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特開2023-143321通過車両検知装置及び通過車両検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143321
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】通過車両検知装置及び通過車両検知方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20230928BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
G08G1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050639
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水流 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】永村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】辻 知久
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181DD01
(57)【要約】
【課題】多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知する。
【解決手段】通過車両検知装置1は、所定領域Aを通過する車両の側面にレーザ光を照射し、当該側面にて反射されたレーザ光の反射光を検出する光センサ20と、光センサ20の検出結果に基づいて所定領域Aを通過する車両を検知する演算処理装置41と、を備える。光センサ20の地面からの高さは、レーザ光の高さ方向の照射位置が、当該車両に設けられた車輪の中心から当該車輪の頂部までの範囲Rh以内の位置となる高さに設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域を通過する車両の側面にレーザ光を照射し、前記側面にて反射された前記レーザ光の反射光を検出する光センサと、
前記光センサの検出結果に基づいて前記所定領域を通過する前記車両を検知する演算処理装置と、を備え、
前記光センサの地面からの高さは、前記レーザ光の高さ方向の照射位置が、前記車両に設けられた車輪の中心から前記車輪の頂部までの範囲以内の位置となる高さに設定されている
ことを特徴とする通過車両検知装置。
【請求項2】
前記光センサは、前記地面からの前記高さを調整する調整機構に接続された支持部材に取り付けられており、
前記調整機構は、前記レーザ光の前記照射位置を前記範囲以内の前記位置とするよう前記光センサの前記地面からの前記高さを調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の通過車両検知装置。
【請求項3】
前記光センサ、前記演算処理装置及び前記支持部材は、移動体に設置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の通過車両検知装置。
【請求項4】
前記光センサは、照射範囲が前記側面に対して水平方向に沿った線状となる前記レーザ光を照射し、
前記演算処理装置は、前記光センサの前記検出結果に基づいて前記所定領域を通過する物体の前記水平方向の長さを算出し、算出された前記長さに基づいて前記物体が前記車両であることを検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の通過車両検知装置。
【請求項5】
前記演算処理装置は、算出された前記長さから前記所定領域を通過する前記車両の台数を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の通過車両検知装置。
【請求項6】
所定領域を通過する車両の側面にレーザ光を照射し、前記側面にて反射された前記レーザ光の反射光を検出することと、
前記反射光の検出結果に基づいて前記所定領域を通過する前記車両を検知することと、を有し、
前記レーザ光の高さ方向の照射位置を、前記車両に設けられた車輪の中心から前記車輪の頂部までの範囲以内の位置として、前記レーザ光を照射する
ことを特徴とする通過車両検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過車両検知装置及び通過車両検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場又はモータープール等の車両保管場の出入口には、当該出入口を通過する車両を検知する車両検知装置が設けられている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、駐車場のゲートを通過する車両を検知するゲート制御装置が開示されている。特許文献1に開示されたゲート制御装置は、発光器及び受光器から成る光センサの検出信号と、光センサから所定距離をもって配置されたループセンサの検出信号とを用いて、当該車両を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3000267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の輸送船が停泊する埠頭に設置された車両保管場では、多種多様な車両が同じ保管場内に保管されることがある。したがって、この種の車両保管場の出入口、又は、車両保管場と輸送船とを繋ぐ経路上に設けられた車両監視場所のような所定領域では、多種多様な車両が通過し得る。
【0006】
特許文献1に開示されたゲート制御装置は、光センサを構成する発光器がどのような照射位置で車両に光を照射するのかを特定していない。したがって、特許文献1に開示されたゲート制御装置は、車両保管場の出入口等の所定領域を通過する車両の種類によっては、光センサを構成する発光器から照射された光が当該車両のウインドウを透過し、当該車両を検知できないことがある。特許文献1に開示されたゲート制御装置において、多種多様な車両を網羅的に検知するためには、光センサ及びループセンサの配置を当該車両の種類に応じて変更することも考えられる。しかしながら、特許文献1に開示されたゲート制御装置において、光センサは当該車両の両側方にそれぞれ配置される発光器及び受光器から成り、ループセンサは地中に埋設されるので、光センサ及びループセンサの配置を変更することは容易ではない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することが可能な通過車両検知装置及び通過車両検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の通過車両検知装置は、所定領域を通過する車両の側面にレーザ光を照射し、前記側面にて反射された前記レーザ光の反射光を検出する光センサと、前記光センサの検出結果に基づいて前記所定領域を通過する前記車両を検知する演算処理装置と、を備え、前記光センサの地面からの高さは、前記レーザ光の高さ方向の照射位置が、前記車両に設けられた車輪の中心から前記車輪の頂部までの範囲以内の位置となる高さに設定されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成により、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、光センサから照射されたレーザ光が当該車両の側面のボディフレームによって確実に反射される。そして、光センサは、反射光を1台の車両につき1回検出し得る。したがって、演算処理装置は、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、光センサで検出された反射光を車両単位で容易に区別することができる。よって、通過車両検知装置は、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【0010】
更に好ましい態様として、前記光センサは、前記地面からの前記高さを調整する調整機構に接続された支持部材に取り付けられており、前記調整機構は、前記レーザ光の前記照射位置を前記範囲以内の前記位置とするよう前記光センサの前記地面からの前記高さを調整する。
【0011】
このような態様により、通過車両検知装置は、レーザ光の高さ方向の照射位置が不測の事態によって上記範囲外の位置になったとしても、当該照射位置を当該範囲以内の位置に調整することができる。よって、通過車両検知装置は、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、通過する車両を正確、容易且つ安定的に検知することができる。
【0012】
更に好ましい態様として、前記光センサ、前記演算処理装置及び前記支持部材は、移動体に設置されている。
【0013】
このような態様により、通過車両検知装置は、光センサ、演算処理装置及び支持部材を、屋外の不特定な場所に即時設置し即時撤去することができる。よって、通過車両検知装置は、多種多様な車両が混在しても通過する車両を正確且つ容易に検知可能であると共に、様々な場所に容易に適用可能とすることができる。
【0014】
更に好ましい態様として、前記光センサは、照射範囲が前記側面に対して水平方向に沿った線状となる前記レーザ光を照射し、前記演算処理装置は、前記光センサの前記検出結果に基づいて前記所定領域を通過する物体の前記水平方向の長さを算出し、算出された前記長さに基づいて前記物体が前記車両であることを検知する。
【0015】
このような態様により、演算処理装置は、多種多様な車両が混在して通過する所定領域において、作業員のような車両以外の物体が通過しても、これらを正確且つ容易に検知することができる。よって、通過車両検知装置は、車両以外の物体が所定領域を通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【0016】
更に好ましい態様として、前記演算処理装置は、算出された前記長さから前記所定領域を通過する前記車両の台数を算出する。
【0017】
このような態様により、演算処理装置は、所定領域を通過する車両の台数を管理することができる。よって、通過車両検知装置は、所定領域を通過する車両を正確且つ容易に検知することができるだけでなく、当該車両の台数管理を適切に行うことができる。
【0018】
また、本発明の通過車両検知方法は、所定領域を通過する車両の側面にレーザ光を照射し、前記側面にて反射された前記レーザ光の反射光を検出することと、前記反射光の検出結果に基づいて前記所定領域を通過する前記車両を検知することと、を有し、前記レーザ光の高さ方向の照射位置を、前記車両に設けられた車輪の中心から前記車輪の頂部までの範囲以内の位置として、前記レーザ光を照射する。
【0019】
このような構成により、通過車両検知方法は、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、検出された反射光を車両単位で容易に区別することができる。よって、通過車両検知方法は、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【0020】
なお、車両に設けられた車輪の中心から車輪の頂部までの範囲とは、所定領域を通過することが想定される全種類の車両に設けられた全車輪に対して満足され得る高さ方向の範囲である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、多種多様な車両が混在して所定領域を通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の通過車両検知装置が適用される所定領域を説明する図。
図2図1に示す通過車両検知装置の構成を示す模式図。
図3図2に示す光センサによるレーザ光の照射位置を説明する図。
図4図3にて説明されたレーザ光の照射位置の検証結果を示す図。
図5図2に示す演算処理装置によって行われる通過車両検知処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0024】
図1は、本実施形態の通過車両検知装置1が適用される所定領域Aを説明する図である。図2は、図1に示す通過車両検知装置1の構成を示す模式図である。
【0025】
車両の製造工場の近隣には、車両を販売所や埠頭に輸送する陸送車に積み込まれる車両等を保管するモータープール等の車両保管場が設置されている。また、車両を輸送する輸送船が停泊する埠頭には、輸送船に船積みされる車両、又は、輸送船から陸揚げされる車両を保管するモータープール等の車両保管場が設置されている。
【0026】
通過車両検知装置1は、車両保管場の出入口、又は、陸送車若しくは輸送船と車両保管場とを繋ぐ経路上に設けられた車両監視場所のような、所定領域Aを通過する車両を検知する装置である。本実施形態では、通過車両検知装置1が適用される所定領域Aとして、輸送船と車両保管場とを繋ぐ経路上に設けられた車両監視場所を例に挙げて説明する。
【0027】
図1には、埠頭に設置された車両保管場から輸送船(図1の符号S)に車両が船積みされる様子が示されている。所定領域Aを通過する物体としては、輸送船に船積み又は陸揚げされる輸送対象の車両(図1の符号V)と、所定領域Aの周囲で作業する作業員(図1の符号W)とがある。この輸送対象の車両には、当該車両の識別情報等を格納するRFIDタグが搭載されていてもよい。この輸送対象の車両の車種、形状、大きさ及び色等は、特に限定されない。
【0028】
所定領域Aを物体が通過する方向は、輸送船に向かう船積み方向と輸送船から離れる陸揚げ方向の2つがある。所定領域Aを物体が通過するタイミングは、不定期である。所定領域Aを通過する物体の速度は、0km/h以上約40km/h以下であってもよく、一定ではない。所定領域Aを通過する車両の車間距離は、70cm以上であってもよく、一定ではない。
【0029】
通過車両検知装置1は、通過方向に延びる所定領域Aの一側方に配置され、両方の側方には配置されない。通過車両検知装置1は、全天候に対応可能である。通過車両検知装置1は、車両又はロボット等の移動体10に設置されている。本実施形態では、移動体10として、図2に示すように車両を例に挙げて説明する。
【0030】
通過車両検知装置1は、図2に示すように、光センサ20と、読取装置30と、コンピュータ40と、報知装置50と、を備える。
【0031】
光センサ20、読取装置30、コンピュータ40及び報知装置50は、移動体10に設置されている。これにより、通過車両検知装置1は、光センサ20、読取装置30、コンピュータ40及び報知装置50を、屋外の不特定な場所に即時設置し即時撤去することができる。よって、通過車両検知装置1は、多種多様な車両が混在しても通過する車両を正確且つ容易に検知可能であると共に、様々な場所に容易に適用可能とすることができる。
【0032】
光センサ20は、所定領域Aを通過する物体の側面にレーザ光を照射し、当該側面にて反射されたレーザ光の反射光を検出するセンサである。光センサ20は、例えば2次元LiDARによって構成される。光センサ20は、移動体10の後部に固定されたヒッチキャリア12の支持部材13に取り付けられている。光センサ20は、所定領域Aの一側方から所定領域Aに向けてレーザ光が水平に照射されるような姿勢で支持部材13に取り付けられている。光センサ20は、レーザ光を反射する反射板を所定領域Aの他の側方に設置することを必要としない。
【0033】
光センサ20は、照射範囲が所定領域Aを通過する車両の側面に対して水平方向に沿った線状となるレーザ光を照射する。すなわち、所定領域Aの一側方から視た場合、当該車両の側面には、水平方向に沿った線状のレーザ光が照射される。光センサ20によるレーザ光の照射方式は、ラインスキャン方式若しくはスキャンを行わないフラッシュ方式等のメカニカル方式、MEMSミラー方式、又は、OPA(Optical Phased Array)方式等であってもよく、特に限定されない。なお、光センサ20によるレーザ光の照射位置の詳細については、図3及び図4を用いて後述する。
【0034】
読取装置30は、所定領域Aを通過する車両に搭載されたRFIDタグの情報を読み取る装置である。読取装置30は、アンテナ31と、リーダ32と、を有する。アンテナ31は、RFIDタグから発信された電波を受信する。アンテナ31は、所定領域Aの一側方から所定領域Aを向く姿勢で支持部材13に取り付けられている。リーダ32は、アンテナ31により受信された電波から、RFIDタグの情報を読み取る。リーダ32は、RFIDタグの情報の読み取り結果をコンピュータ40に送信する。リーダ32は、移動体10の内部に配置されていてもよいし、ヒッチキャリア12に取り付けられていてもよい。
【0035】
コンピュータ40は、光センサ20、読取装置30及び報知装置50の各動作を制御して、通過車両検知装置1の機能を実現する。コンピュータ40は、モバイル型のPC又は移動体10に組み込まれたPCによって構成される。コンピュータ40は、演算処理装置41を有する。
【0036】
演算処理装置41は、CPU、ROM及びRAM等によって構成され、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、コンピュータ40の機能を実現する。演算処理装置41は、読取装置30により読み取れたRFIDタグの情報を、コンピュータ40の無線通信装置を介して、輸送対象の車両を管理するサーバ装置に送信することができる。サーバ装置は、当該RFIDタグの情報に基づいて、輸送対象の車両の識別情報が登録されたデータベースの情報を更新し、輸送過程における車両の所在位置及び車両の状態、並びに、車両保管場での保管台数等を管理する。なお、輸送対象の車両の識別情報が登録されたデータベースは、コンピュータ40と一体的に組み込まれていてもよい。
【0037】
また、演算処理装置41は、光センサ20の検出結果に基づいて所定領域Aを通過する物体を検知する。具体的には、演算処理装置41は、光センサ20の検出結果に基づいて所定領域Aを通過する物体の水平方向(通過方向)の長さを算出し、算出された当該長さに基づいて当該物体が車両であることを検知する。詳細には、演算処理装置41は、算出された当該長さが閾値(例えば700mm)以上である場合、当該物体が車両であることを検知し、算出された当該長さが閾値未満である場合、当該物体が車両以外の物体であることを検知する。
【0038】
これにより、演算処理装置41は、多種多様な車両が混在して通過する所定領域Aにおいて、作業員のような車両以外の物体が通過しても、これらを正確且つ容易に検知することができる。よって、通過車両検知装置1は、車両以外の物体が所定領域Aを通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【0039】
また、演算処理装置41は、算出された上記水平方向の長さから所定領域Aを通過する車両の台数を算出する。
【0040】
これにより、演算処理装置41は、所定領域Aを通過する車両の台数を管理することができる。よって、通過車両検知装置1は、所定領域Aを通過する車両を正確且つ容易に検知することができるだけでなく、当該車両の台数管理を適切に行うことができる。
【0041】
報知装置50は、演算処理装置41の処理結果等を、所定領域Aの周囲に報知する。例えば、報知装置50は、所定領域Aを通過する車両の検知結果を報知したり、RFIDタグの情報の読み取り結果を報知したりすることができる。報知装置50の構成及び報知態様は、特に限定されない。本実施形態の報知装置50は、移動体10の上部に固定されたルーフキャリア11に取り付けられている。
【0042】
図3は、図2に示す光センサ20によるレーザ光の照射位置を説明する図である。図4は、図3にて説明されたレーザ光の照射位置の検証結果を示す図である。
【0043】
光センサ20の地面(図3の符号G)からの高さは、レーザ光の高さ方向の照射位置が、図3に示すように、所定領域Aを通過する車両(図3の符号V)に設けられた車輪(図3の符号Va)の中心(図3の符号Vb)から車輪の頂部(図3の符号Vc)までの範囲Rh以内の位置となる高さに予め設定されている。
【0044】
この範囲Rhは、所定領域Aを通過することが想定される全種類の車両に設けられた全車輪に対して満足され得る高さ方向の範囲である。例えば、範囲Rhの下限値を示す高さ方向の位置(図3の符号P1)は、当該全車輪のうち最大径の車輪の中心における地面からの高さ位置であってもよい。例えば、範囲Rhの上限値を示す高さ方向の位置(図3の符号P2)は、当該全車輪のうち最小径の車輪の頂部における地面からの高さ位置であってもよい。すなわち、範囲Rhは、当該全種類の車輪のうち最大径の車輪の中心から、当該全種類の車輪のうち最小径の車輪の頂部までの高さ方向の範囲であってもよい。もっとも、所定領域Aを通過することが想定される車両の車輪径は、当該車両の種類毎に大きく異なるものではなく、当該車両の種類に依存せずに略同一とみなすことができる。
【0045】
レーザ光の高さ方向の照射位置が範囲Rhを上回る位置である場合、所定領域Aを通過する車両の種類によっては、レーザ光が当該車両のウインドウを透過し、光センサ20が反射光を検出できないことがある。レーザ光の高さ方向の照射位置が範囲Rhを下回る位置である場合、当該車両が四輪車の際には光センサ20が反射光を1台の車両につき2回検出し得るが、当該車両の車輪数が四輪より多い際には光センサ20が反射光を1台の車両につき3回以上検出し得る。したがって、車輪数が異なる車両が混在して所定領域Aを通過する場合には、後述の演算処理装置41が、光センサ20で検出された反射光を車両単位で容易に区別することができない可能性がある。よって、車輪数が異なる車両が混在して所定領域Aを通過する場合には、所定領域Aを通過する車両を正確に検知するには、特別な手段が必要となる可能性がある。
【0046】
一方、レーザ光の高さ方向の照射位置が範囲Rh以内の位置である場合、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、光センサ20から照射されたレーザ光が当該車両の側面のボディフレームによって確実に反射される。そして、光センサ20は、反射光を1台の車両につき1回検出し得る。これにより、演算処理装置41は、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、光センサ20で検出された反射光を車両単位で容易に区別することができる。したがって、通過車両検知装置1は、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【0047】
図4は、レーザ光の高さ方向の照射位置が(1)~(4)の各位置に設定された場合に、小型車から大型車に至るまで多種多様な車両を通過車両検知装置1が正確に検知できるのかを検証した結果を示している。図4に示す(3)の位置は、範囲Rh以内の位置である。図4の〇印は、通過車両検知装置1が当該車両を正確に検知できたことを示す。図4の△印は、光センサ20が反射光を1台の車両につき2回検出し、通過車両検知装置1が当該車両を正確に検知することが容易ではなかったことを示す。図4の×印は、通過車両検知装置1が当該車両を正確に検知できなかったことを示す。図4に示すように、レーザ光の高さ方向の照射位置が範囲Rh以内の位置である場合、通過車両検知装置1は、多種多様な車両を正確且つ容易に検知できることが分かる。
【0048】
本実施形態の光センサ20は、図2に示すように、光センサ20の地面からの高さを調整する調整機構14に接続された支持部材13に取り付けられている。
【0049】
これにより、通過車両検知装置1は、レーザ光の高さ方向の照射位置が不測の事態によって範囲Rh外の位置になったとしても、当該照射位置を当該範囲Rh以内の位置に調整することができる。よって、通過車両検知装置1は、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、通過する車両を正確、容易且つ安定的に検知することができる。
【0050】
支持部材13は、光センサ20及びアンテナ31の保持機構を有し、高さ方向(上下方向)に延びるフレーム又はロッド等の軸部材によって構成されてもよい。例えば、支持部材13は、調整機構14に対する支持部材13の接続位置よりも上方に延びる上部13aと、当該接続位置よりも下方に延びる下部13bと、を有する。上部13aにはアンテナ31が取り付けられる。下部13bには光センサ20が取り付けられる。
【0051】
調整機構14は、ヒッチキャリア12の本体12aに固定され、支持部材13を上方又は下方に移動させる直動型の電動アクチュエータ等によって構成されてもよい。調整機構14は、支持部材13を移動させることによって、所定領域Aを通過する車両の側面に対するレーザ光の照射位置を範囲Rh以内の位置とするよう、光センサ20の地面からの高さを調整することができる。調整機構14の動作は、コンピュータ40の演算処理装置41によって制御される。
【0052】
また、支持部材13は、上部13a及び下部13bが別体の部材から成り、下部13bが上部13aに対して進退するテレスコピックロッド又はピストンシリンダ等によって構成されてもよい。調整機構14は、上部13aに対して下部13bを上方又は下方に移動させる電動モータ等によって構成されてもよい。調整機構14は、下部13bを移動させることによって、所定領域Aを通過する車両の側面に対するレーザ光の照射位置を範囲Rh以内の位置とするよう、光センサ20の地面からの高さを調整することができる。
【0053】
なお、調整機構14は、上記のような電動式の機構ではなく、手動式の機構によって構成されてもよい。また、支持部材13は、調整機構14を介さずに、ヒッチキャリア12の本体12aに固定されていてもよい。何れにしても、支持部材13及び調整機構14は、レーザ光の高さ方向の照射位置が範囲Rh以内の位置となるよう、光センサ20の地面からの高さを設定及び調整できるのであれば、特に限定されない。
【0054】
図5は、図2に示す演算処理装置41によって行われる通過車両検知処理を示すフローチャートである。
【0055】
演算処理装置41は、図5に示す処理を所定周期で繰り返し行う。なお、演算処理装置41は、レーザ光の高さ方向の照射位置が範囲Rh外の位置となっている場合には、図5に示す処理を行う前に、次のような処理を行うことができる。すなわち、この場合、演算処理装置41は、レーザ光の高さ方向の照射位置が範囲Rh以内の位置となるように、光センサ20の地面からの高さを調整するべく、調整機構14の動作を制御する処理を行うことができる。
【0056】
ステップS1において、演算処理装置41は、所定領域Aを通過する物体の側面にレーザ光を照射するよう光センサ20を制御する。光センサ20は、レーザ光の高さ方向の照射位置を範囲Rh以内の位置として、レーザ光を照射する。
【0057】
ステップS2において、演算処理装置41は、所定領域Aを通過する物体の側面にて反射されたレーザ光の反射光を検出したか否かを判定するよう光センサ20を制御する。光センサ20が反射光を検出した場合、演算処理装置41は、ステップS3に移行する。光センサ20が反射光を検出していない場合、演算処理装置41は、図5に示す処理を終了する。
【0058】
ステップS3において、演算処理装置41は、光センサ20による反射光の検出結果から、所定領域Aを通過する物体の水平方向の長さを算出する。
【0059】
ステップS4において、演算処理装置41は、算出された物体の水平方向の長さが閾値以上であるか否かを判定する。算出された物体の水平方向の長さが閾値以上である場合、演算処理装置41は、ステップS6に移行する。算出された物体の水平方向の長さが閾値未満である場合、演算処理装置41は、ステップS5に移行する。
【0060】
ステップS5において、演算処理装置41は、所定領域Aを通過する物体が車両以外であることを検知する。その後、演算処理装置41は、図5に示す処理を終了する。
【0061】
ステップS6において、演算処理装置41は、所定領域Aを通過する物体が車両であることを検知する。
【0062】
ステップS7において、演算処理装置41は、所定領域Aを通過する車両の台数を算出し、コンピュータ40の予め定められた記憶領域に記憶する。その後、演算処理装置41は、図5に示す処理を終了する。
【0063】
以上のように、本実施形態の通過車両検知装置1は、所定領域Aを通過する車両の側面にレーザ光を照射し、当該側面にて反射されたレーザ光の反射光を検出する光センサ20を備える。通過車両検知装置1は、光センサ20の検出結果に基づいて所定領域Aを通過する車両を検知する演算処理装置41を備える。光センサ20の地面からの高さは、レーザ光の高さ方向の照射位置が、当該車両に設けられた車輪の中心から当該車輪の頂部までの範囲Rh以内の位置となる高さに設定されている。
【0064】
これにより、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、光センサ20から照射されたレーザ光が当該車両の側面のボディフレームによって確実に反射される。そして、光センサ20は、反射光を1台の車両につき1回検出し得る。したがって、演算処理装置41は、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、光センサ20で検出された反射光を車両単位で容易に区別することができる。よって、通過車両検知装置1は、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【0065】
本実施形態の通過車両検知方法は、演算処理装置41が図5に示す処理を行うことによって実現され得る。
【0066】
すなわち、本実施形態の通過車両検知方法は、所定領域Aを通過する車両の側面にレーザ光を照射し、当該側面にて反射されたレーザ光の反射光を検出すること(ステップS1及びステップS2)を有する。通過車両検知方法は、反射光の検出結果に基づいて所定領域Aを通過する車両を検知すること(ステップS6)を有する。通過車両検知方法は、レーザ光の高さ方向の照射位置を、当該車両に設けられた車輪の中心から当該車輪の頂部までの範囲Rh以内の位置として、レーザ光を照射する。
【0067】
これにより、本実施形態の通過車両検知方法は、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、検出された反射光を車両単位で容易に区別することができる。よって、通過車両検知方法は、多種多様な車両が混在して所定領域Aを通過しても、通過する車両を正確且つ容易に検知することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0069】
1…通過車両検知装置、10…移動体、13…支持部材、14…調整機構、20…光センサ、41…演算処理装置、A…所定領域、V…車両、Va…車輪、Vb…中心、Vc…頂部、Rh…範囲
図1
図2
図3
図4
図5