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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143235
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】太陽光発電システムの監視システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20230928BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050503
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】番家 翔人
(72)【発明者】
【氏名】西山 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】奈須野 善之
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
5G064
【Fターム(参考)】
5F151KA08
5F251KA08
5G064AC08
5G064BA09
5G064CB08
5G064DA01
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムのメンテナンス業務を容易化することが可能な太陽光発電システムの監視システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電システムの異常を検出する異常検出部と、検出した異常の内容を判別する異常判別部と、異常の内容に応じて重要度を判定する重要度判定部と、異常の内容及び重要度に応じてメンテナンスに関する情報を通知する通知部と、を有する構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電システムの異常を検出する異常検出部と、検出した前記異常の内容を判別する異常判別部と、前記異常の内容に応じて重要度を判定する重要度判定部と、前記異常の内容及び前記重要度に応じてメンテナンスに関する情報を通知する通知部と、を有することを特徴とする太陽光発電システムの監視システム。
【請求項2】
前記異常が重大事故に発展する可能性が低い場合の重要度を重要度Aとし、重大事故に発展する可能性がより高く、前記太陽光発電システムの設置場所に人を派遣する必要がある重要度を重要度Bとしたとき、
前記重要度判定部は、検出した前記異常が前記重要度Aと前記重要度Bのいずれかに該当するのか否かを判定する、請求項1に記載の太陽光発電システムの監視システム。
【請求項3】
前記太陽光発電システムは、太陽光発電装置とパワーコンディショナーを備え、
遮断器をさらに有し、
重要度Bよりもさらに重要度が高い場合の重要度を重要度Cとしたとき、
前記重要度判定部は、検出した前記異常が前記重要度Cに該当するのか否かを判定し、前記異常が前記重要度Cに該当すると判定した場合には、前記太陽光発電装置と前記パワーコンディショナー間の直流回路を前記遮断器によって遮断する、請求項2に記載の太陽光発電システムの監視システム。
【請求項4】
前記異常が前記重要度Bに該当すると判定した場合、又は、前記異常が前記重要度Cに該当すると判定した場合には、前記太陽光発電システムの保守事業者が用いる機器に対して信号を送信し、当該機器において前記太陽光発電システムの設置場所に人を派遣することを促す動作を実行する、請求項3に記載の太陽光発電システムの監視システム。
【請求項5】
前記メンテナンスに関する情報は、前記異常が発生した前記太陽光発電システムの設置場所に関する情報、前記異常が発生したストリングの位置に関する情報、故障が予測される機器に関する情報、故障が予測される機器のトレーサビリティに関する情報、故障が予測される機器の故障履歴に関する情報、前記太陽光発電システムに属する機器の代替部材の在庫に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンス方法に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンスに必要な計測機器に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンス費用に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンススケジュールに関する情報の一以上を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽光発電システムの監視システム。
【請求項6】
データベースをさらに備え、
前記太陽光発電システムを構成する機器に関する情報、前記太陽光発電システムの設置時期に関する情報、前記太陽光発電システムの設置場所に関する情報、前記異常に関する情報、前記重要度に関する情報の少なくとも一つ以上が前記データベースに記録され、
前記異常が前記重要度Bに該当すると判定した場合、又は、前記異常が前記重要度Cに該当すると判定した場合には、前記データベースに記録された情報に基づいて、前記異常が検出された前記太陽光発電システムと類似する他の太陽光発電システムの有無を判別し、類似する他の太陽光発電システムの有無を特定する情報、及び/又は、類似する他の太陽光発電システムに関する情報を通知する動作を実行する、請求項3又は4に記載の太陽光発電システムの監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムを監視する太陽光発電システムの監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムは、電力会社のみならず、一般需要者にも広く普及している。一般需要者であるユーザは、自宅の敷地内や屋根上に太陽電池パネルを設置し、パワーコンディショナーや発電状況を表示するモニタ、蓄電池等の必要な構成機器と共に太陽光発電システムを構築する。そして、太陽光発電システムで発電される電力で自宅の電気機器を稼働させたり、太陽光発電システムで発電される電力を電力会社に販売したりする。
【0003】
このような太陽光発電システムを運用する際、太陽光発電システムに何等かの異常(故障等)が発生することがある。このような異常に対応する技術として、特許文献1に開示された太陽光発電システムの電力制御装置が知られている。
特許文献1には、太陽光発電システムのエラーを検出するエラー検出手段と、異常判定手段と、不揮発記憶手段と、起動/停止判定手段とを有する太陽光発電システムの電力制御装置(以下、単に電力制御装置とも称す)が開示されている。
この電力制御装置では、エラー検出手段が太陽電池アレイと系統連系インバータの各部のエラー状態を検出した場合、異常判定手段が異常か否かを判断し、異常と判断した場合には、検出されたエラーに応じた運転停止動作を行う。詳細には、ゲートブロックのみ行う動作と、ゲートブロックと遮断動作の双方を行う動作のいずれかを行う。
【0004】
この電力制御装置では、異常と判断した場合に異常情報を揮発記憶手段に記憶させている。このことから、制御手段への電力の供給がなくなっても異常情報を保持できるので、制御手段に再び給電された際に不揮発記憶手段の記憶内容を読み出すことにより、異常があったか否かが分かる。したがって、一旦異常を検出すると、異常を調べるための再運転をすることなく停止状態を維持できる。
【0005】
また、特許文献1には、表示手段や警報手段のような警告手段を設け、異常検出有りと判断した場合に、警告手段を動作させてもよいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-289102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、太陽光発電システムで発生する異常(故障)には、火災等に繋がる危険性の高い重大な異常であり、即座に対応すべき緊急性の高い異常がある。その一方で、保守作業員が駆けつけて確認する必要があるものの、即座に駆け付ける必要はなく、例えば数日以内に対応すれば問題がないことが予測される異常もある。さらに、次の定期メンテナンスまで放置していても問題がないことが予測される緊急性が非常に低い異常もある。
したがって、メンテナンス業者は、太陽光発電システムに対して適切な時期に保守作業員を現場に向かわせ、発生した異常に対応させる必要がある。しかしながら、メンテナンス業者が多数の太陽光発電システムのメンテナンスを請け負っており、複数の太陽光発電システムで異常が発生した場合等、保守作業員を適切に差配することが困難となる場合があった。すなわち、メンテナンス業者が発生した異常の重要度(重大さ)に応じてそれぞれ適切に対応することが困難となる場合があった。
【0008】
また、太陽光発電システムで発生する異常には様々なものがあり、発生した異常によってそれぞれ対応が異なる。例えば、発生した異常によっては、太陽電池モジュールやケーブル等を交換する場合や、保護部材を追加で取り付ける場合や、特定部分の清掃を行う場合等がある。また、このような対応(作業)と前後して、インピーダンス測定、IR測定等の様々な測定を必要に応じて行うこともある。保守作業員は、予め現場(太陽光発電システムの設置場所)で行う作業を把握し、作業のために適切な準備をしておくことが業務を効率化する上で好ましい。しかしながら、異常への対応業務(メンテナンス業務)は、上記したように発生した異常に応じて様々であり、そのすべてを保守作業員が正確に把握することは困難であった。
すなわち、太陽光発電システムで発生する様々な異常に対し、発生した異常の重要度と内容に応じて適切且つ効率よく対応することは非常に困難であった。このことから、太陽光発電システムの保守、管理、修理等のメンテナンス業務を支援し、メンテナンス業務を容易化するシステムが望まれていた。
【0009】
そこで本発明は、太陽光発電システムのメンテナンス業務を容易化することが可能な太陽光発電システムの監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、太陽光発電システムの異常を検出する異常検出部と、検出した前記異常の内容を判別する異常判別部と、前記異常の内容に応じて重要度を判定する重要度判定部と、前記異常の内容及び前記重要度に応じてメンテナンスに関する情報を通知する通知部と、を有することを特徴とする太陽光発電システムの監視システムである。
【0011】
本様相の太陽光発電システムの監視システムでは、異常の内容及び重要度に応じてメンテナンスに関する情報を通知する。このことから、メンテナンス業者等は、太陽光発電システムに発生した異常の重要度、並びに、発生した異常に対して行うメンテナンス作業の内容を容易に把握できる。
【0012】
上記した様相は、前記異常が重大事故に発展する可能性が低い場合の重要度を重要度Aとし、重大事故に発展する可能性がより高く、前記太陽光発電システムの設置場所に人を派遣する必要がある重要度を重要度Bとしたとき、前記重要度判定部は、検出した前記異常が前記重要度Aと前記重要度Bのいずれかに該当するのか否かを判定する、ことが好ましい。
【0013】
係る様相によると、発生した異常が太陽光発電システムの設置場所に人を派遣する必要かある異常であるか否かを容易に判別できる。
【0014】
上記した好ましい様相は、前記太陽光発電システムは、太陽光発電装置とパワーコンディショナーを備え、遮断器をさらに有し、重要度Bよりもさらに重要度が高い場合の重要度を重要度Cとしたとき、前記重要度判定部は、検出した前記異常が前記重要度Cに該当するのか否かを判定し、前記異常が前記重要度Cに該当すると判定した場合には、前記太陽光発電装置と前記パワーコンディショナー間の直流回路を前記遮断器によって遮断する、ことがより好ましい。
【0015】
係る様相によると、太陽光発電システムで対応の緊急性が極めて高い異常を検出したとき、太陽光発電システムの設置場所に人が駆け付けるまでの間の被害の拡大を抑制できる。
【0016】
上記したより好ましい様相は、前記異常が前記重要度Bに該当すると判定した場合、又は、前記異常が前記重要度Cに該当すると判定した場合には、前記太陽光発電システムの保守事業者が用いる機器に対して信号を送信し、当該機器において前記太陽光発電システムの設置場所に人を派遣することを促す動作を実行する、ことがさらに好ましい。
【0017】
係る様相では、太陽光発電システムの設置場所に適切に保守作業員を派遣することが可能となる。
【0018】
上記した様相は、前記メンテナンスに関する情報は、前記異常が発生した前記太陽光発電システムの設置場所に関する情報、前記異常が発生したストリングの位置に関する情報、故障が予測される機器に関する情報、故障が予測される機器のトレーサビリティに関する情報、故障が予測される機器の故障履歴に関する情報、前記太陽光発電システムに属する機器の代替部材の在庫に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンス方法に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンスに必要な計測機器に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンス費用に関する情報、前記太陽光発電システムのメンテナンススケジュールに関する情報の一以上を含む、ことが好ましい。
【0019】
係る様相によると、現場で作業を行う作業者に対し、より実用性の高いメンテナンス作業のための情報を伝達できる。
【0020】
上記したより好ましい様相は、データベースをさらに備え、前記太陽光発電システムを構成する機器に関する情報、前記太陽光発電システムの設置時期に関する情報、前記太陽光発電システムの設置場所に関する情報、前記異常に関する情報、前記重要度に関する情報の少なくとも一つ以上が前記データベースに記録され、前記異常が前記重要度Bに該当すると判定した場合、又は、前記異常が前記重要度Cに該当すると判定した場合には、前記データベースに記録された情報に基づいて、前記異常が検出された前記太陽光発電システムと類似する他の太陽光発電システムの有無を判別し、類似する他の太陽光発電システムの有無を特定する情報、及び/又は、類似する他の太陽光発電システムに関する情報を通知する動作を実行する、ことが好ましい。
【0021】
係る様相によると、異常が検出された前記太陽光発電システムと類似する他の太陽光発電システムで生じることが予測される異常の発生を未然に防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、太陽光発電システムのメンテナンス業務を容易化することが可能な太陽光発電システムの監視システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る監視システム、外部端末装置、太陽光発電システムを模式的に示す説明図である。
図2図1の太陽光発電システムを模式的に示す説明図である。
図3図1の監視システムが実行するメンテナンス支援動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る監視システム1(太陽光発電システムの監視システム)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
本実施形態の監視システム1は、図1で示されるように、監視システム本体として機能するサーバ2を有しており、運用時における太陽光発電システム3の状態を監視する。この監視システム1は、太陽光発電システム3及び外部端末装置である保守業者用端末4と共に使用されるものである。すなわち、サーバ2と、太陽光発電システム3の制御装置27(詳しくは後述する)と、外部端末装置とがネットワーク8を介して互いに通信可能となるように接続されている。
【0026】
なお、本実施形態では、ネットワーク8をインターネットとし、それぞれが互いに信号の送受信が可能となるように接続されている。このように、ネットワーク8をインターネット等の外部ネットワーク(広域ネットワーク)とする場合、外部ネットワークは、当然のことながら各機器の間に中継局(中継点)が介在する場合も含む。なお、ネットワーク8は、LAN(Local Area Network)等の内部ネットワーク(局所ネットワーク)とすることも考えられる。すなわち、それぞれが互いに信号を送受信可能な状態で接続されていればよい。
【0027】
サーバ2は、一般的なサーバやPC等と同様の構成を含む。すなわち、サーバ2は、CPUと、主記憶部及び補助記憶部を含む記憶部と、通信部と、各部を接続するバスを備えている。
主記憶部は、揮発性メモリであり、CPUの作業領域として使用される。
補助記憶部は、不揮発性メモリを有し、ROM、ストレージとして機能されている。また、各種機能を実現するためのプログラムと、各種データ、データベース等が記憶されている。
通信部は、外部の各機器との信号(情報)の授受を行うためのデバイスである。
なお、このサーバ2は、使用者からの情報の入力を受け付けるキーボード、マウス(ポインティングデバイス)等の情報入力手段や、モニタ等の情報表示手段が接続されていてもよい。
【0028】
サーバ2は、CPUが補助記憶部に記憶されたプログラムを主記憶部に読み込んで実行することで、図1で示されるように、異常検出部13、異常判別部14、重要度判定部15、通知部16として機能する。
【0029】
太陽光発電システム3は、図2で示されるように、一般住宅向けのものである。すなわち、太陽電池モジュール20(太陽光発電装置)と、取付用部材21と、接続箱22と、パワーコンディショナー23と、分電盤24と、電力量計25と、蓄電池26と、モニター(図示しない)とを構成機器として含んでいる。さらに、本実施形態の太陽光発電システム3は、制御装置27(図2では図示しない、図1参照)を有している。
【0030】
太陽電池モジュール20は、太陽電池パネルに付属部材を取り付けて形成したものである。太陽電池パネルは、電気的に接続された複数の太陽電池セル(太陽電池素子)を含んで形成される板状の部材であり、付属部材は、フレーム部材、端子箱、緩衝部材、端子箱に接続される電力取り出し用の出力用ケーブル等である。なお、当然のことながら、太陽電池モジュール20は、上記の全ての付属部材を有する構成に限らず、例えば、フレーム部材を含まない所謂フレームレスのものでもよい。
【0031】
取付用部材21は、太陽電池モジュール20を設置場所に取り付けるための金属製の構造物であり、具体的には、架台や固定用金具等である。
【0032】
接続箱22は、複数の太陽電池モジュール20による発電電力を1系統に集約して出力する機器である。
詳細に説明すると、太陽光発電システム3では、1又は複数の太陽電池モジュール20を1ブロック(ストリング)として、複数のブロックのそれぞれから1組の配線を伸ばしている(詳細な図示を省略する)。そして、接続箱22を有する太陽光発電システム3では、各ブロックから出ている配線を接続箱22内で1組にまとめ、パワーコンディショナー23に接続する。すなわち、複数のブロックを電気的に並列に接続して集電し、パワーコンディショナー23に接続する。
【0033】
ここで、本実施形態では、接続箱22の内部に、太陽電池モジュール20に電流が流れ込むのを防止する逆流防止ダイオード(図示しない)を有する。さらに、接続箱22の内部には、切替手段35(遮断器)が設けられている。
【0034】
切替手段35は、例えば、リレーであり、外部からの信号に応じてオン、オフが切り替わることで、電路の接続と遮断を行う機器である。
詳細に説明すると、太陽電池モジュール20からパワーコンディショナー23に至るまでの間には、直流電流が流れる直流回路36が形成されている。つまり、この直流回路36は、切替手段35を有する回路となっている。そして、切替手段35のオン、オフが切り替わることで、太陽電池モジュール20側からパワーコンディショナー23側に直流電流が流れる状態と、直流電流が流れない状態とが切り替わる。言い換えると、太陽電池モジュール20側とパワーコンディショナー23側が電気的に接続された状態(以下、接続状態とも称す)と、電気的に切り離された状態(以下、遮断状態とも称す)が切り替わる。
【0035】
また、本実施形態では、接続箱22の内部に検出器37が設けられている。この検出器37は、接続箱22に入力される入力電流及び入力電圧を検出(測定)する機器である。
【0036】
パワーコンディショナー23は、太陽電池モジュール20側(接続箱22側)から入力された直流電力を交流電力に変換する機器である。すなわち、太陽電池モジュール20が発電した電力を商用電力系統に連系させて使用するために、周波数や電圧を商用電力系統に適合するように交流電力に変換する。
すなわち、パワーコンディショナー23は、直流電流を交流電流に変換するインバータ装置と、インバータ装置が変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機を備えている。
【0037】
分電盤24は、商用電力系統からの交流電力(商用電力)と、パワーコンディショナー23から供給される発電電力をそれぞれの電力負荷40(例えば、エアコン、電灯等)に分配する装置である。本実施形態の分電盤24は、漏電遮断器(図示しない)等の安全装置を備えている。
【0038】
電力量計25は、買電用メーターと売電用メーターを含んで構成される計測装置である。すなわち、商用電力系統から分電盤24へ向けて供給される買電力量、商用電力系統へ向けて供給される売電力量、太陽電池モジュール20で発電された発電電力量を計測可能である。また、本実施形態の電力量計25は、蓄電池26から放電される放電電力量、蓄電池26に充電される充電電力量も計測可能としている。
【0039】
蓄電池26は、商用電力系統からの電力や、太陽電池モジュール20で発電した電力を適宜充放電するものであり、例えば、リチウムイオン電池によって構成される。
【0040】
制御装置27は、一般的な制御基板と同様にCPUと、主記憶部及び補助記憶部を含む記憶部と、通信部を備えている。CPU、記憶部、通信部の詳細な説明は、上記と同様であるので省略する。また、補助記憶部には、各種機能を実現するためのプログラムと、各種データが記憶されている。
【0041】
この太陽光発電システム3では、複数の太陽電池モジュール20が行列状に並べられて配置され、光起電力効果によって発電を行う太陽光発電装置(太陽光発電部)を形成している。なお、それぞれの太陽電池モジュール20は、取付用部材21(固定用金具)を介して屋根上に取り付けられている。そして、太陽光発電装置で発電された発電電力は、パワーコンディショナー23及び分電盤24を経由して電力負荷40に供給される。また、電力負荷40への電力供給に余裕がある場合は、発電電力を蓄電池26に充電し、さらに余裕がある場合には、発電電力を電力会社に売電する。また、電力負荷40が太陽光発電部での発電電力より大きい場合、蓄電池26からの放電を行う。これにより、余剰な発電電力で電力単価の高い昼間の電力供給を補うことができるので、電力会社からの買電量の抑制が可能となる。また、買電量と売電量は、電力量計25によって計測される。そして、屋内のモニタには、各機器の電力使用量、電力自給率、所定の日時における発電状況や消費電力等が表示される。
【0042】
保守業者用端末4は、太陽光発電システム3をメンテナンスするメンテナンス業者の従業員等、メンテナンス業者に属する人(保守事業者)が使用する機器である。保守業者用端末4は、例えば、メンテナンス業者の社内に置かれたデスクトップPCや、メンテナンス業者の作業員(保守作業員)が携帯する携帯端末である。
【0043】
すなわち、保守業者用端末4は、情報表示手段と情報入力手段を有するコンピュータ(情報処理装置)であり、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートフォン等を採用することができる。なお、情報表示手段は、ディスプレイ、モニタといった表示画面(表示装置)であり、情報入力手段は、キーボード、マウス(ポインティングデバイス)、タッチパッド等の位置入力装置である。また、当然のことながら、タッチパネル等のように、情報表示手段と情報入力手段は一体であってもよい。
【0044】
保守業者用端末4には、予めアプリケーション(ソフトウェア)がインストールされる。また、監視システム1が後述する各種通知動作を実行するとき、サーバ2から送信されたデータをこれらの外部端末装置が受信し、情報表示手段に所定の画面が表示される。なお、これらの外部端末装置は、スピーカ等の音声出力装置を有するものでもよい。この場合、各種動作に伴って適宜のタイミングで音声を出力してもよい。
【0045】
ここで、上記したように、サーバ2の補助記憶部には、データベースが記憶されている。このデータベースは、監視システム1の監視(制御)の対象となる複数の太陽光発電システム3の構成機器に関する情報を含む様々な情報を構造化したものである。したがって、サーバ2がデータベースを参照することで、データベースに記録された様々な情報を取得できる。
【0046】
具体的に説明すると、データベースを参照することで取得できる情報には、下記(1)~(5)の情報が含まれる。すなわち、それぞれの太陽光発電システム3毎に下記の情報が関連付けられて記録されている。
(1)太陽光発電システムの構成機器に関する情報
(2)太陽光発電システムの設置時期に関する情報
(3)太陽光発電システムの設置場所に関する情報
(4)太陽光発電システムで検出された異常に関する情報
(5)太陽光発電システムのメンテナンスに関する情報
【0047】
「太陽光発電システムの構成機器に関する情報」は、太陽光発電システム3を構成する機器(太陽光発電システム3に属する機器)に関する情報であり、上記した太陽電池モジュール20、取付用部材21、・・・等に関する情報である。
例を挙げると、太陽電池モジュール20に関する情報であれば、太陽電池モジュール20の「メーカ名」、「型番」、「最大出力」を示す情報といった具合である。
「メーカ名」は、太陽電池モジュール20の製造メーカを示す情報である。
「型番」は、製品の型ごとに付けられる番号を示す情報である。
「最大出力」は、太陽電池モジュール20の最大出力を示す情報である。
「設置数」は、対応する太陽光発電システム3に設置された数を示す情報である。
なお、上記した「メーカ名」と「型番」によって太陽電池モジュール20を一意に特定できる。つまり、データベースには、太陽光発電システム3に採用された太陽電池モジュール20を特定可能な情報が記録されている。
【0048】
また、上記した太陽電池モジュール20とは異なる他の構成機器についても同様に、それぞれの構成機器に関する詳細な情報が記録されている。すなわち、それぞれの構成機器を特定する情報、それぞれの構成機器の性能に関する情報(仕様に関する情報)が記録されている。
【0049】
さらに、本実施形態では、太陽光発電システム3の構成機器に関する情報として、それぞれの構成機器のトレーサビリティに関する情報が記録されている。トレーサビリティに関する情報は、生産、流通の履歴に関する情報であり、生産工程、製造工程を示す情報である。例えば、所定の太陽光発電システム3に採用された太陽電池モジュール20の販売元を示す情報、製造した工場を示す情報、製造責任者を示す情報、工場出荷日を示す情報、搬送した業者を示す情報が含まれる。また、このトレーサビリティに関する情報には、上記した製造メーカを示す情報が含まれていてもよく、太陽光発電システム3を設置(構築)した業者を示す情報が含まれていてもよい。
【0050】
「太陽光発電システムの設置時期に関する情報」は、例えば、太陽光発電システム3を構築した工事の施工完了日を示す情報である。本実施形態では、この他、太陽光発電システム3の稼働開始日を示す情報を「太陽光発電システムの設置時期に関する情報」として記録している。
【0051】
「太陽光発電システムの設置場所に関する情報」は、太陽光発電システム3の設置場所の所在地を示す情報が含まれる。
また、本実施形態では、「太陽光発電システムの設置場所に関する情報」として、設置場所の年間日射量に関する情報、設置場所の周辺環境に関する情報が記録されている。
「設置場所の周辺環境に関する情報」は、太陽光発電システム3の「設置場所」がどのような地域であるかを示す情報である。
詳細には、本実施形態では、「設置場所」が交通量の多い道路の傍、黄砂の多い地域、火山灰が降る地域等、太陽電池モジュール20の表面が汚れやすい地域である場合、「設置場所」が汚れ懸念地域であるとしている。また、「設置場所」を基準とした所定範囲内(例えば3km圏内)に海がある場合(海の傍である場合)、「設置場所」が塩害懸念地域であるとしている。また、上記のいずれでもない場合、「設置場所」が標準地域であるとしている。つまり、「設置場所の周辺環境に関する情報」として、太陽光発電システム3の「設置場所」が予め区分された複数の地域のいずれに該当するのかを示す情報が記録されている。
【0052】
「太陽光発電システムで検出された異常に関する情報」は、後述する異常診断動作で検出された異常に関する情報である。すなわち、発生した異常の内容を示す情報、発生した異常の重要度を示す情報である。
【0053】
なお、発生した異常の内容を示す情報には、太陽光発電システム3の異常の発生場所を示す情報(故障位置を示す情報)が含まれる。この異常の発生場所を示す情報は、異常が発生した構成機器を示す情報である。なお、本実施形態では、構成機器の所定部位で異常が発生したことが特定された場合、異常が発生した構成機器を示す情報と、異常が発生した構成機器の部位(位置)を示す情報を、異常の発生場所を示す情報して記録している。
例えば、太陽光発電システム3で発生した異常が、一の太陽電池モジュール20における所定の一のストリングが破損していることに起因していると判別されたとする。この場合、異常が発生した構成機器は、一意に特定される一の「太陽電池モジュール」であり、異常が発生した構成機器の部位は、一意に特定される一の「ストリング」となる。つまり、異常の発生場所は、一の「太陽電池モジュール」の一の「ストリング」である。
対して、発生した異常が一意に特定される一の太陽電池モジュール20の故障であることが判別される一方で、この太陽電池モジュール20のいずれの部分が故障したのかを特定しなかった場合、異常の発生場所は、一の「太陽電池モジュール」となる。同様に、いずれの部分が故障したのかを特定できなかった場合も、異常の発生場所は、一の「太陽電池モジュール」となる。
【0054】
この「太陽光発電システムで検出された異常に関する情報」は、異常が検出される毎に記録されていく。つまり、この情報は、それぞれの太陽光発電システム3の故障履歴に関する情報(太陽光発電システム3に属する構成機器の故障履歴に関する情報)でもある。
【0055】
「太陽光発電システムのメンテナンスに関する情報」には、下記(6)~(10)の情報が含まれる。
(6)太陽光発電システムに属する機器の代替部材の在庫に関する情報
(7)太陽光発電システムのメンテナンス方法に関する情報
(8)太陽光発電システムのメンテナンスに必要な器具に関する情報
(9)太陽光発電システムのメンテナンス費用に関する情報
(10)太陽光発電システムのメンテナンススケジュールに関する情報
【0056】
「太陽光発電システムに属する機器の代替部材の在庫に関する情報」は、それぞれの太陽光発電システム3で採用されている構成機器ごとの代替部材の在庫の有無を示す情報、在庫の保管場所を示す情報、在庫数量を示す情報である。
なお、代替部材は、仕様が同じ同製品(例えば、製造メーカ及び型番が同一となる製品)に限らず、置換して使用が可能であれば仕様が異なる他製品であってもよい。
また、在庫とは、メンテナンス業者が倉庫等の保管場所に保管しているものの他、販売業者等の他業者がメンテナンス業者にすぐに提供可能であるものであればよい。すなわち、メンテナンス業者がメンテナンスの際に確実に用意することが可能であればよい。
【0057】
「太陽光発電システムのメンテナンス方法に関する情報」は、太陽光発電システム3で生じ得る異常の種類ごとのメンテナンス方法を示す情報である。
例えば、検出された異常が、「太陽光発電システム3の出力低下であってその低下量が一定以下である」場合、この異常に対応するメンテナンス方法は「各種測定の実施」となる。また、検出された異常が「太陽光発電システム3の出力低下であり、その低下量が一定以上であり、且つ、太陽電池モジュール20での温度上昇がある」場合、この異常に対応するメンテナンス方法は「太陽電池モジュールの交換」となる、といった具合である。
【0058】
「太陽光発電システムのメンテナンスに必要な器具に関する情報」は、上記したメンテナンス方法のそれぞれで使用する器具を示す情報である。例えば、メンテナンス方法がインピーダンス測定であれば、使用する機器(計測機器)は「インピーダンス測定器」である。すなわち、この情報は「太陽光発電システムのメンテナンスに必要な測定機器に関する情報」を含む。この他、太陽電池モジュール20の清掃であれば、使用する機器は、「クリーニングキット」である、といった具合である。
【0059】
「太陽光発電システムのメンテナンス費用に関する情報」は、上記したメンテナンス方法ごとの費用を示す情報である。例えば、「太陽電池モジュールの交換工事」であれば、費用は「〇〇円」といった具合である。この他、「パワーコンディショナーの交換工事」であれば費用は「〇△円」、「IR測定」であれば費用は「△〇円」、「インピーダンス測定」であれば費用は「△△円」といった具合である。
【0060】
「太陽光発電システムのメンテナンススケジュールに関する情報」は、上記したメンテナンスを実際に行う場合のスケジュールに関する情報である。この情報には、例えば、保守作業員(メンテナンス作業者)の予定に関する情報、メンテナンスに必要な期間を示す情報が含まれていてもよい。
したがって、この情報を参照すると、例えば、一の太陽光発電システム3で「太陽電池モジュールの交換工事」を行う場合の最短の工事開始日は「西暦XXXX年MM月DD日」であり、工事の開始から完了までの期間は一日である、といったことが取得できる。
なお、メンテナンス作業をする際の最短の開始日は、保守作業員の予定に関する情報に基づいて取得(算出)する他、データベースに予め記録しておいてもよい。
【0061】
上記したように、データベースには、それぞれの太陽光発電システム3毎に各種情報が関連付けられて(紐づけられて)記録されている。このため、例えば、データベースを参照することで、一意に特定される一つの太陽光発電システム3には、「A社」製の型番が「XXXX」である太陽電池モジュール20が「〇△」枚設置されている。そして、この太陽電池モジュール20は、代替部材の在庫があり、同製品が倉庫に「〇〇」個、代替可能な他製品××が倉庫に「△△」個ある。また、同製品が「〇△」個までであれば、販売業者が即座に納品可能である、といった情報を取得できる。
【0062】
続いて、本実施形態の監視システム1が実行可能な動作について、詳細に説明する。
【0063】
まず、本実施形態の監視システム1は、太陽光発電システム3の制御に関する情報(以下、制御情報とも称す)を取得する制御情報取得動作を実行する。この制御情報取得動作は、適宜実行される動作であり、例えば、所定期間の経過毎に実行される動作である。
制御情報取得動作は、太陽光発電システム3の制御装置27が、自身が属する太陽光発電システム3の制御情報を取得し、サーバ2に送信する動作である。つまり、制御装置27は、プログラムを読み込んで実行することで、監視システム1の制御情報取得装置(制御情報取得部及び制御情報送信部)として機能する。
【0064】
詳細に説明すると、太陽光発電システム3には、上記した検出器37を含む各種センサ等の測定用機器が各部に設けられている。なお、検出器37とは異なる測定用機器は、例えば、赤外線カメラ、サーミスタ(温度検出素子)、太陽光発電装置の発電電流の分析機器である。制御情報は、例えば、太陽光発電装置の発電電圧(発電電力)に関する情報、太陽光発電装置の発電電流に関する情報、太陽光発電装置の表面温度に関する情報であり、これらの1以上を含む情報である。
【0065】
すなわち、制御情報取得動作では、制御装置27は、太陽光発電システム3に設けられた各種センサ等の測定用機器から出力される情報に基づいて制御情報を取得し、取得した制御情報をサーバ2に送信する。
【0066】
本実施形態の監視システムでは、制御情報取得動作が実行されると、取得した制御情報に基づいて異常対応動作を実行する。
【0067】
具体的には、図3で示されるように、取得した制御情報に基づいて異常診断動作を実行する(STEP1)。
異常診断動作は、監視対象となる太陽光発電システム3で異常が発生しているか否かを判別すると共に、異常が発生している場合に異常の内容(異常の種類)及び異常の重要度を特定する動作である。つまり、異常診断動作では、異常検出部13が異常の有無を判別する異常判別動作を実行し、異常判別部14が異常の内容(種類)を特定する異常特定動作を実行し、重要度判定部15が、異常の重要度を特定する重要度特定動作を実行する。
【0068】
具体的に説明とすると、異常診断動作では、上記した複数の測定用機器がそれぞれ取得した値に基づいて異常の有無を判別する。
より詳細には、「アーク放電」、「回路の短絡」、「異常発熱」等の異常の種類ごとに発生条件が満たされたか否かを判別し、それぞれの異常が発生しているか否かを判別している。
例えば、発電電圧、発電電流の変動に基づいてアーク(アーク放電)が生じていることが検知された場合、異常が発生していると判別する。また、発電電圧が所定の電圧値未満であり、且つ、発電電流が所定の電流値を超えていることが検知された場合、太陽光発電装置で回路の短絡が生じている(異常が発生している)と判別する。さらにまた、太陽光発電システム3の所定の部分の温度が所定温度以上であることが検知された場合、異常発熱が発生している(異常が発生している)と判別する。
【0069】
この他、異常の種類としては、「出力低下」がある。すなわち、発電電力が一定以上低下したことが検知された場合、出力低下が発生している(異常が発生している)と判別する。また、異常の種類として「通信エラー」がある。すなわち、所定の構成機器(例えば、電力量計25等)から制御装置27へ送信されるはずの信号が検知できなかった場合、「通信エラー」が発生していると判別される。
対して、いずれの異常も生じていない場合、異常が発生していない正常な状態であると判別される。
以上のことから、異常の発生の有無、並びに、異常が発生している場合の異常の内容(種類)を特定できる。
【0070】
ここで、太陽光発電システム3で生じ得る異常には、火災等の人命に関わる重大事故に発展する可能性が高い重要なものがある。その一方で、しばらく放置しておいても問題が生じる可能性が低い些末なものもある。そこで、異常が発生している場合、発生した異常の重要度(重大度)を判別している。
【0071】
本実施形態の異常診断動作では、生じた異常が些末な異常である場合に重要度Aと判別する。そして、将来的に重大事故に発展する可能性が重要度Aよりも高い場合に重要度Bと判別する。さらに、将来的に重大事故に発展する可能性が重要度Bよりもさらに高い場合、又は、すでに重大事故が発生している可能性が高い場合に重要度Cと判別する。つまり、対応の緊急性が低い順(異常の重要度(重大度)が低い順)に重要度A、重要度B、重要度Cとなっており、発生した異常が重要度Aであるのか否か、重要度Bであるのか否か、重要度Cであるのか否かを判別する。
本実施形態の監視システム1では、太陽光発電システム3の設置場所に人(保守作業員)が駆け付ける必要がない些末な異常である場合には、重要度Aと判別される。その一方で、人が駆け付ける必要がある異常である場合には、その重要度に応じて重要度B、重要度Cと判別される。
【0072】
具体的に説明すると、例えば、アーク放電が発生していることが検出された場合、アーク放電の発生回数と、アーク放電の放電時間に基づいて、重要度の判別を行う。
例えば、所定期間内のアーク放電の発生回数が一定数未満であり、それぞれのアーク放電の総放電時間が一定時間以下である場合、重要度Aであると判別する。すなわち、所定期間おけるアーク放電の発生回数が少数回である場合や、アーク放電の総放電時間が短い場合には、アーク放電が継続的に発生していないため火災発生リスクが低い。このように、火災等の人命に関わる重大事故に発展する可能性が低く、太陽光発電システム3の設置場所に人(保守作業員)を派遣する必要がない異常である場合には、重要度Aであると判別している。
【0073】
対して、下記(α)~(γ)の条件を全て満たす場合、重要度Bと判別している。
(α)所定期間内のアーク放電の発生回数が一定数以上であり所定閾値未満である。
(β)所定期間内のそれぞれのアーク放電の放電時間が規定時間t1未満である。
(γ)所定期間内のそれぞれのアーク放電の総放電時間が規定時間t2未満である。
この場合、上記した重要度Aと判別される場合よりも火災発生リスクは高く、太陽光発電システム3の設置場所に人(保守作業員)を派遣する必要がある。その一方で、即座に重大事故が発生する可能性は低いものと考えられる。このことから、このような場合には、重要度Bであると判別している。
【0074】
対して、下記(δ)~(ζ)の条件のいずれか一以上を満たす場合、重要度Cと判別している。
(δ)所定期間内のアーク放電の発生回数が所定閾値以上である。
(ε)所定期間内のそれぞれのアーク放電の放電時間が規定時間t1以上である。
(ζ)所定期間内のそれぞれのアーク放電の総放電時間が規定時間t2以上である。
この場合、上記した重要度Bと判別される場合よりも火災発生リスクがさらに高く、即座に重大事故が発生する可能性もあり、太陽光発電システム3の設置場所に人(保守作業員)を派遣する必要がある。このことから、このような場合には、重要度Cであると判別している。
【0075】
この他、例えば、「出力低下」が発生している場合、低下量と低下時間に基づいて重要度Aであるのか否か、重要度Bであるのか否かを判別する。
例えば、出力電圧の検出値が基準値X1未満である、又は、出力電流の検出値が基準値X2未満である場合に「出力低下」が発生していると判断する。この際、出力低下している時間が規定時間t3未満である場合には重要度Aと判別し、規定時間t3以上である場合には重要度Bと判別する。
すなわち、「出力低下」が発生したものの発生時間が短い場合には、一時的に日射量が低下した場合のように、太陽光発電システム3の故障とは関係のない要因である可能性が高い。つまり、この場合、火災等の人命に関わる重大事故に発展する可能性が低く、太陽光発電システム3の設置場所に人(保守作業員)を派遣する必要がない異常であるので、重要度Aであると判別する。
対して、「出力低下」の発生が長く続く場合には、太陽電池モジュール20の劣化等、太陽光発電システム3に原因がある可能性がある。このため、上記した重要度Aと判別される場合よりも重大事故に発展する可能性は高く、人を派遣して確認する必要はあるものの、即座に人を派遣しなければならない程の緊急性を要するわけではない。以上のことから、重要度Bであると判別する。
【0076】
この他、例えば、「通信エラー」が発生した場合には、重要度Aと判別する。すなわち、「通信エラー」は、そもそも重大事故に発展する異常ではないため、重要度Aと判別している。
【0077】
さらにこの他、切替手段35(遮断器)の故障が発生している場合、安全性が担保されておらず、火災発生リスクが高く、重大事故が発生する可能性があるので重要度Bと判別する。
【0078】
以上のように、複数種類の異常のそれぞれで重要度の判別基準が異なり、候補となる重要度(候補となる重要度の段階)が異なっている。すなわち、上記したように「アーク放電の発生」であれば、重要度A、重要度B、重要度Cからなる3段階のいずれであるのかが判別され、「出力低下」であれば、重要度A、重要度Bからなる2段階のいずれであるのかが判別される。そして、「通信エラー」であれば、発生したことを条件として重要度Aであると判別される、といった具合である。
つまり、異常の種類に応じて、発生した異常の程度(発生頻度、発生した時間の長さ、検出値の増減の大きさ)で重要度を判別する動作、又は、発生した異常の種類(どのような異常であるのか)によって重要度を判別する動作を実施している。
【0079】
図3に戻って、異常診断動作(STEP1)の結果、異常が発生していないと判別された場合(STEP2でYes)には、そのまま異常対応動作を終了する。また、異常診断動作の結果、異常が発生していると判別された場合であっても、発生した異常が重要度Aであると判別された場合(STEP2でNо、STEP3でYes)には、そのまま異常対応動作を終了する。
【0080】
このように、本実施形態の監視システム1では、太陽光発電システム3で異常が発生しなかった場合に加え、太陽光発電システム3で発生した異常が軽微なものの場合には、メンテナンス業者(保守業者)等にその旨を通知しないものとしている。つまり、太陽光発電システム3で発生した異常に関する情報を保守業者用端末4で表示する等の、異常に関する情報を通知する通知動作を実行しないものとしている。
このような構成によると、メンテナンス業者等が緊急性の低い情報に煩わされることがなく、多数の太陽光発電システム3のメンテナンスを受け持つ上で好ましい。
【0081】
これに対し、異常が発生していると判別され、発生した異常が重要度Bであると判別された場合(STEP2でNо、STEP3でNо、STEP4でYes)には、メンテナンス情報通知動作(STEP5)を実行する。
【0082】
メンテナンス情報通知動作は、太陽光発電システム3のメンテナンスに関する情報、すなわち、太陽光発電システム3で発生した異常への対応に関する情報を通知する動作である。
本実施形態では、メンテナンス情報通知動作として、保守作業員を手配する人が使用する保守業者用端末4に対して通知部16が信号を送信し、この保守業者用端末4で情報を表示する第1情報通知動作が実行される。加えて、実際に設置場所に派遣される保守作業員が使用する保守業者用端末4に対して信号を送信し、この保守業者用端末4で情報を表示する第2情報通知動作が実行される。
【0083】
第1情報通知動作は、サーバ2が保守業者用端末4に対して信号を送信して実行される動作であり、保守業者用端末4に所定の画面を表示させる動作を含む。なお、この動作では、保守業者用端末4の音声出力装置から音声を出力する動作を伴っていてもよい。つまり、情報が通知できればよく、所定の画面の表示、音声出力の少なくとも一つを保守業者用端末4に実行させる動作であってもよい。
【0084】
この第1情報通知動作では、例えば、「設置場所Aに設置されている太陽光発電システム3でアーク放電が発生しています」といったメッセージを表示してもよい。すなわち、太陽光発電システム3を示す(特定する)情報、発生した異常の種類(内容)を示す情報を表示してもよい。太陽光発電システム3を示す情報は、太陽光発電システム3の設置場所に関する情報の他、管理番号、所有者名等に関する情報であってもよい。
さらに、本実施形態では「所定期間(例えば2週間)内に現場に作業員を派遣してください」といったメッセージを表示している。つまり、本実施形態では、メンテナンス情報通知動作と同時に、太陽光発電システム3の設置場所に人を派遣することを促す動作(以下、派遣推奨動作とも称す)を実行する。
【0085】
このとき、メンテナンス業者に所属する各作業員の予定に関する情報を表示してもよい。例えば、A作業員であれば翌日から派遣が可能であり、B作業員であれば3日後から派遣が可能であるといった具合に、発生した異常に対応可能な作業員を把握可能な情報を表示してもよい。すなわち、メンテナンススケジュールに関する情報を表示してもよい。
この他、異常が発生した構成機器に関する情報(故障が予測される機器に関する情報)、この機器のトレーサビリティに関する情報を表示してもよい。
また、異常が発生した太陽光発電システム3の故障履歴に関する情報(異常が発生した太陽光発電システム3に属する各構成機器の故障履歴に関する情報)を表示してもよい。
【0086】
さらに、この他、異常が発生した構成機器の代替部材の在庫に関する情報、発生した異常への対応方法(メンテナンス方法)に関する情報、発生した異常への対応で必要な(メンテナンスに必要な)計測機器に関する情報を表示してもよい。
例えば、所定の太陽光発電システム3で1つの太陽電池モジュール20の1つのストリングが破損したとする。この場合、「設置場所Aに設置されている太陽光発電システムで太陽電池モジュールのストリングが破損しています」というメッセージを表示してもよい。このとき、破損した太陽電池モジュール(構成機器)の位置を示す情報、すなわち、どの場所に取り付けた太陽電池モジュールが破損しているのかを示す情報を表示してもよい。また、この場合、破損したストリングの位置を示す情報、すなわち、構成機器における異常(故障)が発生した位置を示す情報を表示してもよい。
この際、「太陽電池モジュールの交換が必要です」というメッセージを表示してもよい。すなわち、発生した異常に対するメンテナンス方法を示す情報を表示してもよい。また、この際、「交換する際の太陽電池モジュールの代替部品は××に〇〇個保管されています」というメッセージを表示してもよい。「代替部材の在庫に関する情報」を表示してもよい。
この他、発生した異常が異常発熱であり、メンテナンス方法としてIR測定を行うのであれば、「IR測定を行ってください」、「IR測定にはサーモカメラ」が必要ですというメッセージを表示してもよい。すなわち、メンテナンス方法に関する情報の表示と同時に、又は、前後してメンテナンスに必要な計測機器に関する情報を表示してもよい
【0087】
第2情報通知動作は、第1情報通知動作が実行された保守業者用端末4で保守作業員が指定されたことを条件として、指定された保守作業員の保守業者用端末4で実行される動作であってもよい。この他、サーバ2が自動で選択した保守作業員の保守業者用端末4で実行される動作であってもよい。この場合、サーバ2が保守業者用端末4を選択するとき、各作業員の予定に関する情報に基づいて保守業者用端末4を選択してもよい。
【0088】
第2情報通知動作は、サーバ2(通知部16)、又は、他の保守業者用端末4から対象となる保守作業員の保守業者用端末4に対して信号が送信されて実行される動作である。この第2情報通知動作もまた、保守業者用端末4に所定の画面を表示させる動作を含む動作であり、音声出力装置から音声を出力する動作を伴っていてもよい。つまり、情報が通知できればよく、所定の画面の表示、音声出力の少なくとも一つを保守業者用端末4に実行させる動作であってもよい。
【0089】
第2情報通知動作では、太陽光発電システム3の設置場所に関する情報として、現在地から太陽光発電システム3の設置場所までの経路(道順)を示す情報を表示してもよい。
また、上記した第1情報通知動作と同様に、異常が発生した太陽光発電システム3を示す情報、発生した異常の種類(内容)を示す情報、異常の発生場所を示す情報、異常が発生した構成機器に関する情報等を表示してもよい。また、異常が発生した構成機器の代替部材の在庫に関する情報、発生した異常への対応方法に関する情報、発生した異常への対応で必要な計測機器に関する情報を表示してもよい。すなわち、異常が発生した太陽光発電システム3を示す情報の他、上記した各種情報の1以上が通知されればよい。
【0090】
なお、上記した第1情報通知動作、第2情報通知動作は、いずれか一方のみを実行してもよい。
【0091】
図3に戻って、異常が発生していると判別され、発生した異常が重要度Cであると判別された場合(STEP2でNо、STEP3でNо、STEP4でNо)には、遮断動作(STEP9)を実行し、メンテナンス情報通知動作(STEP10)を実行する。
なお、遮断動作、メンテナンス情報通知動作はいずれを先行して実行してもよく、同時に実行してもよい。
【0092】
遮断動作は、切替手段35によって自動で電路を遮断する動作である。すなわち、サーバ2から太陽光発電システム3の制御装置27に信号が送信され、制御装置27が切替手段35のオン、オフを切り替えることで遮断状態に移行する。このことにより、太陽電池モジュール20側からパワーコンディショナー23側に直流電流が流れない状態となる。
すなわち、発生した異常が重要度Cであると判別した場合、発生した異常に起因して重大事故が発生する可能性が高い。このため、重大事故の発生を防止すべく、直流回路36を切り離し、太陽電池モジュール20側からパワーコンディショナー23側に流れない状態とすることが好ましい。
【0093】
なお、重要度Cであると判別された後に実行するメンテナンス情報通知動作(以下、緊急時通知動作とも称する)は、上記した重要度Bであると判別された場合のメンテナンス情報通知動作と同様に各種情報を通知する動作であり、重複する詳細な説明を省略する。
なお、この緊急時通知動作では、派遣推奨動作として「直ちに設置場所Aに向かって下さい」といったメッセージを表示してもよい。すなわち、上記した「所定期間内に作業員を派遣してください」というメッセージに替わって、保守業者用端末4の使用者を太陽光発電システム3の設置場所に向かわせるように促すメッセージを表示してもよい。
なお、緊急時通知動作では、発生した異常の種類(内容)を示す情報を表示する際、重要度Bであると判別された場合のメンテナンス情報通知動作よりも人の目を引くように情報を表示する強調表示動作を実施してもよい。すなわち、背景色をより目立つ色にする、背景を点滅する等の動作を実行しつつ情報を表示してもよい。
また、緊急時通知動作では、人の注意を強く引く音(音声)を出力する動作(注意喚起動作)を実行してもよい。この動作では、アラート音等の人が不快に感じる周波数の音(音声)を出力してもよい。また、音量を規定値以上まで大きくして音声を出力する動作を実行してもよい。
【0094】
本実施形態の監視システム1では、メンテナンス情報通知動作(STEP5、STEP10)を実行した後、異常予測動作(STEP6)を実行している。
異常予測動作は、発生した異常が重要度Bであると判別された場合と、重要度Cであると判別された場合に実行される動作である。この異常予測動作は、メンテナンス情報通知動作の後に実行する構成に限らず、メンテナンス情報通知動作の前に実行してもよい。また、メンテナンス情報通知動作と同時に実行することも考えられる。同様に、重要度Cであると判別された場合、遮断動作と同時又は前後して実行されてもよい。
【0095】
異常予測動作では、異常が発生した太陽光発電システム3とは異なる太陽光発電システム3において、動作の実行時よりも将来に起こり得る異常の発生を予測する動作である。
詳細には、異常予測動作では、異常が発生した太陽光発電システム3(以下、基準発電システムとも称す)と類似する他の太陽光発電システム3の有無を判別する。そして、類似システム判別動作により、基準発電システムに類似する他の太陽光発電システム3が存在すると判別された場合、類似する太陽光発電システム3で基準発電システムと同様の異常が将来発生すると予測する。
すなわち、基準発電システムと類似する太陽光発電システム3では、基準発電システムと同様の異常が発生してしまう可能性が高い。そこで、基準発電システムと類似する太陽光発電システム3の有無を判別し、類似する太陽光発電システム3が有ると判別された場合、この太陽光発電システム3でも基準発電システムと同様の異常が将来発生すると予測する。
【0096】
類似システム判別動作では、基準発電システムとは異なる他の太陽光発電システム3であり、データベースに記録された複数の太陽光発電システムのそれぞれが基準発電システムと類似しているか否かを判別する。
具体的には、下記(a)~(c)の条件を全て満たす場合、対象となる他の太陽光発電システム3が基準発電システムと類似していると判別する。
(a)基準発電システムで異常が発生した構成機器と仕様が同じ同製品が、対象となる太陽光発電システムでも採用されている。
(b)基準発電システムで異常が発生した構成機器の使用を開始してから異常が発生するまでの時間をtAとしたとき、対象となる太陽光発電システムで同製品の使用を開始してから経過した時間がtA以上である。
(c)基準発電システムの設置場所と、対象となる太陽光発電システムの設置場所の周辺環境が同じ又は類似している。
なお、上記した条件(c)では、基準発電システムの設置場所が、上記した汚れ懸念地域であり、且つ、塩害懸念地域ある場合であり、対象となる太陽光発電システム3の設置場所が塩害懸念地域である場合、周辺環境が類似しているとしている。
また、基準発電システムの設置場所が、上記した汚れ懸念地域であり、対象となる太陽光発電システム3の設置場所が、上記した汚れ懸念地域である場合、周辺環境が同じであるとしている。つまり、「設置場所」の区分が完全に同じとなる場合、周辺環境が同じであるとし、「設置場所」の区分が完全に同じではないが一以上の共通地域がある場合、周辺環境が類似しているとしている。
【0097】
以上のように、監視システム1では、予め規定された一又は複数の所定の条件のうち、一部又は全部が満たされているか否かを判別することにより、基準発電システムと対象となる他の太陽光発電システム3が類似しているか否かを判別する。
なお、太陽光発電システム3が基準発電システムと類似しているか否かを判別する条件は、発生した異常の種類や、異常が発生した(故障した)構成機器によって異なる条件としてもよい。
【0098】
類似システム判別動作の結果、1又は複数の類似する太陽光発電システム3が存在とすると判別された場合、つまり、1又は複数の他の太陽光発電システム3で将来異常が発生することが予測された場合(STEP7でYes)に、予測結果通知動作を実行する(STEP8)。
対して、類似する太陽光発電システム3が存在しないと判別された場合、すなわち、他の太陽光発電システムでの将来の異常の発生が予測されなかった場合(STEP7でNо)には、そのまま異常対応動作を終了する。
【0099】
予測結果通知動作は、基準発電システムと類似する他の太陽光発電システム3の有無を特定する情報、類似する他の太陽光発電システム3に関する情報を通知する動作である。
すなわち、上記した通知動作(第1情報通知動作)と同様に、サーバ2が保守業者用端末4に対して信号を送信して実行される動作であり、保守業者用端末4に所定の画面を表示させる動作を含む。なお、保守業者用端末4の音声出力装置から音声を出力する動作を伴っていてもよい。すなわち、情報が通知できればよく、所定の画面の表示、音声出力の少なくとも一つを保守業者用端末4に実行させる動作であってもよい。
【0100】
この予測結果通知動作では、例えば、「異常が発生した太陽光発電システムと類似した太陽光発電システムが見つかりました」といったメッセージを表示してもよい。また、基準発電システムで発生した異常がアーク放電の発生であれば、上記したメッセージの表示と同時に又は前後して「設置場所Bに設置されている太陽光発電システムでのアーク放電の発生にご注意下さい」といったメッセージを表示してもよい。
このように、類似する他の太陽光発電システム3に関する情報として、この太陽光発電システム3の設置場所に関する情報を表示してもよい。この他、類似する他の太陽光発電システム3の構成機器に関する情報、この太陽光発電システム3の使用期間(運用期間)に関する情報、故障が予測される構成機器に関する情報等を表示してもよい。すなわち、上記メッセージに替わって「設置場所Bに設置されている太陽光発電システムでの太陽電池モジュールの故障の発生にご注意下さい」といったメッセージを表示してもよい。
【0101】
上記した実施形態の異常診断動作では、異常の重要度を重要度A、重要度B、重要度Cの三段階で判別したが、本発明はこれに限るものではない。重要度判定部15が実行する判定動作では、複数段階で判定すればよく、例えば、十段階で判定してもよい。すなわち、最も重要度の低い重要度(上記の例では重要度A)と、最も重要度の高い重要度(上記の例では重要度C)の間には、一つの段階(上記の例では重要度B)だけでなく複数段階の重要度が設定されていてもよい。
なお、四段階以上で判定する際には、異常の重要度が一定以下となる段階であるとき、上記した各動作で重要度Aであった場合と同様の動作を実行してもよい。また、異常の重要度が一定以上となる段階であるとき、上記した各動作で重要度Cであった場合と同様の動作を実行してもよい。そして、これらの間のいずれかの段階であるとき、上記した各動作で重要度Bであった場合と同様の動作を実行してもよい。
【0102】
上記した実施形態の監視システム1は、外部端末装置である保守業者用端末4と共に使用するものとした。しかしながら、これに限らず、監視システム1と共に使用する外部端末装置は、保守業者用端末4と、太陽光発電システム3の所有者(管理者)等が利用する管理者用端末の双方であってもよい。この管理者用端末は、太陽光発電システム3の管理者(所有者)が使用する機器であり、保守業者用端末4と同様に、据え置き型のデスクトップPCであってもよく、携帯端末であってもよい。
【0103】
例えば、上記した異常診断動作で発生した異常が重要度B、又は、重要度Cであると判別された後、メンテナンス業者によるメンテナンスの進捗を通知する通知動作を実行してもよい。この動作は、サーバ2又は保守業者用端末4から管理者用端末に対して信号が送信されて実行される動作であり、管理者用端末に所定の画面を表示させる動作を含む動作である。また、他の通知動作と同様に、管理者用端末の音声出力装置から音声を出力する動作を伴っていてもよい。つまり、情報が通知できればよく、所定の画面の表示、音声出力の少なくとも一つを管理者用端末に実行させる動作であってもよい。
この通知動作では、例えば、「お持ちの太陽光発電システムでメンテナンスの必要が生じました」というメッセージを表示してもよい。また、重要度Bと判別された場合には、「YY年MM月DD日に作業員が向かいます」といったメッセージを表示してもよく、重要度Cと判別された場合には、「すでに作業員が向かっています」といったメッセージを表示してもよい。さらにまた、重要度Aと判別された場合には、上記と同様に、太陽光発電システム3の所有者(管理者)等にその旨を通知しないものとしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 監視システム1(太陽光発電システムの監視システム)
3 太陽光発電システム
13 異常検出部
14 異常判別部
15 重要度判定部
20 太陽電池モジュール(太陽光発電装置)
23 パワーコンディショナー
35 切替手段(遮断器)
36 直流回路
図1
図2
図3