(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143204
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050460
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 瑛人
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730BB26
5H730BB66
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF05
5H730FG02
5H730FG05
5H730FG22
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
(57)【要約】
【課題】制御を煩雑にすることなく、出力電圧を更に下げることができる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、少なくとも1つの相のアームを含むブリッジ回路と、少なくとも1つの相を含む変圧回路と、第1スイッチング信号から第4スイッチング信号までを第1スイッチング素子から第4スイッチング素子までに出力する制御回路と、を備える。制御回路は、スイッチング信号が予め定められた周波数以下の第1の場合に、スイッチング信号のデューティを標準値に維持し、周波数を変更する第1制御を行い、スイッチング信号が予め定められた周波数に達した第2の場合に、スイッチング信号の周波数を予め定められた周波数に維持し、第1スイッチング信号のデューティを標準値よりも小さくする第2制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を有し、前記第1スイッチング素子の高電位側の一端に第1直流電圧が入力され、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子との接続点に前記第1直流電圧よりも低い第2直流電圧が入力され、前記第4スイッチング素子の低電位側の一端が基準電位に電気的に接続された少なくとも1つの相のアームを含む、ブリッジ回路と、
前記アームの出力電圧が入力され共振する少なくとも1つの相の1次側回路と、前記1次側回路と電磁結合し交流電圧を出力する少なくとも1つの相の2次側回路と、を含む、変圧回路と、
前記交流電圧を整流する、整流回路と、
前記整流回路から出力される電圧を平滑する、平滑回路と、
第1スイッチング信号と相補的に第2スイッチング信号を変化させ、第3スイッチング信号と相補的に第4スイッチング信号を変化させ、前記平滑回路の電圧が指令値電圧になるように又は前記整流回路から出力される電流が指令値電流になるように、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までを前記第1スイッチング素子から前記第4スイッチング素子までに出力する、制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までが予め定められた周波数以下の第1の場合に、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までのデューティを標準値に維持し、周波数を変更する第1制御を行い、
前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までが前記予め定められた周波数に達した第2の場合に、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までの周波数を前記予め定められた周波数に維持し、前記第1スイッチング信号のデューティを前記標準値よりも小さくする第2制御を行う、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第4スイッチング信号のデューティを前記第1スイッチング信号のデューティと同じにする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第3スイッチング信号のデューティを前記標準値よりも小さくする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第1スイッチング信号の位相と、前記第3スイッチング信号の位相と、の間の位相差を180°にする、
ことを特徴とする、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第3スイッチング信号のデューティを前記第1スイッチング信号のデューティと同じにする、
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記整流回路から出力される出力電流が閾値電流を超えた場合に、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までを予め定められたデューティ又は前記出力電流に応じたデューティにする、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第1制御と前記第2制御との切り換えの際にヒステリシスを設ける、
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第2制御の場合に、PSM(Periodically Swapping Modulation)制御を行う、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3相3レベルLLCコンバータの出力電圧を下げるには、スイッチング素子のスイッチング周波数を高くすれば良い。しかし、LLC共振及びソフトスイッチングを維持するために、スイッチング周波数には上限がある。つまり、3相3レベルLLCコンバータの出力電圧には、下限がある。
【0003】
特許文献1には、対称変調方式と非変調方式とを切り替えることにより、出力電力範囲を拡大することが記載されている。しかし、特許文献1記載の技術では、変調方式の切り替え時に他の制御を挟む必要がある。そのため、特許文献1記載の技術は、制御が煩雑である。
【0004】
非特許文献1には、非対称デューティ制御によって、幅広い入力電圧に対応できることが記載されている。
【0005】
非特許文献2には、PSM(Periodically Swapping Modulation)制御によって、非対称デューティ制御パターンを交互に繰り返すことで、素子の熱的ストレスを分散させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A.Zhenwei Li、外3名、「Research on Dual-Operation Mode of 3-Level LLC Resonant Converter」、9th International Conference on Power Electronics-ECCE Asia、2015年1月1日-2015年1月5日、p.2636-2643
【非特許文献2】Dong Liu、外3名、「Periodically Swapping Modulation (PSM) Strategy for Three-Level(TL) DC/DC Converters With Balanced Switch Currents」、IEEE TRANSACTIONS ON INDUSTRIAL ELECTRONICS、2018年1月、p.412-423
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、制御を煩雑にすることなく、出力電圧を更に下げることができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の電源装置は、
直列接続された第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を有し、前記第1スイッチング素子の高電位側の一端に第1直流電圧が入力され、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子との接続点に前記第1直流電圧よりも低い第2直流電圧が入力され、前記第4スイッチング素子の低電位側の一端が基準電位に電気的に接続された少なくとも1つの相のアームを含む、ブリッジ回路と、
前記アームの出力電圧が入力され共振する少なくとも1つの相の1次側回路と、前記1次側回路と電磁結合し交流電圧を出力する少なくとも1つの相の2次側回路と、を含む、変圧回路と、
前記交流電圧を整流する、整流回路と、
前記整流回路から出力される電圧を平滑する、平滑回路と、
第1スイッチング信号と相補的に第2スイッチング信号を変化させ、第3スイッチング信号と相補的に第4スイッチング信号を変化させ、前記平滑回路の電圧が指令値電圧になるように又は前記整流回路から出力される電流が指令値電流になるように、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までを前記第1スイッチング素子から前記第4スイッチング素子までに出力する、制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までが予め定められた周波数以下の第1の場合に、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までのデューティを標準値に維持し、周波数を変更する第1制御を行い、
前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までが前記予め定められた周波数に達した第2の場合に、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までの周波数を前記予め定められた周波数に維持し、前記第1スイッチング信号のデューティを前記標準値よりも小さくする第2制御を行う、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第4スイッチング信号のデューティを前記第1スイッチング信号のデューティと同じにする、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第3スイッチング信号のデューティを前記標準値よりも小さくする、
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第1スイッチング信号の位相と、前記第3スイッチング信号の位相と、の間の位相差を180°にする、
ことを特徴とする。
【0013】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第2の場合に、前記第3スイッチング信号のデューティを前記第1スイッチング信号のデューティと同じにする、
ことを特徴とする。
【0014】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記整流回路から出力される出力電流が閾値電流を超えた場合に、前記第1スイッチング信号から前記第4スイッチング信号までを予め定められたデューティ又は前記出力電流に応じたデューティにする、
ことを特徴とする。
【0015】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第1制御と前記第2制御との切り換えの際にヒステリシスを設ける、
ことを特徴とする。
【0016】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第2制御の場合に、PSM(Periodically Swapping Modulation)制御を行う、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様の電源装置は、制御を煩雑にすることなく、出力電圧を更に下げることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態の電源装置の出力電圧-出力電流の特性の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態の電源装置の第1相アームのスイッチング信号の波形の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態の電源装置の出力電圧-デューティの特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態の電源装置の制御回路の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の波形の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態の電源装置の第1相アームのスイッチング信号の波形の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の他の例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の波形の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図16】
図16は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図17】
図17は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図18】
図18は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図19】
図19は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図20】
図20は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図21】
図21は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
<第1の実施の形態>
(電源装置の全体構成)
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1は、3相3レベルLLCコンバータである。
【0021】
なお、第1の実施の形態では、相の数を3としたが、本開示はこれに限定されない。相の数は、1、2、又は、4以上であっても良い。
【0022】
電源2は、電圧Vinを出力する。直列接続された抵抗3及び抵抗4は、電圧Vinを分圧する。抵抗3の抵抗値と、抵抗4の抵抗値とは、同じとする。即ち、抵抗3及び抵抗4の各々の電圧は、Vin/2とする。但し、本開示はこれに限定されない。直列接続されたコンデンサ5及びコンデンサ6は、電圧Vin/2を安定化させる。
【0023】
電源装置1は、ブリッジ回路11と、変圧回路12と、整流回路13と、コンデンサ14と、電圧センサ15と、電流センサ16と、制御回路20と、を含む。
【0024】
コンデンサ14が、本開示の「平滑回路」の一例に相当する。
【0025】
ブリッジ回路11は、第1相アーム31と、第2相アーム32と、第3相アーム33と、を含む。
【0026】
第1相アーム31は、トランジスタQ1からトランジスタQ4までを含む。
【0027】
トランジスタQ1のソースは、トランジスタQ2のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ2のソースは、トランジスタQ3のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ3のソースは、トランジスタQ4のドレインに電気的に接続されている。
【0028】
第2相アーム32は、トランジスタQ5からトランジスタQ8までを含む。
【0029】
トランジスタQ5のソースは、トランジスタQ6のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ6のソースは、トランジスタQ7のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ7のソースは、トランジスタQ8のドレインに電気的に接続されている。
【0030】
第3相アーム33は、トランジスタQ9からトランジスタQ12までを含む。
【0031】
トランジスタQ9のソースは、トランジスタQ10のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ10のソースは、トランジスタQ11のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ11のソースは、トランジスタQ12のドレインに電気的に接続されている。
【0032】
トランジスタQ1、Q5及びQ9の各々が、本開示の「第1スイッチング素子」の一例に相当する。トランジスタQ2、Q6及びQ10の各々が、本開示の「第2スイッチング素子」の一例に相当する。トランジスタQ3、Q7及びQ11の各々が、本開示の「第3スイッチング素子」の一例に相当する。トランジスタQ4、Q8及びQ12の各々が、本開示の「第4スイッチング素子」の一例に相当する。
【0033】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイスなどでも良い。
【0034】
各トランジスタは、積極的に電流を流すことができる寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する、又は、逆並列にダイオードが接続されている。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。
【0035】
トランジスタQ1のドレイン、トランジスタQ5のドレイン及びトランジスタQ9のドレインは、ブリッジ回路11の第1入力端子11aに電気的に接続されている。第1入力端子11aは、コンデンサ5の高電位側端に電気的に接続されている。
【0036】
トランジスタQ2のソース、トランジスタQ3のドレイン、トランジスタQ6のソース、トランジスタQ7のドレイン、トランジスタQ10のソース及びトランジスタQ11のドレインは、ブリッジ回路11の第2入力端子11bに電気的に接続されている。第2入力端子11bは、コンデンサ5の低電位側端及びコンデンサ6の高電位側端に電気的に接続されている。
【0037】
トランジスタQ4のソース、トランジスタQ8のソース及びトランジスタQ12のソースは、ブリッジ回路11の第3入力端子11cに電気的に接続されている。第3入力端子11cは、コンデンサ6の低電位側端に電気的に接続されている。
【0038】
ブリッジ回路11の第1入力端子11aと第2入力端子11bとの間には、コンデンサ5の電圧Vin/2が入力される。
【0039】
ブリッジ回路11の第2入力端子11bと第3入力端子11cとの間には、コンデンサ6の電圧Vin/2が入力される。
【0040】
トランジスタQ1からトランジスタQ12までのゲートには、制御回路20からスイッチング信号が入力される。
【0041】
制御回路20は、第1相アーム31と第2相アーム32との間の位相差を120°に制御することが例示される。制御回路20は、第2相アーム32と第3相アーム33との間の位相差を120°に制御することが例示される。但し、本開示はこれに限定されない。
【0042】
トランジスタQ1のソース及びトランジスタQ2のドレインは、ブリッジ回路11の第1出力端子11dに電気的に接続されている。トランジスタQ3のソース及びトランジスタQ4のドレインは、ブリッジ回路11の第2出力端子11eに電気的に接続されている。
【0043】
トランジスタQ5のソース及びトランジスタQ6のドレインは、ブリッジ回路11の第3出力端子11fに電気的に接続されている。トランジスタQ7のソース及びトランジスタQ8のドレインは、ブリッジ回路11の第4出力端子11gに電気的に接続されている。
【0044】
トランジスタQ9のソース及びトランジスタQ10のドレインは、ブリッジ回路11の第5出力端子11hに電気的に接続されている。トランジスタQ11のソース及びトランジスタQ12のドレインは、ブリッジ回路11の第6出力端子11iに電気的に接続されている。
【0045】
変圧回路12は、トランス41からトランス43までを含む。
【0046】
トランス41は、1次巻線41aと、2次巻線41bと、コア41cと、を含む。1次巻線41a及び2次巻線41bは、コア41cに巻回されている。
【0047】
1次巻線41aは、励磁インダクタンス51と、漏れインダクタンス52と、を含む。1次巻線41aには、コンデンサ53が、励磁インダクタンス51及び漏れインダクタンス52と直列に設けられている。1次巻線41aの一端は、ブリッジ回路11の第1出力端子11dに電気的に接続されている。1次巻線41aの他端は、ブリッジ回路11の第2出力端子11eに電気的に接続されている。
【0048】
励磁インダクタンス51、漏れインダクタンス52及びコンデンサ53は、LLC共振回路を構成する。
【0049】
トランス42は、1次巻線42aと、2次巻線42bと、コア42cと、を含む。1次巻線42a及び2次巻線42bは、コア42cに巻回されている。
【0050】
1次巻線42aは、励磁インダクタンス54と、漏れインダクタンス55と、を含む。1次巻線42aには、コンデンサ56が、励磁インダクタンス54及び漏れインダクタンス55と直列に設けられている。1次巻線42aの一端は、ブリッジ回路11の第3出力端子11fに電気的に接続されている。1次巻線42aの他端は、ブリッジ回路11の第4出力端子11gに電気的に接続されている。
【0051】
励磁インダクタンス54、漏れインダクタンス55及びコンデンサ56は、LLC共振回路を構成する。
【0052】
トランス43は、1次巻線43aと、2次巻線43bと、コア43cと、を含む。1次巻線43a及び2次巻線43bは、コア43cに巻回されている。
【0053】
1次巻線43aは、励磁インダクタンス57と、漏れインダクタンス58と、を含む。1次巻線43aには、コンデンサ59が、励磁インダクタンス57及び漏れインダクタンス58と直列に設けられている。1次巻線43aの一端は、ブリッジ回路11の第5出力端子11hに電気的に接続されている。1次巻線43aの他端は、ブリッジ回路11の第6出力端子11iに電気的に接続されている。
【0054】
励磁インダクタンス57、漏れインダクタンス58及びコンデンサ59は、LLC共振回路を構成する。
【0055】
トランス41の2次巻線41bの一端、トランス42の2次巻線42bの一端及びトランス43の2次巻線43bの一端は、電気的に接続されている。
【0056】
整流回路13は、ブリッジダイオードである。整流回路13は、ダイオードD1からダイオードD6までを含む。
【0057】
ダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のカソードに電気的に接続されている。ダイオードD3のアノードは、ダイオードD4のカソードに電気的に接続されている。ダイオードD5のアノードは、ダイオードD6のカソードに電気的に接続されている。
【0058】
ダイオードD1のアノード及びダイオードD2のカソードは、トランス41の2次巻線41bの他端に電気的に接続されている。ダイオードD3のアノード及びダイオードD4のカソードは、トランス42の2次巻線42bの他端に電気的に接続されている。ダイオードD5のアノード及びダイオードD6のカソードは、トランス43の2次巻線43bの他端に電気的に接続されている。
【0059】
ダイオードD1、ダイオードD3及びダイオードD5のカソードは、コンデンサ14の高電位側端に電気的に接続されている。ダイオードD2、ダイオードD4及びダイオードD6のアノードは、コンデンサ14の低電位側端に電気的に接続されている。
【0060】
コンデンサ14は、整流回路13が出力する電圧を平滑する。コンデンサ14の電圧が、出力電圧Voutである。
【0061】
電圧センサ15は、出力電圧Voutを検出して、検出信号を制御回路20に出力する。
【0062】
電流センサ16は、出力電流Ioutを検出して、検出信号を制御回路20に出力する。
【0063】
(制御の概要)
一般に、LLCコンバータでは、各トランジスタのデューティは、0.5(以降、「標準値」と称する。)とされている。制御回路20は、トランジスタQ1とトランジスタQ4とを同期(同位相且つ同デューティ)させ、トランジスタQ2とトランジスタQ3とを同期させる。同様に、制御回路20は、トランジスタQ5とトランジスタQ8とを同期させ、トランジスタQ6とトランジスタQ7とを同期させる。同様に、制御回路20は、トランジスタQ9とトランジスタQ12とを同期させ、トランジスタQ10とトランジスタQ11とを同期させる。
【0064】
図2は、第1の実施の形態の電源装置の出力電圧-出力電流の特性の一例を示す図である。
図2中の縦軸は、出力電圧V
outを表し、横軸は、出力電流I
outを表す。
【0065】
制御回路20は、各トランジスタのスイッチング周波数を高くすることで、出力電圧Voutを下げることができる。以降、この制御を「第1制御」と称する。
【0066】
しかし、LLC共振及びソフトスイッチングを維持するために、スイッチング周波数には上限がある。つまり、第1制御による出力電圧V
outには、
図2の中の境界線201で示す下限(以降「第1制御下限電圧」と称する。)がある。従って、電源装置1が第1制御によって出力可能な出力電圧-出力電流の範囲は、境界線201よりも
図2中の上方の領域202となる。
【0067】
そこで、制御回路20は、スイッチング周波数が上限に達したら、スイッチング周波数を上限に維持したまま、トランジスタQ1(Q5、Q9)のデューティを標準値よりも下げる。以降、この制御を「第2制御」と称する。
【0068】
なお、制御回路20は、第2制御において、トランジスタQ4(Q8、Q12)のデューティをトランジスタQ1(Q5、Q9)のデューティと同じにすると好ましい。更に、制御回路20は、第2制御において、トランジスタQ4(Q8、Q12)と、トランジスタQ1(Q5、Q9)と、を同期させると好ましい。これにより、制御回路20は、後述するように、スイッチング信号の生成が容易となる。
【0069】
図3は、第1の実施の形態の電源装置の第1相アームのスイッチング信号の波形の一例を示す図である。なお、
図3では、デッドタイムの記載を省略している。
【0070】
波形211は、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形212は、トランジスタQ2のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形213は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形214は、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0071】
トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形211)と、トランジスタQ2のゲートに入力されるスイッチング信号(波形212)と、は相補的に変化する。トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号(波形213)と、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号(波形214)と、は相補的に変化する。
【0072】
タイミングt0までは、制御回路20は、第1制御として、各スイッチング信号のデューティを標準値に維持したまま、周波数を高くする。
【0073】
タイミングt0までは、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形211)のオン期間215は、1周期216の半分である。
【0074】
これにより、電源装置1は、出力電圧Voutを第1制御下限電圧まで下げることができる。
【0075】
タイミングt0において、各スイッチング信号の周波数が上限に達すると、制御回路20は、第2制御として、各スイッチング信号の周波数を上限に維持したまま、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形211)のデューティを標準値よりも下げる。
【0076】
タイミングt0以降では、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形211)のオン期間217は、1周期218の半分未満である。
【0077】
なお、タイミングt0以降で、制御回路20は、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号(波形214)のデューティを、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形211)のデューティと同じにすると好ましい。更に、制御回路20は、第2制御において、トランジスタQ4とトランジスタQ1とを同期させると好ましい。これにより、制御回路20は、1つのスイッチング信号をトランジスタQ1とトランジスタQ4とで共用できるので、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0078】
図4は、第1の実施の形態の電源装置の出力電圧-デューティの特性のシミュレーション結果を示す図である。
図4中の縦軸は、出力電圧V
outを表し、横軸は、デューティを表す。
【0079】
図4の波形221で示すように、電源装置1は、トランジスタQ1のデューティを標準値から下げて行くにつれて、出力電圧V
outを下げることができる。
【0080】
このように、電源装置1は、スイッチング周波数が上限に達したら第2制御を行うことにより、出力電圧Voutを第1制御下限電圧よりも更に下げることができる。
【0081】
再び
図2を参照すると、電源装置1は、境界線201(第1制御下限電圧)よりも出力電圧V
outを下げることができる。従って、電源装置1が出力可能な出力電圧-出力電流の範囲は、領域202と、境界線201よりも
図2中下方の領域203と、を合わせた領域204となる。
【0082】
(制御回路の構成)
図5は、第1の実施の形態の電源装置の制御回路の構成を示す図である。
【0083】
制御回路20は、過電流保護制御回路61と、スイッチング制御回路62と、切換回路63と、デッドタイム生成回路65と、を含む。
【0084】
過電流保護制御回路61は、出力電流Ioutが過電流であることを検出した場合、信号S1を切換回路63に出力する。
【0085】
切換回路63は、信号S1が入力されている場合、過電流保護制御回路61から出力される複数の信号S2を複数のスイッチング信号SSWとして、トランジスタQ1からトランジスタQ12までに出力する。
【0086】
切換回路63は、信号S1が入力されていない場合、スイッチング制御回路62から出力される複数の信号S3を複数のスイッチング信号SSWとして、デッドタイム生成回路65に出力され、相補的に動作するトランジスタの信号間に任意のデッドタイムを設け、トランジスタQ1からトランジスタQ12までに出力する。
【0087】
図6は、第1の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の一例を示す図である。
【0088】
過電流保護制御回路61は、抵抗71及び72と、定電圧源73と、ヒステリシスコンパレータ74と、三角波信号源75と、コンパレータ76と、反転回路77と、を含む。
【0089】
抵抗71の一端には、出力電流Ioutを電圧に変換した電圧VIoutが入力される。抵抗71の他端は、抵抗72の一端に電気的に接続されている。抵抗72の他端は、基準電位に電気的に接続されている。基準電位は、接地電位が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0090】
抵抗71の他端及び抵抗72の一端は、ヒステリシスコンパレータ74の非反転入力端子(+端子)に電気的に接続されている。抵抗71及び抵抗72は、電圧VIoutを分圧した電圧V11を、ヒステリシスコンパレータ74の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0091】
定電圧源73は、出力電流Ioutの過電流閾値に応じた基準電圧VIrefを、ヒステリシスコンパレータ74の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0092】
ヒステリシスコンパレータ74は、電圧V11が基準電圧VIrefよりも一定値以上高い場合、ハイレベルの電圧V12を、コンパレータ76の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0093】
ヒステリシスコンパレータ74は、基準電圧VIrefが電圧V11よりも一定値以上高い場合、ローレベルの電圧V12を、コンパレータ76の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0094】
過電流保護制御回路61は、ヒステリシスコンパレータ74がヒステリシスを有することにより、過電流保護制御と通常のスイッチング制御とが頻繁に切り換わることを抑制できる。
【0095】
ヒステリシスコンパレータ74が出力する電圧V12は、信号S1として切換回路63に出力される。
【0096】
三角波信号源75は、予め定められた周波数の三角波信号V13を、コンパレータ76の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0097】
コンパレータ76は、三角波信号V13の電圧が電圧V12よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V14を出力する。コンパレータ76は、電圧V12が三角波信号V13の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V14を出力する。
【0098】
コンパレータ76が出力する電圧V
14は、信号S
2として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ1(Q5、Q9)及びトランジスタQ4(Q8、Q12)のゲートに出力される。
【0099】
反転回路77は、電圧V14を論理反転した電圧V15を出力する。
【0100】
反転回路77が出力する電圧V
15は、信号S
2として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ2(Q6、Q10)及びトランジスタQ3(Q7、Q11)のゲートに出力される。
【0101】
これにより、過電流保護制御回路61は、出力電流Ioutが過電流閾値よりも一定値以上高い場合、予め定められたデューティで制御を行うことができる。例えば、過電流保護制御回路61は、トランジスタQ1(Q5、Q8)及びトランジスタQ4(Q8、Q12)のデューティを0.1とし、トランジスタQ2(Q6、Q10)及びトランジスタQ3(Q7、Q11)のデューティを0.9とすることが例示される。過電流保護制御回路61は、ヒステリシスコンパレータ74によって、パルス・バイ・パルスの制御を行うことができる。
【0102】
図7は、第1の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の他の例を示す図である。
【0103】
過電流保護制御回路64は、過電流保護制御回路61(
図6参照)と比較して、ヒステリシスコンパレータ74に代えて、誤差アンプ78を含む。
【0104】
誤差アンプ78の非反転入力端子(+端子)には、電圧V11が入力される。誤差アンプ78の反転入力端子(-端子)には、基準電圧VIrefが入力される。
【0105】
誤差アンプ78は、電圧V11と基準電圧VIrefとの差に応じた電圧V21を、コンパレータ76の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0106】
誤差アンプ78が出力する電圧V21は、信号S1として切換回路63に出力される。
【0107】
これにより、過電流保護制御回路64は、出力電流Ioutが過電流閾値を超えた場合、出力電流Ioutの増加に応じてトランジスタQ1(Q5、Q9)及びトランジスタQ4(Q8、Q12)のデューティを下げる制御を行うことができる。
【0108】
図8は、第1の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の構成を示す図である。
【0109】
なお、第1の実施の形態では、スイッチング制御回路62が、出力電圧Voutが目標電圧となるようにする定出力電圧制御を行う場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。スイッチング制御回路62は、出力電流Ioutが目標電流となるようにする定出力電流制御を行うこととしても良い。
【0110】
スイッチング制御回路62は、抵抗91及び92と、可変電圧源93と、誤差アンプ94と、電圧リミッタ95と、電圧制御発振器96と、定電圧源97と、誤差アンプ98と、コンパレータ99、100及び101と、反転回路105、106及び107と、を含む。
【0111】
抵抗91の一端には、出力電圧Voutが入力される。抵抗91の他端は、抵抗92の一端に電気的に接続されている。抵抗92の他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0112】
なお、定出力電流制御の場合には、抵抗91の一端には、出力電流Ioutを電圧に変換した電圧VIoutが入力される。
【0113】
抵抗91の他端及び抵抗92の一端は、誤差アンプ94の非反転入力端子(+端子)に電気的に接続されている。抵抗91及び抵抗92は、出力電圧Voutを分圧した電圧V31を、誤差アンプ94の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0114】
可変電圧源93は、出力電圧Voutの目標電圧に応じた指令値電圧Vo-refを、誤差アンプ94の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0115】
なお、出力電流制御の場合には、可変電圧源93は、出力電流Ioutの目標電流に応じた電圧を、誤差アンプ94の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0116】
誤差アンプ94は、電圧V31と指令値電圧Vo-refとの差に応じた電圧VE1を、電圧リミッタ95、及び、誤差アンプ98の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0117】
電圧リミッタ95は、電圧VE1を下限電圧Vfminから上限電圧Vfmaxまでの範囲に制限した電圧V32を、電圧制御発振器96に出力する。
【0118】
電圧リミッタ95は、電圧制御発振器96の発振周波数を、LLC共振回路の下限周波数から上限周波数までの範囲に収めるためのものである。下限電圧Vfminから上限電圧Vfmaxまでの範囲は、電圧VE1が変化する範囲よりも狭いものとする。
【0119】
電圧制御発振器96は、電圧V32に応じた周波数の三角波信号Vtri1、Vtri2及びVtri3を、コンパレータ99の非反転入力端子(+端子)、コンパレータ100の非反転入力端子(+端子)、及び、コンパレータ101の非反転入力端子(+端子)に、夫々出力する。
【0120】
電圧制御発振器96は、三角波信号Vtri1と三角波信号Vtri2との間の位相差を120°とする。電圧制御発振器96は、三角波信号Vtri2と三角波信号Vtri3との間の位相差を120°とする。
【0121】
電圧制御発振器96は、電圧V32が高いほど、三角波信号Vtri1、Vtri2及びVtri3の周波数を高くし、電圧V32が低いほど、三角波信号Vtri1、Vtri2及びVtri3の周波数を低くする。
【0122】
三角波信号Vtri1、Vtri2及びVtri3の周波数は、電圧V32が下限電圧Vfminである場合に、最小となる。三角波信号Vtri1、Vtri2及びVtri3の周波数は、電圧V32が上限電圧Vfmaxである場合に、最大となる。
【0123】
電圧制御発振器96は、三角波信号Vtri1、Vtri2及びVtri3の各々を、0Vを中心として正方向及び負方向に変化させる。
【0124】
定電圧源97は、電圧Vfmax-refを、誤差アンプ98の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0125】
なお、電圧Vfmax-refは、上限電圧Vfmaxと同じとする。
【0126】
誤差アンプ98は、電圧VE1と電圧Vfmax-refとの差に応じた電圧VE2を、コンパレータ99の反転入力端子(-端子)、コンパレータ100の反転入力端子(-端子)、及び、コンパレータ101の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0127】
コンパレータ99は、三角波信号Vtri1の電圧が電圧VE2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V33を出力する。コンパレータ99は、電圧VE2が三角波信号Vtri1の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V33を出力する。
【0128】
コンパレータ99が出力する電圧V
33は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ1及びトランジスタQ4のゲートに出力される。
【0129】
図9は、第1の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の波形の一例を示す図である。詳しくは、
図9は、誤差アンプ98が出力する電圧V
E2と、電圧制御発振器96が出力する三角波信号V
tri1と、の波形を示す図である。
【0130】
波形231は、電圧VE2を示す。波形232は、三角波信号Vtri1を示す。先に説明したように、三角波信号Vtri1は、0Vを中心として、正方向及び負方向に変化する。
【0131】
タイミングt10までは、誤差アンプ94が出力する電圧VE1が電圧Vfmax-refよりも低いものとする。この場合、波形231で示すように、誤差アンプ98が出力する電圧VE2は、0Vとなる。従って、コンパレータ99が出力する電圧V33のデューティは、標準値(0.5)となる。
【0132】
タイミングt10において、誤差アンプ94が出力する電圧VE1が電圧Vfmax-refよりも高くなると、誤差アンプ98が出力する電圧VE2は、電圧VE1の上昇に応じて、0Vから上昇して行く。従って、コンパレータ99が出力する電圧V33のデューティは、標準値から小さくなって行く。
【0133】
再び
図8を参照する。スイッチング制御回路62は、トランジスタQ1とトランジスタQ4とを同期させることとすると、コンパレータ99が出力する電圧V
33をトランジスタQ1とトランジスタQ4とで共用することができる。つまり、スイッチング制御回路62は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0134】
反転回路105は、電圧V33を論理反転した電圧V39を出力する。
【0135】
反転回路105が出力する電圧V
39は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ2及びトランジスタQ3のゲートに出力される。
【0136】
スイッチング制御回路62は、トランジスタQ2とトランジスタQ3とを同期させることとすると、反転回路105が出力する電圧V39をトランジスタQ2とトランジスタQ3とで共用することができる。つまり、スイッチング制御回路62は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0137】
コンパレータ100は、三角波信号Vtri2の電圧が電圧VE2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V34を出力する。コンパレータ100は、電圧VE2が三角波信号Vtri2の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V34を出力する。
【0138】
コンパレータ100が出力する電圧V
34は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ5及びトランジスタQ8のゲートに出力される。
【0139】
スイッチング制御回路62は、トランジスタQ5とトランジスタQ8とを同期させることとすると、コンパレータ100が出力する電圧V34をトランジスタQ5とトランジスタQ8とで共用することができる。つまり、スイッチング制御回路62は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0140】
反転回路106は、電圧V34を論理反転した電圧V40を出力する。
【0141】
反転回路106が出力する電圧V
40は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ6及びトランジスタQ7のゲートに出力される。
【0142】
スイッチング制御回路62は、トランジスタQ6とトランジスタQ7とを同期させることとすると、反転回路106が出力する電圧V40をトランジスタQ6とトランジスタQ7とで共用することができる。つまり、スイッチング制御回路62は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0143】
コンパレータ101は、三角波信号Vtri3の電圧が電圧VE3よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V35を出力する。コンパレータ101は、電圧VE3が三角波信号Vtri3の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V35を出力する。
【0144】
コンパレータ101が出力する電圧V
35は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ9及びトランジスタQ12のゲートに出力される。
【0145】
スイッチング制御回路62は、トランジスタQ9とトランジスタQ12とを同期させることとすると、コンパレータ101が出力する電圧V35をトランジスタQ9とトランジスタQ12とで共用することができる。つまり、スイッチング制御回路62は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0146】
反転回路107は、電圧V35を論理反転した電圧V41を出力する。
【0147】
反転回路107が出力する電圧V
41は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ10及びトランジスタQ11のゲートに出力される。
【0148】
スイッチング制御回路62は、トランジスタQ10とトランジスタQ11とを同期させることとすると、反転回路107が出力する電圧V41をトランジスタQ10とトランジスタQ11とで共用することができる。つまり、スイッチング制御回路62は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0149】
(まとめ)
以上説明したように、スイッチング制御回路62は、出力電圧Voutを下げる場合に、各トランジスタのスイッチング周波数が上限以下の場合は、スイッチング周波数を高くする第1制御を行う。そして、スイッチング制御回路62は、各トランジスタのスイッチング周波数が上限に達した場合は、スイッチング周波数を維持したまま、トランジスタQ1(Q5、Q9)のデューティを標準値よりも下げる第2制御を行う。
【0150】
これにより、電源装置1は、制御を煩雑にすることなく、出力電圧Voutを第1制御下限電圧よりも更に下げることができる。
【0151】
スイッチング制御回路62は、トランジスタQ4(Q8、Q12)のデューティを、トランジスタQ1(Q5、Q9)のデューティと同じにすると好ましい。
【0152】
これにより、スイッチング制御回路62は、1つのスイッチング信号(
図8の電圧V
33)を、トランジスタQ1とトランジスタQ4とで共用することができる。つまり、スイッチング制御回路62は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0153】
過電流保護制御回路61は、出力電流Ioutが閾値電流を超えた場合に、トランジスタQ1からトランジスタQ12までを、予め定められたデューティでスイッチングさせると好ましい。
【0154】
これにより、過電流保護制御回路61は、出力電流Ioutを抑制することができる。
【0155】
(付記)
制御回路20は、第1制御と第2制御との切り換えの際に、ヒステリシスを設けても良い。例えば、誤差アンプ94(
図8参照)をヒステリシスコンパレータに置き換えても良い。
【0156】
これにより、制御回路20は、第1制御と第2制御とが頻繁に切り換わることを抑制することができる。
【0157】
制御回路20は、第2制御の場合に、PSM制御(非特許文献2参照)を行うこととしても良い。
【0158】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態の構成要素のうち、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0159】
(電源装置の全体構成)
第2の実施の形態の電源装置の全体構成は、第1の実施の形態の電源装置1(
図1参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0160】
(制御の概要)
第1の実施の形態では、制御回路は、トランジスタQ1(Q5、Q9)とトランジスタQ4(Q8、Q12)とを同期(同位相且つ同デューティ)させ、トランジスタQ2(Q6、Q10)とトランジスタQ3(Q7、Q11)とを同期させた。
【0161】
トランス41、42及び43の1次側回路の電流は、トランジスタQ1(Q5、Q9)がオフ状態からオン状態へ変化するとき及びトランジスタQ3(Q7、Q11)がオフ状態からオン状態に変化するときに、大きく変化する。
【0162】
先に
図3で示した第2制御(タイミングt
0以降)の波形211及び波形213では、トランス41、42及び43の1次側回路の電流が大きく変化するタイミングが、制御の1周期218の前半に偏っている。従って、コンデンサ14(
図1参照)に大きなリップル電流が流れる可能性がある。
【0163】
そこで、第2の実施の形態では、制御回路は、第2制御において、トランジスタQ1(Q5、Q9)のデューティを下げるとともに、トランジスタQ3(Q7、Q11)のデューティも下げる。
【0164】
なお、制御回路は、第2制御において、トランジスタQ1(Q5、Q9)のデューティとトランジスタQ3(Q7、Q11)のデューティとを同じにすると好ましい。これにより、制御回路は、後述するように、スイッチング信号の生成が容易になる。
【0165】
図10は、第2の実施の形態の電源装置の第1相アームのスイッチング信号の波形の一例を示す図である。なお、
図10では、デッドタイムの記載を省略している。
【0166】
波形241は、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形242は、トランジスタQ2のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形243は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形244は、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0167】
トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形241)と、トランジスタQ2のゲートに入力されるスイッチング信号(波形242)と、は相補的に変化する。トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号(波形243)と、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号(波形244)と、は相補的に変化する。
【0168】
タイミングt20までは、制御回路は、第1制御として、各スイッチング信号のデューティを標準値に維持したまま、周波数を高くする。
【0169】
タイミングt20までは、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形241)のオン期間245は、1周期246の半分である。
【0170】
これにより、電源装置は、出力電圧Voutを第1制御下限電圧まで下げることができる。
【0171】
タイミングt20において、各スイッチング信号の周波数が上限に達すると、制御回路は、第2制御として、各スイッチング信号の周波数を上限に維持したまま、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形241)のデューティを標準値よりも下げる。それとともに、制御回路は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号(波形243)のデューティを標準値よりも下げる。
【0172】
タイミングt20以降では、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形241)のオン期間247は、1周期248の半分未満である。トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号(波形243)のオン期間249は、1周期250の半分未満である。
【0173】
なお、タイミングt20以降で、制御回路は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号(波形243)のデューティを、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形241)のデューティと同じにすると好ましい。これにより、制御回路は、後述するように、スイッチング信号の生成が容易となる。
【0174】
これにより、制御回路は、トランジスタQ1の立ち上がりと、トランジスタQ3の立ち上がりと、を交互(位相差180°の場合、等間隔)にできるので、トランス41、42及び43の1次側電流が大きく変化するタイミングをずらすことができる。従って、電源装置は、コンデンサ14に流れるリップル電流を抑制できる。
【0175】
なお、制御回路は、トランジスタQ1の位相とトランジスタQ3の位相との間の位相差を180°にすると好ましい。これにより、制御回路は、後述するように、スイッチング信号の生成が容易となる。
【0176】
(制御回路の構成)
第2の実施の形態の制御回路の全体構成は、第1の実施の形態の制御回路20(
図5参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0177】
図11は、第2の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の一例を示す図である。
【0178】
過電流保護制御回路121は、第1の実施の形態の過電流保護制御回路61(
図6参照)と比較して、三角波信号源79と、コンパレータ80と、反転回路81と、を更に含む。
【0179】
三角波信号源79は、三角波信号V13と同周波数、且つ、逆位相(位相差-180°)の三角波信号V16を、コンパレータ80の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0180】
コンパレータ80の反転入力端子(-端子)には、電圧V12が入力される。
【0181】
コンパレータ80は、三角波信号V16の電圧が電圧V12よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V17を出力する。コンパレータ80は、電圧V12が三角波信号V16の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V17を出力する。
【0182】
コンパレータ80が出力する電圧V
17は、信号S
2として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ1(Q5、Q9)のゲートに出力される。
【0183】
反転回路81は、電圧V17を論理反転した電圧V18を出力する。
【0184】
反転回路81が出力する電圧V
18は、信号S
2として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ2(Q6、Q10)のゲートに出力される。
【0185】
コンパレータ76が出力する電圧V
14は、信号S
2として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ3(Q7、Q11)のゲートに出力される。
【0186】
反転回路77が出力する電圧V
15は、信号S
2として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ4(Q8、Q12)のゲートに出力される。
【0187】
これにより、過電流保護制御回路121は、出力電流Ioutが過電流閾値よりも一定値以上高い場合、予め定められたデューティで制御を行うことができる。また、過電流保護制御回路121は、トランジスタQ1及びトランジスタQ2の位相と、トランジスタQ3及びトランジスタQ4の位相と、をずらす(例えば、位相差-180°とする)ことができる。
【0188】
図12は、第2の実施の形態の電源装置の過電流保護制御回路の構成の他の例を示す図である。
【0189】
過電流保護制御回路122は、過電流保護制御回路121(
図11参照)と比較して、ヒステリシスコンパレータ74に代えて、誤差アンプ78を含む。
【0190】
誤差アンプ78の非反転入力端子(+端子)には、電圧V11が入力される。誤差アンプ78の反転入力端子(-端子)には、基準電圧VIrefが入力される。
【0191】
誤差アンプ78は、電圧V11と基準電圧VIrefとの差に応じた電圧V21を、コンパレータ80の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0192】
コンパレータ80は、三角波信号V16の電圧が電圧V12よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V17を出力する。コンパレータ80は、電圧V12が三角波信号V16の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V17を出力する。
【0193】
これにより、過電流保護制御回路64は、出力電流Ioutが過電流閾値を超えた場合、出力電流Ioutの増加に応じてトランジスタQ1(Q5、Q9)及びトランジスタQ4(Q8、Q12)のデューティを下げる制御を行うことができる。
【0194】
図13は、第2の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の構成を示す図である。
【0195】
なお、第2の実施の形態では、スイッチング制御回路123が、出力電圧Voutが目標電圧となるようにする定出力電圧制御を行う場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。スイッチング制御回路123は、出力電流Ioutが目標電流となるようにする定出力電流制御を行うこととしても良い。
【0196】
スイッチング制御回路123は、スイッチング制御回路62(
図8参照)と比較して、電圧制御発振器96に代えて、電圧制御発振器131を含む。また、スイッチング制御回路123は、スイッチング制御回路62と比較して、コンパレータ102、103及び104と、反転回路108、109及び110と、を更に含む。
【0197】
電圧制御発振器131は、三角波信号Vtri1を、コンパレータ99の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0198】
電圧制御発振器131は、三角波信号Vtri1を反転した三角波信号Vtri1-nを、コンパレータ100の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0199】
電圧制御発振器131は、三角波信号Vtri2を、コンパレータ101の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0200】
電圧制御発振器131は、三角波信号Vtri2を反転した三角波信号Vtri2-nを、コンパレータ102の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0201】
電圧制御発振器131は、三角波信号Vtri3を、コンパレータ103の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0202】
電圧制御発振器131は、三角波信号Vtri3を反転した三角波信号Vtri3-nを、コンパレータ104の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0203】
誤差アンプ98は、電圧VE2を、コンパレータ99からコンパレータ104までの反転入力端子(-端子)に出力する。
【0204】
コンパレータ99は、三角波信号Vtri1の電圧が電圧VE2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V33を出力する。コンパレータ99は、電圧VE2が三角波信号Vtri1の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V33を出力する。
【0205】
コンパレータ99が出力する電圧V
33は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ3のゲートに出力される。
【0206】
反転回路105は、電圧V33を論理反転した電圧V39を出力する。
【0207】
反転回路105が出力する電圧V
39は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ4のゲートに出力される。
【0208】
コンパレータ100は、三角波信号Vtri1-nの電圧が電圧VE2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V34を出力する。コンパレータ100は、電圧VE2が三角波信号Vtri1-nの電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V34を出力する。
【0209】
コンパレータ100が出力する電圧V
34は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ1のゲートに出力される。
【0210】
反転回路106は、電圧V34を論理反転した電圧V40を出力する。
【0211】
反転回路106が出力する電圧V
40は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ2のゲートに出力される。
【0212】
図14は、第2の実施の形態の電源装置のスイッチング制御回路の波形の一例を示す図である。詳しくは、
図14は、誤差アンプ98が出力する電圧V
E2と、電圧制御発振器131が出力する三角波信号V
tri1及びV
tri1-nと、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号と、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号と、の波形を示す図である。
【0213】
波形261は、誤差アンプ98が出力する電圧VE2を示す。波形262は、三角波信号Vtri1-nを示す。波形263は、三角波信号Vtri1を示す。三角波信号Vtri1-n及びVtri1は、0Vを中心として、正方向及び負方向に変化する。
【0214】
波形264は、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形265は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0215】
タイミングt30までは、誤差アンプ94が出力する電圧VE1が電圧Vfmax-refよりも低いものとする。この場合、波形261で示すように、誤差アンプ98が出力する電圧VE2は、0Vとなる。従って、波形264で示すように、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティは、標準値(0.5)となる。一方、波形265で示すように、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティは、標準値となるとともに、波形264と180°位相がずれる。
【0216】
タイミングt30において、誤差アンプ94が出力する電圧VE1が電圧Vfmax-refよりも高くなると、誤差アンプ98が出力する電圧VE2は、電圧VE1の上昇に応じて、0Vから上昇して行く。従って、波形264で示すように、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティは、標準値(0.5)未満となる。一方、波形265で示すように、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティは、標準値未満となるとともに、波形264と180°位相がずれる。
【0217】
再び
図13を参照する。コンパレータ101は、三角波信号V
tri2の電圧が電圧V
E2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V
35を出力する。コンパレータ101は、電圧V
E2が三角波信号V
tri2の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V
35を出力する。
【0218】
コンパレータ101が出力する電圧V
35は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ7のゲートに出力される。
【0219】
反転回路107は、電圧V35を論理反転した電圧V41を出力する。
【0220】
反転回路107が出力する電圧V
41は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ8のゲートに出力される。
【0221】
コンパレータ102は、三角波信号Vtri2-nの電圧が電圧VE2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V36を出力する。コンパレータ102は、電圧VE2が三角波信号Vtri2-nの電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V36を出力する。
【0222】
コンパレータ102が出力する電圧V
36は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ5のゲートに出力される。
【0223】
反転回路108は、電圧V36を論理反転した電圧V42を出力する。
【0224】
反転回路108が出力する電圧V
42は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ6のゲートに出力される。
【0225】
コンパレータ103は、三角波信号Vtri3の電圧が電圧VE2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V37を出力する。コンパレータ103は、電圧VE2が三角波信号Vtri3の電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V37を出力する。
【0226】
コンパレータ103が出力する電圧V
37は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ11のゲートに出力される。
【0227】
反転回路109は、電圧V37を論理反転した電圧V43を出力する。
【0228】
反転回路109が出力する電圧V
43は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ12のゲートに出力される。
【0229】
コンパレータ104は、三角波信号Vtri3-nの電圧が電圧VE2よりも高い場合には、ハイレベルの電圧V38を出力する。コンパレータ104は、電圧VE2が三角波信号Vtri3-nの電圧よりも高い場合には、ローレベルの電圧V38を出力する。
【0230】
コンパレータ104が出力する電圧V
38は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ9のゲートに出力される。
【0231】
反転回路110は、電圧V38を論理反転した電圧V44を出力する。
【0232】
反転回路110が出力する電圧V
44は、信号S
3として切換回路63(
図5参照)に入力され、スイッチング信号S
SWとしてトランジスタQ10のゲートに出力される。
【0233】
(回路シミュレーション)
第2の実施の形態の回路シミュレーション結果について説明する。
【0234】
図1では、3相(第1相アーム31から第3相アーム33まで)の場合を示したが、回路シミュレーションは、1相(第1相アーム31だけ)の場合について実行した。
【0235】
図15は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【0236】
波形271-1は、第1制御の場合に、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形271-2は、第2制御の場合に、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0237】
波形272-1は、第1制御の場合に、トランジスタQ2のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形272-2は、第2制御の場合に、トランジスタQ2のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0238】
波形273-1は、第1制御の場合に、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形273-2は、第2制御の場合に、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0239】
波形274-1は、第1制御の場合に、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形274-2は、第2制御の場合に、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0240】
波形271-1と波形271-2とを比較すると、波形271-2は、デューティが下げられている。
【0241】
波形272-1と波形272-2とを比較すると、波形272-2は、デューティが上げられている。
【0242】
波形273-1と波形273-2とを比較すると、波形273-2は、デューティが下げられている。
【0243】
波形274-1と波形274-2とを比較すると、波形274-2は、デューティが上げられている。
【0244】
図16は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
【0245】
波形281は、第2制御の場合の、トランジスタQ1のドレイン電流を示す。波形282は、第2制御の場合の、トランジスタQ2のドレイン電流を示す。波形283は、第2制御の場合の、トランジスタQ3のドレイン電流を示す。波形284は、第2制御の場合の、トランジスタQ4のドレイン電流を示す。
【0246】
図16に示すように、電源装置1は、第2制御の場合に、ソフトスイッチングが実現できている。これにより、電源装置1は、効率の低下を抑制でき、高効率を維持できる。
【0247】
図17は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
図17は、出力電圧指令値が80Vから200Vまで変化する場合の、回路シミュレーション結果を示す。
【0248】
波形291は、出力電圧指令値を示す。波形292は、出力電圧Voutを示す。
【0249】
波形291で示すように、出力電圧指令値は、タイミングt40までは、80Vで一定であり、タイミングt40からタイミングt50までは、一定率で上昇しており、タイミングt50以降は、200Vで一定である。波形292で示すように、出力電圧Voutは、出力電圧指令値に追従している。
【0250】
図18は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
図18は、
図17中のタイミングt
40近傍の各部の波形を示す。
【0251】
タイミングt40近傍では、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが80Vと低いので、第2制御が実行される。
【0252】
波形301は、トランジスタQ1のドレイン電流を示す。波形302は、トランジスタQ2のドレイン電流を示す。
【0253】
波形303は、トランジスタQ1のドレイン-ソース間電圧波形を示す。波形304は、トランジスタQ2のドレイン-ソース間電圧波形を示す。
【0254】
波形301から波形304までで示すように、ソフトスイッチングが実現できている。これにより、電源装置1は、効率の低下を抑制でき、高効率を維持できる。
【0255】
波形303及び波形304で示すように、トランジスタQ1及びQ2のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティは、タイミングt40までは、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが80Vで一定であるので、一定である。
【0256】
タイミングt40までは、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが非常に低い。従って、波形303で示すように、トランジスタQ1のドレイン-ソース間電圧波形のデューティは、非常に小さい。一方、波形304で示すように、トランジスタQ2のドレイン-ソース間電圧波形のデューティは、非常に大きい。
【0257】
タイミングt40以降は、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが上昇している。従って、波形303で示すように、トランジスタQ1のドレイン-ソース間電圧波形のデューティは、上がっている。一方、波形304で示すように、トランジスタQ2のドレイン-ソース間電圧波形のデューティは、下がっている。
【0258】
図19は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
図19は、
図17中のタイミングt
35近傍の各部の波形を示す。
【0259】
タイミングt35近傍では、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが80Vと低いので、第2制御が実行される。
【0260】
波形305は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形306は、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0261】
第2制御が実行されるので、波形303及び波形305で示すように、トランジスタQ1及びQ3のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティは、下げられている。
【0262】
波形304で示すように、トランジスタQ2のゲートに入力されるスイッチング信号は、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号(波形303)と相補的に変化する。
【0263】
波形306で示すように、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号(波形305)と相補的に変化する。
【0264】
図20は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
図20は、
図17中のタイミングt
50近傍の各部の波形を示す。
【0265】
タイミングt50近傍では、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが200Vと高いので、第1制御が実行される。
【0266】
波形311は、トランジスタQ1のドレイン電流を示す。波形312は、トランジスタQ2のドレイン電流を示す。
【0267】
波形313は、トランジスタQ1のドレイン-ソース間電圧波形を示す。波形314は、トランジスタQ2のドレイン-ソース間電圧波形を示す。
【0268】
波形311から波形314までで示すように、ソフトスイッチングが実現できている。これにより、電源装置1は、効率の低下を抑制でき、高効率を維持できる。
【0269】
第1制御が実行されるので、波形313及び波形314で示すように、トランジスタQ1及びQ2のドレイン-ソース間電圧波形のデューティは、標準値で一定である。
【0270】
波形313及び波形314で示すように、トランジスタQ1及びQ2のドレイン-ソース間電圧波形の周波数は、タイミングt50までは、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが一定率で上昇しているので、下がっている。
【0271】
タイミングt50以降は、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが一定である。従って、波形313及び波形314で示すように、トランジスタQ1及びQ2のドレイン-ソース間電圧波形の周波数は、一定である。
【0272】
図21は、第2の実施の形態の電源装置の回路シミュレーション結果を示す図である。
図21は、
図17中のタイミングt
55近傍の各部の波形を示す。
【0273】
タイミングt55近傍では、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが200Vと高いので、第1制御が実行される。
【0274】
波形315は、トランジスタQ3のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。波形316は、トランジスタQ4のゲートに入力されるスイッチング信号を示す。
【0275】
第1制御が実行されるので、波形313から波形316までに示すように、トランジスタQ1からトランジスタQ4までのゲートに入力されるスイッチング信号のデューティは、標準値で一定である。
【0276】
タイミングt55近傍では、出力電圧指令値及び出力電圧Voutが200Vと一定である。従って、波形313から波形316までに示すように、トランジスタQ1からトランジスタQ4までのゲートに入力されるスイッチング信号の周波数は、一定である。
【0277】
(まとめ)
第2の実施の形態の電源装置は、第1の実施の形態の電源装置1と同様の効果に加えて、次の効果を奏する。
【0278】
第2の実施の形態では、スイッチング制御回路123は、第2制御において、トランジスタQ1(Q5、Q9)のデューティを下げるとともに、トランジスタQ3(Q7、Q11)のデューティも下げる。
【0279】
これにより、スイッチング制御回路123は、トランジスタQ1(Q5、Q9)の立ち上がりと、トランジスタQ3(Q7、Q11)の立ち上がりと、を交互(位相差180°の場合、等間隔)にできるので、トランス41、42及び43の1次側電流が大きく変化するタイミングをずらすことができる。
【0280】
従って、電源装置は、コンデンサ14に流れるリップル電流を抑制できる。
【0281】
スイッチング制御回路123は、トランジスタQ3(Q7、Q11)のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティを、トランジスタQ1(Q5、Q9)のゲートに入力されるスイッチング信号のデューティと同じにすると好ましい。
【0282】
これにより、スイッチング制御回路123は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0283】
スイッチング制御回路123は、トランジスタQ1(Q5、Q9)の位相とトランジスタQ3(Q7、Q11)の位相との間の位相差を180°にすると好ましい。
【0284】
これにより、スイッチング制御回路123は、スイッチング信号の生成が容易となり、制御が容易となる。
【0285】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0286】
1 電源装置
2 電源
3、4 抵抗
5、6、14 コンデンサ
11 ブリッジ回路
12 変圧回路
13 整流回路
15 電圧センサ
16 電流センサ
20 制御回路
31 第1相アーム
32 第2相アーム
33 第3相アーム
41、42、43 トランス
61、64、121、122 過電流保護制御回路
62、123 スイッチング制御回路
63 切換回路
65 デッドタイム生成回路