(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143198
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20230928BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H04M9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050452
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢朗
(72)【発明者】
【氏名】大森 幹也
【テーマコード(参考)】
5K023
5K038
【Fターム(参考)】
5K023AA05
5K023BB04
5K023CC02
5K023HH08
5K023LL06
5K023QQ05
5K038AA02
5K038DD13
(57)【要約】
【課題】点灯部の構造の簡素化を図ったインターホン機器を提供する。
【解決手段】透光性を有し、且つ、後方へ開口する箱状に形成された操作部13内に、後面に通電表示用LED22が搭載されたLED基板20が設置されているとともに、通電表示用LED22が発する光を反射する反射部27を備えた反射部材25が、通電表示用LED22を後方から覆うように組み付けられており、さらに、反射部材25における操作部13の上面と対向する箇所に、通電表示用LED22を覆う空間、すなわち反射部27内の空間と連通する開口が設けられており、操作部13の上面が、通電表示用LED22を発光源とする点灯部となるようにした。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面に押し込み操作可能な操作部が設けられたインターホン機器であって、
前記操作部が、透光性を有し、且つ、後方へ開口する箱状に形成され、
前記操作部内に、後面にLEDが搭載されたLED基板が設置されているとともに、前記LEDが発する光を反射する反射部材が、前記LEDを後方から覆うように組み付けられており、
さらに、前記反射部材における前記操作部の所定の周面部位と対向する箇所に、前記LEDを覆う空間と連通する開口が設けられており、
前記操作部の前記周面部位が、前記LEDを発光源とする点灯部となることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記本体ケースの前面に、前記操作部を露出させるための操作窓が開設され、前記操作窓の開口縁から、前記LEDが発する光を反射可能な反射壁が後方へ突設されているとともに、
前記操作部の前記周面部位と前記反射壁とが対向しており、
前記操作部の周面と前記反射壁との間の隙間が、前記LEDを発光源とする間接照明部となることを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば玄関に設置され、来訪者により呼出操作されるインターホン子機等のインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば玄関に設置されるインターホン子機では、夜間等に来訪者が呼出ボタンを操作しやすいように、呼出ボタンそのものに点灯部を設けることがある。たとえば特許文献1に記載のインターホン子機では、呼出ボタンの後方に前方へ向けられたLED等を光源として配置するとともに、呼出ボタンの前面から光源へ向けて筒状の導光部を設けてることによって、光源が発する光を本体ケースの前側から視認可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような点灯部では、上述したように筒状の導光部を設ける等しているため、構造が複雑化してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、点灯部の構造の簡素化を図ったインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの前面に押し込み操作可能な操作部が設けられたインターホン機器であって、操作部が、透光性を有し、且つ、後方へ開口する箱状に形成され、操作部内に、後面にLEDが搭載されたLED基板が設置されているとともに、LEDが発する光を反射する反射部材が、LEDを後方から覆うように組み付けられており、さらに、反射部材における操作部の所定の周面部位と対向する箇所に、LEDを覆う空間と連通する開口が設けられており、操作部の周面部位が、LEDを発光源とする点灯部となることを特徴とする
請求項1に記載の発明によれば、透光性を有し、且つ、後方へ開口する箱状に形成された操作部内に、後面にLEDが搭載されたLED基板が設置されているとともに、LEDが発する光を反射する反射部材が、LEDを後方から覆うように組み付けられており、さらに、反射部材における操作部の所定の周面部位と対向する箇所に、LEDを覆う空間と連通する開口が設けられており、操作部の周面部位が、LEDを発光源とする点灯部となるようにした。したがって、点灯部を構成するにあたり、従来のような筒状の導光部を設ける必要がなく、点灯部の構造の簡素化を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、本体ケースの前面に、操作部を露出させるための操作窓が開設され、操作窓の開口縁から、LEDが発する光を反射可能な反射壁が後方へ突設されているとともに、操作部の周面部位と反射壁とが対向しており、操作部の周面と反射壁との間の隙間が、LEDを発光源とする間接照明部となることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、本体ケースの前面に、操作部を露出させるための操作窓が開設され、操作窓の開口縁から、LEDが発する光を反射可能な反射壁が後方へ突設されているとともに、操作部の周面部位と反射壁とが対向しており、操作部の周面と反射壁との間の隙間が、LEDを発光源とする間接照明部となるようにした。したがって、従来より生じていた操作窓と操作部との間の隙間を利用して照明部を構成することができるため、構造の合理化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透光性を有し、且つ、後方へ開口する箱状に形成された操作部内に、後面にLEDが搭載されたLED基板が設置されているとともに、LEDが発する光を反射する反射部材が、LEDを後方から覆うように組み付けられており、さらに、反射部材における操作部の所定の周面部位と対向する箇所に、LEDを覆う空間と連通する開口が設けられており、操作部の周面部位が、LEDを発光源とする点灯部となるようにした。したがって、点灯部を構成するにあたり、従来のような筒状の導光部を設ける必要がなく、点灯部の構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】インターホン子機を正面から示した説明図である。
【
図2】インターホン子機を前側から示した斜視説明図である。
【
図3】前ケースの後面側を示した斜視説明図である。
【
図4】分解状態にある前ケース及び呼出ボタンを前側から示した斜視説明図である。
【
図5】分解状態にある前ケース及び呼出ボタンを後側から示した斜視説明図である。
【
図6】反射部材を示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。
【
図7】インターホン子機における呼出ボタン部分の鉛直断面を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、インターホン子機1を正面から示した説明図である。
図2は、インターホン子機1を前側から示した斜視説明図である。
図3は、前ケース2の後面側を示した斜視説明図である。
図4は、分解状態にある前ケース2及び呼出ボタン8を前側から示した斜視説明図である。
図5は、分解状態にある前ケース2及び呼出ボタン8を後側から示した斜視説明図である。
図6は、反射部材25を示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。
図7は、インターホン子機1における呼出ボタン8部分の鉛直断面を示した説明図である。
【0012】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2と、後側に配置される後ケース3と、前ケース2の前面を覆うように取り付けられる化粧カバー4とで構成される本体ケースを有している。この本体ケースの前面上部には、来訪者や周囲を撮像するためのカメラ部5が設けられているとともに、来訪者が居住者と通話するためのマイク部6が設けられている。また、カメラ部5の下側には、同じく来訪者が居住者と通話するためのスピーカ部7が設けられている。さらに、スピーカ部7の下側には、来訪者が居住者を呼び出す際に押し込み操作する呼出ボタン8が設けられている。加えて、呼出ボタン8の内部には、来訪者を検知可能な人感センサ21が設置されている。そして、このようなインターホン子機1は、来訪者によって呼出ボタン8が操作されたり、来訪者が呼出ボタン8に手をかざす等して人感センサ21に検知されたりすると、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すとともに、カメラ部5を作動させて来訪者を撮像する。
【0013】
ここで、本発明の要部となるインターホン子機1における点灯構造について詳細に説明する。
インターホン子機1には、インターホン子機1への通電に伴い点灯してインターホン子機1の通電状態を報知するとともに、夜間等にインターホン子機1の設置位置(更にはインターホン子機1における呼出ボタン8の位置)を来訪者に知らせるための点灯部が設けられている。そして、その点灯部は、呼出ボタン8、通電表示用LED22が搭載されたLED基板20、反射部材25、及び呼出ボタン8を設置するための操作窓9等から構成される。
【0014】
まず呼出ボタン8について説明すると、呼出ボタン8は、後面が開口する方体箱状の操作部13を有するボタン本体11と、操作部13の前面を覆うように組み付けられる操作カバー12とを備えた透光性を有する合成樹脂製の部材である。また、ボタン本体11における操作部13の上板には、前後方向が厚み方向となる板状に形成された一対の腕部14、14が上方へ突設されており、各腕部14の上端には、自身を前ケース2の内面にネジ止めするためのネジ止め部15が設けられている。さらに、左右方向へ延びる帯状のスピーカ押さえ部16が、腕部14、14の上端同士を連結するように設けられている。なお、51は、ボタン本体11、ひいては呼出ボタン8を前ケース2の内面にネジ止めするためのネジである。
【0015】
さらにまた、操作部13の後側の開口周縁には、上下左右それぞれ外方へ突出する鍔状の規制片17が設けられており、前ケース2の内面へのネジ止めに伴い前ケース2の内面側に当接し、呼出ボタン8の通常位置よりも前側への移動を規制可能としている。加えて、操作部13の前板には、人感センサ21を露出させるためのセンサ用開口19が開設されているとともに、該前板の後面で、センサ用開口19の左右両側となる箇所には、後述する反射部材25をネジ止めするための取付ボス18、18が後方へ突設されている。
【0016】
また、LED基板20は、前面に人感センサ21が搭載され、後面に通電表示用LED22が搭載されている。そして、LED基板20は、自身の後方から取付ボス18、18へネジ止めされる反射部材25と操作部13の前板とによって、前後から挟持された状態で、操作部13内へ収納されている。また、そのような収納状態において、LED基板20の前面は操作部13の前板の後面に当接しており、人感センサ21がセンサ用開口19内に突出した状態となっている。
【0017】
さらに、反射部材25は、光を透過させずに反射させる合成樹脂製の部材であって、取付ボス18、18へネジ止めするための取付部26、26と、通電表示用LED22が発する光を反射させるための反射部27とを備えてなる。反射部27は、左右両側面部27a、27aと、左右の側面部27aの下端同士を連結する下面部27bと、左右の側面部27aの後端同士に架け渡される背面部27cとを有する一方、前面と上面とに開口するカバー状に成形されている。そして、反射部材25を操作部13にネジ止めすると、左右両側面部27a、27aの前端と、下面部27bの前端とがLED基板20の後面に当接し、且つ、左右両側面部27a、27aの上端が操作部13の上板に当接した(反射部27の上面開口27dを操作部13の上面に対向させた)状態で、反射部27が通電表示用LED22を覆うようになっている。すなわち、反射部27内に通電表示用LED22が位置するとともに、該反射部27内の空間は、反射部27の上面開口27dを介して反射部27外と連通した状態となる。なお、52は、反射部材25を操作部13内にネジ止めするためのネジである。
【0018】
一方、前ケース2には、呼出ボタン8の操作部13を露出させるための操作窓9が開設されている。操作窓9の開口面積は、呼出ボタン8の押し込み操作(すなわち、ネジ止め部15、15を支点として腕部14、14が撓み、操作部13が本体ケース内側へ移動する動作)を可能とするために、操作部13の前面の面積よりも大きく(特に上下方向の幅が広く)なるように成形されており、呼出ボタン8の設置に伴い、操作窓9の上縁と操作部13の上面との間には隙間30が生じるようになっている。また、操作窓9の上縁に沿っては、後方へ突出する反射壁9aが延設されており、呼出ボタン8の設置に伴い、操作部13の上面と反射壁9aとが対向するようになっている。
【0019】
そして、上述したような点灯構造では、インターホン子機1への通電に伴い通電表示用LED22が点灯すると、通電表示用LED22から発せられる光は、反射部27内を反射しながら操作部13の上面に到達し、操作部13の上面と反射壁9aとで反射を繰り返した後、隙間30から本体ケース外へ漏れ出る。つまり、隙間30が、通電表示用LED22を発光源とする間接光によって、インターホン子機1の通電状態を報知するとともに、夜間等にインターホン子機1の設置位置を知らせる間接照明部として機能する。
【0020】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、透光性を有し、且つ、後方へ開口する箱状に形成された操作部13内に、後面に通電表示用LED22が搭載されたLED基板20が設置されているとともに、通電表示用LED22が発する光を反射する反射部27を備えた反射部材25が、通電表示用LED22を後方から覆うように組み付けられており、さらに、反射部材25における操作部13の上面と対向する箇所に、通電表示用LED22を覆う空間、すなわち反射部27内の空間と連通する開口が設けられており、操作部13の上面が、通電表示用LED22を発光源とする点灯部となるようにした。したがって、点灯部を構成するにあたり、従来のような筒状の導光部を設ける必要がなく、点灯部の構造の簡素化を図ることができる。
【0021】
また、前ケース2に、操作部13を露出させるための操作窓9が開設され、操作窓9の上縁から、通電表示用LED22が発する光を反射可能な反射壁9aが後方へ突設されているとともに、操作部13の上面と反射壁9aとが対向しており、操作部13の上面と反射壁9aとの間の隙間30が、通電表示用LED22を発光源とする間接照明部となるようにした。したがって、従来より生じていた操作部13と操作窓9との間の隙間30を利用して照明部を構成することができるため、構造の合理化を図ることができる。
【0022】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、操作部やLED基板等の点灯部に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0023】
たとえば、上記実施形態では、操作部の上面が本体ケース内に位置しているが、操作部の上面が本体ケースの前面よりも前方へ突出しているようなインターホン機器においても、本発明を好適に採用することができる。その際、上記実施形態のように隙間が照明部とならない。
また、上記実施形態では、操作部を、後面に開口する方体箱状に形成しているが、後面に開口する正面視円形の箱状に形成することも可能であるし、操作部に係るどの周面部位を点灯部とするかについても適宜設計変更可能である。すなわち、たとえば方体箱状の操作部の下面を点灯部としてもよいし、正面視円形の箱状の操作部において、その周面の左斜め上部を点灯部としてもよい。
【0024】
さらに、上記実施形態では、LED基板の後面に通電表示用LEDを搭載しているが、LED基板の後面にどのような機能のためのLEDを搭載するかについては適宜設計変更可能であり、たとえば照明用LEDをLED基板の後面に搭載したり、エラー報知用LEDをLED基板の後面に搭載することも可能である。なお、LED基板の前面に第2のLEDを搭載し、操作部の前面を第2の点灯部とすることも可能である。
加えて、上記実施形態では、インターホン機器の一例であるインターホン子機について説明しているが、本体ケースの前面に押し込み操作可能な操作部が設けられているものであれば、集合玄関機やインターホン親機等の他のインターホン機器であっても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0025】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース(本体ケース)、4・・化粧カバー(本体ケース)、8・・呼出ボタン、9・・操作窓、9a・・反射壁、11・・ボタン本体、13・・操作部、14・・腕部、19・・照明用開口、20・・LED基板、22・・通電表示用LED(LED)、25・・反射部材、27・・反射部、27d・・開口、30・・隙間。