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特開2023-143257貼付シート、及び貼付シートに用いられる貼付シート用の基材
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  • 特開-貼付シート、及び貼付シートに用いられる貼付シート用の基材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143257
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】貼付シート、及び貼付シートに用いられる貼付シート用の基材
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230928BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20230928BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/20
G09F3/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050539
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】谷田 光雄
(72)【発明者】
【氏名】田原 稔久
(72)【発明者】
【氏名】川中 浩司
(72)【発明者】
【氏名】安田 桃子
(72)【発明者】
【氏名】平石 誠
(72)【発明者】
【氏名】竹内 強志
(72)【発明者】
【氏名】船津 美和
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004CC08
4J004CE03
4J004DB02
4J004FA08
(57)【要約】
【課題】 繰り返し使い易い貼付シート、及び貼付シート用の基材を提供することを目的とする。
【解決手段】 貼付対象に被貼付物を貼り付けるための貼付シートであって、シート状の基材と、貼付対象又は被貼付物に貼り付け可能な貼付面を有し、基材の一方の面及び他方の面に設けられる貼付部と、を備え、基材は、貼付部が設けられる設置部と、設置部から面方向に延設される延設部とを備え、延設部は、設置部に対して折り返すことで、貼付部に貼り付け可能に構成された折返部を含む貼付シート。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼付対象に被貼付物を貼り付けるための貼付シートであって、
シート状の基材と、
前記貼付対象又は前記被貼付物に貼り付け可能な貼付面を有し、前記基材の一方の面及び他方の面に設けられる貼付部と、を備え、
前記基材は、前記貼付部が設けられる設置部と、該設置部から面方向に延設される延設部とを備え、
該延設部は、前記設置部に対して折り返すことで、前記貼付面に貼り付け可能に構成された折返部を含むことを特徴とする貼付シート。
【請求項2】
前記延設部は、前記折返部として、前記基材の一方の面に設けられた前記貼付部に対して折り返して前記貼付面に貼り付け可能に構成された一方折返部と、前記基材の他方の面に設けられた前記貼付部に対して折り返して、前記貼付面に貼り付け可能に構成された他方折返部と、を含む請求項1に記載の貼付シート。
【請求項3】
前記延設部は、前記折返部から面方向に延設され、該折返部を前記貼付面から剥離するべく把持される把持部を、さらに備える請求項1又は請求項2に記載の貼付シート。
【請求項4】
前記設置部は、前記基材の一方の面に前記貼付面が設けられる一方設置面と、該一方設置面に対して反対面側に配置され、前記基材の他方の面に前記貼付面が設けられる他方設置面と、を備え、
前記一方折返部は、前記一方設置面に対して面方向一方側へ延設され、前記他方折返部は、前記他方設置面に対して面方向他方側へ延設され、
前記延設部は、前記一方折返部から面方向一方側へ延設され、前記一方折返部を前記貼付面から剥離すべく把持される一方把持部と、前記他方折返部から面方向他方側へ延設され、前記他方折返部を前記貼付面から剥離すべく把持される他方把持部と、を備える請求項2に記載の貼付シート。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の貼付シートに用いられる貼付シート用の基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付対象に被貼付物を貼り付けるのに用いる貼付シート、及び貼付シートに用いられる貼付シート用の基材に関する。
【背景技術】
【0002】
貼付シートの例として、両面が粘着面である粘着シートが知られている。この場合、一方の粘着面を貼付対象に、他方の粘着面を被貼付物に貼り付ける。
【0003】
また、粘着シートを用いる例として、下記〔特許文献1〕に記載した電力量計がある。この電力量計では、貼付対象としての本体部に、被貼付物としての通信部を貼り付けるために、粘着シートを用いる。
【0004】
ところで、上記粘着シートは、繰り返し使うものであるから、粘着面に剥離紙が設けられており、使用後は、剥離紙を粘着面に貼り付けて保管することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-16025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、剥がした剥離紙を元どおりに貼り付けるのは細かな作業であるし、また、剥離紙を亡失、紛失することもあって、不便である。なお、このような不便は、粘着シートを電力量計に用いる場合に限らず、貼付対象を被貼付物に貼り付けるべく貼付シートを用いる場合、全般に起こり得る。
【0007】
そこで、本発明は、繰り返し使い易い貼付シート、及び貼付シートに用いられる貼付シート用の基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、貼付対象に被貼付物を貼り付けるための貼付シートであって、シート状の基材と、前記貼付対象又は前記被貼付物に貼り付け可能な貼付面を有し、前記基材の一方の面及び他方の面に設けられる貼付部と、を備え、前記基材は、前記貼付部が設けられる設置部と、該設置部から面方向に延設される延設部とを備え、該延設部は、前記設置部に対して折り返すことで、前記貼付面に貼り付け可能に構成された折返部を含むことを特徴とする。
【0009】
上記構成の貼付シートによれば、基材が貼付部の貼付面に貼り付け可能な折返部を有し、折返部を貼付部の貼付面から剥がすことで、貼付部を貼付対象又は被貼付物に貼り付けることができる。よって、貼付部を繰り返して使用できて、使い易い。また、貼付シートの不使用時には、折返部を折り返して貼付部の貼付面に貼り付けることができ、しかも折返部は基材の一部なので亡失や紛失がない。
【0010】
本発明では、前記延設部は、前記折返部として、前記基材の一方の面に設けられた前記貼付部に対して折り返して前記貼付面に貼り付け可能に構成された一方折返部と、前記基材の他方の面に設けられた前記貼付部に対して折り返して、前記貼付面に貼り付け可能に構成された他方折返部と、を含む構成を採用できる。
【0011】
上記構成の貼付シートによれば、一方折返部を折り返して、一方の面の貼付部の貼付面に貼り付け、他方折返部を折り返して、他方の面の貼付部の貼付面に貼り付けて、貼付シートを保管できるため、便利である。
【0012】
本発明では、前記延設部は、前記折返部から面方向に延設され、該折返部を前記貼付面から剥離するべく把持される把持部を、さらに備えていてもよい。
【0013】
上記構成の貼付シートによれば、把持部を把持して折返部を貼付面から剥離できるので、使用に際して便利である。
【0014】
本発明では、前記設置部は、前記基材の一方の面に前記貼付面が設けられる一方設置面と、該一方設置面に対して反対面側に配置され、前記基材の他方の面に前記貼付面が設けられる他方設置面と、を備え、前記一方折返部は、前記一方設置面に対して面方向一方側へ延設され、前記他方折返部は、前記他方設置面に対して面方向他方側へ延設され、前記延設部は、前記一方折返部から面方向一方側へ延設され、前記一方折返部を前記貼付面から剥離すべく把持される一方把持部と、前記他方折返部から面方向他方側へ延設され、前記他方折返部を前記貼付面から剥離すべく把持される他方把持部と、を備える構成を採用してもよい。
【0015】
上記構成の貼付シートによれば、一方把持部を面方向一方側へ、他方把持部を面方向他方側へ引っ張ることで、一方折返部及び他方折返部を、貼付部から剥離することができる。
【0016】
本発明は、上記何れかの貼付シートに用いられる貼付シート用の基材であることを特徴とする。
【0017】
上記構成の貼付シート用の基材によれば、基材が貼付部の貼付面に貼り付け可能な折返部を有し、折返部を貼付部の貼付面から剥がすことで、貼付部を貼付対象又は被貼付物に貼り付けることができる。よって、貼付部を繰り返して使用できて、使い易い。また、貼付シートの不使用時には、折返部を折り返して貼付部の貼付面に貼り付けることができ、しかも折返部は基材の一部なので亡失や紛失がない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の貼付シート、及び貼付シートに用いられる貼付シート用の基材によれば、基材が貼付部の貼付面に貼り付け可能な折返部を有し、折返部を貼付部の貼付面から剥がすことで、貼付部を貼付対象又は被貼付物に貼り付けることができるので、折返部を亡失や紛失することなく、貼付部を繰り返して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第一の実施形態を説明する斜視図であり、電力量計に貼付シートを貼り付け、通信部を貼付シートに貼り付ける途中の状態を説明する斜視図である。
図2図2は、同貼付シートの展開状態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図3図3は、同貼付シートの収容状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるA-A方向拡大断面図である。
図4図4は、第二の実施形態の貼付シートの展開状態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図5図5は、同貼付シートの収容状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるB-B方向拡大断面図である。
図6図6は、第三の実施形態の貼付シートの展開状態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図7図7は、同貼付シートの収容状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるC-C方向拡大断面図である。
図8図8は、第四の実施形態の貼付シートの展開状態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図9図9は、同貼付シートの収容状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるD-D方向拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る貼付シート、及び貼付シート用の基材を、図1乃至図9を参照して説明する。まず、第一の実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。第一の実施形態は、貼付対象に被貼付物を貼り付けるための貼付シート1であって、図1に示すように、貼付対象として、例えば家屋やビルに設置される電力量計2を挙げ、被貼付部として、電力量計2の本体部3に着脱自在に装着される通信部4を挙げる。なお、本体部3及び通信部4の外郭は、合成樹脂製とされる。
【0021】
図2(a)(b)に示すように、貼付シート1は、シート状の基材5と、貼付部6とを備える。貼付シート1は、貼付部6に対し基材5を展開した展開状態Xと、図3(a)(b)に示すように、貼付部6が基材5に収容された収容状態Yとをとり得るよう構成されている。以下について、図2(a)(b)に示す貼付シート1の展開状態Xにおいて、貼付シート1の基材5、貼付部6の説明をする。
【0022】
基材5は、表裏で表面5a及び裏面5bを備えたシート状に形成されている。基材5は、横方向に長い略矩形とされており、貼付部6が設置される設置部8と、設置部8から横面方向V両側に延設される延設部9とを備える。本実施形態では、基材5は合成樹脂製のシート状体であり、透明性を有する。なお、以下の説明において、横面方向Vは、貼付シート1の展開状態Xにおいて長辺方向とする。
【0023】
設置部8は、基材5の横面方向V略中央領域に形成されている。設置部8は、正面視して略矩形(略正方形)に形成されている。
【0024】
ここで、貼付部6の説明をする。貼付部6は、設置部8のさらに中央部分に配置され、貼付対象又は被貼付物、すなわち、電力量計2又は通信部4に貼り付け可能な部材である。貼付部6は、正面視して設置部8より小さい相似形(すなわち矩形)に形成されている。
【0025】
貼付部6は、設置部8の設置面、すなわち基材5の一方の面である表面5a、及び基材5の他方の面である裏面5bに設けられており、表面5aに設けられた表側貼付部10、及び裏面5bに設けられた裏側貼付部11とで構成されている。表側貼付部10及び裏側貼付部11は、その中心を同一軸心とする同一形状である。貼付部6、すなわち表側貼付部10及び裏側貼付部11の全体は、厚み方向に撓み、且つ曲げることができる柔軟な樹脂製から形成されている。具体的に貼付部6は、粘着性を有するエラストマー部材とされる。これにより、貼付部6の外郭全体に貼付面(粘着面)が形成されている。
【0026】
特に、表側貼付部10の表面側が、電力量計2又は通信部4に貼り付け可能な表貼付面12とされ、裏側貼付部11の表面側が、電力量計2又は通信部4の内の残りの部材に貼り付け可能な裏貼付面13とされている。
【0027】
表側貼付部10と裏側貼付部11の関係について説明する。表側貼付部10と裏側貼付部11とは、当接手段によって一体化されている。この場合、当接手段として、設置部8に切り欠かれた孔14(図3(b)参照)と、表側貼付部10と裏側貼付部11との外郭貼付面で構成される。すなわち、設置部8の中央部分に孔14(丸い孔、矩形の孔など)が開けられ、表側貼付部10と裏側貼付部11とが、該孔14を介して挿入されて、表側貼付部10及び裏側貼付部11どうしの当接面(貼付面)15によって連結されている。
【0028】
前記延設部9は、設置部8の横面方向Vの一方側に形成された一方折返部17、及び一方折返部17に形成された一方把持部20と、設置部8の横面方向Vの他方側に形成された他方折返部18、及び他方折返部18に形成された他方把持部21とを有する。
【0029】
設置部8と一方折返部17、設置部8と他方折返部18とは一体的に形成され、設置部8に対し、一方折返部17及び他方折返部18は横面方向Vに延設されている。また、設置部8と一方折返部17、設置部8と他方折返部18とは、基材5において略同様の占有領域とされる。換言すれば、一方折返部17及び他方折返部18は正面視して矩形に形成されており、設置部8、一方折返部17、及び他方折返部18は、基材5において同等の面積を備えている。
【0030】
一方把持部20は、一方折返部17から横面方向Vの一方側において延設されるよう、一方折返部17の端縁部17aに設けられており、該端縁部17aの上下方向途中に配置されている。他方把持部21は、他方折返部18から横面方向Vの他方側において延設されるよう、他方折返部18の端縁部18aに設けられており、該端縁部18aの上下方向途中に配置されている。なお、一方把持部20及び他方把持部21は、正面視して、それぞれ一方把持部20、及び他方把持部21よりも小さな略矩形に形成されている。
【0031】
設置部8と一方折返部17との間、設置部8と他方折返部18との間に、上下方向の折れ線部19が形成されている。この折れ線部19は、基材5において表裏に折曲可能とされる。また、折れ線部19は、貼付部6との横面方向Vの間で折り易いように、所定の離間距離δがあけられている。
【0032】
このような折れ線部19で折り返されて、一方折返部17の表面5aは、表側貼付部10に設けられた表貼付面12に貼り付け可能に構成されている。また、折れ線部19で折り返されて、他方折返部18の裏面5bは、裏側貼付部11に設けられた裏貼付面13に貼り付け可能に構成されている。
【0033】
貼付シート1の構成において、図3に基づき、収容状態Yを詳述する。前述したように、収容状態Yは、貼付部6が基材5に収容された状態である。換言すると、収容状態Yは、表側貼付部10の表貼付面12に、折れ線部19を介して一方折返部17の表面5a(以下、延設表面17bという)が貼り付けられ、裏側貼付部11の裏貼付面13に、折れ線部19を介して他方折返部18の裏面5b(以下、延設裏面18bという)が貼り付けられた状態である。
【0034】
収容状態Yでは、図3(b)で示すように、設置部8、一方折返部17、及び他方折返部18は、基材5において同等の面積を備えているので、貼付部6、設置部8、一方折返部17、及び他方折返部18は、厚み方向で重なるようになっている。また、図3(a)で示すように、一方把持部20は、一方折返部17の横面方向Vに沿い、他方把持部21は、他方折返部18の横面方向Vに沿った形状となっている。
【0035】
このように、貼付シート1の不使用時、すなわち貼付対象及び被貼付物に貼付部6を貼り付けない場合には、一方折返部17及び他方折返部18を折り返して、それぞれ表側貼付部10の表貼付面12及び裏側貼付部11の裏貼付面13に貼り付ける。そして、貼付シート1を収容状態Yとすることで、基材5が貼付部6用の収容ケースとして機能するから管理、運搬が容易であり、また、保管に関しても便利である。また、一方折返部17及び他方折返部18は基材5の一部なので、表側貼付部10及び裏側貼付部11、あるいは基材5の亡失や紛失がない。また、収容状態Yとすることで、一方折返部17が表側貼付部10の表貼付面12に貼り付けられ、他方折返部18が裏側貼付部11の裏貼付面13に貼り付けられているから、貼付部6の粘着力を保護することができる。
【0036】
貼付シート1の収容状態Yから、貼付部6に対して、基材5を引っ張った(展開した)展開状態Xにいたるまでの貼付シート1の動作を、作業者の動作を含めて説明する。収容状態Yから展開状態Xとする際、収容状態Yの貼付シート1では、一方把持部20及び他方把持部21は、貼付シート1の横面方向Vにおいて突出された形状となっており、したがって、作業者は一方把持部20及び他方把持部21を把持し易い。そして、一方把持部20及び他方把持部21を手指で引っ張る(広げる)ようにして、基材5を展開する。この際、作業者の左右の手指は、一方把持部20及び他方把持部21の何れを把持してもよい。
【0037】
要は、作業者の手指で、一方把持部20を横面方向Vの一方側に、他方把持部21を横面方向Vの他方側に引っ張ると、一方折返部17の延設表面17bが、表側貼付部10の表貼付面12の貼付力に抗して剥がれる。また、他方折返部18の延設裏面18bが、裏側貼付部11の裏貼付面13の貼付力に抗して剥がれる。
【0038】
すなわち、展開状態Xとは、一方折返部17の延設表面17bが、表側貼付部10の表貼付面12から剥がれ、他方折返部18の延設裏面18bが、裏側貼付部11の裏貼付面13から剥がれる状態である。また、展開状態Xでは、一方把持部20及び他方把持部21を含めた基材5全体が一枚物のシート状であり、設置部8に設置された貼付部6においては、表側貼付部10が基材5の表面にわずかに突出され、裏側貼付部11が基材5の裏面にわずかに突出された状態となる。なお、展開状態Xにおいても、収容状態Yと同様に、一方把持部20は、一方折返部17の横面方向Vの一方側に沿い、他方把持部21は、他方折返部18の横面方向Vの他方側に沿っている。
【0039】
収容状態Yから展開状態Xとするには、別の展開の仕方も有り得る。例えば、作業者の手指で、一方折返部17が表側貼付部10の表貼付面12から剥がれるように設置部8側を把持し、その後、他方折返部18の延設裏面18bから裏側貼付部11の裏貼付面13から剥がれるように設置部8側を把持することも可能である。
【0040】
このように、一方把持部20を把持して、一方折返部17の延設表面17bを、表側貼付部10の表貼付面12から剥離でき、他方把持部21を把持して、他方折返部18の延設裏面18bを、裏側貼付部11の裏貼付面13から剥離できるので、貼付シート1を展開状態Xとする際に、便利である。
【0041】
ところで、収容状態Yから展開状態Xにする際、一方折返部17の延設表面17bが、表側貼付部10の表貼付面12から、その貼付力に抗して剥がれ、他方折返部18の延設裏面18bが、裏側貼付部11の裏貼付面13から、その貼付力に抗して剥がれるが、表側貼付部10及び裏側貼付部11は、設置部8からは剥がれない。これは、当接手段によって、表側貼付部10と裏側貼付部11とは一体化さているからである。すなわち、貼付部6の外郭全体に貼付面が形成されており、貼付部6の該貼付面が設置部8から剥がれにくいことに加え、設置部8の孔14を介して表側貼付部10と裏側貼付部11の当接面15が接続されて一体化されている。このため、表側貼付部10には裏側貼付部11の貼り付け力が加味され、裏側貼付部11には表側貼付部10の貼り付け力が加味されるからである。
【0042】
作業者は、このような展開状態Xの貼付シート1を、貼付対象、被貼付物に貼り付ける。つまり、図1に示すように、電力量計2の本体部3の前面3aに、例えば、裏側貼付部11の裏貼付面13を、基材5の横面方向Vを略水平となるようにして貼り付ける。このとき、本体部3は合成樹脂製である。このため、前面3aが粘着面となるから、裏側貼付部11の裏貼付面13が、本体部3の前面3aに容易に貼り付けられて、本体部3に保持される。
【0043】
続いて、通信部4の外郭面4aを表側貼付部10の表貼付面12に貼り付けて、保持される。また、通信部4は合成樹脂製であるため、外郭面4aが粘着面となる。仮に、本体部3の前面3aや通信部4の外郭面4aに湾曲した部分が設定されていたとしても、裏側貼付部11及び表側貼付部10は、厚み方向に撓み、且つ曲げることができるため、貼付対象や被貼付物に貼り付けることが可能である。これによって、通信部4に気遣うことなく、電力量計2の端子部に対して所定の作業を行うことができる。
【0044】
電力量計2に対する作業者の作業が終われば、展開状態Xの貼付シート1を収容状態Yとする。これには、折れ線部19を用いて、一方折返部17を横面方向Vの他方側に折り返して、延設表面17bを、表側貼付部10の表貼付面12に貼り付け、折れ線部19を用いて、他方折返部18を横面方向Vの一方側に折り返して、延設裏面18bを裏側貼付部11の裏貼付面13に貼り付けて、収容状態Yとする。
【0045】
収容状態Yとすることで、一方折返部17及び他方折返部18により、貼付部6に汚れが付着したり、あるいは粘着力を保護したりすることができる。つまり、収容状態Yから再度、貼付シート1を展開状態Xとして、貼付部6を貼付対象及び被貼付物に貼り付けるようにしても、収容状態Yでは貼付部6が保護されているから、貼付部6を繰り返し使用することができて、使い易くなる。
【0046】
なお、貼付シート1の展開状態Xにおいて、電力量計2の本体部3の前面3aに、裏側貼付部11の裏貼付面13を貼り付け、通信部4の外郭面4aを、表側貼付部10の表貼付面12に貼り付けた。しかしながら、電力量計2の本体部3の前面3aに、表側貼付部10の表貼付面12を貼り付け、通信部4の外郭面4aに、裏側貼付部11の裏貼付面13に貼り付けるようにしてもよい。
【0047】
次に、第二の実施形態を、図4及び図5に基づいて説明する。図4の展開状態Xに示すように、第二の実施形態に係る貼付シート1の基材5は、設置部8と、一方折返部17と、他方折返部18とを有し、貼付シート1として貼付部6を有する。
【0048】
第一の実施形態では、基材5における設置部8、一方折返部17、及び他方折返部18は、横面方向Vに長い矩形に形成されていた。これに対して、第二の実施形態では、図4(a)の展開状態Xで示すように、設置部8に対して一方折返部17と、他方折返部18とが直交するように形成されている点が、第一の実施形態とは異なる。なお、貼付部6の構成は、第一の実施形態と同様である。
【0049】
異なる点を具体的に説明すると、基材5は、設置部8の横面方向Vの一方側に配置される一方折返部17を有する。第二の実施形態では、第一の実施形態で説明した一方把持部20を省略しており、それ以外の構成は、第一の実施形態と同様である。なお、基材5として、折れ線部19を有する。
【0050】
また、基材5は、設置部8の他方、この場合、一方折返部17の横面方向Vに対する直交する縦面方向Hに配置される他方折返部18を有する。他方折返部18は、第二の実施形態では第一の実施形態で説明した他方把持部21を省略して、それ以外の構成は、第一の実施形態と同様である。また、基材5として、折れ線部19を有する。
【0051】
収容状態Yは、例えば図4(b)の矢線に示すように、表側貼付部10及び裏側貼付部11を基材5に収容した状態である(図5(b)参照)。すなわち、表側貼付部10の表貼付面12に、折れ線部19を介して一方折返部17の延設表面17bが貼り付けられ、他方折返部18の延設裏面18bが、折れ線部19を介して、裏側貼付部11の裏貼付面13に貼り付けられる。
【0052】
このように、収容状態Yでは、基材5の表面5aに設けられた表側貼付部10の表貼付面12に、一方折返部17の延設表面17bが貼り付けられる。また、収容状態Yでは、基材5の裏面5bに設けられた裏側貼付部11の裏貼付面13に、他方折返部18の延設裏面18bが貼り付けられている。よって、基材5が貼付部6用の収容ケースとして機能するから、管理、運搬が容易であり、また、保管に関しても便利である。
【0053】
展開状態Xは、図4(a)(b)に示すように、一方折返部17の延設表面17bが、表側貼付部10の表貼付面12から剥がれ、他方折返部18の延設裏面18bが、裏側貼付部11の裏貼付面13から剥がれた状態である。収容状態Yから展開状態Xとするには、作業者の手指によって、一方折返部17及び他方折返部18を引っ張ることで、容易に展開状態Xとすることができる。
【0054】
展開状態Xでは、例えば、電力量計2の本体部3の前面3a(図1参照)に、裏側貼付部11の裏貼付面13を貼り付け、通信部4の外郭面4aを、表側貼付部10の表貼付面12に貼り付けるようにする。
【0055】
なお、第二の実施形態では、一方把持部20及び他方把持部21は省略したが、一方折返部17に一方把持部20を延設してもよく、他方折返部18に他方把持部21を延設してもよい。この場合では、作業者の手指で一方把持部20及び他方把持部21を把持できるので、容易に展開状態Xとすることができる。
【0056】
次に、第三の実施形態に係る貼付シート1を、図6図7を参照して説明する。第三の実施形態に係る貼付シート1の基材5は、第一の実施形態と同様に、展開状態Xでは、横面方向Vに広がる一枚のシート状とされる。
【0057】
この場合、図6(a)(b)の示すように、基材5として、設置部8A,8Bが一方側、他方側に並んで設けられ、一方側の設置部8Aの横面方向Vのさらに一方側に、第一の実施形態と同様の一方折返部17が形成されている。また、設置部8A,8Bには、それぞれ貼付部6が設置されている。
【0058】
設置部8Aの表面5a(一方載置面)には、第一の実施形態と同様の表側貼付部10が設置され、表側貼付部10の表面側が、電力量計2又は通信部4に貼り付け可能な表貼付面12とされている。また、設置部8Aに隣合う他方側の設置部8Bの裏面5b(他方載置面)には、第一の実施形態と同様の裏側貼付部11が設置され、裏側貼付部11の表面側が、電力量計2又は通信部4の内の残りの部材に貼り付け可能な裏貼付面13とされている。
【0059】
第三の実施形態の場合は、第一の実施形態で説明した設置部8に孔14は形成されておらず、設置部8Aと表側貼付部10とは、接着手段(例えば、接着剤など)により固定されている。また、設置部8Bに孔14は形成されておらず、設置部8Bと裏側貼付部11とは、接着手段(例えば、接着剤など)により固定されている。
【0060】
第三の実施形態において、収容状態Yは、例えば、図6(b)の矢線に示すように、表側貼付部10及び裏側貼付部11を基材5に収容した状態である(図7(b)参照)。すなわち、表側貼付部10の表貼付面12に、折れ線部19を介して設置部8Bの表面5aが貼り付けられて、表側貼付部10及び裏側貼付部11が厚み方向で重ねられ、また、裏側貼付部11の裏貼付面13に、一方折返部17の17b(表面5a)が貼り付けられている。第三の実施形態において、収容状態Yでは、設置部8Bの表面5aが、表側貼付部10の表貼付面12に貼り付けられている。したがって、設置部8Bは延設部(折返部)でもある。
【0061】
展開状態Xは、図6(a)(b)に示すように、一方折返部17の延設表面17b(表面5a)が、表側貼付部10の表貼付面12から剥がれ、裏側貼付部11の裏貼付面13が設置部8Aの裏面5bから剥がれた状態である。収容状態Yから展開状態Xとするには、作業者の手指によって、設置部8B及び一方折返部17を引っ張ることで、容易に展開状態Xとすることができる。
【0062】
なお、収容状態Yから展開状態Xとする際、設置部8Aの表面5aと表側貼付部10とは、接着手段(例えば、接着剤など)により固定されている。また、設置部8Bの裏面5bと裏側貼付部11とは、接着手段(例えば、接着剤など)により固定されている。このため、裏側貼付部11の裏貼付面13から一方折返部17が剥がれ易く、表側貼付部10の表貼付面12から設置部8Bが剥がれ易い。
【0063】
展開状態Xでは、例えば、電力量計2の本体部3の前面3a(図1参照)に、裏側貼付部11の裏貼付面13を貼り付け、通信部4の外郭面4aを、表側貼付部10の表貼付面12に貼り付けるようにする。
【0064】
第三の実施形態において、展開状態Xから収容状態Yとするまでの別の実施形態を以下に説明する。すなわち、設置部8Bに設置された裏側貼付部11の裏貼付面13を、折れ線部19を介して設置部8Aの裏面5bに貼り付ける。また、一方折返部17の延設表面17b(表面5a)を、折れ線部19を介して表側貼付部10の表貼付面12に貼り付ける。これによって、展開状態Xから収容状態Yとすることができる。
【0065】
次に、第四の実施形態に係る貼付シート1を、図8図9を参照して説明する。第四の実施形態に係る貼付シート1の基材5は、展開状態Xでは、横面方向Vに広がる一枚のシート状とされる。基材5は、設置部8と、横面方向Vの一方側に延設される一方折返部17とを有し、貼付シート1として、他方折曲部の代替となる剥離紙25を有する(図8(b)参照)。この剥離紙25には、裏側貼付部11の裏貼付面13に貼り付け可能な剥離面25aが形成されている。
【0066】
設置部8の構成と、設置部8に設置される貼付部6の構成は、上記第一の実施形態と同様である。また、把持部は省略して、第二の実施形態と同様の一方折返部17を設置部8に一体的に形成している。また、基材5として、折れ線部19を有する。
【0067】
剥離紙25は、図9(b)に示すように、貼付部6の裏側貼付部11の裏貼付面13に貼り付け可能に構成されている。また、剥離紙25は、正面視して、設置部8及び一方折返部17と同様の面積とされる。
【0068】
貼付シート1の展開状態Xは、図8(b)に示すように、一方折返部17の延設表面17b(表面5a)が、表側貼付部10の表貼付面12から剥がれた状態である。また、剥離紙25においては、剥離面25aが、貼付部6の裏側貼付部11の裏貼付面13から剥がれた状態である。展開状態Xにおいて、作業者は、電力量計2の本体部3の前面3aに、裏側貼付部11の裏貼付面13を貼り付け、通信部4の外郭面4aを、表側貼付部10の表貼付面12に貼り付ける。
【0069】
貼付シート1の収容状態Yは、図9(b)に示すように、表側貼付部10の表貼付面12に、折れ線部19を介して一方折返部17の延設表面17bが、横面方向Vの他方側に向けて貼り付けられ、裏側貼付部11の裏貼付面13に、剥離紙25の剥離面25aが厚み方向から貼り付けられた状態である。この収容状態Yにおいては、基材5が貼付部6用の収容ケースとして機能するから、管理、運搬が容易であり、また、保管に関しても便利である。
【0070】
なお、裏側貼付部11の裏貼付面13には、剥離紙25の剥離面25aを貼り付け可能に設けたが、剥離紙25とは限らず、基材5と同等な材質とすることもできる。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態のうち、第一、第二、第四の実施形態では、基材5の表面5a、裏面5bを貼付部6の設置面とし、設置部8に切り欠かれた孔14を介して、それぞれ別の表側貼付部10と裏側貼付部11との外郭貼付面を貼り付け、これらを一体化させた例を示した。しかしながら、表側貼付部10と裏側貼付部11とは、一体物である構成を採用することもできる。この場合、基材5の設置面8に、貼付部6の大きさに相当する孔を形成し、該孔に貼付部6を貫通させて、設置面8の表面5a、裏面5bに対して表側貼付部10、裏側貼付部11とすることもできる。
【0072】
上記各実施形態では、貼付対象として電力量計2を挙げ、被貼付部として電力量計2の本体部3に着脱自在に装着される通信部4を挙げたが、貼付対象及び被貼付部はこれらに限る必要はない。例えば、貼付対象として、電力量計2に限られず、ガラス壁、ホワイトボード等の粘着面を利用してもよい。被貼付部として、貼付対象に対応する部材であってもよいし、対応しない部材であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…貼付シート、2…電力量計、3…本体部、3a…前面、4…通信部、4a…外郭面、5…基材、5a…表面、5b…裏面、6…貼付部、8A,8B…設置部、9…延設部、10…表側貼付部、11…裏側貼付部、12…表貼付面、13…裏貼付面、14…孔、15…当接面、17…一方折返部、17a…端縁部、17b…延設表面、18…他方折返部、18a…端縁部、18b…延設裏面、19…折れ線部、20…一方把持部、21…他方把持部、25…剥離紙、25a…剥離面、H…縦面方向、V…横面方向、X…展開状態、Y…収容状態、δ…離間距離
図1
図2
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図7
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