(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143207
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】冷凍倉庫用の倉庫ユニット、冷凍倉庫用の自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230928BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65G1/04 521
B65G1/00 521A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050463
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022BB02
3F022EE02
3F022FF01
3F022JJ13
3F022MM35
3F022NN02
3F022QQ04
(57)【要約】
【課題】本開示の目的の一つは、霜の影響を減らして荷の収容位置の精度を向上可能な冷凍倉庫用の技術を提供することにある。
【解決手段】ある態様の冷凍倉庫用の倉庫ユニット10は、荷1を冷凍保管可能な収容部2を第1方向に複数配列してなる収容列3と、収容列3に沿って設けられ、搬送手段4によって荷1を搬送するための搬送路5と、搬送路5に沿って所定間隔で配置され、搬送手段4に設けられた検知手段7によって検知可能な複数のマーカ6と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を冷凍保管可能な収容部を第1方向に複数配列してなる収容列と、前記収容列に沿って設けられ、搬送手段によって荷を搬送するための搬送路と、前記搬送路に沿って所定間隔で配置され、前記搬送手段に設けられた検知手段によって検知可能な複数のマーカと、を備える冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項2】
前記複数のマーカは磁性体を含み、
前記検知手段は、前記磁性体の磁性を検出した結果に基づいて前記マーカを検知する、請求項1に記載の冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項3】
前記複数のマーカは突起であり、
前記検知手段は、当該突起を検出した結果に基づいて前記マーカを検知する、請求項1に記載の冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項4】
前記搬送路には、第1方向に延びる2つの延伸部材が左右に離隔して配置され、
前記複数のマーカは、前記延伸部材に設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項5】
前記複数のマーカは、前記2つの延伸部材の互いに対向する側面に設けられる、請求項4に記載の冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項6】
前記延伸部材は、延伸方向に直交する断面が、前記搬送手段の車輪が通過可能な空間を囲む角張ったC字状を有し、
前記複数のマーカは、前記延伸部材の前記車輪の側面と対向する領域に配置される、請求項4または5に記載の冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項7】
前記複数のマーカは、前記2つの延伸部材に互い違いに配置される、請求項5または6に記載の冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項8】
前記複数のマーカは、互いに異なる複数の高さに配置される、請求項1から7のいずれか1項に記載の冷凍倉庫用の倉庫ユニット。
【請求項9】
荷を冷凍保管可能な収容部を第1方向に複数配列してなる収容列と、
前記収容列に沿って設けられた搬送路と、
前記搬送路を移動することにより荷を搬送可能な搬送手段と、
前記搬送路に沿って所定の間隔で配置された複数のマーカと、を備える。
前記搬送手段は、前記マーカを検知可能な検知手段を有する冷凍倉庫用の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍倉庫用の倉庫ユニットおよび冷凍倉庫用の自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷を冷凍保管可能な冷凍倉庫用の自動倉庫システムが知られている。本出願人は、特許文献1において、冷凍倉庫用の自動倉庫システムを開示した。この自動倉庫システムは、複数の荷を冷凍保管する冷凍保管棚と、冷凍保管棚に保管されている荷を搬送可能な搬送車とを備えている。冷凍保管棚は、複数段の保管ステージを備え、各保管ステージの下部には、搬送車が走行可能な走行空間が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、以下の認識を得た。冷凍倉庫用の自動倉庫を実現するために、複数の収容部が前後方向に配列された冷凍保管棚に沿って荷を搬送する搬送車を使用することが考えられる。例えば、保管棚の基端部から入口に向かって所定の間隔で荷を保管するために、搬送車に設けられた光学式距側手段により、先に置かれた荷までの距離を計測し、この計測結果に基づいて搬送車の走行を制御することが考えられる。この場合、冷凍空間では、光路への霜の影響によって、光学式距側手段の計測結果の誤差が大きくなり、荷の収容位置の精度が低下する問題がある。これらから、従来の冷凍倉庫用の自動倉庫システムは、霜の影響を減らして荷の収容位置の精度を向上させるという観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、霜の影響を減らして荷の収容位置の精度を向上可能な冷凍倉庫用の技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の冷凍倉庫用の倉庫ユニットは、荷を冷凍保管可能な収容部を第1方向に複数配列してなる収容列と、収容列に沿って設けられ、搬送手段によって荷を搬送するための搬送路と、搬送路に沿って所定間隔で配置され、搬送手段に設けられた検知手段によって検知可能な複数のマーカと、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、冷凍倉庫用の自動倉庫システムである。この冷凍倉庫用の自動倉庫システムは、荷を冷凍保管可能な収容部を第1方向に複数配列してなる収容列と、収容列に沿って設けられた搬送路と、搬送路を移動することにより荷を搬送可能な搬送手段と、搬送路に沿って所定の間隔で配置された複数のマーカと、を備える。搬送手段は、マーカを検知可能な検知手段を有する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、霜の影響を減らして荷の収容位置の精度を向上可能な冷凍倉庫用の技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る冷凍倉庫用の自動倉庫システムの一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
【
図3】
図1の自動倉庫システムの搬送手段を概略的に示す図である。
【
図4】
図3の搬送手段および延伸部材を示す図である。
【
図5】
図1の自動倉庫システムの運搬手段を概略的に示す側面図である。
【
図6】複数のマーカの第1の配置例を示す平面図である。
【
図7】複数のマーカの第2の配置例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[実施の形態]
図面を参照して実施の形態に係る冷凍倉庫用の自動倉庫システム100(以下、「自動倉庫システム100」と表記する)の構成を説明する。
図1は、自動倉庫システム100の一例を概略的に示す平面図である。この図では、収容列3の一部を切り欠いて示している。
図2は、自動倉庫システム100の側面図である。この図では、2つの延伸部材52のうちの一方を省略している。
【0014】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。また、左右方向を「左右方向」ということがある。また、Y軸方向を「前後方向」ということがある。また、Z軸方向を「上下方向」ということがある。第1方向は前後方向に例示される。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0015】
本明細書では、荷について下記の用語を用いる。内容物を収容した段ボール等のケースの1以上の集合を「荷」という。荷は複数の物品を含んでもよい。荷がパレットに搭載された状態で一体的に取り扱われる場合は、パレットを含めて荷という。荷は倉庫内で取り扱われる最小単位であってもよい。
【0016】
自動倉庫システム100の全体構成を説明する。自動倉庫システム100は、所定の低温に保たれた冷凍空間90において、複数の荷1を収容可能な収容列3を含むシステムである。以下、平面視おける荷1の前後方向の寸法を「荷寸法」といい、荷1の左右方向の寸法を「荷幅」という。荷寸法が1100mm、900mm、1200mmである荷1を、荷1(M)、荷1(S)、荷1(L)と表記する。荷1(M)、荷1(S)および荷1(L)の荷幅は、互いに等しく1100mmである。以下、自動倉庫システム100は、荷1(M)と、荷1(S)と、荷1(L)とを収容するものとして説明する。
【0017】
自動倉庫システム100は、棚部33と、搬送手段4と、搬送路5と、複数のマーカ6と、運搬路82と、運搬手段81と、制御部80と、を含む。棚部33は、左右方向に所定の間隔で配列された複数の収容列3を含む。収容列3と、搬送路5と、複数のマーカ6とは、冷凍倉庫用の倉庫ユニット10(以下、単に「倉庫ユニット10」と表記する)を構成する。換言すると、自動倉庫システム100は、複数の倉庫ユニット10と、搬送手段4と、運搬路82と、運搬手段81と、制御部80とにより構成できる。運搬路82、運搬手段81および制御部80については後述する。
【0018】
収容列3は、荷1を冷凍保管可能な収容部2を第1方向(前後方向)に複数配列して構成される。搬送路5は、搬送手段4によって荷1を搬送するために複数の収容部2に沿って設けられる。収容列3および搬送路5は、前後方向に延在する。
【0019】
棚部33は、複数の荷1を保管可能な保管スペースであって、冷凍空間90の床部Lgと天井Lcとの間に設置される。棚部33の構成は、複数の荷1を保管可能であれば、特に限定されない。自動倉庫システム100は、上下方向に層状に重ねられた複数(例えば、3)段の棚部33を有する。
【0020】
棚部33は、左右方向に連設された複数の収容列3を含む。複数の収容列3について、
図1の左から右に、収容列3-A、3-B、3-C、3-Dという。収容列3において、1つの荷1を保管する領域を収容部2という。収容可能な荷幅は、各収容列3で互いに等しく1100mmに設定されている。各収容列3は、荷1(M)、荷1(S)および荷1(L)を収容できる。
【0021】
収容列3は、
図1で上側の基端部34から下側の入口部35まで、前後方向に連設された複数の収容部2を有する。複数の収容部2を基端部34側から順に第1収容部2(1)、第2収容部2(2)、第3収容部2(3)、第4収容部2(4)、第5収容部2(5)と表記する。収容列3の運搬路82側の入口部35は、棚部33の間口に沿っており、搬送手段4が出入りする出入口として機能する。収容列3については後述する。
【0022】
(搬送手段)
図3、
図4、
図5も参照して搬送手段4を説明する。
図3(A)は搬送手段4の平面図であり、
図3(B)は搬送手段4の側面図である。
図4は、搬送手段4および延伸部材を示す図である。
図5は、運搬手段81の正面図であり、搬送手段4が台車搭載部86に搭載された状態を示している。搬送手段4は、例えば第1台車であり、荷1を載せて搬送路5を移動することにより、荷1を搬送できる。搬送手段4は、内蔵バッテリ(不図示)の電力によって内蔵モータ(不図示)を駆動することにより、左右両側に設けられた複数(例えば4個)の車輪44を回転させることができる。搬送手段4は、車輪44が回転することにより搬送路5を移動できる。搬送手段4は、内蔵するリフト機構(不図示)により、荷1を載置するための載置台部42を昇降させることができる。
図4において、上昇状態の載置台部42を破線で示し、下降状態の載置台部42を実線で示す。
【0023】
搬送手段4は、マーカ6の位置を検知可能な検知手段7を有する。一例として、複数のマーカ6は磁性体62を含むように構成し、検知手段7は、磁性体62の磁性を検出した結果に基づいて、マーカ6の位置を検知可能に構成できる。例えば、磁性体62は、公知の種々の磁性体を採用可能であり、この例では永久磁石である。検知手段7は、公知の原理に基づく磁性検出手段を採用可能であり、例えば、永久磁石の磁束を検知可能なホール素子を採用できる。なお、
図2では、複数のマーカ6および複数の検知手段7の一部を示している。
【0024】
別の例として、複数のマーカ6は突起であり、検知手段7は突起を検出した結果に基づいて、マーカ6の位置を検知可能に構成できる。この場合、検知手段7は、公知の原理に基づく突起検出手段を採用可能である。この突起検出手段としては、突起までの距離を検知可能な距離センサ、突起が接近したことを検知する近接センサ、リミットスイッチ等の接触式センサ等が挙げられる。マーカ6は、磁性体と突起などのように、互いに異なる複数種類のマーク手段を含んでもよい。
【0025】
搬送路5は、搬送手段4が走行するための第1走行路(例えば、第1レール)であり、収容列3に沿って前後方向に延在する。この例では、搬送手段4が収容列3の下を通過できるように、搬送路5は、収容列3の下に設けられる。各収容列3には、左右に離隔配置され、前後方向(第1方向)に延びる2つの延伸部材52が設けられる。
図4に示すように、延伸部材52は、延伸方向(前後方向)に直交する断面が、搬送手段4の車輪44が通過可能な空間を囲む角張ったC字状を有する。
【0026】
具体的には、延伸部材52は、上側で左右に延びる上側横延在部53と、上側横延在部53の端部から下方に延びる中間縦延在部54と、中間縦延在部54の下端から上側横延在部53と平行に延びる下側横延在部55とを有する。収容部2は、延伸部材52の上側横延在部53に設けられ、搬送路5は、延伸部材52の下側横延在部55に設けられる。複数のマーカ6は、延伸部材52の中間縦延在部54の車輪44の側面と対向する位置に配置される。上側横延在部53、中間縦延在部54および下側横延在部55は一体的に形成できる。
【0027】
複数のマーカ6は、搬送手段4に設けられた検知手段7にマーカ6の位置を検知させるために、搬送路5に沿って所定間隔で配置される。
【0028】
収容部2の前後方向の寸法(以下、「収容部寸法」という)は、収容対象の荷1の荷寸法に所定の隙間を加えて設定できる。収容列3の収容部寸法は、荷1(M)、荷1(S)および荷1(L)の収容予定の数(以下、「収容予定数」という)の割合に応じて設定できる。この例では、荷1(M)の収容予定数が、荷1(S)、荷1(L)の収容予定数よりも多いため、収容列3-A、3-Bは、荷1(M)を収容するように設定され、収容列3-Cは、荷1(S)を収容するように設定され、収容列3-Dは、荷1(L)を収容するように設定されている。
【0029】
しかし、収容予定数の割合は常に一定でなく、季節等の各種の要因により変化する。各収容列3の収容部寸法が変更できない場合、荷寸法ごとの収容可能数の割合が固定化されるため、収容予定数の割合と収容可能数の割合が一致せずに収容効率が低下する可能性が大きくなる。そこで、実施形態では、各収容列3の収容部寸法は、任意に変更できる。つまり、各収容列3は、荷1(M)、荷1(S)および荷1(L)のいずれも収容可能に構成されており、各収容列3の収容部寸法は、収容予定数の割合の変化に応じてフレキシブルに変更できる。
【0030】
実施形態では、各収容列3が荷1(M)、荷1(S)および荷1(L)のいずれも収容可能にするために、荷1の収容位置を制御する。ここで、荷1の収容位置を制御するために、光学式距側手段によって先置された荷までの距離を計測し、この計測結果を用いて荷の収容位置を制御することが考えられる。この場合、冷凍空間90では光路への霜の影響によって、光学式距側手段の計測結果の誤差が大きくなり、荷の収容位置の精度が低下する問題が判明した。
【0031】
そこで、実施形態の倉庫ユニット10は、搬送路5に沿って所定間隔で配置され、搬送手段4に設けられた検知手段7によって検知可能な複数のマーカ6を備え、検知手段7によって複数のマーカ6を検知した検知結果に基づいて、搬送手段4の荷下ろし位置を制御する。
【0032】
各収容列3は、荷1(M)を収容するための収容部2(M)、荷1(S)を収容するための収容部2(S)または荷1(L)を収容するための収容部2(L)のいずれかに設定されている。また、各収容列3には、収容部2(M)、収容部2(S)、収容部2(L)に対応する位置にマーカ6(M)、マーカ6(L)、マーカ6(S)が設けられる。
【0033】
また、制御部80は、各収容列3の荷1が収容されている収容部2と、荷1が収容されていない収容部2とを記憶している。実施形態では、荷1は、基端部34側の収容部2から入口部35側の収容部2まで順に収容される。したがって、制御部80は、荷1が収容されていない収容部2のうち最も基端部34側の収容部2に荷1を収容するように搬送手段4を制御する。
【0034】
例えば、収容列3-A、3-Bを走行する搬送手段4は、上記の制御に基づいて、検知手段7がマーカ6(M)を検知した位置に停止し、その位置で収容列3に荷1(M)を降ろすことにより、荷1(M)の荷寸法に対応した収容部2(M)に荷を収容できる。
【0035】
例えば、収容列3-Cを走行する搬送手段4は、上記の制御に基づいて、検知手段7がマーカ6(S)を検知した位置に停止し、その位置で収容列3に荷1(S)を降ろすことにより、荷1(S)の荷寸法に対応した収容部2(S)に荷を収容できる。
【0036】
例えば、収容列3-Dを走行する搬送手段4は、上記の制御に基づいて、検知手段7がマーカ6(L)を検知した位置に停止し、その位置で収容列3に荷1(L)を降ろすことにより、荷1(L)の荷寸法に対応した収容部2(L)に荷を収容できる。
【0037】
図6、
図7を参照して、複数のマーカ6の配置例を説明する。
図6、
図7は複数のマーカ6の配置例を示す図である。
図6に示す第1の配置例では、マーカ6(M)、マーカ6(L)、マーカ6(S)は、2つの延伸部材52の互いに対向する2つの側面の一方の側面に配置される。この場合、検知手段7を搬送手段4の一方側に配置すれば済むため、検知手段7の部品代および取付工数が少なくて済み、コスト的に有利である。
【0038】
複数のマーカ6が過度に接近して配置されると、検知手段7が検知対象でないマーカ6を誤検知する可能性が大きくなる。また、検知対象でないマーカ6の磁束の影響を受けて、検知手段7の検知精度が低下する。このため、複数のマーカ6は分散して配置することができる。
【0039】
例えば、
図6の例では、円Nで示す部分で複数のマーカ6が接近している。そこで、実施形態では
図7に示す第2の配置例を採用している。
図7の例では、複数のマーカ6は、2つの延伸部材52に分散して配置されている。特に、複数のマーカ6は、2つの延伸部材52に互い違いに配置されている。具体的には、マーカ6(M)、マーカ6(L)は、2つの延伸部材52の一方(
図7で左側の延伸部材)の側面に配置され、マーカ6(S)は、他方(
図7で右側の延伸部材)の側面に配置される。この場合、各マーカ6が左右に分散配置されるので、誤検知や検知精度低下の可能性が小さくなる。
【0040】
各マーカ6が左右に分散配置される場合、
図3、
図4に示すように、マーカ6(M)、マーカ6(L)に対応する検知手段7(M)、検知手段7(L)は、搬送手段4のマーカ6(M)、マーカ6(L)に対向する側面に配置され、マーカ6(S)に対応する検知手段7(S)は、搬送手段4のマーカ6(S)に対向する側面に配置される。
【0041】
誤検知や検知精度低下の可能性をさらに小さくする観点から、複数のマーカ6は、互いに異なる複数の高さH1、H2、H3に配置されてもよい。
図4の例では、マーカ6(M)は第1高さH1に配置され、マーカ6(S)は、第1高さよりも低い第2高さH2に配置され、マーカ6(L)は、第2高さよりも低い第3高さH3に配置されている。この場合、検知手段7(M)は、第1高さH1に配置され、検知手段7(S)は、第2高さH2に配置され、検知手段7(L)は、第3高さH3に配置される。
【0042】
実施形態では、検知手段7(M)、検知手段7(S)および検知手段7(L)は、前後方向において互いに異なる複数の位置P1、P2、P3に配置されている。具体的には、
図3に示すように、検知手段7(M)は、第1位置P1に配置され、検知手段7(S)は、第2位置P2に配置され、検知手段7(L)は、第3位置P3に配置される。第1位置P1は、第2位置P2を基準に前側(Y軸方向で矢印の指す側)にシフトした位置で、第3位置P3は、第2位置P2を基準に後側にシフトした位置である。
【0043】
このように、検知手段7がシフト配置される場合、マーカ6(M)は、検知手段7(M)のシフト量(P1とP2の差分)に対応して前側にシフト配置され、マーカ6(L)は、検知手段7(L)のシフト量(P2とP3の差分)に対応して後側にシフト配置される。
【0044】
(運搬手段)
図1、
図5を参照して自動倉庫システム100のその他の構成を説明する。台車搭載部86は、搬送手段4が走行するための2つのレール87を有する。レール87は、延伸方向(前後方向)に直交する断面が、搬送手段4の車輪44が通過可能な空間を囲む角張ったC字状を有する。
【0045】
図1に示すように、運搬手段81は、運搬路82を左右方向に走行して、空荷または荷1を搭載した状態の搬送手段4を運搬できる。運搬手段81は、側部に設けた集電ユニット85を介して給電部83から電力を受け取り、受け取った電力をモータ(不図示)に供給し、モータによって両側部に設けられた複数(例えば4個)の車輪84を回転させることができる。運搬手段81は、受け取った電力によって、搬送手段4のバッテリを充電可能に構成される。
【0046】
運搬路82は、運搬手段81が走行するための第2走行路(例えば、第2レール)であって、収容列3の入口部35に沿って左右方向に延在する。給電部83は、運搬路82に沿って左右方向に延在し、運搬手段81に電力を供給できる。
【0047】
図1に示すように、運搬路82の端部近傍に入出庫部88が配置される。入庫する際、外部からの荷1は入出庫部88に搬入され、搬入された荷1は、搬送手段4および運搬手段81によって目的の収容部2に移送されて収容される。出庫する際、目的の収容部2に収容されていた荷1は、搬送手段4および運搬手段81によって入出庫部88に移送され、移送された荷1は、外部に搬出される。
【0048】
制御部80は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、ユーザからの操作に基づき、入庫、出庫、搬出、移送等のために荷1の移動を制御する。一例として、制御部80は、所定の収容部2と入出庫部88との間で荷1を移送するように搬送手段4および運搬手段81を制御する。
【0049】
本実施形態の動作の一例を説明する。ここでは、入出庫部88に搬入された荷1(M)を収容列3-Bに収容する例を説明する。実施形態では、荷1は、基端部34側の収容部2から入口部35側の収容部2までこの順で収容される。制御部80は、荷1が収容されている収容部2と、荷1が収容されていない収容部2とを記憶しており、この動作例では、荷1が収容されていない収容部2のうち最も基端部34に近い第3収容部2(3)に荷1(M)を収容するように、搬送手段4を制御する。
【0050】
(1)動作が開始されると、制御部80は、空荷の搬送手段4を搭載して入出庫部88の側部に移動するように運搬手段81を制御する。
(2)次に、制御部80は、入出庫部88に移動して荷1(M)を保持するように搬送手段4を制御する。
【0051】
(3)次に、制御部80は、荷1(M)を保持した状態で運搬手段81に移動するように搬送手段4を制御する。
(4)次に、制御部80は、搬送手段4を搭載した状態で収容列3-Bの入口部35の前に移動するように運搬手段81を制御する。
【0052】
(5)次に、制御部80は、荷1(M)を保持した状態で収容列3-Bの第3収容部2(3)に移動するように搬送手段4を制御する。このとき、制御部80は、搬送手段4が収容列3-Bを移動している間に、検知手段7がマーカ6(M)を検知した回数をカウントし、目的の収容部2に対応するマーカ6(M)が検知されたら、その位置に搬送手段4を停止させる。
【0053】
(6)次に、制御部80は、載置台部42を下げ、荷1(M)を収容列3-Bに降ろすように搬送手段4を制御する。この動作により、荷1(M)は目的の第3収容部2(3)に収容される。
(7)次に、制御部80は、載置台部42を下げた状態で運搬手段81に移動するように搬送手段4を制御する。以上が動作の一例の説明である。この動作は各種の変形が可能である。
【0054】
このように、実施形態では、搬送手段4が収容列3を移動する間に、検知手段7がマーカ6を検知した回数をカウントし、目的の収容部2に対応するマーカ6を検知した位置で収容列3を停止させることができる。この停止位置に入庫対象の荷1を収容でき、この停止位置で出庫対象の荷1をピックアップできる。
【0055】
倉庫ユニット10の特徴を説明する。冷凍倉庫用の倉庫ユニット10は、荷1を冷凍保管可能な収容部2を第1方向に複数配列してなる収容列3と、収容列3に沿って設けられ、搬送手段4によって荷1を搬送するための搬送路5と、搬送路5に沿って所定間隔で配置され、搬送手段4に設けられた検知手段7によって検知可能な複数のマーカ6と、を備える。
【0056】
この構成によれば、マーカ6と検知手段7との間の距離が短いため、前方に置かれた荷までの距離の計測結果に基づいて搬送車を制御する場合よりも霜の影響が小さく、冷凍空間でも搬送手段4の停止位置の精度を維持し、荷1の収容位置の精度を向上できる。
【0057】
一例として、複数のマーカ6は磁性体62を含み、検知手段7は、磁性体62の磁性を検出した結果に基づいてマーカ6を検知する。この場合、霜の影響を殆ど受けない。
【0058】
一例として、複数のマーカ6は突起であり、検知手段7は、当該突起を検出した結果に基づいてマーカ6の位置を検知してもよい。この場合、霜の影響を殆ど受けない。
【0059】
一例として、搬送路5には、第1方向に延びる2つの延伸部材52が左右に離隔して配置され、複数のマーカ6は、延伸部材52に設けられる。この場合、マーカ専用の取付部材を使用する場合と比較して、取付部材のコストとスペースを節約できる。
【0060】
一例として、複数のマーカ6は、2つの延伸部材52の互いに対向する側面に設けられる。この場合、延伸部材52の対向面とは反対側にマーカ6が設けられる場合と比較して、延伸部材52が障害とならず、搬送手段4からマーカ6を検知しやすい。
【0061】
一例として、延伸部材52は、延伸方向に直交する断面が、搬送手段4の車輪44が通過可能な空間を囲む角張ったC字状を有し、複数のマーカ6は、延伸部材52の車輪44の側面と対向する領域に配置される。この場合、この領域は広いため、マーカ6を容易に取付できる。
【0062】
一例として、複数のマーカ6は、2つの延伸部材52に互い違いに配置される。この場合、複数のマーカ6を近接して配置する場合と比較して、マーカ6を分散して配置でき、誤検知や検知精度低下の可能性が小さくなる。
【0063】
一例として、複数のマーカ6は、互いに異なる複数の高さに配置される。この場合、複数のマーカ6が高さ方向に離れるため、誤検知や検知精度低下の可能性が小さくなる。
【0064】
自動倉庫システム100の特徴を説明する。冷凍倉庫用の自動倉庫システム100は、荷1を冷凍保管可能な収容部2を第1方向に複数配列してなる収容列3と、収容列3に沿って設けられた搬送路5と、搬送路5を移動することにより荷1を搬送可能な搬送手段4と、搬送路5に沿って所定の間隔で配置された複数のマーカ6と、を備える。搬送手段4は、マーカ6を検知可能な検知手段7を有する。
【0065】
この構成によれば、マーカ6と検知手段7との間の距離が短いため、前方に置かれた荷までの距離の計測結果に基づいて搬送車を制御する場合よりも霜の影響が小さく、冷凍空間でも搬送手段4の停止位置の精度を維持し、荷1の収容位置の精度を向上できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0067】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0068】
実施形態の説明では、複数のマーカ6と検知手段7とは左右方向に対向する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数のマーカ6の一部または全部を収容部2の下側(上側横延在部53の下面)に設けることができる。この場合、検知手段7は、搬送手段4において収容部2の下側のマーカ6と上下方向に対向する位置に配置できる。
【0069】
実施形態の説明では、運搬手段81および運搬路82を備える例を示したが、本発明はこれに限定されない。運搬手段81および運搬路82を備えることは必須ではない。例えば、各収容列3の入口部35において、外部から入庫する荷1を搬送手段4に直接的に置いてもよいし、外部に出庫する荷1を搬送手段4から直接的に取り出してもよい。
【0070】
実施形態の説明では、自動倉庫システム100は、3種類の荷寸法の荷1を収容する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、自動倉庫システムは、2種類または4種類以上の荷寸法の荷を収容するものであってもよい。
【0071】
例えば、検知手段7(M)、検知手段7(S)および検知手段7(L)は、前後方向において互いに同じ位置に配置されてもよい。
【0072】
例えば、搬送手段4は、複数の収容列3の各列に設けられてもよい。例えば、運搬手段81は、複数段の棚部33の各段に設けられてもよい。例えば、各段の棚部33の間で荷1を移送可能な移送手段が設けられてもよい。
【0073】
例えば、搬送手段4の側部にマーカ6の表面の霜を減らすための掃除部材が設けられてもよい。当該掃除部材としては、ブラシ等の刷毛、ヘラ等が挙げられる。
【0074】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0075】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0076】
1 荷、 2 収容部、 3 収容列、 4 搬送手段、 5 搬送路、 6 マーカ、 7 検知手段、 10 倉庫ユニット、 44 車輪、 52 延伸部材、 62 磁性体、 100 自動倉庫システム。