(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143250
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】機械式駐車設備
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20230928BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050526
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
(57)【要約】
【課題】 入庫車両の車内に乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる機械式駐車設備を提供する。
【解決手段】 車両Vを格納する格納部と、所定の停車位置に停車した車両Vを格納部に搬送する搬送装置21を含む動作装置20と、車両Vが車内の人を検知可能であり、車両Vが停車後に所定状態になったときに車内に人が検知されると車内有人信号を発するよう構成されている場合に、停車位置に停車した車両Vから発せられる車内有人信号を取得する信号取得手段9と、動作装置20の動作を許可するか不許可とするかを判定する判定部82と、判定部82の判定結果を反映して動作装置20の動作を制御する装置制御部81と、を備え、判定部82は、車両Vが停車位置に停車した後、信号取得手段9が車内有人信号を取得した場合に動作装置20の動作を不許可とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を格納する格納部と、
所定の停車位置に停車した前記車両を前記格納部に搬送する搬送装置を含む動作装置と、
前記車両が車内の人を検知可能であり、前記車両が停車後に所定状態になったときに車内に人が検知されると車内有人信号を発するよう構成されている場合に、前記停車位置に停車した前記車両から発せられる前記車内有人信号を取得する信号取得手段と、
前記動作装置の動作を許可するか不許可とするかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を反映して前記動作装置の動作を制御する装置制御部と、
を備え、
前記判定部は、
前記車両が前記停車位置に停車した後、前記信号取得手段が前記車内有人信号を取得した場合に前記動作装置の動作を不許可とする、
機械式駐車設備。
【請求項2】
前記判定部は、
前記動作装置の動作を不許可と判定した後、前記車両の車内が無人であるという情報を取得するまでは前記動作装置の動作の不許可状態を維持する、
請求項1に記載の機械式駐車設備。
【請求項3】
前記車両が前記車内有人信号を発する車両であるか否かを判別する車両判別手段を、さらに備え、
前記判定部は、
前記車両判別手段によって前記車両が前記車内有人信号を発する車両であると判別された場合において、前記車両が前記停車位置に停車した後の所定時間内に前記信号取得手段が前記車内有人信号を取得しない場合には、前記動作装置の動作を許可する、
請求項1または2に記載の機械式駐車設備。
【請求項4】
前記車両の利用者が車内が無人である旨を入力する無人入力操作部を、さらに備え、
前記判定部は、
前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力された後に前記動作装置の動作を許可する、
請求項3に記載の機械式駐車設備。
【請求項5】
利用者の認証情報と、利用者が使用する車両が車内有人信号を発する車両であるか否かを示す車両判別情報とが関連付けられてなる利用者車両情報を予め記憶した記憶部と、
前記車両が前記停車位置へ乗り入れる前に利用者から取得した認証情報と前記記憶部に記憶された利用者の認証情報とを照合する認証手段と、
をさらに備え、
前記車両判別手段は、
前記利用者車両情報を参照して前記車両が前記停車位置へ乗り入れる前に利用者から取得した認証情報と関連付けられる前記車両判別情報に基づいて前記車両が前記車内有人信号を発する車両であるか否かを判別するよう構成された、
請求項3または4に記載の機械式駐車設備。
【請求項6】
前記車両判別手段は、
前記停車位置に停車する前記車両のナンバープレートを撮影するカメラの撮影画像から前記車両の自動車登録番号を認識し、この認識した自動車登録番号を、車両データベースに車内有人信号を発する車両として登録されている自動車登録番号と照合することにより、前記車両が前記車内有人信号を発する車両であるか否かを判別するよう構成された、
請求項3または4に記載の機械式駐車設備。
【請求項7】
前記車内有人信号は、前記車両が有する灯火類の点滅による信号と、前記車両が有する警笛またはブザーの鳴動による信号とのうち少なくとも一方を含む、
請求項1~6のいずれかに記載の機械式駐車設備。
【請求項8】
前記信号取得手段は、
前記車両が車内の人を検知可能であり、運転者が降車して前記車両が所定状態になったときに車内に人が検知されないと車内無人信号を発するよう構成されている場合に、前記車両から発せられる前記車内無人信号を取得するよう構成され、
前記判定部は、
前記車両が前記停車位置に停車した後、前記信号取得手段が前記車内無人信号を取得した場合に前記動作装置の動作を許可する、
請求項1に記載の機械式駐車設備。
【請求項9】
車両を格納する格納部と、
所定の停車位置に停車した前記車両を前記格納部に搬送する搬送装置を含む動作装置と、
前記車両が車内の人を検知可能であり、運転者が降車して前記車両が所定状態になったときに車内に人が検知されないと車内無人信号を発するよう構成されている場合に、前記車両から発せられる前記車内無人信号を取得する信号取得手段と、
前記動作装置の動作を許可するか不許可とするかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を反映して前記動作装置の動作を制御する装置制御部と、
前記車両の利用者が車内が無人である旨を入力する無人入力操作部と、
を備え、
前記判定部は、
前記車両が前記停車位置に停車した後の所定時間内に、前記信号取得手段が前記車内無人信号を取得した場合または前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力された場合には前記動作装置の動作を許可し、前記車内無人信号を取得せず前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力されない場合には前記動作装置の動作を不許可とする、
機械式駐車設備。
【請求項10】
前記車内無人信号は、前記車両が有する灯火類の点滅による信号と、前記車両が有する警笛またはブザーの鳴動による信号とのうち少なくとも一方を含む、
請求項8または9に記載の機械式駐車設備。
【請求項11】
車両を格納する格納部と、
所定の停車位置に停車した前記車両を前記格納部に搬送する搬送装置を含む動作装置と、
前記動作装置の動作を許可するか不許可とするかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を反映して前記動作装置の動作を制御する装置制御部と、
前記停車位置を有する入出庫領域と、
前記入出庫領域内の人を検知する入出庫領域人検知手段と、
車内の人を検知可能な前記車両と通信を行う通信装置と、
前記車両の利用者が車内が無人である旨を入力する無人入力操作部と、
を備え、
前記判定部は、
前記通信装置が前記入出庫領域に進入した前記車両に対し車内の人の検知結果を問い合わせる問合せ信号を送信しその応答として前記車両から車内が無人であることを示す車内無人信号を受信するか、または、前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力されており、かつ、前記入出庫領域人検知手段によって人が検知されていない場合に、前記動作装置の動作を許可し、これ以外の場合は前記動作装置の動作を不許可とする、
機械式駐車設備。
【請求項12】
前記通信装置は、
前記停車位置に停車した前記車両に対し前記問合せ信号を送信する、
請求項11に記載の機械式駐車設備。
【請求項13】
前記停車位置に停車した前記車両のドアの開閉を検知するドア開閉検知手段をさらに備え、
前記判定部は、前記車両が前記停車位置に停車し前記ドア開閉検知手段が前記車両のドア開を検知する前に前記車両から車内が無人であることを示す情報を取得した場合には、前記動作装置の動作を許可する、
請求項1~10のいずれかに記載の機械式駐車設備。
【請求項14】
前記判定部は、
前記車両が自律走行可能な自動運転車両であり、前記車両が前記停車位置に停車する前に前記車両から車内が無人であることを示す情報を取得している場合には、前記車両が前記停車位置に停車したときに前記動作装置の動作を許可する、
請求項1~10のいずれかに記載の機械式駐車設備。
【請求項15】
前記停車位置を有する入出庫領域をさらに備え、
前記動作装置は、前記入出庫領域の出入口に設けられた出入口扉を開閉する扉開閉装置を含み、
前記装置制御部は、
前記出入口扉が開かれた状態で前記車両が自律走行によって前記停車位置に停車したときに前記判定部によって前記動作装置の動作が許可されており、かつ前記車両から前記車両の周囲に人が存在しないことを示す情報を取得した場合に、前記扉開閉装置を制御して前記出入口扉を閉じるよう構成された、
請求項14に記載の機械式駐車設備。
【請求項16】
前記停車位置を有する入出庫領域と、
前記入出庫領域内の人を検知する入出庫領域人検知手段と、
をさらに備え、
前記動作装置は、前記入出庫領域の出入口に設けられた出入口扉を開閉する扉開閉装置を含み、
前記装置制御部は、
前記出入口扉が開かれた状態で前記車両が自律走行によって前記停車位置に停車したときに前記判定部によって前記動作装置の動作が許可されており、かつ、前記入出庫領域人検知手段によって人が検知されていない場合に、前記扉開閉装置を制御して前記出入口扉を閉じるよう構成された、
請求項14に記載の機械式駐車設備。
【請求項17】
前記判定部が前記動作装置の動作を不許可と判定した場合に、車内に乗員が置き去りにされていることを報知する報知部をさらに備えた、
請求項1~16のいずれかに記載の機械式駐車設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車設備では、通常、複数の格納部と、所定の停車位置に停車した入庫車両を所定の格納部へ搬送する搬送装置とを備えている。このような機械式駐車設備において、運転者が幼児等の乗員を車内に置き去りにしたまま入庫車両が格納部に格納されることがあると安全が脅かされる。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載される車内安全確認装置が記載されている。この車内安全確認装置では、車内の人物を検知するための人物検知手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、機械式駐車設備において、運転者が幼児等の乗員を車内に置き去りにしたまま入庫車両が格納部に格納されることがあると安全が脅かされる。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、入庫車両の車内に乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる機械式駐車設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る機械式駐車設備は、車両を格納する格納部と、所定の停車位置に停車した前記車両を前記格納部に搬送する搬送装置を含む動作装置と、前記車両が車内の人を検知可能であり、前記車両が停車後に所定状態になったときに車内に人が検知されると車内有人信号を発するよう構成されている場合に、前記停車位置に停車した前記車両から発せられる前記車内有人信号を取得する信号取得手段と、前記動作装置の動作を許可するか不許可とするかを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を反映して前記動作装置の動作を制御する装置制御部と、を備え、前記判定部は、前記車両が前記停車位置に停車した後、前記信号取得手段が前記車内有人信号を取得した場合に前記動作装置の動作を不許可とするようにしている。
【0008】
この構成によれば、判定部は、車両が停車位置に停車した後、信号取得手段が車内有人信号を取得した場合に動作装置の動作を不許可とし、この場合には、装置制御部は動作装置に動作を行わせないので、入庫車両の車内に幼児等の乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる。
【0009】
前記判定部は、前記動作装置の動作を不許可と判定した後、前記車両の車内が無人であるという情報を取得するまでは前記動作装置の動作の不許可状態を維持するようにしてもよい。
【0010】
前記車両が前記車内有人信号を発する車両であるか否かを判別する車両判別手段を、さらに備え、前記判定部は、前記車両判別手段によって前記車両が前記車内有人信号を発する車両であると判別された場合において、前記車両が前記停車位置に停車した後の所定時間内に前記信号取得手段が前記車内有人信号を取得しない場合には、前記動作装置の動作を許可するようにしてもよい。
【0011】
前記車両の利用者が車内が無人である旨を入力する無人入力操作部を、さらに備え、前記判定部は、前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力された後に前記動作装置の動作を許可するようにしてもよい。前記無人入力操作部は、車内が無人であることを含む安全確認の結果、問題がないことを入力する安全確認入力操作部であってもよい。
【0012】
利用者の認証情報と、利用者が使用する車両が車内有人信号を発する車両であるか否かを示す車両判別情報とが関連付けられてなる利用者車両情報を予め記憶した記憶部と、前記車両が前記停車位置へ乗り入れる前に利用者から取得した認証情報と前記記憶部に記憶された利用者の認証情報とを照合する認証手段と、をさらに備え、前記車両判別手段は、前記利用者車両情報を参照して前記車両が前記停車位置へ乗り入れる前に利用者から取得した認証情報と関連付けられる前記車両判別情報に基づいて前記車両が前記車内有人信号を発する車両であるか否かを判別するよう構成されていてもよい。
【0013】
前記車両判別手段は、前記停車位置に停車する前記車両のナンバープレートを撮影するカメラの撮影画像から前記車両の自動車登録番号を認識し、この認識した自動車登録番号を、車両データベースに車内有人信号を発する車両として登録されている自動車登録番号と照合することにより、前記車両が前記車内有人信号を発する車両であるか否かを判別するよう構成されていてもよい。
【0014】
前記車内有人信号は、前記車両が有する灯火類の点滅による信号と、前記車両が有する警笛またはブザーの鳴動による信号とのうち少なくとも一方を含むようにしてもよい。
【0015】
前記信号取得手段は、前記車両が車内の人を検知可能であり、運転者が降車して前記車両が所定状態になったときに車内に人が検知されないと車内無人信号を発するよう構成されている場合に、前記車両から発せられる前記車内無人信号を取得するよう構成され、前記判定部は、前記車両が前記停車位置に停車した後、前記信号取得手段が前記車内無人信号を取得した場合または前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力された場合に前記動作装置の動作を許可するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明の他の態様に係る機械式駐車設備は、車両を格納する格納部と、所定の停車位置に停車した前記車両を前記格納部に搬送する搬送装置を含む動作装置と、前記車両が車内の人を検知可能であり、運転者が降車して前記車両が所定状態になったときに車内に人が検知されないと車内無人信号を発するよう構成されている場合に、前記車両から発せられる前記車内無人信号を取得する信号取得手段と、前記動作装置の動作を許可するか不許可とするかを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を反映して前記動作装置の動作を制御する装置制御部と、前記車両の利用者が車内が無人である旨を入力する無人入力操作部と、を備え、前記判定部は、前記車両が前記停車位置に停車した後の所定時間内に、前記信号取得手段が前記車内無人信号を取得した場合または前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力された場合には前記動作装置の動作を許可し、前記車内無人信号を取得せず前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力されない場合には前記動作装置の動作を不許可とするようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、判定部は、車両が停車位置に停車した後の所定時間内に、信号取得手段が車内無人信号を取得せず無人入力操作部から車内が無人である旨が入力されない場合に動作装置の動作を不許可とし、この場合には、装置制御部は動作装置に動作を行わせないので、入庫車両の車内に幼児等の乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる。また、車両や信号取得手段の異常により車内が無人であっても車内無人信号を所得できない場合は、利用者が車内を確認した上で前記無人入力操作部から車内が無人である旨を入力することで動作を許可する。
【0018】
前記車内無人信号は、前記車両が有する灯火類の点滅による信号と、前記車両が有する警笛またはブザーの鳴動による信号とのうち少なくとも一方を含むようにしてもよい。
【0019】
また、本発明の別の他の態様に係る機械式駐車設備は、車両を格納する格納部と、所定の停車位置に停車した前記車両を前記格納部に搬送する搬送装置を含む動作装置と、前記動作装置の動作を許可するか不許可とするかを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を反映して前記動作装置の動作を制御する装置制御部と、前記停車位置を有する入出庫領域と、前記入出庫領域内の人を検知する入出庫領域人検知手段と、車内の人を検知可能な前記車両と通信を行う通信装置と、前記車両の利用者が車内が無人である旨を入力する無人入力操作部と、を備え、前記判定部は、前記通信装置が前記入出庫領域に進入した前記車両に対し車内の人の検知結果を問い合わせる問合せ信号を送信しその応答として前記車両から車内が無人であることを示す車内無人信号を受信するか、または、前記無人入力操作部から車内が無人である旨が入力されており、かつ、前記入出庫領域人検知手段によって人が検知されていない場合に、前記動作装置の動作を許可し、これ以外の場合は前記動作装置の動作を不許可とするようにしている。
【0020】
この構成によれば、判定部は、通信装置が入出庫領域に進入した車両に対し車内の人の検知結果を問い合わせる問合せ信号を送信しその応答として車両から車内が無人であることを示す車内無人信号を受信するか、または、無人入力操作部から車内が無人である旨が入力されており、かつ、入出庫領域人検知手段によって人が検知されていない場合に、動作装置の動作を許可し、これ以外の場合は動作装置の動作を不許可とし、装置制御部は動作装置に動作を行わせないので、入庫車両の車内に幼児等の乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる。
【0021】
前記通信装置は、前記停車位置に停車した前記車両に対し前記問合せ信号を送信するようにしてもよい。
【0022】
前記停車位置に停車した前記車両のドアの開閉を検知するドア開閉検知手段をさらに備え、前記判定部は、前記車両が前記停車位置に停車し前記ドア開閉検知手段が前記車両のドア開を検知する前に前記車両から車内が無人であることを示す情報を取得した場合には、前記動作装置の動作を許可するようにしてもよい。
【0023】
前記判定部は、前記車両が自律走行可能な自動運転車両であり、前記車両が前記停車位置に停車する前に前記車両から車内が無人であることを示す情報を取得している場合には、前記車両が前記停車位置に停車したときに前記動作装置の動作を許可するようにしてもよい。
【0024】
前記停車位置を有する入出庫領域をさらに備え、前記動作装置は、前記入出庫領域の出入口に設けられた出入口扉を開閉する扉開閉装置を含み、前記装置制御部は、前記出入口扉が開かれた状態で前記車両が自律走行によって前記停車位置に停車したときに前記判定部によって前記動作装置の動作が許可されており、かつ前記車両から前記車両の周囲に人が存在しないことを示す情報を取得した場合に、前記扉開閉装置を制御して前記出入口扉を閉じるよう構成されていてもよい。
【0025】
前記停車位置を有する入出庫領域と、前記入出庫領域内の人を検知する入出庫領域人検知手段と、をさらに備え、前記動作装置は、前記入出庫領域の出入口に設けられた出入口扉を開閉する扉開閉装置を含み、前記装置制御部は、前記出入口扉が開かれた状態で前記車両が自律走行によって前記停車位置に停車したときに前記判定部によって前記動作装置の動作が許可されており、かつ、前記入出庫領域人検知手段によって人が検知されていない場合に、前記扉開閉装置を制御して前記出入口扉を閉じるよう構成されていてもよい。
【0026】
前記判定部が前記動作装置の動作を不許可と判定した場合に、車内に乗員が置き去りにされていることを報知する報知部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上に説明した構成を有し、入庫車両の車内に乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる機械式駐車設備を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本実施形態における機械式駐車設備の一例の入出庫領域を平面視で示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す機械式駐車設備および車両の概略を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す機械式駐車設備に手動運転車両を入庫するときの手順の概略を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図1に示す機械式駐車設備に自動運転車両を入庫するときの手順の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。
【0030】
(実施形態)
図1は、本実施形態における機械式駐車設備の一例の入出庫領域を平面視で示す模式図である。
図2は、
図1に示す機械式駐車設備および車両の概略を示すブロック図である。
【0031】
以下では、便宜上、車両Vが前進して入出庫領域3に乗り入れたときに車両Vから視た方向を前後左右として説明する。なお、ここでは、機械式駐車設備1として、エレベータ式駐車設備を例示しているが、エレベータ式に限らず、垂直循環式、水平多層式、箱型循環式、平面往復式等の駐車装置であってもよい。
【0032】
この機械式駐車設備1は、パレット6が収容される複数の格納部を有する駐車塔2を備えている。ここでは、駐車塔2の1階が入出庫領域3であり、正面側に入出庫領域3の出入口4が備えられている。出入口4には上下にスライドして開閉する出入口扉5が設けられ、出入口扉5を開閉する扉開閉装置22(
図2)を備えている。駐車塔2の2階以上の階には、パレット6に搭載された車両Vを格納する複数の格納部が備えられている。各格納部と入出庫領域3の所定位置(
図1に示されたパレット6の位置)との間でパレット6を搬送する搬送装置21(
図2)を備えている。この搬送装置21には、エレベータ式駐車設備の公知のものを使用でき、詳細は省略する。また、駐車塔2の外側の出入口4の近傍には、機械式駐車設備1の運転操作等を行うための操作盤7が設けられている。ここでは、操作盤7に制御装置8が内蔵されている例を示している。
【0033】
また、入出庫領域3には、パレット6の前後左右に、入出庫領域3内において人などの物体を検知する光電センサ、LIDARなどの公知の物体検知センサ11~14が設けられている。また、パレット6上の車両Vを検知する公知の物体検知センサ16が設けられ、出入口4にも公知の物体検知センサ15が設けられている。また、入出庫領域3内を撮影する監視カメラが設けられていてもよい。
【0034】
図1、
図2に示すように、機械式駐車設備1は、操作盤7と、制御装置8と、信号取得手段9と、通信装置10と、パレット6を搬送する搬送装置21と、出入口扉5を開閉する扉開閉装置22と、物体検知センサ11~16等を有している。操作盤7は、タッチパネルディスプレイ、ICカードリーダ、スピーカ等を備えている。タッチパネルディスプレイは表示部(ディスプレイ)および操作部(タッチパネル)として機能する。
【0035】
制御装置8は、信号取得手段9で取得される信号、各物体検知センサ11~16からの出力信号、及び操作盤7からの信号を入力し、操作盤7へ必要な信号を出力する。また、制御装置8は、動作装置20である搬送装置21及び扉開閉装置22の動作を制御する装置制御部81として機能するとともに、判定部82及び車両判別手段83等として機能する。この制御装置8は、CPU等の演算処理部と、ROMおよびRAM等を含みCPUが実行する制御プログラム及び種々のデータ等を記憶する記憶部を有しており、CPUが制御プログラムを実行することにより機械式駐車設備1全体を制御する。なお、制御装置8は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0036】
車両Vは、ECU等で構成される車両制御装置51、車内人検知手段52、信号出力手段53及び通信装置54等を備えている。車内人検知手段52は、例えば、ミリ波レーダー、赤外線センサ、超音波センサ等を用いて構成されてもよいし、カメラ画像を認識する方法等が用いられていてもよく、車内の人を検知することができればよい。
【0037】
車両Vは、運転者が降車して所定状態(ここでは、運転席の着座スイッチがOFFでドアが施錠された状態とするが、運転席の着座スイッチがOFFで全ドアが閉状態のまま所定時間経過した状態などとしてもよい)になると、車両制御装置51が車内人検知手段52を起動させる。そして、車内人検知手段52が起動して車内に人が検知されると、車両制御装置51は、信号出力手段53に車内の人の存在を示す信号である車内有人信号を出力させる。
【0038】
この信号出力手段53は、例えば、車両Vが有する灯火類(ハザードランプ、ヘッドライト、バックランプ等)であり、灯火類の点滅信号が車内有人信号である。この場合、機械式駐車設備1の信号取得手段9は、入出庫領域3のパレット6上に停車した車両Vからの上記点滅信号を検出可能な光検出装置等で構成され、入出庫領域3に配置される。
【0039】
また、信号出力手段53は、車両Vが有する警笛(クラクション)またはブザーとしてもよく、この場合、警笛またはブザーの鳴動が車内有人信号となる。ここで信号出力手段53は、断続パターンが所定のパターンの鳴動を車内有人信号として出力するようにしても良いし、所定の音量を超えた鳴動を車内有人信号として出力するようにしても良い。
この場合、機械式駐車設備1の信号取得手段9は、入出庫領域3のパレット6上の所定の停車位置に停車した車両Vからの上記の車内有人信号として出力される鳴動を検出可能な集音装置等で構成され、入出庫領域3に配置される。
【0040】
図3は、機械式駐車設備1に手動運転車両を入庫するときの手順の概略を示すフローチャートである。ここでは、車両Vが運転者によって運転操作される手動運転車両である。
【0041】
また、機械式駐車設備1の個々の利用者は、機械式駐車設備1を利用することを予め契約した契約者である。契約者には、例えば、同契約者の認証情報が記憶された専用のICカードが貸与されている。制御装置8の記憶部には、予め複数の契約者(利用者)の認証情報が記憶されている。
【0042】
利用者である運転者は、車両Vを出入口4の前で停車して、操作盤7のICカードリーダにICカードをタッチすることにより第1認証操作を行う(ステップS1)。
【0043】
制御装置8は、第1認証操作が実行されると、これにより入力された認証情報と記憶部に記憶された契約者の認証情報とを照合する。そして、第1認証操作を行った利用者が契約者であることを認証すると、該利用者に紐づいた入庫車両が格納されていないことを確認すると入庫が求められていると判断し、搬送装置21を制御して空きパレット6を格納部から入出庫領域3へ搬送させる(ステップS2)。そして、空きパレット6が入出庫領域3に到着すると、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を開放させる(ステップS3)。
【0044】
出入口扉5が開放されると、利用者は、車両Vを入庫する。すなわち、車両Vを入出庫領域3のパレット6の所定の停車位置に乗り入れて停車し、原動機(エンジン、モータ等)を停止して降車しドアを施錠する(ステップS4)。そして、利用者は出入口4を通って入出庫領域3の外へ退出する(ステップS5)。
【0045】
次に、利用者は、入出庫領域3内の無人を確認し、操作盤7に設けられている安全確認釦を押す(ステップS6)。続けて、利用者は、第2認証操作を行う(ステップS7)。第2認証操作は、第1認証操作と同様、利用者が操作盤7のICカードリーダにICカードをタッチする操作である。
【0046】
制御装置8は、利用者が安全確認釦を押した後、物体検知センサ11~15の検知がなく、第2認証操作により入力された認証情報と、先の第1認証操作により入力された認証情報との照合を行い、これらの認証情報が一致すると、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を閉鎖させる(ステップS8)。なお、利用者が安全確認釦を押した後、出入口扉5が閉鎖される前に物体検知センサ11~15が人や物体を検知すると、利用者が再度安全確認を行った上で安全確認釦を押さないと出入口扉5を閉鎖できないようにしている。
【0047】
次に、制御装置8は、出入口扉5が完全に閉じられた後、搬送装置21を制御して車両Vが搭載されたパレット6を所定の格納部へ搬送させる(ステップS9)。以上は正常な入庫処理の手順である。なお、出庫処理の手順は、入庫と出庫の相違はあるものの、概ね入庫処理の手順と同様である。
【0048】
なお、上記では、第1認証操作及び第2認証操作にICカードを用いた操作を例示したが、これに限らず、暗証番号による認証、指紋などによる生体認証、スマートフォンを用いた認証など種々の公知の方法を用いることができる。
【0049】
上記入庫処理のステップS4で、車両Vは、運転席の着座スイッチがOFFの状態でドアが施錠されると、車内人検知手段52が起動し、車内に人が検知されると、信号出力手段53から車内有人信号が出力される。この場合、制御装置8は、信号取得手段9から車内有人信号(車内人情報)を取得する(ステップS11)。
【0050】
制御装置8では、装置制御部81が動作装置20(搬送装置21および扉開閉装置22)の動作の制御を行う。そして、判定部82は、車両Vがパレット6の停車位置に停車した後、装置制御部81の制御による動作装置20の動作を許可するか不許可とするかの判定を行う。具体的には、判定部82は、車両Vがパレット6の停車位置に停車し、運転者の降車を検知した後、所定時間内に信号取得手段9が車内有人信号を取得しなかった場合には、動作装置20の動作を許可し、所定時間内に信号取得手段9が車内有人信号を取得した場合には、動作装置20の動作を不許可とする。ここで、運転者の降車の検知は、車両Vのドアの開閉を検知可能な物体検知センサ11,12の出力から認識するようにしてもよいし、入出庫領域3内を撮影する監視カメラの画像から認識するようにしてもよい。なお、車両Vが、後述のように無人運転で入庫した自動運転車両である場合は、運転者の降車を検知することなく、車両Vがパレット6の停車位置に停車した直後から上記所定時間の計時を開始するようにしてもよい。
【0051】
装置制御部81は、判定部82の判定結果を反映して動作装置20の動作を制御する。すなわち、装置制御部81は、判定部82が動作装置20の動作を許可している場合には、ステップS5,S6,S7が行われた後の、扉開閉装置22による出入口扉5の閉鎖(ステップS8)および搬送装置21によるパレット6の格納部への搬送(ステップS9)を行い、判定部82が動作装置20の動作を不許可としている場合には、出入口扉5の閉鎖(ステップS8)およびパレット6の格納部への搬送(ステップS9)を行わせない。
【0052】
よって、車両Vの車内に幼児等の乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる。なお、判定部82が不許可と判定した場合には、操作盤7に備えられているスピーカ等の報知部から車内に乗員が置き去りにされていることを報知するようにしてもよい。
【0053】
このように判定部82が不許可と判定した場合、運転者が車内を確認して置き去りにされている乗員を降車させた後、操作盤7に備えられている車内無人確認釦を押すと、判定部82が動作装置20の動作を許可するようにしてもよい。この場合、判定部82は、車内無人確認釦が押されると車内が無人であるという情報を取得し不許可状態を解除し許可状態とするが、車内無人確認釦が押されるまでは不許可状態を維持する。
【0054】
また、全ての利用者の車両Vに居残り検知出力手段(車内人検知手段52及び信号出力手段53)が備えられているとは限らない。そこで、制御装置8は車両判別手段83を有している。車両判別手段83は、入庫する車両Vが居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを判別する。本例においては、車両Vが居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを判別することは、車両Vが車内の人を検知したときに車内有人信号を発する車両であるか否かを判別することである。
【0055】
<車両判別手段の第1例>
この第1例の場合、制御装置8の記憶部には、利用者車両情報が記憶されている。利用者車両情報は、契約者の認証情報と、同契約者の車両が居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを示す車両判別情報とが関連付けられた情報である。
【0056】
制御装置8は、認証手段として機能し、前述のステップS1において第1認証操作が実行されると、それによって入力された認証情報と利用者車両情報に含まれる契約者の認証情報とを照合し、第1認証操作を行った利用者が契約者であることを認証した場合には同契約者の車両判別情報に基づいて、車両Vが居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを判別する(車両判別手段83の機能)。
【0057】
<車両判別手段の第2例>
この第2例の場合、出入口4の付近には、出入口4の外に停車した車両Vのナンバープレートを撮影するカメラが備えられている。また、制御装置8には、契約者の車両を含む複数の車両の自動車登録番号の情報と、同自動車登録番号の車両が居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを示す車両判別情報とが関連付けられた情報が記憶された車両データベースを備えている。
【0058】
車両判別手段83は、上記カメラの撮影画像を取得し、文字認識処理を行ってカメラの撮影画像から車両Vの自動車登録番号を認識する。そして、車両データベースを参照して上記認識した車両Vの自動車登録番号と関連付けられた車両判別情報に基づいて、車両Vが居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを判別する。
【0059】
なお、車両データベースは、制御装置8ではなく、外部サーバ(例えば、外部の自動車登録情報提供機関等のサーバ)に備えられていてもよい。車両データベースが外部サーバに備えられている場合、制御装置8は、通信装置10からインターネット等の外部通信網、を介して車両Vの自動車登録番号を外部サーバへ送信すると、外部サーバから当該自動車登録番号と関連付けられた車両判別情報が送信されて通信装置10で受信される。
【0060】
<車両判別手段の第3例>
この第3例では、居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを示す車両判別情報が付与された所定の駐車ステッカを契約者の車両の所定位置に貼付している。そして、入出庫領域3には、駐車ステッカを撮影するカメラが備えられている。
【0061】
車両判別手段83は、カメラで撮影された車両Vの駐車ステッカの画像から駐車ステッカに付与された車両判別情報を認識することで、車両Vが居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを判別する。
【0062】
<車両判別手段の第4例>
この第4例では、契約者の車両を特定する情報である車両特定情報が付与された所定の駐車ステッカを契約者の車両の所定位置に貼付している。そして、入出庫領域3には、駐車ステッカを撮影するカメラが備えられている。車両特定情報は、例えば、各契約者の車両に任意に付与された番号である。この場合、制御装置8の記憶部には、車両特定情報と関連付けられた車両判別情報とが記憶されている。
【0063】
車両判別手段83は、カメラで撮影された駐車ステッカの画像から車両Vの駐車ステッカに付与された車両特定情報を認識し、認識した車両特定情報と関連付けられた車両判別情報に基づいて、車両Vが居残り検知出力手段を備えた車両であるか否かを判別する。
【0064】
上記のいずれかの例の車両判別手段83によって、入庫した車両Vが居残り検知出力手段を備えた車両であると判別した場合、すなわち、ここでは、車両Vが車内の人を検知したときに車内有人信号を発する車両であると判別した場合には、判定部82は前述のようにして動作装置20の動作の許可、不許可の判定を行う。すなわち、判定部82による判定の前に、車両判別手段83による判別が行われる。
【0065】
また、車両判別手段83によって、居残り検知出力手段を備えた車両であることを判別できない場合には、例えば、操作盤7のスピーカやディスプレイを用いて、操作盤7に備えられた車内無人入力操作釦(無人入力操作部)を押す操作の依頼を利用者へ報知するように構成してもよい。この場合、利用者が車内無人入力操作釦を押すと、車内が無人である旨の情報が制御装置8に入力される。これにより、判定部82は動作装置20の動作を許可する。前記車内無人入力操作釦は、車外の入出庫領域3内の無人確認を含む安全確認釦であってもよい。
【0066】
<車内人情報の第1変形例>
前述の例では、車両Vの信号出力手段53が出力する車内人情報として、車内有人信号を出力するようにしたが、この第1変形例では、車内人検知手段52が機能して車内に人が検知されない場合に、車両制御装置51は、信号出力手段53に車内が無人であることを示す信号である車内無人信号を出力させる。つまり、信号出力手段53は、車内人情報として、車内無人信号を出力し、車内有人信号を出力しない。
【0067】
この場合、ステップS4で、車両Vは、運転席の着座スイッチがOFFの状態でドアが施錠されると、車内人検知手段52が起動し、車内に人が検知されないと、信号出力手段53から車内無人信号が出力される。この場合、制御装置8は、信号取得手段9から車内無人信号(車内人情報)を取得する(ステップS11)。
【0068】
この第1変形例の場合、判定部82は、車両Vがパレット6の停車位置に停車し、運転者の降車を検知した後、信号取得手段9が車内無人信号を取得するまでは、動作装置20の動作を不許可とし、信号取得手段9が車内無人信号を取得すると、動作装置20の動作を許可する。ここで、不許可の状態が所定時間継続した場合に、報知部から車内に乗員が置き去りにされていることを報知するようにしてもよい。
【0069】
この第1変形例において、車内無人信号は、例えば、前述の車内有人信号の場合と同様、車両Vが有する灯火類の点滅信号であってもよいし、車両Vが有する警笛またはブザーの鳴動であってもよい。
【0070】
<車内人情報の第2変形例>
第2変形例では、信号出力手段53が、車内人情報として、上述の車内有人信号と車内無人信号とを出力可能である。
【0071】
この場合、ステップS4で、車両Vは、運転席の着座スイッチがOFFの状態でドアが施錠されると、車内人検知手段52が起動し、車内に人が検知されると、信号出力手段53から車内有人信号が出力され、車内に人が検知されないと、信号出力手段53から車内無人信号が出力される。
【0072】
この第2変形例の場合、判定部82は、車両Vがパレット6の停車位置に停車した時点で動作装置20の動作は不許可状態であり、運転者の降車を検知した後、信号取得手段9が車内無人信号を取得した場合には、動作装置20の動作を許可し、信号取得手段9が車内有人信号を取得した場合には、動作装置20の動作を不許可のままとする。ここで、信号取得手段9が車内有人信号を取得した場合には、報知部から車内に乗員が置き去りにされていることを報知するようにしてもよい。
【0073】
この第2変形例において、車内無人信号および車内有人信号は、車両Vが有する灯火類の点滅信号であってもよいし、車両Vが有する警笛またはブザーの鳴動であってもよい。例えば、灯火類の点滅信号とする場合、車内無人信号および車内有人信号とで点滅回数または点滅間隔等を異ならせるようにしてもよい。また、警笛またはブザーの鳴動とする場合、車内無人信号および車内有人信号とで鳴動時間または鳴動間隔等を異ならせるようにしてもよい。また、車内無人信号および車内有人信号のいずれか一方を灯火類の点滅信号とし、他方を警笛またはブザーの鳴動としてもよい。
【0074】
上記では、車両Vが手動運転車両として説明したが、車両Vが自動運転車両であってもよい。自動運転車両の場合には、
図3のステップS4において、自律走行によって車両Vを入庫させて、パレット6の所定の停車位置に停車させることができる。
【0075】
なお、車両Vと機械式駐車設備1とが無線通信可能に構成される場合には、車両Vの車内人検知手段52の検知結果に応じて、車両Vの通信装置54から車内有人信号または車内無人信号を送信し、機械式駐車設備1の通信装置10で受信するようにしてもよい。この場合、通信装置54が信号出力手段となり、通信装置10が信号取得手段となる。また、この場合、機械式駐車設備1の制御装置8が通信装置10を介して、車両Vに車内人検知手段52の検知結果を問い合わせるようにしてもよい。また、この場合、利用者が第2認証操作(ステップS7)を行う直後ぐらいまでに、車両Vから車内人検知手段52の検知結果(車内有人信号または車内無人信号)を受信することが好ましい。
【0076】
例えば、車両Vが入出庫領域3へ進入し停車位置に停車時点では判定部82は初期値として動作不許可状態であり、制御装置8は、入出庫領域3に進入した車両Vに対し、車内人検知手段52の検知結果を問い合わせるための問合せ信号を通信装置10に送信させる。例えば、車両Vが停車位置に停止した直後に通信装置10が車両Vに上記問合せ信号を送信する。その応答として通信装置10が車両Vから車内無人信号を受信すれば無人の自動運転車両とみなし、判定部82は動作装置20の動作を許可する。一方、通信装置10が上記問合せ信号を送信し、車内無人信号を受信しなければ、車内有人の可能性ありとして判定部82は動作不許可状態を維持する。その後、車両Vのドア開を検知したあと、車両Vの全ドア閉を検知すれば通信装置10によって再度問い合わせを行う。この再度の問い合わせで通信装置10が車内無人信号を受信すれば判定部82は動作を許可し、受信できなければ動作を不許可として利用者(運転者)にアナウンスなどで車内の無人確認を求める。そして、利用者が操作盤7の車内無人入力操作釦を押すと、判定部82は動作を許可するようにしてもよい。また、上記説明において、判定部82は、動作装置20の動作を許可する条件に、入出庫領域人検知手段によって入出庫領域3内に人が検知されていないことを含むようにしてもよい。この場合、入出庫領域3内に人が検知されていれば、判定部82は、動作装置20の動作を不許可とする。入出庫領域人検知手段は、例えば、物体検知センサ11~15や監視カメラおよび制御装置8等によって構成され、入出庫領域3内の人を検知する手段である。また、停車位置に停車した車両Vのドアの開閉は、例えば、物体検知センサ11,12等によって構成されるドア開閉検知手段によって検知される。
【0077】
また、車両Vから車内有人信号を受信して判定部82が不許可と判定した場合、運転者が車両Vのドアを開けて車内を確認し、置き去りにされている乗員を降車させ車両Vのドアを閉じると、制御装置8は車両Vに車内人検知手段52の検知結果を問い合わせ、車両Vから車内無人信号を受信すると、判定部82が動作装置20の動作を許可するようにしてもよい。この場合、判定部82は、車内無人信号を受信するまでは不許可状態を維持する。この車内無人信号を受信後に、運転者がステップS6,S7の操作を行うと、ステップS8,S9の処理が実行される。
【0078】
図4は、機械式駐車設備1に自動運転車両を入庫するときの手順の概略を示すフローチャートである。ここでは、車両Vが自律走行可能な自動運転車両である。この自動運転車両Vには、車両Vの周囲の人を検知可能な車外人検知手段をさらに備えている。車外人検知手段は、自動運転車両に備えられるアラウンドビューモニターと画像認識装置、周辺ソナー、LIDAR等の情報を用いて人を検知するように構成される。
【0079】
本例では、例えば機械式駐車設備1の出入口4の手前の所定の領域に自動運転車両専用の乗降領域が設定されている。この乗降領域は、出入口4から所定距離(例えば数mあるいは数m以上)離れた場所でもよい。
【0080】
自動運転車両Vが入庫する場合、車両Vは、自動運転または手動運転によって所定の乗降領域に来て停車し、運転者と同乗者全員が降車する。ここで、運転者は降車前または降車後に、例えば操作端末を操作して、車両Vに対して自動運転によって機械式駐車設備1に駐車するよう入庫指令を出す。
【0081】
上記の操作端末には、自動運転車両Vおよび機械式駐車設備1に関するソフトウェアが予めインストールされている。この操作端末は、自動運転車両Vに備えられた端末であってもよいし、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。そして、操作端末と車両V(車両制御装置51)とは通信可能である。また、車両V(車両制御装置51)と、機械式駐車設備1(制御装置8)とは、それぞれの通信装置54,10を介して無線通信可能である。
【0082】
前述のように、操作端末から車両制御装置51へ自動運転による入庫指令が送信されると、車両Vから機械式駐車設備1へ自動運転による入庫依頼信号と車両Vの自動車登録番号を送信する。
【0083】
また、自動運転車両専用の乗降領域には、この乗降領域に停車した車両Vのナンバープレートを撮影するカメラが備えられている。また、制御装置8には、契約者の車両の自動車登録番号の情報と、同契約者が利用するパレットの情報とが関連付けられた情報が記憶されている。
【0084】
制御装置8は、上記カメラの撮影画像を取得し、文字認識処理を行ってカメラの撮影画像(ナンバープレート)から車両Vの自動車登録番号を認識し、車両Vから送信された自動車登録番号とを照合し、一致すれば、当該車両Vからの入庫要求(ステップS21)があったものと判断する。
【0085】
そして、制御装置8は、搬送装置21を制御して、上記車両Vの自動車登録番号に関連付けられた空きパレット6を格納部から入出庫領域3へ搬送させる(ステップS22)。そして、空きパレット6が入出庫領域3に到着すると、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を開放させる(ステップS23)。
【0086】
出入口扉5が開放されると、機械式駐車設備1から車両Vへ入庫許可信号が送信され、車両Vは自動運転によって入庫する。この際、機械式駐車設備1から車両Vへ入庫経路および停車位置等に関する情報が送信されてもよい。そして、車両Vは自律走行によって入出庫領域3のパレット6の所定の停車位置に乗り入れて停車し、原動機を停止する(ステップS24)。
【0087】
次に、制御装置8は、車両V外部の入出庫領域3内が無人であることを確認する(ステップS25)。この無人の確認は、物体検知センサ11~15の出力から認識するようにしてもよいし、入出庫領域3内を撮影する監視カメラの画像データから認識するようにしてもよい。この場合、物体検知センサ11~15や監視カメラおよび制御装置8等が入出庫領域人検知手段となり、この入出庫領域人検知手段によって人が検出されていなければ入出庫領域3内が無人であると判断する。
【0088】
制御装置8は、入出庫領域3内の無人を確認すると、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を閉鎖させる(ステップS26)。
【0089】
次に、制御装置8は、出入口扉5が完全に閉じられた後、搬送装置21を制御して車両Vが搭載されたパレット6を所定の格納部へ搬送させる(ステップS27)。以上は正常な入庫処理の手順である。なお、出庫処理の手順は、入庫と出庫の相違はあるものの、概ね入庫処理の手順と同様である。
【0090】
なお、上記のステップS25では、入出庫領域3の無人確認を機械式駐車設備1に備えられたセンサ等の入出庫領域人検知手段を用いて行うようにしたが、これに代えて、または、これに加えて、車両Vに備えられた車外人検知手段を用いてもよい。この車外人検知手段の検知結果の情報は、車両Vから機械式駐車設備1へ送信される。ここで、入出庫領域人検知手段と車外人検知手段との両方の検知結果の情報を用いて入出庫領域3内の無人確認を行うことにより、より安全性を担保できる。
【0091】
上記の入庫処理において、車両Vの車内人検知手段52は、運転者が自動運転車両専用の乗降領域で降車し、ドアを施錠すると起動し、車内に人が検知されると、信号出力手段53から車内有人信号が出力される。そして、車両Vに残っている全ての乗員が降車し、ドアを施錠すると、車内人検知手段52が起動するが人は検知されず、車内が無人であることを示す車内無人情報が車両制御装置51へ伝達される。すると、車両制御装置51は、通信装置54を介して車内無人情報を機械式駐車設備1へ送信する。制御装置8は、通信装置10で受信した車内無人情報(車内人情報)を取得する(ステップS31)。
【0092】
この場合、判定部82は、車両Vがパレット6の所定の停車位置に停車する前(入庫する前)に、車内が無人であることを示す車内無人情報を取得しており、車両Vが停車位置に停車したときに、動作装置20の動作を許可する判定を行う。
【0093】
一方、自動運転車両Vであっても、運転者が運転操作して入庫する場合が考えられる。この場合の手順について
図4を参照して説明する。
【0094】
運転者は、まず、車両Vを自動運転車両専用の乗降領域に停車させ、操作端末を操作して、車両Vに対して手動運転によって機械式駐車設備1に駐車するよう入庫指令を出す。
【0095】
このように、操作端末から車両制御装置51へ手動運転による入庫指令が送信されると、車両Vから機械式駐車設備1へ手動運転による入庫依頼信号と車両Vの自動車登録番号を送信する。
【0096】
制御装置8は、前述のように、カメラの撮影画像(ナンバープレート)から車両Vの自動車登録番号を認識し、車両Vから送信された自動車登録番号とを照合し、一致すれば、当該車両Vからの入庫要求(ステップS21)があったものと判断し、空きパレット6を格納部から入出庫領域3へ搬送させ(ステップS22)、出入口扉5を開放させる(ステップS23)。
【0097】
出入口扉5が開放されると、運転者は、手動運転によって車両Vをパレット6の所定の停車位置に乗り入れて停車し、原動機を停止して降車し、ドアを施錠する(ステップS24)。続いて、運転者は、入出庫領域3から退出する。
【0098】
そして、制御装置8は、前述の入出庫領域人検知手段および/または車両Vの車外人検知手段によって入出庫領域3内の車両外部の無人を確認する(ステップS25)。制御装置8は、入出庫領域3内の無人を確認すると、出入口扉5を閉鎖させ(ステップS26)、車両Vが搭載されたパレット6を所定の格納部へ搬送させる(ステップS27)。
【0099】
上記の入庫処理において、車両Vの車内人検知手段52は、ステップS24で車両Vを入出庫領域3へ入庫させてパレット6の所定の停車位置に停車し、運転者が原動機を停止して降車し、ドアを施錠すると起動する。このことは、運転者が車内に残留した状態で自動運転による車両Vで入庫する場合も同様である。
【0100】
そして、上述のように起動した車内人検知手段52によって人が検知された場合には、信号出力手段53から車内有人信号が出力され、人が検知されない場合には、信号出力手段53から信号は出力されない。ここでは、手動運転車両の場合と同様であり、信号出力手段53から車内有人信号が出力されると、信号取得手段9に車内有人信号が入力され、制御装置8に取得される。すると、判定部82では、動作装置20の動作を不許可と判定する。この場合、装置制御部81は、扉開閉装置22による出入口扉5の閉鎖(ステップS26)および搬送装置21によるパレット6の格納部への搬送(ステップS9)を行わせない。よって、車両Vの車内に幼児等の乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる。また、判定部82が不許可と判定した場合には、操作盤7に備えられているスピーカや操作端末等の報知部から車内に乗員が置き去りにされていることを報知するようにしてもよい。
【0101】
なお、自動運転車両Vは、車内人検知手段52によって人が検知された場合には通信装置54から車内有人信号を機械式駐車設備1へ送信するようにしてもよい。また、自動運転車両Vは、車内人検知手段52によって人が検知されなかった場合には通信装置54から車内無人信号を機械式駐車設備1へ送信するようにしてもよい。
【0102】
また、自動運転車両Vの場合、当該車両Vから機械式駐車設備1へ送信される入庫依頼信号に車内有人/無人に関する情報が含まれていてもよいし、手動運転車両の場合と同様にパレット6上に停車した車両Vから車内有人/無人信号を受信してもよいが、無人の自動運転車両では、停車後のドア開閉やドアロックが行われないため、信号の送受信タイミングは、例えば、停車後、所定時間以内などと設定しておけばよい。いずれにせよ、操作端末から車両制御装置51へ自動運転による入庫指令が送信されてから、制御装置8が扉開閉装置22を制御して出入口扉5を閉鎖させる前までに車両Vから制御装置8に対して車内有人/無人信号が送信されればよい。
【0103】
なお、上記では、操作端末から車両制御装置51へ自動運転または手動運転による入庫指令を送信すると、車両Vから機械式駐車設備1へ自動運転または手動運転による入庫依頼信号と車両Vの自動車登録番号を送信するように構成したが、操作端末から機械式駐車設備1へ自動運転または手動運転による入庫依頼信号と車両Vの自動車登録番号を送信するように構成してもよい。
【0104】
また、自動運転車両と手動運転車両とで入出庫領域3への出入口が別々になっている場合や、機械式駐車設備が自動運転車両専用の場合において、自動運転車両専用の乗降領域と入出庫領域3の出入口とが離れているときには、機械式駐車設備の自動運転車両の出入口の出入口扉5が省略されてもよい。
【0105】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、入庫車両の車内に乗員を置き去りにすることを防止し、安全性を高めることができる機械式駐車設備等として有用である。
【符号の説明】
【0107】
V 車両
1 機械式駐車設備
3 入出庫領域
4 出入口
5 出入口扉
9 信号取得手段
20 動作装置
21 搬送装置
22 扉開閉装置
52 車内人検知手段
53 信号出力手段
81 装置制御部
82 判定部
83 車両判別部