(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143022
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】シフト装置及びドライビングシミュレータ
(51)【国際特許分類】
G09B 9/04 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G09B9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050208
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】502391666
【氏名又は名称】株式会社アクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】松田 利之
(57)【要約】
【課題】実車に近い操作感が得られるシフト装置及びドライビングシミュレータを提供する。
【解決手段】多段変速が可能な、ドライビングシミュレータ用のシフト装置1であって、シフトレバー30の操作に伴い各速段に対応したポジションに移動するスライダー40と、前記スライダー40が前記ポジションに移動するときに接触することで前記シフトレバー30に負荷を加える負荷手段70と、運転状態に対応した負荷を与えるように前記負荷手段60を制御する制御手段と、を備え、前記負荷手段70は、各速段毎に独立して設けられ、前記制御手段は、各速段毎に前記負荷手段を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段変速が可能な、ドライビングシミュレータ用のシフト装置であって、
シフトレバーの操作に伴い各速段に対応したポジションに移動するスライダーと、
前記スライダーが前記ポジションに移動するときに接触することで前記シフトレバーに負荷を加える負荷手段と、
運転状態に対応した負荷を与えるように前記負荷手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記負荷手段は、各速段毎に独立して設けられ、
前記制御手段は、各速段毎に前記負荷手段を制御することを特徴とするシフト装置。
【請求項2】
前記負荷手段は、各速段毎に、一端が支持軸で回動自在に支持され前記支持軸近傍に爪を備えるレバーと、前記レバーの他端に連結し、前記制御手段の指令に基づき前記レバーの他端に下向きの荷重を加える荷重付与手段と、を備え、
前記スライダーは、上面に前記レバーに設けられた爪が嵌り込む係止溝を備える係止部を有し、
前記スライダーは、シフトチェンジに伴い前記係止部が前記レバーを押し上げ、前記爪が前記係止溝に嵌り込みシフトチェンジが完了することを特徴とする請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記荷重付与手段が、前記レバーの他端に取付けられた弾性体と、前記弾性体に連結し前記弾性体を下向きに引張るサーボモータとで構成され、
又は前記荷重付与手段が、前記レバーの他端に取付けられ前記レバーの他端に下向きの荷重を加えるシリンダ又はボールねじであることを特徴とする請求項2に記載のシフト装置。
【請求項4】
さらに前記スライダーの位置を検出するセンサーを備え、
前記運転状態は、前記スライダーの位置と、下記(A)群のいずれか一種又は2種以上と、であり、
前記制御手段は、前記ドライビングシミュレータから下記(A)群のデータを受信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシフト装置。
(A)車両スピード,クラッチの位置,エンジン回転数,加速度・減速度,アクセル・ブレーキの開度
【請求項5】
少なくとも車体、ハンドル、アクセル、ブレーキ、クラッチ、座席、動作を制御するコンピュータ及び請求項1から4のいずれか1項に記載のシフト装置を備え、乗物の運転を模擬することを特徴とするドライビングシミュレータ。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記運転状態からシフトチェンジが無理であると判断すると、シフトチェンジが不能となる負荷を与えるように前記制御手段を制御することを特徴とする請求項5に記載のドライビングシミュレータ。
【請求項7】
さらに前記車体を振動させるバイブレータ及び音発生手段を備え、
前記コンピュータは、前記運転状態からシフトチェンジが無理であると判断すると、シフトチェンジが不能となる負荷を与えるように前記負荷手段を制御し、さらに前記バイブレータ及び音発生手段を動作させることを特徴とする請求項5に記載のドライビングシミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の手動シフト操作を模擬的に再現するシフト装置及び乗物の運転を模擬的に再現するドライビングシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物に搭乗した状態を模擬するシミュレータが、操縦訓練やアミューズメントなどの目的で広く用いられている。シミュレータの例として、自動車に搭乗した状態を模擬するものであって、搭乗時に座席に伝わる振動や座席の姿勢を模擬するようなシミュレータ(例えば特許文献1参照)、ブレーキペダルなどペダルの挙動を模擬的に再現可能なドライブシミュレータが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
またマニュアルトランスミッションに用いられるシフトチェンジ動作を模擬した、滑らかな操作性を再現可能な操作性の高いアクチュエータ、さらに該アクチュエータを搭載しユーザに対して所望の操作感覚を提供可能な操作感覚シミュレータがある(例えば特許文献3参照)。シフトチェンジ動作を模擬したシフト装置、さらにはそれを備えるドライブシミュレータについては、特許文献3以外にも数多く出願されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-212236号公報
【特許文献2】特開2020-134891号公報
【特許文献3】特開2014-48878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日、ドライビングシミュレータに対してはより実車に近い状態を模擬したいとの要求が高く、シフトチェンジ動作及びそれを行うシフト装置についても同様である。特許文献3に記載のアクチュエータ等を含め、これまでにもより実車に近い状態を模擬するシフト装置が提案されているが十分とは言い難く改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、実車に近い操作感が得られるシフト装置及びドライビングシミュレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多段変速が可能な、ドライビングシミュレータ用のシフト装置であって、シフトレバーの操作に伴い各速段に対応したポジションに移動するスライダーと、前記スライダーが前記ポジションに移動するときに接触することで前記シフトレバーに負荷を加える負荷手段と、運転状態に対応した負荷を与えるように前記負荷手段を制御する制御手段と、を備え、前記負荷手段は、各速段毎に独立して設けられ、前記制御手段は、各速段毎に前記負荷手段を制御することを特徴とするシフト装置である。
【0008】
本発明に係るシフト装置において、前記負荷手段は、各速段毎に、一端が支持軸で回動自在に支持され前記支持軸近傍に爪を備えるレバーと、前記レバーの他端に連結し、前記制御手段の指令に基づき前記レバーの他端に下向きの荷重を加える荷重付与手段と、を備え、前記スライダーは、上面に前記レバーに設けられた爪が嵌り込む係止溝を備える係止部を有し、前記スライダーは、シフトチェンジに伴い前記係止部が前記レバーを押し上げ、前記爪が前記係止溝に嵌り込みシフトチェンジが完了することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るシフト装置において、前記荷重付与手段が、前記レバーの他端に取付けられた弾性体と、前記弾性体に連結し前記弾性体を下向きに引張るサーボモータとで構成され、又は前記荷重付与手段が、前記レバーの他端に取付けられ前記レバーの他端に下向きの荷重を加えるシリンダ又はボールねじであることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るシフト装置は、さらに前記スライダーの位置を検出するセンサーを備え、前記運転状態は、前記スライダーの位置と、下記(A)群のいずれか一種又は2種以上と、であり、前記制御手段は、前記ドライビングシミュレータから下記(A)群のデータを受信することを特徴とする。
(A)車両スピード,クラッチの位置,エンジン回転数,加速度・減速度,アクセル・ブレーキの開度
【0011】
本発明は、少なくとも車体、ハンドル、アクセル、ブレーキ、クラッチ、座席、動作を制御するコンピュータ及び前記シフト装置を備え、乗物の運転を模擬することを特徴とするドライビングシミュレータである。
【0012】
本発明に係るドライビングシミュレータにおいて、前記コンピュータは、前記運転状態からシフトチェンジが無理であると判断すると、シフトチェンジが不能となる負荷を与えるように前記制御手段を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るドライビングシミュレータは、さらに前記車体を振動させるバイブレータ及び音発生手段を備え、前記コンピュータは、前記運転状態からシフトチェンジが無理であると判断すると、シフトチェンジが不能となる負荷を与えるように前記負荷手段を制御し、さらに前記バイブレータ及び音発生手段を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、実車に近い操作感が得られるシフト装置及びドライビングシミュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態のシフト装置1の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態のシフト装置1の構成を説明するため模式図である。
【
図3】本発明の第1実施形態のシフト装置1の構成を説明するための図であって、上支持台20を取外して見た平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態のシフト装置1のスライダー40廻りの構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態のシフト装置1の負荷手段70回りの構成を説明するための斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態のシフト装置1の負荷手段70回りの構成を説明するための図である。
【
図7】本発明の第1実施形態のシフト装置1の負荷手段70回りの構成を説明するための図である。
【
図8】本発明の第2実施形態のドライビングシミュレータ2の全体構成図である。
【
図9】本発明の第2実施形態のドライビングシミュレータ2のドライビングユニット201の斜視図である。
【
図10】本発明の第1実施形態のシフト装置1の他の負荷手段100の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態のシフト装置1の斜視図及び構成を説明するため模式図である。
図2に記載のシフト方向及びセレクト方向は、スライダー40の移動方向を示す。
図3は、本発明の第1実施形態のシフト装置1の構成を説明するための図であって上支持台20を取外して見た平面図である。
図4は、本発明の第1実施形態のシフト装置1のスライダー40廻りの構成を説明するための図である。
図5、
図6及び
図7は、本発明の第1実施形態のシフト装置1の負荷手段70回りの構成を説明するための図である。
【0017】
図及び明細書中のX軸、Y軸、Z軸は、3次元直交座標のX軸、Y軸、Z軸と一致し、X(X軸)方向、Y(軸)方向、Z(軸)方向は、3次元直交座標のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向と一致する。また明細書中、+X方向は図中に示されたX軸の矢印の方向を意味し、-X方向とは図中に示されたX軸の矢印と反対方向を意味する。+Y方向、-Y方向、+Z方向、-Z方向についても同様である。
【0018】
本発明の第1実形形態のシフト装置1は、第2実施形態に示すようなドライビングシミュレータ2に搭載・使用される、多段変速が可能なH型シフトパターンを有するシフト装置であり、本実施形態のシフト装置1は、最高変速段が6速である。
【0019】
シフト装置1は、基台10と、シフトレバー30と、シフトレバー30に連結するスライダー40と、スライダー40が各速段に対応したポジションに移動するときに負荷を付与する負荷手段70と、を有する。シフト装置1は、セレクト方向がZ軸に平行、シフト方向がX軸に平行である。
図1において左は-X方向、右は+X方向である。前は-Z方向、後は+Z方向である。
【0020】
基台10は、長方体形状のブロック状の部材であり、中央部にスライダー40を収納する収容部12、左右には収容部12につながる、負荷手段70を構成するレバー71を格納する格納部14を備える。基台10は、中心線Cに対して左右対称であり、収容部12及び格納部14は、中心線Cに対して左右対称に設けられている(
図2参照)。収容部12は、基台10の中央に長方体状の凹部を設けるかたちで形成されている。
【0021】
格納部14は、基台10の左右にそれぞれ4個並列するように設けられている。格納部14は、X軸方向に伸びる細長い凹部であり、各格納部14は、同一の形状からなる。格納部14は、基台10の上面11及び収容部12に臨み、隣合う格納部14の間には互いを仕切る隔壁15が設けられている。隔壁15は、先端部16が傾斜面17となっており、左側の隔壁15は、平面視において-Z方向が長く、右側の隔壁15は、平面視において+Z方向が長くなっている。隔壁15の先端に傾斜面17を設け、本実施形態のように傾斜面17を配置することでシフトチェンジの際のスライダー40の移動がスムーズになる。
【0022】
本実施形態のシフト装置1は、最高変速段が6速であり、それに対応してレバー71も左右にそれぞれ3個配置され、左右前部の格納部14は予備となっている。予備の格納部14は、7速に対応するポジションとして1~6速と同様にレバー71を配置してもよく、またリバースのポジションとしてもよい。
【0023】
基台10の上部には、シフトレバー30を支持する上支持台20が取り付けられている。上支持台20は、側面視がコ字状の板材であり、基台10の前面、後面に固定されている。上支持台20の上面21には、中心にシフトレバー30が挿通する貫通孔22が設けられ、貫通孔22の上部には、貫通孔22を塞ぐようにシフトレバー30を回動自在に支持する球面滑り軸受35が取付けられている。
【0024】
基台10の下部には、負荷手段70を構成するサーボモータ85を支持する下支持台25が取り付けられている。下支持台25は、正面視がコ字状の板材であり、両側壁の上部を底面と平行に外側に屈曲させ基台10の底面に固定されている。
【0025】
シフトレバー30は、円柱状の部材であり、中間部が球面滑り軸受35を介して上支持台20に取付けられている。球面滑り軸受35を介して上支持台20に取付けられたシフトレバー30は、球面滑り軸受35を起点に回動することができる。シフトレバー30の上部にはノブ33が取付けられ(
図9参照)、シフトレバー30の下端32にはスライダー40と連結するロッドエンドベアリング37が取付けられている。
【0026】
スライダー40は、矩形の基部41と、基部41から左右にそれぞれ伸びる一対の係止部44とを有し、シフトチェンジに伴い、ガイド手段により案内され各速段に対応したポジションに移動する。基部41の中心にはロッドエンドベアリング37のピン38が挿通するピン挿通孔42が設けられ、ここにピン38が挿通され、スライダー40とシフトレバー30とがロッドエンドベアリング37を介して連結される。左右の係止部44の上面には、中央から基部41の近傍にかけてレバー71の爪75が嵌り込む係止溝46が設けられている。
【0027】
スライダー40の左右の係止部44の先端部45の間隔は、基台10に設けられた左右の隔壁15の先端部16の間隔よりも狭く設定されているため、スライダー40は、ニュートラル状態において、セレクト方向に自在に移動することができる。
【0028】
ガイド手段は、スライダー40をセレクト方向に案内する第1ガイド手段51と、スライダー40をシフト方向に案内する第2ガイド手段60とを有する。
【0029】
第1ガイド手段51は、矩形の第1スライドベース52と、第1スライドベース52をスライド自在に支持する一対の第1ガイドレール55とを備える。第1ガイドレール55は、間隔をあけて、基台10の収容部12の底面にセレクト方向に平行に固定されている。第1スライドベース52は、底部に第1ガイドレール55に嵌り込む凹部53を有し、凹部53が第1ガイドレール55に嵌り込み、セレクト方向に進退自在である。
【0030】
第1スライドベース52には、セレクト方向に伸びる一対のガイドパイプ57が挿通され、一方のガイドパイプ57には、第1スライドベース52を挟み前後に圧縮コイルばね58が挿通されている。第1スライドベース52は、ガイドパイプ57に対して進退自在である。第1スライドベース52を挟むように設けられた圧縮コイルばね58は、第1スライドベース52をニュートラル位置に自動復帰させる手段である。
【0031】
第2ガイド手段60は、矩形の第2スライドベース62と、第2スライドベース62をスライド自在に支持する第2ガイドレール65とを備える。第2ガイドレール65は、第1スライドベース52の上面にシフト方向に平行に取付けられている。第2スライドベース62は、底部に第2ガイドレール65に嵌り込む凹部を有し、凹部が第2ガイドレール65に嵌り込み、シフト方向に進退自在である。
【0032】
第2スライドベース62には、第2スライドベース62をニュートラル位置に戻すための自動復帰手段(図示を省略)が設けられている。
【0033】
スライダー40は、基部41が第2スライドベース62に載置・固定され、第2スライドベース62と一体的に移動する。また第2ガイドレール65が第1スライドベース52に固定されているため、スライダー40は、第1スライドベース52と一体的に移動する。
【0034】
スライダー40には、セレクト方向の位置を検知する第1位置センサー91と、シフト方向の位置を検知する第2位置センサー(スライドボリューム)92とが取付けられ、この2つのセンサーでスライダー40の位置が検知される。第1位置センサー91及び第2位置センサー92は、コントローラ90と接続し、スライダー40の位置情報は、コントローラ90に送られる。スライダー40の位置情報は、シフトレバー30の位置情報でもある。
【0035】
負荷手段70は、シフトチェンジに伴いシフトレバー30に負荷を与える手段であり、格納部14に位置するレバー71と、レバー71の端部に下向きの荷重を加える荷重付与手段80と、を備える。負荷手段70は、各速段毎に独立して設けられており、コントローラ90からの指令によりシフトレバー30に対し、運転状態に対応した負荷を与える。本実施形態において、荷重付与手段80は、レバー71の他端73に下向きに取付けられた引張コイルばね81と引張コイルばね81を下向きに引張るサーボモータ85とを主に構成される。
【0036】
レバー71は、肉厚で細長い板状の部材であり、一端72に挿通孔を有し、挿通孔が基台10に固定された支持軸77に摺動自在に挿通され、長手方向がシフト方向と平行に配置されている。支持軸77は、基台10の収容部12の外周縁の上部にセレクト方向に平行に設置されている。レバー71の他端73は、格納部14から突出しており、ここに引張コイルばね81が接続されている。レバー71の一端72の近傍の底面には、スライダー40の係止溝46に嵌り込む爪75が設けられている。
【0037】
サーボモータ85は、取付座88を介して下支持台25に固定されている。サーボモータ85は、回転軸の先端に回転軸に直交する棒部材87を備え、引張コイルばね81は、一端がレバー71の他端73に、他端が棒部材87に連結されている。サーボモータ85が稼働し、棒部材87とレバー71との距離が大きくなるに従ってレバー71に加わる負荷が大きくなる。逆に棒部材87とレバー71との距離がある限定を超えて小さくなると、レバー71には下向きの負荷が作用しなくなる。
【0038】
コントローラ90は、ドライビングシミュレータのコンピュータから指令を受け、サーボモータ85を制御し、シフトレバー30に加える負荷を調節するとともに、スライダー40(シフトレバー30)の位置をドライビングシミュレータのコンピュータに送信する。
【0039】
シフト装置1の基本的な動きを説明する。シフトレバー30がニュートラルの状態では、スライダー40は、第1スライドベース52及び第2スライドベース62の自動復帰手段によりニュートラル位置にあり、レバー71とも係合していない。
【0040】
シフトレバー30を操作し、例えばニュートラルから1速にシフトチェンジすると、シフトレバー30の操作に連動しスライダー40は、1速に対応する格納部14に入るように、第1ガイドレール55に案内されセレクト方向に移動し、第2ガイドレール65に案内されシフト方向に移動する。
【0041】
スライダー40が格納部14に入るときは、係止部44がレバー71に接触し、レバー71を押上げるように移動する。このときサーボモータ85は、コントローラ90からの指令に基づきレバー71の他端73を引き下げるように引張コイルばね81を引張っているため、係止部44が格納部14に入るときには抵抗がある。
【0042】
係止部44が格納部14に入るときの抵抗は、引張コイルばね81が強く引張られているほど大きくなる。スライダー40は、ロッドエンドベアリング37を介してシフトレバー30と連結するため、係止部44の移動抵抗が大きくなるとそれに伴いシフトレバー30を操作する抵抗も大きくなる。
【0043】
コントローラ90がサーボモータ85に発する指令は、実質的にはドライビングシミュレータのコンピュータによるものである。ドライビングシミュレータのコンピュータは、シフト装置1が搭載された車両の運転状態、及びスライダー40の位置からレバー71に加える負荷を算出し、コントローラ90に負荷指令を発する。この負荷指令については、第2実施形態のドライビングミミュレータ2のところで詳述する。
【0044】
係止部44が格納部14に入り、係止部44の係止溝46にレバー70の爪75が嵌り込むとシフトチェンジが完了する。係止部44の係止溝46にレバー70の爪75が嵌り込むとスライダー40は、係止溝46と爪75との係合によりシフト方向の移動が阻止され、前後の隔壁15によりセレクト方向への移動が阻止されるためスライダー40はその位置でロックされる。
【0045】
1速の状態からニュートラルにシフトチェンジするときは、シフトレバー30をシフト方向に移動させ、係止溝46と爪75との係止を解除させる。係止溝46と爪75との係止を解除させるときは、爪75が係止溝46を乗り越えるまでは抵抗がある。爪75が係止溝46を乗り越えるとスライダー40及びシフトレバー30は、スムーズに移動し、第1スライドベース52及び第2スライドベース62の自動復帰手段により自動的にニュートラル位置となる。
【0046】
シフトレバー30を1速から2速、5速から6速、又は6速から5速にシフトチェンジするときのシフト装置1の動きは、基本的にニュートラルから1速、又は1速からニュートラルにシフトチェンジするときの動きと同じである。
【0047】
以上のように第1実施形態のシフト装置1は、シフトチェンジに伴い各速段に対応したポジションに移動するスライダー40に対して負荷を与える負荷手段70が、各速段毎に独立して設けられ、コントローラ90が各速段毎に負荷手段70を制御する。このような構成からなるシフト装置1は、選択されていない速段の負荷手段70も運転状態に応じて負荷を調節しておくことができるので、迅速なシフトチェンジに対しても適切な負荷(抵抗)を与えることができる。
【0048】
また第1実施形態のシフト装置1は、シフトレバー30に連結するスライダー40に対して、レバー71を機械的に接触させることでシフトレバー30に負荷(抵抗)を付与するので実車と同様の操作感が得られる。またスライダー40に対してレバー71が機械的に接触するので、シフトレバー30はシフト操作に対応して振動する。これらにより実車に近い操作感が得られる。
【0049】
また第1実施形態のシフト装置1は、シフトチェンジに伴うシフトレバー30に対して負荷を付与する機構がシンプルであるため、シフト装置1をコンパクトにすることができる。シフト装置1の大きさの一例を示せば、幅(X方向)120mm、長さ(Z方向)150mm、上支持台20までの高さ(Y方向)が150~200mmである。
【0050】
図8は、本発明の第2実施形態のドライビングシミュレータ2の全体構成図である。
図9は、本発明の第2実施形態のドライビングシミュレータ2のドライビングユニット201の斜視図である。第2実施形態のドライビングシミュレータ2では、シフト装置として第1実施形態のシフト装置1を搭載する。
図1から
図7に示す第1実施形態のシフト装置1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
ドライビングシミュレータ2は、自動車走行時の挙動及び映像を模擬的に再現するシミュレータであり、自動車を模擬したドライビングユニット201と、ドライビングユニット201からの入力に基づき仮想上の自動車の挙動及び映像を演算して出力するコンピュータ212と、ドライビングユニット201の正面に配置され映像を表示するモニタ213とを備え、乗り手の操作によるドライビングユニット201からの入力に基づきコンピュータ212が演算を行い、コンピュータ212の演算結果に基づきドライビングユニット201に自動車の挙動が再現されるとともに、モニタ213に走行時の景色が再現される。
【0052】
ドライビングユニット201は、全体の骨格をなす本体ユニット221と、乗り手が着座するシート241を有し回転運動を行う回転ユニット222と、回転ユニット222の回転運動の駆動源である3本のシート用リニアアクチュエータ225、226、227と、本体ユニット221を設置面から浮き上がらせた状態で支持する4本の本体用リニアアクチュエータ228、229、230、231とを備える、7軸のシリンダ制御によるドライビングユニットである。
【0053】
ドライビングシミュレータ2は、さらにシート用リニアアクチュエータ225、226、227及び本体用リニアアクチュエータ228、229、230、231を制御するコントローラ232と、乗り手が操作するステアリングユニット233、ペダルユニット224、シフトチェンジを行うシフト装置1及び無理なシフトチェンジ操作を報知するためのバイブレータ110を備える。バイブレータ110は、シフト装置1に併設されている。
【0054】
ステアリングユニット233は、ハンドルであるステアリングホイール271と、コンピュータ212とデータを送受信可能なステアリングホイール271の操作に伴う処理を行うステアリングコントローラ272とを備える。
【0055】
ペダルユニット224は、ブレーキペダルユニット111、アクセルペダルユニット141及びクラッチペダルユニット171と、コンピュータ212とデータを送受信可能なペダル操作に伴う処理を行うペダルコントローラ273とを備える。
【0056】
コンピュータ212は、シミュレーション手段を備え、ステアリングコントローラ272、ペダルコントローラ273及びシフト装置1のコントローラ90(以下、シフトコントローラ90)からの入力に基づき仮想上の自動車の挙動及び映像を演算し、演算結果である速度等の運行データ及びモニタ213に表示する映像データを出力する。またコントローラ232、ステアリングコントローラ272、ペダルコントローラ273、シフトコントローラ90及びバイブレータ110を制御する。
【0057】
コンピュータ212によるシフトコントローラ90の制御は、以下の要領で行われる。コンピュータ212のシミュレーション手段は、シフト装置1に対して実車のシフト装置の操作感(操作感覚)を再現するためのシフト装置操作感プログラムを有する。このシフト装置操作感プログラムは、実車で得られた、運転状態とシフトチェンジの際のシフトレバー30の操作感覚との関係を基礎とする。
【0058】
運転状態には車両スピード、クラッチの位置、エンジン回転数,加速度・減速度,アクセル・ブレーキの開度、スライダー40の位置が含まれる。スライダー40の位置は、シフトレバー30の位置と言い換えることができる。シフトチェンジの際のシフトレバー30の操作感は、主にシフトレバー30を移動させるに必要な力である。このほかシフトチェンジの際のシフトレバー30の操作感としては、シフトレバー30に加わる振動がある。シフトレバー30を移動させるに必要な力は、シフトレバー30を移動させるときの抵抗力と言い換えることができる。
【0059】
実車の運転状態及びシフトチェンジの際のシフトレバー30の操作感に関するデータは、実車にセンサーを取付け取得するか、これらに関する既存のデータを利用する。一般的に、実車の運転状態とシフトチェンジの際のシフトレバー30の操作感との間には、以下のような関係がある。
【0060】
一般的に運転状態を大きく変化させるようにシフトチェンジする場合、例えば、1速で走行中の状態から3速にシフトチェンジする場合には、シフトレバー30を移動させるときの負荷(抵抗力)は大きい。逆に、車両スピードとエンジン回転数とがマッチしている状態で3速から4速にシフトチェンジするような場合には、シフトレバー30を移動させるときの負荷(抵抗力)は小さい。また実車の場合、6速で走行中の状態から1速にシフトチェンジする場合には、シフトレバー30に非常に大きな負荷が加わるか、負荷が大きくシフトチェンジが行えない。
【0061】
本実施形態のドライビングシミュレータ2は、シフトコントローラ90を含むシフト装置1、バイブレータ110及びシフト装置操作感プログラムを除き、特開2020-134891号公報に記載の第2実施形態のドライブシミュレータと同一である。本体ユニット221、回転ユニット222の構造、アクチュエータ、ペダルユニット224の構造及び制御については、特開2020-134891号公報の段落0014~0076、
図1~
図6に記載されている内容と同じであるためそれを引用し、詳細な説明を省略する。
【0062】
なおシミュレーション手段は、車種に対応したブレーキペダル踏力のプログラム及び/又は車種に対応したシフト装置1のシフト装置操作感プログラムを備え、使用者が車種、例えばレース車(フォーミラ)、レース車(箱型)、一般乗用車を選択することで車種に対応したブレーキペダル踏力及び/又はシフト装置1の操作感が選択されるようにしてもよい。
【0063】
次に、本実施形態のドライビングシミュレータ2の動作・作用について説明する。ここでは、車種が選択可能なドライビングシミュレータ2であるとする。コンピュータ212のシミュレーション手段を起動し、車種を選択する。シミュレーション手段を起動すると、回転ユニット222及び本体ユニット212が初期位置に復帰する。乗り手は、回転ユニット222のシート241に着座し、モニタ213に映る映像を見ながらステアリングホイール271、ブレーキペダル112、アクセルペダル142、クラッチペダル172及びシフトレバー30の操作を行う。
【0064】
ステアリングホイール271、ブレーキペダル112、アクセルペダル142、クラッチペダル172及びシフトレバー30の操作を行うと、ステアリングコントローラ272、ペダルコントローラ273及びシフトコントローラ90からコンピュータ212に操作情報が入力され、これに基づきシミュレーション手段が運行データ及び映像データの演算を行う。これに伴いコントローラ232が各アクチュエータ225、226、227、228、229、230、231を制御し、回転ユニット222及び本体ユニット221を動作させることで自動車の挙動が再現されるとともに、モニタ213の映像が逐次、更新される。
【0065】
またコンピュータ212は、シフトチェンジの際に実車と同じ操作感が得られるようにシフト装置1を制御する。具体的にはコンピュータ212は、ステアリングコントローラ272、ペダルコントローラ273及びシフトコントローラ90、さらにシミュレーション手段が演算する運行データから自動車の運転状態を取得し、シフト装置操作感プログラムに基づき負荷手段70に対し運転状態に対応した負荷を与えるようにシフトコントローラ90に指令を発する。
【0066】
例えば、コンピュータ212は、第1位置センサー91及び第2位置センサー92からスライダー40の位置を検知し、シフトチェンジが1速から3速へのシフトチェンジであると判定すると、シフトレバー30に抵抗を与えるようにシフトコントローラ90に指令を発する。シフトコントローラ90は、この指令を受けて3速に対応する位置のレバー71に対し、下向きの荷重が大きくなるようにサーボモータ85を制御する。
【0067】
一方、コンピュータ212は、車両スピードとエンジン回転数とが適正な状態でのシフトチェンジであると判断すると、シフトレバー30に対して抵抗が加わらないようにシフトコントローラ90に指令を発する。シフトコントローラ90は、この指令を受けてシフトチェンジする先のレバー71に対し、引張コイルばね81による下向きの荷重が加わらないようにサーボモータ85を制御する。これによりスムーズなシフトチェンジが行える。
【0068】
またコンピュータ212は、スライダー40の位置からシフトチェンジが6速から1速へのシフトチェンジであると判定すると、シフトレバー30に対して1速にシフトチェンジできないような抵抗を与えるようにシフトコントローラ90に指令を発する。シフトコントローラ90は、この指令を受けて1速に対応する位置のレバー71に対し、下向きの最大荷重を加え、機械的に係止部44がレバー71に係止できないようにする。
【0069】
このときコンピュータ212は、スライダー40の位置からシフト操作が無理なシフトチェンジであると判定し、バイブレータ110を動作させ本体ユニット221を振動させる。また同時にコンピュータ212は、図示を省略した異常音発生手段を動作させる。これにより乗り手は、当該シフトチェンジが無理なシフトチェンジであることに気付くことができる。
【0070】
以上からなるドライビングシミュレータ2は、回転ユニット222の駆動系と、本体ユニット221の駆動系とが分離されているので、運転時に乗り手に加わる重力加速度と、車体の挙動とを複合的に再現することが可能となり、より実車に近い感覚を乗り手に体感させることができる。またスピンしていると判定された場合、回転ユニット222がヨーイングするので乗り手は、地面に対する車両(車輪)のグリップ感(滑り)を体感することが可能となる。
【0071】
また各車輪にロック又はホイルスピンが発生しているときに、対応する各本体用リニアアクチュエータ228、229、230、231が独立して振動するので乗り手は、各車輪の状態を直感的に認識することが可能となる。さらに各車輪にロック又はホイルスピンが発生しているときに、対応する各本体用リニアアクチュエータ228、229、230、231を独立して振動させるとともに、回転ユニット222が初期位置に戻るので、各車輪にロック又はホイルスピンが発生しているときには、乗り手に加わる重力加速度がキャンセルされ、より実車に近い感覚を体感することが可能となる。
【0072】
またドライビングシミュレータ2には、車種に対応したブレーキペダル踏力のプログラムが搭載され、これに基づきブレーキペダル112の操作に対応した反力が与えられるので実車と同じペダル操作、ペダル感覚が得られる。またここで使用するブレーキペダルユニット111は、伝達機構で問題となる遊び、ガタツキがなく、この点においても実車と同じペダル操作、ペダル感覚が得られる。
【0073】
さらにドライビングミュレータ2は、シフト装置1を搭載し、さらにシフト装置1に対して実車のシフト装置の操作感を再現するためのシフト装置操作感プログラムを有し、コンピュータ212が自動車の運転状態を取得し、シフト装置操作感プログラムに基づき負荷手段70に対し運転状態に対応した負荷を与えるようにシフトコントローラ90を制御するので実車のシフト装置の操作感を得ることができる。
【0074】
以上、第1実施形態のシフト装置、第2実施形態のドライビングシミュレータを用いて、本発明に係るシフト装置、ドライビングシミュレータについて説明したが、本発明に係るシフト装置、ドライビングシミュレータは上記実施形態に限定されるものではなく要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
【0075】
第1実施形態のシフト装置1は、最高速段が6速であったが、本発明に係るシフト装置において最高速段が4,5,7速であってもよい。また第1実施形態のシフト装置1は、リバース段を備えていないが本発明に係るシフト装置においてリバース段を設けてもよい。また第1実施形態のシフト装置1は、予備の格納部14を備えるが予備の格納部14を省略してもよい。
【0076】
本発明に係るシフト装置の最大の特徴は、シフトチェンジの際にシフトレバーに対し、運転状態に対応した負荷を与える点にあり、本発明に係るシフト装置は、第1実施形態に示すH型シフトパターンのシフト装置の他、シーケンシャルパターンのシフト装置、H型シフトパターンとシーケンシャルパターンとを切替え可能なシフト装置にも適用することができる。
【0077】
第1実施形態のシフト装置1は、シフトレバー30の中間部に球面滑り軸受35を取付け、また下端32にロッドエンドベアリング37を取付けスライダー40と連結させ、球面滑り軸受35を起点にシフトレバー30を回動可能に構成するが、シフトレバー30及びスライダー40は、以下のような構成であってもよい。
【0078】
シフトレバー30の中間部にスライダー40を取付け、シフトレバー30の下端32を基台10又は基台10に設けた支持台に軸受等を介して回転自在に固定する。このような構成からなるシフトレバー30は、下端32を起点に回動し、スライダー40も第1実施形態のシフト装置1と同様に動作する。
【0079】
第1実施形態のシフト装置1は、サーボモータ85の回転軸の先端に直交する棒部材87を取付け、棒部材87の先端に引張コイルばね81の一端を連結し、引張コイルばね81を伸縮させるが、引張コイルばね81を伸縮させる方法はこれに限定されるものではない。棒部材87に代えて、引張コイルばね81の一端とサーボモータ85の回転軸とをロープで結び、ロープを回転軸に巻き取らせ下向きの荷重を加えるようにしてもよい。
【0080】
また第1実施形態のシフト装置1は、レバー71の端部に下向きの荷重を加える荷重付与手段80が、引張コイルばね81とサーボモータ85とで構成されるが、荷重付与手段80はこれに限定されるものではない。引張コイルばね81とサーボモータ85とに代えて、シリンダ又はボールねじを用いてもよい。
【0081】
また第1実施形態のシフト装置1は、ニュートラルにシフトチェンジするときは、シフトレバー30をシフト方向に移動させ、係止溝46と爪75との係止を解除させる必要がある。このときの抵抗が大きい場合には、レバー71の他端73を上向きに引き上げる引張コイルばねを追加設置してもよい。
【0082】
第1実施形態のシフト装置1は、シフトチェンジに伴いシフトレバー30に負荷を与える負荷手段70が、レバー71と、レバー71の端部に下向きの荷重を加える荷重付与手段80とで構成されるが、負荷手段は、他の構成からなるものであってもよい。
図10に他の負荷手段100を示す。
図1から
図7に示す第1実施形態のシフト装置1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
負荷手段100は、格納部14の底面27に取付けられたボールプランジャ101と、ボールプランジャ101と連結するサーボモータ85とで構成される。この負荷手段100は、レバー71は備えていない。ボールプランジャ101は、本体の外周面に雄ねじ102を有する公知のボールプランジャ101である。
【0084】
基台10にはボールプランジャ101の雄ねじ102が螺合する雌ねじ28が設けられている。雌ねじ28は、基台10を貫通しており、ボールプランジャ101は、ボール103が格納部14の底面27から突出するように基台10に取付けられる。ボールプランジャ101の下端にはサーボモータ85が連結し、サーボモータ85を駆動することでボールプランジャ101が回転し、底面27からの突出量が変化する。
【0085】
スライダー40の係止部44の底面には、ボールプランジャ101のボール103が嵌り込む係止溝48が設けられ、スライダー40がスライド移動し、ボール103が係止溝48に嵌り込んだ時点でシフトチェンジが完了する。ボールプランジャ100の底面27からの突出量が大きいほどスライダー40を移動させるための抵抗が大きくなる。負荷手段100が各速段毎に独立して設けられている点、コントローラ90が、運転状態に対応した負荷を与えるようにサーボモータ85を制御する点は、第1実施形態の負荷手段70と同じである。
【0086】
シフト装置1を搭載したドライビングシミュレータ2は、本実施形態に限定されるものではなく、ドライビングシミュレータで使用するドライビングユニットも特に限定されるものではない。ドライビングユニットは、水平移動装置を備えるものであってもよく、例えば特開2020-112607号公報の段落0015~0056、
図1~
図6に記載のドライビングユニットを使用することができる。またドライビングユニットは、揺動装置を備えるものであってもよい。
【0087】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0088】
1 シフト装置
2 ドライビングシミュレータ
10 基台
14 格納部
15 隔壁
30 シフトレバー
35 球面滑り軸受
37 ロッドエンドベアリング
40 スライダー
44 係止部
46、48 係止溝
51 第1ガイド手段
60 第2ガイド手段
70、100 負荷手段
71 レバー
72 レバーの一端
73 レバーの他端
75 爪
77 支持軸
80 荷重付与手段
81 引張コイルばね
85 サーボモータ
90 コントローラ
101 ボールプランジャ
103 ボール
201 ドライビングユニット
212 コンピュータ