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特開2023-143162情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143162
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230928BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230928BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230928BHJP
   G01R 31/367 20190101ALI20230928BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H02J7/02 J
H02J7/02 H
G01R31/367
G01R31/392
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050395
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周平
(72)【発明者】
【氏名】鵜久森 南
(72)【発明者】
【氏名】鏡 彩圭
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB04
2G216AB05
2G216BA30
2G216CB35
2G216CC04
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503EA08
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA08
5H030AS03
5H030AS06
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】蓄電素子の使用態様に応じた電力負荷を生成できる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得する取得部と、前記取得部で取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する生成部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得する取得部と、
前記取得部で取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する生成部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、第1期間における各代表電力負荷の出現確率に基づいて各代表電力負荷を組み合わせる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、第1期間における各代表電力負荷の出現確率を異ならせることにより複数パターンの仮想電力負荷を生成する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
乱数を発生させる乱数発生部を備え、
前記生成部は、前記乱数発生部で発生させた乱数に基づいて前記代表電力負荷を組み合わせる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記乱数発生部は、第2期間の長さに対する第1期間の長さ、代表電力負荷の種類、及び各代表電力負荷の第1期間における出現確率に基づいて前記乱数を発生させる
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記代表電力負荷は、第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷を複数グループに分類したグループ毎に抽出されており、
前記乱数発生部は、各グループにおける各電力負荷の総通電電力量と、各グループにおける各総通電電力量の頻度とに基づいて前記乱数を発生させる
請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
生成した前記仮想電力負荷を、仮想電力負荷を用いて前記蓄電素子の寿命を予測する寿命予測装置へ出力する出力部を備える
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得し、
取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項9】
第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得し、
取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子(Energy Storage Device)は、無停電電源装置、安定化電源に含まれる直流又は交流電源装置等に広く使用されている。また、再生可能エネルギー又は既存の発電システムにて発電された電力を蓄電しておく大規模な電力システムでの蓄電素子の利用が拡大している。
【0003】
蓄電素子は、充放電を繰り返すことで劣化が進行し、満充電容量が徐々に低下することが知られている。蓄電素子における将来的な劣化の進行予測や寿命予測といった容量推移の推定を行うためには、蓄電素子の電力負荷を把握することが求められる。特許文献1には、蓄電池の複数の使用条件に対応する劣化率予測値の精度を高めることによって、蓄電池の劣化進行や寿命の正確な予測を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-121520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電素子の容量推移は、蓄電素子に対する一定期間の電力負荷の計測結果を与えることで推定できる。一定期間の計測結果をそのまま用いる場合、蓄電素子の使われ方が変化した際、すなわち一定期間の計測結果から電力負荷が変動した際の容量推移を適正に推定することが困難である。適正な容量推移の推定には、蓄電素子の使用態様に応じた電力負荷の生成が求められる。
【0006】
本開示の目的は、蓄電素子の使用態様に応じた電力負荷を生成できる情報処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得する取得部と、前記取得部が取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する生成部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、蓄電素子の使用態様に応じた電力負荷を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理装置の構成例を示す図である。
図2】発電システムの構成を示す図である。
図3】バンクの構成例を示す図である。
図4】情報処理装置の構成例を示す機能ブロック図である。
図5】代表電力負荷の抽出方法及び仮想電力負荷の生成方法を説明する図である。
図6】代表電力負荷の抽出方法及び仮想電力負荷の生成方法を説明する図である。
図7】代表電力負荷の抽出方法及び仮想電力負荷の生成方法を説明する図である。
図8】電力負荷を変化させた場合の容量推移の推定結果を示す図である。
図9】代表電力負荷の取得処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】仮想電力負荷の生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
情報処理装置は、第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得する取得部と、前記取得部が取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する生成部とを備える。
【0011】
情報処理装置は、第1期間における蓄電素子の電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を用いて、新たな仮想電力負荷を生成する。仮想電力負荷とは、第1期間における蓄電素子の仮想的な電力負荷である。
【0012】
電力負荷とは、蓄電素子における電力の時系列データを示す情報である。電力負荷は、蓄電素子の電流値及び電圧値の時系列データを得ることにより取得してもよい。情報処理装置により取得された第1期間における電力負荷は、第2期間毎に分割される。第1期間は、比較的長い期間であり、例えば1年、2年、半年、1か月などであってもよい。第2期間は、第1期間よりも短い期間であり、例えば1日、1時間などであってもよい。
【0013】
代表電力負荷は、第2期間毎の各電力負荷を複数グループに分類した場合における、各グループの代表的な電力負荷である。それら代表電力負荷を複数組み合わせることで、仮想電力負荷が生成される。蓄電素子の現在の使用実態を示す代表電力負荷を用いて、仮想的な電力負荷を生成することで、多様な使用態様に応じた電力負荷を表現できる。
【0014】
蓄電素子の寿命予測は、所定期間の電力負荷や温度データを用いて行われる。例えば、蓄電素子の運用データから得られる1年間の電力負荷を予測モデルに与え、蓄電素子の劣化量を算出することで、数年後における蓄電素子の寿命が予測される。その際、運用データから得た電力負荷が翌年以降も継続すると仮定し、翌年以降も同じ電力負荷を用いることで、1つの寿命予測結果が導出される。
【0015】
蓄電素子の使われ方は、将来にわたり変化することが予想される。従来の寿命予測では、蓄電素子の電力負荷が変化した場合、予測精度が低下する。情報処理装置は、仮想電力負荷を生成することで、電力負荷の変化を反映させた寿命予測を可能とし、寿命予測の精度を向上できる。多様な仮想電力負荷を生成することで、寿命予測の幅が広がる。
【0016】
生成部は、第1期間における各代表電力負荷の出現確率に基づいて各代表電力負荷を組み合わせてもよい。上記構成によれば、仮想電力負荷に各代表電力負荷の出現確率を反映させることができる。所望の蓄電素子の使われ方を想定し、出現確率を適宜設定することで、仮想電力負荷を容易且つ適正に生成できる。
【0017】
生成部は、第1期間における各代表電力負荷の出現確率を異ならせることにより複数パターンの仮想電力負荷を生成してもよい。各代表電力負荷の出現確率を変化させることにより、多様な仮想電力負荷を効率的に生成できるため、ユーザの多様な使用態様を想定した幅広い寿命予測が可能となる。
【0018】
情報処理装置は、乱数を発生させる乱数発生部を備え、前記生成部は、前記乱数発生部で発生させた乱数に基づいて前記代表電力負荷を組み合わせてもよい。上記構成によれば、各代表電力負荷を用いて蓄電素子の利用実績を仮想電力負荷に反映させるとともに、乱数を適用することで無作為に電力負荷を変化させることで、多数の電力負荷パターンを表現可能な仮想電力負荷を効率的に生成できる。
【0019】
乱数発生部は、第2期間に対する第1期間の長さ、代表電力負荷の種類、及び各代表電力負荷の第1期間における出現確率に基づいて前記乱数を発生させてもよい。上記構成によれば、1つの電力負荷における各代表電力負荷の状態を好適に乱数に反映できる。乱数における各要素を任意に変化させることでユーザの希望に対応する仮想電力負荷を容易に生成できる。
【0020】
代表電力負荷は、第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷を複数グループに分類したグループ毎に抽出されており、乱数発生部は、各グループにおける各電力負荷の総通電電力量と、各グループにおける各総通電電力量の頻度とに基づいて乱数を発生させてもよい。上記構成によれば、各グループにおける電力負荷の総通電電力量の分布状況を好適に乱数に反映できる。
【0021】
情報処理装置は、生成した前記仮想電力負荷を、仮想電力負荷を用いて前記蓄電素子の寿命を予測する寿命予測装置へ出力する出力部を備えてもよい。寿命予測装置は、仮想電力負荷を用いることで、寿命予測の精度を向上し得るとともに、幅の広い寿命予測が可能となる。
【0022】
情報処理方法は、第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得し、取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する処理をコンピュータが実行する。
【0023】
プログラムは、第1期間における蓄電素子の電力の時系列データを示す電力負荷を第1期間よりも短い第2期間毎に分割した各電力負荷の中から抽出される複数の代表電力負荷を取得し、取得した複数の代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する処理をコンピュータに実行させる。
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法及びプログラムの具体例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
以下に記載する実施形態に示すシーケンスは限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各処理手順はその順序を変更して実行されてもよく、また並行して複数の処理が実行されてもよい。各処理の処理主体は限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各装置の処理を他の装置が実行してもよい。また、本発明において電力負荷についての実施例・解析例を開示するが、電力負荷に限定することは無く、電流負荷、分極量といったパラメータの他、他の電気量・物理量でも適用可能である。
【0025】
図1は、情報処理装置50の構成例を示す図である。情報処理装置50は、インターネットなどのネットワーク1に通信接続されている。情報処理装置50は、ネットワーク1を介して複数の発電システム100との間でデータの送受信が可能である。情報処理装置50は、いずれかの発電システム100に統合されていてもよい。
【0026】
情報処理装置50は、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、量子コンピュータ等であり、種々の情報処理、情報の送受信を行う。情報処理装置50の詳細は後述する。
【0027】
図2は、発電システム100の構成を示す図である。発電システム100は、通信デバイス10、ネットワーク2を介して通信デバイス10と接続されるサーバ装置20、ドメイン管理装置30、蓄電ユニット(ドメイン)40を備える。蓄電ユニット40は、複数のバンク41を含んでもよい。蓄電ユニット40は、例えば、電池盤に収容されて、火力発電システム、メガソーラー発電システム、風力発電システム、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)、鉄道用の安定化電源システムなどに使用される。蓄電ユニット40の、図示しないパワーコンディショナを除いた部分は、蓄電池システムと称されることもある。蓄電ユニット40は産業用途に限らず、家庭用のものであってもよい。
【0028】
情報処理装置50及び複数の発電システム100は、遠隔監視システムを構成する。遠隔監視システムは、発電システム100に含まれる蓄電素子に関する情報への遠隔からのアクセスを可能とする。事業者は、通信デバイス10、ドメイン管理装置30、蓄電ユニット40を含む蓄電システムの設計、導入、運用及び保守する事業を行い、蓄電システムを、遠隔監視システムにより遠隔監視できる。
【0029】
通信デバイス10は、制御部11、記憶部12、第1通信部13及び第2通信部14を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などで構成され、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、通信デバイス10全体を制御する。
【0030】
記憶部12は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置を備える。記憶部12は、所要の情報を記憶することができ、例えば、制御部11の処理によって得られた情報を記憶することができる。
【0031】
第1通信部13は、ドメイン管理装置30(又は図3に示す電池管理装置44)との通信を実現する通信インタフェースを備える。制御部11は、第1通信部13を通してドメイン管理装置30との間で通信を行うことができる。
【0032】
第2通信部14は、ネットワーク2を介した通信を実現する通信インタフェースを備える。制御部11は、第2通信部14を通してサーバ装置20との間で通信を行うことができる。
【0033】
ドメイン管理装置30は、所定の通信インタフェースを用いて各バンク41との間で情報の送受信を行う。記憶部12は、ドメイン管理装置30を介して取得した運用データを記憶することができる。
【0034】
サーバ装置20は、通信デバイス10から蓄電システムの運用データを収集することができる。運用データは、蓄電システム内の各蓄電素子の電流値、電圧値、温度データなどの時系列データを含む。サーバ装置20は、収集された運用データを、蓄電素子毎に区分して記憶する。サーバ装置20は、ネットワーク2、1を介して運用データを情報処理装置50に送信することができる。なお、ネットワーク2、1は、1つの通信ネットワークであってもよい。
【0035】
図3は、バンク41の構成例を示す図である。バンク41は、蓄電モジュールを複数直列に接続したものであり、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)44、複数の蓄電モジュール42、及び各蓄電モジュール42に設けられた計測基板(CMU:CellManagement Unit)43などを備える。
【0036】
蓄電モジュール42は、複数の蓄電セルが直列に接続されている。本明細書において、「蓄電素子」は、蓄電セル、蓄電モジュール42、バンク41、バンク41を並列に接続したドメインを意味してもよい。本実施形態では、計測基板43は、蓄電モジュール42の各蓄電セルの状態に関する蓄電素子情報を取得する。蓄電素子情報は、例えば、蓄電セルの電圧、電流、温度、SOC(充電状態)、SOHなどを含む。蓄電素子情報は、例えば、0.1秒、0.5秒、1秒などの適宜の周期で繰り返し取得することができる。蓄電素子情報が蓄積されたデータが運用データの一部となる。「蓄電素子」は、鉛蓄電池及びリチウムイオン電池のような二次電池や、キャパシタのような、再充電可能なものであることが好ましい。蓄電素子の一部が、再充電不可能な一次電池であってもよい。
【0037】
電池管理装置44は、通信機能付きの計測基板43とシリアル通信によって通信を行うことができ、計測基板43が検出した蓄電素子情報を取得することができる。電池管理装置44は、ドメイン管理装置30との間で情報の送受信を行うことができる。ドメイン管理装置30は、ドメインに所属するバンクの電池管理装置44からの蓄電素子情報を集約する。ドメイン管理装置30は、集約された蓄電素子情報を通信デバイス10へ出力する。このように、通信デバイス10は、ドメイン管理装置30を介して、蓄電ユニット40の運用データを取得することができる。通信デバイス10は、取得した運用データを、サーバ装置20を介して情報処理装置50へ送信する。
【0038】
図1に示すように、情報処理装置50は、制御部51、記憶部52、及び通信部53を備える。情報処理装置50は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであってもよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0039】
制御部51は、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM、RAM等を備える演算回路である。制御部51が備えるCPU又はGPUは、ROMや記憶部52に格納された各種コンピュータプログラムを実行し、上述したハードウェア各部の動作を制御する。制御部51は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ、日時情報を出力するクロック等の機能を備えていてもよい。
【0040】
記憶部52は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部52は、制御部51が参照するプログラム及びデータを記憶する。記憶部52に記憶されるコンピュータプログラムには、蓄電素子の電力負荷に関する処理を実行するためのプログラム521が含まれる。
【0041】
記憶部52に記憶されるデータには、発電システム100から受け付けた運用データが含まれる。運用データは、上述の通り、発電システム100内の蓄電素子の電流値及び電圧値の時系列データを含む。制御部51は、各発電システム100における運用データを収集し、ビッグデータとして記憶部52に蓄積する。制御部51は、蓄積した蓄電素子の実際の運用データに基づいて、蓄電素子の代表電力負荷の取得処理や仮想的な電力負荷の生成処理を行う。
【0042】
記憶部52に記憶されるコンピュータプログラム(コンピュータプログラム製品)は、当該コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体Mにより提供されてもよい。記録媒体Mは、CD-ROM、USBメモリ、SD(Secure Digital)カード等の可搬型メモリである。制御部51は、図示しない読取装置を用いて、記録媒体Mから所望のコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムを記憶部52に記憶させる。代替的に、上記コンピュータプログラムは通信により提供されてもよい。プログラム521は、単一のコンピュータプログラムでも複数のコンピュータプログラムにより構成されるものでもよく、また、単一のコンピュータ上で実行されても通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0043】
通信部53は、ネットワーク1を介した通信を実現する通信インタフェースを備える。制御部51は、通信部53を通して外部装置との間で通信を行うことができる。通信部53と通信可能に接続される外部装置としては、例えば発電システム100、蓄電素子の寿命を予測する寿命予測装置などが挙げられる。制御部51は、蓄電素子の電力負荷に関する情報が得られた場合、得られた情報を通信部53から寿命予測装置へ送信する。寿命予測装置は、通信部53より送信される情報を受信し、受信した情報に基づき蓄電素子の寿命予測を行う。
【0044】
情報処理装置50はさらに、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を備えてもよい。
【0045】
図4は、情報処理装置50の構成例を示す機能ブロック図である。情報処理装置50の制御部51は、記憶部52に記憶されたプログラム521を読み出して実行することにより、第1取得部511、分類部512、抽出部513、第2取得部514、生成部515、乱数発生部516、及び出力部517として機能する。
【0046】
図5から図7は、代表電力負荷の抽出方法及び仮想電力負荷の生成方法を説明する図である。図5から図7を用いて、本実施形態における代表電力負荷の抽出方法及び仮想電力負荷の生成方法を具体的に説明するとともに、制御部51の各機能部の機能を説明する。
【0047】
第1取得部511は、通信部53を介して、サーバ装置20から第1期間に亘る発電システム100内の電流値、電圧値及び温度の時系列データを受信する。電流値及び電圧値の時系列データは、蓄電素子の充電時又は放電時のデータである。
【0048】
第1取得部511は、取得した電流値及び電圧値の時系列データに基づいて、電流値と電圧値との乗算値である電力を算出し、電力の時系列データを示す電力負荷を取得する。第1取得部511は、例えば第1期間における蓄電素子の電力の時系列データをプロットしたグラフの態様にて電力負荷を取得してもよい。図5の上側に、1年間の電力負荷のグラフの一例を示す。図5のグラフにおいて、縦軸は電力、横軸は時間(期間)を示す。縦軸の正側が充電を表し、負側が放電を表す。
【0049】
第1取得部511は、第1期間に亘る電力負荷をまとめて取得してもよく、所定期間毎の電力負荷を継続的に収集することで第1期間の電力負荷を取得してもよい。第1取得部511は、取得した電力負荷及び温度データを記憶部52に記憶する。第1取得部511は、サーバ装置20から直接電力負荷(電力の時系列データ)を取得してもよい。
【0050】
分類部512は、第1取得部511で取得した第1期間の電力負荷を、第1期間よりも短い第2期間毎に分割する。以下では、一例として、第1期間が1年間であり、第2期間が1日間であるものとする。また以下では、第2期間毎の電力負荷、すなわち第2期間毎に分割した分割領域それぞれにおける電力負荷を短期電力負荷とも称する。分類部512は、短期電力負荷を複数グループに分類する。
【0051】
分類部512は、1年間の電力負荷を分割して得られる複数の短期電力負荷を、1以上のグループ(パターン)に分類する。短期電力負荷の分類手法は特に限定されないが、例えばk平均法(k-means)、混合ガウスモデル等の分類モデルを用いることができる。分類モデルは、クラスタリングアルゴリムによる機械学習モデルである。分類モデルにより、複数の短期電力負荷が、その特徴量の相関に基づいて複数のクラスタに分類される。なお分類モデルは、ニューラルネットワーク、SVM(Support Vector Machine)、決定木等、その他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0052】
分類部512は、ルールベースの手法によって短期電力負荷を分類してもよい。分類部512は、例えば1日間の電力負荷における充放電方向の切り替え回数、電力値の変化量(縦軸方向の電力値の絶対値)の合計値、充放電時間の合計値等に基づいて、各短期電力負荷を所定のグループに分類する。
【0053】
図5の下側に、分類パターンの一例を示す。図5の例では、各短期電力負荷は、パターン1からパターン5それぞれに対応する5つのグループに分類されている。パターン1には、比較的電力量の変化の少ない短期電力負荷データが分類され、パターンの数字が大きくなるにつれて、電力量の変化が大きくなっている。
【0054】
図5右下側の円グラフは、各パターンの出現確率を示している。各パターンの出現確率とは、1年間の全電力負荷において、各パターンに属する短期電力負荷が出現する確率(存在する確率)を意味する。図5に示す例では、パターン5が最も出現確率が高く、パターン1が最も出現確率が低くなっている。
【0055】
抽出部513は、分類部512で分類したグループ毎に、同一グループに含まれる短期電力負荷の中から、グループの電力負荷パターンを代表する代表電力負荷を抽出する。抽出部513は、図6に示すように、総通電電力量のヒストグラムを用いて代表電力負荷の抽出を行う。
【0056】
抽出部513は、抽出対象とするグループ(例えばパターン1)に属する全ての短期電力負荷について、1日の総通電電力量を算出する。総通電電力量は、短期電力負荷における電力の時系列データに基づいて、1日間の電力を時間積分することにより求められる。抽出部513は、算出した総通電電力量に基づいて、図6の下側に示すような総通電電力量の分布を示すヒストグラムを生成する。抽出部513は、総通電電力量の分布の推定において、例えばカーネル密度推定を用いてもよい。これにより、図6に示すような連続的な曲線にて示されるヒストグラムを生成できる。
【0057】
抽出部513は、パターン1のグループにおける総通電電力量の最頻値に基づいて代表電力負荷を抽出する。具体的には抽出部513は、パターン1のヒストグラムのピークに対応する短期電力負荷を特定し、特定した短期電力負荷をパターン1の代表電力負荷として抽出する。抽出部513は、総通電電力量の最頻値に基づいて代表電力負荷を抽出すればよく、ヒストグラム以外の手法により総通電電力量の分布を推定してもよい。
【0058】
抽出部513は、ヒストグラムの縦軸における度数(頻度)の値を、特定した代表電力負荷に対応する度数が1となるように正規化する。抽出部513は、上述の処理を各グループについて実行することにより、図6に示すように、各グループに対するヒストグラム及び代表電力負荷を取得する。抽出部513は、抽出した代表電力負荷及び生成したヒストグラムを記憶部52に記憶する。
【0059】
上述の処理により、蓄電素子における代表電力負荷が取得できる。取得した代表電力負荷は、蓄電素子の現在の使われ方を適正に表現するデータとして、蓄電素子の解析に有効活用できる。さらに本実施形態では、取得した代表電力負荷に基づいて、蓄電素子の使われ方が変化した場合を仮想した仮想電力負荷を生成する。以下、図7を用いて仮想電力負荷の生成方法を説明する。
【0060】
第2取得部514は、記憶部52に記憶する情報を読み出すことにより、抽出部513で抽出した各グループの代表電力負荷を取得する。
【0061】
生成部515は、第2取得部514で取得した各代表電力負荷を組み合わせることにより、1年間における仮想電力負荷を生成する。仮想電力負荷の生成において、生成部515は、各代表電力負荷における仮想の出現確率と、後述する乱数発生部516から受け付けた乱数とを用いて、各代表電力負荷を組み合わせる。
【0062】
各代表電力負荷における仮想の出現確率は、任意に設定可能である。例えば将来における蓄電素子の使われ方の変化を想定し、運用データにおける各パターンの出現確率を適宜増減させてよい。生成部515は、ユーザからの入力を受け付けることにより、又は外部装置から送信される出現確率を受信することにより出現確率を取得してもよい。生成部515は、所定ルールに従い運用データを変化させることにより自動で出現確率を生成してもよい。生成部515は、運用データにおける出現確率を変化させることなく、そのまま仮想の出現確率として用いてもよい。
【0063】
乱数発生部516は、第1乱数N及び第2乱数Kの2種類の乱数を発生させる。乱数発生部516は、各短期電力負荷の分類結果に基づいて第1乱数Nを生成する。第1乱数Nは一例として、以下のように表すことができる。
第1乱数N=[4,1,3,5,2,4,…,1]
【0064】
第1乱数Nの長さは、第2期間に対する第1期間の比(第1期間/第2期間)に対応する。本実施形態では、第2期間は1年(365日)であり、第2期間は1日であるため、第1乱数Nの長さは、365/1=365となる。第1乱数Nの要素は、グループ種別を示すデータに対応する。本実施形態では、第1乱数Nの要素は、1~5であり、数字順にパターン1からパターン5に対応している。第1乱数N内の要素全体における各要素の割合は、各要素に対応するパターンに属する代表電力負荷の出現確率に対応する。代表電力負荷の出現確率は、仮想電力負荷の生成にあたり取得した仮想の出現確率である。
【0065】
乱数発生部516はさらに、第1乱数Nを引数として選択される代表電力負荷に基づいて、第2乱数Kを生成する。例えば、第1乱数に基づき最初の代表電力負荷としてパターン4の代表電力負荷が選択されると、乱数発生部516は、パターン4のヒストグラムを読み出す。乱数発生部516は、ヒストグラムに基づいて第2乱数Kを生成する。
【0066】
第2乱数Kの長さは1である。第2乱数Kの要素は、ヒストグラムにおける総通電電力量の値に対応する。第2乱数Kの要素は、一例として、総通電電力量の最小値から最大値までの間における所定値(例えば0.1kW)刻みの値とすることができる。第2乱数K内の要素全体における各要素の割合は、各要素に対応する総通電電力量のヒストグラムにおける度数(頻度)に対応する。各総通電電力量の度数は、上述の通り予め0から1に正規化されている。
【0067】
乱数発生部516は、第1乱数Nの各要素に対して第2乱数Kを発生させる。乱数発生部516は、発生させた第1乱数N及び第2乱数Kを生成部515へ出力する。
【0068】
生成部515は、乱数発生部516から受け付けた第1乱数N及び第2乱数Kを用いて、代表電力負荷を組み合わせる。例えば、1番目の第1乱数N=4であり、1番目の第1乱数に対応する第2乱数K=9.3であるとする。生成部515は、第1乱数Nを引数として、第1乱数N=4に対応するパターン4の代表電力負荷を選択する。生成部515は、選択したパターン4の代表電力負荷及びヒストグラムを読み出す。
【0069】
生成部515は、第2乱数Kに基づいてパターン4の代表電力負荷を変化させることにより、新たな電力負荷(以下、再現電力負荷とも称する)を生成する。図7の下側に示すように、再現電力負荷は、第2乱数Kに基づき算出される比率に応じて、代表電力負荷を拡大又は縮小することで得られる。上記比率は、第2乱数Kが示す総通電電力量と、代表電力負荷の総通電電力量との比(第2乱数Kの総通電電力量/代表電力負荷の総通電電力量)とすることができる。生成部515は、パターン4のヒストグラムに基づいて、上記比率を算出する。例えば、算出した比率=0.75であるとする。生成部515は、代表電力負荷を電力方向に0.75倍縮小させた再現負荷を生成する。
【0070】
生成部515は、上述の処理を第1乱数Nの各要素について繰り返すことで、1年間分の再現負荷を生成する。生成部515は、生成した全ての再現負荷を繋ぎ合わせることで、1年間の仮想電力負荷を生成する。
【0071】
生成部515は、複数の仮想の出現確率を取得することで、各代表電力負荷の出現確率を異ならせた複数の仮想電力負荷を生成してもよい。多様な電力の使われ方に対応する出現確率を設定することで、多様な使用態様に応じた仮想電力負荷の生成が可能となる。
【0072】
出力部517は、通信部53を介して、生成部515で生成した仮想電力負荷を寿命予測装置等の外部装置へ送信する。代替的に、情報処理装置50と寿命予測装置とが共通する1台の処理装置として構成され、出力部517は、情報処理装置50内の寿命予測装置へ仮想電力負荷を出力してもよい。
【0073】
図8は、電力負荷を変化させた場合の容量推移の推定結果を示す図である。図8に示すグラフの縦軸は蓄電素子の容量(Ah)、横軸は時間である。グラフ中に示される曲線は、上から順にケース1、ケース2、ケース3それぞれに対する1年目から10年目までの推定結果を示している。
【0074】
ケース1では、1年目から10年目までの全期間にわたり、運用データから得られた1年間の電力負荷の実測データを変化させることなく用いた。ケース2では、1年目から3年目までは上記実測データを用い、4年目から10年目までは、上記実測データにおけるパターン1及びパターン2の出現確率をそれぞれ5%減少させ、パターン3及びパターン4の出現確率をそれぞれ5%増加させた。ケース3では、1年目から3年目までは上記実測データを用い、4年目から10年目までは、上記実測データにおけるパターン1及びパターン2の出現確率を0%とし、パターン4及びパターン5の出現確率を増加させた。ケース3において、パターン4の増加割合はパターン2の減少割合に対応し、パターン5の増加割合はパターン1の減少割合に対応する。
【0075】
10年目の推定容量は、ケース1よりもケース2の方が0.05(Ah)低く、またケース1よりもケース3の方が0.6(Ah)低くなった。上述のように、仮想電力負荷における出現確率を変更することにより、推定容量を変化させ、幅のある容量推移の推定が可能となる。
【0076】
図9は、代表電力負荷の取得処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の各フローチャートにおける処理は、情報処理装置50の記憶部52に記憶するプログラム521に従って制御部51により実行されてもよく、制御部51に備えられた専用のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)により実現されてもよく、それらの組合せによって実現されてもよい。
【0077】
情報処理装置50の制御部51は、第1期間における蓄電素子の電流及び電圧の時系列データを取得し、取得した電流及び電圧の時系列データに基づいて、第1期間における電力の時系列データを示す電力負荷を取得する(ステップS11)。
【0078】
制御部51は、取得した第1期間の電力負荷を第2期間毎に分割し(ステップS12)、複数の短期電力負荷を生成する。制御部51は、例えば分類モデルを用いて、各短期電力負荷を複数グループに分類する(ステップS13)。
【0079】
制御部51は、グループ毎に、グループに属する全ての短期電力負荷における第2期間の総通電電力量を算出することにより、総通電電力量の分布を示すヒストグラムを生成する(ステップS14)。
【0080】
制御部51は、グループ毎の代表電力負荷を抽出する(ステップS15)。具体的には、制御部51は、各グループにおける総通電電力量の最頻値、すなわちヒストグラムのピークに対応する短期電力負荷を特定し、特定した短期電力負荷を代表電力負荷として抽出する。制御部51は、ヒストグラムの縦軸における度数の値を、特定した代表電力負荷に対応する度数が1となるように正規化する。
【0081】
制御部51は、抽出したグループ毎の代表電力負荷及び生成したヒストグラムを記憶部52に記憶し(ステップS16)、一連の処理を終了する。制御部51は、抽出した代表電力負荷を外部装置等へ出力してもよい。
【0082】
図10は、仮想電力負荷の生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
情報処理装置50の制御部51は、記憶部52に記憶する情報に基づいて、グループ毎の代表電力負荷を取得する(ステップS21)。
【0083】
制御部51は、各代表電力負荷の第1期間における仮想の出現確率を取得する(ステップS22)。制御部51は、例えばユーザからの入力を受け付けることにより仮想の出現確率を取得してもよい。制御部51は、複数パターンの仮想の出現確率を取得してもよい。
【0084】
制御部51は、第2期間の長さに対する第1期間の長さ、代表電力負荷の種類、及びステップS22で取得した各代表電力負荷の出現確率に基づいて、第1乱数Nを発生させる(ステップS23)。
【0085】
制御部51は、各グループにおける電力負荷の総通電電力量の分布と、各グループにおける各総通電電力量の頻度とに基づいて、第2乱数Kを発生させる(ステップS24)。
【0086】
制御部51は、第1乱数N及び第2乱数Kを用いて各代表電力負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する(ステップS25)。詳細には、制御部51は、第1乱数Nを引数として、代表電力負荷を順次選択する。制御部51は、第2乱数Kに基づいて、選択した代表電力負荷を電力方向に所定比率で変化させた再現負荷を生成する。制御部51は、生成した第2期間毎の再現負荷を組み合わせることにより、第1期間における仮想電力負荷を生成する。
【0087】
ステップS25において、制御部51は、複数パターンの出現確率の設定値を取得した場合には、各出現確率の設定値に対応した複数パターンの仮想電力負荷を生成する。
【0088】
制御部51は、生成した仮想電力負荷を寿命予測装置等へ出力し(ステップS26)、一連の処理を終了する。
【0089】
本実施形態によれば、蓄電素子の解析に有用な代表電力負荷を取得及び提供できる。代表電力負荷を用いて仮想電力負荷を生成することで、効率的かつ高精度な寿命予測が可能となる。仮想電力負荷における各代表電力負荷の出現確率を変化させることにより、多様な使用態様に応じた仮想電力負荷を生成できる。仮想電力負荷を用いることで、蓄電素子の使われ方が変化した場合の多様な電力負荷を好適に表現することができ、幅のある寿命予測が可能となる。
【符号の説明】
【0090】
100 発電システム
10 通信デバイス
11 制御部
12 記憶部
13 第1通信部
14 第2通信部
20 サーバ装置
30 ドメイン管理装置
40 蓄電ユニット
41 バンク
42 蓄電モジュール
43 計測基板
44 電池管理装置
50 情報処理装置
51 制御部
52 記憶部
53 通信部
511 第1取得部
512 分類部
513 抽出部
514 第2取得部
515 生成部
516 乱数発生部
517 出力部
521 プログラム
M 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10