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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143115
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】車両用積載補助装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/042 20060101AFI20230928BHJP
   B60R 9/045 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B60R9/042
B60R9/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050322
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】野澤 靖
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 清孝
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 靖隆
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AA01
3D020AB01
3D020AC05
3D020AD02
3D020AD05
3D020AD06
3D020AD23
(57)【要約】
【課題】可動フレームの引き出し量を確保しつつ、傾倒した可動フレームに対する復帰補助力を生じさせ、作業者の負担を軽減させることができる車両用積載補助装置を提案する。
【解決手段】固定フレーム12と、固定フレーム12に沿って摺動する可動フレーム30とを有する積載補助装置10であって、固定フレーム12には、可動フレーム30の突出量を規制する突出側ストッパ16を備えたスライドエリア14が設けられ、可動フレーム30には、傾倒制御手段36が設けられ、可動フレーム30は複数並列配置され、補助フレーム50により連結されると共に、停止ピン34を基点として傾倒することを可能とし、傾倒制御手段36は、傾倒を妨げる方向の力を発生させるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフ、あるいは前記ルーフに固定されたキャリアに固定される複数の固定フレームと、複数の前記固定フレームのそれぞれに対応して設けられ、対応する固定フレームの長手方向に沿って摺動し、少なくともその一部を前記固定フレームから突出させることを可能とする複数の可動フレームとを有する積載補助装置であって、
前記固定フレームにはそれぞれ、前記可動フレームの突出量を規制する突出側ストッパを備えたスライドエリアが設けられ、
前記可動フレームにはそれぞれ、前記スライドエリアに沿って摺動すると共に、前記突出側ストッパに当接する停止ピンが設けられると共に、複数の前記可動フレームのうちの少なくとも1つには、傾倒制御手段が設けられ、
それぞれの前記可動フレームは前記長手方向と交差する方向に設けられた補助フレームにより連結されると共に、前記停止ピンを基点として前記固定フレームに対して傾倒することを可能とし、前記傾倒制御手段は、前記傾倒を妨げる方向の力を発生させるように構成されていることを特徴とする車両用積載補助装置。
【請求項2】
前記スライドエリアには、前記可動フレームを収納した際の位置決めを成す収納側ストッパと、
収納状態における前記可動フレームが傾倒することを防止する傾倒防止手段と、が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用積載補助装置。
【請求項3】
前記固定フレームは、長手方向に沿った開口を上面に配置するC型断面を有し、
前記可動フレームは、平面視において前記開口を覆う幅の天板を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用積載補助装置。
【請求項4】
前記天板における幅方向端部のうち、少なくとも前記車両の進行方向に配置される端部には、前記可動フレームを収納した状態において、その端部が前記固定フレームの上端よりも下側に位置することとなる傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両用積載補助装置。
【請求項5】
前記傾倒制御手段は、一端を前記可動フレームに対して回動可能に係止すると共に他端を前記スライドエリアに摺動、及び回動可能に係止された揺動部材と、圧縮により反力を生じさせる付勢手段とを有し、
前記揺動部材の一端は、前記停止ピンを基点として前記固定フレームから突出しない側の端部寄りに係止され、
前記付勢手段の一端を前記停止ピンに係止すると共に、前記付勢手段の他端を前記揺動部材の他端に係止していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用積載補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用積載補助装置に係り、特に、ルーフに固定されたレールに沿って積載部をスライドさせ、かつ下方へ引き下げる事のできる積載補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド機能、及び傾斜機能を持つ車両用積載補助装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているようなものが知られている。特許文献1に開示されている積載補助装置は、図9(A)に示すように、車両100のルーフに固定された固定レール1上をスライドする可動レール2を図9(B)に示すように、車両100の側方において下方側に引き下げることができるように構成されている。具体的には、C型のチャンネル材の閉塞面を上面に配置した固定レール1をルーフに固定すると共に、固定レール1の車両側方側端部に傾倒自在とするホルダー3を設ける。ホルダー3の上面には摺動部材3aが配置されると共に、側方には規制部材3bが配置されている。可動レール2はC型のチャンネル材の開放面を固定レール1側に向けて配置されると共に、側面に規制部材3bが摺動する溝2aが設けられている。しかし、このような構成の積載補助装置では、積載物が重量物である場合に、可動フレーム2を積載位置に戻す事が困難となる場合がある。
【0003】
これに対し特許文献2に開示されている積載補助装置は、車両のルーフに固定されたベース体と、このベース体に沿って車幅方向にスライドするスライド枠体とから構成されている。ベース体には、側壁にスライド溝が設けられた2本のフレームが設けられ、スライド枠体は、このフレームの間に嵌め込まれ、スライド溝を摺動するガイドピンを有するスライダを備えている。また、特許文献2には、ベース体とスライダとの間にコイルスプリングやダンパー装置を配置して、車両幅方向に移動させて傾斜したスライド枠体を車両中央側へ戻す力を付加する事が記載されている。このような特徴を有する積載補助装置であれば、スライド枠体を積載状態に戻す際、コイルスプリングやダンパー装置による補助力を得る事が可能となり、小さな力で重量のある積載物を載せることが可能となると考えられる。しかし、このような構成の積載補助装置では、コイルスプリングやダンパー装置はベース体の端部に固定されるため、スライド枠体のスライド量を大きく取る事が困難となることが考えられる。
【0004】
また、スライド機構と傾斜機構とを併せ持つ積載装置としては、特許文献3に開示されているような駐輪装置が知られている。特許文献3に開示されている駐輪装置は、支柱に支持された水平フレームの高さまで自転車を押し上げるための装置であり、支柱に固定された水平フレームと、この水平フレームに対して回動する回動ビーム、及び回動ビームに対してスライドするスライド梁といった3つのフレームを基本として構成されている。そして、水平フレームと回動ビームとの間にガスシリンダを配置することで、スライド梁を引き上げる力を補助する構成としている。しかしながら特許文献3に開示されている駐輪装置は、スライド梁の引き出しと回動動作が同時に成されることで自転車の積載作業を円滑に行う事を前提としているため、可動フレーム(スライド梁)の引き出しと回動動作を分離して行う必要がある車両用積載補助装置には適用することができない。また、特許文献3に開示されている駐輪装置は、設置物であるため、車両搭載物のような振動に対する対策が考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-62898号公報
【特許文献2】特開2005-306087号公報
【特許文献3】特開平8-240027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、比較的簡易な構成としつつ、可動フレームの引き出し量を確保しつつ、傾倒した可動フレームに対する復帰補助力を生じさせ、作業者の負担を軽減させることができる車両用積載補助装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る車両用積載補助装置は、車両のルーフ、あるいは前記ルーフに固定されたキャリアに固定される複数の固定フレームと、複数の前記固定フレームのそれぞれに対応して設けられ、対応する固定フレームの長手方向に沿って摺動し、少なくともその一部を前記固定フレームから突出させることを可能とする複数の可動フレームとを有する積載補助装置であって、前記固定フレームにはそれぞれ、前記可動フレームの突出量を規制する突出側ストッパを備えたスライドエリアが設けられ、前記可動フレームにはそれぞれ、前記スライドエリアに沿って摺動すると共に、前記突出側ストッパに当接する停止ピンが設けられると共に、複数の前記可動フレームのうちの少なくとも1つには、傾倒制御手段が設けられ、それぞれの前記可動フレームは前記長手方向と交差する方向に設けられた補助フレームにより連結されると共に、前記停止ピンを基点として前記固定フレームに対して傾倒することを可能とし、前記傾倒制御手段は、前記傾倒を妨げる方向の力を発生させるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有する車両用積載補助装置における前記スライドエリアには、前記可動フレームを収納した際の位置決めを成す収納側ストッパと、収納状態における前記可動フレームが傾倒することを防止する傾倒防止手段と、が備えられているようにすると良い。このような特徴を有する車両用積載補助装置によれば、可動フレームを収納した状態では、車両の振動等により可動フレームがバタつくことを抑えることができ、積載物の安定性を確保することができる。
【0009】
また、上記のような特徴を有する車両用積載補助装置における前記固定フレームは、長手方向に沿った開口を上面に配置するC型断面を有し、前記可動フレームは、平面視において前記開口を覆う幅の天板を有するようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、スライドエリアを構成する固定フレーム内にゴミなどの塵埃が混入することを防ぐことができる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する車両用積載補助装置では、前記天板における幅方向端部のうち、少なくとも前記車両の進行方向に配置される端部には、前記可動フレームを収納した状態において、その端部が前記固定フレームの上端よりも下側に位置することとなる傾斜面が設けられているようにすることが望ましい。このような特徴を有する事によれば、車両走行時における風雨の影響を抑制することが可能となる。
【0011】
さらに、上記のような特徴を有する車両用積載補助装置における前記傾倒制御手段は、一端を前記可動フレームに対して回動可能に係止すると共に他端を前記スライドエリアに摺動、及び回動可能に係止された揺動部材と、圧縮により反力を生じさせる付勢手段とを有し、前記揺動部材の一端は、前記停止ピンを基点として前記固定フレームから突出しない側の端部寄りに係止され、前記付勢手段の一端を前記停止ピンに係止すると共に、前記付勢手段の他端を前記揺動部材の他端に係止しているようにすることができる。このような特徴を有する事によれば、実質的に固定フレームと可動フレームといった2つのフレームを組み合わせる簡易な構成で、可動フレームの引き出し量を十分に確保しつつ、可動フレームを傾倒させた際には、回帰時における補助力を発生させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上記のような特徴を有する車両用積載補助装置によれば、可動フレームの引き出し量を確保しつつ、傾倒した可動フレームに対する復帰補助力を生じさせ、作業者の負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る積載補助装置の構成を示す側断面図である。
図2】実施形態に係る積載補助装置における固定フレームと可動フレームの分解断面図である。
図3】可動フレームの動きを説明するための図である。
図4】固定フレームと可動フレームの断面形状とローラの配置関係を示す図である。
図5】傾倒防止手段の断面構成を示す図である。
図6図5におけるA-A断面を示す図である。
図7】車両のルーフに対して積載補助装置を搭載した状態を示す斜視図である。
図8】実施形態に係る積載補助装置を用いた積載物の載せ降ろし動作を説明するための図である。
図9】従来の積載補助装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の車両用積載補助装置に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[構成]
まず、図1から図7を参照して、本実施形態に係る車両用積載補助装置(以下、単に積載補助装置10と称す)の構成について説明する。図面において図1は、実施形態に係る積載補助装置の構成を示す側断面図であり、図2は同積載補助装置における固定フレームと可動フレームの分解断面図である。また、図3は、可動フレームの動きを説明するための図であり、図4は、固定フレームと可動フレームの断面形状とローラの配置関係を示す図である。図5は、傾倒防止手段の断面構成を示す図であり、図6は、図5におけるA-A断面を示す図である。さらに、図7は、車両のルーフに対して積載補助装置を搭載した状態を示す斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る積載補助装置10は、固定フレーム12と、可動フレーム30を基本として構成されている。固定フレーム12は、車両100のルーフに直接、あるいは車両100のルーフに固定されたキャリア110に固定される要素であり、実施形態に係る積載補助装置10のベースとなる。図7に示す例では、車両100のルーフに固定されたキャリア110に固定フレーム12を固定するようにしている。
【0016】
固定フレーム12は、ルーフ上で地面と平行、すなわち水平を成すように配置される。積載物を安定保持するためである。固定フレーム12には、少なくともスライドエリア14が設けられ、スライドエリア14には、突出側ストッパ16と収納側ストッパ18が備えられている。また、実施形態に係る固定フレーム12は、長手方向に沿って設けられる開口部を上面に配置するC型断面を有する部材(断面形状については図4図5等参照)により構成されており、断面視において開口部の両側に位置するフランジ12aの内側面がスライドエリア14を構成している。したがって、スライドエリア14も開口部と同様に、固定フレーム12の長手方向に沿って形成されることとなる。
【0017】
突出側ストッパ16は、詳細を後述する可動フレーム30の突出量を規制するための要素であり、本実施形態では、固定フレーム12の長手方向端部のうち、可動フレーム30が突出する側の端部(一方の端部)に設けられる傾倒角度位置決め部材20に設けられる切欠きにより構成されている。一方、収納側ストッパ18は、固定フレーム12における可動フレーム30が収納される側の端部(他方の端部)に設けられる傾倒防止手段22に設けられる切欠きにより構成されている。
【0018】
可動フレーム30は、固定フレーム12の長手方向に沿って摺動すると共に、固定フレーム12に対して傾倒可能とすることで、積載物の載せ降ろしの容易化を図るための要素である。可動フレーム30には少なくとも、固定フレーム12の長手方向に沿ってスライドエリア14を転動するローラ32と、このローラ32よりも突出側端部寄りに設けられた停止ピン34が備えられており、この停止ピン34が突出側ストッパ16に嵌る事で、可動フレーム30の突出側移動量が規制されることとなる。一方、収納側ストッパ18に対しては、ローラ32を支持する支軸32aが停止ピン34と同様な役割を担うこととなる。
【0019】
また、実施形態に係る可動フレーム30には、傾倒制御手段36が備えられている。傾倒制御手段36は、可動フレーム30を傾倒させた際、これを水平方向に戻すための補助力を付与すると共に、傾倒状態を維持するためのロック機構42を付帯可能な要素である。本実施形態では、停止ピン34とローラ32、付勢手段38、及び揺動部材40を組み合わせる事により傾倒制御手段36を構成している。具体的には、停止ピン34とローラ32との間に付勢手段38が配置されている。付勢手段38は、圧縮方向の力(図3において矢印Aで示す方向の力)が加えられた際、これに反発する力を生じさせるようなものであれば良く、ガススプリングやコイルばねなどを挙げることができる。また、揺動部材40は、ローラ32と可動フレーム30との間に回動自在に配置されている。可動フレーム30に対する揺動部材40の係合箇所は、停止ピン34の係合箇所を基点として、突出側端部と反対側の端部寄りに位置することとなる。このような構成の傾倒制御手段36を有する積載補助装置10では、可動フレーム30と揺動部材40を可動リンク、固定フレーム12を固定リンク、ローラ32をスライダとするリンク機構を構成することとなり、可動フレーム30が図3に矢印Cで示した方向に傾倒した場合、ローラ32は回転基点である停止ピン34に近付く方向(図3に矢印Aで示す方向)に移動する。これは、可動フレーム30とローラ32の支軸32aとを伸縮しない揺動部材40によって接続することにより成される。具体的には、可動フレーム30の傾倒に伴い、揺動部材40が、支軸32aを基点として図3に矢印Bで示す方向に立ち上がる事により、停止ピン34と支軸32aとの距離が縮むこととなり、ローラ32の移動が成される。なお、このようにして圧縮方向の力を受けた付勢手段38は反力を発生させることとなる。このため、可動フレーム30に積載物を載せた状態であっても、可動フレーム30を水平位置に戻すことが容易となる。
【0020】
ロック機構42は、スライドエリア14に沿って転動するローラ32の支軸32aを付勢手段38による反力の発生方向からずらす鉤型の溝42aを有するプレートにより構成されている。実施形態に係る積載補助装置10では、可動フレーム30の傾倒に起因して停止ピン34に対してローラ32が近づくことで、両者の間に配置された付勢手段38が圧縮され、反力を発生させるように構成している。ここで付勢手段38によって生ずる反力は、ローラ32をスライドエリア14に沿って押し戻す方向に働くこととなる。ロック機構42では、鉤型の溝42aでローラ32の支軸32aを付勢手段38による押圧方向を変化させ、変化後の押圧方向(反力発生方向)に、反力の逃げ道を無くすことで、付勢手段38を圧縮させた状態で維持することが可能となる。このようなロック機構42を設ける事で、積載物を可動フレーム30に搭載、あるいは荷下ろしする際、可動フレーム30を押さえておかなくとも傾倒状態が維持されることとなり、積載物の積み降ろしが容易となる。なお、ロック機構42の解除は、ローラ32の支軸32aを鉤型の溝42aからスライドエリア14側に戻す力を加えてやれば良い。実施形態に係る積載補助装置10では、可動フレーム30の突出側先端部を持ち上げるように僅かに力を加えてやれば良い。
【0021】
本実施形態に係る積載補助装置10は、上記のような構成の固定フレーム12と可動フレーム30の対を複数並列に配置し、可動フレーム40の長手方向と交差する方向に配置した補助フレーム50により連結している。具体的には、例えば2対の固定フレーム12と可動フレーム30を車両の長手方向に沿って配置し、両者の可動フレーム30同士を補助フレーム50によって連結すれば良い。このような構成とすることにより、梯子などの長尺な積載物も容易に積載することが可能となる。また、複数のフレーム間に生じる動作のズレに起因した捻じれを抑制し、積載物の積み降ろし時にバランスを崩す事を防ぐことができる。
【0022】
また、本実施形態に係る積載補助装置10には上述したように、可動フレーム30を収納した際、可動フレーム30の傾倒によるバタツキを防止する傾倒防止手段22が備えられている。傾倒防止手段22は、収納側ストッパ18を備える係合ベースのフランジ22aに、揺動部材40に設けられたフック40aが係合することにより機能する要素である。フック40aは、揺動部材40が水平位置にある場合に、固定フレーム12の底面に沿う係合面を持つように構成している。一方、傾倒防止手段22のフランジ22aは、固定フレーム12の底面から僅かに浮いた位置に係合面を持つように構成されており、揺動部材40が水平を保った状態で収納側ストッパ18に支軸32aを係合させると、傾倒防止手段22のフランジ22aにフック40aが係合するように位置決めされている。このような構成によれば、可動フレーム30が傾倒する方向に力が加えられたとしても、傾倒防止手段22によって揺動部材40の立ち上がり(回動)が妨げられ、可動フレーム30の傾倒が抑制される。このような構成とする事で、走行に伴う振動が多い車両100であっても、積載物の安定性を保つことが可能となる。
【0023】
また、実施形態に係る積載補助装置10では可動フレーム30の上面に、固定フレーム12に形成された開口部を覆う天板44を設けるようにしている。このような構成とすることで、スライドエリア14を構成する固定フレーム12の内部に混入するゴミを抑制することが可能となる。また、天板44は、少なくとも車両100の進行方向に配置される端部に傾斜面44aを設けるようにされている。傾斜面44aは、可動フレーム30を収納した状態において、その端部(延設方向先端)が固定フレーム12の上端よりも下側に位置することとなるように形成されている。このような構成とすることで、車両走行時における風雨の影響を抑制することが可能となる。
【0024】
また、実施形態に係る積載補助装置10では、固定フレーム12の開口に介入する可動フレーム30に、図4図5に示すようなC型断面を持たせるようにしている。そして、傾斜角度位置決め部材20には、C型断面の内周(天板の裏側)に転接すると共に、フランジ40bにより可動フレーム30の抜け(跳ね上がりなど)を防ぐ転接ローラ24が備えられている。このような構成とすることで、固定フレーム12から可動フレーム30を突出させる際、あるいは積載物を載せた可動フレーム30を収納する際、可動フレーム30の摺動をスムーズなものとすることができる。
【0025】
[作用]
次に、上記のような構成の積載補助装置10を利用した車両100のルーフ部への積載物の積み降ろし動作について図8を参照して説明する。まず、積載補助装置10に積載物を積む場合、図8(A)に示す状態から、図8(B)に示す状態へ、可動フレーム30を車両100から突出する方向、図8に示す例では、車両100の側方へ引き出す。この時、可動フレーム30に付帯されている停止ピン34、ローラ32、揺動部材40、及び付勢手段38は、可動フレーム30と共に固定フレーム12の一方の端部側へ移動することとなる。
【0026】
可動フレーム30は、停止ピン34が傾倒角度位置決め部材20に設けられた突出側ストッパ16に係合するまで引き出された後、突出側の先端に車両100側、すなわち下方向への力が加えられることにより、図8(C)に示すように、停止ピン34を基点として回動(傾倒)する。可動フレーム30を傾倒させて行き、可動フレーム30の傾倒角度が予め定められた角度となると、ローラ32の支軸32aがロック機構42を構成する溝42aに介入し、可動フレーム30の傾倒状態が維持されることとなる。この作用により、積載物を載せ降ろしする際、付勢手段38の作用により可動フレーム30の傾倒状態が解除されてしまう事を避けることができる。
【0027】
傾倒状態となった可動フレーム30に積載物を載せた後、傾倒状態にある可動フレーム30の突出側端部を上方に持ち上げるように力を加える事で、ローラ32の支軸32aがロック機構42の溝42aからスライドエリア14側に移動し、ロック状態が解除される。ロック状態が解除されると、付勢手段38はローラ32を停止ピン34から離間させる方向の力(反力)を発生させることとなる。ローラ32が停止ピン34から離間すると、ローラ32の支軸32aに対して回動自在に係合している揺動部材40は、停止ピン34側に倒れ込む方向の力が働くこととなる。この揺動部材40が倒れ込む作用により可動フレーム30が固定フレーム12側へ引き寄せられることとなる。これにより、可動フレーム30が水平状態に戻ろうとする方向の力が働き、可動フレーム30に積載物を載せた状態でも、小さな力で可動フレーム30を水平状態へ戻すことが可能となる。
【0028】
水平状態に戻った可動フレーム30の突出部を固定フレーム12側へ押し込んで収納すると、ローラ32の支軸32aが収納側ストッパ18に係合すると共に、揺動部材40のフック40aが傾倒防止手段22のフランジ22aに係合し、可動フレーム30の動きが規制される。これにより、車両100を走行させた際であっても積載物を安定保持することが可能となる。
【0029】
[効果]
上記のような積載補助装置10によれば、車両100のルーフへ積載物を積み込む際、可動フレーム30に載せた積載物を小さな力で押し上げることが可能となり、作業者の負担を軽減することができる。また、可動フレーム30に天板44を設け、進行方向に傾斜面44aを設けるようにしたことで、固定フレーム12へのゴミなどの侵入を防ぐと共に、車両走行時における風雨の影響を低減することができる。また、可動フレーム30を収納した際に機能する傾倒防止手段22を備えた事により、収納状態における可動フレーム30のバタツキを抑制することができる。さらに、複数配置された可動フレーム30を補助フレーム50で連結したことで、隣接配置された可動フレーム30同士の動作の同調を図ることが可能となり、積載物の積み降ろし時のバランスがとれるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
上記実施形態では、複数設けた固定フレーム12と可動フレーム30の対には、全て傾倒制御手段36を設けるように説明している。しかしながら、傾倒制御手段36は、固定フレーム12と対を成す複数の可動フレーム30のうちの少なくとも1つに設けられていれば良い。少なくとも1つの可動フレーム30に傾倒制御手段36が設けられていれば、積載物を押し上げる際の補助力が働くこととなるからである。
また、上記実施形態では、可動フレーム30の引き出し方向を車両100の側方としているが、車両100の後方へ引き出すようにしても良い。
【符号の説明】
【0031】
10………積載補助装置、12………固定フレーム、12a………フランジ、14………スライドエリア、16………突出側ストッパ、18………収納側ストッパ、20………傾倒角度位置決め部材、22………傾倒防止手段、22a………フランジ、24………転接ローラ、30………可動フレーム、32………ローラ、32a………支軸、34………停止ピン、36………傾倒制御手段、38………付勢手段、40………揺動部材、40a………フック、40b………フランジ、42………ロック機構、42a………溝、44………天板、44a………傾斜面、50………補助フレーム、100………車両、110………キャリア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9