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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143253
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】積層装置及び積層方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/28 20060101AFI20230928BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230928BHJP
   B65G 57/06 20060101ALI20230928BHJP
   B65H 31/08 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65H29/28
B25J13/00 Z
B65G57/06
B65H31/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050533
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】太田 陽平
【テーマコード(参考)】
3C707
3F029
3F054
3F106
【Fターム(参考)】
3C707AS03
3C707BS12
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS21
3C707KT01
3C707KT05
3C707KX10
3C707NS02
3C707NS10
3F029AA02
3F029AA04
3F029BA11
3F029CA52
3F029CA60
3F029DA21
3F054AA06
3F054AC09
3F054BA02
3F054BJ03
3F054DA11
3F106AA02
3F106AA05
3F106CA03
3F106CA04
3F106CA23
3F106CA32
3F106LA16
3F106LB08
(57)【要約】
【課題】可撓性を有するシート状のワークの折れ曲がりを抑制してそれらワークを適正に積層可能とすること。
【解決手段】可撓性を有するシート状のワークWを収容箱12の底板部41の上に積み重ねる積層装置10は、ワークWを把持するハンド24が設けられたロボット13と、コンベア11により搬送されたワークWがロボット13によって仮置きされる仮置き用治具14とを備えている。仮置き用治具14は、収容箱12の上方に配置された一対の棒状部材36からなる仮置き部33を有している。それら棒状部材36は、両棒状部材36の間に隙間が形成されるようにして互いに離間している。ロボット13は、その隙間の少なくとも一部を覆うようにして仮置き用治具14にワークWを仮置きし、当該仮置きされたワークWにおいて上記隙間を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークWを当該隙間を通じて底板部41へ落下させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する複数のシート状のワークを所定の載置部の上に積み重ねる積層装置であって、
前記所定の載置部の上方に配置され、前記ワークが仮置きされる治具を備え、
前記治具には前記ワークが前記所定の載置部へ落下する際に通過可能な通過部が形成されており、
前記ワークを前記通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記治具に仮置きし、当該仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へ落下させる積層装置。
【請求項2】
前記治具に仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧して前記ワークを下側に凸となるように湾曲させ、少なくとも前記通過部を通過する間は前記ワークが湾曲した状態のままとなるようにして前記ワークを落下させる請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記治具は、横並びとなるように配設され隙間を隔てて相対向する一対の対向部を有し、
前記隙間が前記通過部となっており、
前記隙間は、上方から見て前記対向部の並び方向と直交する方向における一端側から他端側へ徐々に大きくなっており、
前記ワークが前記治具に仮置きされている状況下にて、当該ワークにおいて前記一端寄りとなる部分を押圧することにより前記通過部を通じて当該ワークを落下させる請求項1又は請求項2に記載の積層装置。
【請求項4】
可撓性を有する複数のシート状のワークを所定の載置部の上に積み重ねる積層方法であって、
前記所定の載置部の上方に位置し、前記ワークが通過可能な通過部が形成されている治具に、当該通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記ワークを仮置きする仮置き工程と、
前記ワークの仮置きが完了した後に、当該仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へと落下させる押圧工程と
を有する積層方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層装置及び積層方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを積層する積層装置には、コンベアで搬送したワークを当該コンベアの終端から収容箱に向けてそのまま投入するように構成されたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-136720号公報
【特許文献2】特開平10-324302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタイプの積層装置においては、ワークが強固、具体的には落下中に変形しない程度に強固であれば、落下時のワークの変形によってそれらワークの落下姿勢に乱れが生じる可能性は低く、ワーク群の落下姿勢や落下軌道のばらつきは小さくなる。故に、ワークを所定の載置部(収容箱の底部等)にて適正に積層することができる。
【0005】
これに対して、ゴムシートや樹脂フィルム等の柔らく容易に変形し得るワークを積層対象とした場合には、落下時に外力を受けてワークが様々に変形することで、ワーク群の落下姿勢や落下軌道のばらつきが大きくなると懸念される。ワークが想定外の姿勢や軌道で落下した場合には、例えばワークの端部等が折れ曲がった状態のまま載置される可能性が高まり、当該ワークの上に後続のワークが積み上がることで以下の懸念が生じる。すなわち、折れ曲がった部分に癖がついて良品の割合が低下し得る。また、折れ曲がり生じたワークの数が多くなると、積層されたワーク群のバランスが悪くなると想定される。このようなバランスの悪化は、想定している数のワークを積層できなくなったり、搬送中等に荷崩れが生じやすくなったりする要因となり得る。つまり、可撓性を有するシート状のワークの折れ曲がりを抑制してそれらワークを適正に積層する上では、積層に係る構成に未だ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、可撓性を有するシート状のワークの折れ曲がりを抑制してそれらワークを適正に積層可能な積層装置及び積層方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0008】
第1の手段.可撓性を有する複数のシート状のワークを所定の載置部の上に積み重ねる積層装置であって、
前記所定の載置部の上方に配置され、前記ワークが仮置きされる治具を備え、
前記治具には前記ワークが前記所定の載置部へ落下する際に通過可能な通過部が形成されており、
前記ワークを前記通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記治具に仮置きし、当該仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へ落下させる。
【0009】
所定の載置部の上方に配置された治具にワークを仮置きした後に、当該ワークにおいて治具の通過部を覆っている部分を上方から押圧する。これにより、ワークは通過部を通じて所定の載置部へと落下することとなる。このような構成とすれば、落下開始前のワークの姿勢を揃えることが可能となり、例えばコンベア等の搬送装置からワークをダイレクトに投入する構成と比較してワークが落下を開始するタイミングにおける当該ワークの姿勢のばらつきを軽減し得る。そして、各ワークが押圧されて同じように形を変えながら通過部を通過することにより、少なくとも通過部を通過している最中はワークが様々なパターンに変形することを抑制できる。これにより、可撓性を有するシート状のワークが積層対象となっている場合に、落下中のワークの姿勢の乱れを抑制して、落下の態様をコントロールしやすくなる。また、仮に装置の動作速度(例えば押圧の速さ)が変動したとしても、その影響がワークの落下姿勢に影響しにくい。以上の理由から、ワークが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークを適正に積層し得る構成を実現できる。
【0010】
第2の手段.可撓性を有する複数のシート状のワークを所定の載置部の上に積み重ねる積層方法であって、
前記所定の載置部の上方に位置し、前記ワークが通過可能な通過部が形成されている治具に、当該通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記ワークを仮置きする仮置き工程と、
前記ワークの仮置きが完了した後に、当該仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へと落下させる押圧工程と
を有する。
【0011】
第2の手段に示す積層方法によれば、ワークが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークを適正に積層し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態における積層装置を示す概略図。
図2】ワークの積層状態を例示した概略図。
図3】収容箱と仮置き用治具との関係を示す平面図。
図4】ワークの積層の流れを示す概略図。
図5】落下時のワークの姿勢を例示した概略図。
図6】ロボットの動作軌道を示す概略図。
図7】積層の様子を示す概略図。
図8】変形例を示す概略図。
図9】第2の実施形態における積層装置を示す概略図。
図10】積層の様子を示す概略図。
図11】第3の実施形態における積層の様子を示す概略図。
図12】変形例を示す概略図。
図13】変形例を示す概略図。
図14】変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、可撓性を有するシート状のワークを積み重ねる積層装置に具現化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、積層装置を工場の箱詰め工程に適用した場合について例示している。積層装置によってワークの箱詰めを行う点に鑑みれば、本実施形態における積層装置については箱詰め装置であるとも言える。
【0014】
図1に示すように、前工程である加工工程にて加工されたワークWがコンベア11によって本箱詰め工程に順に搬送される。箱詰め工程に配設された積層装置10は、コンベア11により搬送されたワークWを収容箱12に箱詰めするロボット13を備えている。ロボット13は、垂直多関節型の産業用ロボットであるロボット本体21と、当該ロボット本体21に付属するサーボアンプと、コントローラ25とを有している。
【0015】
ロボット本体21は、ロボット用の台座に固定されるベースと、ベースに取り付けられた6軸のアーム22と、アーム22の先端部23に配設されたツールであるハンド24とを有してなる。アーム22は6つの可動部が連結されてなり、関節部毎にそれら可動部を駆動させるモータと各モータの回転角度を検出するエンコーダとが配設されている。また、アーム22にはカメラが搭載されている。カメラはコントローラ25に接続されており、コントローラ25ではカメラにより撮影された画像からワークWの位置等を特定可能となっている。
【0016】
サーボアンプには、コントローラ25と通信を行う通信部と、コントローラ25からの指令やエンコーダにより検出された回転角度等に基づいて各関節のモータの駆動制御等を行う制御部が設けられている。コントローラ25は、モーションコントローラ及び上位コントローラにより構成されている。モーションコントローラは、上位コントローラからの動作指示を受けてプログラム記憶部から当該動作指示に対応した動作プログラムを読み込み且つ読み込んだ動作プログラムから動作目標位置を特定する。その後は、特定した動作目標位置とロボット13のアーム22(各可動部)の現在の位置とを滑らかに繋ぐ目標軌道を生成し、当該目標軌道を細分化した位置である補間位置をサーボアンプに順次送信する。
【0017】
サーボアンプには、位置制御部、速度制御部、電流制御部及び各種情報を記憶する記憶部が設けられている。位置制御部ではエンコーダからの情報に基づいてモータの回転位置(すなわちアーム22の姿勢)を検出する。位置制御部及び速度制御部においては、検出した回転位置とモーションコントローラから受信した指令に含まれる補間位置との偏差に基づいて各モータの目標トルク及び目標回転速度を算出する。電流制御部は、算出された目標トルク及び目標回転速度に基づいて各モータに供給する電力(電流、電圧、パルス)を決定し、各モータに電力供給を行う。
【0018】
上位コントローラのメモリには、箱詰め用の制御プログラムが記憶されている。当該制御プログラムに基づいてモータ等を駆動させることにより、コンベア11によって搬送されたワークWを収容箱12に順次箱詰めするようにしてロボット本体21が動作する。この制御プログラムについては、ロボット13の製造時に上記メモリに記憶させておいてもよいし、インターネット回線等を通じてダウンロードされるようにしてもよい。
【0019】
ここで、図2を参照して、ワークWを箱詰めする際の留意点について説明する。図2の左側にはワークWが適正に積み重ねられた状態を例示しており、図2の右側にはワークWが適正に積み重ねられていない状態を例示している。柔らかく容易に変形し得るワークWを積層対象とした場合には、積層対象が硬質である場合と比較して、収容箱12の底板部41へ向けて落下中のワークWが抵抗等の外力によって様々に変形しやすくなる。ワークWの変形は、ワークWの落下姿勢や落下軌道のばらつきを大きくする要因になると想定される。
【0020】
ワークWが想定外の姿勢や軌道で落下した場合には、例えばワークWの端部等が折れ曲がった状態のまま載置される可能性が高まる。そして、当該ワークWの上に後続のワークWが積み重なることで以下の懸念が生じる。すなわち、折れ曲がった部分に癖がついて良品の割合が低下し得る。また、折れ曲がり生じたワークWの数が多くなると、ワーク群の高さが無駄に嵩んでしまい、収容されるワークWの数が少なくなり得る。また、収容箱12とワークW群との間にある程度の空間(図2の空間S参照)があれば、当該空間に手を入れてワークWを効率よく取り出すことができるものの、そのような空間がなければ手でワークWの取り出そうとした場合の作業効率は低下すると懸念される。本実施形態では、これらの事情に配慮した工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図1及び図3を参照して当該工夫について説明する。
【0021】
図1に示すように、ロボット本体21の正面には、ロボット13により搬送されたワークWが仮置きされる仮置き用治具14が設置されている。仮置き用治具14は、コンベア11の終端の先に位置しており、上方から見てコンベア11、ロボット本体21、仮置き用治具14がL字状をなすように配置されている。以下便宜上、仮置き用治具14側からロボット本体21を見た方向を「奥行方向」とし、ロボット本体21側を「奥側」、仮置き用治具14側を「手前側」として説明する。
【0022】
図3に示すように、仮置き用治具14は、床等に載置される平板状の台座31を有している。台座31の上面には、収容箱12用の位置決め部31aが形成されており、この位置決め部31aに配置された収容箱12の位置ずれが規制される構成となっている。収容箱12は、上記奥行方向に長い直方体状をなしており、上方に開放されている。この開放部分(以下、開口46という)は、2つの長辺部47(収容箱12における左右の板部42,43の上端縁)と2つの短辺部48(収容箱12における奥板部44の上端縁及び前板部45の上端縁)とで構成されており、開口46及び収容箱12の底板部41は何れもワークWよりも一回り大きくなっている。なお、以下の説明では、収容箱12においてコンベア11側の板部42を「右板部42」、それとは反対側の板部43を「左板部43」として適宜区別する。
【0023】
台座31において位置決め部31aの手前側となる部分には、当該台座31から起立するようにして2本の支柱32が設けられている。それら支柱32は、上方から見て奥行方向と直交する方向に並んでいる。支柱32の上端部は台座31に配置された収容箱12よりも上方に突出しており(図1参照)、それら上端部にはワークWの面部が上下を向いた状態(以下、水平状態ともいう)で当該ワークWが仮置きされる仮置き部33が設けられている。
【0024】
仮置き部33は、隙間35を隔てて相対向する一対の棒状部材36を有し、それら棒状部材36が片持ちとなるようにして支柱32に各々取り付けられてなる。棒状部材36は、先端がロボット本体21側を向いており、何れも水平且つ互いに平行となるように延びている。詳しくは、左右の棒状部材36はそれら棒状部材36の間に隙間35が生じるようにして相対峙している。また、各棒状部材36は、上方から見て、開口46を形成している2つの短辺部48に跨っており且つ位置決め部31aに配置された収容箱12の中心がそれら棒状部材36の間に位置するように配置されている。なお、棒状部材36が並んでいる方向(以下、幅方向という)における上記隙間35の大きさは、当該幅方向における開口46の大きさ、すなわち長辺部47間の距離よりも小さくなっている。詳細については後述するが、隙間35を通じてワークWが収容箱12の底板部41へ落下する点に鑑みれば、棒状部材36によって収容箱12の入り口が実質的に狭められているとも言える。ワークWが両棒状部材36に架け渡すようにして仮置きされることにより、上記隙間35の少なくとも一部が当該ワークWによって上方から覆われた状態となる。
【0025】
ここで、図4を参照して、ワークWを箱詰めする際のロボット13(ロボット本体21)の動作及びワークWの動きについて説明する。図4(a)に示すように、コンベア11によって搬送されたワークWは当該コンベア11の終端にて静止し、ロボット13に受け渡されることとなる。具体的には、コンベア11の終端にはハンド24を挿入可能な溝部51が形成されており、受け渡し対象となるワークWが終端にて静止した状態では、当該ワークWの縁部(一端)が溝部51の上方を横切っている(図1参照)。本実施形態ではハンド24を形成している一対の爪部24a(図1参照)によってワークWの当該縁部を上下に挟み込むことで当該ワークWを把持する構成となっている。つまり、溝部51を形成することで、ワークWの下側にハンド24の爪部24aの挿入隙を確保している。
【0026】
ワークWの上記一端を把持可能となる位置(把持位置P1)へハンド24を移動させて、当該ハンド24によりワークWの縁部の中央部分を把持する。ワークWの縁部を把持した後は、図4(a)→図4(b)に示すように、ハンド24をその向きのまま仮置き用治具14側(左側)へ水平移動するようにしてロボット13を動作させることにより、ワークWがコンベア11から仮置き部33へ移ることとなる。具体的には、ハンド24を仮置き部33を越えた先の位置(搬送位置P2)へ移動させる。なお、仮置き部33は、コンベア11の上面よりも少し低い位置に設けられているため、ワークWをコンベア11から仮置き部33へ円滑に搬送できる。
【0027】
ワークWを2つの棒状部材36に架け渡すようにして仮置きした状態では、ハンド24により把持された上記一端(左端)と、それとは反対側の他端(右端)とが仮置き部33から突出している。両端の突出量は同等となっており、棒状部材36によってワークWがバランスよく支持されている。言い換えれば、ワークWの仮置き位置は、仮置き部33からのワークWの突出量が左右両側で同等となる位置となるように規定されている。
【0028】
以上詳述したように、ロボット13はコンベア11から受け取ったワークWをそのまま収容箱12に投入するのではなく、仮置き用治具14を経由させるように構成されている。図4(b)→図4(c)に示すように、ワークWの仮置きを終えた後は、ハンド24によるワークWの把持状態を解除して、ワークWにおいて隙間35を覆っている部分の上方、詳しくは上記幅方向における隙間35の中央CP(図3参照)に対して上方となる位置(押圧準備位置P3)へハンド24が移動するようにロボット13を動作させる。この際、爪部24a(図1参照)の先端が下向きとなるようにしてアーム22の姿勢が変更される。
【0029】
ハンド24を押圧準備位置P3へ配置した後は、図4(c)→図4(d)に示すように、ハンド24を降下させてワークWを上方から押圧する。具体的には、押圧準備位置P3の直下となる位置であって、隙間35よりも下側となる位置(降下位置P4)へハンド24を移動させる。ワークWにおいて隙間35を覆っている部分を押圧することにより、ワークWが変形して下方に凸となるように湾曲した状態となる。すなわち、幅方向における両縁部(左右の端部)が互いに近づくようにして湾曲した状態となる。
【0030】
図4(d)→図4(e)に示すように、ワークWの押圧を終えた後、すなわち上記降下位置P4に到達した後は、ハンド24は直ちに上昇して、隙間35から離れる。具体的には、押圧準備位置P3よりも上側となるように設定されている位置(初期位置P0)へ移動する。これにより、湾曲した状態となった落下中のワークWがハンド24(アーム22)に引っ掛かることを抑制している。なお、初期位置P0への復帰に際して、爪部24a(図1参照)の先端が横向きとなるようにアーム22の姿勢が変更される。
【0031】
ワークWは、ハンド24が離れた後も自重によって変形を続け、図4(e)→図4(f)に示すように、湾曲した状態のまま隙間35を通過する。このように下に凸となるように湾曲した状態が「所定の姿勢」に相当する。ワークWは、隙間35を通過した後は、図4(f)→図4(g)に示すように、徐々に水平な状態に戻りつつ落下を続ける。そして、図4(g)→図4(h)に示すように、収容箱12の底板部41に到達することで湾曲した状態から水平状態に戻る。
【0032】
以上詳述した流れを繰り返すことにより、底板部41にワークWが積み上げられることとなる。
【0033】
ここで、図5を参照して、ワークWを下側に凸となるように湾曲させた状態とすることの技術的意義について説明する。
【0034】
例えば、図5(a)に示すように、ワークWを水平状態のまま落下させる構成を想定した場合には、ワークWの姿勢が少しでも変化すると、その変化が落下軌道に大きく影響し得る。例えば、ワークWが左側に傾けば落下軌道が左へずれやすくなり、ワークWが右側に傾けば落下軌道が右へずれやすくなると想定される。特に、ワークWが変形容易である場合には、自重や空気抵抗によって落下中にワークWが変形することで落下姿勢が大きく変化し得る。つまり、ワークWを水平状態のまま落下させようとすれば、落下姿勢のばらつきによって、落下位置についても大きくばらつくと懸念される。そして、落下姿勢が大きくばらつくことで上述した折れ曲がりも発生しやすくなると懸念される。これらの懸念は、収容箱12内部のように囲まれた空間にてワークWを落下させる場合に顕著になると想定される。
【0035】
これに対して、本実施形態に示すように、ワークWを下側に凸となるように湾曲させた状態で落下させる場合には、自重や空気抵抗によって落下中に変形するとしてもそのような変形についてはある程度パターン化されることとなり、水平状態のまま落下させる場合と比べて、変形のパターンの多様化を抑制できる。故に、水平状態で落下させる場合と比べて落下姿勢がばらつきにくくなり、落下軌道のずれも小さくなると期待できる(図5(b)参照)。これは、落下位置のばらつきの軽減やワークWの折れ曲がりの抑制によって、ワークWを適正に積層させる上で有利である。故に、本実施形態に示したように、少なくともワークWが隙間35を通過する過程で当該ワークWの落下姿勢(少なくとも落下初期の落下姿勢)をコントロールすることには技術的意義がある。
【0036】
また、敢えてワークWの角部が底板部41に衝突しにくい形状とした上で落下させることには、角部が底板部41に先当たりする等して上述した折れ曲がりが生じる機会を少なくできるという技術的意義がある。なお、仮に下側に凸となったまま底板部41に衝突した場合には、ワークWが自重によってフラットな状態に戻ることが期待できる。つまり、ワークWを積極的に湾曲させる構成を採用した場合であっても、当該ワークWをフラットな状態に戻すための手間が増えることは回避し得る。
【0037】
本実施形態では、ワークWを箱詰めする際のロボット13(詳しくはアーム22)の動作範囲が収容箱12の外に設定されている。ここで、図6を参照して、箱詰め用の動作制御プログラムにて規定されている動作目標位置及び目標軌道について補足説明する。ワークWの箱詰め用の制御プログラムにおいては、動作目標位置として、初期位置P0、把持位置P1、搬送位置P2、押圧準備位置P3、降下位置P4が設定されている。コントローラ25は、ハンド24が初期位置P0→把持位置P1→搬送位置P2→押圧準備位置P3→降下位置P4→初期位置P0の順に動作するように各モータを駆動させる。各位置P0~P4をつなぐ目標軌道については収容箱12の外に設定されており、ハンド24を当該目標軌道に沿って移動させる際のアーム22の動作領域についても収容箱12の外に設定されている。これにより、収容箱12とロボット13との接触を抑制している。特に、ワークWを落下させるべく降下位置P4へ移動させる場合にも、ロボット13は収容箱12の外で動作し、収容箱12の内部に入り込むわけではない。このため、この動作を行う際に収容箱12との距離を確認しながら慎重に動作軌道を調整する必要がなく、ロボット13の動きの円滑化を図る上で好ましい。故に、上記動作を繰り返す場合であっても、その効率を好適に向上させることができる。
【0038】
積層装置10によってワークWの箱詰めを行う際に、ロボット13が収容箱12に接触することは、収容箱12の位置ずれや破損の回避、ロボット13の保護を図る上で好ましくない。この点、収容箱12の開口46の上方に仮置きされたワークWを収容箱12に落下させる構成とすれば、ロボット13を収容箱12の底板部41付近まで降下させなくてもワークWを適正に積層できる。故に、ロボット13の主たる動作範囲を収容箱12の外に設定できる。これは、ロボット13と収容箱12との接触機会を少なくする上で好ましい。
【0039】
収容箱12(開口46)の上方に位置する仮置き部33にワークWを仮置きした後に、当該ワークWにおいて仮置き部33の隙間35を覆っている部分を上方から押圧する。これにより、ワークWは隙間35を通じて収容箱12の底板部41(「所定の載置部」に相当)へと落下する。このような構成とすれば、落下開始前のワークWの姿勢を揃えることが可能となり、例えばコンベア11からワークWをダイレクトに投入する構成と比較してワークWが落下を開始するタイミングにおける当該ワークWの姿勢のばらつきを軽減し得る。そして、各ワークWが押圧されて同じように形を変えながら隙間35を通過することにより、少なくとも隙間35を通過している最中はワークWが様々なパターンに変形することを抑制できる。これにより、可撓性を有するシート状のワークWが積層対象となっている場合に、落下中のワークWの姿勢の乱れを抑制して、落下の態様をコントロールしやすくなる。また、仮にロボット本体21の動作速度(ハンド24による押圧の速さ)が変動したとしても、その影響がワークWの落下姿勢に影響しにくい。以上の理由から、ワークWが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークWを適正に積層し得る構成を実現できる。
【0040】
本実施形態に示したように、棒状部材36の並び方向(上記幅方向)における隙間35の中央CPにてワークWを押圧することにより、ワークWを下側に凸となるように湾曲させる上で必要になる押圧力を極力小さくすることができる。これはワークWの保護を図る上で好ましい。なお、ワークWを下側に凸となるように湾曲させる際に両棒状部材36とワークWとが接触している部分の抵抗(摩擦抵抗)に差が生じると、ワークWを湾曲させる際にワークWの位置が上記並び方向にずれる可能性が高くなる。このような事象を生じにくくする上でも上記中央CPにてワークWを押圧することは好ましい。
【0041】
仮置き用治具14に仮置きしたワークWを速やかに落下させるには、ワークWの自重に頼るよりも隙間35の下側に設定された降下位置P4へ当該ワークWを押し込む構成とすることが好ましい。しかしながら、このような構成では、上述したような干渉が発生しやすくなる。そこで、降下位置P4への到達後はアーム22(ハンド24)を直ちに上昇させることにより、ワークWを速やかに降下させる構成を実現しつつ、ワークWの落下姿勢の乱れを抑制できる。
【0042】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、ワークWを下側に凸となるようにして湾曲させた状態で収容箱12の底板部41へ落下させる構成とした。これは、ワークWの落下姿勢のばらつきを抑制して、ワークWを適正に積層させる上で有利である。本実施形態では、ワークWの落下位置のばらつき、具体的には上記奥行方向におけるばらつきを更に軽減する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。まず、図7を参照して、奥行方向におけるばらつきの要因について説明する。
【0043】
第1の実施形態に示した積層装置10では、隙間35の中央CPに押圧箇所PPが設定されている。このため、ワークWが仮置き部33に適正に配置されていれば、ロボット13によってワークWの中心が押圧される。一方、仮置きされたワークWの位置が上記奥行方向の奥側や手前側にずれた場合には、ワークWの中央CPに対して手前側や奥側にずれた部分が押圧されることとなる。例えば、奥側にずれた位置で押圧した場合には、ワークWにおける手前側の縁部では押圧された部分と比べて落下が遅れる。これにより、隙間35を通過中のワークWの姿勢が奥側に傾くようにして変化する。この結果、ワークWの落下位置が手前側にずれるといった事象が発生し得る。一方、手前側にずれた位置で押圧した場合には、ワークWにおける奥側の縁部では押圧された部分と比べて落下が遅れる。これにより、ワークWの姿勢が手前側に傾くようにして変化する。この結果、ワークWの落下位置が奥側にずれるといった事象が発生し得る。つまり、ワークWが手前側にずれて落下する場合と奥側にずれて落下する場合とが発生することで、ワークWが奥板部44寄りとなる位置で積層されたり前板部45寄りとなる位置で積層されたりすることとなる。
【0044】
ここで、ワークWの落下位置がずれる方向を前板部45側及び奥板部44側の一方に揃えることができれば、ワークWを適正に積層させやすくなる。例えば、ワーク群が前板部45及び奥板部44の何れかに沿って積み重なることにより、積層されたワークW群と収容箱12の内面と間に隙間を確保しやすくなる。図8(a)には、そのような課題に配慮して、第1の実施形態に示した積層装置10の押圧箇所PPを隙間35の中央CPに対して手前側となる位置に偏倚させた変形例を示している(押圧箇所PPX参照)。この変形例によれば、仮置きされたワークWの位置が奥行方向にばらついたとしても、その殆どにてワークWにおける奥側の縁部の降下が遅れることとなる。つまり、ワークWは手前側に傾くこととなる。この結果、ワークWの落下位置のずれの方向を奥板部44側となるようにして揃えやすくなる。
【0045】
但し、このような変形例では、偶発的に上記ずれが大きくなった場合に、ワークWが手前側に大きく傾いて、収容箱12の奥板部44に寄りかかりやすくなる(例えば図8(b)参照)。つまり、ワークWの折れ曲がりを抑制する効果をある程度期待できるものの、第1の実施形態に対する優位性は小さくなると想定される。本実施形態では、これらの事情を配慮した工夫がされていることを特徴の1つとしている。以下、図9を参照して、本実施形態における特徴的な構成を第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0046】
本実施形態に示す仮置き用治具14Yは、2つの棒状部材36Yが同一水平面上に位置しており且つ左右対称となっている点では第1の実施形態に示した仮置き用治具14と同様である。但し、それら棒状部材36Yは、互いに非平行となっている。具体的には、上方から見た場合に、奥行方向に延びる基準線FLに対して各棒状部材36Yが基端を中心に内側へ傾いている(傾きα参照)。このような構成とすることにより、両棒状部材36Yの隙間35Yの幅(上記幅方向における大きさ)については、棒状部材36Yの基端側から棒状部材36Yの先端側に向けて徐々に小さくなっている。
【0047】
また、ワークWを仮置き部33Yに仮置きした状態では、棒状部材36Yに対する掛かり代が隙間35Yの幅が小さい部分では、隙間35Yの幅が大きい部分よりも大きくなる。この点でも、奥行方向における全域にて掛かり代が一定であった第1の実施形態と構成が相違している。
【0048】
本実施形態においては、ロボット13による押圧箇所PPYが、棒状部材36Yにおける先端側、すなわちロボット13側に偏倚した位置となるように設定されている。つまり、奥行方向にて隙間35Yが狭くなっている部分でワークWが押圧される構成となっている。押圧箇所PPYを単に偏倚させた場合には、上記図8に示した変形例と同様の理由によって、押圧されたワークWは奥行方向における奥側へ傾きやすくなる。この点、本実施形態では、上述したように隙間35Yが奥行方向にて徐々に小さくなっている。言い換えれば、押圧箇所PPYよりも遠い手前側部分では掛かり代が小さくなっている。このため、手前側部分ではワークWが少しでも降下すると、棒状部材36Yによる支えを失ってワークWの降下が一気に進むこととなる。つまり、手前側部分におけるワークWの落下の遅れを一部打ち消すように作用し、当該手前側部分における降下の遅れは小さくなる。
【0049】
本実施形態では、上記傾きαが落下の遅れを軽減させる大きさに設定されている。この結果、図10に示すように、押圧箇所PPYが奥行方向の手前側や奥側にずれた場合にはワークWが奥行方向における奥側へ傾くこととなるが、その傾きは小さく抑えられることとなる。故に、ワークWの折れ曲がりを抑制して、ワークWを適正に積み上げることができる。
【0050】
<第3の実施形態>
上記第1及び第2の実施形態では、仮置き部33に形成されている隙間35を覆うようにしてワークWを仮置きし、ワークWにて隙間35を覆っている部分を上方から押圧することにより、隙間35を通じて収容箱12の底板部41へ同ワークWを落下させる構成とした。本実施形態においては、ワークWにて隙間35を覆っている部分を上方から押圧して当該隙間35を通じて収容箱12の底板部41へ同ワークWを落下させる点では、第1の実施形態等と同様であるものの、仮置き部33と収容箱12との位置関係及びワークWの押圧箇所が第1の実施形態と異なっている。以下、図11を参照して、本実施形態における特徴的な構成を上記相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通の構成については基本的に説明を省略する。なお、以下の説明では、ロボット13を正面に見て、左側の棒状部材36を「左側棒状部材36L」、右側の棒状部材36を「右側棒状部材36R」として区別する。
【0051】
図11(a)に示すように、本実施形態における仮置き部33については、右側棒状部材36Rが収容箱12の右板部42の上方に位置している。これにより、上記幅方向における右側棒状部材36Rと収容箱12の右板部42との距離は、当該幅方向における左側棒状部材36Lと収容箱12の左板部43との距離よりも短くなっている。
【0052】
図11(a)→図11(b)に示すように、ワークWは右側棒状部材36R側に寄せて仮置きされる。具体的には、左側棒状部材36Lに対する掛かり代、すなわちワークWにおいて左側棒状部材36Lよりも左側へ延出している部分の長さが、右側棒状部材36Rに対する掛かり代、すなわちワークWにおいて右側棒状部材36Rよりも右側へ延出している部分の長さよりも、大きくなるようにしてワークWが仮置きされる。
【0053】
ワークWを仮置き部33に仮置きした後は、図11(b)→図11(c)に示すように、「押圧部」であるアーム22の先端部23(ハンド24)が、ワークWの上方に移動する。本実施形態では、図11(c)及び図11(d)に示すように、押圧箇所PPAが左側棒状部材36Lと右側棒状部材36Rとの中央ではなく、右側棒状部材36R側に偏倚した位置となるように設定されている。つまり、上述の如く掛かり代が相対的に小さくなっている側を押圧する構成となっている。
【0054】
図11(d)→図11(e)に示すように、アーム22の先端部23によって押圧されたワークWは、下側に凸となるように湾曲する。そして、左側棒状部材36Lとの掛かり代を残しつつ、当該ワークWの右側縁部が隙間35を先に通過することにより、全体として右側に傾くこととなる。このように、右側に傾いた姿勢が「所定の姿勢」に相当する。
【0055】
ワークWが右側に傾いた状態では、左側棒状部材36Lを中心とした回動と左側棒状部材36Lに接触したまま右側へ滑る動き(摺動)との両方が発生する。そして、ワークWの右側縁部が収容箱12の右板部42に当たる。その後は、図11(e)→図11(f)に示すように、左側棒状部材36Lとの掛かり代がほぼ0となり、ワークWが左側棒状部材36Lを離れて、隙間35を通り過ぎることとなる。
【0056】
図11(f)→図11(g)に示すように、ワークWが落下を続けると、当該ワークWにて下側に凸となっている部分及び右側縁部は、左側縁部よりも先に収容箱12の底板部41に到達し、遅れて当該左側縁部が底板部41に到達することとなる。
【0057】
ワークWの落下によって発生する折れ曲がりを抑制する上では、本実施形態に示したように当該ワークWの縁部を収容箱12の内面に当てるように姿勢をコントロールする方が、当該ワークWの角部を収容箱12の内面に当てるように姿勢をコントロールするよりも有利である。
【0058】
図11に示した流れを繰り返すことにより、落下姿勢のばらつきを軽減して、底板部41にワークWを適正に積層することができる。特に、右板部42に沿ってワークWを落下させることにより、各ワークWを右板部42に沿って積層しやすくなる。
【0059】
なお、図11に示す例では、落下中のワークWの右側縁部を収容箱12の右板部42に当てる構成を例示したが、これに限定されるものではない。ワークWのサイズ、重量、材質等によっては、上述した回動による姿勢変化が顕著となって、ワークWの右側縁部を収容箱12の右板部42に当てるように当該ワークWの落下姿勢をコントロールすることは難しくなると想定される。このような場合には、落下中のワークWが、少なくとも右側に傾いた状態(好ましくは水平面に対する傾きが45°よりも小さい状態)で収容箱12の底板部41や収容済みのワークWに当たる構成とし、その後、自重によって撓むことでワークWが左側棒状部材36Lから離れて、隙間35を通り過ぎる構成とするとよい。
【0060】
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。また、上記各実施形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。
【0061】
・上記各実施形態では、収容箱12の開口46を形成している両長辺部47に架け渡すようにして仮置き用治具14の棒状部材36を配置したが、これに限定されるものではない。両短辺部48に架け渡すようにして棒状部材36を配置してもよい。但し、棒状部材36間の隙間35をある程度広く設定することがワークWを下側に凸となるようにして無理なく湾曲させる上で好ましい点に鑑みれば、長辺部47に架け渡すようにして棒状部材36を配置することには技術的意義がある。なお、直交(交差)する2辺、すなわち長辺部47と短辺部48とに架け渡すようにして棒状部材36を配置することも可能である。
【0062】
・上記各実施形態では、仮置き用治具14に仮置きされたワークWをアーム22の先端部23に設けられたハンド24で押圧する構成としたが、アーム22の先端部23におけるハンド24以外の部分でワークWを押圧する構成とすることも可能である。例えば、図12に示すように、爪部24aBの先端が横向きとなるようにしてハンド24Bをアーム22B(先端部23B)に配設するとともに、先端部23Bにはハンド24Bよりも下側に突出する突出部23aBを設ける。そして、ワークWを手放して当該ワークWの上方へハンド24Bを移動させる場合には、爪部24aBの先端が上記奥行方向における奥側又は手前側を向くようにしてハンド24Bを水平に90°回転させる。その後は、ハンド24Bの向きをそのままに、先端部23Bを降下させるようにアーム22Bを動作させることで、先端部23Bの突出部23aBによってワークWを押圧する。このような構成とすれば、ワークWに爪部24aBが当たる機会を減らすことができる。
【0063】
・上記第1の実施形態では、仮置き用治具14に仮置きされたワークWをロボット13のアーム22によって押圧することにより、隙間35を通じて収容箱12の底板部41へワークWを落下させる構成としたが、仮置きされたワークWを押圧することなく、当該ワークWの自重によって落下させる構成とすることも可能である。但し、このような構成とした場合には、ワークWの湾曲状態のコントロールが甘くなり、ワークWの落下姿勢のばらつきが大きくなり得る。故に、上記第1の実施形態に示したように、ワークWを押圧することで当該ワークWの湾曲状態をコントロールする構成とすることが好ましい。
【0064】
また、ロボット13のアーム22による押圧に代えて、各棒状部材36を回転可能に軸支した上で、それら棒状部材36を回転させてワークWを水平に移動させることにより左右の掛かり代の一方を0とし、隙間35を通じて当該ワークWを落下させる構成とすることも可能である。以下、当該技術的思想を上記第1の実施形態に適用した場合の変形例を具体的に説明する。本変形例では、第2の実施形態と同様に右側の棒状部材36に対する掛かり代が左側の棒状部材36に対する掛かり代よりも小さくなるようにしてワークWが仮置きされている。本変形例では、ワークWが左側へ移動するように棒状部材36を第1の回転方向(ロボット13を正面に見た場合の反時計回り方向)に回転させる。そして、ワークWと右側の棒状部材36との掛かり代が0となって当該ワークWが落下を開始した場合に、棒状部材36の回転を停止させる又は上記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向(ロボット13を正面に見た場合の時計回り方向)に回転させる。このような構成とすれば、ワークWを隙間35を通じて収容箱12の底板部41へ落下させることができ、左側の棒状部材36とワークWとの引っ掛かりを速やかに解除するように促すことで右側への傾倒が過度となることを抑制できる。
【0065】
・上記各実施形態では、ワークWの押圧に際してアーム22の先端部23が降下位置P4へ到達した場合には、直ちにアーム22の先端部23を上昇させる構成としたが、降下位置P4に到達した後はアーム22が静止して当該降下位置P4にて先端部23が一時停留する構成を否定するものではない。但し、このような構成とする場合には、湾曲状態となったワークWがハンド24に対して側方から引っ掛かることを抑制すべくハンド24の側方に壁等を設けることが好ましい。
【0066】
・上記各実施形態では、アーム22の先端部23の降下位置P4を、「通過部」としての隙間35よりも下側に設定したが、降下位置P4を隙間35内に設定したり、降下位置P4を収容箱12内に設定したりすることも可能である。
【0067】
・上記各実施形態では、仮置き部33を収容箱12の開口46の上方に配置したが、仮置き部33を収容箱12内に配置する構成を否定するものではない。但し、ロボット13の動作範囲を収容箱12の外側に設定して当該ロボット13と収容箱12との衝突機会を減らす上では仮置き部33を開口46の上方、すなわち収容箱12の外に配置することが好ましい。
【0068】
・上記第3の実施形態に示した棒状部材36の傾きα(図3参照)を大きくして、ワークWにて押圧箇所PPから遠い部分(手前側部分)の降下を押圧された部分の降下よりも先行させてもよい。すなわち、手前側の落ち込みが奥側の落ち込みよりも早くなるように構成してもよい。図13(変形例)に示す仮置き用治具14Cでは、棒状部材36Cの傾きαCが上記第3の実施形態に示した傾きαよりも大きくなるように仮置き部33Cが形成されている。この傾きαCについては、上記奥行方向における奥側や手前側に押圧箇所PPが若干ずれたとしても、ワークWの落下位置のずれ=奥側となるように設定されている。このような構成とすれば、収容箱12の前板部45とワークWとの間に隙間を確保し、ワークWが奥側に過度に位置ずれすることを収容箱12の奥板部44によって抑えることができる。
【0069】
・上記各実施形態では、一対の棒状部材36によって仮置き部33を構成したが、仮置き部33を以下のように変更してもよい。
【0070】
例えば、図14(a)に示す仮置き用治具14Dにおいては、隙間35Dを隔てて配置された左右一対の平板36Dによって仮置き部33Dを構成している。このような仮置き用治具14Dは、仮置きされているワークWの垂れ下がりを抑えて、仮置き後の位置ずれを抑制する上で好ましい。また、図14(b)に示す仮置き用治具14Eにおいては、1枚の平板によって仮置き部33Eを構成している。仮置き部33Eの中央には「通過部」としての開口38Eが形成されている。例えば、開口38Eを構成している左右の縁部39Eを、それら縁部39Eの間隔が手前側よりも奥側の方が狭くなるように形成するとよい。
【0071】
・ワークWの仮置き作業を担う装置と、ワークWの押圧作業を担う装置とを別に設けることも可能である。例えば、ワークWを吸着可能な吸着搬送装置を用いてワークWをコンベア11から仮置き用治具14へ搬送→仮置きし、ロボット13を用いてワークWを押圧する構成としてもよい。また、ロボット13に代えてピストンやソレノイドを用いてワークWを押圧する構成としてもよい。なお、仮置き作業及び押圧作業の一方を人が担い、ロボット13と人との協働でワークWの積層(箱詰め)を行うことも可能である。
【0072】
・積層済みのワークWの数に応じて仮置き部33と収容箱12の底板部41との距離を調整可能な構成としてもよい。例えば、仮置き部33及び収容箱12の一方を昇降させる昇降機構を設け、積層済みのワークWの数の増加に応じて仮置き部33と底板部41との距離を大きくすべく、仮置き部33を上昇させる又は収容箱12を降下させる構成としてもよい。
【0073】
・上記各実施形態では、ゴムシートの箱詰め工程に積層装置10を適用した場合について例示したが、これに限定されるものではない。車両用フロアマット、玄関マット、ランチョンマット、キーボード用の制振シート、マウスパッド等の対象(「ワーク」に相当)を箱詰めする箱詰め工程や同対象をパレットやテーブル等に積層する積層工程に、上記積層装置10を適用することも可能である。
【0074】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上記実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0075】
特徴1.可撓性を有する複数のシート状のワーク(ワークW)を所定の載置部(収容箱12の底板部41)の上に積み重ねる積層装置(積層装置10)であって、
前記所定の載置部の上方に配置され、前記ワークが仮置きされる治具(仮置き用治具14の仮置き部33)を備え、
前記治具には前記ワークが前記所定の載置部へ落下する際に通過可能な通過部(隙間35)が形成されており、
前記ワークを前記通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記治具に仮置きし、当該仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へ落下させる積層装置。
【0076】
所定の載置部の上方に配置された治具にワークを仮置きした後に、当該ワークにおいて治具の通過部を覆っている部分を上方から押圧する。これにより、ワークは通過部を通じて所定の載置部へと落下することとなる。このような構成とすれば、落下開始前のワークの姿勢を揃えることが可能となり、例えばコンベア等の搬送装置からワークをダイレクトに投入する構成と比較してワークが落下を開始するタイミングにおける当該ワークの姿勢のばらつきを軽減し得る。そして、各ワークが押圧されて同じように形を変えながら通過部を通過することにより、少なくとも通過部を通過している最中はワークが様々なパターンに変形することを抑制できる。これにより、可撓性を有するシート状のワークが積層対象となっている場合に、落下中のワークの姿勢の乱れを抑制して、落下の態様をコントロールしやすくなる。また、仮に装置の動作速度(例えば押圧の速さ)が変動したとしても、その影響がワークの落下姿勢に影響しにくい。以上の理由から、ワークが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークを適正に積層し得る構成を実現できる。
【0077】
特徴2.前記治具に仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧して前記ワークを下側に凸となるように湾曲させ、少なくとも前記通過部を通過する間は前記ワークが湾曲した状態のままとなるようにして前記ワークを落下させる特徴1に記載の積層装置。
【0078】
ワークを湾曲させた状態であれば、仮に当該ワークが更に変形する場合であってもある種の傾向が生じることとなり、上述したパターンの多様化を抑制できる。また、ワークが下側に凸となるように湾曲した状態となっていれば、落下姿勢についてもばらつきにくくなる。そして、敢えてワークの角部が所定の載置部に衝突しにくい形状とした上で落下させることには、角部が所定の載置部に先当たりする等して上述した折れ曲がりが生じる機会を少なくできるという技術的意義がある。なお、仮に下側に凸となったまま所定の載置部に衝突した場合には、ワークが自重によってフラットな状態に戻ることが期待できる。つまり、ワークを積極的に湾曲させる構成を採用した場合であっても、当該ワークをフラットな状態に戻すための手間が増えることは回避し得る。
【0079】
特徴3.前記治具は、横並びとなるように配設され隙間を隔てて相対向する一対の対向部(棒状部材36)を有し、
前記隙間が前記通過部となっており、
前記隙間は、上方から見て前記対向部の並び方向と直交する方向における一端側から他端側へ徐々に大きくなっており、
前記ワークが前記治具に仮置きされている状況下にて、当該ワークにおいて前記一端寄りとなる部分を押圧することにより前記通過部を通じて当該ワークを落下させる特徴1又は特徴2に記載の積層装置。
【0080】
例えば対向部間の隙間(通過部)が幅一定であると仮定した場合には、押圧位置よりも遠い部分ではワークの降下の動きが遅れやすくなる。ここで、上方から見て対向部の並び方向と直交する方向における中央を狙ってワークを押圧した場合には押圧位置が当該直交する方向にて少しでもずれると上記遅れによってワークが回動する(傾く)ことで押圧位置がずれた方向と反対の方向にワークの落下位置がずれることとなる。これはワークを真っすぐに積み重ねる(積み上げる)上で妨げになり得る。ここで、押圧位置を偏倚させることで、落下位置がずれる方向を揃えやすくなるものの、ワークが大きく回動して極端に傾斜する可能性も高くなる。これでは、特徴1等に示した折れ曲がりを誘発することになると懸念される。
【0081】
この点、本特徴に示す構成においては、隙間(通過部)の幅は、上記直交する方向における一端側から他端側へ徐々に大きくなっており、ワークにおいて一端寄りとなる部分を押圧する。これにより、幅が広くなっている他端側ではワークが降下を早めることができる。つまり、押圧位置の偏倚の影響を打ち消すように作用させることができる。これにより、押圧位置の偏倚による効果を享受しつつそれによる不都合の発生を抑制できる。
【0082】
特徴4.前記治具は、横並びとなるように配設され隙間を隔てて相対向する一対の対向部(棒状部材36)を有し、
前記隙間が前記通過部となっており、
前記治具に仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を前記対向部の並び方向における前記通過部の中央にて上方から押圧して前記ワークを下側に凸となるように湾曲させ、少なくとも前記通過部を通過する間は前記ワークが湾曲した状態のままとなるようにして前記ワークを落下させる特徴1に記載の積層装置。
【0083】
本特徴に示すように、対向部の並び方向における通過部の中央にてワークを押圧することにより、ワークを下側に凸となるように湾曲させる上で必要になる押圧力を極力小さくすることができる。これはワークの保護を図る上で好ましい。なお、ワークを下側に凸となるように湾曲させる際に両対向部とワークとが接触している部分の抵抗(摩擦抵抗)に差が生じると、ワークを湾曲させる際にワークの位置が上記並び方向にずれる可能性が高くなる。このような事象を生じにくくする上でも上記位置にてワークを押圧することは好ましい。
【0084】
特徴5.前記治具は、横並びとなるように配設され隙間を隔てて相対向する一対の対向部(棒状部材36)を有し、
前記隙間が前記通過部となっており、
前記対向部に対して前記通過部側とは反対側に前記ワークが各々突出した状態となり、且つ一方の前記対向部側の前記ワークの突出量が他方の前記対向部側の前記ワークの突出量よりも小さくなるようにして当該ワークを仮置きし、
前記治具に仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を前記一方の対向部側に偏倚した位置にて上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へと落下させる特徴1に記載の積層装置。
【0085】
本特徴に示す構成によれば、ワークが押圧されると一方の対向部と引っ掛かりが解除され、ワークが他方の対向部側を上側、一方の対向部側を下側となるように傾くこととなる。また、この際、他方の対向部に載った状態が続くことで、ワークは当該対向部上を滑るように降下する。このような構成とすれば、少なくともワーク全体が通過部を通り過ぎるまでは当該ワークの落下姿勢をコントロールしやすくなる。つまり、落下姿勢の乱れに起因した上記折れ曲がりの抑制に寄与できる。
【0086】
特徴6.昇降可能となっており、前記仮置き部に仮置きされた前記ワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へと落下させる押圧部(ロボット13のハンド24)を備え、
前記押圧部は、所定の降下位置(降下位置P4)へ降下して前記ワークを押圧した後は、直ちに上昇する特徴1乃至特徴5のいずれか1つに記載の積層装置。
【0087】
押圧部によってワークを湾曲させる構成においては、湾曲したワークが押圧部に側方から接触することで(例えば押圧部を挟み込むことで)、当該ワークの落下姿勢が乱れやすくなると想定される。そこで、本特徴に示すように、所定の降下位置へ到達した押圧部を直ちに上昇させる構成として、押圧後の押圧部とワークとの干渉を抑える構成とすることにより上記不都合の発生を抑制できる。
【0088】
特徴7.前記所定の降下位置は、前記通過部よりも下側となるように構成されている特徴6に記載の積層システム。
【0089】
治具に仮置きしたワークを速やかに落下させるには、ワークの自重に頼るよりも通過部よりも下側に設定された所定の降下位置へ当該ワークを押し込む構成とすることが好ましい。しかしながら、このような構成では、上述したような干渉が発生しやすくなる。そこで、当該構成に特徴4に示した技術的思想を適用して、所定の降下位置への到達後は押圧部を直ちに上昇させることにより、ワークを速やかに降下させる構成を実現しつつ、ワークの落下姿勢の乱れを抑制できる。
【0090】
特徴8.前記載置部と前記治具との距離を変更可能となっている特徴1乃至特徴7のいずれか1つに記載の積層装置。
【0091】
ワークの積み上げ数を多くしようとすれば、ワークの最大落下距離と最小落下距離との差が大きくなる。つまり、1つ目のワークを載置部へ落下させる場合と、ワークが積み上がった状態で更にワークを落下させる場合とでは落下距離の差が顕著となる。落下距離の差が過度に大きくなれば、ワークの落下姿勢の制御が上手く機能しなくなると懸念される。この点、本特徴に示すように、載置部と治具(対向部)との距離を変更可能とすれば、状況に応じて適正な落下距離とすることができる。これにより、上記懸念を払しょくできる。なお、例えば対向部を昇降させる構成としたり、載置部を昇降させる構成としたりするとよい。
【0092】
特徴9.前記載置部は、複数の前記ワークを収容可能な収容箱(収容箱12)の底部(底板部41)であり、
前記治具は、前記収容箱の上側開口(開口46)の上方に位置し、
前記ワークを前記底部に積層するようにして前記収容箱に箱詰めする特徴1乃至特徴8のいずれか1つに記載の積層装置。
【0093】
積層装置によってワークの箱詰め(積層)を行う際に、積層装置(例えばロボット)が収容箱に接触することは、収容箱の位置ずれや破損の回避、積層装置の保護を図る上で好ましくない。この点、収容箱の上側開口(投入口)の上方に仮置きされたワークを収容箱に落下させる構成とすれば、積層装置を収容箱の底部付近まで降下させなくてもワークを適正に積層できる。故に、積層装置の主たる動作領域を収容箱の外に設定できる。これは、積層装置と収容箱との接触機会を少なくする上で好ましい。
【0094】
特徴10.可撓性を有する複数のシート状のワーク(ワークW)を所定の載置部(収容箱12の底板部41)の上に積み重ねる積層装置(積層装置10)であって、
前記所定の載置部の上方に配置され、前記ワークを仮置き可能な治具(仮置き用治具14の仮置き部33)を備え、
前記治具には前記ワークが前記所定の載置部へ落下する際に通過可能な通過部(隙間35)が形成されており、
前記ワークを前記通過部の一部を覆うようにして前記治具に仮置きし、前記治具に仮置きされた前記ワークが前記通過部を通過して前記所定の載置部へ落下する際に、前記ワークの落下経路において少なくとも前記ワークが前記通過部を通過するまでの区間では、前記治具が前記ワークに当接することにより前記ワークの落下姿勢を所定の姿勢(例えば下側に凸となるように湾曲した姿勢又は一方に傾斜した姿勢)となるように制御する積層装置。
【0095】
所定の載置部の上方に配置された治具にワークを仮置きする構成とすれば、落下開始前のワークの姿勢を揃えることが可能となり、例えばコンベア等の搬送装置からワークをダイレクトに投入する構成と比較してワークが落下を開始するタイミングにおける当該ワークの姿勢のばらつきを軽減し得る。そして、少なくとも通過部を通過する区間においてはワークの落下姿勢が所定の姿勢となるように制御される。これにより、可撓性を有するシート状のワークが積層対象となっている場合に、落下中のワークの姿勢の乱れを抑制して、落下の態様をコントロールしやすくなる。故に、ワークが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークを適正に積層し得る構成を実現できる。なお、特徴1~特徴9に示した各技術的思想を本特徴に適用してもよい。
【0096】
特徴11.アーム(アーム22)の先端部(先端部23)に前記ワークを把持する把持部(ハンド24)が設けられた産業用ロボット(ロボット13)を備え、
前記産業用ロボットは、前記把持部によって把持している前記ワークを前記治具に仮置きし、前記治具に仮置きした前記ワークを手放した後に前記ワークにおいて前記通過部を覆っている部分を前記先端部によって上方から押圧することにより前記ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へ落下させる特徴1乃至特徴10に記載の積層装置。
【0097】
産業用ロボットのアーム(先端部)に設けられた把持部を用いてワークを治具に仮置きし、そのアームの先端部によってワークを押圧する構成によれば、ツール等を持ち替えることなく一連の動作を行うことができる。これは、積層作業の高効率化を図る上で好ましい。なお、ワークについては把持部によって押圧する構成としてもよいし、上記先端部における把持部以外の部分で押圧する構成としてもよい。因みに、特徴1~特徴10に示した各技術的思想を本特徴に適用してもよい。
【0098】
特徴12.前記把持部は前記ワークを前記治具へ仮置きする場合に前記ワークの端部を上下に挟む構成となっており、前記把持部の向きが前記ワークの端部を挟むことができる向きとなっている状態では前記アームの前記先端部の一部が前記把持部よりも下側に突出しており、
前記ワークを前記治具に仮置きする際の前記把持部の向きを維持したまま、前記アームの前記先端部が前記ワークの上方へと移動する移動動作と前記先端部の前記一部によって前記ワークを上方から押す押圧動作とを実行する特徴11に記載の積層装置。
【0099】
本特徴に示す構成によれば、把持部の向きを変更することなく仮置き→押圧が可能となる。これにより、産業用ロボットの動きを簡素化できる。また、押圧には把持部ではなく先端部の一部(把持部以外の部分)が用いられる。これは、把持部の保護とワークの保護との両立を図る上で好ましい。
【0100】
特徴13.可撓性を有する複数のシート状のワーク(ワークW)を所定の載置部(収容箱12の底板部41)の上に積み重ねる産業用ロボット(積層装置10)であって、
前記所定の載置部の上方に位置し、前記ワークが前記所定の載置部へ落下する際に通過可能な通過部(隙間35)が形成されている治具(仮置き用治具14の仮置き部33)に、当該通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記ワークを仮置きし、
前記ワークの前記仮置きが完了した後に、当該仮置きしたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へと落下させる産業用ロボット。
【0101】
本特徴に示す産業用ロボットによれば、ワークが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークを適正に積層し得る。なお、特徴1~特徴12に示した各技術的思想を本特徴に適用してもよい。
【0102】
特徴14.産業用ロボット(ロボット13)に適用され、可撓性を有する複数のシート状のワーク(ワークW)を所定の載置部(収容箱12の底板部41)の上に積み重ねるべく、前記産業用ロボットを制御するロボット制御プログラムであって、
前記産業用ロボットの制御装置(コントローラ25)に、
前記所定の載置部の上方に位置し、前記ワークが前記所定の載置部へ落下する際に通過可能な通過部(隙間35)が形成されている治具(仮置き用治具14の仮置き部33)に、当該通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記ワークを仮置きする動作を前記産業用ロボットに実行させる処理と、
前記治具に仮置きされた前記ワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へと落下させる押圧する動作を前記産業用ロボットに実行させる処理と
を実行させるロボット制御プログラム。
【0103】
本特徴に示すロボット制御プログラムにより産業用ロボットを制御すれば、ワークが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークを適正に積層し得る。なお、特徴1~特徴13に示した各技術的思想を本特徴に適用してもよい。
【0104】
特徴15.可撓性を有する複数のシート状のワーク(ワークW)を所定の載置部(収容箱12の底板部41)の上に積み重ねる積層方法であって、
前記所定の載置部の上方に位置し、前記ワークが通過可能な通過部(隙間35)が形成されている治具(仮置き用治具14の仮置き部33)に、当該通過部の少なくとも一部を覆うようにして前記ワークを仮置きする仮置き工程と、
前記ワークの仮置きが完了した後に、当該仮置きされたワークにおいて前記通過部を覆っている部分を上方から押圧することにより当該ワークを前記通過部を通じて前記所定の載置部へと落下させる押圧工程と
を有する積層方法。
【0105】
本特徴に示す積層方法によれば、ワークが折れ曲がったまま積層される機会を減らし、ワークを適正に積層し得る。なお、特徴1~特徴14に示した各技術的思想を本特徴に適用してもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…積層装置、12…収容箱、13…ロボット、14…仮置き用治具、22…アーム、24…ハンド、25…コントローラ、33…仮置き部、35…隙間、36…棒状部材、41…底部、46…開口、W…ワーク、P4…降下位置、PP…押圧箇所。
図1
図2
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