(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143105
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ノイズ除去装置、ノイズ除去プログラム、及びノイズ除去方法
(51)【国際特許分類】
G10L 21/0216 20130101AFI20230928BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230928BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G10L21/0216
G06F3/041 522
G06F3/03 400Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050310
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】598030847
【氏名又は名称】さつき株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡野 章廣
(57)【要約】
【課題】ノイズ除去のためのシステムにおいて、よりいっそう適切にタッチペンとタッチスクリーンとの接触に伴うノイズの除去を行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置であって、タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化する制御部を備え、制御部は、ノイズ除去機能の活性化に応じて、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる衝突音をノイズ音として除去する、ノイズ除去装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置であって、
前記タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、前記接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化する制御部を備え、
前記制御部は、前記ノイズ除去機能の活性化に応じて、前記集音装置によって集音される音から、前記接触によって生じる衝突音を前記ノイズ音として除去する、ノイズ除去装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記接触の検知から一定時間が経過した場合に、前記ノイズ除去機能を非活性化する、請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記接触に伴う圧力が第1閾値未満である場合に、前記ノイズ除去機能を活性化せずに、前記接触に伴う圧力が前記第1閾値以上である場合に、前記ノイズ除去機能を活性化する、請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記接触が継続している場合に、前記ノイズ除去機能を非活性化せずに、前記集音装置によって集音される音から、前記接触によって生じる摩擦音を前記ノイズ音として除去する、請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記接触に伴う圧力が第2閾値未満である場合に、前記ノイズ除去機能を活性化せずに、前記接触に伴う圧力が前記第2閾値以上である場合に、前記ノイズ除去機能を活性化する、請求項4に記載のノイズ除去装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記接触が継続している場合に、前記タッチスクリーン上における前記タッチペンの移動速度が第3閾値未満である場合に、前記ノイズ除去機能を活性化せずに、前記移動速度が前記第3閾値以上である場合に、前記ノイズ除去機能を活性化する、請求項4に記載のノイズ除去装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、
前記ノイズ音に含まれる周波数のうち、人の声成分に該当する帯域を増幅した音を出力する、請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項8】
タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置が備えるプロセッサによって実行されるノイズ除去プログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、前記接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化するステップと、
前記ノイズ除去機能の活性化に応じて、前記集音装置によって集音される音から、前記接触によって生じる衝突音を前記ノイズ音として除去するステップと、を実行させる、ノイズ除去プログラム。
【請求項9】
タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置が備えるプロセッサによって実行されるノイズ除去方法であって、前記方法は、前記プロセッサが、
前記タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、前記接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化するステップと、
前記ノイズ除去機能の活性化に応じて、前記集音装置によって集音される音から、前記接触によって生じる衝突音を前記ノイズ音として除去するステップと、を実行する、ノイズ除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モニタ装置、プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キーストロークの過渡音を除去、抑制するシステムが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の入力センサから、1つ以上のソースから取得される入力オーディオ信号を受信する工程であって、オーディオ信号は、入力センサによって取得される音声データおよび過渡ノイズを含む工程と、参照センサから、過渡ノイズに関するデータを含む参照信号を受信する工程であって、参照センサは入力センサとは別個に設置された工程と、参照信号に含まれるデータに基づいて、オーディオ信号から過渡ノイズを選択的にフィルタリングして音声データを抽出する工程と、抽出された音声データを含む強調されたオーディオ信号を出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、入力センサによって取得された音声データおよび過渡ノイズから、過渡ノイズを選択的にフィルタリングするする技術が記載されている。しかし、特許文献1の技術は、入力センサにより取得した音声およびノイズに対し特定の処理を行う。しかし、特許文献1の技術では、過渡ノイズを取得することをトリガーにノイズ除去を行うため、過渡ノイズに近い帯域の音も除去してしまうおそれがある。そのため、例えば、ユーザがタッチスクリーンを備えた端末装置にタッチペンを用いて描画する場合など、頻繁にノイズ音が発生する状況では、必要な音も除去してしまい、タッチペンとタッチスクリーンとの接触に伴うノイズを適切に除去できないおそれがある。
【0006】
そこで、本開示では、ノイズ除去のためのシステムにおいて、よりいっそう適切にタッチペンとタッチスクリーンとの接触に伴うノイズ音の除去を行うことを可能にする技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によると、タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置であって、タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化する制御部を備え、制御部は、ノイズ除去機能の活性化に応じて、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる衝突音をノイズ音として除去する、ノイズ除去装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ノイズ除去のためのシステムにおいて、よりいっそう適切にタッチペンとタッチスクリーンとの接触に伴うノイズ音の除去を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1のノイズ除去システム1におけるモニタ装置100の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1のノイズ除去システム1を構成するモニタ装置100の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1のノイズ除去システムにおいて、モニタ装置100の記憶部160が記憶する接触音データベース1601のデータ構造の例を示す図である。
【
図4】実施の形態1のノイズ除去システム1による、ノイズ除去処理の動作例1である。
【
図5】実施の形態1のノイズ除去システム1による、ノイズ除去処理の動作例2である。
【
図6】実施の形態1のノイズ除去システム1による、ノイズ除去処理の動作例3である。
【
図7】実施の形態1のノイズ除去システム1による、ノイズ除去処理の動作例4である。
【
図8】実施の形態1のノイズ除去システム1による、ノイズ除去処理の動作例5である。
【
図9】第2の実施の形態における、ノイズ除去システム1の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<概要>
以下、本開示に係るノイズ除去システムについて説明する。このノイズ除去システムは、モニタ装置が備える集音装置により集音した外音から、タッチペンとタッチスクリーンとの接触に伴うノイズ音(接触音)を除去し、出力するためのシステムである。ここで、外音は、集音装置の周囲にいるユーザの音声、環境音、上述の接触音等のノイズ音等を含む音である。
昨今、タッチペンを利用してタッチスクリーン上に描画しながら会議、授業等を行うことが浸透してきている。
しかし、上記の状況において、従来のノイズ除去システムでは、タッチペンとタッチスクリーンとが接触しているか否かによらず、ノイズ除去機能のON/OFFにより一律にノイズ音を除去してしまう。そのため、上記のような場面において、タッチペンによりタッチスクリーン上に描画することに伴い発生するノイズ音のみを正確に除去することが難しく、必要な音声まで除去し、音声が劣化してしまうおそれがある。また、常にノイズ音の除去を行ってしまうと、コンピュータへの負荷も大きくなってしまうおそれがある。
そこで、本開示では、タッチペンとタッチスクリーンとの接触に伴い発生するノイズ音を適切に除去する技術を提供する。
【0012】
そこで、本開示に係るノイズ除去システムは、タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置であって、タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化する制御部を備え、制御部は、ノイズ除去機能の活性化に応じて、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる衝突音をノイズ音として除去する、ノイズ除去装置を提供する。
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、ノイズ除去システム1について説明する。以下の説明では、例えば、モニタ装置100は、集音装置102を介して外部の音を取得しつつ、ユーザから、タッチペン20等を用いてタッチスクリーン101上に文字を書く等の行為を受け付ける。モニタ装置100は、タッチスクリーン101に当該描画された文字等の情報を生成する。モニタ装置100は、取得した外部の音から、タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触することに伴い発生するノイズ音(接触音)を除去し、当該接触音を除去した音を、出力装置103を介して出力する。
【0014】
ここで、本開示にて言及されるノイズ音の定義について説明する。
本開示において取り扱うノイズ音は、タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触する際に生じる接触音であり、衝突音と摩擦音とに大別される。
本開示におけるノイズ除去システムは、上述したノイズ音を除去の対象として扱う。
衝突音は、例えば、「コツコツ」という、タッチスクリーン101へのタッチペン20の衝突によって生じる音である。
摩擦音は、例えば、「キュキュ」という、タッチスクリーン101上におけるタッチペン20の摩擦によって生じる音である。モニタ装置100は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力等の値を取得することで、上記のいずれかに対応したノイズ除去の処理を実行する。
【0015】
<1 ノイズ除去システム1におけるモニタ装置100の構成>
図1は、ノイズ除去システム1におけるモニタ装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、モニタ装置100は、タッチスクリーン101、集音装置102、出力装置103、タッチペン20とで構成される。
【0016】
タッチスクリーン101の種類は限定されない。タッチスクリーン101は、既存の電磁誘導センサを備えたタッチスクリーンでよいし、他にも、静電容量方式センサ、感圧式センサを備えたタッチスクリーンでも良い。
タッチスクリーン101は、圧力センサを備えており、ユーザがタッチスクリーン101に描画した際に生じる圧力を検知する。
【0017】
集音装置102は、例えば、外部からの音(上記に定義した通り、周囲の音声、環境音、ノイズ音を含む音)を集音するマイクであり、無指向性でも指向性を有するものでも良い。
【0018】
出力装置103は、モニタ装置100から出力される音声を外部に出力するための装置であり、スピーカー等の装置である。
【0019】
タッチペン20は、ユーザがタッチスクリーン101に文字や図形等を筆記・描画するためのペン(例えば、スタイラスペン)であり、タッチペン20のペン先がタッチスクリーン101に触れることにより生じた電流の変化をモニタ装置100が検知することで、ペン先の接触位置を検出し、文字等をタッチスクリーン101上に描写する。
【0020】
<2 モニタ装置100の機能ブロック図>
図2は、本開示におけるモニタ装置100の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、モニタ装置100は、制御部(プロセッサ)150と、記憶部160と、を備えている。
【0021】
制御部150は、モニタ装置が各機能を実行するための装置であり、各種機能を発揮するための各種モジュールを備える。
例えば、制御部150は、モニタ装置が各種機能を実行するための機能構成として、外音取得モジュール1501、入力操作受付モジュール1502、条件判定モジュール1503、ノイズ除去実行モジュール1504、処理音出力モジュール1505と、を備える。各種モジュールの詳細については後述する。
【0022】
記憶部160は、モニタ装置100が、本発明の機能であるタッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生するノイズ音を除去する際に使用される各種データを保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0023】
以下、制御部150を構成する各種モジュールの詳細について記載する。
【0024】
外音取得モジュール1501は、
図1において説明した集音装置102を介して、モニタ装置100の周囲の音を取得する処理を制御する。具体的には、例えば、外音取得モジュール1501は、モニタ装置100の周囲で発言をしている人の声、環境音、タッチペン20によりタッチスクリーン101に文字や図形等を描画する際に発生するノイズ音(接触音)を、集音装置102を介して取得する。実施の形態1では、集音装置102は、モニタ装置100に備えられており、外音取得モジュール1501は、当該集音装置102を介して外音を取得する。
【0025】
入力操作受付モジュール1502は、モニタ装置100に対するユーザの各種入力操作を受け付ける処理を制御する。ユーザの入力操作とは、例えば、タッチペン20を用いたタッチスクリーン101上への文字・図形の描画、スクリーンキーボード(図示せず)、外部のキーボード(図示せず)等を用いたタッチスクリーン101への文字入力等の操作を示す。
入力操作受付モジュール1502は、
図1において説明したタッチスクリーン101とタッチペン20との接触を検知することにより、ユーザからの入力操作を受け付ける。具体的に、入力操作受付モジュール1502は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い生じる接触信号を取得する処理を制御する。接触信号とは、例えば、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴う電位の変化であり、モニタ装置100は、当該接触信号を取得することにより、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触を検知する。このほか、入力操作受付モジュール1502は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴う圧力の情報等を取得してもよい。
モニタ装置100は、入力操作受付モジュール1502が取得する接触信号をトリガーとして、タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触することにより発生するノイズ音(接触音)を除去する。
入力操作受付モジュール1502は、上記取得した接触信号を、条件判定モジュール1503に送信する。
【0026】
条件判定モジュール1503は、入力操作受付モジュール1502により受け付けた各種信号が、ノイズ除去の条件にあるか否かを判定する処理を制御する。具体的には、例えば、条件判定モジュール1503は、入力操作受付モジュール1502により取得された、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴う下記の条件がノイズ除去の条件に入るか否かを判定する。
・タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号
・タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力
・タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触した状態におけるタッチペン20の移動速度
他にも、条件判定モジュール1503は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号を取得してから所定の時間が経過したか否かを判定してもよい。
【0027】
ノイズ除去実行モジュール1504は、ノイズ除去機能の活性化に応じて、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる衝突音をノイズ音として除去する処理を制御する。具体的には、ノイズ除去実行モジュール1504は、入力操作受付モジュール1502から取得した接触信号等をトリガーとして、条件判定モジュール1503によりノイズ除去の条件であると判定された場合に、モニタ装置100の機能であるノイズ除去機能を活性化することで、ノイズ除去の処理を実行する。例えば、モニタ装置100は、入力操作受付モジュール1502により、タッチペン20を使用するユーザから、タッチスクリーン101に対する描画を受け付ける。その後、モニタ装置100は、条件判定モジュール1503により、当該受け付けた描画に含まれる接触信号等に基づいて、ノイズ除去実施の条件となるか否かを判定する。その後、ノイズ除去実行モジュール1504は、外音取得モジュール1501が取得した、周囲の音声、ノイズ音等を含んだ外音から、上述したノイズ音(接触音)を除去する処理を実行する処理を制御する。
ここで、ノイズ除去の処理の具体例について説明する。
ノイズ除去の処理は、取得した接触信号をトリガーとして、後述する接触音データベース1601を参照してノイズ除去を実行する。
ノイズ除去の方法は、接触音データベース1601に保持されている音データの正位相の波長を減算処理することでも良いし、逆位相の波長を生成し、合成することでもよい。
ノイズ除去実行モジュール1504は、ノイズ除去を実行した音を、処理音出力モジュール1505に送信する。
【0028】
ある局面において、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触の検知から一定時間が経過した場合に、ノイズ除去機能を非活性化する処理を制御してもよい。具体的には、ノイズ除去実行モジュール1504は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号を取得したのち、予め設定された所定の時間が経過すると、ノイズ除去の機能を非活性化し、集音装置102から取得した外音を、ノイズ除去の処理を施さずに出力してもよい。このとき、所定の時間は、例えば、「タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触してから**msec」等とユーザに設定された時間でもよいし、後述する接触音データベース1601に格納されている衝突音の処理時間であってもよい。例えば、ノイズ除去実行モジュール1504は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴う接触信号を取得した後、当該接触の継続時間が一定時間を経過すると、ノイズ除去の機能を非活性化する。他にも、ノイズ除去実行モジュール1504は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴いノイズ除去を実行する際に、設定されたノイズ除去時間を超過した場合も、ノイズ除去の機能を非活性化してもよい。
【0029】
ある局面において、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触に伴う圧力が第1閾値未満である場合に、ノイズ除去機能を活性化せずに、接触に伴う圧力が第1閾値以上である場合に、ノイズ除去機能を活性化してもよい。具体的には、ノイズ除去実行モジュール1504は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力を取得した際、当該圧力が予め設定された閾値(第1閾値)よりも小さい場合には、ノイズ除去の機能を非活性化し、当該圧力が第1閾値以上である場合に、ノイズ除去の機能を活性化させてもよい。例えば、ノイズ除去実行モジュール1504は、連続的にタッチペン20とタッチスクリーン101とが接触する場面において、第1の接触における圧力が第1閾値未満である場合にはノイズ除去の機能を活性化させず(すなわち、ノイズ除去しない)、第2の接触における圧力が第1閾値以上である場合には、ノイズ除去の機能を活性化させてもよい。
【0030】
ある局面において、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触が継続している場合に、ノイズ除去機能を非活性化せずに、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる摩擦音をノイズ音として除去してもよい。具体的には、ノイズ除去実行モジュール1504は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触信号を継続して取得している場合には、ノイズ除去の機能を非活性化せず、接触音に含まれる摩擦音をノイズ音として外音から除去してもよい。例えば、モニタ装置100が、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴う接触信号を、パルス信号等により連続的に取得している場合等に、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触音のうち、摩擦音を除去するためのノイズ除去機能を活性化させてもよい。
【0031】
ある局面において、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触に伴う圧力が第2閾値未満である場合に、ノイズ除去機能を活性化せずに、接触に伴う圧力が第2閾値以上である場合に、ノイズ除去機能を活性化してもよい。具体的には、ノイズ除去実行モジュール1504は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力を取得した際、当該圧力が前述の第1閾値とは異なる閾値(第2閾値)未満である場合に、ノイズ除去の機能を活性化させず、当該圧力が第2閾値以上である場合に、ノイズ除去の機能を活性化させてもよい。例えば、ノイズ除去実行モジュール1504は、摩擦音を除去するトリガーとしての閾値として、第1閾値よりも小さい閾値として第2閾値を設定しており、当該第2閾値の超過により、接触音のうちの摩擦音のみを除去するよう、ノイズ除去の機能を活性化させてもよい。
【0032】
ある局面において、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触が継続している場合に、タッチスクリーン上におけるタッチペンの移動速度が第3閾値未満である場合に、ノイズ除去機能を活性化せずに、移動速度が第3閾値以上である場合に、ノイズ除去機能を活性化してもよい。具体的には、ノイズ除去実行モジュール1504は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴う信号を継続的に取得している時に、タッチペン20がタッチスクリーン101上を移動する速度が予め設定された値(第3閾値)未満である場合には、ノイズ除去の機能を活性化させずに、当該移動速度が第3閾値以上であった場合に、ノイズ除去の機能を活性化させてもよい。例えば、モニタ装置100は、タッチペン20がタッチスクリーン101に接触した際の座標の情報(例えば、第1の座標)を取得し、タッチペン20が当該座標から異なる座標(例えば、第2の座標)に移動した際に、当該移動距離と移動に要した時間から、タッチペン20の移動速度を算出する。ノイズ除去実行モジュール1504は、当該移動速度が第3の閾値以上であった場合に、接触音のうち、例えば、摩擦音を除去するためのノイズ除去機能を活性化させてもよい。
【0033】
処理音出力モジュール1505は、ノイズ除去実行モジュール1504によりノイズ除去された音を出力装置103から出力する処理を制御する。
具体的には、例えば、処理音出力モジュール1505は、ノイズ除去実行モジュール1504によりノイズ除去された音を出力装置103等に出力する。
上記一連の流れにより、ユーザはタッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生するノイズ音(接触音)を除去した音を聞くことが可能になる。
【0034】
<3 データ構造>
図3は、ノイズ除去実行モジュール1504がノイズ除去の処理を実行する際に参照する接触音データベース1601のデータ構造の例を示す図である。
【0035】
接触音データベース1601は、ユーザが使用するタッチペンの接触音(衝突音および摩擦音)をデータとして保持しており、ノイズ除去の処理を実行する時に、ノイズ除去実行モジュール1504によって参照されるデータベースである。
データ保持の具体的な方法としては、例えば、複数種類のタッチペンの接触音をプリセットとして外部から取得してもよいし、集音装置102を介して、タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触した際の音、例えば、衝突音、摩擦音をそれぞれ取得することにより保持してもよい。集音装置102を介して接触音のデータを取得する方法としては、例えば、防音室においてタッチペン20によりタッチスクリーン101上で文字・図形などを描画する音を収録することで取得されてもよい。例えば、衝突音の録音では、モニタ装置100の制御部150は、ユーザがタッチペン20を用いてタッチスクリーン101上で「コツコツ」という音が生じる描画(例えば、タッチスクリーン101をつつくような描画)をした際の音を取得する。このようにして、モニタ装置100の制御部150は、接触音データベース1601に接触音の除去に用いる音を格納する。
【0036】
図3に示すように、接触音データベース1601のレコードのそれぞれは、項目「ID」と、「目「接触音種別」と、項目「除去トリガー」と、項目「処理時間」と、項目「接触音データ」と、項目「備考」等を含む。
【0037】
項目「ID」は、ノイズ除去システム1にて管理する、ノイズ除去実行モジュール1504によってノイズ除去時に参照される接触音のそれぞれを識別する情報である。
【0038】
項目「接触音種別」は、ノイズ除去システム1にて管理する、各種保持されている接触音が、衝突音と摩擦音のどちらに属するのかを識別する情報である。
【0039】
項目「除去トリガー」は、ノイズ除去システム1にて管理する、ノイズ除去実行モジュール1504が各種ノイズ音(接触音)を除去する際のトリガーとなる条件を識別する情報である。
【0040】
項目「処理時間」は、ノイズ除去実行モジュール1504がノイズ除去の処理を実行する際の処理時間を示す情報である。ノイズ除去実行モジュール1504は、例えば、発生した衝突音の逆位相の波長を取得した外音と当該処理時間の期間のみ合成することで、ノイズ除去の処理を実行する。
【0041】
項目「接触音データ」は、ノイズ除去システム1にて管理する、ノイズ除去実行モジュール1504によってノイズ除去時に参照される接触音のデータを識別する情報である。このとき、保持される接触音データの形式は限定されない。
【0042】
項目「備考」は、ノイズ除去システム1にて管理する接触音データに関して、特記事項などがある場合に保持される情報である。
【0043】
<4 動作>
以下、
図4~
図8を参照しながら、第1の実施の形態におけるノイズ除去システム1によるノイズ除去の処理フローについて説明する。
【0044】
図4は、本開示におけるノイズ除去処理の動作例1である。
【0045】
ステップS401において、モニタ装置100の制御部150は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号を取得する。具体的には、入力操作受付モジュール1502は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号を取得する。
【0046】
ステップS402において、モニタ装置100の制御部150は、取得した接触信号に基づいて、ノイズ除去の機能を活性化する。具体的には、モニタ装置100の制御部150は、ノイズ除去実行モジュール1504によるノイズ除去の機能を活性化する。
【0047】
ステップS403において、モニタ装置100の制御部150は、外音から衝突音を除去する処理を実行する。具体的には、例えば、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触音データベース1601を参照し、外音取得モジュール1501により取得した外音から、衝突音に相当するノイズ除去の処理を実行する。
【0048】
ステップS404において、モニタ装置100の制御部150は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触信号を取得してから、所定の時間が経過したか否かを判定する。具体的には、例えば、条件判定モジュール1503は、入力操作受付モジュール1502がタッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号を取得した後、予め設定された時間が経過したか否かを判定する。例えば、条件判定モジュール1503は、入力操作受付モジュール1502がタッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号を取得した後、「タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触してから**msec」等とユーザに設定された時間が経過したかを判定しても良いし、ノイズ除去実行モジュール1504が実行するノイズ除去の処理時間が経過したか否かを判定してもよい。
このとき、モニタ装置100の制御部150は、所定の時間が経過した場合には、後述するステップS405の処理を実行し、所定の時間が経過していない場合には、ステップS403の処理に戻ってもよい。
【0049】
ステップS405において、モニタ装置100の制御部150は、ノイズ除去機能を非活性化する。
【0050】
これにより、モニタ装置100は、取得した接触信号に基づいて、外音から衝突音を除去することができる。
【0051】
図5は、本開示におけるノイズ除去処理の動作例2である。
図4では、接触音に含まれる衝突音のみを除去する動作について説明したが、
図5では、上述の衝突音に加え、摩擦音を除去する動作について説明する。
【0052】
ステップS501~ステップS503において、モニタ装置100の制御部150は、
図4におけるステップS401~ステップS403と同様の処理を実行する。
【0053】
ステップS504において、モニタ装置100の制御部150は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続しているか否かを判定する。
具体的には、例えば、条件判定モジュール1503は、入力操作受付モジュール1502が、タッチペン20とタッチスクリーン101とが接触することに伴う接触信号を継続的に取得していると判定することで、当該タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続していると判定する。
このとき、モニタ装置100の制御部150は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続している場合には、後述するステップS505の処理を実行し、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続していない場合には、後述するステップS506の処理を実行する。
【0054】
ステップS505において、モニタ装置100の制御部150は、接触音のうち、摩擦音を除去する処理を実行する。具体的には、例えば、ノイズ除去実行モジュール1504は、接触音データベース1601を参照し、外音取得モジュール1501により取得した外音から、摩擦音に相当するノイズ除去の処理を実行する。モニタ装置100の制御部150は、摩擦音の除去を実行後、再びステップS504の処理を実行してもよい。
【0055】
ステップS506において、モニタ装置100の制御部150は、ノイズ除去の機能を非活性化する。
【0056】
これにより、モニタ装置100は、接触音のうち、衝突音および摩擦音を適切に除去することができる。
【0057】
図6は、本開示おけるノイズ除去処理の動作例3である。
図4では、接触音に含まれる衝突音をタッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号に基づいて除去する動作について説明したが、
図6では、上述の接触信号に加え、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力に基づいて衝突音を除去する動作について説明する。
【0058】
ステップS601において、モニタ装置100の制御部150は、
図5におけるステップS501等と同様に、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴う接触信号を取得する。
【0059】
ステップS602において、モニタ装置100の制御部150は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力の値が所定の閾値(第1閾値)以上であるか否かを判定する。
具体的には、例えば、制御部150は、入力操作受付モジュール1502によりタッチペン20とタッチスクリーン101とが接触することに伴い発生する圧力の値を取得し、条件判定モジュール1503により、当該圧力が予め設定されている圧力の値以上か否かを判定する。
このとき、モニタ装置100の制御部150は、圧力が所定の圧力(第1閾値)以上である場合には、後述するステップS603の処理を実行し、圧力が所定の圧力未満である場合には、ステップS601の処理に戻ってもよい。
【0060】
ステップS603において、モニタ装置100の制御部150は、取得した接触信号、および判定した圧力の判定結果に応答して、ノイズ除去の機能を活性化する。
【0061】
ステップS604において、モニタ装置100の制御部150は、外音から衝突音を除去する処理を実行する。
【0062】
ある局面において、モニタ装置100の制御部150は、衝突音の除去処理において、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号を取得してから所定の時間が経過したか否かを判定しのノイズ除去機能を非活性化するステップを実行してもよい。例えば、モニタ装置100の制御部150は、ステップS604の後において、
図4におけるステップS404およびS405と同様の処理を実行してもよい。
【0063】
これにより、モニタ装置100は、接触信号だけでなく、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力に基づいて、適切に衝突音を除去することができる。
【0064】
図7は、本開示におけるノイズ除去処理の動作例4である。
図5では、接触音に含まれる衝突音および摩擦音を、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号に基づいて除去する動作について説明したが、
図7では、上述の接触信号に加え、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力に基づいて衝突音および摩擦音を除去する動作について説明する。
【0065】
ステップS701~ステップS704において、モニタ装置100の制御部150は、
図5におけるステップS501~ステップS504と同様の処理を実行する。
このとき、モニタ装置100の制御部150は、ステップS704において、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続している場合には、後述するステップS705の処理を実行し、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続していない場合には、後述するステップS707の処理を実行する。
【0066】
ステップS705において、モニタ装置100の制御部150は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力の値が所定の閾値(第2閾値)以上であるか否かを判定する。
具体的には、例えば、制御部150は、入力操作受付モジュール1502によりタッチペン20とタッチスクリーン101とが接触することに伴い発生する圧力の値を取得し、条件判定モジュール1503により当該圧力が予め設定されている圧力の値以上か否かを判定する。
このとき、モニタ装置100の制御部150は、圧力が所定の圧力(第2閾値)以上である場合には、後述するステップS706の処理を実行し、圧力が所定の圧力未満である場合には、ステップS707の処理を実行してもよい。
【0067】
ある局面において、モニタ装置100の制御部150は、衝突音の除去処理において、圧力を取得し衝突音の除去トリガーとするステップを実行してもよい。例えば、モニタ装置100の制御部150は、ステップS701とステップS702との間において、
図6におけるステップS602と同様の処理を実行してもよい。
【0068】
ここで、圧力の第1閾値と第2閾値の大小は、例えば、第1閾値の方が第2閾値よりも大きい値であってよい。すなわち、衝突音を除去する際のトリガーとなる圧力の値は、摩擦音を除去する際のトリガーとなる圧力の値よりも大きくてよい。
しかし、上記第1閾値と第2閾値の関係は限定されない。例えば、第1閾値と第2閾値の値は同じであってもよいし、第1閾値よりも第2閾値の方が、値が大きくてもよい。
これにより、例えば、モニタ装置100は、常に衝突音と摩擦音とを同時に除去するように処理してもよいし、衝突音は除去せずに、摩擦音だけを除去する処理を行ってもよい。
【0069】
ステップS706において、モニタ装置100の制御部150は、
図5におけるステップS505と同様の処理を実行する。
【0070】
ステップS707において、モニタ装置100の制御部150は、ノイズ除去の機能を非活性化する。
【0071】
これにより、モニタ装置100は、衝突音および摩擦音を適切に除去することができる。
【0072】
図8は、本開示におけるノイズ除去処理の動作例5である。
図5では、接触音に含まれる衝突音および摩擦音を、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する接触信号に基づいて除去する動作について説明したが、
図8では、上述の接触信号に加え、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続された状態におけるタッチペン20の移動速度に基づいて衝突音および摩擦音を除去する動作について説明する。
【0073】
ステップS801~ステップS804において、モニタ装置100の制御部150は、
図7におけるステップS701~ステップS704と同様の処理を実行する。
このとき、モニタ装置100の制御部150は、ステップS804において、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続している場合には、後述するステップS805の処理を実行し、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続していない場合には、後述するステップS807の処理を実行する。
【0074】
ステップS805において、モニタ装置100の制御部150は、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触が継続している場合の、タッチペン20の移動速度の値が所定の閾値(第3閾値)以上であるか否かを判定する。
具体的には、例えば、制御部150は、入力操作受付モジュール1502によりタッチペン20とタッチスクリーン101とが接触した際の、タッチスクリーン101上の座標の情報を取得し、条件判定モジュール1503により、当該座標の移動距離と、移動に要した時間とから、移動速度を算出する。条件判定モジュール1503は、当該移動速度が予め設定されている移動速度の値以上か否かを判定する。
このとき、モニタ装置100の制御部150は、移動速度が所定の移動速度(第3閾値)以上である場合には、後述するステップS806の処理を実行し、移動速度が所定の移動速度未満である場合には、ステップS807の処理を実行してもよい。
【0075】
ステップS806において、モニタ装置100の制御部150は、
図7におけるステップS706等と同様の処理を実行する。
【0076】
ステップS807において、モニタ装置100の制御部150は、ノイズ除去の機能を非活性化する。
【0077】
これにより、モニタ装置100は、衝突音および摩擦音を、タッチペン20の移動速度を加味しながら適切に除去することができる。
【0078】
ある局面において、モニタ装置100の制御部150は、衝突音および摩擦音を、
図8のように移動速度を加味しながら除去する処理において、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生する圧力を取得し、衝突音および摩擦音の除去トリガーとするステップを実行してもよい。例えば、モニタ装置100の制御部150は、ステップS801とステップS802との間において、
図6におけるステップS602と同様の処理を実行してもよい。加えて、モニタ装置100の制御部150は、ステップS804~ステップS806の処理を実行する間に、
図7におけるステップS705と同様の処理を実行してもよい。
【0079】
ある局面において、モニタ装置100の制御部150は、ノイズ音に含まれる周波数のうち、人の声成分に該当する帯域を増幅した音を出力してもよい。具体的には、例えば、モニタ装置100の制御部150は、音声補完モジュール(図示せず)を備え、ノイズ音を除去した音に含まれる周波数のうち、人の声成分に該当する帯域を増幅した音を出力してもよい。
このとき、モニタ装置100は、記憶部160に、人の声成分の周波数の帯域(100~2000Hz)のデータをデータベースとして保持していてもよい(図示せず)。
モニタ装置100の制御部150は、ノイズ除去の処理を実行後、人の声成分の周波数の帯域のみを増幅する処理を実施することで、ノイズ除去により減衰された声成分を補完することができる。
【0080】
<5 変形例>
<5.1 ノイズ除去システム1の第2の実施の形態>
これまで、ノイズ除去システムの構成として、モニタ装置100が各種機能を実行する例を説明した。
以下の例では、モニタ装置100の他に、サーバ200、端末装置10等とで構成されるノイズ除去システム1の構成について説明する。
【0081】
図9は、第2の実施の形態における、ノイズ除去システム1の構成を示す図である。
図9において、ノイズ除去システム1は、モニタ装置100、サーバ200、端末装置10で構成される。それぞれの装置は、ネットワーク80により接続される。他の装置との接続において、端末装置10は、通信部(図示せず)を備え、ネットワーク80と有線、または無線により接続される。有線、および無線の規格については限定されない。
ここでは図示しないが、サーバ200は、モニタ装置100と同様の各種機能構成(制御部およびそれを構成する各種モジュール、記憶部および接触音データベース)を備えていてよい。
【0082】
モニタ装置100は集音装置102を介して集音した音声を、実施の形態1と同様の処理により、ノイズ除去の処理を実行する。モニタ装置100は、ノイズ除去した音声を、ネットワーク80を通じ、サーバ200に送信する。
サーバ200は、ネットワーク80を介し、例えば、遠隔会議、通話先のユーザが使用する端末装置10にノイズ除去済みの音声を送信する。
端末装置10は、出力装置(図示せず)から当該音声を出力する。
ネットワーク80を通じて遠隔地とリモート通話をするなどの場面では、タッチペン20とタッチスクリーン101との接触に伴い発生するノイズ音(接触音)が大きく聞こえてしまい、通話先の相手を不快にさせてしまうおそれがある。本開示における技術により、通話先の相手に聞こえるノイズ音を適切に除去することができるため、遠隔地との通話においても、相手を不快にさせることを防ぐことができる。
【0083】
<5.2 ノイズ除去システム1の第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、第2の実施の形態にて説明した構成の変形例について説明する。
【0084】
第3の実施の形態では、ノイズ除去の一連の処理をサーバ200が実行する。具体的には、例えば、モニタ装置100は、集音装置102で取得した音声を、ネットワーク80を介しサーバ200に送信する。
その後、サーバ200は、実施の形態1におけるモニタ装置100と同等の処理により、ノイズ除去(取得した音から接触音を除去する処理)を実行する。
サーバ200は、ネットワーク80を介し、例えば、遠隔会議、通話先のユーザが使用する端末装置10にノイズ除去済みの音声を送信する。
端末装置10は、出力装置(図示せず)から当該音声を出力する。
サーバにおいて音声を除去することにより、モニタ装置100の処理負荷を軽減することができる。
【0085】
<5.3 その他の変形例>
本開示において、集音装置102、および出力装置103は、モニタ装置100に備えられている場合で説明したが、当該装置は、モニタ装置100に備えられていなくてもよい。
例えば、会議用の外部集音マイク、外部スピーカー等であってもよい。
【0086】
また、ある局面において、集音装置102が外部接続のマイク等である場合、集音装置102からモニタ装置100に音声を送信する途中に、ノイズ除去用のユニット(図示せず)を備えていてもよい。ノイズ除去用のユニットは、制御部、記憶部等を備えており、モニタ装置100、サーバ200と同様のノイズ除去の処理を実行してもよい。
その場合、集音装置102にて音声を取得した後、当該ユニットにてノイズ除去を実行し、モニタ装置100に送信する。
モニタ装置100は、取得した音声を、ネットワーク80を介してサーバ200に送信し、サーバ200は、ネットワーク80を介し端末装置10に送信してもよい。
これにより、ノイズ処理における処理負荷を分散、軽減することができる。また、モニタ装置100にノイズ除去の機能が備わっておらずとも、接触音を除去した音声を出力することができる。
【0087】
このほか、ある局面において、モニタ装置100は、接触音データベース1601に、タッチペン20の種別のデータおよび、当該タッチペン20に対応する接触音の情報を保持していてもよい。これにより、モニタ装置100は、タッチペン毎に接触音が違う場合(例えば、タッチペン20の素材によりタッチスクリーン101との接触音が異なる場合)でも、それを適切に除去できる。
このとき、タッチペン20の種別の情報は、ユーザにより登録されてもよいし、タッチペン20とタッチスクリーン101とのペアリング処理により取得されてもよい。
【0088】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換及び変更を行なって実施することができる。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換及び変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
<作用及び効果>
実施の形態1にて開示される構成によれば、モニタ装置100は、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触の検知をトリガーとして、ノイズ除去機能を活性化するため、タッチスクリーン101とタッチペン20とが接触していない場合に、ノイズ音(衝突音)が誤って除去されることによって、集音装置102によって集音される音の品質が却って劣化する事態を抑制することができる。従って、モニタ装置100は、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触に伴って生じるノイズ音(衝突音)を適切に除去することができる。
【0090】
実施の形態1にて開示される構成によれば、モニタ装置100は、接触の検知から一定時間が経過した場合に、ノイズ除去機能を非活性化するため、タッチスクリーン101とタッチペン20とが接触していない場合に、ノイズ音が誤って除去されることによって、集音装置102によって集音される音の品質が却って劣化する事態を抑制することができる。従って、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触に伴って生じるノイズ音(衝突音)を適切に除去することができる。
【0091】
実施の形態1にて開示される構成によれば、モニタ装置100は、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触に伴う圧力が第1閾値未満である場合に、衝突音を除去しないため、圧力が小さく、衝突音が大きくないと想定される場合に、ノイズ音(衝突音)の不適切な除去に伴って集音装置102によって集音される音の品質が却って劣化する事態を抑制することができる。一方で、モニタ装置100は、接触に伴う圧力が第1閾値以上である場合に、衝突音を除去するため、圧力が大きく、衝突音が大きいと想定される場合に、タッチスクリーンとタッチペンとの接触に伴って生じるノイズ音(衝突音)を適切に除去することができる。
【0092】
実施の形態1にて開示される構成によれば、モニタ装置100は、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触が継続している場合に、ノイズ除去機能を非活性化しないため、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触に伴って生じるノイズ音(摩擦音)を適切に除去することができる。
【0093】
実施の形態1にて開示される構成によれば、モニタ装置100は、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触に伴う圧力が第2閾値未満である場合に、摩擦音を除去しないため、圧力が小さく、摩擦音が大きくないと想定される場合に、ノイズ音の不適切な除去に伴って集音装置102によって集音される音の品質が却って劣化する事態を抑制することができる。一方で、モニタ装置100は、接触に伴う圧力が第2閾値以上である場合に、摩擦音を除去するため、圧力が大きく、摩擦音が大きいと想定される場合に、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触に伴って生じるノイズ音(摩擦音)を適切に除去することができる。
【0094】
実施の形態1にて開示される構成によれば、モニタ装置100は、タッチペン20がタッチスクリーン101への接触を継続したまま移動した際の移動速度が第3閾値未満である場合に、摩擦音を除去しないため、移動速度が低く、摩擦音が大きくないと想定される場合に、ノイズ音の不適切な除去に伴って集音装置102によって集音される音の品質が却って劣化する事態を抑制することができる。一方で、モニタ装置100は、移動速度が第3閾値以上である場合に、摩擦音を除去するため、移動速度が高く、摩擦音が大きいと想定される場合に、タッチスクリーン101とタッチペン20との接触に伴って生じるノイズ音(摩擦音)を適切に除去することができる。
【0095】
実施の形態1にて開示される構成によれば、モニタ装置100は、ノイズ除去した音に含まれる周波数のうち、人の声成分の帯域を増幅して出力する。モニタ装置100は、ノイズ音を除去した音においても、人の声を増幅して出力することで、音声の劣化の影響を抑えることができる。
【0096】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0097】
(付記1)
タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置であって、タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化する制御部を備え、制御部は、ノイズ除去機能の活性化に応じて、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる衝突音をノイズ音として除去する、ノイズ除去装置。
【0098】
(付記2)
制御部は、接触の検知から一定時間が経過した場合に、ノイズ除去機能を非活性化する、付記1に記載のノイズ除去装置。
【0099】
(付記3)
制御部は、接触に伴う圧力が第1閾値未満である場合に、ノイズ除去機能を活性化せずに、接触に伴う圧力が第1閾値以上である場合に、ノイズ除去機能を活性化する、付記1または2に記載のノイズ除去装置。
【0100】
(付記4)
制御部は、接触が継続している場合に、ノイズ除去機能を非活性化せずに、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる摩擦音をノイズ音として除去する、付記1から3のいずれかに記載のノイズ除去装置。
【0101】
(付記5)
制御部は、接触に伴う圧力が第2閾値未満である場合に、ノイズ除去機能を活性化せずに、接触に伴う圧力が第2閾値以上である場合に、ノイズ除去機能を活性化する、付記4に記載のノイズ除去装置。
【0102】
(付記6)
制御部は、接触が継続している場合に、タッチスクリーン上におけるタッチペンの移動速度が第3閾値未満である場合に、ノイズ除去機能を活性化せずに、移動速度が第3閾値以上である場合に、ノイズ除去機能を活性化する、付記4または5に記載のノイズ除去装置。
【0103】
(付記7)
制御部は、さらに、ノイズ音に含まれる周波数のうち、人の声成分に該当する帯域を増幅した音を出力する、請求項1から6のいずれかに記載のノイズ除去装置。
【0104】
(付記8)
タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置が備えるプロセッサによって実行されるノイズ除去プログラムであって、プログラムは、プロセッサに、タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化するステップと、ノイズ除去機能の活性化に応じて、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる衝突音をノイズ音として除去するステップと、を実行させる、ノイズ除去プログラム。
【0105】
(付記9)
タッチスクリーンを備えるモニタ装置及び集音装置を有するシステムに適用されるノイズ除去装置が備えるプロセッサによって実行されるノイズ除去方法であって、方法は、プロセッサが、タッチスクリーンとタッチペンとの接触の検知に応じて、接触に伴って生じるノイズ音を除去するノイズ除去機能を活性化するステップと、ノイズ除去機能の活性化に応じて、集音装置によって集音される音から、接触によって生じる衝突音をノイズ音として除去するステップと、を実行する、ノイズ除去方法。
【0106】
上述した開示では特に触れていないが、モニタ装置100が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
或いは、モニタ装置100が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
10 端末装置、20 タッチペン、80 ネットワーク、100 モニタ装置、150 制御部、160 記憶部、200 サーバ、1501 外音取得モジュール、1502 入力操作受付モジュール、1503 条件判定モジュール、1504 ノイズ除去実行モジュール、1505 音声出力モジュール、1601 接触音データベース。