IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浜松ホトニクス株式会社の特許一覧

特開2023-143023エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法
<>
  • 特開-エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法 図1
  • 特開-エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法 図2
  • 特開-エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法 図3
  • 特開-エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法 図4
  • 特開-エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法 図5
  • 特開-エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143023
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01D5/347 110V
G01D5/347 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050209
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】桑原 洋介
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA01
2F103BA02
2F103BA03
2F103BA04
2F103CA01
2F103CA02
2F103CA03
2F103CA06
2F103DA06
2F103DA13
2F103EA02
2F103EA12
2F103EB06
2F103EB12
2F103EB15
2F103EB16
2F103EB27
2F103EB32
2F103EB33
2F103EB37
2F103EC08
2F103EC17
2F103GA11
2F103GA14
2F103GA15
(57)【要約】
【課題】要求性能に応じた設計を実現することが可能なエンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びそのようなエンコーダ用光モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】光モジュール6は、底壁部18を有する支持体11と、受光面121aが底壁部18とは反対側を向くように底壁部18の表面18a上に配置された受光素子12と、複数の光ファイバの一端面によって構成された入力面13a及び複数の光ファイバの他端面により構成された出力面13bを有し、出力面13bが受光面121aと向かい合うように受光素子12上に配置されたFOP13と、受光面121aと出力面13bとの間に配置され、受光素子12にFOP13を接合する第1樹脂部材14と、受光素子12及びFOP13に接触するように表面18a上に配置された第2樹脂部材17と、を備える。第1樹脂部材14の材料と第2樹脂部材17の材料とは、互いに異なっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部を有する支持体と、
受光面を有し、前記受光面が前記底壁部とは反対側を向くように前記底壁部の表面上に配置された受光素子と、
複数の光ファイバの一端面によって構成された入力面、及び前記複数の光ファイバの他端面により構成された出力面を有し、前記出力面が前記受光面と向かい合うように前記受光素子上に配置されたファイバオプティックプレートと、
前記受光面と前記出力面との間に配置され、前記受光素子に前記ファイバオプティックプレートを接合する第1樹脂部材と、
前記受光素子及び前記ファイバオプティックプレートに接触するように前記底壁部の前記表面上に配置された第2樹脂部材と、を備え、
前記第1樹脂部材の材料と前記第2樹脂部材の材料とは、互いに異なっている、エンコーダ用光モジュール。
【請求項2】
前記底壁部と前記受光素子とに接続されたワイヤを更に備え、
前記第2樹脂部材は、前記ワイヤを覆っている、請求項1に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項3】
前記底壁部の前記表面の周縁部は、前記第2樹脂部材から露出している、請求項1又は2に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項4】
前記支持体は、前記底壁部の前記表面上に配置された側壁部を更に有し、
前記側壁部は、前記底壁部の厚さ方向から見た場合に、前記受光素子及び前記第2樹脂部材を囲んでおり、
前記第2樹脂部材は、前記側壁部に接触している、請求項1又は2に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項5】
前記第1樹脂部材は、接着フィルムである、請求項1~4のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項6】
前記第1樹脂部材は、ダイアタッチフィルムである、請求項1~5のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項7】
前記底壁部の厚さ方向から見た場合に、前記第1樹脂部材の外縁は、前記ファイバオプティックプレートの外縁と重なっている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項8】
前記第2樹脂部材の光透過率は、前記第1樹脂部材の光透過率よりも低い、請求項1~7のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項9】
前記第2樹脂部材は、前記第1樹脂部材よりも硬い、請求項1~8のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項10】
前記ファイバオプティックプレートの前記入力面上に形成された反射防止層を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項11】
前記ファイバオプティックプレートは、前記底壁部の厚さ方向に垂直な方向において互いに反対側を向いた一対の側面を有し、
前記第2樹脂部材は、前記一対の側面の両方に接触している、請求項1~10のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュール。
【請求項12】
光通過パターン又は光反射パターンを有する回転板と、
前記光通過パターンを通過した光又は前記光反射パターンにより反射された光が前記受光素子に入射するように配置された請求項1~11のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュールと、を備える、エンコーダ。
【請求項13】
底壁部を有する支持体と、受光面を有する受光素子と、複数の光ファイバの一端面によって構成された入力面、及び前記複数の光ファイバの他端面により構成された出力面を有するファイバオプティックプレートと、前記受光素子に前記ファイバオプティックプレートを接合する第1樹脂部材と、前記底壁部の表面上に配置された第2樹脂部材と、を備えるエンコーダ用光モジュールの製造方法であって、
前記受光面が前記底壁部とは反対側を向くように前記受光素子を前記底壁部の前記表面上に配置する第1工程と、
前記出力面が前記受光面と向かい合うように前記ファイバオプティックプレートを前記受光素子上に配置すると共に、前記受光面と前記出力面との間に配置された前記第1樹脂部材により前記受光素子に前記ファイバオプティックプレートを接合する第2工程と、
前記受光素子及び前記ファイバオプティックプレートに接触するように前記第2樹脂部材を前記底壁部の前記表面上に配置する第3工程と、をこの順に備え、
前記第1樹脂部材の材料と前記第2樹脂部材の材料とは、互いに異なっている、エンコーダ用光モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記第1樹脂部材は、接着フィルムである、請求項13に記載のエンコーダ用光モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記第1樹脂部材は、ダイアタッチフィルムである、請求項13又は14に記載のエンコーダ用光モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記第2工程では、前記第1樹脂部材を硬化させることにより、前記受光素子に前記ファイバオプティックプレートを接合し、
前記第3工程では、前記第2樹脂部材を前記底壁部の前記表面上に配置した後に硬化させ、
前記第2工程において硬化される前の前記第1樹脂部材の粘度は、前記第3工程において硬化される前の前記第2樹脂部材の粘度よりも低い、請求項13~15のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記第2工程の前に、前記ファイバオプティックプレートを形成する形成工程を更に備え、
前記形成工程は、
前記ファイバオプティックプレートに対応する部分を複数有する第1基材に、前記第1樹脂部材に対応する部分を複数有する第2基材を貼り付ける工程と、
前記第1基材及び前記第2基材を切断することにより、前記第1樹脂部材が貼り付けられた前記ファイバオプティックプレートを複数取得する工程と、をこの順に含む、請求項13~16のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記底壁部に対応する底壁部分を複数有する第3基材が用いられ、
前記第1工程では、前記複数の底壁部分の各々について、前記受光面が前記底壁部とは反対側を向くように前記受光素子を前記底壁部の前記表面上に配置し、
前記第2工程では、前記複数の底壁部分の各々について、前記出力面が前記受光面と向かい合うように前記ファイバオプティックプレートを前記受光素子上に配置すると共に、前記受光面と前記出力面との間に配置された前記第1樹脂部材により前記受光素子に前記ファイバオプティックプレートを接合し、
前記第3工程では、前記複数の底壁部分の各々について、前記受光素子、前記第1樹脂部材及び前記ファイバオプティックプレートに接触するように前記第2樹脂部材を前記底壁部の前記表面上に配置し、
前記第3工程の後に、前記第3基材を切断することにより、前記エンコーダ用光モジュールを複数取得する第4工程を更に備える、請求項13~17のいずれか一項に記載のエンコーダ用光モジュールの製造方法。
【請求項19】
前記第3工程では、前記第2樹脂部材が前記複数の底壁部分の間の境界から離間するように、前記第2樹脂部材を前記底壁部の前記表面上に配置する、請求項18に記載のエンコーダ用光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びエンコーダ用光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光学式のエンコーダが記載されている。このエンコーダでは、受光素子上にファイバオプティックプレートが配置されており、発光素子から出射されて回転板で反射された光が、ファイバオプティックプレートを通過して受光素子に入射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-211360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなエンコーダには、例えば、検出精度を向上すること又はファイバオプティックプレートを受光素子上に安定的に配置することといった種々の性能が要求される場合があり、要求される性能に応じた設計を実現することが求められる。
【0005】
本発明は、要求性能に応じた設計を実現することが可能なエンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びそのようなエンコーダ用光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエンコーダ用光モジュールは、底壁部を有する支持体と、受光面を有し、受光面が底壁部とは反対側を向くように底壁部の表面上に配置された受光素子と、複数の光ファイバの一端面によって構成された入力面、及び複数の光ファイバの他端面により構成された出力面を有し、出力面が受光面と向かい合うように受光素子上に配置されたファイバオプティックプレートと、受光面と出力面との間に配置され、受光素子にファイバオプティックプレートを接合する第1樹脂部材と、受光素子及びファイバオプティックプレートに接触するように底壁部の表面上に配置された第2樹脂部材と、を備え、第1樹脂部材の材料と第2樹脂部材の材料とは、互いに異なっている。
【0007】
このエンコーダ用光モジュールは、受光素子の受光面とファイバオプティックプレートの出力面との間に配置され、受光素子にファイバオプティックプレートを接合する第1樹脂部材と、受光素子及びファイバオプティックプレートに接触するように底壁部の表面上に配置された第2樹脂部材と、を備えている。これにより、第1樹脂部材によってファイバオプティックプレートを受光素子に強固に接合することができると共に、第2樹脂部材によってファイバオプティックプレート及び受光素子を確実に支持することができる。また、第1樹脂部材の材料と第2樹脂部材の材料とが、互いに異なっている。これにより、第1樹脂部材及び第2樹脂部材の材料選択における自由度を高めることができ、その結果、要求性能に応じた設計を実現することが可能となる。例えば、第1樹脂部材を光透過率の高い材料で形成し、第2樹脂部材を光透過率の低い材料で形成することができる。この場合、ファイバオプティックプレートから受光素子へ向かう光が第1樹脂部材によって遮られることを抑制しつつ、側方から受光素子へ向かうノイズ光を第2樹脂部材によって遮ることができる。その結果、検出精度を向上することができる。別の例として、第1樹脂部材を柔らかい材料で形成し、第2樹脂部材を硬い材料で形成することもできる。この場合、第1樹脂部材により接合されたファイバオプティックプレートと受光素子との間に剥離が生じることを抑制しつつ、ファイバオプティックプレート及び受光素子を第2樹脂部材によって一層確実に支持することができる。その結果、ファイバオプティックプレートを受光素子上に安定的に配置することができる。このように、このエンコーダ用光モジュールによれば、要求性能に応じた設計を実現することが可能となる。
【0008】
エンコーダ用光モジュールは、底壁部と受光素子とに接続されたワイヤを更に備え、第2樹脂部材は、ワイヤを覆っていてもよい。この場合、エンコーダの使用時に飛散する油及び物理的な外力等からワイヤを保護することができる。
【0009】
底壁部の表面の周縁部は、第2樹脂部材から露出していてもよい。すなわち、第2樹脂部材は、底壁部の表面の周縁部(外縁)に至らないように形成されてもよい。エンコーダ用光モジュールの製造時には、硬化前の第2樹脂部材が底壁部の表面上に配置されることがあるが、第2樹脂部材が底壁部の表面の周縁部に至らないように形成される場合、硬化前の第2樹脂部材を堰き止めるための構成(例えば側壁部)を底壁部上に配置する必要がない。そのため、エンコーダ用光モジュールの小型化を図ることができる。
【0010】
支持体は、底壁部の表面上に配置された側壁部を更に有し、側壁部は、底壁部の厚さ方向から見た場合に、受光素子及び第2樹脂部材を囲んでおり、第2樹脂部材は、側壁部に接触していてもよい。この場合、エンコーダ用光モジュールの製造時に、硬化前の第2樹脂部材を側壁部によって堰き止めることができる。そのため、粘度の低い材料を第2樹脂部材の材料として使用することができる。また、側壁部によって物理的な接触から受光素子を保護することができる。
【0011】
第1樹脂部材は、接着フィルムであってもよい。この場合、加熱された第1樹脂部材が比較的短時間の間に硬化するため、第1樹脂部材によりファイバオプティックプレートを受光素子に精度良く接合することができる。
【0012】
第1樹脂部材は、ダイアタッチフィルムであってもよい。この場合、加熱された第1樹脂部材が比較的短時間の間に硬化するため、第1樹脂部材によりファイバオプティックプレートを受光素子に精度良く接合することができる。
【0013】
底壁部の厚さ方向から見た場合に、第1樹脂部材の外縁は、ファイバオプティックプレートの外縁と重なっていてもよい。この場合、底壁部の厚さ方向から見た場合に第1樹脂部材がファイバオプティックプレートの外側にはみ出していないため、第1樹脂部材と第2樹脂部材との接触面積を低減することができる。そのため、環境温度の変化によって第1樹脂部材及び第2樹脂部材が熱収縮又は熱膨張した場合に、第1樹脂部材と第2樹脂部材との接触箇所に破損が生じることを抑制することができる。
【0014】
第2樹脂部材の光透過率は、第1樹脂部材の光透過率よりも低くてもよい。この場合、ファイバオプティックプレートから受光素子へ向かう光が第1樹脂部材によって遮られることを抑制しつつ、側方から受光素子へ向かうノイズ光を第2樹脂部材によって遮ることができる。その結果、検出精度を向上することができる。
【0015】
第2樹脂部材は、第1樹脂部材よりも硬い。この場合、第1樹脂部材により接合されたファイバオプティックプレートと受光素子との間に剥離が生じることを抑制しつつ、ファイバオプティックプレート及び受光素子を第2樹脂部材によって一層確実に支持することができる。その結果、ファイバオプティックプレートを受光素子上に安定的に配置することができる。
【0016】
エンコーダ用光モジュールは、ファイバオプティックプレートの入力面上に形成された反射防止層を更に備えていてもよい。この場合、ファイバオプティックプレートの入力面における光の反射を抑制することができ、検出精度を向上することができる。
【0017】
ファイバオプティックプレートは、底壁部の厚さ方向に垂直な方向において互いに反対側を向いた一対の側面を有し、第2樹脂部材は、一対の側面の両方に接触していてもよい。この場合、第2樹脂部材によって受光素子及びファイバオプティックプレートを一層確実に支持することができる。
【0018】
本発明のエンコーダは、光通過パターン又は光反射パターンを有する回転板と、光通過パターンを通過した光又は光反射パターンにより反射された光が受光素子に入射するように配置された上記エンコーダ用光モジュールと、を備えている。このエンコーダによれば、上述した理由により、要求性能に応じた設計を実現することが可能となる。
【0019】
本発明のエンコーダ用光モジュールの製造方法は、底壁部を有する支持体と、受光面を有する受光素子と、複数の光ファイバの一端面によって構成された入力面、及び複数の光ファイバの他端面により構成された出力面を有するファイバオプティックプレートと、受光素子にファイバオプティックプレートを接合する第1樹脂部材と、底壁部の表面上に配置された第2樹脂部材と、を備えるエンコーダ用光モジュールの製造方法であって、受光面が底壁部とは反対側を向くように受光素子を底壁部の表面上に配置する第1工程と、出力面が受光面と向かい合うようにファイバオプティックプレートを受光素子上に配置すると共に、受光面と出力面との間に配置された第1樹脂部材により受光素子にファイバオプティックプレートを接合する第2工程と、受光素子及びファイバオプティックプレートに接触するように第2樹脂部材を底壁部の表面上に配置する第3工程と、をこの順に備え、第1樹脂部材の材料と第2樹脂部材の材料とは、互いに異なっている。
【0020】
このエンコーダ用光モジュールの製造方法は、出力面が受光素子の受光面と向かい合うようにファイバオプティックプレートを受光素子上に配置すると共に、受光面と出力面との間に配置された第1樹脂部材により受光素子にファイバオプティックプレートを接合する第2工程と、受光素子、第1樹脂部材及びファイバオプティックプレートに接触するように第2樹脂部材を底壁部の表面上に配置する第3工程と、を備えている。これにより、第1樹脂部材によってファイバオプティックプレートを受光素子に強固に接合することができると共に、第2樹脂部材によってファイバオプティックプレート及び受光素子を確実に支持することができる。また、第1樹脂部材の材料と第2樹脂部材の材料とが、互いに異なっている。これにより、上述したとおり、第1樹脂部材及び第2樹脂部材の材料選択における自由度を高めることができ、その結果、要求性能に応じた設計を実現することが可能となる。更に、このエンコーダ用光モジュールの製造方法では、第1樹脂部材により受光素子にファイバオプティックプレートを接合する第2工程の後に、受光素子、第1樹脂部材及びファイバオプティックプレートに接触するように第2樹脂部材を底壁部の表面上に配置する第3工程が実施される。これにより、製造時に受光素子に対するファイバオプティックプレートの位置がずれてしまうことを抑制することができ、歩留まりの低下を抑制することができる。
【0021】
第1樹脂部材は、接着フィルムであってもよい。この場合、加熱された第1樹脂部材が比較的短時間の間に硬化するため、第1樹脂部材によりファイバオプティックプレートを受光素子に精度良く接合することができる。
【0022】
第1樹脂部材は、ダイアタッチフィルムであってもよい。この場合、加熱された第1樹脂部材が比較的短時間の間に硬化するため、第1樹脂部材によりファイバオプティックプレートを受光素子に精度良く接合することができる。
【0023】
第2工程では、第1樹脂部材を硬化させることにより、受光素子にファイバオプティックプレートを接合し、第3工程では、第2樹脂部材を底壁部の表面上に配置した後に硬化させ、第2工程において硬化される前の第1樹脂部材の粘度は、第3工程において硬化される前の第2樹脂部材の粘度よりも低くてもよい。この場合、硬化前の第1樹脂部材の粘度が低いことで、硬化後の第1樹脂部材に気泡等が発生することを抑制することができ、ファイバオプティックプレートを受光素子上に安定的に配置することができる。また、硬化前の第2樹脂部材の粘度が高いことで、第2樹脂部材を堰き止めるための構成(例えば側壁部)を省略することができ、製造効率を向上することができる。
【0024】
エンコーダ用光モジュールの製造方法は、第2工程の前に、ファイバオプティックプレートを形成する形成工程を更に備え、形成工程は、ファイバオプティックプレートに対応する部分を複数有する第1基材に、第1樹脂部材に対応する部分を複数有する第2基材を貼り付ける工程と、第1基材及び第2基材を切断することにより、第1樹脂部材が貼り付けられたファイバオプティックプレートを複数取得する工程と、をこの順に含んでいてもよい。この場合、例えば複数のファイバオプティックプレートに個別に第1樹脂部材を貼り付ける場合と比べて、製造効率を向上することができる。
【0025】
底壁部に対応する底壁部分を複数有する第3基材が用いられ、第1工程では、複数の底壁部分の各々について、受光面が底壁部とは反対側を向くように受光素子を底壁部の表面上に配置し、第2工程では、複数の底壁部分の各々について、出力面が受光面と向かい合うようにファイバオプティックプレートを受光素子上に配置すると共に、受光面と出力面との間に配置された第1樹脂部材により受光素子にファイバオプティックプレートを接合し、第3工程では、複数の底壁部分の各々について、受光素子、第1樹脂部材及びファイバオプティックプレートに接触するように第2樹脂部材を底壁部の表面上に配置し、エンコーダ用光モジュールの製造方法は、第3工程の後に、第3基材を切断することにより、エンコーダ用光モジュールを複数取得する第4工程を更に備えていてもよい。この場合、例えば個片化された複数の底壁部上に個別に受光素子等を配置する場合と比べて、製造効率を向上することができる。
【0026】
第3工程では、第2樹脂部材が複数の底壁部分の間の境界から離間するように、第2樹脂部材を底壁部の表面上に配置してもよい。この場合、硬化前の第2樹脂部材を堰き止めるための構成(例えば側壁部)を当該境界上に設ける必要がないため、製造効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、要求性能に応じた設計を実現することが可能なエンコーダ用光モジュール、エンコーダ、及びそのようなエンコーダ用光モジュールの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係るエンコーダの斜視図である。
図2図1に示される光モジュールの断面図である。
図3】(a)及び(b)は、光モジュールの製造方法を示す図である。
図4】(a)及び(b)は、光モジュールの製造方法を示す図である。
図5】(a)及び(b)は、光モジュールの製造方法を示す図である。
図6】変形例に係る光モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[エンコーダの構成]
【0030】
図1に示されるように、エンコーダ1は、回転軸2と、回転板3と、固定板4と、光源5と、光モジュール(エンコーダ用光モジュール)6と、処理部7と、を備えている。回転軸2は、軸線Aを中心線として回転する。エンコーダ1は、例えばアブソリュート型のロータリーエンコーダであり、回転軸2に連結された測定対象物の絶対角度を検出するための装置である。本実施形態では、エンコーダ1は透過型エンコーダである。
【0031】
回転板3は、回転軸2に固定されており、回転軸2と共に回転する。回転板3は、いわゆるコードホイールである。回転板3は、円板状に形成され、軸線Aに垂直に配置されるように中心部において回転軸2に取り付けられている。回転板3は、光源5から出射された光が通過する光通過パターン3aを有している。光通過パターン3aは、グレイコード等の所定パターンを表している。光通過パターン3aは、回転板3を貫通する複数のスリットによって構成されている。これらのスリット内は、空隙となっていてもよいし、スリット内に透明なガラス部が配置されていてもよい。
【0032】
固定板4は、回転板3と向かい合う位置で固定されている。固定板4は、例えば、矩形板状に形成され、回転板3と平行に配置されている。固定板4は、光源5と光モジュール6とを結ぶ直線上に位置するように形成された光通過パターン4aを有している。光通過パターン4aは、固定板4を貫通する複数のスリットによって構成されている。これらのスリット内は、空隙となっていてもよいし、スリット内に透明なガラス部が配置されていてもよい。光源5は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子である。光源5は、回転板3に対して光モジュール6とは反対側に配置されており、回転板3に向けて光を出射する。
【0033】
光モジュール6は、エンコーダ1に適用されるエンコーダ用光モジュールであり、回転板3及び固定板4に対して光源5とは反対側の位置で固定されている。光モジュール6は、後述する受光素子12を有しており、光源5からの光を受光素子12によって検出する。処理部7は、例えば、信号処理回路であり、光モジュール6の受光素子12における光検出結果を符号化して回転軸2の回転角の絶対値を表すグレイコードを出力する。
【0034】
エンコーダ1では、光源5と光モジュール6の受光素子12とを結ぶ直線上において回転板3の光通過パターン3aと固定板4の光通過パターン4aとが重なると、光源5からの光が回転板3及び固定板4を通過して受光素子12に入射する。一方、光通過パターン3aと光通過パターン4aとが重ならない場合、光源5からの光は、回転板3により遮られて受光素子12に入射しない。
[光モジュールの構成]
【0035】
図2に示されるように、光モジュール6は、支持体11と、受光素子12と、ファイバオプティックプレート13と、第1樹脂部材14と、反射防止層15と、ワイヤ16と、第2樹脂部材17と、を備えている。
【0036】
この例では、支持体11は、底壁部18のみからなる基板部材である。底壁部18は、矩形板状を呈しており、平坦な表面18aを有している。底壁部18は、例えばガラスエポキシ樹脂により形成されていてもよい。底壁部18は、ワイヤ16が接続される配線(不図示)を有している。以下、底壁部18の厚さ方向(表面18aに垂直な方向)を方向D1とし、方向D1に垂直な方向を方向D2とする。
【0037】
受光素子12は、矩形板状の受光チップであり、光通過パターン3aを通過した光を検出する。受光素子12は、受光部121を有している。受光部121は、例えばフォトダイオード又はフォトダイオードアレイであり、受光素子12の上面12a側に受光面121aを有している。受光面121aは、上面12aの中央部分に位置しており、上面12aの一部を構成している。受光素子12は、受光面121aが底壁部18とは反対側を向くように底壁部18の表面18a上に配置されている。受光素子12は、方向D2において互いに反対側を向く一対の側面12b,12cを有している。受光素子12は、例えば、受光面121aに入射した光を電気信号に変換し、変換した電気信号を処理部7に出力する。受光素子12は、電気信号を出力するためのワイヤ16が接続される配線(不図示)を有している。
【0038】
ファイバオプティックプレート(以下、「FOP」ともいう)13は、複数の光ファイバが束ねられて形成された光学部品である。FOP13は、例えば、数nm~数十nmの直径を有する光ファイバを数千万本含んでいる。FOP13は、直方体状を呈しており、入力面13a及び出力面13bと、入力面13a及び出力面13bを接続する一対の側面13c,13dと、を有している。入力面13aは、FOP13に含まれる複数の光ファイバの一端面によって構成されており、出力面13bは、当該複数の光ファイバの他端面により構成されている。本実施形態では、入力面13a及び出力面13bは互いに平行であり、方向D1において互いに反対側を向いている。一対の側面13c,13dは、方向D2において互いに反対側を向いている。
【0039】
FOP13は、入力面13a及び出力面13bが受光素子12の受光面121aに平行となり、且つ、出力面13bが受光面121aと向かい合うように受光素子12上に配置されている。FOP13の入力面13aに入射した光は、FOP13を構成する各光ファイバ内を伝搬し、出力面13bから受光面121aに向かって出射される。入力面13aに入射した光は、FOP13内において広がることなく出力面13bから出射される。
【0040】
第1樹脂部材14は、受光面121aと出力面13bとの間に配置され、受光素子12にFOP13を接合している。第1樹脂部材14は、受光面121aと出力面13bとに接触している。本実施形態では、第1樹脂部材14は、出力面13bの全体、及び上面12aにおける受光面121aを含む中央部分に接触している。第1樹脂部材14は、上面12aにおける外縁部分には接触していない。方向D1から見た場合に、第1樹脂部材14の外縁はFOP13の外縁と重なっており、第1樹脂部材14はFOP13の外側にはみ出していない。換言すれば、方向D1から見た場合に、第1樹脂部材14の形状は、FOP13の形状と同じである。
【0041】
第1樹脂部材14は、例えばダイアタッチフィルムである接着フィルムによって構成されている。ダイアタッチフィルムは、フィルム状に形成されており、その両面に接合対象物を接着することが可能となっている。例えば、ダイアタッチフィルムは、加熱されて硬化することで、接合対象物に接着される。
【0042】
反射防止層15は、入力面13a上に膜状に形成されており、入力面13aにおける光の反射を防止する。反射防止層15は、入力面13aの全体にわたって形成されている。
【0043】
ワイヤ16は、底壁部18と受光素子12とに接続されたボンディングワイヤである。ワイヤ16の一端は、底壁部18の配線における表面18aでの露出部分に接続されており、ワイヤ16の他端は、受光素子12の配線における上面12aでの露出部分に接続されている。ワイヤ16は、底壁部18とは反対側(受光素子12が底壁部18に対して位置する側)に向けて凸となるように湾曲している。
【0044】
第2樹脂部材17は、底壁部18の表面18a上に配置され、受光素子12及びFOP13を支持している。第2樹脂部材17は、方向D2においてFOP13の両側に配置されている。第2樹脂部材17は、受光素子12、FOP13及び第1樹脂部材14に接触している。より具体的には、第2樹脂部材17は、表面18aにおける受光素子12からの露出部分と、受光素子12の上面12aにおける第1樹脂部材14からの露出部分と、側面12b,12cと、第1樹脂部材14の外縁部14aと、FOP13の側面13c,13dとに接触している。本実施形態では、第2樹脂部材17は、各側面13c,13dにおける第1樹脂部材14側の領域に接触しており、反射防止層15側の領域には接触していない。
【0045】
第2樹脂部材17は、ワイヤ16を覆っている。本実施形態では、第2樹脂部材17は、ワイヤ16の全体を覆っている。すなわち、ワイヤ16は、第2樹脂部材17から露出していない。第2樹脂部材17は、表面18aの周縁部18bに至らないように形成されている。すなわち、周縁部18bは第2樹脂部材17から露出している。周縁部18bは、例えば方向D1から見た場合に受光素子12及び第2樹脂部材17を囲むように表面18aの外縁に沿って延在する矩形枠状の部分である。
【0046】
第1樹脂部材14は、第1樹脂材料により形成されており、第2樹脂部材17は、第2樹脂材料により形成されている。第1樹脂材料と第2樹脂材料とは、互いに異なっている。第1樹脂材料は、1つの材料から構成されていてもよいし、複数の材料から構成されていてもよい。同様に、第2樹脂材料は、1つの材料から構成されていてもよいし、複数の材料から構成されていてもよい。第1樹脂材料と第2樹脂材料とが互いに異なっているとは、第1樹脂材料と第2樹脂材料とが、種類又は比率に関して互いに異なっていることをいう。第1樹脂材料と第2樹脂材料とが種類に関して互いに異なっているとは、第1樹脂材料及び第2樹脂材料の一方が他方に含まれていない材料を少なくとも一つ以上含んでいることを意味する。また、第1樹脂材料と第2樹脂材料とが比率に関して互いに異なっているとは、第1樹脂材料に含まれる材料同士の比率が、第2樹脂材料に含まれる材料同士の比率と異なっていることを意味する。すなわち、第1樹脂材料と第2樹脂材料とが共通の材料から構成されていても、材料の比率が異なっている場合には、第1樹脂材料と第2樹脂材料とが互いに異なっているといえる。第1樹脂材料と第2樹脂材料とが互いに異なることにより、第1樹脂部材14と第2樹脂部材17とは、互いに異なる特性(例えば光透過率、硬度等)を有している。第1樹脂材料は、例えば、シリコーン樹脂又はアクリル樹脂等である。第2樹脂材料は、例えば、エポキシ樹脂等である。第1樹脂部材及び第2樹脂材料は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であり、好ましくは熱硬化性樹脂である。
【0047】
本実施形態では、第2樹脂部材17の光透過率は、第1樹脂部材14の光透過率よりも低い。換言すれば、第2樹脂部材17の遮光性は、第1樹脂部材14の遮光性よりも高い。この場合の光透過率とは、光源5から出射される光の波長を有する光に対する光透過率であり、例えば800nm~900nmの波長の光に対する光透過率である。第1樹脂部材14の光透過率は、例えば90%以上であってもよく、第2樹脂部材17の光透過率は、例えば5%以下であってもよい。
【0048】
本実施形態では、第2樹脂部材17は、第1樹脂部材14よりも硬い。この例では、第2樹脂部材17のヤング率が第1樹脂部材14のヤング率よりも高くなっている。第1樹脂部材14のヤング率は、例えば1×10Pa程度であってもよく、第2樹脂部材17のヤング率は、例えば8×10Pa程度であってもよい。
[光モジュールの製造方法]
【0049】
光モジュール6の製造方法について図3から図5を参照して説明する。以下、複数の光モジュール6を一括して製造する例について説明する。まず、矩形板状を呈した基材20(第3基材)を用意する(図3(a))。基材20は、各々が底壁部18に対応する複数の底壁部分21を有している。「底壁部に対応する底壁部分」とは、基材20の切断工程の後に底壁部18になる部分である。複数の底壁部分21は、基材20において格子状に並ぶように位置しており、隣り合う底壁部分21の間に境界L1(ダイシングライン)が設定されている。基材20は、後の切断工程において境界L1に沿って切断(ダイシング)される。各底壁部分21は、切断工程の後に表面18aとなる表面21aを有している。底壁部分21には配線が形成されており、当該配線は表面21aにおいて露出した端子22を有している。以下の工程は、各底壁部分21について実施される。
【0050】
続いて、図3(a)に示されるように、受光面121aが底壁部分21とは反対側を向くように受光素子12を底壁部分21の表面21a(表面18a)上に配置する(第1工程)。
【0051】
続いて、図3(b)に示されるように、受光素子12と底壁部分21とをワイヤ16によって接続する。より具体的には、ワイヤ16の一端が、底壁部分21の端子22に接続され、ワイヤ16の他端が、受光素子12の配線における上面12aでの露出部分に接続される。
【0052】
ここで、後述する第2工程において用いられるFOP13を形成する形成工程について図4を参照して説明する。まず、矩形板状を呈した基材30(第1基材)を用意する(図4(a))。基材30は、複数の光ファイバが束ねられて形成されており、各々がFOP13に対応する複数の部分31を有している。「FOPに対応する部分」とは、基材30の切断工程の後にFOP13になる部分である。複数の部分31は、基材30において格子状に並ぶように位置しており、隣り合う部分31の間に境界L2(ダイシングライン)が設定されている。基材20は、後の切断工程において境界L2に沿って切断(ダイシング)される。
【0053】
続いて、図4(a)に示されるように、基材30の一方の主面上にフィルム状の基材40(第2基材)を貼り付ける。基材40は、各々が第1樹脂部材14に対応する複数の部分41を有する接着フィルムであり、本実施形態ではダイアタッチフィルムである。「第1樹脂部材に対応する部分」とは、基材40の切断工程の後に第1樹脂部材14になる部分である。複数の部分41は、基材40において格子状に並ぶように位置しており、隣り合う部分41の間に基材30と共通の境界L2が設定されている。各部分41は、対応する部分31と重なっている。基材40は、基材30と共に境界L2に沿って切断される。
【0054】
続いて、基材30の他方の主面上に基材50を形成する。基材50は、各々が反射防止層15に対応する複数の部分51を有する薄膜である。「反射防止層に対応する部分」とは、基材50の切断工程の後に反射防止層15になる部分である。基材50は、例えば基材30の他方の主面上にコーティング処理を施すことにより形成される。複数の部分51は、基材50において格子状に並ぶように位置しており、隣り合う部分51の間に基材30と共通の境界L2が設定されている。各部分51は、対応する部分31と重なっている。基材50は、基材30と共に境界L2に沿って切断される。
【0055】
続いて、図4(b)に示されるように、基材30、基材40及び基材50からなる積層体を境界L2に沿ってまとめて切断することにより、複数のFOP13を取得する。この切断工程において、基材40は積層体を固定する固定部材として使用されてもよい。例えば、基材40は基材30とは反対側の表面にダイシングテープを有し、ダイシングテープによって積層体が切断工程時に載置される土台(例えばダイシングフレーム)に固定されてもよい。ダイシングテープは、次の第2工程の実施前に剥離される。取得した各FOP13においては、一方面に第1樹脂部材14が貼り付けられていると共に、他方面に反射防止層15が形成されている。FOP13における第1樹脂部材14が貼り付けられた面が出力面13bに対応し、FOP13における反射防止層15が形成された面が入力面13aに対応する。
【0056】
続いて、図5(a)に示されるように、FOP13の出力面13bが受光素子12の受光面121aと向かい合うようにFOP13を配置すると共に、受光面121aと出力面13bとの間に配置された第1樹脂部材14により受光素子12にFOP13を接合する(第2工程)。第1樹脂部材14が熱硬化性樹脂である場合、例えば第1樹脂部材14を加熱して硬化させることにより第1樹脂部材14を受光面121a及び出力面13bに接合させる。第1樹脂部材14が熱可塑性樹脂である場合、例えば第1樹脂部材14を加熱して軟化させた後に硬化させることにより第1樹脂部材14の表面を受光面121a及び出力面13bに接合させる。これにより、第1樹脂部材14を介して受光素子12にFOP13が接合される。例えば、第1樹脂材料が熱硬化性樹脂である場合において、熱硬化性樹脂としてアクリル樹脂を用いる際には、第1樹脂部材14は150℃程度で硬化し、熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂を用いる際には、第1樹脂部材14は常温(5℃~35℃)で硬化する。なお、第1樹脂部材14が常温で硬化する熱硬化性樹脂である場合、加熱処理は、常温よりも低い温度から常温よりも高い温度まで第1樹脂部材14を加熱することを含む。
【0057】
続いて、図5(b)に示されるように、受光素子12、FOP13及び第1樹脂部材14に接触するように第2樹脂部材17を底壁部18の表面18a上に配置する(第3工程)。第3工程では、第2樹脂部材17が熱硬化性樹脂である場合、例えば第2樹脂部材17を表面18a上に配置した後に加熱することにより硬化させる。第2樹脂部材17が熱可塑性樹脂である場合、例えば加熱されて溶融した第2樹脂部材17を表面18a上に配置した後に硬化させる。なお、第2樹脂部材17が常温で硬化する熱硬化性樹脂である場合、加熱処理は、常温よりも低い温度から常温以上の温度まで第1樹脂部材14を加熱することを含む。第2樹脂部材17は、各ワイヤ16の全体を覆うように、基材20の厚さ方向に垂直な方向においてFOP13の両側に配置される。
【0058】
本実施形態では、第2工程において硬化される前の第1樹脂部材14の粘度は、第3工程において硬化される前の第2樹脂部材17の粘度よりも低い。樹脂部材が熱可塑性樹脂である場合、「硬化される前の樹脂部材の粘度」とは、加熱されて樹脂部材が軟化した状態における粘度をいう。また、第1樹脂部材14及び第2樹脂部材17が常温よりも高い温度で硬化する熱硬化性樹脂である場合、硬化される前の常温における第1樹脂部材14の粘度は、例えば10Pa・s以下であってもよく、硬化される前の常温における第2樹脂部材17の粘度は、例えば200Pa・s以上であってもよい。
【0059】
第3工程では、第2樹脂部材17が境界L1から離間するように(境界L1に至らないように)、第2樹脂部材17を底壁部18の表面18a上に配置する。これにより、硬化後において底壁部分21(底壁部18)の周縁部18bが第2樹脂部材17から露出する。この例では、加熱された第2樹脂部材17の粘度が低いことにより、第2樹脂部材17が境界L1に至らないようになっている。換言すれば、第2樹脂部材17が境界L1に至らないように、第2樹脂部材17の粘度が調整されている。
【0060】
続いて、基材20を境界L1に沿って切断することにより、複数の光モジュール6を取得する(第4工程)。以上で光モジュール6の製造工程が終了する。
[作用及び効果]
【0061】
光モジュール6は、受光素子12の受光面121aとFOP13の出力面13bとの間に配置され、受光素子12にFOP13を接合する第1樹脂部材14と、受光素子12及びFOP13に接触するように底壁部18の表面18a上に配置された第2樹脂部材17と、を備えている。これにより、第1樹脂部材14によってFOP13を受光素子12に強固に接合することができると共に、第2樹脂部材17によってFOP13及び受光素子12を確実に支持することができる。また、第1樹脂部材14の材料と第2樹脂部材17の材料とが、互いに異なっている。これにより、第1樹脂部材14及び第2樹脂部材17の材料選択における自由度を高めることができ、その結果、要求性能に応じた設計を実現することが可能となる。例えば、第1樹脂部材14を光透過率の高い材料で形成し、第2樹脂部材17を光透過率の低い材料で形成することができる。この場合、FOP13から受光素子12へ向かう光が第1樹脂部材14によって遮られることを抑制しつつ、側方から受光素子12へ向かうノイズ光を第2樹脂部材17によって遮ることができる。その結果、検出精度を向上することができる。別の例として、第1樹脂部材14を柔らかいで形成し、第2樹脂部材17を硬い材料で形成することもできる。この場合、第1樹脂部材14により接合されたFOP13と受光素子12との間に剥離が生じることを抑制しつつ、FOP13及び受光素子12を第2樹脂部材17によって一層確実に支持することができる。その結果、FOP13を受光素子12上に安定的に配置することができる。更に別の例として、硬化される前の粘度が低い材料で第1樹脂部材14を形成し、硬化される前の粘度が高い材料で第2樹脂部材17を形成することもできる。この場合、硬化後の第1樹脂部材14に気泡等が発生することを抑制してFOP13を受光素子12上に安定的に配置することができると共に、硬化前の第2樹脂部材17を堰き止めるための構成(例えば側壁部)を省略して製造効率を向上することができる。このように、光モジュール6によれば、要求性能に応じた設計を実現することが可能となる。
【0062】
第2樹脂部材17が、ワイヤ16を覆っている。これにより、エンコーダ1の使用時に飛散する油及び物理的な外力等からワイヤ16を保護することができる。
【0063】
底壁部18の表面18aの周縁部18bが、第2樹脂部材17から露出している。すなわち、第2樹脂部材17が、底壁部18の表面18aの周縁部18bに至らないように形成されている。光モジュール6の製造時には、硬化前の第2樹脂部材17が表面18a上に配置されることがあるが、第2樹脂部材17が表面18aの周縁部18bに至らないように形成される場合、硬化前の第2樹脂部材17を堰き止めるための構成(例えば側壁部)を底壁部18上に配置する必要がない。そのため、光モジュール6の小型化を図ることができる。また、硬化前の第2樹脂部材17を堰き止めるための構成を底壁部18上に配置する必要がないため、製造効率を向上することもできる。更に、第2樹脂部材17を堰き止める構成を底壁部18上に配置する必要がないため、底壁部18を小面積化することができ、1枚の基材20からより多くの光モジュール6を製造することが可能となる。
【0064】
第1樹脂部材14が、接着フィルム(ダイアタッチフィルム)である。これにより、加熱された第1樹脂部材14が比較的短時間の間に硬化するため、第1樹脂部材14によりFOP13を受光素子12に精度良く接合することができる。すなわち、例えば、第1樹脂部材14が接着フィルムではなく、加熱後の硬化に時間を要する樹脂部材である場合、樹脂材料が硬化するまでの間にFOP13の位置がずれるおそれがある。これに対して、第1樹脂部材14が接着フィルムである場合、加熱された第1樹脂部材14が比較的短時間の間に硬化するため、そのようなFOP13の位置ずれを抑制することができ、第1樹脂部材14によりFOP13を受光素子12に精度良く接合することができる。その結果、歩留まりを向上することができる。
【0065】
方向D1から見た場合に、第1樹脂部材14の外縁が、FOP13の外縁と重なっている。これにより、方向D1から見た場合に第1樹脂部材14がFOP13の外側にはみ出していないため、第1樹脂部材14と第2樹脂部材17との接触面積を低減することができる。そのため、環境温度の変化によって第1樹脂部材14及び第2樹脂部材17が熱収縮又は熱膨張した場合に、第1樹脂部材14と第2樹脂部材17との接触箇所に破損が生じることを抑制することができる。
【0066】
第2樹脂部材17の光透過率が、第1樹脂部材14の光透過率よりも低い。これにより、FOP13から受光素子12へ向かう光が第1樹脂部材14によって遮られることを抑制しつつ、側方から受光素子12へ向かうノイズ光を第2樹脂部材17によって遮ることができる。その結果、検出精度を向上することができる。
【0067】
第2樹脂部材17が、第1樹脂部材14よりも硬い。これにより、第1樹脂部材14により接合されたFOP13と受光素子12との間に剥離が生じることを抑制しつつ、FOP13及び受光素子12を第2樹脂部材17によって一層確実に支持することができる。その結果、FOP13を受光素子12上に安定的に配置することができる。
【0068】
光モジュール6が、FOP13の入力面13a上に形成された反射防止層15を備えている。これにより、FOP13の入力面13aにおける光の反射を抑制することができ、検出精度を向上することができる。
【0069】
FOP13が、方向D2において互いに反対側を向いた一対の側面13c,13dを有し、第2樹脂部材17が、一対の側面13c,13dの両方に接触している。これにより、受光素子12及びFOP13をより確実に支持することができる。
【0070】
実施形態に係る光モジュールの製造方法では、第1樹脂部材14により受光素子12にFOP13を接合する第2工程の後に、受光素子12、第1樹脂部材14及びFOP13に接触するように第2樹脂部材17を底壁部18の表面18a上に配置する第3工程が実施される。これにより、製造時に受光素子12に対するFOP13の位置がずれてしまうことを抑制することができ、歩留まりの低下を抑制することができる。すなわち、例えば、第1樹脂部材14を省略して第2樹脂部材17によって受光素子12とFOP13との接合も行う場合(第1樹脂部材14と第2樹脂部材17とが1つの樹脂部材からなる場合)、第2樹脂部材17が硬化するのに比較的時間がかかることから、第2樹脂部材17が硬化するまでの間にFOP13の位置にずれが生じ得る。これに対して、実施形態に係る光モジュールの製造方法では、第1樹脂部材14により受光素子12にFOP13を接合した後に第2樹脂部材17を底壁部18の表面18a上に配置するため、そのようなFOP13の位置ずれを抑制することができ、歩留まりを向上することができる。
【0071】
第2工程において硬化される前の第1樹脂部材14の粘度が、第3工程において硬化される前の第2樹脂部材17の粘度よりも低い。これにより、硬化前の第1樹脂部材14の粘度が低いことで、硬化後の第1樹脂部材14に気泡等が発生することを抑制することができ、FOP13を受光素子12上に安定的に配置することができる。また、硬化前の第2樹脂部材17の粘度が高いことで、第2樹脂部材17を堰き止めるための構成(例えば側壁部)を省略することができ、製造効率を向上することができる。更に、第2樹脂部材17を堰き止める構成を底壁部18上に配置する必要がないため、底壁部18を小面積化することができ、1枚の基材20からより多くの光モジュール6を製造することが可能となる。
【0072】
FOP13を形成する形成工程が、FOP13に対応する部分31を複数有する基材30に、第1樹脂部材14に対応する部分41を複数有する基材40を貼り付ける工程と、基材30及び基材40を切断することにより、第1樹脂部材14が貼り付けられたFOP13を複数取得する工程と、をこの順に含んでいる。これにより、例えば複数のFOP13に個別に第1樹脂部材14を貼り付ける場合と比べて、製造効率を向上することができる。
【0073】
第1工程では、複数の底壁部分21の各々について、受光面121aが底壁部18とは反対側を向くように受光素子12を底壁部18の表面18a上に配置する。第2工程では、複数の底壁部分21の各々について、出力面13bが受光面121aと向かい合うようにFOP13を受光素子12上に配置すると共に、受光面121aと出力面13bとの間に配置された第1樹脂部材14により受光素子12にFOP13を接合する。第3工程では、複数の底壁部分21の各々について、受光素子12、第1樹脂部材14及びFOP13に接触するように第2樹脂部材17を底壁部18の表面18a上に配置する。第3工程の後に、基材20を切断することにより、光モジュール6を複数取得する。これにより、例えば個片化された複数の底壁部18上に個別に受光素子12等を配置する場合と比べて、製造効率を向上することができる。
【0074】
第3工程では、第2樹脂部材17が複数の底壁部分21の間の境界L1から離間するように、第2樹脂部材17を底壁部18の表面18a上に配置する。これにより、硬化前の第2樹脂部材17を堰き止めるための構成(例えば側壁部)を境界L1上に設ける必要がないため、製造効率を向上することができる。
[変形例]
【0075】
光モジュール6は、図6に示される変形例のように構成されていてもよい。変形例では、支持体11は、底壁部18の表面18a上に配置された側壁部19を更に有している。側壁部19は、表面18aの外縁に沿って形成されており、方向D1から見た場合に矩形枠状を呈している。側壁部19は、方向D1から見た場合に、受光素子12、FOP13、第1樹脂部材14、反射防止層15、ワイヤ16及び第2樹脂部材17を囲んでいる。側壁部19は、底壁部18と同じ材料(例えばガラスエポキシ樹脂)により形成されていてもよい。本変形例では、第2樹脂部材17は、側壁部19の内面19aに接触し、側壁部19における底壁部18とは反対側の端面19bには接触していない。
【0076】
このような変形例によっても、上記実施形態と同様に、要求性能に応じた設計を実現することが可能となる。また、変形例では、支持体11が、底壁部18の表面18a上に配置された側壁部19を更に有し、側壁部19が、方向D1から見た場合に、受光素子12及び第2樹脂部材17を囲んでおり、第2樹脂部材17が、側壁部19に接触している。この場合、光モジュール6の製造時に、硬化前の第2樹脂部材17を側壁部19によって堰き止めることができる。そのため、粘度の低い材料を第2樹脂部材17の材料として使用することができ、第1樹脂部材14及び第2樹脂部材17の材料選択における自由度を更に高めることができる。また、側壁部19によって物理的な接触から受光素子12を保護することができる。
【0077】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、第1樹脂部材14は、加熱されて溶融した樹脂材料を硬化させることにより形成されてもよい。方向D1から見た場合に、第1樹脂部材14の外縁はFOP13の外縁と重なっていなくてもよい。第1樹脂部材14の外縁は、FOP13の外縁の内側又は外側に位置していてもよい。
【0078】
第2樹脂部材17の光透過率は、第1樹脂部材14の光透過率よりも高くてもよい。第2樹脂部材17の硬度は、第1樹脂部材14の硬度よりも低くてもよい。第2工程において加熱された第1樹脂部材14の粘度は、第3工程において加熱された第2樹脂部材17の粘度よりも高くてもよい。
【0079】
第2樹脂部材17は、底壁部18の表面18aの全体にわたって配置されていてもよい。この場合、表面18aの周縁部18bは、第2樹脂部材17から露出していなくてもよい。第2樹脂部材17は、ワイヤ16の全体を覆っていなくてもよく、ワイヤ16の一部のみを覆っていてもよい。第2樹脂部材17は、側壁部19に接触していなくてもよい。底壁部18上に側壁部19が配置されている場合、底壁部18の表面18aのうち側壁部19に隣接する内側部分が表面18aの周縁部18bであり、周縁部18bが第2樹脂部材17から露出していてもよい。
【0080】
上記実施形態に係る光モジュール6の製造方法において、基材20を切断して底壁部18を複数取得した後に、各々の底壁部18の表面18a上に受光素子12を配置してもよい。基材30を切断してFOP13を複数取得した後に、各々のFOP13に第1樹脂部材14及び反射防止層15を配置してもよい。
【0081】
上記実施形態では、FOP13の出力面13b上に第1樹脂部材14を貼り付けた後に、第1樹脂部材14が張り付けられたFOP13を受光素子12の受光面121a上に配置したが、受光面121aに第1樹脂部材14を配置(貼り付け)した後に、第1樹脂部材14上にFOP13を配置してもよい。
【0082】
エンコーダ1は、反射型エンコーダであってもよい。この場合、光源5は、回転板3に対して光モジュール6と同じ側に配置される。光源5は、例えば底壁部18の表面18a上に配置されてもよい。すなわち、光モジュール6は、底壁部18の表面18a上に配置された発光素子を備えていてもよい。回転板3は、光通過パターン3aに代えて、光源5から出射された光を反射する光反射パターンを有していてもよい。この場合、光源5から出射された光は、回転板3の光反射パターンにより反射された後に受光素子12に入射する。
【0083】
受光素子12が有する受光部121(受光面121a)の数は限定されず、一つ又は複数であってもよい。受光素子12は、ワイヤ16に代えてバンプを介して底壁部18の配線に接続されていてもよい。反射防止層15は、入力面13aの一部のみに形成されていてもよいし、省略されてもてよい。第1樹脂材料と第2樹脂材料とは、互いに同一であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…エンコーダ、3…回転板、3a…光通過パターン、5…光源、6…光モジュール(エンコーダ用光モジュール)、11…支持体、12…受光素子、121a…受光面、13…FOP(ファイバオプティックプレート)、13a…入力面、13b…出力面、13c,13d…側面、14…第1樹脂部材、15…反射防止層、16…ワイヤ、17…第2樹脂部材、18…底壁部、18a…表面、18b…周縁部、19…側壁部、20…基材(第3基材)、21…底壁部分、30…基材(第1基材)、31…部分、40…基材(第2基材)、41…部分、L1…境界。
図1
図2
図3
図4
図5
図6