IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特開2023-143178荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法
<>
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図1
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図2
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図3
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図4
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図5
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図6
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図7
  • 特開-荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143178
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20230928BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06K7/10 428
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050416
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】守山 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 広志
(72)【発明者】
【氏名】出良 隆明
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】荷物検出システムにおいて、荷物の仕分けをより効率的かつ正確に行う。
【解決手段】荷物検出システムは、搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取って、当該荷物に対応する情報を取得する第1の取得部と、前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にて前記荷物を検出する検出部と、前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得する第2の取得部と、前記検出部にて前記荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において、前記第2の取得部にて取得した回転数の情報に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出する導出部と、前記読取位置と前記検出部による検出の開始位置との距離と、前記導出部にて導出した時刻とに基づいて、前記第1の取得部にて取得した情報のうち前記検出部によって検出した荷物に対応する情報を特定する特定部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取って、当該荷物に対応する情報を取得する第1の取得部と、
前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にて荷物を検出する検出部と、
前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得する第2の取得部と、
前記検出部にて荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において、前記第2の取得部にて取得した回転数の情報に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出する導出部と、
前記読取位置と前記検出部による検出の開始位置との距離と、前記導出部にて導出した時刻とに基づいて、前記第1の取得部にて取得した情報のうち前記検出部によって検出した荷物に対応する情報を特定する特定部と
を有する、
荷物検出システム。
【請求項2】
前記導出部は、前記回転数の情報に基づいて前記搬送コンベアの搬送速度を導出し、前記搬送速度を用いて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出する、
請求項1に記載の荷物検出システム。
【請求項3】
前記導出部は、前記回転数の情報に基づいて移動距離を算出し、前記所定の範囲における移動距離の情報の平均値に基づいて、前記搬送コンベアの搬送速度を導出する、
請求項2に記載の荷物検出システム。
【請求項4】
前記特定部は、前記距離と前記導出部にて導出した搬送速度とに基づいて、荷物が前記読取位置に存在した時刻を逆算し、前記第1の取得部にて取得した情報のうち当該時刻に対応する情報を前記荷物に対応する情報として特定する、
請求項2または3に記載の荷物検出システム。
【請求項5】
前記搬送コンベアにて搬送されている荷物に対して投影部により所定の投影パターンを投影させる投影制御部を更に有し、
前記所定の投影パターンは、前記特定部にて特定された情報に基づいて決定される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の荷物検出システム。
【請求項6】
搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取って、当該荷物に対応する情報を取得する第1の取得ステップと、
前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にてセンサ部を用いて荷物を検出する検出ステップと、
前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得する第2の取得ステップと、
前記検出ステップにて荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において前記第2の取得ステップにて取得した回転数に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出する導出ステップと、
前記読取位置と前記センサ部による検出の開始位置との距離と、前記導出ステップにて導出した時刻とに基づいて、前記第1の取得ステップにて取得した情報のうち前記検出ステップにて検出した荷物に対応する情報を特定する特定ステップと、
を有する、
荷物検出方法。
【請求項7】
プロセッサと、
メモリと、を備え、
前記プロセッサは、前記メモリと協働して、
搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取ることで得られる、当該荷物に対応する情報を取得し、
前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にて荷物を検出し、
前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得し、
荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において取得した回転数に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出し、
前記読取位置と荷物の検出の開始位置との距離と、導出した時刻とに基づいて、取得した荷物の情報のうち検出した荷物に対応する情報を特定する、
情報処理装置。
【請求項8】
プロセッサがメモリと協働して、
搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取ることで得られる、当該荷物に対応する情報を取得し、
前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にてセンサ部を用いて荷物を検出し、
前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得し、
荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において取得した回転数に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出し、
前記読取位置と前記センサ部による検出の開始位置との距離と、導出した時刻とに基づいて、取得した荷物の情報のうち検出した荷物に対応する情報を特定する、
情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の経済活動の高まりに伴い、荷物の流通量は増大する一方である。荷物の流通工程において、荷物を行先別に仕分ける仕分け作業は時間のかかる工程であり、従前から人手による作業に頼っているが、仕分け作業の少なくとも一部を自動化する技術も提案されている。
【0003】
特許文献1は、搬送経路上を移動する荷物を追跡し、荷物から読み取った荷物に関する情報と当該荷物の位置の情報に基づき、表示する画像を決定し、プロジェクタから画像を荷物に投射して画像を荷物上に表示するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7090134号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昨今の荷物の流通量はますます増大するとともに、荷物の種類も様々なものとなっており、荷物をより効率的かつ正確に仕分ける技術が求められている。
【0006】
本開示は、上述した従来の事情を鑑みて案出され、荷物の仕分けをより効率的かつ正確に行うための技術に関する。特に、荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取って、当該荷物に対応する情報を取得する第1の取得部と、前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にて荷物を検出する検出部と、前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得する第2の取得部と、前記検出部にて荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において、前記第2の取得部にて取得した回転数の情報に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出する導出部と、前記読取位置と前記検出部による検出の開始位置との距離と、前記導出部にて導出した時刻とに基づいて、前記第1の取得部にて取得した情報のうち前記検出部によって検出した荷物に対応する情報を特定する特定部と、を有する、荷物検出システムを提供する。
【0008】
また、本開示は、搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取って、当該荷物に対応する情報を取得する第1の取得ステップと、前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にてセンサ部を用いて荷物を検出する検出ステップと、前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得する第2の取得ステップと、前記検出ステップにて荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において、前記第2の取得ステップにて取得した回転数の情報に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出する導出ステップと、前記読取位置と前記センサ部による検出の開始位置との距離と、前記導出ステップにて導出した時刻とに基づいて、前記第1の取得ステップにて取得した情報のうち前記検出ステップにて検出した荷物に対応する情報を特定する特定ステップと、を有する、荷物検出方法を提供する。
【0009】
また、本開示は、プロセッサと、メモリと、を備え、前記プロセッサは、前記メモリと協働して、搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取ることで得られる、当該荷物に対応する情報を取得し、前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にて荷物を検出し、前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得し、荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において取得した回転数の情報に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出し、前記読取位置と荷物の検出の開始位置との距離と、導出した時刻とに基づいて、取得した荷物の情報のうち検出した荷物に対応する情報を特定する、情報処理装置を提供する。
【0010】
また、本開示は、プロセッサがメモリと協働して、搬送コンベアにて搬送されている荷物に付されたラベルを読取部にて読み取ることで得られる、当該荷物に対応する情報を取得し、前記搬送コンベアによる搬送方向において、前記読取部の読取位置よりも下流側の位置にてセンサ部を用いて荷物を検出し、前記搬送コンベアによる搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得し、荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において取得した回転数の情報に基づいて、前記荷物が前記読取位置に存在した時刻を導出し、前記読取位置と前記センサ部による検出の開始位置との距離と、導出した時刻とに基づいて、取得した荷物の情報のうち検出した荷物に対応する情報を特定する、情報処理装置の制御方法を提供する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本開示の表現を方法、装置、システム、記憶媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、荷物の仕分けをより効率的かつ正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る荷物仕分けシステムの構成例を示すブロック図
図2】実施の形態1に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図
図3】実施の形態1に係る荷物の搬送を説明するための概略図
図4】実施の形態1に係る荷物の検出及び投影を説明するための概略図
図5】実施の形態1に係る荷物仕分けシステムの処理シーケンス
図6】実施の形態1に係る荷物仕分けシステムの処理シーケンス
図7】実施の形態1に係る搬送中の荷物の認識を説明するための概略図
図8】実施の形態1に係る荷物情報の対応付けの処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本開示に係る荷物検出システム、荷物検出方法、情報処理装置およびその制御方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、あるいは、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されない。
【0015】
<実施の形態1>
[システム構成]
図1は、実施の形態に係る荷物仕分けシステム100の構成例を示すブロック図である。荷物仕分けシステム100は、搬送コンベア(図1では不図示)により搬送されてくる複数の荷物を仕分ける作業者の作業を支援するシステムであり、荷物検出システムとしても動作する。荷物仕分けシステム100は、例えば、小売業者、卸売り業者、インターネット流通業者などが所有する物流センターに設置される。仕分け対象の荷物は、一般的には略直方体の形状を有するものであるが、その外形やサイズは特に限定はされず、荷物の種類も特に限定されない。荷物を搬送する搬送コンベアは、例えば、ベルトコンベアまたはローラコンベアなどであってよい。また、荷物の搬送経路は、複数の搬送コンベアを組み合わせることで、搬送方向が変化したり、搬送経路の一部が分岐したりしていてもよい。
【0016】
荷物仕分けシステム100は、仕分け管理サーバ101、連携サーバ102、ラベルリーダ103、仕分けクライアント104、プロジェクタ105、距離センサ106、および画像センサ107を含んで構成される。仕分けクライアント104、プロジェクタ105、距離センサ106、および画像センサ107を1つの組として、荷物を搬送する搬送コンベア上に設けられる複数の仕分け領域それぞれに対応付けて複数のクライアントシステム110が設けられる。したがって、仕分けクライアント104、プロジェクタ105、距離センサ106、および画像センサ107はそれぞれ、仕分け領域の数に応じて複数設置される。以下の説明において、個別に装置の説明を要する場合には添え字(a,b,・・・)を付し、装置をまとめて説明する場合には添え字を省略して示す。
【0017】
仕分け管理サーバ101は、本実施の形態に係る荷物仕分けシステム100の全体の制御を司る情報処理装置である。仕分け管理サーバ101は、ラベルリーダ103の検出結果を取得したり、連携サーバ102から各種荷物情報を取得したりする。また、仕分け管理サーバ101は、1または複数の仕分けクライアント104それぞれに対して、各種指示を行ったり、各種情報を収集したりする。更に、仕分け管理サーバ101は、後述する搬送コンベアの動作制御や、動作情報の収集および管理を行ってよい。
【0018】
連携サーバ102は、ラベル情報と、荷物情報とを対応付けて保持、管理している。そして、連携サーバ102は、仕分け管理サーバ101からの要求に応じて、ラベルリーダ103にて読み取ったラベル情報に対応する荷物情報を提供する。なお、図1の例では、仕分け管理サーバ101、および連携サーバ102はそれぞれ1台ずつ示しているが、機能の冗長化や負荷分散などの観点から複数の装置にて構成されてもよい。また、仕分け管理サーバ101側にて、ラベル情報と仕分けのパターンを対応付けて管理しておき、これに基づいて、後述する各荷物の仕分けに係る処理を行ってもよい。このような場合などには、連携サーバ102の構成を省略し、仕分け管理サーバ101は、取得したラベル情報のパターンに基づいて、後述する各荷物の仕分けに係る処理を行うような構成であってよい。
【0019】
ラベルリーダ103は、搬送コンベアにより搬送されている荷物に付されているラベルを読み取るための装置であり、レンズやイメージセンサなどの光学部品を含んで構成される。荷物に付されているラベルを読み取ることで、ラベルにて示される各種情報(以下、「ラベル情報」と称する)を取得する。ラベルの形式や方式は特に限定するものではなく、例えば、バーコードや二次元コード(QRコード(登録商標)など)を利用することができる。本実施の形態では、ラベルとしてバーコードを例に挙げて説明する。また、ラベル情報は、例えば、荷物を一意に識別するための識別情報を含んでよい。この場合、識別情報を構成する文字種や桁数などは特に限定されない。
【0020】
ラベルリーダ103は、例えば、一般的な撮像カメラを使用し、撮像した画像からラベルの領域を画像認識によって抽出して各種情報を読み取ったり、ラベルに記載されている文字等をOCR(Optical Character Recognition/Reader)によって認識したりしてもよい。ラベルリーダ103は、ラベルを読み取るための専用の装置であってもよいし、他の装置と一体となった構成であってもよい。また、ラベルリーダ103は、ラベルの三次元座標を検出するような構成であってもよい。また、荷物の多様なサイズなどに対応して複数のラベルリーダ103が備えられてもよいし、ラベルの様々な貼り付け位置に対応して多方向から荷物を撮影するような構成であってもよい。
【0021】
本実施の形態に係る荷物情報としては、例えば、荷物に個別に付与される荷物特定番号(例えば、荷物を一意に識別するための識別情報)、荷物の発送元の氏名、住所、電話番号、宛先(例えば、受取人)の氏名、住所、電話番号、荷物の種類、などが挙げられる。なお、これらの情報に限定するものではなく、荷物情報に含まれる項目は、必要に応じて増減してよい。本実施の形態において、仕分け管理サーバ101がラベルリーダ103からラベル情報を取得し、このラベル情報を用いて連携サーバ102に問い合わせを行うことで、対応する荷物情報を取得する。上述したように、連携サーバ102との連携を省略するような構成の場合には、仕分け管理サーバ101側で、ラベル情報と仕分けに関するパターンの情報とを対応付けて保持しておいてよい。
【0022】
仕分けクライアント104は、仕分け管理サーバ101からの指示に基づいて、搬送されている荷物に対する投影処理等を制御する情報処理装置である。また、仕分けクライアント104は、距離センサ106および画像センサ107による撮影結果を取得し、その撮影結果に基づいて荷物を検出、管理する。また、仕分けクライアント104は、検出した荷物の位置情報やサイズ情報、検出した時刻情報などを仕分け管理サーバ101に提供する。
【0023】
プロジェクタ105は、仕分けクライアント104の指示に基づいて、搬送経路上の荷物に対して所定の投影パターンを含む投影画像の照射を行う投影装置である。なお、本実施の形態において、「投影画像」とは、プロジェクタ105により仕分け領域全体に重畳して投影させる画像全体を示す。また、「投影パターン」とは、仕分け領域にて検出された荷物それぞれに対応して重畳して表示させる画像を示す。したがって、仕分け領域にて荷物が検出された場合、投影画像には、荷物に応じて1または複数の投影パターンが含まれることとなる。投影パターンの例については後述する。
【0024】
距離センサ106は、距離センサ106と撮像対象(例えば、荷物の表面)との距離情報を検出するためのセンサであり、検出結果を距離画像として取得する。距離画像は、距離を示す数値を列挙したテーブルなど、人の目で画像として認識できないものを含んでよい。すなわち、距離画像は、撮像した領域内における座標と距離との関係を示す情報であればよく、そのデータ構造を特に限定するものではない。距離センサ106としては、例えば、赤外線センサ(IRセンサ)や、複数のカメラにて構成されるステレオカメラなどが用いられてよい。
【0025】
画像センサ107は、レンズ、イメージセンサ等の光学部品を含む撮像装置である。画像センサ107は、例えば、撮像カメラにて構成される。撮像カメラは、三次元カメラ、複数台の二次元カメラが用いられてよい。画像センサ107は、搬送コンベアにより搬送されてくる荷物を含む搬送コンベアを撮像し、色画像を生成する。ここでの色画像とは、撮影対象の表面の色を所定の階調で表現した画像を示す。階調にはRGB(Red,Green,Blue)の256階調の他、グレースケールなどを含んでよい。
【0026】
クライアントシステム110の数は、搬送コンベアの長さや各センサの検出範囲などに応じて異なる。なお、仕分けクライアント104は1台構成とし、この1台の仕分けクライアント104にて、複数の仕分け領域に対応した複数のプロジェクタ105、複数の距離センサ106、および複数の画像センサ107を制御するような構成であってもよい。また、本実施の形態では、センサとして距離センサ106と画像センサ107を用いる例を示したが、これらが一体となったセンサが用いられてもよいし、いずれか一方のみが用いられるような構成であってもよい。また、他の種類のセンサが用いられてもよい。搬送コンベアの搬送形式は特に限定するものではなく、例えば、1列にて荷物を搬送するような構成であってもよいし、複数列にて荷物を搬送するような構成であってもよい。
【0027】
各装置は、有線/無線により通信可能に接続される。ここでの通信方式や接続方式は特に限定するものではなく、所定のネットワークケーブルを用いて接続されてもよいし、複数の方式を組み合わせて接続されてもよい。
【0028】
(情報処理装置)
図2は、本実施の形態に係る仕分け管理サーバ101や連携サーバ102、仕分けクライアント104として適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。ここでは各装置が同じ構成を有するものとして説明するが、各装置がそれぞれ異なる構成であってもよい。
【0029】
情報処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)201、メモリ202、記憶装置203、入出力部204、通信部205、および外部I/F206を含んで構成される。CPU201は、メモリ202や記憶装置203に格納された各種プログラムやデータを読み出して処理を実行することで、各種機能を実現する。なお、CPU201は、GPU(Graphics Processing Unit)のような他の演算回路であってもよいし、他の演算回路と併用されてもよい。メモリ202は、各種情報を記憶、保持するための記憶領域であり、例えば、不揮発性の記憶領域であるROM(Read Only Memory)や、揮発性の記憶領域であるRAM(Random Access Memory)などから構成される。記憶装置203は、各種情報を記憶、保持するための記憶領域であり、HDD(Hard Disk Drive)などから構成される。
【0030】
入出力部204は、例えば、不図示のマウスやキーボードからユーザによる指示を受け付けたり、不図示のディスプレイなどにより各種情報を出力したりする。通信部205は、有線/無線などのネットワークを介して外部装置との通信を行い、各種データや信号の送受信を行う。通信部205による通信方式は、特に限定するものではなく、複数の通信方式に対応していてよい。例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、電力線通信、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))などが用いられてよい。外部I/F206は、外部装置とのデータの送受信を行うためのインタフェースである。情報処理装置200が備える各部位は、不図示の内部バスなどにより通信可能に接続される。
【0031】
[搬送例]
図3は、本実施の形態に係る荷物の搬送を説明するための概略図である。搬送対象の荷物300にはそれぞれラベル301が付される。ラベル301は、搬送経路の任意の位置に設置されたラベルリーダ103によって、搬送中に読み取られる。なお、図3の例では、ラベル301は、荷物300の上面に付され、上側からラベルリーダ103により読み取られる構成としたが、これに限定するものではない。例えば、荷物300の側面にラベル301が付され、これに対応してラベルリーダ103が側方から読み取り可能な構成であってもよい。
【0032】
荷物300は、搬送コンベア302により任意の速度にて搬送される。搬送コンベア302には、ロータリーエンコーダ303が設置され、その搬送距離を適時検出し、仕分け管理サーバ101に提供される。ロータリーエンコーダ303は、搬送コンベア302の搬送に伴って回転する回転機構(不図示)に取り付けられており、その回転機構の回転数を出力する。この回転機構は、搬送コンベア302がベルトコンベアの場合は、ベルトに接しているローラまたはベルトを移動させるモータである。また、搬送コンベア302がローラコンベアの場合は、搬送コンベア302を構成するローラである。ここでは、矢印にて示す方向に沿って、荷物が搬送されているものとする。搬送コンベア302は、ユーザからの指定に応じてその搬送速度が変化したり、搬送を停止したりする。必要に応じて、逆方向への搬送が行われてもよい。また、搬送コンベア302の搬送速度は、搬送コンベア302の各機構の物理的な特性など、ユーザからの指定以外の要因でも変化したりする。しかし、ロータリーエンコーダ303は、回転機構の回転数を正確に検知するため、搬送速度の変化等の影響を受けにくい。搬送コンベア302による搬送は、例えば、仕分け管理サーバ101により制御されてもよいし、別途設けられる制御装置(不図示)にて制御されてもよい。
【0033】
ラベルリーダ103よりも搬送方向の下流側には、複数の仕分け領域に対応して、各種センサ(本例では、距離センサ106および画像センサ107)と、プロジェクタ105が複数設置される。図3では、複数の仕分け領域のうちの最上流の仕分け領域Aを示している。仕分け領域Aに対応する各種センサは、仕分け領域Aを撮影することにより各種画像を取得し、これらの画像を用いて、仕分けクライアント104aにより搬送中の荷物が検出される。具体的には、仕分け領域Aの開始位置305aに荷物300が到達すると、荷物300は、各種センサの撮影範囲に進入することとなる。距離センサ106aおよび画像センサ107aの撮影範囲304は、少なくとも仕分け領域Aの範囲を含む。また、仕分け領域Aの範囲内において、仕分け管理サーバ101や仕分けクライアント104の指示に基づいて、プロジェクタ105aが所定の投影画像を投影する。プロジェクタ105aによる投影範囲306は、少なくとも仕分け領域Aを含む。なお、ラベルリーダ103の読み取り位置から、開始位置305aまでの距離は、後述する処理シーケンスの処理速度や、各種センサの読み取り速度などに応じて規定されてよい。
【0034】
搬送コンベア302の周囲には、荷物300に対する作業を行う作業者Mが位置し、必要に応じて、各種作業を実施する。このとき、作業者Mは、プロジェクタ105により投影された投影画像(投影パターン等)に基づいて作業を実施することが可能である。
【0035】
図4は、複数のクライアントシステム110それぞれに対応した複数の仕分け領域を説明するための図である。ここでは、2つの仕分け領域A、Bを例に挙げ、それぞれ、クライアントシステム110a、110bにより監視されているものとして説明する。仕分け領域の数やその範囲(例えば、搬送方向の長さや幅)はクライアントシステム110の機能に応じて規定されてよい。したがって、仕分け領域Bよりも更に搬送方向下流において、更に1または複数の仕分け領域が設けられてよい。
【0036】
仕分け領域Aは、距離センサ106aおよび画像センサ107aにより撮影され、その画像が仕分けクライアント104aに提供される。また、仕分け領域Aにおいて、プロジェクタ105aにより、任意の投影パターンを含む投影画像が投影される。同様に、仕分け領域Aの搬送方向下流側に隣接する仕分け領域Bは、距離センサ106bおよび画像センサ107bにより撮影され、その画像が仕分けクライアント104bに提供される。また、仕分け領域Bにおいて、プロジェクタ105bにより、任意の投影パターンを含む投影画像が投影される。仕分け領域Bでは、仕分け領域Aから搬送されてきた荷物の監視を引き継ぐ形で監視が行われる。このとき、図4に示すように、クライアントシステム110それぞれによる仕分け領域は、一部の領域が重複しており、以下、この領域を「ハンドオーバ領域」とも称する。開始位置305bは、仕分け領域Bの監視の開始位置を示し、仕分け領域Bの上流側に隣接する仕分け領域Aの監視の終了位置(不図示)とは異なる。ハンドオーバ領域の詳細については後述する。
【0037】
[処理シーケンス]
図5図6を用いて、本実施の形態に係る荷物仕分けシステム100の処理シーケンスについて説明する。各装置の処理は、各処理の処理主体(CPU等)により各種機能に対応したプログラムが実行されることで実現されてよい。図5図6に示す処理が開始される際に搬送コンベア302の動作が開始され、それにより荷物が順次搬送されるものとする。なお、以下に示す処理シーケンスにおける各処理の主体は一例であり、その一部が他の装置によって実行されてもよい。例えば、以下に示す仕分け管理サーバ101の処理の一部を、仕分けクライアント104が実行するような構成であってもよい。または、図1に示した各サーバや仕分けクライアントを1の装置にて構成し、この1の装置にて以下の処理シーケンスを実行させてもよい。
【0038】
ラベルリーダ103は、搬送コンベア302にて搬送されている荷物に付与されているラベルを検出し、そのラベル情報を読み取る(ステップS501)。
【0039】
ラベルリーダ103は、S501にて読み取ったラベル情報を仕分け管理サーバ101へ送信する(ステップS502)。この時送信する情報としては、ラベルにて示される情報の他、読み取った時刻やラベルを読み取る際に検出した位置情報(例えば、三次元情報など)が含まれてもよい。
【0040】
仕分け管理サーバ101は、ラベルリーダ103から送信されてきたラベル情報を取得する(ステップS503)。このとき、仕分け管理サーバ101は、搬送コンベア302に備えられたロータリーエンコーダ303から、検出値を取得して、対応付けて保持する。ロータリーエンコーダ303による検出値は、その回転数に基づく、搬送コンベア302の移動距離に相当する。更に、仕分け管理サーバ101は、取得したラベル情報を用いて、連携サーバ102に対して荷物情報を問い合わせる。
【0041】
連携サーバ102は、仕分け管理サーバ101からの問い合わせにて示されるラベル情報に対応する荷物情報を所定のDB(データベース)から検索し、特定する(ステップS504)。DBは、連携サーバ102が内部に備えていてもよいし、ネットワークを介して連携サーバ102に接続された外部装置(不図示)に構成されていてもよい。
【0042】
連携サーバ102は、ステップS504にて特定した荷物情報を、問い合わせに対する応答として仕分け管理サーバ101へ送信する(ステップS505)。
【0043】
仕分け管理サーバ101は、連携サーバ102から取得した荷物情報に基づき、投影パターンを決定する(ステップS506)。本実施の形態に係る投影パターンは、複数のパターンとして予め規定され、保持されている。投影パターンは、例えば、荷物情報にて示される宛先(例えば、送付先住所)に応じて決定されてよいし、仕分け領域に応じて決定されてもよい。
【0044】
仕分け管理サーバ101は、ステップS506にて決定した投影パターンを含む投影指示を仕分けクライアント104へ送信する(ステップS507)。ここでは、図3にて示したように、搬送経路の最上流に位置する仕分け領域Aに対応するクライアントシステム110aの仕分けクライアント104aに送信するものとして説明する。つまり、各荷物は、まず、仕分け領域Aに向けて搬送される。なお、投影指示には、投影パターンのほか、ステップS506にて取得した荷物情報や、ステップS501にてラベルリーダ103にて読み取ったラベル情報およびその読み取った際の時刻の情報などを含んでよい。ここでの投影指示は、仕分けクライアント104aがセンサ類にて荷物を検出したことに起因して、その荷物に関する情報を問い合わせ、それに応じて仕分け管理サーバ101から仕分けクライアント104aに送信されてよい。または、仕分け管理サーバ101がラベルリーダ103からラベル情報を受信したことに起因して、仕分けクライアント104aに送信されてよい。
【0045】
ステップS520(ステップS508~ステップS515)は、仕分け領域(ここでは、仕分け領域A)内を搬送されている各荷物を監視するためにクライアントシステム110(ここでは、クライアントシステム110a)により繰り返し行われる処理である。ここでは、便宜上、距離センサ106および画像センサ107(ここでは、距離センサ106aおよび画像センサ107a)をまとめて「センサ類」と記載する。
【0046】
センサ類は、仕分け領域A内を撮影し、その画像を取得する(ステップS508)。なお、本実施の形態では、仕分けクライアント104aが、センサ類にて撮影された画像を用いて荷物の検出を行うものとして説明するが、その処理の一部をセンサ類側で実施するような構成であってもよい。例えば、センサ類は、荷物に対応する領域の特定(荷物の有無)や、各荷物の三次元座標(位置)やサイズ(縦、横、高さ)などを検出するような構成であってもよい。
【0047】
センサ類は、取得結果を仕分けクライアント104aに送信する(ステップS509)。このとき、センサ類は、取得した画像に対して所定の処理を行った上で、仕分けクライアント104aに送信してよい。例えば、画像センサ107aの場合、取得した画像情報に対して任意の画像処理(例えば、画像圧縮や補正処理)が行われてよい。
【0048】
仕分けクライアント104aは、ステップS509にてセンサ類から送信された取得結果に基づいて、荷物の検出処理を行う(ステップS510)。具体的には、仕分けクライアント104aは、仕分け領域A内において、搬送コンベア302により搬送されている1または複数の荷物を、センサ類からの取得結果に基づいて特定する。荷物の検出の際の処理は公知の方法を用いてよく、特に限定するものではない。例えば、機械学習による領域分割にて荷物に対応する領域を検出してもよい。または、予め規定されたパターンを用いて、パターンマッチングにより荷物を検出してもよい。
【0049】
仕分けクライアント104aは、ステップS507にて仕分け管理サーバ101から送信された投影指示と、ステップS510の検出結果とに基づいて、各情報の対応付けを行う(ステップS511)。これにより、検出した1または複数の荷物それぞれと、仕分け管理サーバ101から送信された投影指示にて示される各種情報(投影パターン等)が対応付けられる。
【0050】
投影パターンは、例えば、荷物の配送先住所に対応した仕分け場所を示す色を有し、円い枠で囲んだ数字の画像である。ここで、数字は、例えば、仕分けられた荷物を運ぶトラックの番号(トラック自体の番号や駐車場番号など)や、当該トラックなどに搬入されるべき棚や箱などの番号等に対応する。また、数字の画像は、直接的に棚や箱などの番号に対応させるのではなく、ピックアップした荷物を他の場所またはトラック等へ移動させるシューター(不図示)の番号等に対応していてもよい。トラック等の駐車位置は交通状況などに応じて頻繁に変わるため、搬送コンベア302周辺から見た仕分け先を随時対応させることは難しいことがある。そのため、搬送コンベア302と搬送トラック等との間にシューターを挟み、搬送コンベア302周辺ではシューターの番号を投影することで、搬送コンベア302周辺の構成を随時変えなくとも、シューターの出口の配置換えなどで仕分け先の変化に対応することができる。この場合、状況の変化に応じて、投影パターンの内容が切り替えられてもよい。
【0051】
投影パターンとして、数字を表示する他の例としては、配送先住所に対応した郵便番号や、荷物Pをピックアップすべき作業者の番号などであってもよい。また、数字以外の情報を表示する例としては、仕分け方向を示す矢印(搬送コンベア302の搬送方向に対して右または左など)または文字(「左」、「右」など)であってもよい。更に、表示の形態も円い枠で囲んだ数字に限られるものではなく、四角い枠で囲んだ数字(“3”、“359”、“24735”)など様々な構成であってよい。さらに、投影パターンは、枠によって数字または文字を囲むものに限らず、背景を塗りつぶした白抜きの数字または文字であってもよい。また、表示する情報に応じて、丸、三角、四角など表示する数字または文字の形状を切り替えるなどとしてもよい。他にも、表示する情報ごとに個別に対応付けできるような絵を表示するなどとしてもよい。
【0052】
また、投影パターンは静止画像に限らず、アニメーションであってもよい。アニメーションの例としては、上記の各例を点滅させたり、拡大縮小させたり、色を変化させたりしてもよい。また、仕分け方向を反映したアニメーションを投影してもよい。仕分け方向を反映したアニメーションの例としては、仕分け方向に向かって光線または光点等を移動させたり、仕分け方向に向かって投影パターンの全体または一部を形成したり色を変化させたり、仕分け方向に矢印を動かして表示させたりするなどが挙げられる。投影パターンの一部のみをアニメーションの対象とする場合は、数字や矢印などの作業者による仕分け先の判断への影響が大きい部分は変化させず、枠線などの仕分け先の影響の少ない部分を変化させてもよい。ただし、仕分け先の選択肢が少ない場合など、枠線内に投影される数字等の意味よりも仕分け方向を直感的に伝える方が効率的な状況では、固定された枠線内で数字や矢印などを仕分け方向に動かしてもよい。また、アニメーションは繰り返し投影されてもよいし、一度だけ投影されてもよい。
【0053】
また、投影パターンは、仕分け先を示すものには限られず、荷物仕分けシステム100で発生しているエラーや、作業者が荷物を見過ごしてしまった場合の通知等であってもよい。
【0054】
また、投影パターンを荷物に直接投影するのではなく、画像を表示可能な眼鏡を介して、擬似的に、荷物に投影パターンが投影されているかのように作業者に認識させてもよい。つまり、作業者が画像を表示可能な特殊な眼鏡を装着している場合、眼鏡を介して視認される荷物の像に、ここでの投影パターンを重ねあわせてもよい。
【0055】
また、投影パターンは、荷物以外の場所に投影してもよい。例えば、搬送コンベア302の、荷物が存在していない領域に、作業者への一般的な通知内容を投影してもよい。このような通知の例としては、荷物の到着量の増減の予告や、作業の残り時間、作業者への挨拶等が挙げられる。
【0056】
仕分けクライアント104aは、ステップS510にて検出した1または複数の荷物に対する三次元空間内における処理を行う(ステップS512)。ここでの三次元空間内における処理では、搬送経路上における三次元座標系にて、各荷物を三次元形状にて表現するように処理する。なお、センサ類の数や配置によっては、センサ類の死角に位置する面の情報は得られないことがある。この場合、各荷物の三次元形状を一般的な荷物の形状(例えば、直方体形状等)に合致するよう補完してもよい。また、荷物を構成する面のうち、投影画像が投影されるべき面の三次元形状が認識できていれば、指示を投影することができるため、投影対象となる面のみ、または、投影対象となる面を含む面の集合を荷物の三次元形状として表現してもよい。本実施の形態では、投影対象となる面は荷物の上面であるものとするが、側面等であっても構わない。本実施の形態のセンサ類は、最低限、荷物の上面の情報が得られるよう上方に配置されているが、投影対象の面が側面等の場合は、その面に合わせた位置から荷物を撮影する。
【0057】
搬送経路上の三次元座標系については、クライアントシステム110a内において原点及び各座標軸が予め規定されているものとする。また、ラベルリーダ103、および複数のクライアントシステム110それぞれにおける三次元座標系についても、その対応関係が予め対応付けられ、適時調整されているものとする。ここでの複数の三次元座標系は、荷物仕分けシステム100全体で絶対座標系を共有し、その絶対座標系にて対応付けられてもよい。また、複数の三次元座標系は、相対座標系にて対応付けられてもよい。相対座標系を使用する場合は、例えば、荷物仕分けシステム100の上流に位置するクライアントシステム110を基準とし、他のクライアントシステム110が使用する座標系を、基準となるクライアントシステム110との相対的な座標系で定義してもよい。なお、相対座標系の基準となる座標系は、荷物仕分けシステム100内の任意の座標系を使用してよい。例えば、他のクライアントシステムや、センサ群の利用している座標系など、他の座標系であってもよい。なお、本工程の処理は、搬送される荷物の形状やプロジェクタ105の構成などにより高さ方向の調整が不要である場合には、二次元空間、すなわち、平面空間での処理が行われてもよい。
【0058】
仕分けクライアント104aは、ステップS512にて処理された三次元形状の1または複数の荷物それぞれに対応付けられた投影パターンを含む投影画像を描画する(ステップS513)。具体的には、仕分けクライアント104aは、個別の荷物に対する投影パターンの投影位置などを算出し、仕分け領域A全体に対する投影画像を決定する。この投影画像は、一例として、個別の荷物に対応する領域に各荷物向けの投影パターンが含まれ、荷物が存在しない領域には黒色の画像が含まれるような画像である。このような投影画像を用いることで、プロジェクタの数を抑えつつ、多数の荷物に対する投影を同時に行うことができる。なお、一般的なプロジェクタでは、投影対象となる面とプロジェクタとの間の距離が近いほど画像は小さく、遠いほど画像は大きく投影される。そのため、ステップS512にて描画される投影画像における各荷物向けの投影パターンの大きさは、各荷物とプロジェクタとの間の距離が近いほど大きくなるよう調整されてもよい。
【0059】
仕分けクライアント104aは、ステップS513にて決定した投影画像に従って、プロジェクタ105aに投影指示を行う(ステップS514)。
【0060】
プロジェクタ105aは、ステップS514の仕分けクライアント104aからの投影指示に基づいて、仕分け領域Aに対し投影画像の投影を行う(ステップS515)。各荷物は継続的に搬送コンベア302により搬送されているため、搬送が継続される間、ステップS520に示す処理が継続して実行されてよい。
【0061】
(荷物のハンドオーバ処理)
図5では、ラベルリーダ103の読み取り位置よりも搬送方向下流側における最初の(最上流の)仕分け領域Aに着目して処理を説明した。上述したように、搬送コンベア302による搬送経路上においては、複数の仕分け領域が設けられ、その仕分け領域間において各荷物の監視を各クライアントシステム110間で引継ぎ(以下、「ハンドオーバ」とも称する)を行う。
【0062】
図6を用いて、ハンドオーバ処理に関する処理シーケンスを説明する。ここでは、搬送経路上において、仕分け領域Aに対応するクライアントシステム110aと、仕分け領域Aよりも搬送方向下流側に隣接する仕分け領域Bに対応するクライアントシステム110bとの間のハンドオーバ処理を例に挙げて説明する。搬送経路の長さなどに応じて、仕分け領域の数は変動し得るため、ハンドオーバ処理は隣接する仕分け領域に対応するクライアントシステム110間にて適時行われる。なお、クライアントシステム110aについては、図5にて説明した処理シーケンスを同時並行的に行っているものとする。
【0063】
ステップS620(ステップS601~ステップS603)は、仕分け領域A内を搬送されている各荷物を監視するためにクライアントシステム110aにより繰り返し行われる処理である。ここでは、便宜上、距離センサ106aおよび画像センサ107aをまとめてセンサ類Aと記載する。
【0064】
センサ類Aは、仕分け領域A内を撮影し、その画像を取得する(ステップS601)。ここでは、図5にて示したように、仕分けクライアント104a側で、センサ類Aにて撮影された各種画像を用いて荷物の検出を行うものとして説明する。仕分け領域Aに複数の荷物が搬送されている場合には、それぞれの荷物が検出される。クライアントシステム110aの場合、本処理は、図5のステップS508に対応する。
【0065】
センサ類Aは、取得結果を仕分けクライアント104aに送信する(ステップS602)。このとき、センサ類Aは、取得した画像に対して所定の処理を行った上で、仕分けクライアント104aに送信してよい。クライアントシステム110aの場合、本処理は、図5のステップS509に対応する。
【0066】
仕分けクライアント104aは、ステップS602にてセンサ類Aから送信されてきた取得結果に基づいて、荷物の検出を行う(ステップS603)。更に、仕分けクライアント104aは、検出した荷物の搬送情報を仕分け管理サーバ101へ送信する(ステップS603)。具体的には、図5の処理シーケンスにてすでに行われている三次元空間内における処理の結果などに応じて、追跡していた荷物のうち、下流側の仕分け領域(ここでは、仕分け領域B)との境界に近づいている荷物を特定し、その荷物に関する情報を搬送情報として送信してよい。荷物の検出の際の処理は公知の方法を用いてよく、特に限定するものではない。例えば、機械学習による領域分割にて荷物に対応する領域を検出してもよい。または、予め規定されたパターンを用いて、パターンマッチングにより荷物を検出してもよい。
【0067】
ステップS630(ステップS604~ステップS606、ステップS610~ステップS614)は、仕分け領域B内を搬送されている各荷物を監視するためにクライアントシステム110bにより繰り返し行われる処理である。ここでは、便宜上、距離センサ106bおよび画像センサ107bをまとめてセンサ類Bと記載する。
【0068】
センサ類Bは、仕分け領域B内を撮影し、その画像を取得する(ステップS604)。ここでは、仕分け領域Aと同様、仕分けクライアント104b側で、センサ類Bにて撮影された各種画像を用いて荷物の検出を行うものとして説明する。仕分け領域Bに複数の荷物が搬送されている場合には、それぞれの荷物が検出される。
【0069】
センサ類Bは、取得結果を仕分けクライアント104bに送信する(ステップS605)。このとき、センサ類Bは、取得した情報に対して所定の処理を行った上で、仕分けクライアント104bに送信してよい。
【0070】
仕分けクライアント104bは、ステップS605にてセンサ類Bから送信されてきた取得結果に基づいて、荷物の検出を行う(ステップS606)。更に、仕分けクライアント104bは、検出した荷物の搬送情報を仕分け管理サーバ101へ送信する。例えば、検出した荷物のうち、上流側の仕分け領域(ここでは、仕分け領域A)との境界に位置する荷物(すなわち、新たに搬送されてきた荷物)を特定し、その荷物に関する情報(位置やサイズなど)を搬送情報として送信してよい。
【0071】
仕分け管理サーバ101は、ステップS603にて仕分けクライアント104aから送信されてきた搬送情報と、ステップS606にて仕分けクライアント104bから送信されてきた搬送情報とに基づいて、仕分け領域間(ここでは、仕分け領域Aと仕分け領域Bの間)にてハンドオーバがなされる荷物を特定する(ステップS607)。つまり、ある荷物が搬送されることに伴ってその荷物の監視主体がクライアントシステム110aからクライアントシステム110bへとハンドオーバするために、各クライアントシステム110にて検出した仕分け領域間の境界に位置する荷物を、同一の荷物であるとして対応付ける。例えば、仕分け管理サーバ101は、仕分け領域を跨いだ荷物が、管理している荷物情報のうちのいずれに対応するかを特定することで対応付けてよい。
【0072】
仕分け管理サーバ101は、ステップS607の対応付けと、上流側の仕分け領域(ここでは、仕分け領域A)にて用いていた荷物情報とに基づいて、下流の仕分け領域(ここでは、仕分け領域B)における投影パターンを決定する(ステップS608)。本実施の形態に係る投影パターンは、複数のパターンとして予め規定され、保持されている。なお、投影パターンは、上流の仕分け領域(ここでは、仕分け領域A)と同じであってもよいし、同じ荷物であっても搬送中の仕分け領域に応じて切り替えるような構成であってもよい。
【0073】
仕分け管理サーバ101は、ステップS608にて決定した投影パターンを含む投影指示を仕分けクライアント104へ送信する(ステップS609)。ここでは、荷物の監視がハンドオーバされるクライアントシステム110bの仕分けクライアント104bに投影指示が送信される。なお、投影指示には、投影パターンのほか、対応する荷物の荷物情報などを含んでよい。
【0074】
仕分けクライアント104bは、ステップS609にて仕分け管理サーバ101から送信された投影指示と、ステップS606の検出結果とに基づいて、各情報の対応付けを行う(ステップS610)。具体的には、仕分けクライアント104bは、仕分け領域B内において、搬送コンベア302により搬送されている1または複数の荷物を、センサ類Bの検出結果に基づいて特定する。更に、仕分けクライアント104bは、特定した1または複数の荷物それぞれに対し、仕分け管理サーバ101から送信された投影指示に含まれる各種情報を対応付ける。これにより、仕分けクライアント104bによって検出された1または複数の荷物それぞれと、仕分け管理サーバ101から送信された投影指示にて示される各種情報(投影パターン等)が対応付けられる。
【0075】
仕分けクライアント104bは、ステップS610にて特定した1または複数の荷物に対する三次元空間内における処理を行う(ステップS611)。ここでの三次元空間内における処理では、搬送経路上における三次元座標系にて、各荷物を三次元形状にて表現するように処理する。ここでの処理は、図5のステップS512の処理と同一であってよい。
【0076】
仕分けクライアント104bは、ステップS611にて処理された三次元形状の1または複数の荷物それぞれに対応付けられた投影パターンを含む投影画像を描画する(ステップS612)。具体的には、仕分けクライアント104bは、個別の荷物に対する投影パターンの投影位置などを算出し、仕分け領域B全体の投影画像を決定する。ここでの投影画像は、図5にて説明したステップS513と同様の構成であってよい。
【0077】
なお、1の仕分け領域に対応付けて複数のプロジェクタを設置してもよい。例えば、1の仕分け領域を更に細分化して複数のプロジェクタそれぞれが担当する範囲を設定してもよい。この場合、仕分けクライアント104bは、複数のプロジェクタそれぞれに対して、担当範囲に相当する投影画像を生成する。この場合の投影画像の一例としては、担当範囲内に存在する荷物の位置には各荷物向けの投影パターンが含まれ、担当範囲内の荷物の存在しない位置には黒色の画像が含まれる画像が挙げられる。このようにすることで、プロジェクタの性能またはプロジェクタを設置可能な高さの限界などから、一台のプロジェクタでは仕分け領域全体への投影が難しい場合であっても、仕分け領域全体に対する投影を行うことができる。
【0078】
また、各プロジェクタが1つの荷物を担当し、その荷物のみに向けた投影を行うようにしてもよい。この場合、複数のプロジェクタそれぞれは担当する荷物の移動に合わせて照射の角度を変更したり、担当する荷物の位置以外の位置に黒色の画像を投影したりすることで、自身の担当する荷物のみに向けた投影を行う。このようにすることで、複数のプロジェクタそれぞれは、自身の担当する荷物に最適なパラメータを用いた投影を行うことができる。例えば、複数のプロジェクタそれぞれの焦点距離を自動的に調整することができるので、荷物の高さなどにバラつきがある場合であっても、各荷物にピントが合った画像を投影できる。
【0079】
仕分けクライアント104bは、ステップS612にて決定した投影画像に従って、プロジェクタ105bに投影指示を行う(ステップS613)。
【0080】
プロジェクタ105bは、ステップS613の仕分けクライアント104bからの投影指示に基づいて、仕分け領域Bに対し投影画像の投影を行う(ステップS614)。各荷物は継続的に搬送コンベア302により搬送されているため、搬送が継続される間、仕分け領域B以降の監視を担うクライアントシステム110はそれぞれ、ステップS630に示す処理を継続して実行されてよい。
【0081】
[荷物認識]
図7は、本実施形態に係る仕分け領域における荷物の認識を説明するための図である。ここでは、搬送コンベア302の搬送経路上のある仕分け領域701と、その搬送方向上流側および下流側に隣接する仕分け領域702、仕分け領域703を例に挙げて説明する。また、搬送コンベア302により、3つの荷物706、707、708が搬送されているものとする。
【0082】
仕分け領域701と仕分け領域702にはハンドオーバ領域704が設けられる。ハンドオーバ領域704は、仕分け領域701に対応するクライアントシステムと、仕分け領域702に対応するクライアントシステムの両方にてセンサ類による検出が行われる領域である。同様に、仕分け領域701と仕分け領域703にはハンドオーバ領域705が設けられる。ハンドオーバ領域705は、仕分け領域701に対応するクライアントシステム110と、仕分け領域703に対応するクライアントシステム110の両方にてセンサ類による検出が行われる領域である。
【0083】
本実施の形態に係る各仕分け領域では、搬送されている荷物は、その範囲が適時特定される。荷物の範囲を特定することで、荷物のサイズや形状が認識される。ここでの範囲は、荷物の形状と完全に一致する必要はなく、所定のマージンを設けてよい。そして、各荷物の範囲に応じて、各荷物に投影させる投影パターンのサイズや形状、位置が調整される。なお、調整の方法は、特に限定するものではなく、例えば、投影パターンの視認性や作業効率性などを考慮して行われてよい。
【0084】
なお、本実施の形態では、ラベルリーダ103と、画像センサ107とは、異なるものとして説明したが、ラベルリーダ103を画像センサ107の代わりに使用してもよい。具体的には、ラベルリーダ103によって読み取ったラベルの位置を荷物の位置として取り扱い、ラベルの位置に対して投影画像を投影する。ラベルからは荷物の識別情報を得ることができるため、このような構成を採用することにより、クライアントシステム110間で同一の荷物を紐づける処理が不要となる。ただし、ラベルリーダ103が認識可能な領域はラベルの領域に限られるため、荷物全体を追跡可能な画像センサ107による追跡と比べて、投影画像の大きさや投影画像を照射する位置の自由度は低下する。同様に、画像センサ107をラベルリーダ103の代わりに使用してもよい。具体的には、画像センサ107が取得した画像に含まれるラベルの画像からラベル情報を取得してもよい。以下では、特に断らない限り、画像センサ107の撮像画像を用いた荷物の追跡の例を示すが、ラベルリーダ103を画像センサ107の代わりに用いてもよい。
【0085】
[荷物情報の対応付け]
図3に示したように、ラベルリーダ103による各荷物に付されたラベルの読み取り位置と、搬送コンベア302の搬送方向における最上流に位置する仕分け領域Aの開始位置305aの間には、一定の距離がある。本実施の形態では、この一定の距離に相当する区間では、荷物またはラベルの追跡に用いられるセンサ類は配置されていないものとして説明する。この間を荷物が搬送される間に、搬送コンベア302が停止したり、搬送速度が変化したりすることが想定される。この区間では、センサ類が存在しないために、荷物仕分けシステム100は、荷物を追跡することによって搬送速度の変化等を知ることはできない。その結果、ラベルリーダ103にてラベル情報を読み取った荷物と、開始位置305a付近にて検出した荷物とを対応付ける際の精度が低下することが想定される。特に、多くの荷物を高速度にて搬送している際には、その対応付けの精度がより低下してしまう場合がある。
【0086】
本実施の形態では、搬送コンベア302の搬送に関する情報として、ロータリーエンコーダ303による移動距離(回転数)を取得している。本実施の形態では、複数の移動距離の情報を用いて、より精度の高い荷物情報の対応付けを可能とする。
【0087】
図8は、本実施の形態に係る荷物情報の対応付けの処理のフローチャートである。本実施の形態では、本処理は、仕分け領域Aの監視を行うクライアントシステム110aの仕分けクライアント104aのCPUが各機能に対応するプログラムを記憶部から読み出して実行することにより実現される。なお、この構成に限定するものではなく、以下の処理の一部を仕分け管理サーバ101が実行するような構成であってもよい。
【0088】
本処理の開始の際に、搬送コンベア302による搬送動作が開始され、1または複数の荷物が搬送されるものとする。また、本処理フローは、例えば、図5のステップS511の処理の一部として実行される。なお、複数の荷物が搬送コンベア302にて搬送されている場合には、本処理フローが複数の荷物それぞれに対応して実行される。
【0089】
仕分けクライアント104aは、センサ類Aによる取得結果に基づいて、開始位置305aにて新たな荷物を検出したか否かを判定する(ステップS801)。上述したように、搬送コンベア302により荷物が搬送されており、適時、開始位置305aに到達する。新たな荷物が検出された場合(ステップS801;YES)、仕分けクライアント104aの処理はS802へ進む。一方、新たな荷物が検出されていない場合(ステップS801;NO)、仕分けクライアント104aの処理は、ステップS801の処理を繰り返す。
【0090】
仕分けクライアント104aは、仕分け管理サーバ101に対して、ステップS801にて検出した荷物に対応する荷物情報を問い合わせる(ステップS802)。このとき、仕分けクライアント104aは、荷物を検出したタイミングから所定の範囲の過去にて、ラベルリーダ103にて検出した荷物に対応する荷物情報を全て問い合わせてもよい。
【0091】
仕分けクライアント104aは、ステップS802の問い合わせの応答として、仕分け管理サーバ101から投影指示を取得したか否かを判定する(ステップS803)。図3図5を用いて説明したように、ラベルリーダ103が荷物に付されたラベルを読み取ったことに起因して、仕分け管理サーバ101は、連携サーバ102から荷物情報を取得し、管理している。そして、仕分け管理サーバ101は、荷物情報に応じて投影パターンを決定している。本実施の形態において、仕分け管理サーバ101は、仕分けクライアント104aからの問い合わせに応じて、これらの情報を投影指示として提供する。なお、投影指示には、ラベル情報、それに対応する荷物情報、ラベルを読み取った際の時刻の情報などが含まれてよい。投影指示を取得した場合(ステップS803;YES)、仕分けクライアント104aの処理は、ステップS804へ進む。一方、投影指示を取得していない場合(ステップS803;NO)、仕分けクライアント104aは、ステップS801へ戻り、処理を繰り返す。
【0092】
仕分けクライアント104aは、仕分け管理サーバ101から移動距離情報を取得する(ステップS804)。移動距離情報は、搬送コンベア302の移動距離が一定間隔にてロータリーエンコーダ303にて検出され、仕分け管理サーバ101に通知される。そのため、仕分け管理サーバ101は、任意の範囲の移動距離情報を仕分けクライアント104aに提供してよい。
【0093】
仕分けクライアント104aは、ステップS801にて新たな荷物を検出したタイミングを基準として、ステップS804にて取得した複数の移動距離情報の中から所定の範囲(時間長)における移動距離情報を参照する(ステップS805)。ここでの所定の範囲は、ラベルリーダ103のラベルの読み取り位置と開始位置305aとの距離に応じて規定されてもよいし、ステップS802の応答として取得した投影指示に含まれる時刻情報とステップS801にて新たな荷物を検出した時刻との差異に基づいて規定してもよい。また、所定の範囲は、一定間隔にて送信されてくる移動距離の受信回数に応じて規定されてもよい。
【0094】
仕分けクライアント104aは、ステップS805にて参照した移動距離情報を用いて、搬送コンベア302の速度情報を導出する(ステップS806)。具体的には、移動距離情報に基づいて、搬送コンベア302における荷物の搬送速度を算出する。このとき、複数の移動距離情報にて示される速度の平均値を用いて、搬送速度が算出されてよい。平均値を計算する時間の範囲は、例えば、ラベルリーダ103から仕分け領域Aまでの理論上の移動時間であってよい。具体的には、搬送コンベア302のカタログ等に記載されている搬送速度で、ラベルリーダ103から仕分け領域Aまで荷物が運ばれる時間を用いてもよい。また、例えば、搬送コンベア302で荷物のサンプルを実際にラベルリーダ103から仕分け領域Aまで搬送させることで計測した移動時間の実測値を用いてもよい。また、荷物仕分けシステム100のユーザが手入力で範囲を指定してもよい。また、搬送コンベア302の停止時間等を考慮して、これらの時間にユーザから指定される余裕時間を追加した時間を、平均値を計算する時間の範囲として設定してもよい。また、システムの処理の遅延や、機械部分の誤差等を考慮して、平均値を計算する時間の範囲を広めにしてもよい。
【0095】
仕分けクライアント104aは、ステップS806にて算出した搬送速度、ラベルリーダ103のラベルの読み取り位置と開始位置305aとの距離、および、ステップS801にて新たな荷物を検出したタイミングに基づいて、ラベルリーダ103によりラベルが読み取られた時刻を逆算して導出する(ステップS807)。なお、上記のような情報を用いて、仕分けクライアント104aによる仕分け領域Aに到達するタイミング(到達予想時刻)を導出してもよい。
【0096】
仕分けクライアント104aは、ステップS807にて導出した時刻に基づいて、保持管理している荷物情報を特定する(ステップS808)。つまり、仕分けクライアント104aは、管理している1または複数の荷物情報の中から、ラベルリーダ103にてラベルを読み取られた時刻が、ステップS807にて導出した時刻と一致する荷物情報を特定する。
【0097】
仕分けクライアント104aは、ステップS808にて特定した荷物情報を、ステップS804にて検出した荷物に対応付けて管理する(ステップS809)。更には、仕分けクライアント104aは、荷物情報に対応付けて投影パターンを管理する。このとき、仕分けクライアント104aは、荷物が搬送(移動)された際には、センサ類の検出結果に基づいて、追跡を行い、その位置情報を適時更新する。そして、本処理フローを終了する。
【0098】
図8のフローチャートでは、仕分けクライアント104aによる荷物の検出に起因して投影指示を取得したが、これに限定するものではない。例えば、仕分け管理サーバ101がラベルリーダ103にて荷物を検出したことに起因して、仕分け管理サーバ101が投影指示を仕分けクライアント104aに送信するような構成であってもよい。また、図8のステップS803にて投影指示を取得していない場合、ステップS801の処理へ戻る構成を示した。投影指示を取得していない場合には更に、その旨を示す投影パターン(例えば、荷物情報の特定失敗などを示すアイコンなど)を対象の荷物に投影するような構成であってもよい。
【0099】
以上により、実施の形態1に係る荷物仕分けシステム100は、搬送コンベア302にて搬送されている荷物に付されたラベルをラベルリーダ103にて読み取って、当該荷物に対応する情報を取得する仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104と、搬送コンベア302による搬送方向において、ラベルリーダ103の読取位置よりも下流側の位置にて荷物を検出する仕分けクライアント104と、搬送コンベア302による搬送に伴って回転する回転機構の回転数の情報を取得する仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104と、仕分けクライアント104にて荷物を検出した時刻を基準とした所定の範囲において、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104にて取得した回転数の情報に基づいて、荷物がラベルリーダ103の読取位置に存在した時刻を導出する仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104と、読取位置と仕分けクライアント104による検出の開始位置との距離と、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104にて導出した時刻とに基づいて、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104にて取得した情報のうち仕分けクライアント104によって検出した荷物に対応する情報を特定する仕分けクライアント104とを有する。
【0100】
これにより、荷物の仕分けをより効率的かつ正確に行うことが可能となる。特に、搬送コンベアにて搬送されている荷物と、これに対応する荷物情報をより精度良く対応付けることが可能となる。その結果、仕分けの作業者に対して適切に荷物情報を提示することが可能となる。
【0101】
また、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104は、回転数の情報に基づいて搬送コンベア302の搬送速度を導出し、搬送速度を用いて、荷物が読取位置に存在した時刻を導出する。
【0102】
これにより、搬送コンベア302の搬送速度に対応して、精度の高い荷物情報と荷物の対応付けが可能となる。
【0103】
また、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104は、回転数の情報に基づいて移動距離を算出し、所定の範囲における移動距離の情報の平均値に基づいて、前記搬送コンベアの搬送速度を導出する。
【0104】
これにより、搬送コンベア302の搬送速度の変化にも対応して、精度の高い荷物情報と荷物の対応付けが可能となる。
【0105】
また、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104は、距離と導出した搬送速度とに基づいて、荷物がラベルリーダ103の読取位置に存在した時刻を逆算し、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104にて取得した情報のうち当該時刻に対応する情報を荷物に対応する情報として特定する。
【0106】
これにより、搬送コンベア302の搬送速度の変化にも対応して、ラベルリーダ103にて荷物のラベルを読み取ったタイミングを特定出来、精度の高い荷物情報と荷物の対応付けが可能となる。
【0107】
また、荷物仕分けシステム100において、仕分けクライアント104は更に、搬送コンベア302にて搬送されている荷物に対してプロジェクタ105により所定の投影パターンを投影させ、所定の投影パターンは、仕分け管理サーバ101および仕分けクライアント104にて特定された情報に基づいて決定される。
【0108】
これにより、搬送されている荷物と、それに対応する荷物情報を精度良く対応付けた上で、適切な投影パターンを荷物上に投影することが可能となる。
【0109】
<その他の実施形態>
上記実施の形態において、図8の処理は、搬送経路の最上位に位置する仕分け領域Aに対応した仕分けクライアント104aが実行する例を示した。しかし、この構成に限定するものではなく、更に搬送経路下流に位置する仕分け領域に対応した仕分けクライアントが実行するような構成であってもよい。また、複数の搬送コンベアを組み合わせて搬送経路が直線以外の構成(例えば、分岐や方向変換を含む構成)において、複数の搬送コンベアのうち上流側の搬送コンベアにラベルリーダが位置する場合に適用してもよい。この場合、下流側の搬送コンベアにおける最上位の仕分け領域に対応する仕分けクライアントが図8に示すような処理を実行するような構成であってもよい。
【0110】
また、上記実施の形態では、移動距離情報を用いて、搬送コンベア302の速度情報を導出し、複数の移動距離情報にて示される速度の平均値に基づいてラベルリーダ103によりラベルが読み取られた時刻を逆算して導出していたが、これには限られない。例えば、移動距離情報を時刻と対応付けて記憶し、その情報から、ラベルリーダ103と仕分け領域Aとの距離を用いて、ラベルが読み取られた時刻を抽出して導出してもよい。搬送コンベア302が頻繁に停止したり速度が大きく変化したりする場合、移動距離情報から速度情報を導出すると、速度情報に基づく逆算の結果と、現実にラベルが読み取られた時刻とがずれるおそれがある。そのため、ラベルが読み取られた時刻を、移動距離情報を直接用いて抽出する構成は、このような場合に有用である。例えば、1秒-2秒までの搬送距離が15mであり、2秒-3秒までの搬送距離が5mの場合、この3秒間の平均の搬送速度は10mである。ここで、ラベルリーダ103と仕分け領域Aとの間の距離が10mであり、仕分け領域Aで荷物が検知された時刻が3秒目であると仮定すると、平均値を用いた推定では、ラベルが読み取られた時刻は1秒前の2秒目であると推定される。これに対し、10m前に荷物が存在した時刻を当てはめると、仕分け領域Aの10m前の位置、すなわち、ラベルリーダ103の位置に荷物が存在した時刻は、2秒より前であることが正確に推定できる。
【0111】
また、上記実施の形態において、ロータリーエンコーダ303は、搬送コンベア302のベルトに接するローラまたは搬送コンベア302を構成するローラの単位時間あたりの回転数を出力するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ロータリーエンコーダ303自身が、単位時間あたりの回転数を搬送コンベア302の搬送距離または搬送速度を導出する処理を行い、導出した搬送距離または搬送速度を出力してもよい。すなわち、最終的に搬送コンベア302の正確な搬送距離または搬送速度が得られるのであれば、ロータリーエンコーダ303が単位時間あたりの回転数そのものを出力するか、単位時間当たりの回転数を加工した情報を出力するかは問わない。
【0112】
また、上記実施の形態では、搬送コンベア302が1つずつ存在する例を示したが、これには限られない。複数の搬送コンベアを連続して配置することで長距離の搬送を実現してもよい。この場合、搬送速度は搬送コンベアごとに異なる可能性があるため、ロータリーエンコーダが搬送コンベアごとに設けられるとよい。
【0113】
また、上記実施の形態では、各荷物に付されたラベルの読み取り位置と、仕分け領域Aの開始位置との間の区間では荷物またはラベルの追跡はできないものとして説明したが、これに限られるものではない。この区間でも荷物またラベルを追跡し、上記実施の形態による荷物と投影指示の対応付けを補助的に実施してもよい。
【0114】
また、上記実施の形態では、ラベルリーダ103と、仕分け領域Aとの間での荷物の対応付けを例として説明したが、これに限られるものではない。例えば、上記実施の形態の構成を、仕分け領域同士が離れている場合に、上流の仕分け領域を出た荷物と、下流の仕分け領域に入った荷物との対応付けに適用してもよい。
【0115】
また、上記実施の形態では、仕分け領域における荷物と投影指示の対応付けを行っていたが、これには限られない。例えば、作業者の立ち入れない領域で検知された荷物が、上流に存在していたどの荷物であるかを検知する用途に使用してもよい。この場合、作業者への指示を行う必要はないので、投影指示は省略される。一般的に、搬送距離が長くなるほど、荷物の衝突などにより、荷物の到着時刻は理論上の時刻と乖離していくため、仕分け領域以外でも検知のみを行う領域を設けることで、荷物の検知の精度を高めることができる。
【0116】
また、上述した1以上の実施の形態の機能を実現するためのプログラムおよびアプリケーションを、ネットワークまたは記憶媒体等を用いてシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0117】
また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array))によって実現してもよい。
【0118】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に相当し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示は、複数の利用者に対して、権利に応じた行動の利便性を向上させることが可能な荷物仕分けシステム、荷物仕分け方法、情報処理装置およびその制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0120】
100…荷物仕分けシステム
101…仕分け管理サーバ
102…連携サーバ
103…ラベルリーダ
104…仕分けクライアント
105…プロジェクタ
106…距離センサ
107…画像センサ
110…クライアントシステム
300…荷物
301…ラベル
302…搬送コンベア
303…ロータリーエンコーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8