定部材28に確実に取付けておくことができる。
【0066】
一方、バケット側当接部材32を構成するバケット側交換部材34を、ボルト35を用いてバケット側固定部材33に取付けるときには、バケット側固定部材33に設けた切欠溝33Cに、バケット側交換部材34に設けた嵌合突起34Cを嵌合させることができる。また、バケット側当接部材36を構成するバケット側交換部材38を、ボルト35を用いてバケット側固定部材37に取付けるときには、バケット側固定部材37に設けた切欠溝37Cに、バケット側交換部材38に設けた嵌合突起38Cを嵌合させることができる。これにより、バケット側交換部材34,38に対し、ベース側交換部材29,30の衝突によって大きな荷重が作用した場合でも、この荷重を切欠溝33Cと嵌合突起34Cとの嵌合部、および切欠溝37Cと嵌合突起38Cとの嵌合部によって受けることができる。この結果、ボルト35の折損を防止することができ、バケット側交換部材34,38を、長期に亘ってバケット側固定部材33,37に確実に取付けておくことができる。
【0067】
かくして、実施形態によるクラムシェルバケット11は、作業装置4を構成するアーム9の先端側に取付けられたベース部材12と、ベース部材12に支持ピン20,24を介して回動可能に支持され、互いに離間する開位置と接近する閉位置との間で変位する一対のバケット17,21と、ベース部材12に設けられたベース側当接部材27と、一対のバケット17,21にそれぞれ設けられ、バケット17,21が開位置に変位したときにベース側当接部材27に当接するバケット側当接部材32,36とを備えている。
【0068】
そして、ベース側当接部材27は、ベース部材12に固定されたベース側固定部材28と、ベース側固定部材28に交換可能に取付けられたベース側交換部材29,30とにより構成され、バケット側当接部材32,36は、バケット17,21に固定されたバケット側固定部材33,37と、バケット側固定部材33,37に交換可能に取付けられ、ベース側交換部材29,30に当接するバケット側交換部材34,38とにより構成されている。
【0069】
この構成によれば、バケット17,21の開閉動作により、ベース側交換部材29,30とバケット側交換部材34,38とが衝突を繰り返して摩耗、変形したとしても、ベース側固定部材28に対してベース側交換部材29,30を容易に交換し、またはバケット側固定部材33,37に対してバケット側交換部材34,38を容易に交換することができる。これにより、ベース側当接部材27、バケット側当接部材32,36の摩耗、変形に対する修理を行うときの作業性を向上させることができる。
【0070】
実施形態では、ベース側交換部材29,30とバケット側交換部材34,38とは、硬度が異なる材料を用いて形成されている。この構成によれば、ベース側交換部材29,30とバケット側交換部材34,38とが衝突を繰り返すことにより、ベース側交換部材29,30とバケット側交換部材34,38のうち硬度が低い材料を用いて形成された部材が、優先的に摩耗、変形を生じるようになる。この結果、硬度が高い材料を用いて形成された部材を交換する手間を省くことができ、ベース側交換部材29,30およびバケット側交換部材34,38を交換するときの作業性を高めることができる。
【0071】
実施形態では、ベース側固定部材28には切欠溝28Dが設けられ、ベース側交換部材29,30には、ベース側固定部材28にベース側交換部材29,30を取付けた状態で切欠溝28Dに嵌合する嵌合突起29C,30Cが設けられている。バケット側固定部材33,37には切欠溝33C,37Cが設けられ、バケット側交換部材34,38には、バケット側固定部材33,37にバケット側交換部材34,38を取付けた状態で切欠溝33C,37Cに嵌合する嵌合突起34C,38Cが設けられている。
【0072】
この構成によれば、ベース側交換部材29,30に対し、バケット側交換部材34,38の衝突によって大きな荷重が作用した場合でも、この荷重を切欠溝28D,28Dと嵌合突起29C,30Cとの嵌合部によって受けることができ、ボルト31の折損等によってベース側交換部材29,30が離脱するのを防止することができる。同様に、バケット側交換部材34,38に対し、ベース側交換部材29,30の衝突によって大きな荷重が作用した場合でも、この荷重を切欠溝33Cと嵌合突起34Cとの嵌合部、および切欠溝37Cと嵌合突起38Cとの嵌合部によって受けることができる。これにより、ボルト35の折損等によってバケット側交換部材34,38が離脱するのを防止することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態では、ベース側当接部材27を構成するベース側固定部材28に切欠溝28Dを形成し、ベース側交換部材29,30に嵌合突起29C,30Cを形成している。また、バケット側当接部材32,36を構成するバケット側固定部材33,37に切欠溝33C,37Cを形成し、バケット側交換部材34,38に嵌合突起34C,38Cを形成している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図9に示す変形例のように、切欠溝がないベース側固定部材28′と係合突起がないベース側交換部材29′,30′とによりベース側当接部材27′を構成し、切欠溝がないバケット側固定部材33′,37′と係合突起がないバケット側交換部材34′,38′とによりバケット側当接部材32′,36′を構成してもよい。
【0074】
また、実施形態では、ベース側当接部材27を構成するベース側固定部材28に切欠溝28Dを形成し、ベース側交換部材29,30に嵌合突起29C,30Cを形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばベース側固定部材に嵌合突起を形成し、ベース側交換部材に切欠溝を形成してもよい。このことは、バケット側当接部材についても同様である。
【0075】
また、実施形態では、ベース側固定部材28とベース側交換部材29,30とに設けられる凹凸嵌合部として、ベース側固定部材28に形成された直線的な切欠溝28Dと、ベース側交換部材29,30に形成された直線的な嵌合突起29C,30Cとを例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばベース側固定部材とベース側交換部材のうち一方の部材に円形穴を形成し、他方の部材に前記円形穴に嵌合する円柱状の突起を形成する構成としてもよい。このことは、バケット側当接部材についても同様である。
【0076】
さらに、実施形態では、バケット側交換部材34,38を形成する材料の硬度を、ベース側交換部材29,30を形成する材料の硬度よりも高くした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばバケット側交換部材34,38を形成する材料の硬度を、ベース側交換部材29,30を形成する材料の硬度よりも低くしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
4 作業装置
11 クラムシェルバケット
12 ベース部材
17,21 バケット
20,24 支持ピン
27,27′ ベース側当接部材
28,28′ ベース側固定部材
29,30,29′,30′ ベース側交換部材
32,36,32′,36′ バケット側当接部材
33,37,33′,37′ バケット側固定部材
34,38,34′,38′ バケット側交換部材
28D,33C,37C 切欠溝(凹状嵌合部)
29C,30C,34C,38C 嵌合突起(凸状嵌合部)