(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143164
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】区画貫通処理構造、区画貫通処理材、及び区画貫通処理構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
F16L 5/04 20060101AFI20230928BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20230928BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F16L5/04
E04B1/94 F
F16L5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050398
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 秀康
(72)【発明者】
【氏名】島本 倫男
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE04
2E001FA03
2E001FA34
2E001GA07
2E001GA24
(57)【要約】
【課題】耐火性能のバラつきを低減し、かつ耐火性能を向上させることができる区画貫通処理構造、区画貫通処理構造の施工方法、及び区画貫通処理材を提供する。
【解決手段】本発明の区画貫通処理構造は、建築物の仕切り部11に形成され、かつ内部に長尺の挿通体21が挿通される区画貫通部15を防火構造とする区画貫通処理構造10であって、挿通体21に一周以上巻き付けて配置され、仕切り部11に設けられる区画貫通部15の開口13C及び仕切り部11の外面11Bと挿通体21との間の間隙13Eの少なくとも一部を塞ぐテープ状部材4を備え、テープ状部材4は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を少なくとも有し、基材及び前記耐火材層が少なくとも3層積層されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造であって、
前記挿通体に一周以上巻き付けて配置され、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口及び前記仕切り部の外面と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐテープ状部材を備え、
前記テープ状部材は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を少なくとも有し、基材及び前記耐火材層が少なくとも3層積層されている、区画貫通処理構造。
【請求項2】
前記テープ状部材は、前記基材及び前記耐火材層が少なくとも交互に3層積層されている、請求項1に記載の区画貫通処理構造。
【請求項3】
前記テープ状部材は、前記基材及び前記耐火材層の同種の層が連続して積層されている、請求項1又は2に記載の区画貫通処理構造。
【請求項4】
粘着性を有する前記基材又は粘着剤層を備える前記基材、若しくは、粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層を備える前記耐火材層が前記挿通体に接して配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項5】
前記基材が前記挿通体とは反対側の位置にある最外層に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項6】
前記区画貫通部の内部に挿通体以外に、何も設けられない、請求項1~5のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項7】
前記テープ状部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記挿通体に固定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項8】
前記テープ状部材を覆うカバー部材を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項9】
前記カバー部材は、基材を少なくとも有する、請求項8に記載の区画貫通処理構造。
【請求項10】
前記カバー部材は、前記基材及び前記耐火材層が少なくとも2層積層されている、請求項8又は9に記載の区画貫通処理構造。
【請求項11】
前記カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、外側から巻かれた紐状部材又は粘着テープ、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記仕切り部及び前記挿通体に固定される、請求項8~10のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項12】
前記テープ状部材と前記カバー部材との間に空隙がある、請求項8~11のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項13】
前記テープ状部材の少なくとも一部が、外部から視認可能である、請求項1~12のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項14】
前記テープ状部材を備える区画貫通処理材が、前記仕切り部の両側に設けられる、請求項1~13のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項15】
前記テープ状部材が吸音層を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項16】
前記テープ状部材が遮音層を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項17】
前記カバー部材が吸音層を有する、請求項8~16のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項18】
前記カバー部材が遮音層を有する、請求項8~17のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項19】
建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とするために用いる区画貫通処理材であって、
前記挿通体に一周以上巻き付けて配置され、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口及び前記仕切り部の外面と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐテープ状部材を備え、
前記テープ状部材は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を少なくとも有し、基材及び前記耐火材層が少なくとも3層積層されている、区画貫通処理材。
【請求項20】
建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造の施工方法であって、
テープ状部材を前記挿通体に一周以上巻き付けて配置し、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口及び前記仕切り部の外面と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を前記テープ状部材で塞ぐ工程を含み、
前記テープ状部材は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を少なくとも有し、基材及び前記耐火材層が少なくとも3層積層されている、区画貫通処理構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物などの仕切り部において形成される区画貫通処理構造、区画貫通処理構造を形成するための区画貫通処理材、及び区画貫通処理構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅、オフィスビル、学校等の建築物において、壁等の仕切り部には、ケーブル類、配管類などの長尺の挿通体を通すために、区画貫通部が設けられることがある。区画貫通部は、いずれかの区画で火災が発生した際に、他の区画への延焼を防止するために、防火措置を施した構造(耐火構造)にすることが求められている。仕切り部は、2枚の壁部からなり、壁部間が中空部となっている中空壁が一般的である。
【0003】
区画貫通部を耐火構造とする方法は、例えば、長尺の挿通体と貫通孔の間隙に、耐火パテなどの不定形充填材を充填する方法が知られている。不定形充填材を使用する場合、各壁部の貫通孔内部と、挿通体の間には、耐火材よりなる筒状部材などが合わせて配設されることもある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6150933号公報
【特許文献2】特許第6348320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、区画貫通部の防火処理に不定形充填材を使用した場合、作業者によるバラつきがあり、十分な耐火性能が得られないことがある。また、躯体内に耐火材及びその付属品等を設置する場合、それらがどの程度(量や厚み、長さ等)設置されているか明確でなかったり、規定通りに設置されているか判断できなかったりすることがある。そのため、規定通りに耐火材などが設置されているか否かを確認するためには、区画貫通処理構造を破壊して、内部構造を確認する必要がある。
【0006】
また、作業者によるバラつきを低減するため、あらかじめ決められた量、及び大きさの部材が一体化されたキットがあったが、部材点数が多い傾向があり、部材紛失や設置し忘れが生じやすく、また、キットごとの梱包のため、発生するゴミが多いという問題もある。
【0007】
また、内部にケーブル類及び配管類等の長尺の挿通体が挿通される区画貫通構造においては、区画貫通処理構造を施した後に挿通体を動かした場合には、内部に設置された耐火材などが設置されていた適切な位置からずれてしまうことがある。また、地震等の外力によっても、耐火材などが設置されていた適切な位置からずれてしまうことがある。また、耐火材が均一に膨張せずに偏って膨張すると設置されていた適切な位置からずれたり、脱落したりすることがある。このように、耐火材などが設置されていた適切な位置からずれてしまうことによって、区画貫通部の耐火構造として望まれる耐火性能を発揮することが困難となる。
【0008】
そこで、本発明は、耐火性能のバラつきを低減し、かつ耐火性能を向上させることができる区画貫通処理構造、区画貫通処理構造の施工方法、及び区画貫通処理材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造であって、前記挿通体に一周以上巻き付けて配置され、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口及び前記仕切り部の外面と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐテープ状部材を備え、前記テープ状部材は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を少なくとも有し、基材及び前記耐火材層が少なくとも3層積層されている、区画貫通処理構造。
[2]前記テープ状部材は、前記基材及び前記耐火材層が少なくとも交互に3層積層されている、[1]に記載の区画貫通処理構造。
[3]前記テープ状部材は、前記基材及び前記耐火材層の同種の層が連続して積層されている、[1]又は[2]に記載の区画貫通処理構造。
[4]粘着性を有する前記基材又は粘着剤層を備える前記基材、若しくは、粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層を備える前記耐火材層が前記挿通体に接して配置される、[1]~[3]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[5]前記基材が前記挿通体とは反対側の位置にある最外層に配置されている、[1]~[4]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[6]前記区画貫通部の内部に挿通体以外に、何も設けられない、[1]~[5]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[7]前記テープ状部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記挿通体に固定される、[1]~[6]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[8]前記テープ状部材を覆うカバー部材を備える、[1]~[7]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[9]前記カバー部材は、基材を少なくとも有する、[8]に記載の区画貫通処理構造。
[10]前記カバー部材は、前記基材及び前記耐火材層が少なくとも2層積層されている、[8]又は[9]に記載の区画貫通処理構造。
[11]前記カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、外側から巻かれた紐状部材又は粘着テープ、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記仕切り部及び前記挿通体に固定される、[8]~[10]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[12]前記テープ状部材と前記カバー部材との間に空隙がある、[8]~[11]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[13]前記テープ状部材の少なくとも一部が、外部から視認可能である、[1]~[12]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[14]前記テープ状部材を備える区画貫通処理材が、前記仕切り部の両側に設けられる、[1]~[13]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[15]前記テープ状部材が吸音層を有する、[1]~[14]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[16]前記テープ状部材が遮音層を有する、[1]~[15]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[17]前記カバー部材が吸音層を有する、[8]~[16]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[18]前記カバー部材が遮音層を有する、[8]~[17]のいずれかに記載の区画貫通処理構造。
[19]建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とするために用いる区画貫通処理材であって、前記挿通体に一周以上巻き付けて配置され、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口及び前記仕切り部の外面と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐテープ状部材を備え、前記テープ状部材は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を少なくとも有し、基材及び前記耐火材層が少なくとも3層積層されている、区画貫通処理材。
[20]建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造の施工方法であって、テープ状部材を前記挿通体に一周以上巻き付けて配置し、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口及び前記仕切り部の外面と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を前記テープ状部材で塞ぐ工程を含み、前記テープ状部材は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を少なくとも有し、基材及び前記耐火材層が少なくとも3層積層されている、区画貫通処理構造の施工方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐火性能のバラつきを低減し、かつ耐火性能を向上させることができる区画貫通処理構造、区画貫通処理構造の施工方法、及び区画貫通処理材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造において、区画貫通処理材が設置される前の状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造のテープ状部材の構成を示す模式的断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造のテープ状部材の構成を示す模式的断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造のテープ状部材の構成を示す模式的断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る区画貫通処理構造において、区画貫通処理材が設置される前の状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態の変形例に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造の別の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について実施形態を用いてより詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造は、
図1に示すように、建築物の仕切り部11に形成され、かつ内部に長尺の挿通体21が挿通される区画貫通部15を耐火構造とする区画貫通処理構造である。
【0014】
本発明の区画貫通処理構造における仕切り部11は、建築物の壁面において区画間(第1の区画Aと、第2の区画B)を仕切る部材であり、仕切り部11の一方の外面11A側から他方の外面11B側に貫通する区画貫通部15を有する。
図1で示す仕切り部11は、中空壁であり、間隔(中空部13)を介して配置される2枚の壁材(仕切り材)12A,12Bから構成される。そのため、区画貫通部15は、一方の壁材12Aに形成された貫通孔13Aと、他方の壁材12Bに形成された貫通孔13Bと、これらの間にある中空部13によって構成される。そして、一方の壁材12Aの外面が仕切り部11の外面11Aを構成し、他方の壁材12Bの外面が仕切り部11の外面11Bを構成する。貫通孔13A,13Bは、例えば、円形、楕円形、又は、これらに近似する形状を有すればよい。なお、外面11A、11Bそれぞれにおいて貫通孔13A,13Bは、仕切り部11に設けられた区画貫通部15の開口13C,13Dを構成する。
【0015】
なお、本明細書において、区画貫通部15に施工され、区画貫通処理構造10を形成するための部材(本実施形態では、テープ状部材4、及びこれらを固定するための固定部材など)を纏めて区画貫通処理材ということがある。
また、以下では、仕切り部11の一方の開口13C側における区画貫通処理構造の構成について説明するが、本実施形態では、他方の開口13D側における区画貫通処理構造の構成も同様であるのでその説明は省略する。
【0016】
第1の実施形態に係る区画貫通処理構造10は、区画貫通処理材として、テープ状部材4を備え、テープ状部材4が少なくとも、後述するとおりに耐火材層を有する。
【0017】
〔テープ状部材〕
テープ状部材4は、
図1及び
図2に示すように、挿通体21の外周に一周以上巻き付けて配置し、仕切り部11に設けられる区画貫通部15の開口13C及び仕切り部11の外面11Bと挿通体21との間の間隙13Eを塞ぐように設置される。テープ状部材4は、
図2に示すように、挿通体21の外周に一周以上巻き付けられた状態となることで、テープ状部材4には端面4Aが形成され、端面4Aによって、開口13C及び仕切り部11の外面11Bと挿通体21との間の間隙13Eを塞ぐことが可能となる。ここで、本実施形態において、テープ状部材4は、区画貫通部15の開口13C及び仕切り部11の外面11Bと挿通体21との間の間隙13Eを塞ぐ位置に配置される限り、テープ状部材4と開口13Cの間に別の部材があってもよい。テープ状部材4は、間隙13Eの一部を塞ぎ、別の部材により間隙13Eの残りを塞いでもよい。
【0018】
テープ状部材4は、耐火性を有するパテ材により形成される耐火材層(パテ材)及び熱膨張性を有する膨張材により形成される耐火材層(膨張材)の少なくともいずれかを有する。テープ状部材4は、耐火材層を少なくとも有する構成であることで、区画貫通処理構造10の防火性能を確保できる。
【0019】
テープ状部材4に使用される耐火材層は、耐火性を有するパテ材により形成することができる。パテ材により形成された耐火材層は、火災等により焼失することがなく、耐火材層を維持することができる。パテ材は、後述するようにパテ組成物により形成されることが好ましい。
また、テープ状部材4に使用される耐火材層は、熱膨張性を有する膨張材により形成することができる。膨張材により形成された耐火材層は、火災等により耐火材層が膨張することで、設置されていた箇所に有する隙間等を埋めることができ、延焼を防ぐ等の耐火性を発揮することができる。膨張材は、後述するように熱膨張性樹脂組成物により形成されることが好ましい。
【0020】
耐火材層の厚みは、特に限定されないが、例えば0.01~1mm、好ましくは0.1~5mmである。耐火材層がこれら上限値以下の厚みを有することで、テープ状部材4に柔軟性が付与される。また、下限値以上の厚みを有することで、耐火性能を確保しやすくなる。
【0021】
テープ状部材4に使用される基材は、耐火材層を支持し、耐火材層に熱を均等に伝達させる。基材としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔、ガラスクロス、アルミガラスクロスなどの金属箔とガラスクロスの複合体等の金属箔複合体、紙、布、樹脂フィルムなどが挙げられる。これらのなかでは、耐火性の観点から、不燃材料で構成されることが好ましく、具体的には、金属箔及び金属箔複合体が挙げられる。不燃材料とは、建築基準法及び建築基準法施行令において定められるものである。
基材は、挿通体21とは反対側の位置にある最外層に配置されていることが好ましい。テープ状部材4の最外層に基材が配置されていることで、内側に配置されている耐火材層を良好に支持し、耐火材層に熱を均等に伝達させることができるため、耐火材層の機能を発揮しやすくさせることができる。また、テープ状部材4の意匠性を高めることができる。
【0022】
基材の厚みは、特に限定されないが、例えば0.01~2mm、好ましくは0.05~1mmである。不燃材料層がこれら上限値以下の厚みを有することで、テープ状部材4に柔軟性が付与される。また、下限値以上の厚みを有することで、耐火性能を確保しやすくなる。
【0023】
テープ状部材4は、基材及び耐火材層が少なくとも3層積層されている。テープ状部材4が基材及び耐火材層が少なくとも3層積層されている構成であることで、耐火性能のバラつきを低減し、かつ耐火性能を向上させることができる。
テープ状部材4は、
図3(a)~(e)に示すように、基材及び耐火材層が交互に少なくとも3層積層されている構成とすることが好ましい。具体的には、テープ状部材4は、
図3(a)に示すように、基材4a
1,4a
2及び耐火材層4b
1が交互に3層積層されている構成とするとよい。例えば、基材/耐火材層(パテ材)/基材、又は、基材/耐火材層(膨張材)/基材とすることができる。なお、耐火材層(パテ材)とは、パテ材により形成される耐火材層を意味する。耐火材層(膨張材)も同様に、膨張材により形成される耐火材層を意味する。
【0024】
テープ状部材4は、
図3(b)に示すように、基材4a
1及び耐火材層4b
1,4b
2が交互に3層積層されている構成とするとよい。例えば、耐火材層(パテ材)/基材/耐火材層(パテ材)、耐火材層(パテ材)/基材/耐火材層(膨張材)、耐火材層(膨張材)/基材/耐火材層(パテ材)、又は、耐火材層(膨張材)/基材/耐火材層(膨張材)とすることができる。なお、以上の記載においては、左側が挿通体21から最も近い内周側であり、右側が挿通体21から最も遠い外周側である。以下も同様である。これら構造のうち、少なくともパテ材により形成される耐火材層を有することが好ましい。
例えば、テープ状部材4が、パテ材により形成される耐火材層と、膨張材により形成される耐火材層とを備えることで、火災が生じたときにパテ材により形成される耐火材層によりテープ状部材4の形状を維持する一方で、膨張材により形成される耐火材層により火災の延焼を防止できる。また基材を挟み込むように、2つのパテ材により形成される耐火材層が設けられることで、火災が生じたときにパテ材により形成される耐火材層がテープ状部材4の形状を強固に維持し、それにより、火災が生じたときにテープ状部材4が崩落することを防止し、高い耐火性能を維持できる。
【0025】
テープ状部材4は、3層構成に限られず、
図3(c)に示すように、基材4a
1,4a
2及び耐火材層4b
1,4b
2が交互に4層積層されていてもよい。例えば、基材/耐火材層(パテ材)/基材/耐火材層(パテ材)、基材/耐火材層(パテ材)/基材/耐火材層(膨張材)、基材/耐火材層(膨張材)/基材/耐火材層(パテ材)、又は、基材/耐火材層(膨張材)/基材/耐火材層(膨張材)とすることができる。
【0026】
また、テープ状部材4において、基材/耐火材層のように1層ずつ交互に設けられる必要はなく、基材/基材、耐火材層/耐火材層のように同種の層が連続して積層してもよい。基材と耐火材層は、例えば、
図3(d)に示すように、基材4a
1,4a
2が連続して積層し、基材4a
2,4a
3及び耐火材層4b
1が交互に積層されていてもよい。
また、テープ状部材4は、
図3(e)に示すように、積層数に制限はなく、複数の基材4a
1,・・・4a
n-1,4a
n及び複数の耐火材層4b
1,・・・4b
m-1,4b
mが交互に多層積層されていてもよい。
【0027】
本発明では、基材及び耐火材層が交互に少なくとも3層積層されていることで、テープ状部材4が加熱された場合に、耐火材層が基材に適切に支持されて熱を均等に行き渡らせることができ、耐火性を良好にすることができる。
また、テープ状部材4を使用することで、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部15の内部に配置することなく、耐火構造が形成されるので、作業者によるバラつきが生じることもない。
【0028】
なお、テープ状部材4を構成する多層構造において、その全体において同じ層構成を有していてもよいが、部分的に異なる構造を有してもよい。例えば、基材と耐火材層との層構成が一部で変更されていてもよい。
【0029】
テープ状部材4は、
図4(a)に示すように、粘着性を有する基材4a
1を挿通体21から最も近い内周側に配置する構成、又は、
図4(b)に示すように、粘着剤層45を備える基材4a
1を挿通体21から最も近い内周側に配置する構成とし、粘着性を有する基材又は粘着剤層によって挿通体21に接してテープ状部材4を配置するとよい。
また、テープ状部材4は、
図5(a)に示すように、粘着性を有する耐火材層4b
1を通体21から最も近い内周側に配置する構成、又は、
図5(b)に示すように、粘着剤層45を備える耐火材層4b
1を通体21から最も近い内周側に配置する構成とし、粘着性を有する耐火材層又は粘着剤層によって挿通体21に接して配置されてもよい。
以上の構成により、テープ状部材4とは別部材としての固定部材を使用しなくても、テープ状部材4を挿通体21に固定させることができる。また、耐火材層自体に粘着性を持たせることで、粘着剤層を設けなくてもよいので、テープ状部材4の構成をより簡素化できる。なお、テープ状部材4は、その最外面に粘着性を有する耐火材層、又は粘着剤層が設けられる場合、その最外面に剥離シートが貼付されてもよい。剥離シートは、使用時に最外面から剥離されるとよい。
基材は、表面をブチルゴム等により形成することで粘着性を付与することができる。
耐火材層は、ブチルゴム等により形成することで粘着性を付与することができる。
粘着剤層は、粘着剤により形成されるとよく、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。粘着剤層は、不燃性、準不燃性、又は難燃性であってもよく、使用する粘着剤に難燃剤などを配合してもよい。粘着剤層の厚みは、例えば5~400μm、好ましくは10~150μmである。
また、テープ状部材4は、タッカー、ビスなどのテープ状部材4とは別部材である留付材によって挿通体21に固定されるとよい。もちろん、これらの2以上の留付材の組み合わせにより、テープ状部材4は、挿通体21に固定されてもよい。
【0030】
テープ状部材4は、挿通体21の外周に密着するように巻き付けて、挿通体21の形状に合わせて適宜変形させるとよい。
テープ状部材4は、上記のとおり、挿通体21の形状に合わせて変形可能であるとよい。テープ状部材4の厚みは、特に限定されないが、柔軟性が付与され、変形が容易であればよく、例えば0.1~10mm、好ましくは0.5~5mmである。
【0031】
(熱膨張性樹脂組成物)
以下、耐火材層などの耐火材に使用される熱膨張性樹脂組成物についてより詳細に説明する。熱膨張性樹脂組成物は、樹脂成分と、熱膨張性材料を含有する。熱膨張性部材が、樹脂成分を含有する熱膨張性樹脂組成物により形成されることで、テープ状部材4の湾曲や変形が容易となる。
熱膨張性材料としては、加熱することにより発泡する発泡剤、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などの熱膨張性層状無機物が挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性黒鉛を使用することで、火災の加熱により適切に膨張され、また、膨張後の膨張残渣の機械強度が優れ、耐火性を良好にしやすくなる。なお、ここでいう熱膨張性材料とは、後述する成形などによって実質的に膨張せず、熱膨張性樹脂組成物は、耐火材において熱膨張性が維持される。
【0032】
熱膨張性材料の膨張開始温度は、特に限定されないが、例えば、150~350℃であることが好ましく、170~300℃であることがより好ましく、180~280℃であることが更に好ましい。これら下限値以下とすることで、火災以外の加熱により、熱膨張性材料が誤って膨張することを防止する。また、上限値以下とすることで、火災の加熱により確実に熱膨張性材料を膨張させやすくなる。
また、熱膨張性材料の膨張開始温度は、所定量(例えば、100mg)の熱膨張性材料を一定の昇温速度(例えば、10℃/分)で昇温させ、法線方向の力が立ち上がる温度を計測することにより測定可能である。測定装置としては測定温度制御が可能であり、かつ法線方向の応力を測定できるものであればよく、例えばレオメーターを使用すればよい。
熱膨張性部材の膨張倍率は3倍以上であることが好ましく、10倍以上が好ましい。膨張倍率の上限は、特に限定されないが、例えば70倍、好ましくは50倍である。カバー部材に膨張倍率が異なる複数の耐火材層が積層されている場合、膨張倍率は上記範囲内で選択するとよい。また、例えば、仕切り部の外面から最も離れた耐火材層の膨張倍率と、仕切り部の外面から最も近接した耐火材層の膨張倍率との差は、10~80倍であることが好ましく、20~70倍であることがより好ましく、30~60倍であることがさらに好ましい。
なお、膨張倍率は、熱膨張性部材を電気炉に供給し、600℃で30分間加熱した後、試験片の厚さを測定し、(加熱後の試験片の厚さ)/(加熱前の試験片の厚さ)により算出するとよい。
【0033】
以下、熱膨張性材料が、熱膨張性黒鉛である場合の熱膨張性樹脂組成物について詳細に説明する。熱膨張性樹脂組成物の樹脂成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーが挙げられる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂(CPVC)、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリオレフィン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、クロロプレン(CR)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリロニトリル共重合体(ASA)、アクリロニトリル/エチレン-プロピレン-ジエン/スチレン共重合体(AES)等が挙げられる。
硬化性樹脂の例としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
【0034】
エラストマーの例としては、天然ゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴム等のゴムが挙げられる。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、および塩化ビニル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーも挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物の樹脂成分は、1種であってもよいし2種以上を組み合わせてもよい。
【0035】
また、熱膨張性樹脂組成物は、樹脂成分としてエラストマーを使用することで粘着性を有しやすくなる。また、粘着性を発現しやすくする観点から、エラストマーは液状エラストマーを含有することが好ましい。なお、液状エラストマーとは、常温、常圧で液体となるエラストマーである。
【0036】
熱膨張性樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。可塑剤は、樹脂成分がポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂である場合に好ましく使用される。可塑剤の具体的としては、例えば、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等のアジピン酸エステルや、アジピン酸ポリエステルなどの脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、トリー2-エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)等の燐酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイルなどが挙げられる。
可塑剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
熱膨張性樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、熱膨張性樹脂組成物における可塑剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば0.3質量部以上150質量部以下の範囲であり、好ましくは10質量部以上100質量部以下の範囲である。可塑剤は、これら下限値以上とすると、成形性が良好になりやすく、上限値以下となると、成形体に適度な強度が付与される。
【0037】
樹脂成分と可塑剤の合計含有量は、樹脂組成物全量基準で、10質量%以上90質量%以下が好ましく、25質量%以上80質量%以下がより好ましく、40質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。これら下限値以上とすることで、熱膨張性部材の成形性などを良好にできる。また、柔軟性を確保して、湾曲や変形が容易となる。また、上限値以下とすることで、熱膨張性黒鉛、無機充填材などの成分を十分な量配合することが可能になる。
なお、樹脂成分と可塑剤の合計含有量とは、樹脂成分と可塑剤の両方が含有される場合には、これらの合計含有量を意味し、可塑剤を含有しない場合には樹脂成分単独の含有量を意味する。
【0038】
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とにより処理してグラファイト層間化合物を生成させたものである。生成された熱膨張性黒鉛は炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
本発明に使用される熱膨張性黒鉛は、酸処理して得られた熱膨張性黒鉛がアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和されたものなども使用することもできる。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0039】
熱膨張性黒鉛の粒度は、特に限定されないが、20~200メッシュの範囲のものが好ましい。粒度は、下限値以上となると黒鉛の膨張度が大きくなりやすく、発泡性が良好になる。また、上限値以下とすることで、樹脂と混練する際の分散性が良好となり、成形性が向上する。
【0040】
熱膨張性樹脂組成物における熱膨張性黒鉛の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば3質量部以上300質量部以下である。熱膨張性黒鉛の含有量は、3質量部以上となることで、熱膨張性が良好となる。また、300質量部以下となることで、成形性が良好となり、シール部材の表面性、機械的物性、柔軟性なども良好となる。また、熱膨張性黒鉛の含有量を上記範囲内で選択することで、膨張倍率を所望の範囲内に調整しやすくなる。これら観点から、熱膨張性黒鉛の含有量は、好ましくは10質量部以上200質量部以下の範囲であり、より好ましくは15質量部以上100質量部以下の範囲である。
【0041】
熱膨張性樹脂組成物は、さらに無機充填材を含有してもよい。無機充填材は、一般に熱膨張性樹脂組成物に使用されている無機充填材であれば、特に限定はない。具体的には、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、カオリナイト、クレー、マイ力、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸二水素アンモニウムなどのリン酸塩、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アルミニウムなどのポリリン酸塩、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコニア鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。無機充填材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
無機充填材を含有する場合、熱膨張性樹脂組成物における無機充填材の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、好ましく3質量部以上200質量部以下の範囲であり、より好ましくは10質量部以上150質量部以下の範囲である。
【0042】
熱膨張性樹脂組成物は、公知の粘着付与剤を含有してもよい。粘着付与剤を含有することで、熱膨張性部材に粘着性を付与しやすくなる。
また本発明に使用する熱膨張性樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、必要に応じて、熱安定剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、架橋剤、架橋促進剤等の熱膨張性樹脂組成物に一般的に使用される添加剤が添加されてもよい。これらの中では加工助剤を使用することが好ましい。
【0043】
熱膨張性部材は、例えば下記のようにして製造することができる。まず、所定量の樹脂成分、熱膨張性材料、及びその他の必要に応じて配合される添加剤を、混練ロールなどの混合機で混合して、熱膨張性樹脂組成物を得る。熱膨張性樹脂組成物は、適宜溶剤が添加されて、希釈されてもよい。
必要に応じて希釈された熱膨張性樹脂組成物は、基材、剥離シートなどの支持体に塗布し、適宜乾燥、硬化などされて、支持体の一方の面上に耐火材層(膨張材)が形成されるとよい。また、押出成形など公知の方法により支持体の一方の面上に耐火材層が形成されてもよい。剥離シート上に形成された耐火材層は、剥離シートから剥離することで、単層の耐火材層を得ることができる。そして、剥離シートから剥離した後に別の層上に積層することで、多層構造の耐火材層を得るとよい。また、剥離シート上、又は他の支持体上に積層された状態のまま、他の層に積層されてもよい。
【0044】
(パテ組成物)
以下、耐火材層などの耐火材に使用されるパテ組成物についてより詳細に説明する。パテ組成物は、バインダー成分と、充填材とを含有する。
バインダー成分は、熱膨張性樹脂組成物で用いる樹脂成分を適宜使用でき、好ましくはエラストマーを使用することができる。また、バインダー成分としては、液状エラストマーであることがより好ましく、例えば、液状ポリブタジエンゴム、液状スチレン・ブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム及び液状イソプレンゴム等が挙げられる。
充填材としては、熱膨張性樹脂組成物で用いる無機充填材を適宜使用することができる。無機充填材としては、中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、タルク及びカオリナイト、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化亜鉛等の金属水酸化物、リン酸塩、ポリリン酸塩、高分子無機ポリリン酸塩、リン酸塩鉱物等のリン化合物、並びに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム及び炭酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸鉄、炭酸銀等の炭酸塩化合物などが好ましい。これら無機充填材を使用することで、パテ材に耐火性を付与しやすくなる。
パテ組成物は、必要に応じて、熱膨張性樹脂組成物と同様に、可塑剤、粘着付与樹脂、その他の成分を配合することができる。ただし、パテ組成物は、熱膨張性材料を含有しない。
【0045】
パテ組成物における無機充填材の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、好ましく30質量部以上500質量部以下の範囲であり、より好ましくは50質量部以上400質量部以下の範囲であり、更に好ましくは80質量部以上250質量部以下の範囲である。
パテ材は、上記熱膨張性樹脂組成物と同様の方法により形成できる。
なお、以上の説明では、パテ組成物は、上記のとおりバインダー成分として樹脂成分(有機物)を使用する例を説明したが、耐火パテとして使用できる従来公知のものを適宜選択して使用できる。例えば、バインダー成分に樹脂成分を使用する必要はなく、有機物を含有しない耐火パテであってもよく、例えば粘土からなる耐火パテであってもよい。
【0046】
本実施形態における区画貫通処理構造10の施工方法は、上述したテープ状部材4を挿通体21に一周以上巻き付けて配置し、仕切り部11に設けられる区画貫通部15の開口13C及び仕切り部11の外面11Bと挿通体21との間の間隙13Eの少なくとも一部を塞ぐようにテープ状部材4を設置する工程を含む。
【0047】
以上の本実施形態の構成によれば、区画貫通部15の開口13C内部の間隙13Eが、テープ状部材4により塞がれ、かつこれらうち少なくともテープ状部材4が耐火材層を有する。したがって、区画貫通部処理構造10に適切な耐火性能を付与でき、その施工も容易である。
また、本実施形態では、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部15の内部に配置することなく、テープ状部材4により耐火構造が形成されるので、作業者によるバラつきが生じることもない。
【0048】
さらに、本実施形態では、少なくともテープ状部材4の少なくとも一部が露出しており、外部から視認可能である。また、テープ状部材4を固定するための固定部材が設けられる場合、固定部材も外部から視認可能な位置に配置するとよい。そして、区画貫通部15の内部には、挿通体21以外の部材が何も設けられない。そのため、区画貫通処理材は、規定通り施工されたことが目視や写真撮影により簡単に点検できる。また、施工忘れなども発生にくくなる。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について詳細に説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と相違する点は、
図6に示すように、テープ状部材4を覆うカバー部材5を備える構成である。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。また、説明を省略する部分は、第1の実施形態と同様である。また、以下の説明では、上記第1の実施形態と同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
【0050】
カバー部材5は、基材を少なくとも有する。カバー部材5は、単層からなるものでもよい。カバー部材5は、基材及び耐火材層が少なくとも2層積層されていることが好ましい。
カバー部材5は、内側に覆って配置されている部材を良好に保護することができる。つまり、カバー部材5でテープ状部材4を覆う構成とすることで、内側に配置されているテープ状部材4を良好に保護することができるため、テープ状部材4の機能を発揮しやすくすることができる。
カバー部材5は、少なくとも2層積層されている場合は、挿通体21とは反対側の位置にある最外層が基材であることが好ましい。カバー部材5の挿通体21とは反対側の位置にある最外層が基材であることで、意匠性を高めることができる。
【0051】
カバー部材5は、シート状であり、かつ、変形できることで、挿通体21に容易に密着させて配置することが可能であり、テープ状部材4を容易に覆うことが可能である。
カバー部材5は、
図6に示すように、例えば、四角形であり、かつ挿通体21が内部に挿通されるためのスリット54を有し、スリット54の少なくとも1つがカバー部材5の外縁まで延在する。スリット54は、切込みにより形成される。カバー部材5は、外縁まで延在するスリット54を介して、挿通体21をカバー部材5の内部に挿入させることが可能である。本実施形態では、挿通体21をスリット54により内部に挿入させたカバー部材5は、適宜変形されることで、一部を仕切り部11上に配置させ、かつ挿通体21に巻き付けるように設置させることができる。
【0052】
カバー部材5は、粘着性を有する基材を挿通体21から最も近い一面5Aに配置する構成、又は、粘着剤層を備える基材を挿通体21から最も近い一面5Aに配置する構成とし、粘着性を有する基材又は粘着剤層によって挿通体21に接してカバー部材5を配置するとよい。
また、カバー部材5は、粘着性を有する耐火材層を挿通体21から最も近い一面5Aに配置する構成する構成、又は、粘着剤層を備える耐火材層を挿通体21から最も近い一面5Aに配置する構成とし、粘着性を有する耐火材層又は粘着剤層によって挿通体21に接して配置されてもよい。
粘着剤層は、粘着剤により形成されるとよく、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。粘着剤層は、不燃性、準不燃性、又は難燃性であってもよく、使用する粘着剤に難燃剤などを配合してもよい。粘着剤層の厚みは、例えば5~400μm、好ましくは10~150μmである。
以上の構成により、カバー部材5とは別部材としての固定部材を使用しなくても、カバー部材5を挿通体21に固定させることができる。また、耐火材層自体に粘着性を持たせることで、粘着剤層を設けなくてもよいので、カバー部材5の構成をより簡素化できる。なお、カバー部材5は、その一面5Aに粘着性を有する耐火材層、又は粘着剤層が設けられる場合、その一面5Aに剥離シートが貼付されてもよい。剥離シートは、使用時に一面5Aから剥離されるとよい。
【0053】
また、カバー部材5は、
図7に示すように、タッカー、ビスなどのカバー部材5とは別部材である留付材6Aによって仕切り部11の外面11Aに固定され、カバー部材5の外周側から巻かれた紐状部材及び粘着テープ等の留付材6Bによって挿通体21に固定する態様とすることができる。もちろん、これらの2以上の組み合わせにより、カバー部材5は、仕切り部11及び挿通体21に固定されてもよい。
【0054】
カバー部材5は、仕切り部11及び挿通体21に固定されて設置され、テープ状部材4とカバー部材5との間に空隙40を形成するように設置する。テープ状部材4とカバー部材5との間に空隙40があることで、カバー部材5は、挿通体21の軸方向の動きに対する裕度を持って固定される。カバー部材5が裕度を持って挿通体21に固定されることで、カバー部材5の設置後に、カバー部材5の内側に配置された挿通体21を軸方向に動かした場合であっても、カバー部材5の裕度によってカバー部材5が挿通体21と一緒に動いてしまうことを緩衝する。カバー部材5が挿通体21と一緒に動いてしまうことを緩衝することで、カバー部材5が区画貫通部15からずれることを抑制することができる。つまり、このような構成とすることで、カバー部材5を区画貫通部15における適切な位置に維持して配置し続けることができ、区画貫通部15の耐火性を維持することができる。
テープ状部材4とカバー部材5との間に空隙40があり、カバー部材5が挿通体21の軸方向の動きに対して裕度を持って固定される構成としては種々の形態を取り得る。例えば、カバー部材5の少なくとも一部が屈曲ないし湾曲できるような柔軟性や伸縮性を有する材料による構成、及び、カバー部材5の少なくとも一部が挿通体21に対してたるみを有するように固定する構成等が挙げられる。
【0055】
カバー部材5によって、仕切り部11及び挿通体21との間に空隙40を形成されたことで、空隙40は、テープ状部材4及びカバー部材5との間の空気層として機能する。空隙40がテープ状部材4及びカバー部材5との間の空気層として機能することで、区画貫通処理構造における耐火性能を向上させることができる。
【0056】
以上の本実施形態の構成によれば、区画貫通部15の開口13C内部の間隙13Eが、テープ状部材4及びカバー部材5により塞がれ、かつこれらうち少なくとも、テープ状部材4が、耐火材を有する。したがって、区画貫通部処理構造10に適切な耐火性能を付与できる。
テープ状部材4の構成は上記の通りであるが、本実施形態において、テープ状部材4の耐火材層、特に膨張材により形成される耐火材層を外周側の最外層に設けることが好ましい。テープ状部材4が膨張材により形成される耐火材層を外周側の最外層に設けることで、火災等により耐火材層が熱膨張した場合に、カバー部材5により保持され、膨張残渣の欠落などを防止できる。
本実施形態の構成のように、カバー部材5がある場合には、テープ部材4によって、間隙13Eの全てを塞ぐ必要はなく、間隙13Eの一部をカバー部材4により塞ぎ、そして間隙13Eの残部をテープ部材5により塞ぐ形態とすることができる。
また、上記で説明した通り、区画貫通処理構造10は、テープ状部材4とカバー部材5とを用意し、まず、テープ状部材4を挿通体21に一周以上巻き付けて配置し、仕切り部11に設けられる区画貫通部15の開口13C及び仕切り部11の外面11Bと挿通体21との間の間隙13Eの少なくとも一部を塞ぐようにテープ状部材4を設置する。次いで、テープ状部材4を覆うようにカバー部材5を仕切り部11及び挿通体21に固定することで施工できる。したがって、その施工が容易である。
また、本実施形態では、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部15の内部に配置することなく、テープ状部材4及びカバー部材5により耐火構造が形成されるので、作業者によるバラつきが生じることもない。
【0057】
さらに、本実施形態では、少なくともカバー部材5が露出しており、外部から視認可能である。また、カバー部材5を固定するための固定部材が設けられる場合、固定部材も外部から視認可能な位置に配置するとよい。そして、区画貫通部15の内部には、挿通体21以外の部材が何も設けられない。そのため、区画貫通処理材は、規定通り施工されたことが目視や写真撮影により簡単に点検できる。また、施工忘れなども発生にくくなる。
【0058】
[第2の実施形態の変形例]
図7で示した区画貫通処理構造10では、カバー部材5は、一方が挿通体21に固定して設置する態様を示したが、
図8に示すように、挿通体21に巻きつけられて配置されたテープ状部材4に固定して設置する態様でもよい。
このような態様とすることで、少なくともテープ状部材4の端面4Bが露出しており、外部から視認可能である。そのため、区画貫通処理材は、規定通り施工されたことが目視や写真撮影により簡単に点検できる。また、施工忘れなども発生にくくなる。
【0059】
[その他の実施形態]
本発明は、以上の第1及び第2の実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない限りいかなる改良、変更を行ってもよい。
例えば、上記各実施形態において区画貫通処理材は、区画貫通部15の内部に配置される部材を有してもよい。そのような部材として、例えば、耐火材、付属品が挙げられる。その具体例として、第1の実施形態の変形例を
図9に示す。耐火材としては、
図9に示すようなブロック状の耐火材80が使用され、そのブロック状の耐火材80が、テープ状部材4に連結されてもよい。連結する態様は、特に限定されないが、例えば、テープ状部材4の一方の面に積層されてもよいし、テープ状部材4の端面4Aに連結されてもよい。耐火材80は、上記の通り、加熱により膨張する熱膨張性部材からなることが好ましく、中でも熱膨張性樹脂組成物より形成されることが好ましい。
【0060】
また、以上の説明では、仕切り部11は、内部に中空部13がある中空壁であったが、中空壁に限定されず、中空が設けられない壁であってもよく、例えば1枚の壁材からなるものでもよい。また、仕切り部11は、建築物の壁に限定されず、建築物の天井、床であってもよい。仕切り部は、天井、床の場合でも、2枚の仕切り材の間に中空部を有する構造であってもよいし、中空部がない構造であり、例えば1枚の仕切り材から構成されてもよい。
【0061】
また、以上の各実施形態では、仕切り部11の両方の開口13C,13D(すなわち、仕切り部11の両側)に、いずれも同じ構造の区画貫通処理材が設けられることを前提に説明したが、各開口13C,13Dには、別の構造の区画貫通処理構造が設けられてもよい。例えば、一方の開口13Cに第1の実施形態に係る区画貫通処理構造が設けられ、他方の開口13Dに第2の実施形態に係る区画貫通処理構造が設けられてもよい。また、開口13Dにおける区画貫通処理材が省略されてもよい。
【0062】
以上の各実施形態において、区画貫通処理構造10における吸音性を向上させる観点から、テープ状部材4が吸音層(図示せず)を有する構成とすることができる。また、以上の各実施形態において、区画貫通処理構造10における吸音性を向上させる観点から、テープ状部材4が吸音層(図示せず)を有する構成とすることができる。
吸音層は、グラスウール、ロックウール、軟質ウレタンフォーム、セラミックファイバー、セルロースファイバー、及びニードルパンチマットなどにより構成することができる。
吸音層の厚みは、特に限定されないが、例えば0.1~10mm、好ましくは0.5~5mmである。吸音層がこれら上限値以下の厚みを有することで、テープ状部材4の設置を容易にすることができる。また、吸音層がこれら下限値以上の厚みを有することで、吸音性能を確保しやすくなる。
【0063】
以上の各実施形態において、区画貫通処理構造10における遮音性を向上させる観点から、テープ状部材4が遮音層(図示せず)を有する構成とすることができる。また、以上の各実施形態において、区画貫通処理構造10における遮音性を向上させる観点から、テープ状部材4が遮音層(図示せず)を有する構成とすることができる。
遮音層は、アスファルトシート、オレフィンシート、及び鉄系軟質シートなどにより構成することができる。また、遮音層は、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを高充填した樹脂材料によっても構成することができる。具体的には、オレフィン系樹脂100質量部に対して、無機フィラーを300~600質量部含有する樹脂組成物から構成されることが好ましく、350~550質量部含有する樹脂組成物から構成されることがより好ましく、400~500質量部含有する樹脂組成物から構成されることがさらに好ましい。このように、無機フィラーを高充填した樹脂材料は、単位体積当たりの質量が大きくなることによって、遮音効果を効果的に発揮する。
遮音層の厚みは、特に限定されないが、例えば0.1~10mm、好ましくは0.5~5mmである。遮音層がこれら上限値以下の厚みを有することで、テープ状部材4の設置を容易にすることができる。また、遮音層がこれら下限値以上の厚みを有することで、遮音性能を確保しやすくなる。
【0064】
吸音層又は遮音層が設けられる場合、吸音層又は遮音層は、基材に隣接させることが好ましく、それにより、吸遮音層は基材に支持させることができる。
また、吸音層又は遮音層は、カバー部材5に設けられてもよく、この場合も、吸音層又は遮音層は、基材に隣接させることが好ましい。
なお、吸音層又は遮音層は、テープ状部材4において2つ以上設けられてもよいし、カバー部材5において2つ以上設けられてもよいし、テープ状部材4とカバー部材5それぞれに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0065】
4 テープ状部材
5 カバー部材
6A、6B 留付材
10 区画貫通処理構造
11 仕切り部
12A,12B 壁材
13 中空部
13A,13B 貫通孔
13C,13D 開口
13E 間隙
15 区画貫通部
21 挿通体
40 空隙
45 スリット
80 耐火材