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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143238
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230928BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050506
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】輕部 元喜
(72)【発明者】
【氏名】川口 範幸
(72)【発明者】
【氏名】宇於崎 涼介
(72)【発明者】
【氏名】三浦 修平
(72)【発明者】
【氏名】奈須野 善之
(72)【発明者】
【氏名】西山 晴雄
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムの価値をより高めるための情報を提供可能な情報処理システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電システムの価値を金額に換算する情報処理システムであって、市場に関する情報に基づき、第1の所定期間において、太陽光発電システムを構成する構成機器を売却することで得られる売却金額を予測する売却金額予測部を備え、売却金額予測部で予測した売却金額に基づき、構成機器の売却を伴う運用上の行動をすることで得られる利益が高くなるタイミングを通知する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電システムの価値を金額に換算する情報処理システムであって、
市場に関する情報に基づき、第1の所定期間において、前記太陽光発電システムを構成する構成機器を売却することで得られる売却金額を予測する売却金額予測部を備え、
前記売却金額予測部で予測した前記売却金額に基づき、前記構成機器の売却を伴う運用上の行動をすることで得られる利益が高くなるタイミングを通知する、情報処理システム。
【請求項2】
前記構成機器の仕様に関する情報と、前記構成機器を含んで形成された前記太陽光発電システムの発電実績に関する情報の1以上を含む情報に基づき、第2の所定期間における前記太陽光発電システムの発電量を予測する発電量予測部と、
前記発電量予測部が予測した発電量に基づき、前記第2の所定期間において前記太陽光発電システムの発電で得られる経済価値を発電金額に換算する換算部と、
前記発電金額及び前記売却金額に基づき、前記第2の所定期間において、前記太陽光発電システムの運用で得られる金額の予測値を算出する算出部と、をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記太陽光発電システムの設置場所及び仕様に関する情報と、前記発電量予測部が予測した発電量に関する情報と、前記換算部が換算した金額に関する情報と、前記売却金額に関する情報の1以上を記録するデータベースと、
前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの前記構成機器を交換して運用した場合と、当該構成機器を交換せずに運用した場合のそれぞれで得られる金額の予測値を比較する比較部をさらに備え、
前記比較部による比較の結果、前記第1の所定期間において、前記構成機器の交換でより大きな金額を得られる場合に、前記構成機器の交換を提案する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記データベースに、太陽光発電の補助金制度に関する情報がさらに記録され、
前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムに前記構成機器の交換及び/又は追加をすることで新たな補助金が獲得できる場合に、当該補助金を含めて得られる金額の予測値を算出し、前記構成機器の交換及び/又は追加をしない場合と比べてより大きな金額を得られることが予測される場合に、前記構成機器の交換及び/又は追加を提案する、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記データベースに、屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報がさらに記録され、
前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの設置場所から所定の範囲内に前記貸与者が存在するか否かを判別し、前記貸与者が存在する場合に前記太陽光発電システムの増設を提案する、請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記データベースに、前記太陽光発電システムが発電した電力を売却する売電電力会社に関する情報がさらに記録され、
前記データベースに記録された情報に基づき、前記売電電力会社の電力買取価格を比較し、現時点で電力を売却している前記売電電力会社よりも電力買取価格が高い前記売電電力会社が存在した場合に、前記売電電力会社の切替を提案する、請求項3~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記データベースに、太陽光発電の補助金制度に関する情報と、屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報と、前記太陽光発電システムが発電した電力を売却する売電電力会社に関する情報がさらに記録され、
前記データベースに新たなデータが記録されたことを条件として、下記(1)~(7)の1以上を含む動作を実行する、請求項3~6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(1)前記売却金額予測部による前記売却金額を予測する動作、
(2)前記発電量予測部による前記太陽光発電システムの発電量を予測する動作、
(3)前記比較部により、前記太陽光発電システムの前記構成機器を交換して運用した場合と、当該構成機器を交換せずに運用した場合のそれぞれで得られる金額の予測値を比較する動作、
(4)前記比較部による比較の結果、前記第1の所定期間において、前記構成機器の交換でより大きな金額を得られる場合に前記構成機器の交換を提案する動作、
(5)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムに前記構成機器の交換及び/又は追加をすることで新たな補助金が獲得できる場合に、当該補助金を含めて得られる金額の予測値を算出し、前記構成機器の交換及び/又は追加をしない場合と比べてより大きな金額を得られることが予測される場合に、前記構成機器の交換及び/又は追加を提案する動作、
(6)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの設置場所から所定の範囲内に前記貸与者が存在するか否かを判別し、前記貸与者が存在する場合に前記太陽光発電システムの増設を提案する動作、
(7)前記データベースに記録された情報に基づき、前記売電電力会社の電力買取価格を比較し、現時点で電力を売却している前記売電電力会社よりも電力買取価格が高い前記売電電力会社が存在した場合に、前記売電電力会社の切替を提案する動作。
【請求項8】
前記データベースに、太陽光発電の補助金制度に関する情報と、屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報と、前記太陽光発電システムが発電した電力を売却する売電電力会社に関する情報がさらに記録され、
第3の所定期間が経過したことを条件として、下記(1)~(7)の1以上を含む動作を実行する、請求項3~7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(1)前記売却金額予測部による前記売却金額を予測する動作、
(2)前記発電量予測部による前記太陽光発電システムの発電量を予測する動作、
(3)前記比較部により、前記太陽光発電システムの前記構成機器を交換して運用した場合と、当該構成機器を交換せずに運用した場合のそれぞれで得られる金額の予測値を比較する動作、
(4)前記比較部による比較の結果、前記第1の所定期間において、前記構成機器の交換でより大きな金額を得られる場合に前記構成機器の交換を提案する動作、
(5)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムに前記構成機器の交換及び/又は追加をすることで新たな補助金が獲得できる場合に、当該補助金を含めて得られる金額の予測値を算出し、前記構成機器の交換及び/又は追加をしない場合と比べてより大きな金額を得られることが予測される場合に、前記構成機器の交換及び/又は追加を提案する動作、
(6)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの設置場所から所定の範囲内に前記貸与者が存在するか否かを判別し、前記貸与者が存在する場合に前記太陽光発電システムの増設を提案する動作、
(7)前記データベースに記録された情報に基づき、前記売電電力会社の電力買取価格を比較し、現時点で電力を売却している前記売電電力会社よりも電力買取価格が高い前記売電電力会社が存在した場合に、前記売電電力会社の切替を提案する動作。
【請求項9】
前記データベースに、前記太陽光発電システムの運用コストに関する情報がさらに記録され、
前記太陽光発電システムの運用に関して前記構成機器の交換、前記構成機器の追加、前記構成機器の修理からなるいずれか1以上が行われた場合に、運用コストを加味して前記太陽光発電システムの運用で得られる金額の予測値を算出する、請求項3~8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記太陽光発電システムは、前記構成機器の一つとして太陽光発電モジュールを有し、
第4の所定期間における前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる発電量低下を予測する汚れ予測部をさらに備え、
前記データベースに、前記汚れ予測部が予測した発電量低下に関する情報、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる発電量低下の実績値に関する情報、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去する場合の除去コストに関する情報の1以上がさらに記録され、
前記汚れ予測部による予測の結果、又は、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる発電量低下の実績値に基づいて、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる経済価値の損失を汚れ損失金額として換算し、
前記汚れ損失金額と前記除去コストを比較し、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去することでより経済価値の損失を抑えられる場合に、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去することを提案する、請求項3~9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関するものであり、特に、太陽光発電システムの運用を支援する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムは、電力会社のみならず、一般需要者にも広く普及している。一般需要者であるユーザは、自宅の敷地内や屋根上に太陽電池パネルを設置し、パワーコンディショナーや発電状況を表示するモニター、蓄電池等の必要な構成機器と共に太陽光発電システムを構築する。そして、太陽光発電システムで発電される電力で自宅の電気機器を稼働させたり、太陽光発電システムで発電される電力を電力会社に販売したりする。
【0003】
つまり、ユーザは、構築した太陽光発電システムを運用して利益(収入)を得る。そして、太陽光発電システムの運用に関する情報を提供する情報処理システムとして、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1に開示された情報処理システムは、将来の所定期間における太陽光発電装置の発電量の統計量を予測し、予測した発電量の統計量に売電価格を乗算することで、太陽光発電システムの運用に関する価値を金額に換算する。そして、換算した金額をスマートフォン等に出力することで、ユーザが太陽光発電システムの運用に関する価値を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/176847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、太陽光発電に関する分野は、開発や研究が日々なされており、太陽光発電システムの構成機器もまた、新製品が次々に市場に投入されている。したがって、ユーザが太陽光発電システムを運用する場合には、構成機器に著しい劣化や破損等の使用する上での問題が無い場合であっても、構成機器をより高機能な新製品に交換することを検討する必要が生じる場合がある。
【0006】
この場合、交換する構成機器は、問題無く使用可能なものであるので売却によって利益を得ることができるが、構成機器の売却金額は売却時期によって変化していく場合が多い。また、当然のことながら、太陽光発電システムを現状のまま運用し続けた場合と、特定の構成機器を交換して運用し続けた場合では、発電量等が異なり、運用で得られる利益(収入)が異なる場合が多い。
【0007】
これらのことから、例えば、太陽光発電システムをどの時期まで現状のまま運用し、どの時点でどの構成機器を交換すると得られる利益が大きくなるかを判断することは、ユーザにとって非常に困難であった。そして、従来の情報処理システムは、このような判断に役立つ情報を提供するという観点から改良の余地があった。つまり、従来の情報処理システムは、太陽光発電システムの運用を構成機器の交換を含めて検討する場合に、利益を得る上で最も適切な構成機器の交換時期を判断するために有益な情報を提供するという点において、改良の余地があった。
【0008】
そこで本発明は、太陽光発電システムの価値をより高めるための情報を提供可能な情報処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、太陽光発電システムの価値を金額に換算する情報処理システムであって、市場に関する情報に基づき、第1の所定期間において、前記太陽光発電システムを構成する構成機器を売却することで得られる売却金額を予測する売却金額予測部を備え、前記売却金額予測部で予測した前記売却金額に基づき、前記構成機器の売却を伴う運用上の行動をすることで得られる利益が高くなるタイミングを通知する、情報処理システムである。
【0010】
本様相の情報処理システムは、太陽光発電システムを構成する構成機器の将来の売却金額を予測し、予測した売却金額に基づき、構成機器の売却を伴う運用上の行動をすることで得られる利益が高くなる時期を通知する。すなわち、利用者は、太陽光発電システムの運用を検討する際に、構成機器の交換、撤去等の売却を伴う運用上の行動を、いつ行えば得られる利益が高くなるのかを知ることができる。つまり、利用者は、このような運用上の行動を行う適切な時期を判断する上で有益な情報を得ることができる。このため、得られた情報を参考にして太陽光発電システムの運用することにより、太陽光発電システムの価値をより高めることができる。
なお、ここでいう売却を伴う運用上の行動とは、上記した構成機器の交換、撤去のように、太陽光発電システムの一部として使用していた構成機器であって、且つ、売却可能な構成機器の中古品が発生する運用上の行動である。
【0011】
上記した様相は、前記構成機器の仕様に関する情報と、前記構成機器を含んで形成された前記太陽光発電システムの発電実績に関する情報の1以上を含む情報に基づき、第2の所定期間における前記太陽光発電システムの発電量を予測する発電量予測部と、前記発電量予測部が予測した発電量に基づき、前記第2の所定期間において前記太陽光発電システムの発電で得られる経済価値を発電金額に換算する換算部と、前記発電金額及び前記売却金額に基づき、前記第2の所定期間において、前記太陽光発電システムの運用で得られる金額の予測値を算出する算出部と、をさらに備えることが好ましい。
【0012】
係る様相では、情報処理システムが算出部を有しており、太陽光発電システムの運用を続けた場合に得られる金額の予測値を算出できる。すなわち、所定期間(第2の所定期間)の発電によって得られる金額の予測値と、構成機器の売却によって得られる金額の予測値に基づき、利用者が最終的に得ることが予測されるそれぞれの金額の合計を示す情報(合計金額の予測値)を取得できる。このことから、利用者は、得た情報を太陽光発電システムの運用に役立てることで、太陽光発電システムの価値をより高めることができる。
【0013】
上記した好ましい様相は、前記太陽光発電システムの設置場所及び仕様に関する情報と、前記発電量予測部が予測した発電量に関する情報と、前記換算部が換算した金額に関する情報と、前記売却金額に関する情報の1以上を記録するデータベースと、前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの前記構成機器を交換して運用した場合と、当該構成機器を交換せずに運用した場合のそれぞれで得られる金額の予測値を比較する比較部をさらに備え、前記比較部による比較の結果、前記第1の所定期間において、前記構成機器の交換でより大きな金額を得られる場合に、前記構成機器の交換を提案することがより好ましい。
【0014】
係る様相では、太陽光発電システムの構成機器を交換して運用した場合と、当該構成機器を交換せずに運用した場合のそれぞれで得られる金額の予測値を比較する。そして、比較の結果、構成機器を交換することでより大きな金額を得られることが予測される場合に、構成機器の交換を提案する。このため、使用者は、構成機器の交換時期の判断がより容易になる。
【0015】
上記した様相は、前記データベースに、太陽光発電の補助金制度に関する情報がさらに記録され、前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムに前記構成機器の交換及び/又は追加をすることで新たな補助金が獲得できる場合に、当該補助金を含めて得られる金額の予測値を算出し、前記構成機器の交換及び/又は追加をしない場合と比べてより大きな金額を得られることが予測される場合に、前記構成機器の交換及び/又は追加を提案することがさらに好ましい。
【0016】
係る様相によると、使用者は、構成機器を交換したり、追加したりする時期の判断がより容易になる。
【0017】
上記した様相は、前記データベースに、屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報がさらに記録され、前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの設置場所から所定の範囲内に前記貸与者が存在するか否かを判別し、前記貸与者が存在する場合に前記太陽光発電システムの増設を提案することがさらに好ましい。
【0018】
係る様相によると、使用者は、太陽光発電システムの増設をするか否かの判断がより容易になる。
【0019】
上記した様相は、前記データベースに、前記太陽光発電システムが発電した電力を売却する売電電力会社に関する情報がさらに記録され、前記データベースに記録された情報に基づき、前記売電電力会社の電力買取価格を比較し、現時点で電力を売却している前記売電電力会社よりも電力買取価格が高い前記売電電力会社が存在した場合に、前記売電電力会社の切替を提案することが好ましい。
【0020】
係る様相によると、使用者は、電力の売却先となる電力会社を切り替えるか否かの判断がより容易になる。
【0021】
上記した様相は、前記データベースに、太陽光発電の補助金制度に関する情報と、屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報と、前記太陽光発電システムが発電した電力を売却する売電電力会社に関する情報がさらに記録され、前記データベースに新たなデータが記録されたことを条件として、下記(1)~(7)の1以上を含む動作を実行することが好ましい。
(1)前記売却金額予測部による前記売却金額を予測する動作、
(2)前記発電量予測部による前記太陽光発電システムの発電量を予測する動作、
(3)前記比較部により、前記太陽光発電システムの前記構成機器を交換して運用した場合と、当該構成機器を交換せずに運用した場合のそれぞれで得られる金額の予測値を比較する動作、
(4)前記比較部による比較の結果、前記第1の所定期間において、前記構成機器の交換でより大きな金額を得られる場合に前記構成機器の交換を提案する動作、
(5)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムに前記構成機器の交換及び/又は追加をすることで新たな補助金が獲得できる場合に、当該補助金を含めて得られる金額の予測値を算出し、前記構成機器の交換及び/又は追加をしない場合と比べてより大きな金額を得られることが予測される場合に、前記構成機器の交換及び/又は追加を提案する動作、
(6)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの設置場所から所定の範囲内に前記貸与者が存在するか否かを判別し、前記貸与者が存在する場合に前記太陽光発電システムの増設を提案する動作、
(7)前記データベースに記録された情報に基づき、前記売電電力会社の電力買取価格を比較し、現時点で電力を売却している前記売電電力会社よりも電力買取価格が高い前記売電電力会社が存在した場合に、前記売電電力会社の切替を提案する動作。
【0022】
係る様相では、データベースに新たなデータが記録されることで、各種動作が実行される。したがって、使用者は、最新のデータに基づいた太陽光発電システムの運用に役立つ情報を得ることが可能となる。また、新たなデータが記録されるごとに、使用者に太陽光発電システムの運用の見直しを促すので、使用者が太陽光発電システムを運用する上ですべきことを忘れてしまうといった問題の発生を抑制できる。
【0023】
上記した様相は、前記データベースに、太陽光発電の補助金制度に関する情報と、屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報と、前記太陽光発電システムが発電した電力を売却する売電電力会社に関する情報がさらに記録され、第3の所定期間が経過したことを条件として、下記(1)~(7)の1以上を含む動作を実行することが好ましい。
(1)前記売却金額予測部による前記売却金額を予測する動作、
(2)前記発電量予測部による前記太陽光発電システムの発電量を予測する動作、
(3)前記比較部により、前記太陽光発電システムの前記構成機器を交換して運用した場合と、当該構成機器を交換せずに運用した場合のそれぞれで得られる金額の予測値を比較する動作、
(4)前記比較部による比較の結果、前記第1の所定期間において、前記構成機器の交換でより大きな金額を得られる場合に前記構成機器の交換を提案する動作、
(5)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムに前記構成機器の交換及び/又は追加をすることで新たな補助金が獲得できる場合に、当該補助金を含めて得られる金額の予測値を算出し、前記構成機器の交換及び/又は追加をしない場合と比べてより大きな金額を得られることが予測される場合に、前記構成機器の交換及び/又は追加を提案する動作、
(6)前記データベースに記録された情報に基づき、前記太陽光発電システムの設置場所から所定の範囲内に前記貸与者が存在するか否かを判別し、前記貸与者が存在する場合に前記太陽光発電システムの増設を提案する動作、
(7)前記データベースに記録された情報に基づき、前記売電電力会社の電力買取価格を比較し、現時点で電力を売却している前記売電電力会社よりも電力買取価格が高い前記売電電力会社が存在した場合に、前記売電電力会社の切替を提案する動作。
【0024】
係る様相では、第3の所定期間が経過したことを条件として各種動作が実行される。すなわち、所定期間の経過ごとに、使用者に太陽光発電システムの運用の見直しを促すので、使用者が太陽光発電システムを運用する上ですべきことを忘れてしまうといった問題の発生を抑制できる。
【0025】
上記した様相は、前記データベースに、前記太陽光発電システムの運用コストに関する情報がさらに記録され、前記太陽光発電システムの運用に関して前記構成機器の交換、前記構成機器の追加、前記構成機器の修理からなるいずれか1以上が行われた場合に、運用コストを加味して前記太陽光発電システムの運用で得られる金額の予測値を算出することが好ましい。
【0026】
係る様相では、情報処理システムが、太陽光発電システムの運用を続けた場合に得られる金額を算出する際に、運用コストを加味して得られる金額を算出する。このため、使用者は、太陽光発電システムの運用を検討する際に、運用コストを織り込んだより正確な情報を参考に検討することが可能となる。
【0027】
上記した様相は、前記太陽光発電システムは、前記構成機器の一つとして太陽光発電モジュールを有し、第4の所定期間における前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる発電量低下を予測する汚れ予測部をさらに備え、前記データベースに、前記汚れ予測部が予測した発電量低下に関する情報、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる発電量低下の実績値に関する情報、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去する場合の除去コストに関する情報の1以上がさらに記録され、前記汚れ予測部による予測の結果、又は、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる発電量低下の実績値に基づいて、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れによる経済価値の損失を汚れ損失金額として換算し、前記汚れ損失金額と前記除去コストを比較し、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去することでより経済価値の損失を抑えられる場合に、前記太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去することを提案することがより好ましい。
【0028】
係る様相では、太陽光発電モジュールの表面の汚れによる経済価値の損失を汚れ損失金額として換算し、汚れ損失金額と除去コストを比較する。また、太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去することでより経済価値の損失を抑えられる場合に、太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去することを提案する。
このため、使用者は、太陽光発電システムの運用をする際、太陽光発電モジュールの表面の汚れを除去するべきか否かの判断がより容易になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、太陽光発電システムの価値をより高めるための情報を提供可能な情報処理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムを示す説明図である。
図2図1の情報処理システムが運用を支援する太陽光発電システムの一例を模式的に示す説明図である。
図3図1のサーバに記憶されたデータベースを模式的に示す説明図である。
図4図1の情報処理システムが実行する運用提案動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理システム1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
本実施形態の情報処理システム1は、図1で示されるように、サーバ2と端末装置3を有しており、サーバ2と端末装置3がネットワーク4を介して互いに通信可能となるように接続されている。
なお、本実施形態では、ネットワーク4をインターネットとし、サーバ2と複数の端末装置3のそれぞれが信号の送受信が可能となるように接続されている。しかしながら、ネットワーク4は、インターネット等の外部ネットワーク(広域ネットワーク)に限らず、LAN(Local Area Network)等の内部ネットワーク(局所ネットワーク)であってもよい。なお、外部ネットワークは、当然のことながら、サーバ2と端末装置3の間に中継局(中継点)が介在する場合も含む。サーバ2と端末装置3とをネットワーク4を介さずに個別に有線又は無線で接続することも考えられる。すなわち、サーバ2と1以上の端末装置3が互いに信号を送受信可能な状態で接続されていればよい。
【0033】
サーバ2は、一般的なサーバやPC等と同様の構成を含む。すなわち、サーバ2は、CPUと、主記憶部及び補助記憶部を含む記憶部と、通信部と、各部を接続するバスを備えている。
主記憶部は、揮発性メモリであり、CPUの作業領域として使用される。
補助記憶部は、不揮発性メモリを有し、ROM、ストレージとして機能されている。また、サーバ2の各種機能を実現するためのプログラムと、データベース8(図3参照、詳しくは後述する)が記憶されている。
通信部は、外部機器との信号(情報)の授受を行うためのデバイスである。
なお、このサーバ2は、使用者からの情報の入力を受け付けるキーボード、マウス(ポインティングデバイス)等の情報入力手段や、モニタ等の情報表示手段が接続されていてもよい。
【0034】
サーバ2は、CPUが補助記憶部に記憶されたプログラムを主記憶部に読み込んで実行することで、図1で示されるように、各種動作の実行時に売却金額予測部10、発電量予測部11、換算部12、算出部13、比較部14、汚れ予測部15としても機能する。
【0035】
端末装置3は、情報表示手段と情報入力手段を有するコンピュータ(情報処理装置)であり、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートフォン等を採用することができる。なお、情報表示手段は、ディスプレイ、モニタといった表示画面(表示装置)であり、情報入力手段は、キーボード、マウス(ポインティングデバイス)、タッチパッド等の位置入力装置である。また、当然のことながら、タッチパネル等のように、情報表示手段と情報入力手段は一体であってもよい。
【0036】
この端末装置3には、予めアプリケーション(ソフトウェア)がインストールされる。すなわち、端末装置3を使用する使用者は、アプリケーションを起動し、入力画面を表示させつつ入力操作及び送信操作をすることで、入力したデータをサーバ2に送信することができる。また、情報処理システム1が後述する各種動作を実行するとき、サーバ2から送信されたデータを端末装置3が受信し、情報表示手段に所定の画面が表示される。なお、端末装置3は、スピーカ等の音声出力装置を有するものでもよい。この場合、各種動作に伴って適宜のタイミングで音声を出力してもよい。
【0037】
ここで、本実施形態の情報処理システム1は、利用者が太陽光発電システム25(図2参照)を運用する上で有益な情報を提供し、利用者の太陽光発電システム25の運用を支援するものである。
本実施形態では、特に限定されるものではないが、一般住宅向けの太陽光発電システム25の運用を支援することを想定している。
【0038】
運用を支援する一般住宅向けの太陽光発電システム25は、一例として、図2で示されるようなものがある。すなわち、太陽電池モジュール30と、取付用部材31と、接続箱32と、パワーコンディショナー33と、分電盤34と、電力量計35と、蓄電池36と、モニター(図示しない)を構成機器として含む太陽光発電システム25である。
なお、太陽光発電システム25は、必ずしもこのような構成に限らず、例えば、上記した太陽光発電システム25の一部の構成機器が含まれないものでもよい。例えば、太陽光発電システム25は、蓄電池36が含まれないものでもよい。反対に、太陽光発電システム25は、汚れ検出装置のような上記した構成機器とは別の構成機器を含んで構成されるものでもよい。
【0039】
太陽電池モジュール30は、太陽電池パネルに付属部材を取り付けて形成されたものである。太陽電池パネルは、電気的に接続された複数の太陽電池セル(太陽電池素子)を含んで形成される板状の部材であり、付属部材は、フレーム部材、端子箱、緩衝部材、端子箱に接続される電力取り出し用の出力用ケーブル等である。それぞれの付属部材は、太陽電池モジュール30ごとに必要なものが取り付けられる。例えば、太陽電池モジュール30は、フレーム部材を有するものでもよく、フレーム部材を含まない所謂フレームレスのものでもよい。
【0040】
取付用部材31は、太陽電池モジュール30を設置場所に取り付けるための金属製の構造物であり、具体的には、架台や固定用金具等である。
【0041】
接続箱32は、複数の太陽電池モジュール30による発電電力を1系統に集約して出力する機器である。また、太陽電池モジュール30に電流が流れ込むのを防止する逆流防止ダイオードや、万が一大きな電流が流れた場合に電流経路を遮断するヒューズ、遮断器等を有している。
詳細に説明すると、太陽光発電システム25では、1又は複数の太陽電池モジュール30を1ブロック(ストリング)として、複数のブロックのそれぞれから1組の配線を伸ばしている(詳細な図示を省略する)。そして、接続箱32を有する太陽光発電システム25では、各ブロックから出ている配線を接続箱32内で1組にまとめ、パワーコンディショナー33に接続する。すなわち、複数のブロックを電気的に並列に接続して集電し、パワーコンディショナー33に接続する。
【0042】
パワーコンディショナー33は、太陽電池モジュール30側(接続箱32)から入力された直流電力を交流電力に変換する機器である。すなわち、太陽電池モジュール30が発電した電力を商用電力系統に連系させて使用するために、周波数や電圧を商用電力系統に適合するように交流電力に変換する。
すなわち、パワーコンディショナー33は、直流電流を交流電流に変換するインバータ装置と、インバータ装置が変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機を備えている。
【0043】
分電盤34は、商用電力系統からの交流電力(商用電力)と、パワーコンディショナー33から供給される発電電力をそれぞれの電力負荷38(例えば、エアコン、電灯等)に分配する装置である。本実施形態の分電盤34は、漏電遮断器(図示しない)等の安全装置を備えている。
【0044】
電力量計35は、買電用メーターと売電用メーターを含んで構成される計測装置である。すなわち、商用電力系統から分電盤34へ向けて供給される買電力量、商用電力系統へ向けて供給される売電力量、太陽電池モジュール30で発電された発電電力量を計測可能である。また、本実施形態の電力量計35は、蓄電池36から放電される放電電力量、蓄電池36に充電される充電電力量も計測可能としている。
【0045】
蓄電池36は、商用電力系統からの電力や、太陽電池モジュール30で発電した電力を適宜充放電するものであり、例えば、リチウムイオン電池によって構成される。
【0046】
この太陽光発電システム25では、複数の太陽電池モジュール30が取付用部材31(固定用金具)を介して屋根上に取り付けられ、行列状に並んだ状態となっている。そして、この行列状に並べられた複数の太陽電池モジュール30が、光起電力効果によって発電を行う太陽光発電部として機能する。また、太陽光発電部で発電された発電電力は、パワーコンディショナー33及び分電盤34を経由して電力負荷38に供給される。また、電力負荷38への電力供給に余裕がある場合は、発電電力を蓄電池36に充電し、さらに余裕がある場合には、発電電力を電力会社に売電する。また、電力負荷38が太陽光発電部での発電電力より大きい場合、蓄電池36からの放電を行う。これにより、余剰な発電電力で電力単価の高い昼間の電力供給を補うことができるので、電力会社からの買電量の抑制が可能となる。また、買電量と売電量は、電力量計35によって計測される。そして、屋内のモニタには、各機器の電力使用量、電力自給率、所定の日時における発電状況や消費電力等が表示される。
【0047】
サーバ2には、上記したように、データベース8(図3参照)が記憶されている。このデータベース8は、太陽光発電システム25に関する様々な情報(詳しくは後述する)を構造化したものである。すなわち、このデータベース8は、太陽光発電システム25に関する様々な情報を記録したものであり、サーバ2がデータベース8を参照することで、データベース8に記録された様々な情報の取得が可能となっている。
【0048】
本実施形態のデータベース8は、複数のテーブルを有しており、例えば、図3で示されるようなテーブルを含む(データベース8に含まれる一部のテーブルのみ図示し、他のテーブルについては図示を省略する)。
【0049】
すなわち、データベース8は、図3で示されるように、システムIDと、管理者名と、管理者住所と、設置場所と、設置場所IDが記録されたテーブル(以下、マスタテーブル45とも称する)を有する。
「システムID」は、太陽光発電システム25を一意に特定する識別子である。
「管理者名」は、それぞれの太陽光発電システム25の管理者の氏名を示す情報である。
「管理者住所」は、それぞれの太陽光発電システム25の管理者の住所を示す情報である。
「設置場所」は、太陽光発電システム25の設置場所の所在地を示す情報である。
「設置場所ID」のカラム(列)は、「設置場所」の詳細な情報が記録された他のテーブル(図示しない)との関連付けのための項目である。すなわち、「設置場所ID」は、関連付け(紐付け)のキーとなる管理用の番号を示す情報である。
【0050】
すなわち、マスタテーブル45は、「設置場所」の詳細な情報が記録された他のテーブル(図示しない)と関連付けられている。このため、データベース8を参照することで、それぞれの太陽光発電システム25が設けられる設置場所の詳細な情報を取得可能である。なお、設置場所の詳細な情報は、設置場所の年間日射量に関する情報、設置場所の面積を示す情報、設置場所の向き(屋根の向き)を示す情報等である。年間日射量に関する情報は、例えば、複数年分の毎日の時間帯ごと(例えば1時間ごと)の日照時間や、日射量が含まれていてもよい。また、「設置場所」の詳細な情報は、「設置場所」が太陽電池モジュール30の表面が汚れやすい地域であるか否かを示す情報が含まれていてもよい。そして、「設置場所」が太陽電池モジュール30の表面が汚れやすい地域である場合、どのような地域であるかを特定する情報、例えば、交通量の多い道路の傍、黄砂の多い地域、火山灰が降る地域等に設置されていることを示す情報を記録してもよい。
このように、本実施形態のデータベース8には、それぞれの太陽光発電システム25の設置場所に関する情報が記録されている。
【0051】
さらに、マスタテーブル45は、太陽光発電システム25ごとに、上記した構成機器に関する詳細な情報が記録された外部のテーブルと関連付けられている。
例えば、図3で示されるように、マスタテーブル45と太陽電池モジュール30に関する詳細な情報が記録されたテーブル(以下、太陽電池テーブル46とも称す)とが関連付けられている。
【0052】
この太陽電池テーブル46には、図3(b)で示されるように、それぞれの太陽光発電システム25に取り付けられた太陽電池モジュール30に関する情報が記録されている。
「メーカ名」は、太陽電池モジュール30の製造メーカを示す情報である。
「型番」は、製品の型ごとに付けられる番号を示す情報である。
「最大出力」は、太陽電池モジュール30の最大出力を示す情報であり、本実施形態では、公称最大出力である。すなわち、本実施形態のデータベース8には、太陽電池モジュール30の性能に関する情報(仕様に関する情報)が記録されている。
「売却金額」のカラム(列)は、太陽電池モジュール30の売却金額に関する詳細な情報(詳しくは後述する)が記録された他のテーブル(以下、売却金額テーブルとも称する、図示しない)との関連付けのための項目である。すなわち、太陽電池テーブル46における「売却金額」は、関連付け(紐付け)のキーとなる管理用の番号を示す情報である。
「設置数」は、対応する太陽光発電システム25に設置された数を示す情報である。
【0053】
以上のことから、例えば、データベース8を参照することで、「システムID」が「1」となる東京都に設置された太陽光発電システム25には、「A社」製の太陽電池モジュール30が「〇△」枚設置されていることがわかる(〇△は正の整数)。同様に、「システムID」が「2」となる大阪府に設置された太陽光発電システム25には、「A社」製の太陽電池モジュール30が「〇〇」枚と、「B社」製の太陽電池モジュール30が「△△」枚設置されていることがわかる(〇〇、△△は共に正の整数)。
このように、本実施形態のデータベース8は、それぞれの太陽光発電システム25に設置された太陽電池モジュール30の数を示す情報が記録されている。
【0054】
また、「メーカ名」と「型番」から太陽電池モジュール30を一意に特定できる。すなわち、本実施形態のデータベース8には、太陽光発電システム25に設置された太陽電池モジュール30を示す情報が記録されている。
【0055】
以上のように、データベース8には、様々な情報が記録されており、記憶されたそれぞれの情報は、1又は複数のテーブルに記憶された1又は複数の項目を参照することで取得できる。
なお、データベース8の構造(各情報のデータベース8への記録のさせ方)は、適宜変更してもよく、例えば、1つの情報は、1つのテーブルに記録してもよく、関連付けられた複数のテーブルに記録してもよい。データベース8に記録する各情報は、データベース8の1又は複数のテーブルを参照することで取得できればよい。以下で説明する各情報のデータベース8への具体的な記憶のさせ方については、詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態のデータベース8では、上記したように、マスタテーブル45、太陽電池テーブル46、売却金額テーブルが関連付けられており、これらを参照することで、太陽電池モジュール30の売却金額に関する情報を取得できる。すなわち、データベース8には、太陽電池モジュール30の売却金額に関する情報(市場に関する情報)が記録されている。
【0057】
太陽電池モジュール30の売却金額に関する情報は、調査等によって予め取得した過去の所定期間における売却金額の推移に関する情報である。例えば、A社製の型番XXXXの太陽電池モジュール30は、西暦YY年1月の平均売却金額がXX円、同2月の平均売却金額が〇〇円といった具合に、所定期間内(例えば、過去10年間)における複数の期間(又は複数の時点)の売却金額を示す情報である。なお、平均売却金額は、複数の買取先の買い取り価格の平均としている。
さらに、本実施形態では、太陽電池モジュール30の売却金額に関する情報として、太陽電池モジュール30の使用年数の変化による売却金額の推移に関する情報も記憶している。例えば、A社製の型番XXXXの太陽電池モジュール30は、西暦YY年1月の時点における新古品の売却金額はXX円、同時点で1年使用した品の売却金額は〇〇円、同時点でおける5年使用した品の売却金額は△△円、といった具合である。
データベース8には、一意に特定される太陽電池モジュール30ごとに売却金額に関する情報が記録されている。
【0058】
また、上記したように、データベース8には、太陽電池モジュール30とは異なる他の構成機器についても同様に、それぞれの構成機器に関する詳細な情報が記憶されている。
すなわち、それぞれの構成機器を特定する情報、それぞれの構成機器の性能に関する情報(仕様に関する情報)、それぞれの構成機器の売却金額に関する情報(市場に関する情報)が記録されている。
【0059】
さらに、データベース8には、以下の(1)~(11)の情報が記録されている。
(1)太陽光発電システムの発電実績に関する情報。
(2)太陽光発電システムの仕様に関する情報。
(3)太陽光発電の補助金制度に関する情報。
(4)屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報。
(5)売電電力会社に関する情報。
(6)太陽光発電システムの運用コストに関する情報。
(7)汚れによる発電量低下の実績値に関する情報。
(8)売却金額予測部が予測した売却金額に関する情報。
(9)発電量予測部が予測した発電量に関する情報。
(10)換算部が換算した金額に関する情報。
(11)発電量低下の予測結果に関する情報。
【0060】
「太陽光発電システム25の発電実績に関する情報」(以下、発電実績情報とも称す)は、それぞれの太陽光発電システム25が過去に発電した発電量に関する情報である。例えば、上記した「システムID」が「n」となる太陽光発電システム25が過去の西暦YY年1月に発電した発電量が〇〇kWh、同2月に発電した発電量が□□kWh、同3月に発電した発電量が・・・といった具合である。すなわち、所定期間内(例えば、過去10年間)における複数の期間(又は複数の時点)の発電量を示す情報である。
データベース8には、それぞれの太陽光発電システム25ごとに過去の発電実績に関する情報が記録されている。
【0061】
「太陽光発電システム25の仕様に関する情報」(以下、システム仕様情報とも称す)は、それぞれの太陽光発電システム25ごとの仕様(性能)を示す情報である。
ここで、システム仕様情報の少なくとも一部は、それぞれの太陽光発電システム25の1又は複数の構成機器の仕様に関する情報に基づいて取得することも可能となっている。
具体的に説明すると、例えば、太陽光発電システム25の出力に関する情報は、太陽電池モジュール30の仕様(性能)に関する情報と、パワーコンディショナー33の仕様(性能)に関する情報に基づいて取得できる。すなわち、太陽電池モジュール30の出力に関する情報と、設置数に関する情報と、パワーコンディショナー33に関する情報に基づいて取得可能となっている。
【0062】
本実施形態では、データベース8にシステム仕様情報を予め記録した状態とし、発電量予測動作(詳しくは後述する)等の動作の実行時にデータベース8を参照する動作を実行している。しかしながら、これに限らず、システム仕様情報に基づく動作(例えば、後述する発電量予測動作)を実行する際、実行に先立って、構成機器の仕様に関する情報に基づいてシステム仕様情報を取得する情報取得動作を実行してもよい。また、構成機器の仕様に関する情報が新たに記録されたとき、システム仕様情報に基づく動作の実行に先立って情報取得動作を実行し、システム仕様情報をデータベース8に予め記録する動作を実行してもよい。
【0063】
なお、本実施形態では、データベース8に記録される太陽光発電システム25に関する情報として、太陽光発電システム25の稼働開始日を特定する情報が記録されている。すなわち、この稼働開始日を特定する情報を取得し、特定の日付(例えば、現時点の日付)と比較することで、特定の日付までの太陽光発電システム25の稼働期間が取得できる。
【0064】
「太陽光発電の補助金制度に関する情報」(以下、補助金情報とも称す)は、太陽光発電システム25を運用する際に設備を追加したり、性能に係る条件を満たした構成機器を採用したりすることで補助金が支給される補助金制度に関する情報である。本実施形態では、補助金制度を一意に特定する情報、補助金制度を利用することで取得可能な金額を示す情報、補助金制度を利用可能な期間を示す情報、補助金制度を利用するための条件を示す情報を含む情報である。本実施形態では、これらの情報が関連付けられて記録されている。
「補助金制度を一意に特定する情報」は、例えば、それぞれの補助金制度ごとに割り当てられた識別子(ID)である。
「補助金制度を利用可能な期間を示す情報」は、例えば、申請期間に関する情報や、支給を受けるために必要な施工や手続きを行なわなければならない期間に関する情報等である。
【0065】
このため、データベース8を参照すると、例えば、IDが「1」となる補助金制度Aは、蓄電池36を有さない太陽光発電システム25に対して新たに蓄電池36を追加することを条件として、〇〇円が支給される制度である、といった情報の取得が可能となる。また、この補助金制度Aは、西暦YY年〇月×日から西暦YY年△月〇日までに申請が必要であるという情報、すなわち、補助金制度Aが現時点以降で適用を受けることができる制度であるのか否かを判別する情報が取得できる。
以上のことから、データベース8を参照することで、それぞれの太陽光発電システム25ごとに、所定の時点(期間)において適用を受けることが可能な補助金制度が有るか否かの判別が可能となる。また、適用可能な補助金制度が有る場合、適用可能な補助金制度がいくつあるのか、どのような条件を満たせば取得可能であるかを特定可能となる。そして、適用された場合に支給される金額がいくらであるのかを特定できる。
【0066】
「屋根を貸出し可能な貸与者に関する情報」(以下、貸与者情報とも称す)は、自身が所有する家屋の屋根等を、他人が運用する太陽光発電システム25の構成機器の設置場所として貸出すことを希望(容認)する貸与者に関する情報である。なお、以下の説明において、貸出対象となる家屋の屋根等を単に設置場所とも称す。
具体的には、この貸与者情報は、貸与者に関する情報と、設置場所(増設場所)に関する情報を含む。本実施形態では、これらの情報が関連付けられて記録されている。
貸与者に関する情報は、例えば、貸与者の氏名を示す情報、貸与者の住所を示す情報といった貸与者を特定する情報である。設置場所(増設場所)に関する情報は、例えば、設置場所の所在地、設置場所の面積、設置場所の向き(屋根の向き)、設置場所の年間日射量等を示す情報である。また、上記と同様に、設置場所が太陽電池モジュール30の表面が汚れやすい地域であるか否かを示す情報が含まれていてもよく、汚れやすい地域がどのような地域であるかを特定する情報が含まれていてもよい。
【0067】
「売電電力会社に関する情報」(以下、売電先情報とも称す)は、太陽光発電システム25が発電した電力を買い取り可能な電力会社を示す情報と、売却する際の単位当たりの売却金額を示す情報を含む情報である。なお、それぞれの情報は、適宜関連付けられて記録されている。さらに本実施形態では、売電先情報として、それぞれの太陽光発電システム25の現在の電力の売却先となる電力会社を特定する情報が記録されている。
このため、データベース8を参照すると、「システムID」が「1」となる太陽光発電システム25は、A社への〇〇円/kWhでの売却と、B社への〇〇円/kWhでの売却が可能である、といった情報の取得が可能となる。また、この「システムID」が「1」となる太陽光発電システム25は、発電した電力を現在A社に〇〇円/kWhで売却している、といった情報の取得が可能となる。
本実施形態のデータベース8には、それぞれの太陽光発電システム25ごとに売電電力会社に関する情報が記録されている。また、将来的に単位当たりの売却金額の変更がなされることが予め判明している場合には、変更後の単位当たりの売却金額と変更後の単位当たりの売却金額の適用が開始される日付に関する情報も関連付けて記録される。
【0068】
「太陽光発電システム25の運用コストに関する情報」(以下、運用コスト情報とも称す)は、太陽光発電システム25に対して保守管理等を行った場合に必要となる費用に関する情報である。なお、ここでいう「保守管理等」は、例えば、太陽光発電システム25に対する構成機器の交換、構成機器の追加(太陽光発電システム25の増設を含む)、構成機器の撤去(取り外し)、メンテナンス(清掃、点検)等である。
運用コスト情報は、保守管理等の種類を示す情報と、保守管理等に必要な費用を示す情報を含む。なお、それぞれの情報は、適宜関連付けられて記録されている。
【0069】
このため、データベース8を参照すると、「システムID」が「1」となる太陽光発電システム25の太陽電池モジュール30の交換を行う場合、一枚当たり〇〇円で合計がXX円となる、といった情報が取得できる。すなわち、それぞれの太陽光発電システム25ごとに、構成機器の交換を行う場合の費用を示す情報を取得できる。なお、業者Aでは一枚当たり〇〇円であり、業者Bでは一枚当たり〇△円である、といった具合に交換を行う場合の費用(費用の候補)が複数ある場合には、それぞれの費用を記録してもよい。このことは、他の構成機器においても同様である。
【0070】
すなわち、それぞれの太陽光発電システム25につき、太陽光発電システム25に属する構成機器ごとの追加、交換、撤去のために必要な費用を示す情報が取得可能である。例えば、「システムID」が「1」となる太陽光発電システム25では、太陽電池モジュール30の追加がXX円、パワーコンディショナー33の交換がXX円、蓄電池36の追加がXX円、撤去がXX円、といった具合である。
また、それぞれの太陽光発電システム25につき、太陽光発電システム25に対するメンテナンスの種類ごとの費用を示す情報が取得可能である。例えば、「システムID」が「1」となる太陽光発電システム25では、太陽電池モジュール30の表面の清掃がXX円、電気系統の点検がXX円、といった具合である。
【0071】
ここで、本実施形態では、運用コスト情報として、太陽電池モジュール30の表面の汚れの除去コストに関する情報(以下、除去コスト情報とも称す)が記録されている。除去コスト情報は、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去するために必要な費用を示す情報であり、上記したメンテナンスのための費用を示す情報のうち、清掃のための費用を示す情報である。
【0072】
「モジュールの表面の汚れによる発電量低下の実績値に関する情報」(以下、低下実績値情報とも称す)は、運用開始からの時間経過に伴う太陽電池モジュール30の表面の汚れの変化と、それに対応する発電量の低下度合を示す情報である。
すなわち、低下実績値情報は、過去に運用した太陽光発電システム25の構成機器に関する情報、設置場所の環境に関する情報、過去に太陽光発電システム25を運用した際に取得した汚れの程度を示す情報を含む。さらに、汚れの程度に応じた発電量の低下度合を示す情報を含む。そして、それぞれの情報は、適宜関連付けられて記録されている。
【0073】
ここで、設置場所の環境に関する情報は、設置場所が太陽電池モジュール30の表面が汚れやすい地域であるか否を示す情報、また、汚れやすい地域である場合にどのような地域であるかを示す情報である。なお、どのような地域であるかを示す情報は、上記した「設置場所」の詳細な情報と同様に、例えば、交通量の多い道路の傍、黄砂の多い地域、火山灰が降る地域等に設置されていることを示す情報である。
したがって、低下実績値情報を参照すると、例えば、交通量の多い道路の傍に設置したA社製の太陽電池モジュール30を有する太陽光発電システム25の〇年経過時の汚れ率は50パーセント、×年経過時の汚れ率は80パーセントといった情報が取得できる。また、この際に、例えば、汚れ率が50パーセントの時点での発電量が3パーセント低下し、汚れ率が80パーセントの時点では発電量が8パーセント低下するといった情報を取得できる。
なお、「汚れの程度を示す情報」は、上記の例では「汚れ率」である。この情報は、太陽光発電システム25を汚れ検出装置を備えたものとし、汚れ検出装置によって取得してもよい。また、所定の基準に基づいて人が目視で確認することで取得してもよい。
【0074】
「売却金額予測部10が予測した売却金額に関する情報」は、売却金額予測動作(詳しくは後述する)の実行結果を示す情報である。具体的には、太陽光発電システム25の構成機器の将来の売却金額の予測値を示す情報である。この情報は、売却金額予測動作の実行後にデータベース8に記録される。
【0075】
「発電量予測部11が予測した発電量に関する情報」は、発電量予測動作(詳しくは後述する)の実行結果を示す情報であり、具体的には、将来の発電量(発電量の予測値)を示す情報である。この情報は、発電量予測動作の実行後にデータベース8に記録される。
【0076】
「換算部12が換算した金額に関する情報」は、換算部12(価値換算部)が実行する経済価値を金額に換算する動作(経済価値換算動作、汚れ損失換算動作等であり詳しくは後述する)の実行結果を示す情報である。この情報は、各動作の実行後にデータベース8に記録される。
【0077】
「汚れ予測部15が予測した発電量低下に関する情報」は、汚れ予測動作(詳しくは後述する)の実行結果を示す情報であり、具体的には、将来の発電量の低下度合(発電量低下の予測値)を示す情報である。この情報は、汚れ予測動作の実行後にデータベース8に記録される。
【0078】
続いて、本実施形態の情報処理システム1が実行可能な動作について説明する。
【0079】
本実施形態の情報処理システム1は、以下の(1)~(6)の動作の実行が可能である。
(1)売却金額予測動作
(2)発電量予測動作
(3)経済価値換算動作
(4)増設提案動作
(5)売却先提案動作
(6)メンテナンス提案動作
【0080】
「売却金額予測動作」は、太陽光発電システム25を構成する1以上の構成機器の将来の売却金額を予測する動作である。具体的には、将来の所定期間(以下、第1の所定期間とも称す)における複数の期間(又は複数の時点)の売却金額の予測値を算出する。例えば、現時点から10年間を第1の所定期間としたとき、現時点から1年後までに売却した場合の売却金額(又は1年後の売却金額)、1年後から2年後までに売却した場合の売却金額(又は2年後の売却金額)、・・・を算出するといった具合である。
【0081】
具体的には、上記したようにサーバ2がプログラムを読み込んで実行することで、サーバ2が売却金額予測部10として機能する。そして、売却金額予測部10は、データベース8に記録された各構成機器の売却金額に関する情報を取得する。
そして、取得した情報を比較することで、一意に特定される構成機器の売却金額が、経年使用に伴ってどの程度低下するのかを特定できる。詳細に説明すると、例えば、使用から1年が経過して売却した場合の売却金額と、2年が経過して売却した場合の売却金額と、3年が経過して売却した場合の売却金額を比較する。このことにより、1年後から2年後までに売却金額がどの程度低下し、そこからさらに1年経過することで、売却金額がさらにどの程度低下するのかを取得できる。すなわち、経年使用に伴う売却金額の減少率を取得できる。
【0082】
また、一意に特定される構成機器の売却金額が、発売日からの時間の経過に伴ってどの程度低下するのかを特定できる。詳細に説明すると、例えば、使用年数が同じ構成機器の売却金額が、発売日から1年間が経過した時点と、発売日から2年間が経過した時点と、発売日から3年間が経過した時点のそれぞれでいくらであるのかを取得する。そして、これらを比較することで、発売日からの時間の経過に伴う売却金額の減少率を取得できる。
【0083】
そして、所定の時点(例えば、現時点又は記録された中で現時点に最も近い過去の時点)における構成機器の売却金額に係る情報を取得し、取得した売却金額を基準として将来の売却金額の予測値を算出する。すなわち、取得した売却金額、上記した売却金額の減少率に基づいて、将来の売却価格の予測値を算出する。
【0084】
「発電量予測動作」は、太陽光発電システム25を運用し続けた場合に、その太陽光発電システム25が将来発電する発電量を予測する動作である。具体的には、将来の所定期間(以下、第2の所定期間とも称す)に亘って太陽光発電システム25が発電する発電量を予測する。第2の所定期間は、適宜変更可能であり、仮に第2の所定期間を1年間とした場合、「発電量予測動作」は、実行時の日付又は所定の日付から1年間の間に太陽光発電システム25が発電する発電量を予測する動作である。
【0085】
具体的には、上記したようにサーバ2がプログラムを読み込んで実行することで、サーバ2が発電量予測部11として機能する。そして、発電量予測部11は、データベース8に記録されたシステム仕様情報(又は各構成機器の仕様に関する情報)を取得する。そして、取得した情報に基づいて第2の所定期間の発電量を算出する。すなわち、取得した情報から太陽光発電システム25の出力を特定し、太陽光発電システム25を第2の所定期間(例えば1年間)に亘って稼働させた際に発電する発電量を算出する。
【0086】
「発電量予測動作」は、過去の実績値(実測値)に基づいて将来の発電量を予測する動作であってもよい。このことにつき、第2の所定期間を1年とした場合を例に挙げて説明する。
例えば、同じ太陽光発電システム25が過去の所定期間(例えば過去5年)に発電した発電量の実績値を取得し、1年(第2の所定期間)当たりの発電量を算出する。例えば、過去5年(所定期間)に亘って発電した発電量の合計が〇〇kWhである場合、〇〇/5kWhが1年(第2の所定期間)当たりの発電量となる。なお、ここでは所定期間が第2の所定期間よりも長い期間である場合を例に挙げたが、当然のことながら、所定期間は第2の所定期間よりも短くてもよい。例えば、過去半年に亘って発電した発電量の合計が△△kWhである場合、△△×2kWhが1年当たりの発電量となる。
そして、算出した1年当たりの発電量を将来の1年当たりの発電量の予測値とする。
【0087】
なお、この場合、同じ太陽光発電システム25の過去の発電実績に限らず、構成や設置場所の環境が類似している他の太陽光発電システム25の実績値に基づいて、将来の発電量を予測してもよい。そして、太陽光発電システム25に関する情報をデータベース8に記録するとき、類似する太陽光発電システム25同士を関連付けてデータベース8に記録してもよい。
【0088】
「発電量予測動作」は、経年仕様による太陽電池モジュール30の劣化を織り込んで発電量を予測する動作であってもよい。
経年劣化を織り込む場合、例えば、同じ又は類似する太陽光発電システム25の過去複数年分の所定期間(例えば1年)ごとの発電量を比較することで、所定期間の経過ごとにどの程度発電量が低下するのかを示す情報(発電量の低下率を示す情報)を取得する。そして、現在の日付と第2の所定期間の開始時点の日付に基づき、第2の所定期間の開始時点までのどの程度発電量が低下するのかを特定する。さらに、第2の所定期間の開始時点から終了時点までにどの程度発電量が低下するのかを特定する。そして、上記したように、システム仕様情報(又は各構成機器の仕様に関する情報)に基づいて第2の所定期間の発電量を算出する際、取得した発電量の低下率を示す情報に基づいて、算出した発電量を補正する、といった具合である。
【0089】
「経済価値換算動作」は、太陽光発電システム25を運用し続けた場合に、太陽光発電システム25の発電で得られる経済価値を発電金額に換算する動作である。なお、この「経済価値換算動作」を実行する際には、サーバ2がプログラムを読み込んで実行することで、サーバ2が換算部12として機能する。
具体的には、上記した「発電量予測動作」を実行し、太陽光発電システム25が将来発電する発電量の予測値を算出する。そして、換算部12は、「売電電力会社に関する情報」を取得し、発電した電力の単位当たりの売却金額を取得する。そして、将来発電する発電量と、発電した電力の単位当たりの売却金額から、太陽光発電システム25の発電で得られる経済価値を発電金額に換算する。すなわち、太陽光発電システム25の1年間(第2の所定期間)の発電によって将来得られる金額は〇〇円である、といった具合に、将来獲得することが見込まれる発電金額を算出する。
【0090】
なお、上記の例では、金額を算出する場合の通貨単位を「円」とした場合について説明したが、当然のことながら、金額を算出する場合の通貨単位はこれに限るものではない。この場合における通貨単位は、適宜変更可能であり、所定の通貨の通貨額を表す単位であればよい。また、所定の通貨とは、円やドル等の国家又はその中央銀行により発行された法定通貨でもよく、暗号資産(仮想通貨)でもよく、各種企業が独自に用いるポイントや通貨等であってもよい。太陽光発電システム25の発電で得られる経済価値を貨幣価値に換算できればよい。このことは、後述する「損失換算動作」等の経済価値を貨幣価値に換算する他の動作においても同様である。
【0091】
「増設提案動作」では、利用者が運用する太陽光発電システム25の設置場所の付近に、太陽光発電システム25を設置(増設)するための設置場所(増設場所)が有るか否かを判別する増設場所判別動作を実施する。そして、増設場所判別動作の結果、設置場所が有る場合に、利用者に運用する太陽光発電システム25の増設を提案する提案動作を実行する。
【0092】
増設場所判別動作では、サーバ2がデータベース8を参照することで、利用者が運用する太陽光発電システム25に関する情報と、貸与者情報を取得する。そして、利用者が運用する太陽光発電システム25の設置場所から所定の範囲内(例えば、5km圏内)に、利用者の借り受けが可能な設置場所が有るか否かを判別する。すなわち、利用者が運用する太陽光発電システム25の設置場所の住所に関する情報と、借り受け可能な設置場所(増設場所)の住所に関する情報から、所定範囲内の設置場所(増設場所)の有無を判別する。なお、この際、サーバ2等に記憶された(又は、ネットワーク4上の他の機器から取得した)地図情報をさらに参照してもよい。
【0093】
増設提案動作で実行される提案動作(利用者に太陽光発電システム25の増設を提案する提案動作)は、端末装置3の情報表示手段に所定の画面を表示させる動作を含む動作であってもよい。すなわち、情報表示手段に所定の画面を表示させ、「近隣に太陽電池モジュールを設置可能な屋根があり、屋根の借用が可能です」といったメッセージや「太陽光発電システムの増設をお勧めいたします」といったメッセージを表示させる動作を実行してもよい。すなわち、増設を提案するメッセージを表示してもよい。この際、増設に関する詳細な情報(貸与するための必要な金額、増設場所の面積等)を情報表示手段に表示してもよい。また、この提案動作は、端末装置3の音声出力装置から音声を出力する動作を伴っていてもよい。
つまり、提案動作は、所定の画面の表示、音声出力の少なくとも一つを端末装置3に実行させる動作であり、以下で説明する他の提案動作についても同様である。
【0094】
「売却先提案動作」は、太陽光発電システム25が発電した電力の現在の売却先となる電力会社の他、売却先となり得る他の電力会社が存在する場合に実行される動作である。そして、「売却先提案動作」では、売却先となる電力会社を変更した方が売電によって得られる金額が高くなる場合に、電力会社の変更を提案する提案動作を実行する。
【0095】
具体的には、サーバ2がデータベース8を参照し、利用者が運用する太陽光発電システム25に関する情報と「売電電力会社に関する情報」を取得する。そして、利用者が運用する太陽光発電システム25が発電した電力の売却が可能な電力会社を特定する特定動作を実行する。続いて、この特定動作の結果、電力の売却先となる電力会社が複数存在する場合、特定した電力会社ごとの単位当たりの売却金額を取得する。そして、現在の売却先となる電力会社の単位当たりの売却金額と、売却先となり得る他の電力会社の単位当たりの売却金額を比較する比較動作を実行し、現在の売却先の単位当たりの売却金額が最も高い額であるか否かを判別する判別動作を実行する。判別の結果、現在の売却先となる電力会社の単位当たりの売却金額が最も高い額でない場合に、電力会社の変更を提案する提案動作を実行する。この提案動作では、売電電力会社に関する詳細な情報(電力会社名、変更前と変更後の単位当たりの売却金額等)を表示してもよい。
【0096】
「メンテナンス提案動作」は、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去することでより将来的な損失が少なくなる場合に、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去することを提案する動作である。
【0097】
具体的には、メンテナンス提案動作が実行される際、サーバ2がプログラムを読み込んで実行することで、サーバ2が換算部12、比較部14、汚れ予測部15として機能する。そして、汚れ予測部15が太陽電池モジュール30の汚れによる発電量の低下を予測する汚れ予測動作を実行し、換算部12が太陽電池モジュール30の汚れによって失われる経済価値を発電金額に換算する汚れ損失換算動作を実行する。さらに、比較部14が、汚れ損失換算動作によって算出された損失金額と、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去するために必要なメンテナンス費用とを比較する損失比較動作を実行する。そして、損失比較動作の結果、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去することでより損失を抑えられる場合に、利用者に太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去することを提案する提案動作を実行する。
【0098】
「汚れ予測動作」では、汚れ予測部15(サーバ2)がデータベース8を参照し、システム仕様情報、低下実績値情報を取得する。そして、汚れの予測を行う太陽光発電システム25の構成や設置場所の環境が近似する他の太陽光発電システム25を特定する。
例えば、汚れの予測を行う太陽光発電システム25が、A社製の太陽電池モジュール30を備えたものであり、交通量の多い道路の傍に設置されたものとする。この場合、他の太陽光発電システム25のうち、A社製の太陽電池モジュール30を備え、交通量の多い道路の傍に設置されたものを特定する、といった具合である。
そして、特定した他の太陽光発電システム25の経年仕様に伴う汚れの程度と、それに対応する発電率の低下を示す情報を取得し、汚れの予測を行う太陽光発電システム25も同様に汚れて発電率が低下するものと予測する。例えば、他の太陽光発電システム25が5年経過時に汚れ率が50パーセントとなり、発電量が3パーセント低下するのであれば、汚れの予測を行う太陽光発電システム25でもまた、5年経過時に発電量が3パーセント低下するといった具合である。
【0099】
なお、他の太陽光発電システム25を特定する特定動作では、予め設定した条件がすべて同じである場合に、構成及び設置場所の環境が同じであると判別し、予め設定した条件が一定以上同じである場合に、構成及び設置場所の環境が近似していると判別する。
ここでいう、予め設定した条件は、採用した太陽電池モジュール30の種別(メーカ名、型番で特定される種別)、設置場所の地域の種別(交通量の多い道路の傍である等)、設置場所の所在地(県及び市)等である。
【0100】
つまり、「汚れ予測動作」は、所定期間(第4の所定期間)における太陽光発電システム25の汚れによる発電量の低下度合を予測する動作である。例えば、所定期間を数年間(例えば、稼働開始時又は稼働開始後の特定の時点から5年間)とした場合、期間の開始時点から2年経過後に発電量がXXパーセント低下し、そこからさらに2年経過後に発電量がXXパーセント低下するといった予測を行う。つまり、所定期間における発電量の低下量、低下率といった発電量の低下度合を示す情報の予測値を算出する。
【0101】
「汚れ損失換算動作」では、「汚れ予測動作」の結果に基づき、太陽電池モジュール30の汚れに伴う発電量低下で生じる経済的損失を算出する。
具体的に説明すると、まず、太陽電池モジュール30に汚れがない状態での太陽光発電システム25の所定期間(第4の所定期間)における発電量(以下、汚れ無し発電量とも称す)を算出する。なお、この汚れ無し発電量の算出は、上記した「発電量予測動作」と同様に、システム仕様情報に基づき、太陽光発電システム25の出力を特定し、太陽光発電システム25を所定期間(第4の所定期間)稼働させた際に発電する電力を算出する。
また、前後して、「汚れ予測動作」の結果に基づき、太陽電池モジュール30の汚れを織り込んだ同期間(第4の所定期間)における発電量(以下、汚れ有り発電量とも称す)を算出する。
【0102】
そして、算出した汚れ無し発電量と汚れ有り発電量に基づいて、太陽電池モジュール30の表面の汚れによる損失を算出する。例えば、汚れ無し発電量、汚れ有り発電量に基づいて上記した「経済価値換算動作」を実行する。このことにより、汚れがない状態で運用した場合と、汚れをそのままにして運用した場合のそれぞれにつき、発電によって生じる金額(発電金額)が算出できる。これらの差を算出することで、発電によって生じる金額の低下度合(損失)を取得する、といった具合である。例えば、汚れがない状態で運用した場合の所定期間(例えば、1年間)における発電金額が8万円であり、汚れをそのままにして運用した場合の同期間における発電金額が7万2千円であれば、汚れによって8千円の損失が生じている、といった具合である。
【0103】
「損失比較動作」は、「汚れ損失換算動作」の結果に基づき、太陽電池モジュール30の表面の汚れに起因する損失金額と、汚れを除去するためのメンテナンス費用を比較する動作である。すなわち、「損失比較動作」に先立って比較部14がデータベース8を参照し、運用コスト情報(除去コスト情報)を取得する。そして、「汚れ損失換算動作」によって算出された損失金額と、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去するために必要な費用(以下、除去費用とも称す)を比較する。
なお、除去費用の候補が複数ある場合、例えば、汚れの除去作業(清掃作業)を発注可能な複数の業者のそれぞれで除去作業の費用が異なる場合等が考えられる。この場合、予め設定した条件に基づき、除去費用の候補のうちの最低金額や最高金額を除去費用としてもよい。
【0104】
そして、「損失比較動作」の結果、損失金額が除去費用を上回った場合に、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去することを提案する提案動作を実行する。
例えば、損失金額が8千円であって除去費用が5千円である場合に、汚れの除去を提案する提案動作を実行するといった具合である。
なお、この提案動作は、汚れの除去に関する詳細な情報を表示してもよい。すなわち、将来の発電量低下を示す情報(汚れ予測動作、汚れ損失換算動作の結果に基づいて取得される情報)や、汚れの除去を行う業者名、業者の連絡先、汚れの除去に必要な費用を表示してもよい。
【0105】
なお、上記したメンテナンス提案動作では、汚れ予測動作を実行し、汚れ予測動作に基づいて汚れ損失換算動作を実行した。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、メンテナンス提案動作では、汚れ予測動作を実行せずに汚れ損失換算動作、損失比較動作を実行してもよい。この場合、太陽光発電システム25の実績値(実測値)に基づいて、汚れ有り発電量を取得してもよい。
【0106】
例えば、低下実績値情報に基づき、同じ太陽光発電システム25の過去の所定期間(例えば過去5年)における太陽電池モジュール30の表面の汚れの変化と、それに対応する発電量の低下度合を示す情報を取得する。そして、取得した情報から、同じ太陽光発電システム25が太陽電池モジュール30の表面に汚れのある状態で過去に発電した発電量を汚れ有り発電として取得する。
また、同期間(例えば過去5年)における太陽光発電システム25の太陽電池モジュール30の表面に汚れがない状態での発電量を算出し、汚れ無し発電量として取得する。
そして、上記と同様に、汚れ損失換算動作、損失比較動作、太陽電池モジュール30の表面の汚れを除去することを提案する提案動作を実行する。この場合、提案動作では、「現時点で〇〇円の損失が発生しています、汚れを除去することをお勧めします」等のメッセージを表示してもよい。
【0107】
さらに、本実施形態の情報処理システム1は、図4で示される運用提案動作を実行可能である。以下、この運用提案動作について詳細に説明する。
【0108】
この運用提案動作は、太陽光発電システム25の運用を支援する動作であり、詳細には、構成機器の売却を伴う太陽光発電システム25の運用をする上で、より利益が出る(又は最も利益が出る)運用を提案する動作である。
より詳細には、構成機器の交換、撤去といった構成機器の売却を伴う運用上の行動を実行する際に、より利益が出る実行の時期(タイミング)を提案する動作を実行する。
【0109】
以下、太陽光発電システム25の構成機器を交換する際に最も利益が出る交換時期を提案する動作を例に挙げて説明する。
【0110】
本実施形態の運用提案動作は、図4で示されるように、データベース8に新たなデータが入力されたことを条件として実行される動作である(STEP1でYes)。また、前回実行されてから所定期間(第3の所定期間、本実施形態では半年)が経過したことを条件として実行される動作である(STEP2でYes)。
【0111】
すなわち、データベース8に新たなデータが入力された場合、例えば、上記した売電先情報が更新されて単位当たりの売却金額が変更されてしまった場合等では、入力の前後(売却金額の変更の前後)で最も利益が出る交換時期が変わってしまう可能性が高い。このため、本実施形態では、データベース8に新たなデータが入力されたことを条件として、運用提案動作を実行する。
また、運用提案動作を前回実行してから一定以上の期間が経過した場合も、最も利益が出る交換時期が変わってしまっている可能性が高い。このため、本実施形態では、運用提案動作を前回実行してから所定期間が経過したことを条件として、運用提案動作を実行する。
この他、運用提案動作は、利用者が端末装置3を操作する等をし、利用者による実行要求が行われた際に実行される動作でもある。
【0112】
運用提案動作では、所定期間(第1の所定期間、以下、運用期間とも称す)に亘って太陽光発電システム25を運用することで、利用者が最終的に得られる金額(以下、最終金額とも称する)を算出する。
詳細には、運用期間中に構成機器を交換せずに運用した場合の最終金額の予測値を算出し(STEP3)、運用期間のいずれかの時点で構成機器を交換して運用をした場合の最終金額の予測値を算出する(STEP4)。そして、これらを比較し(STEP5)、運用期間中に構成機器を交換して運用することで最終金額が大きくなることが見込まれる場合に(STEP6でYesの場合)、構成機器の交換時期を提案する提案動作を実行する(STEP7)。
なお、この説明では、運用期間を運用提案動作の実行日から10年後までの10年間とした例について説明する。なお、運用期間は、予め設定された期間でもよく、利用者が端末装置3で入力操作等をすることで指定する期間でもよい。
【0113】
運用提案動作が開始されると、太陽光発電システム25の構成機器を交換せずに運用した場合の最終金額の予測値(以下、未交換予測金額とも称す)を算出する第1最終金額予測動作が実行される(STEP3)。
第1最終金額予測動作では、上記した発電量予測動作、経済価値換算動作を実行し、太陽光発電システム25を現在の構成のまま将来の10年間(運用期間)に亘って稼働させた場合に取得可能な金額を算出する。すなわち、将来の10年間に発電される発電量の予測値を算出し、発電量の予測値を将来の発電量として発電金額に換算することで、未交換予測金額を算出する。
【0114】
ここで、本実施形態の第1最終金額予測動作では、太陽光発電システム25の運用コスト(維持費用)、太陽光発電システム25の運用することで得られる補助金を織り込んで未交換予測金額を算出している。すなわち、算出した発電金額に対し、運用コストを減算し、補助金を加算することで未交換予測金額を算出する。例えば、10年間(運用期間)の間に3回メンテナンスをする予定であり、運用することで得られる補助金があるのであれば、3回分のメンテナンス費用を減算し、補助金の額を加算するといった具合である。
【0115】
また、売電価格が将来変更される予定である場合、売電価格の変更を織り込んで未交換予測金額を算出する。例えば、5年後に売電価格が変更される予定であれば、上記した発電金額を算出する動作を実行する際に、5年後までの発電金額を変更前の売電価格に基づいて算出し、5年後から10年後までの発電金額を変更後の売電価格に基づいて算出する。そして、これらを合算する、といった具合である。なお、売電価格の変更を織り込む場合、10年間が経過するまでの各時期において最も売電価格の高い電力会社に売電するものとして、上記した発電金額を算出してもよい。
【0116】
続いて、太陽光発電システム25の構成機器を運用期間のいずれかの時点で交換して運用した場合の最終金額の予測値(以下、交換時予測金額とも称す)を算出する第2最終金額予測動作を実行する(STEP4)。
なお、第2最終金額予測動作は、必ずしも第1最終金額予測動作の後に実行しなくてもよく、第1最終金額予測動作の前に実行してもよい。つまり、第2最終金額予測動作は、第1最終金額予測動作と前後して実行される動作である。
【0117】
第2最終金額予測動作では、運用期間の開始時から構成機器を交換するまでの期間(以下、交換前期間とも称す)に利用者が得られる金額の予測値を算出する。この金額の予測値は、構成機器の交換前の太陽光発電システム25を運用することで、利用者が得られることが予測される金額の値である。
さらに、構成機器の交換後から運用期間の終了時までの期間(以下、交換後期間とも称す)に、利用者が得られる金額の予測値を算出する。この金額の予測値は、構成機器の交換後の太陽光発電システム25を運用することで、利用者が得られることが予測される金額の値である。
加えて、交換によって使用しなくなった以前の構成機器(例えば、太陽電池モジュール30)を売却することで得られる金額の予測値を算出する。
そして、交換前期間に得られる金額の予測値と、交換後期間に得られる金額の予測値と、構成機器の売却金額を合算することで、交換時予測金額を算出する。
【0118】
例えば、運用期間の開始時から1年後に構成機器を交換するのであれば、運用期間の開始時から1年後までに利用者が得られる金額の予測値を算出し、運用期間の1年後から運用期間の終了時までに利用者が得られる金額の予測値を算出する、といった具合である。
利用者が得られる金額の予測値は、上記した第1最終金額予測動作と同様に発電量予測動作、経済価値換算動作を実行して発電金額を算出し、算出した発電金額に基づいて取得する。本実施形態の第2最終金額予測動作では、上記した第1最終金額予測動作と同様に、運用コスト、補助金、売電価格の変更を織り込んで交換時予測金額を取得する。
また、構成機器の売却金額は、上記した売却金額予測動作を実行することで取得する。
【0119】
ここで、本実施形態の第2最終金額予測動作では、構成機器の交換時期を異なる時点とした複数の場合について、それぞれ場合の交換時予測金額を算出する。
例えば、運用期間の開始時から1年後に構成機器を交換した場合、運用期間の開始時から2年後に構成機器を交換した場合、・・・のそれぞれの場合について交換時予測金額を算出する、といった具合である。このとき、それぞれを第1交換時予測金額、第2交換時予測金額、・・・として算出する。
【0120】
続いて、第1最終金額予測動作で算出した未交換予測金額と、第2最終金額予測動作で算出した複数の交換時予測金額(第1の交換時予測金額、第2の交換時予測金額、・・・)を比較する最終金額比較動作を実行する(STEP5)。
そして、最終金額比較動作の結果、複数の交換時予測金額のいずれかが最も大きな金額となる場合(STEP6でYesの場合)、構成機器の交換時期を提案する提案動作を実行する(STEP7)。そして、運用提案動作で実行した各動作の実行結果に関する情報のそれぞれを必要に応じてデータベース8に記録し(STEP8)、運用提案動作を終了する。
【0121】
交換時期を提案する提案動作では、例えば、現在(動作の実行時)から1年後に構成機器を交換した場合に、利用者が得られる最終金額が最も高くなるのであれば、現在から1年後の構成機器の交換及び古い構成機器の売却を提案する動作を実行する。例えば、「1年後に現在の太陽電池モジュールをXX社製XXXX-XXXXの太陽電池モジュールに交換し、現在の太陽電池モジュールを売却して下さい」というメッセージを表示する、といった動作である。
同様に、例えば、現在から2年後に構成機器を交換した場合に、利用者が得られる最終金額が最も高くなるのであれば、現在から2年後の構成機器の交換及び古い構成機器の売却を提案する。すなわち、最も利益がでることが予測される構成機器の交換のタイミングを通知する。
【0122】
なお、上記した運用提案動作では、運用期間中のいずれかの時点で太陽光発電システム25の運用を取りやめ、その時点で各構成機器の売却を行うことで利用者が得られる最終金額が最も高くなる場合、運用の中止を提案する提案動作を実行する構成としてもよい。すなわち、所定の時点(時期)での構成機器の撤去及び売却を提案する動作を実行してもよい。この場合、例えば、「X年後に太陽光発電システムの運用を中止し、太陽電池モジュールを売却して下さい」といったメッセージを表示してもよい。
【0123】
なお、上記した運用提案動作の例では、交換、撤去の対象となる構成機器が1種類である場合について説明したが、2種類以上の構成機器を対象としてもよい。この場合、例えば、「X年後に現在の太陽電池モジュールをXX社製XXXX-XXXXの太陽電池モジュールに交換し、現在のパワーコンディショナーを〇〇社製〇〇〇〇-〇〇〇〇のパワーコンディショナーに交換してください」といったメッセージを表示してもよい。
【0124】
上記した運用提案動作の例では、運用期間中の所定期間に太陽光発電システム25を運用することで得られる金額の予測値を算出する際、運用コスト、補助金、売電価格の変更を織り込んで算出した。この場合、織り込んだ運用コスト、補助金、売電価格の変更に関する情報を、構成機器の交換時期を提案する提案動作(STEP7の動作)の実行時に表示させてもよい。例えば、上記した構成機器(太陽電池モジュール)の交換と売却を促す(提案する)メッセージの他、「XXまでに補助金制度Aの適用を受けて下さい」といったメッセージや、「X年後に電力を売却する電力会社を変更してください」といったメッセージを表示してもよい。すなわち、所定の補助金制度の適用を受けることを提案する動作や、電力会社の変更を提案する動作をおこなってもよい。
【0125】
上記した運用提案動作において、運用期間中の所定期間に太陽光発電システム25を運用することで得られる金額の予測値を算出する際には、太陽電池モジュール30の表面の汚れによる発電量の低下や汚れの除去コストを織り込んで算出してもよい。
この場合、太陽電池モジュール30の表面の汚れに関する情報を、構成機器の交換時期を提案する提案動作(STEP7の動作)の実行時にさらに表示させてもよい。例えば、上記したメッセージの他、「X年後とY年後に太陽電池モジュールの清掃(メンテナンス)を行ってください」といったメッセージを表示してもよい。
【0126】
上記した運用提案動作において、運用期間中の所定期間に太陽光発電システム25を運用することで得られる金額の予測値を算出する際には、太陽光発電システム25の増設を織り込んで算出してもよい。この場合、太陽光発電システム25の増設に関する情報を構成機器の交換時期を提案する提案動作(STEP7の動作)の実行時にさらに表示させてもよい。例えば、上記したメッセージの他、「X年後に太陽電池モジュールを設置可能な屋根を借り、XX社製XXXX-XXXXの太陽電池モジュールをXX個増設してください」といったメッセージを表示してもよい。
【0127】
上記した実施形態では、サーバ2の記憶装置(補助記憶部)にデータベース8を記憶した例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものでない。
上記した情報処理システム1におけるサーバは、別途設けられた2以上の機器によって構成してもよく、例えば、上記したサーバ2と外部記憶手段(ネットワークHDD)とをネットワーク4を介して接続してサーバとして機能させてもよい。この場合、サーバ2ではなく、外部記憶手段にデータベース8を記憶してもよい。すなわち、CPU等を含んで構成される制御装置と、記憶装置は別途設けてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 情報処理システム
8 データベース
10 売却金額予測部
11 発電量予測部
12 換算部
13 算出部
14 比較部
15 汚れ予測部
25 太陽光発電システム
30 太陽電池モジュール(構成機器)
31 取付用部材(構成機器)
32 接続箱(構成機器)
33 パワーコンディショナー(構成機器)
34 分電盤(構成機器)
35 電力量計(構成機器)
36 蓄電池(構成機器)
図1
図2
図3
図4