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特開2023-143103制御装置、制御システム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143103
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/63 20180101AFI20230928BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20230928BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20230928BHJP
   F24F 120/20 20180101ALN20230928BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/54
F24F11/56
F24F120:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050307
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】寺谷 和輝
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260BA02
3L260BA65
3L260BA73
3L260CA04
3L260CB67
3L260CB85
3L260EA07
3L260EA09
3L260EA19
3L260FA01
3L260GA02
3L260HA01
3L260HA06
3L260JA24
(57)【要約】
【課題】利用者の実際の状態に適した空調動作を決定する。
【解決手段】空調装置と異なる、利用者によって利用されるデバイスに取り付けられたセンサによって測定された生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報の取得の状況に基づき、前記空調装置の動作を決定する動作決定部と、を備える、制御装置。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置と異なる、利用者によって利用されるデバイスに取り付けられたセンサによって測定された生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報の取得の状況に基づき、前記空調装置の動作を決定する動作決定部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記動作決定部は、複数の空調装置の各々の前記動作を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記動作決定部は、前記複数の空調装置の中から、前記デバイスが存在する区画の空気調整を行う空調装置を特定し、当該空調装置の前記動作を決定する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記デバイスは、情報処理装置の操作のために用いられ、
前記生体情報取得部は、前記デバイスから前記情報処理装置に送信された前記生体情報を取得する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記生体情報取得部は、前記デバイスとして用いられる前記情報処理装置の操作のためのマウスから送信された前記生体情報を取得する、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記動作決定部は、前記情報処理装置に割り当てられたIPアドレスに基づき、前記デバイスが存在する区画の空気調整を行う空調装置を特定する、
請求項4または5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、記憶部をさらに備え、
前記記憶部は、前記生体情報を記憶し、
前記動作決定部は、前記生体情報取得部により新たに取得された生体情報と前記記憶部に記憶された前記生体情報から得た情報の比較に基づき前記動作を決定する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記動作決定部によって決定された前記動作を示す動作パラメータを記憶し、
前記動作決定部は、前記生体情報取得部により新たに生体情報が取得されると、前記記憶部に記憶された前記動作パラメータに基づき新たな前記動作を決定する、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記動作決定部は、前記生体情報取得部により前記生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報が取得されない場合、前記動作を所定の動作に決定する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記生体情報は、前記利用者の血中酸素濃度を示す情報を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記利用者によって利用者端末に入力された利用者情報を取得する利用者情報取得部をさらに備え、
前記動作決定部は前記利用者情報に基づき、前記動作を決定する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
空調装置と異なる、利用者によって利用されるデバイスに取り付けられたセンサによって測定された生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報の取得の状況に基づき、前記空調装置の動作を決定する動作決定部と、
を備える、制御システム。
【請求項13】
空調装置と異なる、利用者によって利用されるデバイスに取り付けられたセンサによって測定された生体情報を取得する生体情報を取得することと、
前記生体情報の取得の状況に基づき、前記空調装置の動作を決定することと、
を含む、コンピュータにより実行される制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅、事務所、工場など、様々な場所に空調装置が設置されている。かかる空調装置においては、利用者の状態に合わせて空気環境を調整するための、様々な技術が開発されている。例えば、特許文献1には、空調装置の制御対象となる空間の空気環境の情報と、空調装置の制御対象になる空間を利用する利用者のスケジュール情報に基づいて、空調装置の動作を決定する空調制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-60535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の空調制御システムは、利用者がスケジュール通りに行動しなかった場合でもスケジュール情報に基づいて空調装置の動作を決定するため、決定された空調装置の動作が実際の利用者の状態に適さない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、利用者の実際の状態に適した空調動作を決定することが可能な、新規かつ改良された制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、空調装置と異なる、利用者によって利用されるデバイスに取り付けられたセンサによって測定された生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報の取得の状況に基づき、前記空調装置の動作を決定する動作決定部と、を備える、制御装置が提供される。
【0007】
前記動作決定部は、複数の空調装置の各々の前記動作を決定してもよい。
【0008】
前記動作決定部は、前記複数の空調装置の中から、前記デバイスが存在する区画の空気調整を行う空調装置を特定し、当該空調装置の前記動作を決定してもよい。
【0009】
前記デバイスは、情報処理装置の操作のために用いられ、前記生体情報取得部は、前記デバイスから前記情報処理装置に送信された前記生体情報を取得してもよい。
【0010】
前記生体情報取得部は、前記デバイスとして用いられる前記情報処理装置の操作のためのマウスから送信された前記生体情報を取得してもよい。
【0011】
前記動作決定部は、前記情報処理装置に割り当てられたIPアドレスに基づき、前記デバイスが存在する区画の空気調整を行う空調装置を特定してもよい。
【0012】
前記制御装置は、記憶部をさらに備え、前記記憶部は、前記生体情報を記憶し、前記動作決定部は、前記生体情報取得部により新たに取得された生体情報と前記記憶部に記憶された前記生体情報から得た情報の比較に基づき前記動作を決定してもよい。
【0013】
前記記憶部は、前記動作決定部によって決定された前記動作を示す動作パラメータを記憶し、前記動作決定部は、前記生体情報取得部により新たに生体情報が取得されると、前記記憶部に記憶された前記動作パラメータに基づき新たな前記動作を決定してもよい。
【0014】
前記動作決定部は、前記生体情報取得部により前記生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報が取得されない場合、前記動作を所定の動作に決定してもよい。
【0015】
前記生体情報は、前記利用者の血中酸素濃度を示す情報を含んでもよい。
【0016】
前記制御装置は、前記利用者によって利用者端末に入力された利用者情報を取得する利用者情報取得部をさらに備え、前記動作決定部は前記利用者情報に基づき、前記動作を決定してもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、空調装置と異なる、利用者によって利用されるデバイスに取り付けられたセンサによって測定された生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報の取得の状況に基づき、前記空調装置の動作を決定する動作決定部と、を備える、制御システムが提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、空調装置と異なる、利用者によって利用されるデバイスに取り付けられたセンサによって測定された生体情報を取得する生体情報を取得することと、前記生体情報の取得の状況に基づき、前記空調装置の動作を決定することと、を含む、コンピュータにより実行される制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、利用者の実際の状態に適した空調動作を決定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態による空調システム1の構成を示した説明図である。
図2】マウス20の内部構成を示す説明図である。
図3】生体情報取得部220によって取得された生体情報の例である。
図4】制御装置40の内部構成を示す説明図である。
図5】空調装置10の現在の動作パラメータの例である。
図6】動作決定部420によって決定された空調装置10の動作パラメータの例である。
図7】本発明の実施形態によるマウス20の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態による制御装置40の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2の実施形態による空調システム2の構成を示した説明図である。
図10】本発明の実施形態による利用者端末60の動作を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態による制御装置70の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0023】
<1.第1の実施形態>
<1-1.空調システムの概要>
まず、本発明の第1の実施形態における、空調の動作の決定を行う制御装置を備える空調システムの概要を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による空調システム1の構成を示した説明図である。図1に示したように、空調システム1は、複数の空調装置10、複数のマウス20、複数の情報処理装置30、制御装置40および通信網50を備える。
【0025】
空調装置10は、制御対象となる区画の空気環境を調整する。空調装置10は、例えば、運転モードを冷房モード、暖房モード、除湿モード、送風モード、自動モードに切り替え可能なエアコンディショナーである。空調装置10は、設定された動作パラメータに従って動作する。利用者は、リモコン操作器等への操作により空調装置10の運転/停止、運転モード、設定温度、風量、風向きおよび換気量等の動作パラメータを設定することで、空調装置10の動作を制御することが可能である。
【0026】
空調装置10の動作は、制御装置40によっても決定され得る。ここで、空調装置10の動作を決定することは、空調装置10の動作パラメータを決定することに等しい。空調装置10は、制御装置40によって決定された動作パラメータを、通信網50を介して受信する。なお、空調装置10は、空気環境の調整を行う装置であれば特に限定されず、例えば、加湿器、換気装置または空気清浄機であってもよい。
【0027】
マウス20は、有線または無線で情報処理装置30と接続され、情報処理装置30と通信する。マウス20は、利用者によって利用されるデバイスであり、情報処理装置30の操作のために用いられる。また、マウス20は、利用者の操作を検出し、検出された操作を示す信号を情報処理装置30に出力する。情報処理装置30は、マウス20から入力された信号に基づいて動作する。
【0028】
マウス20には、利用者の生体情報を測定するセンサが取り付けられる。マウス20に取り付けられたセンサによって測定される利用者の生体情報は、例えば、体温、脈拍、血圧、血中酸素濃度、発汗量等の情報である。マウス20は、情報処理装置30に当該生体情報を送信してもよい。マウス20には、利用者のそれぞれ異なる種類の生体情報を測定する複数のセンサが取り付けられてもよい。
【0029】
情報処理装置30は、通信網50を介して制御装置40と通信を行うことにより、制御装置40に情報を送信する。情報処理装置30が送信する情報は、例えば、マウス20から受信した、利用者の生体情報である。情報処理装置30には、通信網50を介して制御装置40と通信を行うためのIPアドレスが割り当てられてもよい。当該IPアドレスは、各情報処理装置30に割り当てられた固定のプライベートIPアドレスであってもよい。
【0030】
制御装置40は、空調装置10の動作を決定し、通信網50を介して当該動作を示す情報を空調装置10に送信する。すなわち、制御装置40は、空調装置10の動作を示す情報として空調装置10の動作パラメータを決定し、通信網50を介して空調装置10に当該動作パラメータを空調装置10に送信することで、空調装置10の動作を制御する。また、制御装置40は、通信網50を介して、情報処理装置30から、利用者の生体情報を取得する。制御装置40は、当該生体情報の取得の状況に基づき、空調装置10の動作パラメータを決定する。
【0031】
通信網50は、通信網50に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網50は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、通信網50は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0032】
<1-2.マウスの内部構成>
以上、本発明の実施形態による空調システム1の概要を説明した。続いて、マウス20の内部構成を説明する。
【0033】
図2は、マウス20の内部構成を示す説明図である。図2に示したように、マウス20は、通信部210と、生体情報取得部220と、操作検出部230と、制御部240と、を備える。
【0034】
(操作検出部)
操作検出部230は、利用者によるマウス20の操作を検出する。操作検出部230は、例えば、マウス20の移動およびマウス20に取り付けられたスイッチの押下を検出する。
【0035】
(生体情報取得部)
生体情報取得部220は、利用者の生体情報を測定し、取得する。生体情報取得部220は、複数の種類の生体情報を取得してもよい。図3は、生体情報取得部220によって取得された生体情報の例である。図3に示すように、生体情報取得部220によって取得された生体情報は、生体情報項目1001および各項目に対する取得結果1002を含む。生体情報項目1001としては、例えば、体温、脈拍、血圧、血中酸素濃度および発汗量等が挙げられる。また、取得結果1002は、生体情報項目1001に対する利用者の生体情報の取得結果である。図3においては、体温の取得結果が36.5(℃)であり、発汗量の取得結果が0.50(mg/cm2/min)であり、血中酸素濃度の取得結果が98・0(%)である例が示される。
【0036】
(通信部)
通信部210は、有線または無線で接続された情報処理装置30と各種情報を送受信する。通信部210の機能はユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)等を用いた有線通信によって実現されてもよいし、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、およびWi-Fi等を用いた無線通信によって実現されてもよい。
【0037】
通信部210は、操作検出部230によって検出された利用者の操作結果を示す信号を情報処理装置30に出力してもよい。通信部210は、例えば、操作検出部230によって検出された、利用者によるマウス20の移動を示す信号を情報処理装置30に出力する。情報処理装置30は、マウス20から入力された信号に基づいて、情報処理装置30から出力される画面上のカーソルを移動させる。また、通信部210は、操作検出部230によって検出された、マウス20に取り付けられたボタンの押下を示す信号を、情報処理装置30に出力する。情報処理装置30は、マウス20から入力された信号に基づいて、情報処理装置30から出力される画面上でカーソルが合わせられている位置に応じた処理を行う。
【0038】
また、通信部210は、生体情報取得部220によって取得された利用者の生体情報を、情報処理装置30に出力してもよい。
【0039】
(制御部)
制御部240は、マウス20の動作全般を制御する。例えば、制御部240は、通信部210、生体情報取得部220、および操作検出部230の各々の動作を制御する。
【0040】
<1-3.制御装置の内部構成>
以上、本発明の実施形態によるマウスの内部構成を説明した。続いて、制御装置40の内部構成を説明する。
【0041】
図4は、制御装置40の内部構成を示す説明図である。図4に示したように、制御装置40は、通信部410と動作決定部420と、記憶部430と、制御部440と、を備える。
【0042】
(通信部)
通信部410は、通信網50を介して情報処理装置30および空調装置10と各種情報を送受信する。例えば、通信部410は、情報処理装置30から、マウス20から送信された利用者の生体情報を取得する、生体情報取得部として機能する。通信部410は、空調装置10から、空調装置10の現在の動作パラメータを取得してもよい。また、通信部410は、空調装置10に、動作決定部420によって決定された動作パラメータを送信してもよい。
【0043】
(記憶部)
記憶部430は、制御装置40の動作のために用いられる各種情報を記憶する記憶媒体であり、ハードディスクまたはメモリにより構成される。例えば、記憶部430は、制御部440が通信部410および動作決定部420などを制御するためのプログラムを記憶する。また、記憶部430は、動作決定部420によって決定された空調装置10の動作パラメータを、空調装置10の現在の動作パラメータとして記憶してもよい。
【0044】
図5は、空調装置10の現在の動作パラメータの例である。図5に示すように、空調装置10の現在の動作パラメータは、動作項目2001、及び各項目に対する現在の動作パラメータ2002を含む。動作項目2001は、例えば、運転モード、設定温度、風量、風向きおよび換気量等である。現在の動作パラメータ2002は、動作項目2001に対する空調装置10の現在の動作パラメータの取得結果である。図5においては、運転モードが冷房モードであり、設定温度が26.0(℃)であり、換気量が弱である例が示される。
【0045】
また、記憶部430は、空調装置10が空気調整を行う区画の情報を記憶してもよい。図1に示した例では、記憶部430は、空調装置10Aが区画Aの空気調整を行うことを記憶する。また、記憶部430は、情報処理装置30に割り当てられたIPアドレスと、当該情報処理装置30が存在する区画の組み合わせの情報が格納された、情報処理装置30が存在する区画を特定するためのデータベースを記憶し得る。
【0046】
また、記憶部430は、マウス20によって取得された生体情報を、当該生体情報が取得された日時の情報および当該マウス20が存在する区画の情報とともに、マウス20の過去の生体情報として記憶してもよい。
【0047】
また、記憶部430は、動作決定部420による動作パラメータの決定のために用いる、生体情報に関する条件と、当該条件が満たされた場合にどのような動作パラメータに決定するかを示す情報が格納されたデータベースを有し得る。
【0048】
(動作決定部)
動作決定部420は、マウス20によって取得された生体情報に基づき、空調装置10の動作パラメータを決定する。動作決定部420は、図1に示したように空調システム1に複数の空調装置10が含まれる場合、複数の空調装置10の各々の動作パラメータを決定する。
【0049】
特に、動作決定部420は、異なる区画の空気調整を行う空調装置10が分散している場合、異なる区画の空気調整を行う空調装置10には異なる動作パラメータを決定してもよい。図1に示した例では、動作決定部420は、区画Aの空気調整を行う空調装置10Aと、区画Bの空気調整を行う空調装置10Bとには、異なる動作パラメータを決定してもよい。
【0050】
具体的には、動作決定部420は、ある空調装置10の動作パラメータを、当該空調装置10が空気調整を行う区画に存在するマウス20から取得された生体情報に基づいて決定してもよい。図1に示した例では、動作決定部420は、空調装置10Aの動作パラメータを、空調装置10Aが空気調整を行う区画Aに存在するマウス20A1およびマウス20A2から取得された生体情報に基づいて決定してもよい。
【0051】
なお、動作決定部420は、あるマウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を、多様な方法で特定し得る。例えば、動作決定部420は、情報処理装置30のIPアドレス、および、記憶部430に記憶されたデータベースに基づいて、上記空調装置10の特定を行ってもよい。より詳細に説明すると、情報処理装置30に接続されたマウス20は、当該情報処理装置30と同一区画に存在すると推測される。このため、動作決定部420は、情報処理装置30のIPアドレスおよび上記データベースに基づき、情報処理装置30が位置する区画を特定し、当該区画の空気調整を行う空調装置10を特定してもよい。
【0052】
続いて、動作決定部420が、どのように空調装置10の動作パラメータを決定するかを説明する。動作決定部420は、マウス20から新たに取得された生体情報と、記憶部430に記憶された過去の生体情報から得られる情報との比較に基づき、空調装置10の動作パラメータを決定する。その際に、動作決定部420は、空調装置10の現在の動作パラメータにも基づいて空調装置10の動作パラメータを決定する。なお、動作決定部420は、記憶部430に記憶された過去の生体情報から得られる情報として、同一区画内の複数のマウス20から取得された過去の生体情報の平均値または中央値などの統計値を統計処理により取得してもよい。また、空調装置10の現在の動作パラメータは記憶部430に記憶されていてもよいし、空調装置10から取得されてもよい。以下、動作決定部420による動作パラメータの決定の具体例を説明する。
【0053】
動作決定部420による第一の動作決定例として、図1に示した例におけるマウス20A1によって、生体情報項目に体温を含む生体情報が取得された場合の例を説明する。まず、動作決定部420は、生体情報を送信した情報処理装置30A1のIPアドレス、および記憶部430に記憶されたデータベースに基づいて、マウス20A1が存在する区画の空気調整をする空調装置10が、空調装置10Aであると特定する。
【0054】
そして、動作決定部420は、記憶部430に記憶された、マウス20A1から過去に取得された生体情報に含まれる、体温の取得結果の平均値を算出する。動作決定部420は、マウス20A1から新たに取得された生体情報に含まれる体温の取得結果と、マウス20A1から過去に取得された生体情報に含まれる体温の取得結果の平均値を比較する。動作決定部420は、記憶部430に記憶されたデータベースを参照し、当該比較結果および現在の動作パラメータに応じて、動作パラメータを決定する。
【0055】
記憶部430に記憶されたデータベースは、比較結果についての条件、および当該条件が満たされた場合にどのように動作パラメータを変更するかを示す情報を含む。例えば、比較結果についての条件として、マウス20から新たに取得された生体情報に含まれる体温の取得結果が、マウス20から過去に取得された生体情報に含まれる体温の取得結果の平均値より0.5(℃)以上高いという条件が含まれたとする。また、当該条件が満たされた場合には空調装置10の設定温度を、現在の動作パラメータに含まれる設定温度より、1.0(℃)低い設定温度に変更することを示す情報が記憶されていたとする。また、マウス20A1から過去に取得された生体情報に含まれる体温の取得結果の平均値が36.0(℃)で、マウス20A1から新たに取得された生体情報に含まれる体温の取得結果が36.5(℃)であったとする。
【0056】
この場合、マウス20A1から新たに取得された生体情報に含まれる体温の取得結果は、マウス20A1から過去に取得された生体情報に含まれる体温の取得結果の平均値より、0.5(℃)高い。そのため、動作決定部420は、空調装置10Aの設定温度を、現在の動作パラメータに含まれる設定温度より1.0(℃)低い温度に決定する。
【0057】
図6は、動作決定部420によって決定された空調装置10の動作パラメータの例である。図6に示すように、動作決定部420によって決定された空調装置10の動作パラメータは、動作項目3001、各動作項目に対する現在の動作パラメータ3002および決定結果3003を含む。図6に示したように、現在の動作パラメータに含まれる設定温度が26.0(℃)である場合には、動作決定部420は、空調装置10Aの設定温度を、25.0(℃)に決定する。
【0058】
上記で説明した例において、マウス20A1によって生体情報を取得された利用者は、空調装置10Aによって空気調整が行われている空間を暑いと感じている可能性がある。そのため、上記で説明したように、空調装置10Aの動作パラメータを、空調装置10Aによって空気調整が行われている空間が冷やされるような動作パラメータに決定することで、利用者の実際の状態に適した動作パラメータに決定することができる。また、取得された生体情報の生体情報項目に発汗量を含む場合にも、同様の処理を行うことで、利用者の状態に適した空調装置10の動作パラメータを決定することが可能である。なお、上記で説明した例では、動作決定部420が利用者の体温に基づいて空調装置10の設定温度を決定する例を説明したが、動作決定部420は、利用者の体温に基づいて運転モードおよび風量を決定してもよい。
【0059】
次に、動作決定部420による第二の動作決定例として、図1に示した例におけるマウス20A1およびマウス20A2によって、生体情報項目に血中酸素濃度を含む生体情報が取得された場合の例を説明する。まず、動作決定部420は、生体情報を送信した情報処理装置30のIPアドレス、および、記憶部430に記憶されたデータベースに基づいて、マウス20A1およびマウス20A2が存在する区画を調整する空調装置10が、空調装置10Aであると特定する。
【0060】
そして、動作決定部420は、マウス20A1およびマウス20A2から取得された過去の生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値を算出する。また、動作決定部420は、マウス20A1およびマウス20A2から新たに取得された生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値を算出する。
【0061】
続いて、動作決定部420は、マウス20A1およびマウス20A2から新たに取得された生体情報に含まれる血中酸素濃度の平均値と、マウス20A1およびマウス20A2の過去の生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値を比較する。動作決定部420は、記憶部430に記憶されたデータベースを参照し、当該比較結果および現在の動作パラメータに応じて、動作パラメータを決定する。
【0062】
例えば、記憶部430のデータベースに、比較結果についての条件として、複数のマウス20から新たに取得された生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値が、マウス20から過去に取得された生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値より2.0(%)以上低いという条件が含まれたとする。また、当該条件が満たされた場合には空調装置10の換気量を、現在の動作パラメータに含まれる換気量より、一段階強い設定温度に変更することを示す情報が記憶されていたとする。また、マウス20A1およびマウス20A2の過去の生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値が98.0(%)で、マウス20A1およびマウス20A2から新たに取得された生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値が96.0(%)であったとする。この場合、マウス20A1およびマウス20A2から新たに取得された生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果は、マウス20A1およびマウス20A2の過去の生体情報に含まれる血中酸素濃度の取得結果の平均値より2.0(%)低い。そのため、動作決定部420は、空調装置10Aの換気量を、現在の動作パラメータに含まれる換気量より一段階強い換気量に決定する。例えば、空調装置10Aの現在の動作パラメータに含まれる換気量が中である場合には、動作決定部420は、空調装置10Aの換気量を、強に決定する。
【0063】
上記で説明した例において、マウス20A1およびマウス20A2によって生体情報を取得された利用者が存在する空間の酸素濃度が不足している可能性がある。そのため、上記で説明したように、空調装置10Aの動作パラメータを、換気を強める動作パラメータに決定することで、利用者の状態に適した動作パラメータに決定することが可能である。
【0064】
ここまで、動作決定部420による動作パラメータの決定の具体例を説明した。動作決定部420は、さらに、マウス20から生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報が取得されない場合、空調装置10の動作パラメータを、所定の動作パラメータに決定してもよい。例えば、動作決定部420は、マウス20から生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報が取得されない場合、空調装置10の停止を決定してもよい。
【0065】
(制御部)
制御部440は、制御装置40の動作全般を制御する。制御部440は、通信部410および動作決定部420の各々の動作を制御する。例えば、制御部440は、通信部410に、動作決定部420によって決定された動作パラメータを、空調装置10へ送信させる。
【0066】
<1-4.マウスの動作>
以上、本発明の実施形態によるマウス20および制御装置40の構成を説明した。続いて、本発明の実施形態によるマウス20の動作を説明する。
【0067】
図7は、本発明の実施形態によるマウス20の動作を示すフローチャートである。まず、利用者によってマウス20が利用されると、生体情報取得部220は利用者の生体情報を取得する(S104)。
【0068】
通信部210は、生体情報取得部220によって取得された生体情報を、情報処理装置30に送信する(S108)。マウス20は、最後に生体情報が取得されてから一定時間経過後に再度同様のフローによって生体情報を情報処理装置30に送信してもよいし、所定の時刻に再度同様のフローによって生体情報を情報処理装置30に送信してもよい。
【0069】
<1-5.制御装置の動作>
以上、本発明の実施形態によるマウス20の動作を説明した。続いて、本発明の実施形態による制御装置40の動作を説明する。
【0070】
図8は、本発明の実施形態による制御装置40の動作を示すフローチャートである。まず、通信部410は、情報処理装置30を介して、情報処理装置30に接続されたマウス20により得られた生体情報を受信する(S204)。
【0071】
そして、動作決定部420は、情報処理装置30との通信の内容に基づき、情報処理装置30に割り当てられたIPアドレスを抽出する。動作決定部420は、記憶部430に記憶された、情報処理装置30に割り当てられたIPアドレスと、当該情報処理装置30の存在する区画の組み合わせの情報が格納されたデータベースを参照し、情報処理装置30が存在する区画を特定する。ここで、情報処理装置30に接続されたマウス20は、接続先の情報処理装置30と同じ区画に存在すると推測されるため、マウス20が存在する区画が特定される。そして、動作決定部420は、記憶部430に記憶された空調装置10が空気調整を行う区画の情報を参照し、マウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定する(S208)。
【0072】
動作決定部420は、マウス20によって取得された生体情報とマウス20の過去の生体情報から得られる情報の比較を行う。例えば、動作決定部420は、マウス20の利用者の生体情報に含まれる体温が、マウス20の過去の体温より高温であるという比較結果を得る(S212)。
【0073】
続いて、動作決定部420は、空調装置10の現在の動作パラメータを記憶部430から取得する(S216)。そして、動作決定部420は、記憶部430に記憶されたデータベースを参照し、S212にて得られた比較結果および空調装置10の現在の動作パラメータに基づき、空調装置10の動作パラメータを決定する(S220)。
【0074】
記憶部430は、動作決定部420によって決定された空調装置10の動作パラメータを、空調装置10の現在の動作パラメータとして記憶する(S224)。
【0075】
次に、通信部410は、動作決定部420によって決定された空調装置10の動作パラメータを空調装置10に送信する(S228)。
【0076】
通信部410により、マウス20から生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報が取得されない場合(S232/No)、動作決定部420は、空調装置10の停止を決定する(S236)。そして、通信部410は、動作決定部420によって決定された動作パラメータを空調装置10に送信する(S240)。
【0077】
また、通信部410によりマウス20から生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報が取得された場合には(S232/Yes)、制御装置40は、S208~S228の動作を再び行う。
【0078】
<1-6.作用効果>
上述した実施形態によれば、制御装置40において、マウス20に取り付けられたセンサで測定された生体情報が通信部410によって取得され、生体情報の取得の状況に基づき、動作決定部420によって空調装置10の動作が決定される。利用者の生体情報の取得の状況に基づいて空調装置10の動作を決定することで、利用者の実際の状態に合わせて空調装置10の動作を決定することが可能になる。利用者の状態に適した空調の動作を決定する方法の対比例として、事前に利用者によって登録されたスケジュールに合わせて空調動作を決定する例が挙げられる。しかし、利用者の生体情報をスケジュールによって予測を行うことは難しい。本実施形態によれば、実際の利用者の生体情報を取得し、利用者の状態に適した空調装置10の動作を決定することが可能である。
【0079】
また、上述した実施形態によれば、動作決定部420は、複数の空調装置10の各々の動作を決定するため、複数の空調装置10の各々の動作の調整を人的に行う煩雑さを低減することが可能である。
【0080】
また、上述した実施形態によれば、動作決定部420は、マウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定し、当該空調装置10の動作を決定する。この構成によって、複数の空調装置10によって空気環境が調整される空間であっても、各々の区画に存在する利用者の状態に適した動作に、空調装置10の動作を決定することが可能である。
【0081】
また、上述した実施形態によれば、通信部410は、情報処理装置30の操作のために用いられるデバイスから送信された生体情報を取得する。情報処理装置30の操作のために用いられるデバイスによって生体情報が取得されることで、利用者に手間をかけさせることなく生体情報を取得し、空調装置10の動作を決定することが可能になる。特に、マウス20は、情報処理装置30を操作する際に頻繁に利用されるデバイスであり、利用者が触れる機会が多いデバイスである。そのため、マウス20によって情報を取得することは、通信部410が頻度高く情報を取得することを可能にする。そのため、動作決定部420は、空調装置10の動作をより利用者の状態に適した動作に決定することが可能である。
【0082】
また、上述した実施形態によれば、動作決定部420は、情報処理装置30に割り当てられたIPアドレスに基づき、マウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定する。IPアドレスは1端末に1つ割り当てられるのが通常であるため、IPアドレスを用いることでマウス20が存在する区画の特定を容易に行うことが可能である。
【0083】
また、上述した実施形態によれば、動作決定部420は、新たに取得された生体情報と、記憶部430に記憶された、過去に取得された生体情報から得た情報の比較に基づき、空調装置10の動作を決定する。過去に取得された生体情報から得た情報と比較することで、取得された生体情報がどのような状態を示しているのか、より正確に把握することが可能である。そのため、動作決定部420は、空調装置10の動作を、より利用者の状態に適した動作に決定することが可能である。
【0084】
また、上述した実施形態によれば、動作決定部420は、記憶部430に記憶された動作パラメータに基づき新たな動作パラメータを決定する。記憶部430に記憶された動作パラメータは、制御装置40によって空調装置10の動作の制御が行われている場合には、空調装置10の現在の動作パラメータを示す。また、通信部410によって取得された生体情報は、空調装置10の現在の動作パラメータに対する生体情報である。したがって、動作決定部420によって、空調装置10の現在の動作パラメータを基準として新たな動作パラメータが決定されることで、空調装置10の動作をより利用者の状態に適した動作に決定することが可能である。
【0085】
また、上述した実施形態によれば、ある区画に存在するマウス20から生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報が取得されない場合、当該区画の空気調整を行う空調装置10の動作を、所定の動作に決定する。新たな生体情報が取得されないときは、当該区画に利用者が存在しないと推測される。そのため、空調装置10の動作を所定の動作(例えば、停止)に決定することで、利用者が存在しない空間で空調装置10が必要以上に強い運転を行うことを防止できる。
【0086】
(補足)
ここまで、センサがマウス20に取り付けられ、マウス20によって取得された生体情報を通信部410が取得する例を説明したが、センサが取り付けられるデバイスは、利用者によって利用されるデバイスであれば、マウス20に限られない。センサが取り付けられるデバイスは、例えば、利用者に利用される腕時計またはペン等であってもよい。また、センサが取り付けられるデバイスは、マウス20以外の、情報処理装置の操作のために用いられるデバイスであってもよい。センサが取り付けられるデバイスは、例えば、情報処理装置の操作のために用いられるキーボード、ヘッドホンまたはディスプレイ等であってもよい。
【0087】
また、ここまで、動作決定部420が情報処理装置30に割り当てられたIPアドレスに基づき、マウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定する例を説明した。しかし、マウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10の特定は、割り当てられたIPアドレス以外の情報によって行われてもよい。例えば、情報処理装置30との通信の内容に基づき、情報処理装置30に割り当てられたMACアドレスおよびホスト名を抽出し、情報処理装置30が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定してもよい。また、抽出された複数の項目を組み合わせることで、情報処理装置30が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定してもよい。また、情報処理装置30が無線通信を行う場合には、無線通信の電波強度とアクセスポイントとの距離に関係性があることを利用してもよい。具体的には、情報処理装置30の接続先のアクセスポイントと通信強度の情報を取得して、情報処理装置30が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定してもよい。
【0088】
また、ここまで、空調装置10と制御装置40が異なる装置である例について説明したが、制御装置40によって取得される生体情報を取得するマウス20がある一つの区画のみに存在する場合には、空調装置10と制御装置40は一体的に構成されてもよい。
【0089】
また、ここまで、同一の区画の空気調整を行う空調装置10が一台である例を説明したが、同一の区画の空気調整を行う空調装置10が複数存在する場合に、複数の空調装置10の動作を同時に決定してもよい。また、複数の空調装置10は、それぞれ異なる種類の空調装置10であってもよい。例えば、同一の区画の空気調整を行うエアコンディショナーと加湿器の動作が同時に決定されてもよい。
【0090】
また、ここまで、マウス20によって取得された生体情報が、情報処理装置30を介して通信部410によって取得される例について説明したが、マウス20によって取得された生体情報は、マウス20から、情報処理装置30を介さずに制御装置40に送信され、通信部410によって取得されてもよい。その場合には、動作決定部420は、マウス20との通信の内容に基づき、マウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定する。
【0091】
<2.第2の実施形態>
<2-1.空調システムの概要>
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。ただし、本発明の第2の実施形態に係る空調システムが有する構成のうち、本発明の第1の実施形態に係る空調システムが有する構成と異なる構成について主に説明し、本発明の第1の実施形態に係る空調システムが有する構成と同じ構成についての詳細な説明は省略する。
【0092】
まず、本発明の第2の実施形態による空調システム2の構成を説明する。図9は、本発明の第2の実施形態による空調システム2の構成を示した説明図である。図9に示したように、空調システム2は、空調装置10、マウス20、情報処理装置30、利用者端末60、および制御装置70を備える。
【0093】
利用者端末60は、通信機能および操作表示機能を備える、顧客が所持する端末である。利用者端末60としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末が用いられてもよい。利用者端末60は、通信機能によって通信網50に接続可能であり、通信網50を介して制御装置70に各種情報を送信する。例えば、利用者端末60は、利用者によって入力された利用者情報を送信する。利用者情報は、利用者の生体情報に関する情報であってもよい。また、利用者情報は、所定の項目の中から利用者に該当する項目が利用者によって選択されることで取得されてもよい。所定の項目には、例えば、風邪の症状がある、頭痛がある、花粉症の症状がある、肌の乾燥を感じる、などの項目が含まれてもよい。また、利用者情報には、生体情報以外の情報、例えば、天気予報の情報等が含まれてもよい。
【0094】
そして、利用者情報には、利用者が存在する位置に関する情報が含まれてもよい。例えば、利用者端末60がGPS(Global Positioning System)等による位置検出機能を有し、検出された位置情報が利用者情報に含まれてもよい。また、利用者によって利用者自身が存在する区画が選択されることで取得された区画の情報が、利用者が存在する位置の情報として利用者情報に含まれてもよい。
【0095】
制御装置70は、第1の実施形態の制御装置40が備える機能と同様の機能を有する。制御装置70は、空調装置10の動作パラメータの決定を行い、通信網50を介して空調装置10に当該動作パラメータを送信することで、空調装置10の動作の制御を行う。また、制御装置70は通信網50を介して、情報処理装置30から、利用者の生体情報を取得する。さらに、制御装置70の通信部410は、利用者情報取得部の機能を有し、利用者端末60から送信された利用者情報を取得する。
【0096】
制御装置70の記憶部430は、動作決定部420による動作パラメータの決定のために用いる、利用者情報に関する条件と、当該条件が満たされた場合にどのような動作パラメータに決定するかを示す情報が格納されたデータベースを有し得る。制御装置70の動作決定部420は、記憶部430に記憶されたデータベースを参照し、取得された生体情報および利用者情報の取得の状況に基づき、空調装置10の動作パラメータを決定する。
【0097】
<2-1.利用者端末の動作>
以上、本発明の実施形態による空調システム2の概要を説明した。続いて、本発明の実施形態による利用者端末60の動作を説明する。
【0098】
図10は、本発明の実施形態による利用者端末60の動作を示すフローチャートである。まず、利用者が利用者情報を入力するためのアプリケーションが起動されると(S304)、利用者端末60の操作表示機能によって、利用者に該当する項目の選択を促す画面が表示される。利用者は、該当する項目の選択を利用者情報として入力する(S308)。利用者によって入力された利用者情報は、利用者端末60の通信機能によって、制御装置70に送信される(S312)。
<2-2.制御装置の動作>
以上、本発明の実施形態による利用者端末60の動作を説明した。続いて、本発明の実施形態による制御装置70の動作を説明する。
【0099】
なお、本動作例では、マウス20によって取得される生体情報に、生体情報項目として、血中酸素濃度が含まれるとする。また、制御装置70によって決定される空調装置10の動作状態項目としては、設定温度および換気量が含まれるとする。
【0100】
図11は、本発明の実施形態による制御装置70の動作を示すフローチャートである。
まず、通信部410は、利用者端末60から送信された利用者情報を受信する(S404)。ここでは、利用者情報には、風邪の症状があるという情報が含まれるとする。そして、通信部410は、情報処理装置30からマウス20によって取得された生体情報を受信する(S408)。
【0101】
そして、動作決定部420は、情報処理装置30との通信の内容に基づき、情報処理装置30に割り当てられたIPアドレスを抽出する。動作決定部420は、記憶部430に記憶された、情報処理装置30に割り当てられたIPアドレスと、当該情報処理装置30の存在する区画の組み合わせの情報が格納されたデータベースを参照し、情報処理装置30が存在する区間を特定する。また、ここで、マウス20が情報処理装置30の存在する区間と同一区間に存在することが特定される。そして、動作決定部420は、記憶部430に記憶された空調装置10が空気調整を行う区画の情報を参照し、マウス20が存在する区画の空気調整を行う空調装置10を特定する。
【0102】
そして、動作決定部420は、通信部410によって利用者端末60から取得した利用者情報に含まれる利用者が存在する位置の情報から、利用者端末60が存在する区間を特定する(S412)。ここでは、動作決定部420によって利用者端末60がマウス20と同一区画に存在することが特定されたとする。
【0103】
S416の生体情報と過去の生体情報の統計情報との比較の動作と、S420の現在の動作パラメータの取得の動作は、第1の実施形態のS212とS216の動作と実質的に同様であるため、説明は省略する。
【0104】
次に、動作決定部420は、記憶部430に記憶されたデータベースを参照し、利用者端末60から取得された利用者情報、S416にて取得された比較結果、およびS424にて取得された現在の動作パラメータに基づき、空調装置10の動作パラメータを決定する。ここで記憶部430に記憶されたデータベースに、利用者情報に風邪の症状があるという情報が含まれた場合、空調装置10の設定温度を27.0(℃)に決定することを示す情報が記憶されているとする。この場合、動作決定部420は、動作決定部420は、利用者端末60から取得された利用者情報に基づいて、空調装置10の設定温度を27.0(℃)に決定する(S424)。
【0105】
記憶部430に記憶されたデータベースを参照し、S416にて取得された比較結果およびS424にて取得された現在の動作パラメータに基づき、空調装置10の動作パラメータを決定する動作は、第1の実施形態のS220の動作と実質的に同様であるため、説明は省略する。
【0106】
S428の動作パラメータの記憶の動作とS432の動作パラメータの送信の動作は、第1の実施形態のS224とS228の動作と実質的に同様であるため、説明は省略する。
【0107】
通信部410により、マウス20から生体情報が取得された時、または利用者端末60から利用者情報が取得された時のいずれか遅い時から一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報または利用者情報が取得されない場合(S436/No)、動作決定部420は、空調装置10の停止を決定する(S440)。そして、通信部410は、動作決定部420によって決定された動作パラメータを空調装置10に送信する(S444)。
【0108】
また、通信部410によりマウス20から生体情報が取得されてから一定時間が経過するまでの間に新たな生体情報または利用者情報が取得された場合には(S436/Yes)、制御装置70は、S412~S432の動作を再び行う。ここで、生体情報または利用者情報のどちらか一方の情報のみが取得された場合には、動作決定部420は、取得された情報および空調装置10の現在の動作パラメータのみに基づいて動作パラメータを決定してもよい。また、動作決定部420は、取得された一方の情報、空調装置10の現在の動作パラメータおよび最後に取得されたもう一方の情報を用いて動作パラメータを決定してもよい。
【0109】
なお、ここまで、利用者端末60から取得された利用者情報に基づいて一つの動作項目に対する動作パラメータが決定され、マウス20によって取得された生体情報に基づいて別の動作項目に対する動作パラメータが決定される例を説明した。しかし、動作決定部420は、利用者端末60から取得された利用者情報およびマウス20によって取得された生体情報の双方に基づいて、一つの動作項目に対する動作パラメータを決定してもよい。その場合には、記憶部430は、動作決定部420による動作パラメータの決定のために用いる、生体情報に関する値と、利用者情報に含まれる情報と、決定される動作パラメータに関する値との組み合わせが格納されたデータベースを有し得る。
【0110】
以上説明した第2の実施形態によれば、動作決定部420は、利用者端末60によって送信された利用者情報に基づいて空調装置10の動作を決定することが可能である。マウス20に取り付けられたセンサによって測定できない情報を取得できるため、動作決定部420は、空調装置10の動作を、より利用者の状態に適した動作に決定することが可能である。
【0111】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0112】
また、コンピュータに内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、制御装置40または制御装置70の機能を発揮させるための1以上のコンピュータプログラムも作成可能である。
【符号の説明】
【0113】
1,2 空調システム
10 空調装置
20 マウス
30 情報処理装置
40,70 制御装置
50 通信網
60 利用者端末
210 通信部
220 生体情報取得部
230 動作検出部
240 制御部
410 通信部
420 動作決定部
430 記憶部
440 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11