(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143270
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】根菜収穫機及び根菜投入装置
(51)【国際特許分類】
A01D 13/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A01D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050556
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】593031090
【氏名又は名称】株式会社佐々木エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 岳史
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA01
2B072AA05
2B072AA06
2B072AA10
2B072CA03
2B072CA11
2B072CB07
(57)【要約】
【課題】根菜の掘取り及び根菜塊の搬入口への投入作業を省力化でき、地中に根菜がある場所を狙って効率的に根菜を掘取ることができ、台車に搭載する動力源を比較的容量が小さいものにすることができ、構造が簡素でしかも操作が容易な根菜収穫機を提供する。
【解決手段】台車2と、根菜と土とを含む根菜塊Cを搬入するための搬入口31を台車の台枠21の前縁寄りに有し、搬入口31に投入された根菜塊Cを処理する、台車2上に設置した根菜処理装置3と、地中にある根菜Rの下側に掘取爪5を差込んで該掘取爪5を持つ掘取部6を真上に上昇させることで、掘取爪5で保持した根菜塊Cを形成し、根菜塊Cと一緒に掘取部6を所要高さまで真上に更に上昇させて根菜塊Cを掘取爪5から解放し、落下中の根菜塊Cを、掘取部6の昇降時に昇降路Pから退避可能なシューター8で受取って搬入口31へ導き入れる、台枠21の前縁に配設した根菜投入装置4とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と、
根菜と土とを含む根菜塊を搬入するための搬入口を前記台車の台枠の前縁寄りに有し、前記搬入口に投入された前記根菜塊を処理する、前記台車上に設置した根菜処理装置と、
地中にある前記根菜の下側に掘取爪を差込んで該掘取爪を持つ掘取部を真上に上昇させることによって前記掘取爪で保持した前記根菜塊を形成し、該根菜塊及び掘取爪と一緒に前記掘取部を所要高さまで更に真上に上昇させて前記根菜塊を前記掘取爪から解放し、落下中の前記根菜塊を、前記掘取部の昇降時に該掘取部の昇降路から退避可能なシューターで受取って前記搬入口へ導き入れることができる、前記台枠の前縁に配設した根菜投入装置と、
を備えることを特徴とする根菜収穫機。
【請求項2】
台車と、
根菜と土とを含む根菜塊を搬入するための搬入口を前記台車の台枠の前縁寄りに有し、前記搬入口に投入された前記根菜塊を収容する、前記台車上に設置した収容部と、
地中にある前記根菜の下側に掘取爪を差込んで該掘取爪を持つ掘取部を真上に上昇させることによって前記掘取爪で保持した前記根菜塊を形成し、該根菜塊及び掘取爪と一緒に前記掘取部を所要高さまで更に真上に上昇させて前記根菜塊を前記掘取爪から解放し、落下中の前記根菜塊を、前記掘取部の昇降時に該掘取部の昇降路から退避可能なシューターで受取って前記搬入口へ導き入れることができる、前記台枠の前縁に配設した根菜投入装置と、
を備えることを特徴とする根菜収穫機。
【請求項3】
台車上に設置した、根菜と土を含む根菜塊を処理する根菜処理装置が、又は前記根菜塊を収容する収容部が、前記台車の台枠の前縁寄りに有する搬入口に前記根菜塊を投入する根菜投入装置であって、
前記台車の台枠の前縁に配置されるよう前記台枠に装着することができ、
前記台枠の前縁に装着したとき、
地中にある前記根菜の下側に掘取爪を差込んで該掘取爪を持つ掘取部を真上に上昇させることによって前記掘取爪で保持した前記根菜塊を形成し、該根菜塊及び掘取爪と一緒に前記掘取部を所要高さまで真上に更に上昇させて前記根菜塊を前記掘取爪から解放し、落下中の前記根菜塊を、前記掘取部の昇降時に該掘取部の昇降路から退避可能なシューターで受取って前記搬入口へ導き入れることができることを特徴とする根菜投入装置。
【請求項4】
請求項3に記載の根菜投入装置であって、
前記掘取爪を地中の根菜の下側へ進退可能に持つ掘取部と、
前記掘取部を昇降させて、前記掘取爪の地中への差込み時の前記掘取部の高さが所要高さとなる掘取開始位置と該掘取開始位置の真上の所要高さにある根菜塊解放位置とにつけることができる昇降部と、
前記シューターの姿勢を、前記掘取部の昇降路からの退避姿勢と前記落下中の根菜塊を受取って前記搬入口へ導き入れる案内姿勢とに切替え可能に前記シューターを支持するシューター支持部と、
を備えることを特徴とする根菜投入装置。
【請求項5】
請求項4に記載の根菜投入装置であって、
前記シューターは、
前記台車の左右方向に伸長した傾動中心軸線を中心に傾動可能であり、
当該シューターの幅及び長さより厚みを小さくして扁平状に形成してあり、かつ当該シューターの幅方向が前記傾動中心軸線に平行であり、
前記退避姿勢をとったとき、当該シューターの長さ方向が上下方向になり、
前記案内姿勢をとったとき、前記退避姿勢から前記傾動中心軸線を中心に一定角度だけ回転することで、当該シューターの長さ方向の一端が前記根菜塊を受取り可能に前記掘取部の昇降路内に進出すると共に、他の一端が前記搬入口に至るよう進出し、かつ前記受取った根菜塊が前記昇降路から前記搬入口へ滑り落ちることができるよう傾いていることを特徴とする根菜投入装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の根菜投入装置であって、
前記シューター支持部は、
前記昇降路と前記搬入口との間に配置され、前記台車の左右方向の軸線方向に伸びた支持軸と、
前記支持軸の両端部を回動自在に保持する一対の軸受と、
前記シューター駆動部は、前記支持軸を回動駆動する回動駆動部とを備え、
前記シューターは、前記支持軸に固着していることを特徴とする根菜投入装置。
【請求項7】
請求項4又は請求項5に記載の根菜投入装置であって、
前記掘取爪は、当該掘取爪の幅方向に互いに平行に並ぶ、所定の曲率半径で湾曲した複数の棒材の各一端を、当該掘取爪の幅方向に伸びた基部部材に固定して構成された一対のフォークからなり、
前記掘取部は、夫々一端を、昇降枠の下部に設けた支点軸に回動可能に装着し、他の一端で前記基部部材の両端を、前記一対のフォークの先端が互いに対向し、かつ前記支点軸と同心であって前記曲率半径と同じ半径の円に前記棒材が沿うよう固く保持した前記フォーク毎の一対の開閉腕と、前記一対のフォークの先端が開閉するよう前記フォーク毎の一対の開閉腕を揺動駆動する、前記昇降枠に設けた掘取爪開閉機構とを備えることを特徴する根菜投入装置。
【請求項8】
請求項7記載の根菜投入装置であって、
前記掘取爪開閉機構は、
前記支点軸と平行するよう前記支点軸の上方に配置した昇降軸と、
前記一対のフォークのうちの片方のフォークの前記基部部材の両端部に夫々一端を枢着すると共に、他の一端を前記昇降軸の両端部に夫々枢着した一対の第一リンク部材と、
前記一対の掘取爪のうちのもう片方のフォークの前記基部部材の両端部に夫々一端を枢着すると共に、他の一端を前記昇降軸の両端部に夫々枢着した一対の第二リンク部材と、
上下方向に進退し、かつ下端部に前記昇降軸を回転可能に装着した出力軸を有する、前記昇降枠の上部に設置した開閉用アクチュエータと、
前記昇降軸の両端に固着した鎖歯車又はピニオンと、
前記鎖歯車に噛合うよう前記昇降枠に上下方向に張設した一対のチェーン、又は前記ピニオンに噛合うよう前記昇降枠に設置した一対のラックと、
を備えることを特徴とする根菜投入装置。
【請求項9】
請求項4~請求項8のいずれか一に記載の根菜投入装置であって、
前記昇降部は、
前記昇降枠を上下方向に案内するための前記昇降路沿いに上下方向に伸長した案内面を持ち、前記掘取部の昇降路の右側又は左側に配置したガイドフレームと、
前記昇降枠を昇降させる昇降駆動機構と、
を備えることを特徴とする根菜投入装置。
【請求項10】
請求項9に記載の根菜投入装置であって、
前記昇降駆動機構は、
前記ガイドフレームの上部に設置した上側の滑車と、
前記ガイドフレームの下部に設置した下側の滑車と、
前記昇降枠の前記上側の滑車と前記下側の滑車の間に設けた重錘と、
一端を前記昇降枠に結合すると共に、他の一端を前記重錘に結合し、前記上側の滑車に掛けた第1のワイヤと、
一端を前記重錘に結合して前記下側定滑車に掛けた第2のワイヤと、
前記第2のワイヤを巻取る、前記ガイドフレームに設けたウインチとを備えることを特徴とする根菜投入装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の根菜収穫機であって、
前記根菜は里芋であり、
前記根菜塊は、少なくとも里芋の親芋と子芋と土とを含み、
前記根菜処理装置は、前記根菜塊から里芋の親芋と子芋と土とを分離するための、前記根菜投入装置へ向けて開口した搬入口を有する回転ドラムを備えることを特徴とする根菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば里芋等の根菜を掘取って根菜処理装置で処理する根菜収穫装置、里芋等の根菜を掘取って収容部に収容する根菜収穫装置、及び、根菜を掘取り、その掘取った根菜塊を、台車上の根菜処理装置又は収容部が有する搬入口へ投入する根菜投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、根菜を掘取るには、里芋のように地表に出ている葉や茎が大きい場合は、予め葉や茎を除去しておく。地中の根菜を掘取ると、根菜と土とを含む根菜塊となる。掘取った根菜を選果場等へ出荷するには、根菜塊中の根菜と土とを分離する処理が必要になる。根菜の掘取り作業と根菜塊の処理作業を人手により行うのは大変な労力を要するので、この作業の省力化が図られている。
【0003】
従来、地中の根菜の掘取りながら根菜塊を処理する根菜収穫機としては、例えば特許文献1に記載されているように、台車の台枠の前部下方に設けた掘さく刃で掘取った根菜塊を移送物としてコンベヤで機体後部へ移送し、そのコンベア上の移送物をスクリューフィーダによりバケットエレベータに変向移送して、そのスクリューフィーダの送出物をエプロンによってバケットエレベータに流下させ、バケットエレベータによって上方へ持上げて前送コンベアに落下させ、前送コンベアにより、収容するタンクに供給し、搬送中に根菜塊から土砂を極力分離するようにしたものがある。
【0004】
また、地中の根菜の掘取って台車上の収容部に収容する根菜投入装置としては、特許文献2に記載されているように、左右一対のクローラを有して走行する車体に、先端に堀取爪を有して昇降可能のリフトアームを支持すると共に、この車体の前端部で該クローラの前端部上に運転席を設けたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60-058007号公報
【特許文献2】特開2003-338218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の根菜収穫機では、台車の前部で掘取った根菜塊を台車の後部へ移送して上昇させ、更に前方のタンクへ移送するので、根菜の搬送距離が長くなる。そして根菜塊を搬送するコンベア、スクリューフィーダ、バケットエレベータ等は、その構造が複雑である。しかも、それらを作動させるための動力源が必要である。また掘削刃を地中に入れて台車を前進させることで掘削刃を前進させながら根菜塊を掘出すので、走行駆動力の大きい台車が必要である。そのため台車上に、出力の大きい動力源を装備しなければならない。したがって、この根菜収穫機は高価になり、その保守が面倒なものとなる。また、台車を、根菜が植えてある畝の一端に畝を跨ぐように配置し、掘削刃を地中に入れて、台車を畝の伸びた方に走行させることで根菜を掘取る。そして地中に入れた掘削刃を、畝の一端から他端まで連続的に掘削刃を走行させることが多く、例えば畝に大きい間隔で根菜が植えられている場合には、不必要に畝を掘削することになるので動力の無駄が大きくエネルギー効率が悪い。
【0007】
また、特許文献2に記載されている根菜投入装置では、掘取爪は、運転席の前方へ伸ばすことができるリフトアームの先端の真下に、昇降可能かつ上下方向の軸線の周りを回動可能に設けてあり、リフトアームは、運転席の後方の上下方向の軸線に沿って昇降可能かつ該上下方向の軸線のまわりに回動可能に設けてあるので、狙った位置に掘取爪を移動して掘取ることができ、無駄な掘削をしなくて済む。しかし、この根菜投入装置で掘取った根菜塊を収容部に収容するには、リフトアームを伸縮させたり、リフトアームを、運転席の後方の上下方向の軸線を中心に旋回させたり、リフトアームを昇降させたりする必要がある。そのため、台車のまわりに大きな掘取用空間を確保する必要があり、掘取った根菜塊の移送距離が長くなり、搬送時間の短縮化を図れない。
【0008】
また、掘取爪を収容部から掘取位置へ移動したり掘取位置から収容部へ移動したりするために必要なリフトアームの昇降量、伸縮長さ及び旋回角度は、所要の掘取位置に応じて異なってくるので、地中の根菜を掘取爪で掴んだ後、その堀取爪の上昇操作、リフトアームの昇降操作、伸縮操作、旋回操作を行う度に、運転者が掘取爪の現在位置や周りの状況を目視確認しながら適正に行う必要がある。そのため、この根菜投入装置を操作するのは難しく熟練を要する。
【0009】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の目的は、根菜の掘取り及び根菜塊の搬入口への投入作業を省力化でき、地中に根菜がある場所を狙って効率的に根菜を掘取ることができ、台車に搭載する動力源を比較的出力の小さいものにすることができ、構造が簡素でしかも操作が容易な根菜収穫機を提供することにある。
【0010】
また本発明の第二の目的は、本発明の根菜収穫機を構成するのに適した根菜投入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
本発明の第1の側面に係る根菜収穫機によれば、台車と、根菜と土とを含む根菜塊を搬入するための搬入口を前記台車の台枠の前縁寄りに有し、前記搬入口に投入された前記根菜塊を処理する、前記台車上に設置した根菜処理装置と、地中にある前記根菜の下側に掘取爪を差込んで該掘取爪を持つ掘取部を真上に上昇させることによって前記掘取爪で保持した前記根菜塊を形成し、該根菜塊及び掘取爪と一緒に前記掘取部を所要高さまで更に真上に上昇させて前記根菜塊を前記掘取爪から解放し、落下中の前記根菜塊を、前記掘取部の昇降時に該掘取部の昇降路から退避可能なシューターで受取って前記搬入口へ導き入れることができる、前記台枠の前縁に配設した根菜投入装置とを備えるよう構成できる。
【0012】
前記構成により、里芋を掘取って搬入口に投入するには、台車を移動させることで根菜投入装置を掘取爪と共に狙った掘取場所に移動し、地中の根菜を掘取爪で保持して真上に持上げてから開放すれば、その開放されて落下中の根菜塊が、掘取爪の上昇直後に昇降路に進出しているシューターに受取られて搬入口へ重力によって落下する。そのため、台車を所要の掘取場所に位置付けした後は、掘取爪を前後方向や左右方向に移動する必要がなくなるので、根菜塊の移送距離を短縮することができる。また、台車の移動、掘取爪の昇降、掘取爪の地中への差込み、掘取爪からの根菜塊の解放、及びシューターの姿勢を切換えるためのシューターの作動させるためには夫々動力が必要であるが、比較的軽量に形成できるシューターの傾動に必要な動力は、掘取爪の移動に必要な動力に比べて小さくすることができ、台車を移動させるための動力についても、掘削刃を地中で前進させながら掘取る場合に比べて大幅に小さくすることができるので、台車に搭載する動力源の低出力化を図ることができる。したがって、構造が簡素で根菜の掘取り及び根菜塊の搬入口への投入作業を省力化でき、地中に根菜がある場所を狙って効率的に根菜を掘取ることができ、当該根菜収穫機の占有空間や台車に搭載する動力源の容量を比較的小さいものにすることができ、しかも操作が容易である根菜収穫機を得ることができる。
【0013】
本発明の第2の側面に係る根菜収穫機によれば、台車と、根菜と土とを含む根菜塊を搬入するための搬入口を前記台車の台枠の前縁寄りに有し、前記搬入口に投入された前記根菜塊を収容する、前記台車上に設置した収容部と、地中にある前記根菜の下側に掘取爪を差込んで該掘取爪を持つ掘取部を真上に上昇させることによって前記掘取爪で保持した前記根菜塊を形成し、該根菜塊及び掘取爪と一緒に前記掘取部を所要高さまで更に真上に上昇させて前記根菜塊を前記掘取爪から解放し、落下中の前記根菜塊を、前記掘取部の昇降時に該掘取部の昇降路から退避可能なシューターで受取って前記搬入口へ導き入れることができる、前記台枠の前縁に配設した根菜投入装置とを備えるよう構成できる。
【0014】
本発明の第3の側面に係る根菜投入装置によれば、台車上に設置した、根菜と土を含む根菜塊を処理する根菜処理装置が、又は前記根菜塊を収容する収容部が、前記台車の台枠の前縁寄りに有する搬入口に前記根菜塊を投入する根菜投入装置であって、前記台車の台枠の前縁に配置されるよう前記台枠に装着することができ、前記台枠の前縁に装着したとき、地中にある前記根菜の下側に掘取爪を差込んで該掘取爪を持つ掘取部を真上に上昇させることによって前記掘取爪で保持した前記根菜塊を形成し、該根菜塊及び掘取爪と一緒に前記掘取部を所要高さまで真上に更に上昇させて前記根菜塊を前記掘取爪から解放し、落下中の前記根菜塊を、前記掘取部の昇降時に該掘取部の昇降路から退避可能なシューターで受取って前記搬入口へ導き入れることができるよう構成できる。
【0015】
本発明の第4の側面に係る根菜投入装置によれば、前記掘取爪を地中の根菜の下側へ進退可能に持つ掘取部と、前記掘取部を昇降させて、前記掘取爪の地中への差込み時の前記掘取部の高さが所要高さとなる掘取開始位置と該掘取開始位置の真上の所要高さにある根菜塊解放位置とにつけることができる昇降部と、前記シューターの姿勢を、前記掘取部の昇降路からの退避姿勢と前記落下中の根菜塊を受取って前記搬入口へ導き入れる案内姿勢とに切替え可能に前記シューターを支持するシューター支持部とを備えるよう構成できる。
【0016】
本発明の第5の側面に係る根菜投入装置によれば、前記シューターは、前記台車の左右方向に伸長した傾動中心軸線を中心に傾動可能であり、当該シューターの幅及び長さより厚みを小さくして扁平状に形成してあり、かつ当該シューターの幅方向が前記傾動中心軸線に平行であり、前記退避姿勢をとったとき、当該シューターの長さ方向が上下方向になり、前記案内姿勢をとったとき、前記退避姿勢から前記傾動中心軸線を中心に一定角度だけ回転することで、当該シューターの長さ方向の一端が前記根菜塊を受取り可能に前記掘取部の昇降路内に進出すると共に、他の一端が前記搬入口付近に至るよう進出し、かつ前記受取った根菜塊が前記昇降路から前記搬入口へ滑り落ちることができるよう傾いているよう構成できる。
【0017】
本発明の第6の側面に係る根菜投入装置によれば、前記シューター支持部は、前記昇降路と前記搬入口との間に配置され、前記台車の左右方向の軸線方向に伸びた支持軸と、前記支持軸の両端部を回動自在に保持する一対の軸受と、前記シューター駆動部は、前記支持軸を回動駆動する回動駆動部とを備え、前記シューターは、前記支持軸に固着しているよう構成できる。
【0018】
前記構成により、構造が簡素で占有空間が小さくシューターの姿勢を小さな動力で素早く変えることが可能な案内支持部を得ることができる。
【0019】
本発明の第7の側面に係る根菜投入装置によれば、前記掘取爪は、当該掘取爪の幅方向に互いに平行に並ぶ、所定の曲率半径で湾曲した複数の棒材の各一端を、当該掘取爪の幅方向に伸びた基部部材に固定して構成された一対のフォークからなり、前記掘取部は、夫々一端を、昇降枠の下部に設けた支点軸に回動可能に装着し、他の一端で前記基部部材の両端を、前記一対のフォークの先端が互いに対向し、かつ前記支点軸と同心であって前記曲率半径と同じ半径の円に前記棒材が沿うよう固く保持した前記フォーク毎の一対の開閉腕と、前記一対のフォークの先端が開閉するよう前記フォーク毎の一対の開閉腕を揺動駆動する、前記昇降枠に設けた掘取爪開閉機構とを備えるよう構成できる。
【0020】
前記構成により、掘取爪を地中に差込む際の抵抗が小さくなり、掘取爪を作動させるためのアクチュエータを出力が小さいものにすることができ、掘取部の軽量化を図ることができる。
【0021】
本発明の第8の側面に係る根菜投入装置によれば、前記掘取爪開閉機構は、前記支点軸と平行するよう前記支点軸の上方に配置した昇降軸と、前記一対のフォークのうちの片方のフォークの前記基部部材の両端部に夫々一端を枢着すると共に、他の一端を前記昇降軸の両端部に夫々枢着した一対の第一リンク部材と、前記一対の掘取爪のうちのもう片方のフォークの前記基部部材の両端部に夫々一端を枢着すると共に、他の一端を前記昇降軸の両端部に夫々枢着した一対の第二リンク部材と、上下方向に進退し、かつ下端部に前記昇降軸を回転可能に装着した出力軸を有する、前記昇降枠の上部に設置した開閉用アクチュエータと、前記昇降軸の両端に固着した鎖歯車又はピニオンと、前記鎖歯車に噛合うよう前記昇降枠に上下方向に張設した一対のチェーン、又は前記ピニオンに噛合うよう前記昇降枠に設置した一対のラックとを備えるよう構成できる。
【0022】
前記構成により、一つの開閉用アクチュエータの出力軸の下端で昇降軸の中央部を保持して吊下げていても昇降軸を上下に平行移動させることができるので、確実に一対のフォークを全幅均等に開閉することができ、掘取時の一対のフォークの捻れを防ぎ掘取り動作を安定させることができる。
【0023】
本発明の第9の側面に係る根菜投入装置によれば、前記昇降部は、前記昇降枠を上下方向に案内するための前記昇降路沿いに上下方向に伸長した案内面を持つ、前記掘取部の昇降路の右側又は左側に配置したガイドフレームと、前記昇降枠を昇降させる昇降駆動機構とを備えるよう構成できる。
【0024】
本発明の第10の側面に係る根菜投入装置によれば、前記昇降駆動機構は、前記ガイドフレームの上部に設置した上側の滑車と、前記ガイドフレームの下部に設置した下側の滑車と、前記昇降枠の前記上側の滑車と前記下側の滑車の間に設けた重錘と、一端を前記昇降枠に結合すると共に、他の一端を前記重錘に結合し、前記上側の滑車に掛けた第1のワイヤと、一端を前記重錘に結合して前記下側定滑車に掛けた第2のワイヤと、前記第2のワイヤを巻取る、前記ガイドフレームに設けたウインチとを備えるよう構成できる。
【0025】
前記構成により、重錘により掘取部の重量を相殺することができるので、昇降駆動機構が掘取部を昇降させるための動力を小さくすることができる。
【0026】
本発明の第11の側面に係る根菜収穫機によれば、前記根菜は里芋であり、前記根菜塊は、少なくとも里芋の親芋と子芋と土とを含み、前記根菜処理装置は、前記根菜塊から里芋の親芋と子芋と土とを分離するための、前記根菜投入装置へ向けて開口した搬入口を有する回転ドラムを備えるよう構成できる。
【0027】
前記構成により、掘取後の移送過程で親芋と子芋とを自動的に分離することが難しい里芋であっても、その親芋と子芋を確実に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る根菜収穫機の正面図である。
【
図3】根菜投入装置のシューター支持装置の正面図である。
【
図4】根菜投入装置のシューター支持装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための根菜収穫機及び根菜投入装置を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0030】
図1及び
図2に示すように、根菜収穫機1は、台車2と、台車2上に設置した根菜処理装置3と、台車2の台枠21の前縁に配設した根菜投入装置4とを備えている。
【0031】
台車2は、台枠21と、台枠21を移動可能に支えるための前輪22及び後輪23と、正逆両方向に駆動可能なモータ24と、モータ24の動力を後輪23に伝達するする減速機25及び伝動装置26とを備えており、前輪22は自由に方向の変わるキャスタとなっている。台車2は、モータ24を起動して後輪23を駆動することで、必要な方向に前進後退することができる。更に、台車2は、台枠21に固設した、根菜投入装置4を装着するためのフレーム10を有している。
【0032】
根菜処理装置3は、根菜Rと土Sとを含む根菜塊Cを搬入するための搬入口31を、台車2の台枠21の前縁寄りに有し、搬入口31に搬入された根菜塊Cの所定の処理を行うためのものである。この実施形態では、根菜Rは里芋であり、根菜塊Cは、少なくとも親芋R1と子芋R2と土Sとを含み、根菜処理装置3は、根菜塊Cから里芋の親芋R1と子芋R2を分離するための回転ドラム32を備えている。
【0033】
回転ドラム32は、基台33上に固設したスタンド34の上端の軸受部35で回転自在に保持した中心支持軸36の先端部に固着してあり、中心支持軸36の後端部には伝動装置37を介してモータ38の動力を伝達可能であので、モータ38によって回転駆動することができる。
【0034】
基台33は、台枠21に設けた支点軸27を中心に揺動可能に装着してあり、傾き調節部39により、台車2と台枠21の後端同士の上下方向の距離を増減させることで、支点軸27を中心とする水平姿勢に対する回転ドラム32の回転中心軸線の傾きを調節できるようになっている。回転ドラム32の後端には後向きに開口した放出口が設けてある。そして回転ドラム32は、根菜塊Cを処理する際、モータ38に駆動されて回転し、搬入口31から投入された根菜塊Cを、親芋R1と子芋R2と土Sに分離し、土Sを、胴部外周を覆うように設けた網40を通して篩い落とし、分離された親芋R1と子芋R2を放出口から後方へ放出することができるようになっている。なお里芋の処理は、処理後に多量の残土が生じるので畑で行うのが望ましく、この根菜収穫機1では根菜処理装置3を台車2で畑に運ぶことができるので便利である。
【0035】
根菜投入装置4は、掘取爪5を地中の根菜Rの下側へ進退可能に持つ掘取部6と、掘取部6を昇降させて、掘取爪5の地中への差込み時の掘取部6の高さが所要高さとなる掘取開始位置と該掘取開始位置の真上の所要高さにある根菜塊解放位置とにつけることができる昇降部7と、掘取部6が根菜塊解放位置で解放した落下中の根菜塊Cを掘取部6の昇降路Pで受取って搬入口31へ導くためのシューター8と、掘取部6の昇降路Pと根菜処理装置3との間に配設した、シューター8を支持するシューター支持部9とを備えている。
【0036】
図3に示すように、シューター8は複数の棒材41からなり、この複数の棒材41は互いに所要の間隔をとって平行に、
図3の紙面の左右方向つまり台車2の左右方向に一列に並んでいる。シューター支持部9は、台車2の左右方向に伸びた支持軸42と、支持軸42の両端部を回動自在に保持する一対の軸受43と、支持軸42を回動駆動する回動駆動部44とを備え、棒材41は、夫々支持軸42に固着されている。
【0037】
図4に示すように、回動駆動部44は、支持軸42の一端に固着したレバー45と、レバー45を一定の揺動角度内で揺動させる傾動用アクチュエータ46とからなり、傾動用アクチュエータ46の出力軸47の先端部はレバー45の先端部に連結してある。傾動用アクチュエータ46の後端部を保持するブラケット48は、シューター用フレーム11に固設した板部材49にボルトで固定し、軸受43は、シューター用フレーム11の縦部材111に設けた座板112にボルトで固定してある。したがって、回動駆動部44は、傾動用アクチュエータ46でレバー45を押し引きすることで、シューター8を、台車2の左右方向に伸びた傾動中心軸線つまり支持軸42を中心に一定角度の範囲内で傾動させることができる。
【0038】
図3に示すシューター8及び
図4に二点鎖線で示すシューター8は退避姿勢をとっており、シューター8の長さ方向が上下方向になり、掘取部6の昇降路Pから退避している。
図4に実線で示すシューター8は案内姿勢をとっており、退避姿勢から支持軸42を中心に一定角度だけ回転することで、そのシューター8の長さ方向の一端が根菜塊Cを受取り可能に昇降路内に進出すると共に他の一端が搬入口31に至るよう進出し、かつ、その受取った根菜塊Cが掘取部6の昇降路Pから搬入口31へ滑り落ちることができるよう傾いている。シューター8に案内姿勢をとらせるには傾動用アクチュエータ46によってレバー45を引上げ、退避姿勢をとらせるには傾動用アクチュエータ46によってレバー45を押下げる。
【0039】
図5~
図7に示すように、掘取爪5は、複数の棒材51の各一端を、基部部材52に固定して構成された一対のフォーク53からなる。基部部材52は掘取爪51の幅方向つまり
図6の紙面の左右方向に伸びている。各棒材51は所定の曲率半径で湾曲しており、掘取爪5の幅方向に互いに平行に並んでいる。
【0040】
掘取部6は、夫々一端を、昇降枠54の下部に設けた支点軸55に回動可能に装着し、他の一端で基部部材52の両端を固く保持した、フォーク53毎の一対の開閉腕56、57を備えている。このフォーク53毎の一対の開閉腕56、57は、一対のフォーク53の先端が互いに対向し、かつ支点軸55と同心であって棒材51の湾曲の曲率半径と同じ半径である仮想の円Crに棒材51が沿うよう基部部材52の両端を保持している。
【0041】
更に掘取部6は、一対のフォーク53の先端が開閉するようフォーク53毎の一対の開閉腕56、57を揺動駆動する、昇降枠54に設けた掘取爪開閉機構58を備えている。そして支点軸55及び基部部材52は、一対のフォーク53が畝RIの伸長方向に交差する方向に開閉するよう台車2の前後方向に伸びている。
【0042】
掘取爪開閉機構58は、支点軸55と平行するよう支点軸55の上方に配置した昇降軸59と、一対のフォーク53のうちの片方のフォーク53の基部部材52の両端部に夫々一端を枢着すると共に、他の一端を昇降軸59の両端部に夫々枢着した一対の第一リンク部材61と、もう片方のフォーク53の基部部材52の両端部に夫々一端を枢着すると共に、他の一端を昇降軸59の両端部に夫々枢着した一対の第二リンク部材62と、昇降枠54の上部に設置した開閉用アクチュエータ63とを備えている。昇降軸59は軸受部64に回転可能に装着しており、開閉用アクチュエータ63は上下方向に進退可能な下向きの出力軸65を有している。そして軸受部64は出力軸65の下端に保持されている。
【0043】
開閉用アクチュエータ63によって昇降軸59を引上げると、一対の第一リンク部材61及び一対の第二リンク部材62により基部部材52が引上げられ、開閉腕56が支点軸55を中心に揺動して、
図5に実線で示すように一対のフォーク53の先端が開く。開閉用アクチュエータ63によって昇降軸59を押下げると、一対の第一リンク部材61及び一対の第二リンク部材62により基部部材52が押下げられ、開閉腕56が支点軸55を中心に揺動して、
図5に二点鎖線で示すように一対のフォーク53の先端が閉じる。
【0044】
更に、掘取爪開閉機構58は、昇降軸59と支点軸55との平行を保ち、一対のフォーク53の先端が全幅にわたり均等に開閉するようにするための連動機構66を備えている。この連動機構66は、昇降軸59の両端に固着した鎖歯車67と、鎖歯車67に噛み合うよう昇降枠54に上下方向に張設した一対のチェーン68とからなる。この連動機構66は、鎖歯車67に替えてピニオンを用い、一対のチェーンに替えて前記ピニオンに噛み合うラックを用いることができる。
【0045】
図8及び
図9に示すように、昇降部7は、昇降枠54を上下方向に案内するための、掘取部6の昇降路P沿いに上下方向に伸長した案内面71を持つガイドフレーム72と、昇降枠54を昇降させる昇降駆動機構73とを備えている。ガイドフレーム72は、掘取部6の、台車2の前方から後方に向かって昇降路Pの左側に配置されている。
【0046】
ガイドフレーム72は縦部材74を有しており、案内面71は、
図7に示すように縦部材74に形成された溝の対向する側面からなる。掘取部6の昇降枠54は上下各一対の腕部75を有しており、腕部75の先端には縦部材73の溝に嵌まる車輪76が保持されている。また昇降枠54の横部材77には結合具78が設けてある。
【0047】
図8に示すように、昇降駆動機構73は、ガイドフレーム72の上部に設置した上側の滑車79、80と、ガイドフレーム72の下部に設置した下側の滑車81と、昇降枠54の上側の滑車80と下側の滑車81の間に設けた重錘82と、一端を昇降枠54に結合すると共に、他の一端を重錘82に結合し、上側の滑車79、80に掛けた第1のワイヤ83と、一端を重錘82に結合して下側定滑車81に掛けた第2のワイヤ84と、第2のワイヤ84を巻取る、ガイドフレーム72に設けたウインチ85とを備えている。
【0048】
図9に示すように、重錘82は、掘取部6より僅かに軽い重量を有しており、一対の縦部材74に沿って設けた棒状の案内部材86によって上下方向に案内されるようになっている。ウインチ85は市販の電動ウインチで、第2のワイヤ84を巻取るドラム88と、ドラム88を正逆両方向に回転駆動することができる電動機89を備えている。
【0049】
電動機89が正転作動すると、第2のワイヤ84がドラム88に巻取られ、その第2のワイヤ84が下側の滑車80を通じて重錘82を案内部材86に沿って引下げる。そして第1のワイヤ83が重錘82と一緒に引下げられ、その第1のワイヤ83が上側の滑車79、80を通じて昇降枠54の横部材77を上方へ引上げる。それによって昇降枠54は、ガイドフレーム72の案内面71に沿って上昇する。また電動機89が逆転作動すると、第2のワイヤ84はドラム88から巻戻されて引上げ力を失い、昇降枠54は、それに働く重力によりガイドフレーム72の案内面71に沿って下降する。昇降枠54の下降により第1のワイヤ83は、その一端を下方へ引張られると共に、上側の滑車79、80を通じて重錘82を案内部材86に沿って引上げる。
【0050】
一対の縦部材74から後方へ突出した横部材87の後端に接合板91が固設してあり、この接合板91を、台車2のフレーム10の前側の縦部材92の前面に設けた座板93にボルトで固定することにより、案内部7は台車2の前縁に装着されている。また
図4に示すように、シューター支持部9は、シューター用フレーム11の板部材49を台車2のフレーム10の前側の上下の横部材94、95にボルトで固定することにより、台車2の前縁に装着されている。
【0051】
この実施形態では、傾動用アクチュエータ46、開閉用アクチュエータ63は、夫々空圧シリンダ装置であり、それらを作動させるための圧縮空気は、台車2に搭載した、図示しない電動空気圧縮機から蓄圧器を経て供給され、その電動空気圧縮機や台車走行用のモータ38、ウインチ85の電動機89には、台車2に搭載した図示しないエンジン付き発電機又は蓄電池から電力が供給されようになっている。また台車2には、図示しない操作盤が設けてあり、操作盤に設けた始動スイッチを押すと、その後は、傾動用アクチュエータ46、開閉用アクチュエータ63、ウインチ85の電動機89が自動的に作動して一連の根菜の掘取投入動作が行われるようになっている。
【0052】
次に、上述のように構成された根菜収穫機1の動作について説明する。
【0053】
根菜収穫機1により地中の根菜を収穫するには、まず、台車2を、左右の前輪22及び左右の後輪が、地中に根菜Rがある畝RIを跨ぐように配置する。このとき、根菜投入装置4の掘取部6は、
図10に示すように掘取開始位置で待機している。
【0054】
次いで、台車2を畝RIに沿って前進させ、台車2上の根菜投入装置4の昇降部7が、地中の根菜Rの真上にきたとき、台車2の前進を停止する。
【0055】
次いで、根菜投入装置4を始動させる。そうすると根菜投入装置4は、掘取部6が持っている掘取爪5を、地中にある根菜Rの下側に差込んで、掘取部6を真上に上昇させることによって、地中の根菜Rを掘取って根菜塊Cを形成する。その後、根菜投入装置4は、根菜塊C及び掘取爪5と一緒に掘取部6を所要高さまで更に真上に上昇させて、シューター8を案内姿勢にしてから、根菜塊Cを掘取爪5から解放する。そして根菜投入装置4は、掘取爪5から解放されて落下中の根菜塊Cを、案内姿勢のシューター8で受取り、その受取った根菜塊Cをシューター8で根菜処理装置3の搬入口31へ導くことによって、根菜塊Cを根菜処理装置3の回転ドラム32の搬入口31へ投入する。
【0056】
根菜処理装置3は、モータ38により回転ドラム32を回転させて、搬入口31に投入された根菜塊Cを処理する。
【0057】
この実施形態の場合、根菜塊Cが搬入口31に投入される前にモータ38を起動してドラムを予め回転させておく。また、根菜Rは里芋であり、根菜塊Cは里芋の親芋R1と子芋R2と土Sとを含んでいるので、根菜処理装置3は、回転ドラム32で根菜塊Cを、親芋R1と子芋R2と土Sに分離すると共に土Sを胴部の網40で篩い落とし、分離した親芋R1と子芋R2を、その回転ドラム32の後方の開口から放出する。
【0058】
根菜投入装置4によって根菜塊Cが搬入口31に投入されると、シューター8が退避姿勢を取り、掘取部6が掘取開始位置まで下降する。その状態で、再び台車2を畝RIに沿って前進させ、次の地中の根菜Rの真上に根菜投入装置4を位置付けて台車2の前進を停止する。
【0059】
根菜収穫機1は、地中の根菜R毎に、上述のような台車2による根菜投入装置4の地中の根菜Rの上方への位置付け動作、根菜投入装置4による根菜Rの掘取り及び根菜塊Cの搬入口31への投入動作、根菜処理装置3による根菜塊Cの処理動作を繰返す。
【0060】
次に、上述のように構成された根菜投入装置4の動作について説明する。
【0061】
図10~
図16は根菜投入装置4の動作説明図であり、
図10~
図16の各図面において、(A)は、根菜投入装置4が、当該図で説明しようとする動作をしたときの、昇降部7、掘取部6、掘取爪5等の根菜投入装置4の主要部を示す正面図、(B)は、同じく、シューター8等の根菜投入装置4の主要部を示す右側面図である。
【0062】
図10は、根菜投入装置4の始動時の状態を示し、掘取部6は掘取開始位置についており、シューター8は退避姿勢をとっている。この状態で根菜投入装置4を始動すると、
図11に示すように、掘取部6の開閉用アクチュエータ63が作動して、一対のフォーク53の先端が地中の根菜Rの下側に差込まれて一対のフォーク53が閉じる。
【0063】
一対のフォーク53が閉じると、
図12に示すように、ウインチ85の電動機89が作動して、掘取部6が根菜塊開放位置まで上昇する。そして電動機89が停止して掘取部6が根菜塊解放位置で停止する。
【0064】
このとき、掘取部6と共に一対のフォーク53が上昇し、地中の根菜塊Cの下側に差込んだ一対のフォーク53が掘取部6と一緒に上昇し、一対のフォーク53の上側の根菜Rと土Sが持上げられることで掘取られて、一対のフォーク53で保持された根菜塊Cが形成される。そして、この一対のフォーク53で保持された根菜塊Cは掘取部6と一緒に根菜塊解放位置まで更に上昇する。
【0065】
掘取部6が根菜塊解放位置まで上昇すると、
図13に示すように、傾動用アクチュエータ46が作動してシューター8が案内姿勢をとる。
【0066】
シューター8が案内姿勢とると、
図14に示すように、開閉用アクチュエータ63が作動して一対のフォーク53の先端が開く。そうすると、根菜塊Cは、一対のフォーク53から解放されて落下し、落下中の根菜塊Cは、シューター8により受取られ、シューター8により回転ドラム32の搬入口31へ導かれ、二点鎖線で示すように回転ドラム32内へ落下する。
【0067】
根菜塊Cがシューター8上に落下したとき、その衝撃で根菜塊Cから土が剥がれて小さい塊となる。そしてシューター8は、複数の棒材41の相互間隔を、里芋の製品となる子芋(孫芋も含む)R2が通り抜けない間隔にしているので、剥がれた土は、シューター8の棒材41相互の隙間を通り抜けて下方に落下する。そのため、根菜処理装置3に供給される土の量を減らすことができる。
【0068】
一対のフォーク53の先端が開いてから、根菜塊Cが回転ドラム32内へ落下するまでの時間を見越した所定時間経過後に、傾動用アクチュエータ46が作動して、
図15に示すようにシューター8が退避姿勢をとる。
【0069】
シューター8が退避姿勢をとると、ウインチ85の電動機89が作動して、
図16に示すように掘取部6が掘取開始位置まで下降し、電動機89の作動が停止して、掘取部6が掘取開始位置についた状態で待機する。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明によれば、根菜収穫機は、根菜処理装置3の代わりに、台車2上に、根菜塊を単に収容するための公知の箱又は篭若しくは袋からなる収容部を載置し、本発明の根菜投入装置で掘取った根菜塊を前記収容部の搬入口へ投入するように構成したものでもよい。また台枠の前縁は、必ずしも台枠の前側の先端とは限らない。例えば台枠から、前輪を支持する一対の腕を前方へ突出させた場合には、その一対の腕の相互間に根菜投入装置を配置することもある。また上述した根菜収穫機1は、台車2を後退させて根菜投入装置4を地中の根菜Rの真上に位置付けするようにして使用することもできる。また台車は履帯を装備したものでもよい。また根菜投入装置の昇降部は、台車の前方から後方に向かってみたとき掘取部の昇降路の左側になるように配置してもよい。またシューター8は、例えば矩形状の枠に網を張って、その網目から土を篩い落とせるようにしたものでもよい。また昇降駆動機構は、一端を昇降枠に結合し、定滑車と動滑車にジグザク上に掛けた線条体の他の一端を、ガイドフレームの上部に設置した結合具に結合したものでもよく、線条体としてワイヤロープ等を用いることもできる。
【符合の説明】
【0071】
1…根菜収穫機、2…台車、3…根菜処理装置、4…根菜投入装置、5…掘取爪、6…掘取部、7…昇降部、8…シューター、9…シューター支持部、10…フレーム、11…シューター用フレーム、21…台枠、22…前輪、23…後輪、24…モータ、25…減速機、26…伝動装置、27…支点軸、31…搬入口、32…回転ドラム、33…基台、34…スタンド、35…軸受部、36…中心支持軸、37…伝動装置、38…モータ、39…傾き調節部、40…網、41…棒材、42…支持軸、43…軸受、44…回動駆動部、45…レバー、46…傾動用アクチュエータ、47…ピストンロッド、48…ブラケット、49…板部材、51…棒材、52…基部部材、53…フォーク、54…昇降枠、55…支点軸、56…開閉腕、57…開閉腕、58…掘取爪開閉機構、59…昇降軸、61…第一リンク部材、62…第二リンク部材、63…開閉用アクチュエータ、64…軸受部、65…出力軸、66…連動機構、67…鎖歯車、68…チェーン、71…案内面、72…ガイドフレーム、74…縦部材、73…昇降駆動機構、75…腕部、76…車輪、77…横部材、78…結合具、79…上側の滑車、80…上側の滑車、81…下側の滑車、82…重錘、83…第1のワイヤ、84…第2のワイヤ、85…掘取開始位置変更部、86…案内部材、87…横部材、88…ドラム、89…電動機、91…接合板、92…縦部材、93…座板、94…横部材、95…横部材、111…縦部材、112…座板、C…根菜塊、P…昇降路、R…根菜、R1…親芋、R2…子芋、RI…畝、S…土