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特開2023-143165区画貫通処理構造、区画貫通処理材、及び区画貫通処理構造の施工方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143165
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】区画貫通処理構造、区画貫通処理材、及び区画貫通処理構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
F16L 5/04 20060101AFI20230928BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20230928BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20230928BHJP
【ＦＩ】
F16L5/04
E04B1/94 F
F16L5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022050399
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 秀康
(72)【発明者】
【氏名】島本 倫男
【テーマコード（参考）】
2E001
【Ｆターム（参考）】
2E001FA03
2E001FA34
2E001GA07
(57)【要約】
【課題】防火性能のバラつきを低減し、かつ区画貫通処理材が規定通りに設置されていることを簡単に確認できる。
【解決手段】区画貫通処理構造１０は、建築物の仕切り部１１に形成され、かつ内部に長尺の挿通体２１が挿通される区画貫通部１５を防火構造とする。区画貫通処理構造１０は、仕切り部１１に設けられる区画貫通部１５の開口１３Ｃと挿通体２１との間の間隙１３Ｅの少なくとも一部を塞ぐシート状部材１８と、挿通体２１に一周以上巻き付けて配置されるテープ状部材１９とを備え、シート状部材１８及びテープ状部材１９の少なくともいずれかが耐火材を有する。
【選択図】図１
【解決手段】区画貫通処理構造１０は、建築物の仕切り部１１に形成され、かつ内部に長尺の挿通体２１が挿通される区画貫通部１５を防火構造とする。区画貫通処理構造１０は、仕切り部１１に設けられる区画貫通部１５の開口１３Ｃと挿通体２１との間の間隙１３Ｅの少なくとも一部を塞ぐシート状部材１８と、挿通体２１に一周以上巻き付けて配置されるテープ状部材１９とを備え、シート状部材１８及びテープ状部材１９の少なくともいずれかが耐火材を有する。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造であって、
前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、
前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、
前記耐火体が、耐火性を有するパテ材、熱膨張性を有する膨張材、並びに、外装材を備える前記パテ材又は前記膨張材の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造。
前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、
前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、
前記耐火体が、耐火性を有するパテ材、熱膨張性を有する膨張材、並びに、外装材を備える前記パテ材又は前記膨張材の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造。
【請求項2】
前記外装材を備える耐火体が耐火袋である、請求項１に記載の区画貫通処理構造。
【請求項3】
前記外装材が、金属複合体、不織布、及び樹脂フィルムからなる群から選択される少なくとも１種である、請求項１又は２に記載の区画貫通処理構造。
【請求項4】
前記耐火体が、粘着性を有する、請求項１～３のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項5】
前記第１カバー部材が、少なくとも基材を有する、請求項１～４のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項6】
前記第１カバー部材が、基材及び耐火材層を少なくとも有する、請求項５に記載の区画貫通処理構造。
【請求項7】
前記第１カバー部材は、基材及び耐火材層が少なくとも交互に２層以上積層され、または、前記基材及び耐火材層の同種の層が連続して積層されている、請求項６に記載の区画貫通処理構造。
【請求項8】
粘着性を有する前記基材又は粘着剤層を備える前記基材、若しくは、粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層を備える前記耐火材層が前記仕切り部又は前記挿通体に接して配置される、請求項５～７のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項9】
前記基材が前記仕切り部とは反対側の位置にある最外層に配置されている、請求項５～８のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項10】
前記区画貫通部の内部に挿通体以外に、何も設けられない、請求項１～９のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項11】
前記第１カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、外側から巻かれた紐状部材又は粘着テープ、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記挿通体に固定される、請求項１～１０のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項12】
前記耐火体が、前記第１カバー部材と前記仕切り部の間の間隙に配置される請求項１～１１のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項13】
前記耐火体を前記第１カバー部材との間に挟むように第２カバー部材が配置される、請求項１２に記載の区画貫通処理構造。
【請求項14】
前記耐火体が、前記カバー部材に接着されて配置される請求項１～１３のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項15】
前記第２カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記仕切り部に固定される、請求項１３に記載の区画貫通処理構造。
【請求項16】
前記第１カバー部材を備える区画貫通処理材が、前記仕切り部の両側に設けられる請求項１～１５のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項17】
前記第１カバー部材が吸音層を有する、請求項１～１６のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項18】
前記第１カバー部材が遮音層を有する、請求項１～１７のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項19】
前記第２カバー部材が吸音層を有する、請求項１３又は１５に記載の区画貫通処理構造。
【請求項20】
前記第２カバー部材が遮音層を有する、請求項１３、１５、又は１９のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
【請求項21】
建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とするために用いる区画貫通処理材であって、
前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、
前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、
前記耐火体が、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理材。
前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、
前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、
前記耐火体が、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理材。
【請求項22】
建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造の施工方法であって、
前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材、及び前記第１カバー部材の近傍に耐火体を設置する工程を含み、
前記耐火体は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造の施工方法。
前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材、及び前記第１カバー部材の近傍に耐火体を設置する工程を含み、
前記耐火体は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物などの仕切り部において形成される区画貫通処理構造、区画貫通処理構造を形成するための区画貫通処理材、及び区画貫通処理構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅、オフィスビル、学校等の建築物において、壁等の仕切り部には、ケーブル類、配管類などの長尺の挿通体を通すために、区画貫通部が設けられることがある。区画貫通部は、いずれかの区画で火災が発生した際に、他の区画への延焼を防止するために、防火措置を施した構造（防火構造）にすることが求められている。仕切り部は、２枚の壁部からなり、壁部間が中空部となっている中空壁が一般的である。
【0003】
区画貫通部を防火構造とする方法は、例えば、長尺の挿通体と貫通孔の間隙に、耐火パテや、耐火パテを袋体内部に詰めた耐火パックなどを充填する方法が知られている。不定形充填材を使用する場合、各壁部の貫通孔内部と、挿通体の間には、耐火材よりなる筒状部材などが合わせて配設されることもある（例えば、特許文献１、２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第６１５０９３３号公報
【特許文献2】特許第６３４８３２０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、区画貫通部の防火処理に不定形充填材を使用した場合、作業者によるバラつきがあり、十分な防火性能が得られないことがある。また、躯体内に耐火材及びその付属品等を設置する場合、それらがどの程度（量や厚み、長さ等）設置されているか明確でなかったり、規定通りに設置されているか判断できなかったりすることがある。そのため、規定通りに耐火材などが設置されているか否かを確認するためには、区画貫通処理構造を破壊して、内部構造を確認する必要がある。
【0006】
また作業者によるバラつきを低減するため、あらかじめ決められた量、及び大きさの部材が一体化されたキットがあったが、部材点数が多い傾向があり、部材紛失や設置し忘れが生じやすく、また、キットごとの梱包のため、発生するゴミが多いという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、防火性能のバラつきを低減し、かつ区画貫通処理材が規定通りに設置されていることを簡単に確認できる、区画貫通処理構造、区画貫通処理構造の施工方法、及び区画貫通処理材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の要旨は、以下のとおりである。
［１］建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造であって、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、前記耐火体が、耐火性を有するパテ材、熱膨張性を有する膨張材、並びに、外装材を備える前記パテ材又は前記膨張材の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造。
［２］前記外装材を備える耐火体が耐火袋である、［１］に記載の区画貫通処理構造。
［３］前記外装材が、金属複合体、不織布、及び樹脂フィルムからなる群から選択される少なくとも１種である、［１］又は［２］に記載の区画貫通処理構造。
［４］前記耐火体が、粘着性を有する、［１］～［３］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［５］前記第１カバー部材が、少なくとも基材を有する、［１］～［４］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［６］前記第１カバー部材が、基材及び耐火材層を少なくとも有する、［５］に記載の区画貫通処理構造。
［７］前記第１カバー部材は、基材及び耐火材層が少なくとも交互に２層以上積層され、または、前記基材及び耐火材層の同種の層が連続して積層されている、［６］に記載の区画貫通処理構造。
［８］粘着性を有する前記基材又は粘着剤層を備える前記基材、若しくは、粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層を備える前記耐火材層が前記仕切り部又は前記挿通体に接して配置される、［５］～［７］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［９］前記基材が前記仕切り部とは反対側の位置にある最外層に配置されている、［５］～［８］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１０］前記区画貫通部の内部に挿通体以外に、何も設けられない、［１］～［９］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１１］前記第１カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、外側から巻かれた紐状部材又は粘着テープ、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記挿通体に固定される、［１］～［１０］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１２］前記耐火体が、前記第１カバー部材と前記仕切り部の間の間隙に配置される請求項［１］～［１１］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１３］前記耐火体を前記第１カバー部材との間に挟むように第２カバー部材が配置される、［１２］に記載の区画貫通処理構造。
［１４］前記耐火体が、前記カバー部材に接着されて配置される［１］～［１３］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１５］前記第２カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記仕切り部に固定される、［１３］に記載の区画貫通処理構造。
［１６］前記第１カバー部材を備える区画貫通処理材が、前記仕切り部の両側に設けられる［１］～［１５］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１７］前記第１カバー部材が吸音層を有する、［１］～［１６］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１８］前記第１カバー部材が遮音層を有する、［１］～［１７］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１９］前記第２カバー部材が吸音層を有する、［１３］又は［１５］に記載の区画貫通処理構造。
［２０］前記第２カバー部材が遮音層を有する、［１３］、［１５］、又は［１９］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［２１］建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とするために用いる区画貫通処理材であって、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、前記耐火体が、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理材。
［２２］建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造の施工方法であって、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材、及び前記第１カバー部材の近傍に耐火体を設置する工程を含み、前記耐火体は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造の施工方法。
［１］建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造であって、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、前記耐火体が、耐火性を有するパテ材、熱膨張性を有する膨張材、並びに、外装材を備える前記パテ材又は前記膨張材の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造。
［２］前記外装材を備える耐火体が耐火袋である、［１］に記載の区画貫通処理構造。
［３］前記外装材が、金属複合体、不織布、及び樹脂フィルムからなる群から選択される少なくとも１種である、［１］又は［２］に記載の区画貫通処理構造。
［４］前記耐火体が、粘着性を有する、［１］～［３］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［５］前記第１カバー部材が、少なくとも基材を有する、［１］～［４］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［６］前記第１カバー部材が、基材及び耐火材層を少なくとも有する、［５］に記載の区画貫通処理構造。
［７］前記第１カバー部材は、基材及び耐火材層が少なくとも交互に２層以上積層され、または、前記基材及び耐火材層の同種の層が連続して積層されている、［６］に記載の区画貫通処理構造。
［８］粘着性を有する前記基材又は粘着剤層を備える前記基材、若しくは、粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層を備える前記耐火材層が前記仕切り部又は前記挿通体に接して配置される、［５］～［７］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［９］前記基材が前記仕切り部とは反対側の位置にある最外層に配置されている、［５］～［８］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１０］前記区画貫通部の内部に挿通体以外に、何も設けられない、［１］～［９］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１１］前記第１カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、外側から巻かれた紐状部材又は粘着テープ、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記挿通体に固定される、［１］～［１０］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１２］前記耐火体が、前記第１カバー部材と前記仕切り部の間の間隙に配置される請求項［１］～［１１］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１３］前記耐火体を前記第１カバー部材との間に挟むように第２カバー部材が配置される、［１２］に記載の区画貫通処理構造。
［１４］前記耐火体が、前記カバー部材に接着されて配置される［１］～［１３］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１５］前記第２カバー部材は、内側に配置された粘着性を有する前記耐火材層又は粘着剤層、及び、外側から設置された固定部材の少なくともいずれかによって前記仕切り部に固定される、［１３］に記載の区画貫通処理構造。
［１６］前記第１カバー部材を備える区画貫通処理材が、前記仕切り部の両側に設けられる［１］～［１５］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１７］前記第１カバー部材が吸音層を有する、［１］～［１６］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１８］前記第１カバー部材が遮音層を有する、［１］～［１７］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［１９］前記第２カバー部材が吸音層を有する、［１３］又は［１５］に記載の区画貫通処理構造。
［２０］前記第２カバー部材が遮音層を有する、［１３］、［１５］、又は［１９］のいずれか１項に記載の区画貫通処理構造。
［２１］建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とするために用いる区画貫通処理材であって、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材と、前記第１カバー部材の近傍に配置された耐火体とを備え、前記耐火体が、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理材。
［２２］建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を耐火構造とする区画貫通処理構造の施工方法であって、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間の間隙の少なくとも一部を塞ぐ第１カバー部材、及び前記第１カバー部材の近傍に耐火体を設置する工程を含み、前記耐火体は、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火体、並びに、外装材を備える耐火体の少なくともいずれかである、区画貫通処理構造の施工方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防火性能のバラつきを低減し、かつ区画貫通処理材が規定通りに設置されていることを簡単に確認できる、区画貫通処理構造、区画貫通処理構造の施工方法、及び区画貫通処理材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造において、区画貫通処理材が設置される前の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造の第１カバー部材の構成を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造の第１カバー部材の構成を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造の第１カバー部材の構成を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の第１の実施形態の変形例１に係る区画貫通処理構造において、第１カバー部材の別の形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第１の実施形態の変形例２に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第１の実施形態の変形例３に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第２の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造の別の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の管遮蔽構造について実施形態を用いてより詳細に説明する。
【0012】
［第１の実施形態］
本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造は、図１に示すように、建築物の仕切り部１１に形成され、かつ内部に長尺の挿通体２１が挿通される区画貫通部１５を耐火構造とする区画貫通処理構造１０である。
仕切り部１１は、建築物の壁面において区画間（第１の区画Ａと、第２の区画Ｂ）を仕切る部材であり、仕切り部１１の一方の外面１１Ａ側から他方の外面１１Ｂ側に貫通する区画貫通部１５を有する。図１で示す仕切り部１１は、中空壁であり、間隔（中空部１３）を介して配置される２枚の壁材（仕切り材）１２Ａ，１２Ｂから構成される。そのため、区画貫通部１５は、一方の壁材１２Ａに形成された貫通孔１３Ａと、他方の壁材１２Ｂに形成された貫通孔１３Ｂと、これらの間にある中空部１３によって構成される。そして、一方の壁材１２Ａの外面が仕切り部１１の外面１１Ａを構成し、他方の壁材１２Ｂの外面が仕切り部１１の外面１１Ｂを構成する。貫通孔１３Ａ，１３Ｂは、例えば、円形、楕円形、又は、これらに近似する形状を有すればよい。なお、外面１１Ａ、１１Ｂそれぞれにおいて貫通孔１３Ａ，１３Ｂは、仕切り部１１に設けられた区画貫通部１５の開口１３Ｃ，１３Ｄを構成する。
本発明の第１の実施形態に係る区画貫通処理構造は、図１に示すように、建築物の仕切り部１１に形成され、かつ内部に長尺の挿通体２１が挿通される区画貫通部１５を耐火構造とする区画貫通処理構造１０である。
仕切り部１１は、建築物の壁面において区画間（第１の区画Ａと、第２の区画Ｂ）を仕切る部材であり、仕切り部１１の一方の外面１１Ａ側から他方の外面１１Ｂ側に貫通する区画貫通部１５を有する。図１で示す仕切り部１１は、中空壁であり、間隔（中空部１３）を介して配置される２枚の壁材（仕切り材）１２Ａ，１２Ｂから構成される。そのため、区画貫通部１５は、一方の壁材１２Ａに形成された貫通孔１３Ａと、他方の壁材１２Ｂに形成された貫通孔１３Ｂと、これらの間にある中空部１３によって構成される。そして、一方の壁材１２Ａの外面が仕切り部１１の外面１１Ａを構成し、他方の壁材１２Ｂの外面が仕切り部１１の外面１１Ｂを構成する。貫通孔１３Ａ，１３Ｂは、例えば、円形、楕円形、又は、これらに近似する形状を有すればよい。なお、外面１１Ａ、１１Ｂそれぞれにおいて貫通孔１３Ａ，１３Ｂは、仕切り部１１に設けられた区画貫通部１５の開口１３Ｃ，１３Ｄを構成する。
【0013】
なお、本明細書において、区画貫通部１５に施工され、区画貫通処理構造１０を形成するための部材（本実施形態では、第１カバー部材５、耐火体３、及びこれらを固定するための固定部材など）を纏めて区画貫通処理材ということがある。
また、以下では、仕切り部１１の一方の開口１３Ｃ側における区画貫通処理構造の構成について説明するが、本実施形態では、他方の開口１３Ｄ側における区画貫通処理構造の構成も同様であるのでその説明は省略する。
区画貫通処理構造１０は、第１カバー部材５及び耐火体３を備える。第１カバー部材５は、仕切り部１１に設けられる区画貫通部１５の開口１３Ｃを覆うように設置され、開口１３Ｃと挿通体２１の間の隙間１３Ｅを塞ぐ。第１カバー部材５は、シート状であり、かつ、変形できることで、挿通体２１に容易に密着させて配置することが可能であり、区画貫通部１５の開口１３Ｃを容易に覆うことが可能である。
また、以下では、仕切り部１１の一方の開口１３Ｃ側における区画貫通処理構造の構成について説明するが、本実施形態では、他方の開口１３Ｄ側における区画貫通処理構造の構成も同様であるのでその説明は省略する。
区画貫通処理構造１０は、第１カバー部材５及び耐火体３を備える。第１カバー部材５は、仕切り部１１に設けられる区画貫通部１５の開口１３Ｃを覆うように設置され、開口１３Ｃと挿通体２１の間の隙間１３Ｅを塞ぐ。第１カバー部材５は、シート状であり、かつ、変形できることで、挿通体２１に容易に密着させて配置することが可能であり、区画貫通部１５の開口１３Ｃを容易に覆うことが可能である。
【0014】
第１カバー部材５は、仕切り部１１及び挿通体２１に固定される。第１カバー部材５が、仕切り部１１及び挿通体２１に固定されて設置されることで、仕切り部１１の開口１３Ｃを塞ぐことができ、耐火性能を向上させることができる。
第１カバー部材５は、仕切り部１１及び挿通体２１に固定されて設置され、仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００を形成するように設置する。仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００があることで、第１カバー部材５は、挿通体２１の軸方向の動きに対する裕度を持って固定される。第１カバー部材５が裕度を持って挿通体２１に固定されることで、第１カバー部材５の設置後に、第１カバー部材５の内側に配置された挿通体２１を軸方向に動かした場合であっても、第１カバー部材５の裕度によって第１カバー部材５が挿通体２１と一緒に動いてしまうことを緩衝する。第１カバー部材５が挿通体２１と一緒に動いてしまうことを緩衝することで、第１カバー部材５が区画貫通部１５からずれることを抑制することができる。つまり、このような構成とすることで、第１カバー部材５を区画貫通部１５における適切な位置に維持して配置し続けることができ、区画貫通部１５の耐火性を維持することができる。
第１カバー部材５は、仕切り部１１及び挿通体２１に固定されて設置され、仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００を形成するように設置する。仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００があることで、第１カバー部材５は、挿通体２１の軸方向の動きに対する裕度を持って固定される。第１カバー部材５が裕度を持って挿通体２１に固定されることで、第１カバー部材５の設置後に、第１カバー部材５の内側に配置された挿通体２１を軸方向に動かした場合であっても、第１カバー部材５の裕度によって第１カバー部材５が挿通体２１と一緒に動いてしまうことを緩衝する。第１カバー部材５が挿通体２１と一緒に動いてしまうことを緩衝することで、第１カバー部材５が区画貫通部１５からずれることを抑制することができる。つまり、このような構成とすることで、第１カバー部材５を区画貫通部１５における適切な位置に維持して配置し続けることができ、区画貫通部１５の耐火性を維持することができる。
【0015】
仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００があり、第１カバー部材５が挿通体２１の軸方向の動きに対して裕度を持って固定される構成としては種々の形態を取り得る。例えば、第１カバー部材５の少なくとも一部が屈曲ないし湾曲できるような柔軟性や伸縮性を有する材料による構成、及び、第１カバー部材５の少なくとも一部が挿通体２１に対してたるみを有するように固定する構成等が挙げられる。
また、仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００があると、後述するとおり、空隙１００内に耐火体３を設置することが可能になる。
また、仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００があると、後述するとおり、空隙１００内に耐火体３を設置することが可能になる。
【0016】
本実施形態における耐火体３は、図１に示すように、第１カバー部材の内部に形成される空隙１００内に配置する。カバー部材５と仕切り部１３の間の空隙１００は、区画貫通部１５の形状が異なっても、カバー部材５の大きさが同じであれば、概ね同じ大きさとなる。したがって、作業者は、その隙間１００の大きさ考慮して、耐火体３を充填すればよいので、決められた量の耐火体を充填しやすくなり、作業者によるバラつきが抑制できる。
また、耐火体３は、第１カバー部材に接触させた状態で配置されるとよいが、第１カバー部材５の近傍に配置される限り、第１カバー部材５に接触させる状態で配置しなくてもよい。近傍に配置される場合、耐火体３は、第１カバー部材から６０ｍｍ以内の距離で離れて配置されることが好ましく、４０ｍｍ以内の距離で離れて配置されることがより好ましく、２０ｍｍ以内の距離で離れて配置されることがさらに好ましい。このように、耐火体３が第１カバー近傍に配置されることで、耐火性を有効に向上させることができる。なお、第１カバー部材５から耐火体３までの距離の下限は、特に限定されず、０ｍｍ以上であればよい。なお、距離とは、第１カバー部材５から耐火体３までの最短距離を意味する。
また、耐火体３は、第１カバー部材に接触させた状態で配置されるとよいが、第１カバー部材５の近傍に配置される限り、第１カバー部材５に接触させる状態で配置しなくてもよい。近傍に配置される場合、耐火体３は、第１カバー部材から６０ｍｍ以内の距離で離れて配置されることが好ましく、４０ｍｍ以内の距離で離れて配置されることがより好ましく、２０ｍｍ以内の距離で離れて配置されることがさらに好ましい。このように、耐火体３が第１カバー近傍に配置されることで、耐火性を有効に向上させることができる。なお、第１カバー部材５から耐火体３までの距離の下限は、特に限定されず、０ｍｍ以上であればよい。なお、距離とは、第１カバー部材５から耐火体３までの最短距離を意味する。
【0017】
〔耐火体〕
本発明で使用する耐火体３の形状は、特に限定されず、不定形であってもよいし、球形、楕円体などでもよいし、四角形、三角形などの多角形であってもよいし、それらに近似する形状であってもよい。
例えば、耐火体３は、パテ状である場合には、空隙１００の形状に合わせて変形させて充填させてよい。また、耐火体３は、予め決められた形状のものを充填してもよい。空隙１００に充填される耐火体３は、１つであってもよいし、複数であってもよく、空隙１００の体積や、耐火体３の大きさなどに応じ適宜調整できる。耐火材３は、空隙１００の全部が耐火体により充填されてもよいが、空隙１００の一部が空隙のまま残るように耐火体が充填されてもよい。
また、耐火体３が膨張材である場合には、空隙１００の一部が空隙のまま残るように膨張材を充填することが好ましい。空隙を残すことで、容易に施工できるようになり、また、火災が発生した場合に膨張材を容易に膨張させることができる。
本発明で使用する耐火体３の形状は、特に限定されず、不定形であってもよいし、球形、楕円体などでもよいし、四角形、三角形などの多角形であってもよいし、それらに近似する形状であってもよい。
例えば、耐火体３は、パテ状である場合には、空隙１００の形状に合わせて変形させて充填させてよい。また、耐火体３は、予め決められた形状のものを充填してもよい。空隙１００に充填される耐火体３は、１つであってもよいし、複数であってもよく、空隙１００の体積や、耐火体３の大きさなどに応じ適宜調整できる。耐火材３は、空隙１００の全部が耐火体により充填されてもよいが、空隙１００の一部が空隙のまま残るように耐火体が充填されてもよい。
また、耐火体３が膨張材である場合には、空隙１００の一部が空隙のまま残るように膨張材を充填することが好ましい。空隙を残すことで、容易に施工できるようになり、また、火災が発生した場合に膨張材を容易に膨張させることができる。
【0018】
本発明で使用する耐火体は、耐火性を有するパテ材、及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる。耐火体が熱膨張性を有する膨張材を有する場合は、膨張材が火炎や煙などの熱によって膨張することによっても、延焼を有効に防止することができる。
上記パテ材は、パテ組成物により形成されることが好ましい。また、上記膨張材は、熱膨張性樹脂組成物により形成されることが好ましい。
上記パテ材は、パテ組成物により形成されることが好ましい。また、上記膨張材は、熱膨張性樹脂組成物により形成されることが好ましい。
【0019】
（熱膨張性樹脂組成物）
以下、耐火体に使用される熱膨張性樹脂組成物についてより詳細に説明する。熱膨張性樹脂組成物は、樹脂成分と、熱膨張性材料を含有する。熱膨張性部材が、樹脂成分を含有する熱膨張性樹脂組成物により形成されることで、第１カバー部材５の湾曲や変形が容易となる。
熱膨張性材料としては、加熱することにより発泡する発泡剤、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などの熱膨張性層状無機物が挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性黒鉛を使用することで、火災の加熱により適切に膨張され、また、膨張後の膨張残渣の機械強度が優れ、耐火性を良好にしやすくなる。なお、ここでいう熱膨張性材料とは、後述する成形などによって実質的に膨張せず、熱膨張性樹脂組成物は、耐火材において熱膨張性が維持される。
以下、耐火体に使用される熱膨張性樹脂組成物についてより詳細に説明する。熱膨張性樹脂組成物は、樹脂成分と、熱膨張性材料を含有する。熱膨張性部材が、樹脂成分を含有する熱膨張性樹脂組成物により形成されることで、第１カバー部材５の湾曲や変形が容易となる。
熱膨張性材料としては、加熱することにより発泡する発泡剤、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などの熱膨張性層状無機物が挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性黒鉛を使用することで、火災の加熱により適切に膨張され、また、膨張後の膨張残渣の機械強度が優れ、耐火性を良好にしやすくなる。なお、ここでいう熱膨張性材料とは、後述する成形などによって実質的に膨張せず、熱膨張性樹脂組成物は、耐火材において熱膨張性が維持される。
【0020】
熱膨張性材料の膨張開始温度は、特に限定されないが、例えば、１５０～３５０℃であることが好ましく、１７０～３００℃であることがより好ましく、１８０～２８０℃であることが更に好ましい。これら下限値以下とすることで、火災以外の加熱により、熱膨張性材料が誤って膨張することを防止する。また、上限値以下とすることで、火災の加熱により確実に熱膨張性材料を膨張させやすくなる。
また、熱膨張性材料の膨張開始温度は、所定量（例えば、１００ｍｇ）の熱膨張性材料を一定の昇温速度（例えば、１０℃／分）で昇温させ、法線方向の力が立ち上がる温度を計測することにより測定可能である。測定装置としては測定温度制御が可能であり、かつ法線方向の応力を測定できるものであればよく、例えばレオメーターを使用すればよい。
熱膨張性部材の膨張倍率は３倍以上であることが好ましく、１０倍以上が好ましい。膨張倍率の上限は、特に限定されないが、例えば７０倍、好ましくは５０倍である。第１カバー部材に膨張倍率が異なる複数の耐火材層が積層されている場合、膨張倍率は上記範囲内で選択するとよい。また、例えば、仕切り部の外面から最も離れた耐火材層の膨張倍率と、仕切り部の外面から最も近接した耐火材層の膨張倍率との差は、１０～８０倍であることが好ましく、２０～７０倍であることがより好ましく、３０～６０倍であることがさらに好ましい。
なお、膨張倍率は、熱膨張性部材を電気炉に供給し、６００℃で３０分間加熱した後、試験片の厚さを測定し、（加熱後の試験片の厚さ）／（加熱前の試験片の厚さ）により算出するとよい。
また、熱膨張性材料の膨張開始温度は、所定量（例えば、１００ｍｇ）の熱膨張性材料を一定の昇温速度（例えば、１０℃／分）で昇温させ、法線方向の力が立ち上がる温度を計測することにより測定可能である。測定装置としては測定温度制御が可能であり、かつ法線方向の応力を測定できるものであればよく、例えばレオメーターを使用すればよい。
熱膨張性部材の膨張倍率は３倍以上であることが好ましく、１０倍以上が好ましい。膨張倍率の上限は、特に限定されないが、例えば７０倍、好ましくは５０倍である。第１カバー部材に膨張倍率が異なる複数の耐火材層が積層されている場合、膨張倍率は上記範囲内で選択するとよい。また、例えば、仕切り部の外面から最も離れた耐火材層の膨張倍率と、仕切り部の外面から最も近接した耐火材層の膨張倍率との差は、１０～８０倍であることが好ましく、２０～７０倍であることがより好ましく、３０～６０倍であることがさらに好ましい。
なお、膨張倍率は、熱膨張性部材を電気炉に供給し、６００℃で３０分間加熱した後、試験片の厚さを測定し、（加熱後の試験片の厚さ）／（加熱前の試験片の厚さ）により算出するとよい。
【0021】
以下、熱膨張性材料が、熱膨張性黒鉛である場合の熱膨張性樹脂組成物について詳細に説明する。熱膨張性樹脂組成物の樹脂成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーが挙げられる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂（ＣＰＶＣ）、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレン（ＰＥ）およびポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）等のポリオレフィン、エチレン－プロピレン－ジエン共重合体（ＥＰＤＭ）、クロロプレン（ＣＲ）、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリフェニレンサルファイド、アクリロニトリル－ブタジエン－スチレン共重合体（ＡＢＳ）、アクリロニトリル－スチレン－アクリロニトリル共重合体（ＡＳＡ）、アクリロニトリル／エチレン－プロピレン－ジエン／スチレン共重合体（ＡＥＳ）等が挙げられる。
硬化性樹脂の例としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂（ＣＰＶＣ）、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレン（ＰＥ）およびポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）等のポリオレフィン、エチレン－プロピレン－ジエン共重合体（ＥＰＤＭ）、クロロプレン（ＣＲ）、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリフェニレンサルファイド、アクリロニトリル－ブタジエン－スチレン共重合体（ＡＢＳ）、アクリロニトリル－スチレン－アクリロニトリル共重合体（ＡＳＡ）、アクリロニトリル／エチレン－プロピレン－ジエン／スチレン共重合体（ＡＥＳ）等が挙げられる。
硬化性樹脂の例としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
【0022】
エラストマーの例としては、天然ゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴム等のゴムが挙げられる。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＯ）、スチレン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＳ）、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、および塩化ビニル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーも挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物の樹脂成分は、１種であってもよいし２種以上を組み合わせてもよい。
熱膨張性樹脂組成物の樹脂成分は、１種であってもよいし２種以上を組み合わせてもよい。
【0023】
また、熱膨張性樹脂組成物は、樹脂成分としてエラストマーを使用することで粘着性を有しやすくなる。また、粘着性を発現しやすくする観点から、エラストマーは液状エラストマーを含有することが好ましい。なお、液状エラストマーとは、常温、常圧で液体となるエラストマーである。
【0024】
熱膨張性樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。可塑剤は、樹脂成分がポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂である場合に好ましく使用される。可塑剤の具体的としては、例えば、ジ－２－エチルヘキシルフタレート（ＤＯＰ）、ジブチルフタレート（ＤＢＰ）、ジヘプチルフタレート（ＤＨＰ）、ジイソデシルフタレート（ＤＩＤＰ）等のフタル酸エステル可塑剤、ジ－２－エチルヘキシルアジペート（ＤＯＡ）、ジイソブチルアジペート（ＤＩＢＡ）、ジブチルアジペート（ＤＢＡ）等のアジピン酸エステルや、アジピン酸ポリエステルなどの脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、トリー２－エチルヘキシルトリメリテート（ＴＯＴＭ）、トリイソノニルトリメリテート（ＴＩＮＴＭ）等のトリメリット酸エステル可塑剤、トリメチルホスフェート（ＴＭＰ）、トリエチルホスフェート（ＴＥＰ）等の燐酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイルなどが挙げられる。
可塑剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
熱膨張性樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、熱膨張性樹脂組成物における可塑剤の含有量は、樹脂成分１００質量部に対して、例えば０．３質量部以上１５０質量部以下の範囲であり、好ましくは１０質量部以上１００質量部以下の範囲である。可塑剤は、これら下限値以上とすると、成形性が良好になりやすく、上限値以下となると、成形体に適度な強度が付与される。
可塑剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
熱膨張性樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、熱膨張性樹脂組成物における可塑剤の含有量は、樹脂成分１００質量部に対して、例えば０．３質量部以上１５０質量部以下の範囲であり、好ましくは１０質量部以上１００質量部以下の範囲である。可塑剤は、これら下限値以上とすると、成形性が良好になりやすく、上限値以下となると、成形体に適度な強度が付与される。
【0025】
樹脂成分と可塑剤の合計含有量は、樹脂組成物全量基準で、１０質量％以上９０質量％以下が好ましく、２５質量％以上８０質量％以下がより好ましく、４０質量％以上７０質量％以下がさらに好ましい。これら下限値以上とすることで、熱膨張性部材の成形性などを良好にできる。また、柔軟性を確保して、湾曲や変形が容易となる。また、上限値以下とすることで、熱膨張性黒鉛、無機充填材などの成分を十分な量配合することが可能になる。
なお、樹脂成分と可塑剤の合計含有量とは、樹脂成分と可塑剤の両方が含有される場合には、これらの合計含有量を意味し、可塑剤を含有しない場合には樹脂成分単独の含有量を意味する。
なお、樹脂成分と可塑剤の合計含有量とは、樹脂成分と可塑剤の両方が含有される場合には、これらの合計含有量を意味し、可塑剤を含有しない場合には樹脂成分単独の含有量を意味する。
【0026】
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とにより処理してグラファイト層間化合物を生成させたものである。生成された熱膨張性黒鉛は炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
本発明に使用される熱膨張性黒鉛は、酸処理して得られた熱膨張性黒鉛がアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和されたものなども使用することもできる。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
本発明に使用される熱膨張性黒鉛は、酸処理して得られた熱膨張性黒鉛がアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和されたものなども使用することもできる。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0027】
熱膨張性黒鉛の粒度は、特に限定されないが、２０～２００メッシュの範囲のものが好ましい。粒度は、下限値以上となると黒鉛の膨張度が大きくなりやすく、発泡性が良好になる。また、上限値以下とすることで、樹脂と混練する際の分散性が良好となり、成形性が向上する。
【0028】
熱膨張性樹脂組成物における熱膨張性黒鉛の含有量は、樹脂成分１００質量部に対して、例えば３質量部以上３００質量部以下である。熱膨張性黒鉛の含有量は、３質量部以上となることで、熱膨張性が良好となる。また、３００質量部以下となることで、成形性が良好となり、シール部材の表面性、機械的物性、柔軟性なども良好となる。また、熱膨張性黒鉛の含有量を上記範囲内で選択することで、膨張倍率を所望の範囲内に調整しやすくなる。これら観点から、熱膨張性黒鉛の含有量は、好ましくは１０質量部以上２００質量部以下の範囲であり、より好ましくは１５質量部以上１００質量部以下の範囲である。
【0029】
熱膨張性樹脂組成物は、さらに無機充填材を含有してもよい。無機充填材は、一般に熱膨張性樹脂組成物に使用されている無機充填材であれば、特に限定はない。具体的には、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、カオリナイト、クレー、マイ力、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸二水素アンモニウムなどのリン酸塩、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アルミニウムなどのポリリン酸塩、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコニア鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。無機充填材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
無機充填材を含有する場合、熱膨張性樹脂組成物における無機充填材の含有量は、樹脂成分１００質量部に対して、好ましく３質量部以上２００質量部以下の範囲であり、より好ましくは１０質量部以上１５０質量部以下の範囲である。
無機充填材を含有する場合、熱膨張性樹脂組成物における無機充填材の含有量は、樹脂成分１００質量部に対して、好ましく３質量部以上２００質量部以下の範囲であり、より好ましくは１０質量部以上１５０質量部以下の範囲である。
【0030】
熱膨張性樹脂組成物は、公知の粘着付与剤を含有してもよい。粘着付与剤を含有することで、熱膨張性部材に粘着性を付与しやすくなる。
また本発明に使用する熱膨張性樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、必要に応じて、熱安定剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、架橋剤、架橋促進剤等の熱膨張性樹脂組成物に一般的に使用される添加剤が添加されてもよい。これらの中では加工助剤を使用することが好ましい。
また本発明に使用する熱膨張性樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、必要に応じて、熱安定剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、架橋剤、架橋促進剤等の熱膨張性樹脂組成物に一般的に使用される添加剤が添加されてもよい。これらの中では加工助剤を使用することが好ましい。
【0031】
熱膨張性部材は、例えば下記のようにして製造することができる。まず、所定量の樹脂成分、熱膨張性材料、及びその他の必要に応じて配合される添加剤を、混練ロールなどの混合機で混合して、熱膨張性樹脂組成物を得る。熱膨張性樹脂組成物は、適宜溶剤が添加されて、希釈されてもよい。
必要に応じて希釈された熱膨張性樹脂組成物は、基材、剥離シートなどの支持体に塗布し、適宜乾燥、硬化などされて、支持体の一方の面上に耐火材層（膨張材）が形成されるとよい。また、押出成形など公知の方法により支持体の一方の面上に耐火材層が形成されてもよい。剥離シート上に形成された耐火材層は、剥離シートから剥離することで、単層の耐火材層を得ることができる。そして、剥離シートから剥離した後に別の層上に積層することで、多層構造の耐火材層を得るとよい。また、剥離シート上、又は他の支持体上に積層された状態のまま、他の層に積層されてもよい。
必要に応じて希釈された熱膨張性樹脂組成物は、基材、剥離シートなどの支持体に塗布し、適宜乾燥、硬化などされて、支持体の一方の面上に耐火材層（膨張材）が形成されるとよい。また、押出成形など公知の方法により支持体の一方の面上に耐火材層が形成されてもよい。剥離シート上に形成された耐火材層は、剥離シートから剥離することで、単層の耐火材層を得ることができる。そして、剥離シートから剥離した後に別の層上に積層することで、多層構造の耐火材層を得るとよい。また、剥離シート上、又は他の支持体上に積層された状態のまま、他の層に積層されてもよい。
【0032】
（パテ組成物）
以下、パテ組成物についてより詳細に説明する。パテ組成物は、バインダー成分と、充填材とを含有する。
バインダー成分は、熱膨張性樹脂組成物で用いる樹脂成分を適宜使用でき、好ましくはエラストマーを使用することができる。また、バインダー成分としては、液状エラストマーであることがより好ましく、例えば、液状ポリブタジエンゴム、液状スチレン・ブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム及び液状イソプレンゴム等が挙げられる。
充填材としては、熱膨張性樹脂組成物で用いる無機充填材を適宜使用することができる。無機充填材としては、中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、タルク及びカオリナイト、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化亜鉛等の金属水酸化物、リン酸塩、ポリリン酸塩、高分子無機ポリリン酸塩、リン酸塩鉱物等のリン化合物、並びに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム及び炭酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸鉄、炭酸銀等の炭酸塩化合物などが好ましい。これら無機充填材を使用することで、パテ材に耐火性を付与しやすくなる。
パテ組成物は、必要に応じて、熱膨張性樹脂組成物と同様に、可塑剤、粘着付与樹脂、その他の成分を配合することができる。
ただし、パテ組成物は、熱膨張性材料を含有しない。
以下、パテ組成物についてより詳細に説明する。パテ組成物は、バインダー成分と、充填材とを含有する。
バインダー成分は、熱膨張性樹脂組成物で用いる樹脂成分を適宜使用でき、好ましくはエラストマーを使用することができる。また、バインダー成分としては、液状エラストマーであることがより好ましく、例えば、液状ポリブタジエンゴム、液状スチレン・ブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム及び液状イソプレンゴム等が挙げられる。
充填材としては、熱膨張性樹脂組成物で用いる無機充填材を適宜使用することができる。無機充填材としては、中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、タルク及びカオリナイト、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化亜鉛等の金属水酸化物、リン酸塩、ポリリン酸塩、高分子無機ポリリン酸塩、リン酸塩鉱物等のリン化合物、並びに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム及び炭酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸鉄、炭酸銀等の炭酸塩化合物などが好ましい。これら無機充填材を使用することで、パテ材に耐火性を付与しやすくなる。
パテ組成物は、必要に応じて、熱膨張性樹脂組成物と同様に、可塑剤、粘着付与樹脂、その他の成分を配合することができる。
ただし、パテ組成物は、熱膨張性材料を含有しない。
【0033】
パテ組成物における無機充填材の含有量は、バインダー成分１００質量部に対して、好ましく３０質量部以上５００質量部以下の範囲であり、より好ましくは５０質量部以上４００質量部以下の範囲であり、更に好ましくは８０質量部以上２５０質量部以下の範囲である。
パテ材は、上記熱膨張性樹脂組成物と同様の方法により形成できる。
なお、以上の説明では、パテ組成物は、上記のとおりバインダー成分として樹脂成分（有機物）を使用する例を説明したが、耐火パテとして使用できる従来公知のものを適宜選択して使用できる。例えば、バインダー成分に樹脂成分を使用する必要はなく、有機物を含有しない耐火パテであってもよく、例えば粘土からなる耐火パテであってもよい。
パテ材は、上記熱膨張性樹脂組成物と同様の方法により形成できる。
なお、以上の説明では、パテ組成物は、上記のとおりバインダー成分として樹脂成分（有機物）を使用する例を説明したが、耐火パテとして使用できる従来公知のものを適宜選択して使用できる。例えば、バインダー成分に樹脂成分を使用する必要はなく、有機物を含有しない耐火パテであってもよく、例えば粘土からなる耐火パテであってもよい。
【0034】
本発明で使用する耐火体は、外装材を備える形態、すなわち、パテ材又は膨張材の表面の少なくとも一部を外装材で包み込んだ形態であってもよい。耐火体が外装材を備えることで耐火体の取扱性が容易になる。耐火体が外装材を備える場合、外装材は袋であり、耐火体は、袋の内部にパテ材、膨張材、又はこれらの両方を収納した耐火袋であることが好ましい。
耐火袋は、パテ材、膨張材、又はこれらの両方が袋の内部に収納され密閉され、通常は、パテ材、膨張材、又はこれらの両方の全体が外装材に覆われた形態となるが、袋は、開口を有しており、一部が外装材により覆われなくてもよい。
外装材としては、金属複合体、不織布、及び樹脂フィルムから選択される少なくとも１種であることが好ましい。金属複合体は、アルミガラスクロスなどの金属箔とガラスクロスなどの金属以外の材料の複合体である。不織布は、樹脂製や天然繊維からなるものでもよいし、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維などの無機繊維からなるものでもよい。金属複合体や無機繊維不織布を使用すると、火災が発生した際には、耐火体と同様の延焼防止効果を発揮することができる。
耐火体が外装材を備える場合、すべての表面が外装材で覆われている必要は無く、例えば、表面の８０％以上が外装材で覆われていればよいが、施工性の観点からは、耐火袋であることが好ましい。
耐火袋は、パテ材、膨張材、又はこれらの両方が袋の内部に収納され密閉され、通常は、パテ材、膨張材、又はこれらの両方の全体が外装材に覆われた形態となるが、袋は、開口を有しており、一部が外装材により覆われなくてもよい。
外装材としては、金属複合体、不織布、及び樹脂フィルムから選択される少なくとも１種であることが好ましい。金属複合体は、アルミガラスクロスなどの金属箔とガラスクロスなどの金属以外の材料の複合体である。不織布は、樹脂製や天然繊維からなるものでもよいし、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維などの無機繊維からなるものでもよい。金属複合体や無機繊維不織布を使用すると、火災が発生した際には、耐火体と同様の延焼防止効果を発揮することができる。
耐火体が外装材を備える場合、すべての表面が外装材で覆われている必要は無く、例えば、表面の８０％以上が外装材で覆われていればよいが、施工性の観点からは、耐火袋であることが好ましい。
【0035】
上記耐火体は、表面に粘着性を有する耐火体であってもよい。表面に粘着性を有する耐火体は、パテ材若しくは熱膨張材そのものに粘着性を持たせてもよいし、パテ材若しくは熱膨張材の表面に別途粘着剤層を設けてもよい。また、耐火袋の場合には、袋そのもの（例えば、樹脂フィルム）に粘着性を持たせてもよいし、耐火袋の表面に別途粘着剤を設けてもよい。
外装材は、例えば、樹脂フィルムに粘着性を有する材料を使用したり、樹脂フィルムの表面をブチルゴム等により形成したりすることで粘着性を付与することができる。パテ材又は熱膨張材は、上記した通り、エラストマー、粘着付与剤などを含有することで粘着性を付与することができる。
粘着剤層は、粘着剤により形成されるとよく、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。粘着剤層は、不燃性、準不燃性、又は難燃性であってもよく、使用する粘着剤に難燃剤などを配合してもよい。粘着剤層の厚みは、例えば５～４００μｍ、好ましくは１０～１５０μｍである。
表面に粘着性を有する耐火体は、耐火体同士を接着させたり、耐火体を仕切り部１３に接着させたり、耐火体をカバー部材５に接着させることができる。そのため、施工性が向上する。ただし、耐火体同士が接着して、施工の妨げとなるような場合には、耐火体には粘着性を持たせなくてもよい。
外装材は、例えば、樹脂フィルムに粘着性を有する材料を使用したり、樹脂フィルムの表面をブチルゴム等により形成したりすることで粘着性を付与することができる。パテ材又は熱膨張材は、上記した通り、エラストマー、粘着付与剤などを含有することで粘着性を付与することができる。
粘着剤層は、粘着剤により形成されるとよく、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。粘着剤層は、不燃性、準不燃性、又は難燃性であってもよく、使用する粘着剤に難燃剤などを配合してもよい。粘着剤層の厚みは、例えば５～４００μｍ、好ましくは１０～１５０μｍである。
表面に粘着性を有する耐火体は、耐火体同士を接着させたり、耐火体を仕切り部１３に接着させたり、耐火体をカバー部材５に接着させることができる。そのため、施工性が向上する。ただし、耐火体同士が接着して、施工の妨げとなるような場合には、耐火体には粘着性を持たせなくてもよい。
【0036】
〔第１カバー部材〕
第１カバー部材５の構成は、特に限定されないが、図２に示すように、１枚のシートからなり、第１カバー部５０と、第１カバー部５０と連接して設けられ、互いに隔てられた複数の第２カバー部５１（５１Ａ～５１Ｅ）とを備えることが好ましい。このとき、第２カバー部５１は、第１カバー部５０の一辺に沿って一列に並べられるとよい。
第１カバー部材５は、第１カバー部と、第２カバー部とを備えることによって、第１カバー部５０により挿通体２１を包囲しつつ、第２カバー部５１を仕切り部１１上に配置させやすくなって、開口１１Ｃを覆うように第１カバー部材５を設置しやすい。
第１カバー部材５の構成は、特に限定されないが、図２に示すように、１枚のシートからなり、第１カバー部５０と、第１カバー部５０と連接して設けられ、互いに隔てられた複数の第２カバー部５１（５１Ａ～５１Ｅ）とを備えることが好ましい。このとき、第２カバー部５１は、第１カバー部５０の一辺に沿って一列に並べられるとよい。
第１カバー部材５は、第１カバー部と、第２カバー部とを備えることによって、第１カバー部５０により挿通体２１を包囲しつつ、第２カバー部５１を仕切り部１１上に配置させやすくなって、開口１１Ｃを覆うように第１カバー部材５を設置しやすい。
【0037】
第１カバー部材５には、留付材６Ａ，６Ｂの設置位置を示すマーク（第１マーク５２、第２マーク５３Ａ～５３Ｄ）が付されているとよい。
第１カバー部材５の第１カバー部５０には、留付材６Ｂの設置位置を示すマーク（第１マーク５２）が付されており、第１カバー部５０を挿通体２１に巻き付けて設置した後に、第１マーク５２上に留付材６Ｂを設置することで第１カバー部５０が挿通体２１に留められる。
また、第１カバー部材５の第２カバー部５１には、留付材６Ａの設置位置を示すマーク（第２マーク５３Ａ～５３Ｄ）が付されており、図１に示すように、第２カバー部５１を仕切り部１１の外面１１Ａ上に設置した後に、第２マーク５３Ａ～５３Ｄ上から留付材６Ａを設置することで第２カバー部５１が仕切り部１１に留められる。
なお、マーク（第２マーク５３Ａ～５３Ｄ）は、各第１カバー部５０及び第２カバー部５１の挿通体２１や仕切り部１１との固定箇所を示すマークともいえるが、省略してもよい。
第１カバー部材５の第１カバー部５０には、留付材６Ｂの設置位置を示すマーク（第１マーク５２）が付されており、第１カバー部５０を挿通体２１に巻き付けて設置した後に、第１マーク５２上に留付材６Ｂを設置することで第１カバー部５０が挿通体２１に留められる。
また、第１カバー部材５の第２カバー部５１には、留付材６Ａの設置位置を示すマーク（第２マーク５３Ａ～５３Ｄ）が付されており、図１に示すように、第２カバー部５１を仕切り部１１の外面１１Ａ上に設置した後に、第２マーク５３Ａ～５３Ｄ上から留付材６Ａを設置することで第２カバー部５１が仕切り部１１に留められる。
なお、マーク（第２マーク５３Ａ～５３Ｄ）は、各第１カバー部５０及び第２カバー部５１の挿通体２１や仕切り部１１との固定箇所を示すマークともいえるが、省略してもよい。
【0038】
第１カバー部材５の第２カバー部５１は、仕切り部１１の外面１１Ａ上に配置されるとよい。そして、第１カバー部材５の第２カバー部５１は、第２カバー部５１の外側から留付材６Ａを第２マーク５３Ａ～５３Ｄから区画貫通部１５の仕切り部１１へ挿し込むことで、仕切り部１１に留められる。
第２カバー部５１を留める留付材６Ａとしては、第１カバー部材５に付されている第２マーク５３Ａ～５３Ｄから区画貫通部１５の仕切り部１１へ挿し込むことで、第１カバー部材５を区画貫通部１５に固定して留めることが可能である部材であればよく、例えば、タッカー、ビス等の固定部材などが挙げられる。留付材６Ａは、第１カバー部材５の固定強度を向上させるために、ワッシャーを第１カバー部材５との間に介在させることが好ましい。
第２カバー部５１を留める留付材６Ａとしては、第１カバー部材５に付されている第２マーク５３Ａ～５３Ｄから区画貫通部１５の仕切り部１１へ挿し込むことで、第１カバー部材５を区画貫通部１５に固定して留めることが可能である部材であればよく、例えば、タッカー、ビス等の固定部材などが挙げられる。留付材６Ａは、第１カバー部材５の固定強度を向上させるために、ワッシャーを第１カバー部材５との間に介在させることが好ましい。
【0039】
第１カバー部材５の第１カバー部５０は、挿通体２１を接するように包囲し、かつ第１カバー部５０に付されている第１マーク５２に沿って外側から留付材６Ｂによって抑制されて固定する形態によって挿通体２１に留められる。
第１マーク５２に沿って外側から留付材６Ｂによって抑制されて固定する形態においては、留付材６Ｂとして、曲げることができる紐状部材を使用することができ、ワイヤを含むワイヤ部材や粘着テープであることが好ましい。ワイヤ部材は、金属製のワイヤ単独でもよいし、ねじりっこ（登録商標）などの金属製のワイヤを樹脂で被覆した樹脂被覆ワイヤ、モールなどと呼ばれるワイヤと繊維を絡ませたものなどでもよい。ワイヤ部材を使用すると、ひねったり、ねじったりするだけで、第１カバー部材５を挿通体２１に固定できる。
粘着テープは、例えば第１マーク５２に沿って第１カバー部５０を外側から巻き付けて第１カバー部材５を挿通体に固定できる。粘着テープは、支持体と支持体の一方の面に設けられた粘着剤層を有するとよい。支持体としては、紙、樹脂フィルム、布などが使用できるし、上記した不燃材料を使用してもよい。また、粘着剤層としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。また、粘着剤には、公知の難燃剤などを配合してもよい。また、第１マーク５２に沿って外側から留付材６Ｂによって抑制されて固定する形態においては、留付材６Ｂとして、第１マーク５２の外側から設置されるタッカー、ビスなどの固定部材を使用することができる。
第１カバー部材５の第１カバー部５０を挿通体２１に留める留付材６Ｂとしては、固着強度を向上させるために、上記の固定する形態で示す手段を組み合わせることが可能である。具体的には、留付材６Ｂは、ワイヤ部材と粘着テープの組み合わせ、ワイヤ部材と、ビス、タッカーなどの固定部材の組み合わせ等を採用することができる。
第１マーク５２に沿って外側から留付材６Ｂによって抑制されて固定する形態においては、留付材６Ｂとして、曲げることができる紐状部材を使用することができ、ワイヤを含むワイヤ部材や粘着テープであることが好ましい。ワイヤ部材は、金属製のワイヤ単独でもよいし、ねじりっこ（登録商標）などの金属製のワイヤを樹脂で被覆した樹脂被覆ワイヤ、モールなどと呼ばれるワイヤと繊維を絡ませたものなどでもよい。ワイヤ部材を使用すると、ひねったり、ねじったりするだけで、第１カバー部材５を挿通体２１に固定できる。
粘着テープは、例えば第１マーク５２に沿って第１カバー部５０を外側から巻き付けて第１カバー部材５を挿通体に固定できる。粘着テープは、支持体と支持体の一方の面に設けられた粘着剤層を有するとよい。支持体としては、紙、樹脂フィルム、布などが使用できるし、上記した不燃材料を使用してもよい。また、粘着剤層としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。また、粘着剤には、公知の難燃剤などを配合してもよい。また、第１マーク５２に沿って外側から留付材６Ｂによって抑制されて固定する形態においては、留付材６Ｂとして、第１マーク５２の外側から設置されるタッカー、ビスなどの固定部材を使用することができる。
第１カバー部材５の第１カバー部５０を挿通体２１に留める留付材６Ｂとしては、固着強度を向上させるために、上記の固定する形態で示す手段を組み合わせることが可能である。具体的には、留付材６Ｂは、ワイヤ部材と粘着テープの組み合わせ、ワイヤ部材と、ビス、タッカーなどの固定部材の組み合わせ等を採用することができる。
【0040】
第１マーク５２上には、上記の通り留付材６Ｂが設置され、第１マーク５２は、少なくとも一部が留付材６Ｂによって覆われる。また、第２マーク５３Ａ～５３Ｄ上には、留付材６Ａが設置され、各第２マーク５３Ａ～５３Ｄは留付材６Ａによって少なくとも一部が覆われる。このような構成により、第１マーク５１及び第２マーク５３Ａ～５３Ｄそれぞれは、少なくとも一部が外部から視認不可能となり、規定どおりに設置されていることを簡単に確認できる。
【0041】
第２カバー部５１の形状及び数は、特に限定はない。第２カバー部５１の形状としては、例えば、図２に示したような上部側が頂角を有する形状であってもよく、上部側が直線及び曲線等の辺を構成する形状であってもよい。また、第２カバー部５１の数としては、例えば、図２に示したような５つの構成であってもよいし、５つ未満の構成であってもよいし、５つを超える構成であってもよい。
【0042】
第１カバー部材５は、基材単層からなるものでもよいし、基材と共に、耐火性を有するパテ材により形成される耐火材層及び熱膨張性を有する膨張材により形成される耐火材層の少なくともいずれかを有していてもよい。第１カバー部材５は、耐火材層を少なくとも有する構成であることで、区画貫通処理構造１０の防火性能をより良好にできる。
【0043】
第１カバー部材５に使用される耐火材層は、耐火性を有するパテ材により形成することができる。パテ材により形成された耐火材層は、火災等により焼失することがなく、耐火材層を維持することができる。パテ材は、パテ組成物により形成されることが好ましい。なお、パテ組成物は、上記したものと同様のものを使用することができる。
また、第１カバー部材５に使用される耐火材層は、熱膨張性を有する膨張材により形成することができる。膨張材により形成された耐火材層は、火災等により耐火材層が膨張することで、設置されていた箇所に有する隙間等を埋めることができ、延焼を防ぐ等の耐火性を発揮することができる。膨張材は、上記した熱膨張性樹脂組成物により形成されることが好ましい。
また、第１カバー部材５に使用される耐火材層は、熱膨張性を有する膨張材により形成することができる。膨張材により形成された耐火材層は、火災等により耐火材層が膨張することで、設置されていた箇所に有する隙間等を埋めることができ、延焼を防ぐ等の耐火性を発揮することができる。膨張材は、上記した熱膨張性樹脂組成物により形成されることが好ましい。
【0044】
耐火材層の厚みは、特に限定されないが、例えば０．０１～１ｍｍ、好ましくは０．０５～０．８ｍｍである。耐火材層がこれら上限値以下の厚みを有することで、第１カバー部材５に柔軟性が付与される。また、下限値以上の厚みを有することで、耐火性能を確保しやすくなる。
【0045】
第１カバー部材５に使用される基材は、第１カバー部材５をシート状に保持させる部材である。また、第１カバー部材５が耐火材層を有する場合には、耐火材層を支持し、かつ耐火材層に熱を伝達させる機能を有してもよい。基材としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔、ガラスクロス、アルミガラスクロスなどの金属箔とガラスクロスの複合体等の金属箔複合体、紙、布、樹脂フィルムなどが挙げられる。これらのなかでは、耐火性の観点から、不燃材料で構成されることが好ましく、具体的には、金属箔及び金属箔複合体が挙げられる。不燃材料とは、建築基準法及び建築基準法施行令において定められるものである。
第１カバー部材５は、基材と耐火材層とを有する場合、基材は、仕切り部１１とは反対側の位置にある最外層に配置されていることが好ましい。第１カバー部材５の最外層に基材が配置されていることで、内側に配置されている耐火材層を良好に支持し、耐火材層に熱を伝達させやすくなるため、耐火材層の機能を発揮しやすくさせることができる。また、第１カバー部材５の意匠性を高めることができる。
第１カバー部材５は、基材と耐火材層とを有する場合、基材は、仕切り部１１とは反対側の位置にある最外層に配置されていることが好ましい。第１カバー部材５の最外層に基材が配置されていることで、内側に配置されている耐火材層を良好に支持し、耐火材層に熱を伝達させやすくなるため、耐火材層の機能を発揮しやすくさせることができる。また、第１カバー部材５の意匠性を高めることができる。
【0046】
基材の厚みは、特に限定されないが、例えば０．０１～１ｍｍ、好ましくは０．０５～０．５ｍｍである。不燃材料層がこれら上限値以下の厚みを有することで、第１カバー部材５に柔軟性が付与される。また、下限値以上の厚みを有することで、耐火性能を確保しやすくなる。
【0047】
第１カバー部材５が耐火材層を有する場合は、耐火材層と基材とが、交互に少なくとも２層以上積層されていることが好ましい。この場合、例えば、耐火材層／基材の２層構成であってもよいし、図３（ａ）～（ｅ）に示すように、基材及び耐火材層が交互に少なくとも３層積層されていてもよい。具体的には、第１カバー部材５は、図３（ａ）に示すように、基材５ａ１，５ａ２及び耐火材層５ｂ１が交互に３層積層されていてもよい。例えば、基材／耐火材層（パテ材）／基材、又は、基材／耐火材層（膨張材）／基材とすることができる。なお、耐火材層（パテ材）とは、パテ材により形成される耐火材層を意味する。耐火材層（膨張材）も同様に、膨張材により形成される耐火材層を意味する。
【0048】
第１カバー部材５は、図３（ｂ）に示すように、基材５ａ１及び耐火材層５ｂ１，５ｂ２が交互に３層積層されていてもよい。例えば、耐火材層（パテ材）／基材／耐火材層（パテ材）、耐火材層（パテ材）／基材／耐火材層（膨張材）、耐火材層（膨張材）／基材／耐火材層（パテ材）、又は、耐火材層（膨張材）／基材／耐火材層（膨張材）とすることができる。なお、以上の記載においては、左側が仕切り部から遠い位置にある層であり、右側が仕切り部に近い位置にある層である。以下も同様である。これら構造のうち、少なくともパテ材により形成される耐火材層を有することが好ましい。
例えば、第１カバー部材５が、パテ材により形成される耐火材層と、膨張材により形成される耐火材層とを備えることで、火災が生じたときにパテ材により形成される耐火材層により第１カバー部材５の形状を維持する一方で、膨張材により形成される耐火材層により火災の延焼を防止できる。また基材を挟み込むように、２つのパテ材により形成される耐火材層が設けられることで、火災が生じたときにパテ材により形成される耐火材層が第１カバー部材５の形状を強固に維持し、それにより、火災が生じたときに第１カバー部材５が崩落することを防止し、高い耐火性能を維持できる。
例えば、第１カバー部材５が、パテ材により形成される耐火材層と、膨張材により形成される耐火材層とを備えることで、火災が生じたときにパテ材により形成される耐火材層により第１カバー部材５の形状を維持する一方で、膨張材により形成される耐火材層により火災の延焼を防止できる。また基材を挟み込むように、２つのパテ材により形成される耐火材層が設けられることで、火災が生じたときにパテ材により形成される耐火材層が第１カバー部材５の形状を強固に維持し、それにより、火災が生じたときに第１カバー部材５が崩落することを防止し、高い耐火性能を維持できる。
【0049】
第１カバー部材５は、３層構成に限られず、図３（ｃ）に示すように、基材５ａ１，５ａ２及び耐火材層５ｂ１，５ｂ２が交互に４層積層されていてもよい。例えば、基材／耐火材層（パテ材）／基材／耐火材層（パテ材）、基材／耐火材層（パテ材）／基材／耐火材層（膨張材）、基材／耐火材層（膨張材）／基材／耐火材層（パテ材）、又は、基材／耐火材層（膨張材）／基材／耐火材層（膨張材）とすることができる。
【0050】
また、第１カバー部材５は、基材／耐火材層／基材、或いは、耐火材層／基材／耐火材層をこの順に有する限り、基材と耐火材層は、１層ずつ交互に設けられる必要はなく、基材／基材、耐火材層／耐火材層のように同種の層が連続して積層してもよい。例えば、図３（ｄ）に示すように、基材５ａ１，５ａ２が連続して積層し、基材５ａ２，５ａ３及び耐火材層５ｂ１が交互に積層されていてもよい。また、第１カバー部材５は、図３（ｅ）に示すように、積層数に制限はなく、複数の基材５ａ１，・・・５ａｎ－１，５ａｎ及び複数の耐火材層５ｂ１，・・・５ｂｍ－１，５ｂｍが交互に多層積層されていてもよい。
【0051】
本発明では、基材及び耐火材層が交互に少なくとも３層積層されていることで、第１カバー部材５が加熱された場合に、耐火材層が基材に適切に支持されて熱を均等に行き渡らせることができ、耐火性を良好にすることができる。
また、第１カバー部材５を使用することで、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部１５の内部に配置することなく、耐火構造が形成されるので、作業者によるバラつきが生じることもない。
また、第１カバー部材５を使用することで、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部１５の内部に配置することなく、耐火構造が形成されるので、作業者によるバラつきが生じることもない。
【0052】
なお、第１カバー部材５を構成する多層構造において、その全体において同じ層構成を有していてもよいが、部分的に異なる構造を有してもよい。例えば、基材と耐火材層との層構成が一部で変更されていてもよい。
【0053】
第１カバー部材５は、図４（ａ）に示すように、粘着性を有する基材５ａ１を最外面に構成する構成、又は、図４（ｂ）に示すように、粘着剤層５５を備える基材５ａ１を最外面に構成する構成とし、粘着性を有する基材又は粘着剤層によって仕切り部１１の外面１１Ａに接して配置されてもよい。
また、第１カバー部材５は、図５（ａ）に示すように、粘着性を有する耐火材層５ｂ１を最外面に構成する構成、又は、図５（ｂ）に示すように、粘着剤層５５を備える耐火材層５ｂ１を最外面に構成する構成とし、粘着性を有する耐火材層又は粘着剤層によって仕切り部１１の外面１１Ａに接して配置されてもよい。
以上の構成により、第１カバー部材５とは別部材としての固定部材を使用しなくても、第１カバー部材５を仕切り部１１に固定させることができる。また、耐火材層自体に粘着性を持たせることで、粘着剤層を設けなくてもよいので、第１カバー部材５の構成をより簡素化できる。なお、第１カバー部材５は、その最外面に粘着性を有する耐火材層、又は粘着剤層が設けられる場合、その最外面に剥離シートが貼付されてもよい。剥離シートは、使用時に最外面から剥離されるとよい。
基材は、表面をブチルゴム等により形成することで粘着性を付与することができる。
耐火材層は、ブチルゴム等により形成することで粘着性を付与することができる。
粘着剤層は、粘着剤により形成されるとよく、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。粘着剤層は、不燃性、準不燃性、又は難燃性であってもよく、使用する粘着剤に難燃剤などを配合してもよい。粘着剤層の厚みは、例えば５～４００μｍ、好ましくは１０～１５０μｍである。
また、第１カバー部材５は、タッカー、ビスなどの第１カバー部材５とは別部材である留付材６Ａによって仕切り部１１の外面１１Ａに固定され、留付材６Ｂによって挿通体２１に固定されるとよい。もちろん、これらの２以上の組み合わせにより、第１カバー部材５は、仕切り部１１及び挿通体２１に固定されてもよい。
また、第１カバー部材５は、図５（ａ）に示すように、粘着性を有する耐火材層５ｂ１を最外面に構成する構成、又は、図５（ｂ）に示すように、粘着剤層５５を備える耐火材層５ｂ１を最外面に構成する構成とし、粘着性を有する耐火材層又は粘着剤層によって仕切り部１１の外面１１Ａに接して配置されてもよい。
以上の構成により、第１カバー部材５とは別部材としての固定部材を使用しなくても、第１カバー部材５を仕切り部１１に固定させることができる。また、耐火材層自体に粘着性を持たせることで、粘着剤層を設けなくてもよいので、第１カバー部材５の構成をより簡素化できる。なお、第１カバー部材５は、その最外面に粘着性を有する耐火材層、又は粘着剤層が設けられる場合、その最外面に剥離シートが貼付されてもよい。剥離シートは、使用時に最外面から剥離されるとよい。
基材は、表面をブチルゴム等により形成することで粘着性を付与することができる。
耐火材層は、ブチルゴム等により形成することで粘着性を付与することができる。
粘着剤層は、粘着剤により形成されるとよく、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等を用いることができる。粘着剤層は、不燃性、準不燃性、又は難燃性であってもよく、使用する粘着剤に難燃剤などを配合してもよい。粘着剤層の厚みは、例えば５～４００μｍ、好ましくは１０～１５０μｍである。
また、第１カバー部材５は、タッカー、ビスなどの第１カバー部材５とは別部材である留付材６Ａによって仕切り部１１の外面１１Ａに固定され、留付材６Ｂによって挿通体２１に固定されるとよい。もちろん、これらの２以上の組み合わせにより、第１カバー部材５は、仕切り部１１及び挿通体２１に固定されてもよい。
【0054】
また、第１カバー部材５は、上記のとおり、変形可能なシートであるとよい。第１カバー部材５の厚みは、特に限定されないが、柔軟性が付与され、変形が容易であればよく、例えば０．０１～１ｍｍ、好ましくは０．０５～０．５ｍｍである。
【0055】
［第１の実施形態の変形例１］
図１で示した区画貫通処理構造１０では、第１カバー部材５は、第１カバー部５０と、第２カバー部５１とからなる特定の形状を備える態様を示したが、第１カバー部材５の形状は、特に限定されず、いかなる形状であってもよい。
例えば、第１カバー部材５は、図６に示すように、四角形であり、かつ挿通体２１が内部に挿通されるためのスリット５４を有し、スリット５４の少なくとも１つが第１カバー部材５の外縁まで延在する。スリット５４は、切込みにより形成される。第１カバー部材５は、外縁まで延在するスリット５４を介して、挿通体２１を第１カバー部材５の内部に挿入させることが可能である。本変形例では、挿通体２１を第１カバー部材５の内部に挿入させた第１カバー部５は、適宜変形されることで、一部を仕切り部１１上に配置させ、かつ挿通体２１に巻き付けるように設置させることができる。本変形例に係る第１カバー部材５も、上記で説明したとおり、留付材６Ａ、６Ｂによって仕切り部１１と、挿通体２１に固定されるとよい。
図１で示した区画貫通処理構造１０では、第１カバー部材５は、第１カバー部５０と、第２カバー部５１とからなる特定の形状を備える態様を示したが、第１カバー部材５の形状は、特に限定されず、いかなる形状であってもよい。
例えば、第１カバー部材５は、図６に示すように、四角形であり、かつ挿通体２１が内部に挿通されるためのスリット５４を有し、スリット５４の少なくとも１つが第１カバー部材５の外縁まで延在する。スリット５４は、切込みにより形成される。第１カバー部材５は、外縁まで延在するスリット５４を介して、挿通体２１を第１カバー部材５の内部に挿入させることが可能である。本変形例では、挿通体２１を第１カバー部材５の内部に挿入させた第１カバー部５は、適宜変形されることで、一部を仕切り部１１上に配置させ、かつ挿通体２１に巻き付けるように設置させることができる。本変形例に係る第１カバー部材５も、上記で説明したとおり、留付材６Ａ、６Ｂによって仕切り部１１と、挿通体２１に固定されるとよい。
【0056】
［第１の実施形態の変形例２］
本発明の区画貫通処理構造は、図７に示すように、例えば第１カバー部材の上に載せるなどして、第１カバー部材５の外側（空隙１００とは反対側）に耐火体３が配置される態様であってもよい。この場合、耐火体３としては、粘着性を有するものを使用して、第1カバー部材５に接着させて取り付けられるとよい。このように、第１カバー部材５の外側（空隙１００とは反対側）に耐火体３が配置されること以外は、上記した第１の実施形態と同様の態様をとることができる。
本発明の区画貫通処理構造は、図７に示すように、例えば第１カバー部材の上に載せるなどして、第１カバー部材５の外側（空隙１００とは反対側）に耐火体３が配置される態様であってもよい。この場合、耐火体３としては、粘着性を有するものを使用して、第1カバー部材５に接着させて取り付けられるとよい。このように、第１カバー部材５の外側（空隙１００とは反対側）に耐火体３が配置されること以外は、上記した第１の実施形態と同様の態様をとることができる。
【0057】
［第１の実施形態の変形例３］
図１で示した区画貫通処理構造１０では、第１カバー部材５は、仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００を形成するように設置する態様を示したが、図８に示すように、空隙１００を形成することなく、仕切り部１１に沿う態様でもよい。この場合には、図８に示すように、第１カバー部材５の外側に耐火体３を配置するとよい。この場合、耐火体３は、粘着性を有し、第1カバー部材５の表面に接着させて取り付けられるとよい。
図１で示した区画貫通処理構造１０では、第１カバー部材５は、仕切り部１１及び挿通体２１との間に空隙１００を形成するように設置する態様を示したが、図８に示すように、空隙１００を形成することなく、仕切り部１１に沿う態様でもよい。この場合には、図８に示すように、第１カバー部材５の外側に耐火体３を配置するとよい。この場合、耐火体３は、粘着性を有し、第1カバー部材５の表面に接着させて取り付けられるとよい。
【0058】
変形例３に係る第１カバー部材５は、上記スリット５４に加えて、挿通体２１を通すための孔を設けてもよいし、孔を設けなくてもよい。孔は、挿通体２１と第１カバー部材５の間に隙間が形成されないように、挿通体２１の輪郭と同じか、挿通体２１の輪郭よりも小さい（すなわち、孔の内縁が、挿通体２１の輪郭に一致し、又は輪郭よりも内側となる）ことが好ましい。また、例えば、孔を設けない場合や、孔を設けても孔が挿通体２１より小さい場合には、第１カバー部材５に挿通体２１が通されることで、第１カバー部材５の挿通体２１を取り巻く部分は、仕切り部１１とは反対側に立ち上げられるとよい。
なお、変形例２、３において、耐火体３が接着される部分の面積は、区画貫通部１５の形状が異なっても、カバー部材５の大きさが同じである限り概ね同じとなる。したがって、作業者は、そのカバー部材５の大きさ考慮して、耐火体３を取り付ければよいので、決められた量の耐火体を配置しやすくなり、作業者によるバラつきが抑制できる。
なお、変形例２、３において、耐火体３が接着される部分の面積は、区画貫通部１５の形状が異なっても、カバー部材５の大きさが同じである限り概ね同じとなる。したがって、作業者は、そのカバー部材５の大きさ考慮して、耐火体３を取り付ければよいので、決められた量の耐火体を配置しやすくなり、作業者によるバラつきが抑制できる。
【0059】
〔施工方法〕
本実施形態における区画貫通処理構造１０の施工方法は、仕切り部１１に設けられる区画貫通部１５の開口１３Ｃと挿通体２１との間の間隙１３Ｅを塞ぐように上述した第１カバー部材５、及び耐火体３を設置する工程を含む。
具体的には、耐火体３を仕切り部１１の上に配置し、かつ、その外側から第１カバー部材５を、耐火体３を覆うように配置し、留付材６Ａ、６Ｂにより、第１カバー部材５を挿通体５及び仕切り部１１に固定することで施工するとよい。また、第１カバー部材５を、仕切り部１１に留付材により固定した状態にしたうえで、第１カバー部材５と挿通体２１の間から耐火体３を空隙１００に充填し、その後、第１カバー部材５を挿通体２１に固定することにより区画貫通処理構造１０を施工してもよい。同様に、第１カバー部材５を挿通体２１に固定したうえで、第１カバー部材５と仕切り部１３の間から耐火体３を空隙１００に充填し、その後、第１カバー部材５を、仕切り部１１に留付材により固定して区画貫通処理構造１０を施工してもよい。また、耐火体３が接着された第１カバー部材５を、間隙１３を覆うように配置し、留付材６Ａ、６Ｂにより、第１カバー部材５を挿通体５及び仕切り部１１に固定することで施工してもよい。さらに、第２及び第３の変形例においては、第１カバー部材５を挿通体５及び仕切り部１１に固定した後、耐火体３を第１カバー部材５に接着させて、区画貫通処理構造１０を施工してもよい。これらは２以上を組み合わせて行ってもよい。
本実施形態における区画貫通処理構造１０の施工方法は、仕切り部１１に設けられる区画貫通部１５の開口１３Ｃと挿通体２１との間の間隙１３Ｅを塞ぐように上述した第１カバー部材５、及び耐火体３を設置する工程を含む。
具体的には、耐火体３を仕切り部１１の上に配置し、かつ、その外側から第１カバー部材５を、耐火体３を覆うように配置し、留付材６Ａ、６Ｂにより、第１カバー部材５を挿通体５及び仕切り部１１に固定することで施工するとよい。また、第１カバー部材５を、仕切り部１１に留付材により固定した状態にしたうえで、第１カバー部材５と挿通体２１の間から耐火体３を空隙１００に充填し、その後、第１カバー部材５を挿通体２１に固定することにより区画貫通処理構造１０を施工してもよい。同様に、第１カバー部材５を挿通体２１に固定したうえで、第１カバー部材５と仕切り部１３の間から耐火体３を空隙１００に充填し、その後、第１カバー部材５を、仕切り部１１に留付材により固定して区画貫通処理構造１０を施工してもよい。また、耐火体３が接着された第１カバー部材５を、間隙１３を覆うように配置し、留付材６Ａ、６Ｂにより、第１カバー部材５を挿通体５及び仕切り部１１に固定することで施工してもよい。さらに、第２及び第３の変形例においては、第１カバー部材５を挿通体５及び仕切り部１１に固定した後、耐火体３を第１カバー部材５に接着させて、区画貫通処理構造１０を施工してもよい。これらは２以上を組み合わせて行ってもよい。
【0060】
以上の本実施形態の構成によれば、区画貫通部１５の開口１３Ｃ内部の間隙１３Ｅが、第１カバー部材５及び耐火体３により塞がれる。したがって、区画貫通部処理構造１０に適切な耐火性能を付与でき、その施工も容易である。
また、本実施形態では、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部１５の内部に配置する必要がなく、上記の通り、第１カバー部材５を使用することで、決められた量の耐火体を所定の位置に配置しやすくなるので、作業者によるバラつきが生じにくくなる。
また、本実施形態では、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部１５の内部に配置する必要がなく、上記の通り、第１カバー部材５を使用することで、決められた量の耐火体を所定の位置に配置しやすくなるので、作業者によるバラつきが生じにくくなる。
【0061】
さらに、本実施形態では、少なくとも第１カバー部材５の少なくとも一部が露出しており、外部から視認可能である。また、第１カバー部材５を固定するための固定部材が設けられる場合、固定部材も外部から視認可能な位置に配置するとよい。そして、区画貫通部１５の内部には、挿通体２１以外の部材が何も設けられない。そのため、区画貫通処理材は、規定通り施工されたことが目視や写真撮影により簡単に点検できる。また、施工忘れなども発生にくくなる。
【0062】
［第２の実施形態］
次に、本発明の第２の実施形態について詳細に説明する。第２の実施形態において、第１の実施形態と相違する点は、図９に示すように、耐火体３を挟むようにして、第２カバー部材５Ａを備える構成である。以下、第２の実施形態について、第１の実施形態との相違点を説明する。また、説明を省略する部分は、第１の実施形態と同様である。また、以下の説明では、上記第１の実施形態と同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
次に、本発明の第２の実施形態について詳細に説明する。第２の実施形態において、第１の実施形態と相違する点は、図９に示すように、耐火体３を挟むようにして、第２カバー部材５Ａを備える構成である。以下、第２の実施形態について、第１の実施形態との相違点を説明する。また、説明を省略する部分は、第１の実施形態と同様である。また、以下の説明では、上記第１の実施形態と同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
【0063】
第２カバー部材５Ａは、単層でもよいし、複数層有してもよい。第２カバー部材５Ａは、具体的には、基材単層からなるものでもよいし、基材、並びに、耐火性を有するパテ材及び熱膨張性を有する膨張材の少なくともいずれかからなる耐火材層を有していてもよい。第２カバー部材５Ａは、基材及び耐火材層が少なくとも２層積層されていることが好ましい。第２カバー部材５Ａを上記構成とすることで、耐火体が中空部１３に落下することを防止でき、耐火体又は耐火袋をより安定して固定できるようになるため、火災発生時の耐火性能を発揮しやすくすることができる。
【0064】
第２カバー部材５Ａは、シート状であり、かつ、変形できることで、挿通体２１に容易に密着させて配置することが可能であり、開口部１３Ｃを容易に覆うことが可能である。
第２カバー部材５Ａは、第１カバー部材５と共に耐火体を挟む形態であれば、種々の態様を取ることができ、上述した第１カバー部材５と同様の態様を取ることができる。例えば、第２カバー部材７は、留付材６Ｃの設置位置を示すマークが付されており、留付材６Ａと同様に留付材６Ｃによって仕切り部１１に留めることができる。
第２カバー部材５Ａは、仕切り部１１及び挿通体２１に固定されて設置されるとよく、例えば、第１の実施形態の変形例２のように、仕切り部１１に沿う態様とするとよい。
第２カバー部材５Ａは、第１カバー部材５と共に耐火体を挟む形態であれば、種々の態様を取ることができ、上述した第１カバー部材５と同様の態様を取ることができる。例えば、第２カバー部材７は、留付材６Ｃの設置位置を示すマークが付されており、留付材６Ａと同様に留付材６Ｃによって仕切り部１１に留めることができる。
第２カバー部材５Ａは、仕切り部１１及び挿通体２１に固定されて設置されるとよく、例えば、第１の実施形態の変形例２のように、仕切り部１１に沿う態様とするとよい。
【0065】
［その他の実施形態］
本発明は、以上の第１及び第２の実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない限りいかなる改良、変更を行ってもよい。
例えば、上記各実施形態において区画貫通処理材は、区画貫通部１５の内部に配置される部材を有してもよい。そのような部材として、例えば、耐火材、付属品が挙げられる。その具体例として、第１の実施形態の変形例を図１０に示す。耐火材としては、図１０に示すようなブロック状の耐火材８０が使用され、そのブロック状の耐火材８０が、第１カバー部材５に連結されてもよい。連結する態様は、特に限定されないが、例えば、第１カバー部材５の一方の面に積層されてもよいし、第１カバー部材５の端面に連結されてもよい。耐火材８０は、上記の通り、加熱により膨張する熱膨張性部材からなることが好ましく、中でも熱膨張性樹脂組成物より形成されることが好ましい。
本発明は、以上の第１及び第２の実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない限りいかなる改良、変更を行ってもよい。
例えば、上記各実施形態において区画貫通処理材は、区画貫通部１５の内部に配置される部材を有してもよい。そのような部材として、例えば、耐火材、付属品が挙げられる。その具体例として、第１の実施形態の変形例を図１０に示す。耐火材としては、図１０に示すようなブロック状の耐火材８０が使用され、そのブロック状の耐火材８０が、第１カバー部材５に連結されてもよい。連結する態様は、特に限定されないが、例えば、第１カバー部材５の一方の面に積層されてもよいし、第１カバー部材５の端面に連結されてもよい。耐火材８０は、上記の通り、加熱により膨張する熱膨張性部材からなることが好ましく、中でも熱膨張性樹脂組成物より形成されることが好ましい。
【0066】
また、上記各実施形態及び変形例において、第１カバー部材５は、開口１３Ｃと挿通体２１の間の間隙１３Ｅの全体を塞ぐ態様が示されるが、間隙１３Ｅは、一部のみが塞がれてもよい。第1カバー部材５は、例えば、挿通体２１の外周全体に固定されず、第１カバー部材５と挿通体２１の間には隙間があってもよく、その場合、間隙１３Ｅは、一部のみが第１カバー部材５により塞がれることとなる。ただし、そのような場合には、第１カバー部材１３により塞がれない部分が、耐火体３により塞がれればよい。すなわち、開口１３Ｃは、第１カバー部材５及び耐火体３により塞がればよい。
【0067】
また、以上の説明では、仕切り部１１は、内部に中空部１３がある中空壁であったが、中空壁に限定されず、中空が設けられない壁であってもよく、例えば１枚の壁材からなる構造でもよい。また、仕切り部１１は、建築物の壁に限定されず、建築物の天井、床であってもよい。仕切り部は、天井、床の場合でも、２枚の仕切り材の間に中空部を有する構造であってもよいし、中空部がない構造、例えば１枚の仕切り材から構成される構造であってもよい。
【0068】
また、以上の各実施形態では、仕切り部１１の両方の開口１３Ｃ，１３Ｄ（すなわち、仕切り部１１の両側）に、いずれも同じ構造の区画貫通処理材が設けられることを前提に説明したが、各開口１３Ｃ，１３Ｄには、別の構造の区画貫通処理構造が設けられてもよい。例えば、一方の開口１３Ｃに第１の実施形態に係る区画貫通処理構造が設けられ、他方の開口１３Ｄに第２の実施形態に係る区画貫通処理構造が設けられてもよい。また、開口１３Ｄにおける区画貫通処理材が省略されてもよい。
【0069】
以上の各実施形態において、区画貫通処理構造１０における吸音性を向上させる観点から、第１カバー部材５が吸音層（図示せず）を有する構成とすることができる。また、以上の各実施形態において、区画貫通処理構造１０における吸音性を向上させる観点から、第１カバー部材５が吸音層（図示せず）を有する構成とすることができる。
吸音層は、グラスウール、ロックウール、軟質ウレタンフォーム、セラミックファイバー、セルロースファイバー、及びニードルパンチマットなどにより構成することができる。
吸音層の厚みは、特に限定されないが、例えば０．１～１０ｍｍ、好ましくは０．５～５ｍｍである。吸音層がこれら上限値以下の厚みを有することで、第１カバー部材５の設置を容易にすることができる。また、吸音層がこれら下限値以上の厚みを有することで、吸音性能を確保しやすくなる。
吸音層は、グラスウール、ロックウール、軟質ウレタンフォーム、セラミックファイバー、セルロースファイバー、及びニードルパンチマットなどにより構成することができる。
吸音層の厚みは、特に限定されないが、例えば０．１～１０ｍｍ、好ましくは０．５～５ｍｍである。吸音層がこれら上限値以下の厚みを有することで、第１カバー部材５の設置を容易にすることができる。また、吸音層がこれら下限値以上の厚みを有することで、吸音性能を確保しやすくなる。
【0070】
以上の各実施形態において、区画貫通処理構造１０における遮音性を向上させる観点から、第１カバー部材５が遮音層（図示せず）を有する構成とすることができる。また、以上の各実施形態において、区画貫通処理構造１０における遮音性を向上させる観点から、第１カバー部材５が遮音層（図示せず）を有する構成とすることができる。
遮音層は、アスファルトシート、オレフィンシート、及び鉄系軟質シートなどにより構成することができる。また、遮音層は、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを高充填した樹脂材料によっても構成することができる。具体的には、オレフィン系樹脂１００質量部に対して、無機フィラーを３００～６００質量部含有する樹脂組成物から構成されることが好ましく、３５０～５５０質量部含有する樹脂組成物から構成されることがより好ましく、４００～５００質量部含有する樹脂組成物から構成されることがさらに好ましい。このように、無機フィラーを高充填した樹脂材料は、単位体積当たりの質量が大きくなることによって、遮音効果を効果的に発揮する。
遮音層の厚みは、特に限定されないが、例えば０．１～１０ｍｍ、好ましくは０．５～５ｍｍである。遮音層がこれら上限値以下の厚みを有することで、第１カバー部材５の設置を容易にすることができる。また、遮音層がこれら下限値以上の厚みを有することで、遮音性能を確保しやすくなる。
遮音層は、アスファルトシート、オレフィンシート、及び鉄系軟質シートなどにより構成することができる。また、遮音層は、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを高充填した樹脂材料によっても構成することができる。具体的には、オレフィン系樹脂１００質量部に対して、無機フィラーを３００～６００質量部含有する樹脂組成物から構成されることが好ましく、３５０～５５０質量部含有する樹脂組成物から構成されることがより好ましく、４００～５００質量部含有する樹脂組成物から構成されることがさらに好ましい。このように、無機フィラーを高充填した樹脂材料は、単位体積当たりの質量が大きくなることによって、遮音効果を効果的に発揮する。
遮音層の厚みは、特に限定されないが、例えば０．１～１０ｍｍ、好ましくは０．５～５ｍｍである。遮音層がこれら上限値以下の厚みを有することで、第１カバー部材５の設置を容易にすることができる。また、遮音層がこれら下限値以上の厚みを有することで、遮音性能を確保しやすくなる。
【0071】
吸音層又は遮音層が設けられる場合、吸音層又は遮音層は、基材に隣接させることが好ましく、それにより、吸遮音層は基材に支持させることができる。
また、吸音層又は遮音層は、第２カバー部材に設けられてもよく、この場合も、吸音層又は遮音層は、基材に隣接させることが好ましい。
なお、吸音層又は遮音層は、第１カバー部材において２つ以上設けられてもよいし、第２カバー部材において２つ以上設けられてもよいし、第１カバー部材と第２カバー部材それぞれに設けられてもよい。
また、吸音層又は遮音層は、第２カバー部材に設けられてもよく、この場合も、吸音層又は遮音層は、基材に隣接させることが好ましい。
なお、吸音層又は遮音層は、第１カバー部材において２つ以上設けられてもよいし、第２カバー部材において２つ以上設けられてもよいし、第１カバー部材と第２カバー部材それぞれに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0072】
３ 耐火体
５ 第１カバー部材
５Ａ 第２カバー部材
６Ａ～６Ｃ 留付材
１０ 区画貫通処理構造
１１ 仕切り部
１２Ａ，１２Ｂ 壁材
１３ 中空部
１３Ａ，１３Ｂ 貫通孔
１３Ｃ，１３Ｄ 開口
１３Ｅ 間隙
１５ 区画貫通部
２１ 挿通体
３０Ａ，・・・３０Ｙ，３０Ｚ 基材
３１Ａ，・・・３１Ｙ，３１Ｚ 耐火材層
３２ スリット
３３ 粘着剤層
５０ 第１カバー部
５１ 第２カバー部
５２ 第１マーク
５３ 第２マーク
５４ スリット
５５ 粘着剤層
８０ 耐火材
１００ 空隙
５ 第１カバー部材
５Ａ 第２カバー部材
６Ａ～６Ｃ 留付材
１０ 区画貫通処理構造
１１ 仕切り部
１２Ａ，１２Ｂ 壁材
１３ 中空部
１３Ａ，１３Ｂ 貫通孔
１３Ｃ，１３Ｄ 開口
１３Ｅ 間隙
１５ 区画貫通部
２１ 挿通体
３０Ａ，・・・３０Ｙ，３０Ｚ 基材
３１Ａ，・・・３１Ｙ，３１Ｚ 耐火材層
３２ スリット
３３ 粘着剤層
５０ 第１カバー部
５１ 第２カバー部
５２ 第１マーク
５３ 第２マーク
５４ スリット
５５ 粘着剤層
８０ 耐火材
１００ 空隙
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
