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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143346
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】プログラム、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230928BHJP
   G06F 30/18 20200101ALI20230928BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20230928BHJP
   G06F 113/16 20200101ALN20230928BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/18
G06F30/20
G06F113:16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050671
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】520294930
【氏名又は名称】株式会社PlantStream
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 利恭
(72)【発明者】
【氏名】新居 正章
(72)【発明者】
【氏名】壁寸 真
(72)【発明者】
【氏名】木下 愛
(72)【発明者】
【氏名】吉見 友宏
(72)【発明者】
【氏名】黒石 達也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 克司
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕和
(72)【発明者】
【氏名】池知 正人
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA02
5B146BA01
5B146DC04
5B146DC05
5B146DG01
5B146DL08
5B146EC04
5B146FA02
(57)【要約】
【課題】配管や機器を支持する設備の柱や梁を利用した効率的なケーブルのルーティングを行うことができるシステムを提供する。
【解決手段】本開示のプログラムは、プロセッサを備えるコンピュータに実行させるプログラムであって、プログラムは、プラントの設計を行うためのものであり、プロセッサに、仮想空間に、始点を有する機器を示す第1オブジェクトと、終点を有する機器を示す第2オブジェクト、およびケーブルを支持する構造物を示す第3オブジェクトを配置する操作の受け付けと、第1オブジェクトと第2オブジェクトとの間をケーブルでルーティングする操作の受け付けと、ケーブルを、構造物の梁又は柱に沿わせながら始点と終点とのルーティングと、を実行させる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備えるコンピュータに実行させるプログラムであって、前記プログラムは、プラントの設計を行うためのものであり、前記プロセッサに、
仮想空間に、始点を有する機器を示す第1オブジェクトと、終点を有する機器を示す第2オブジェクト、およびケーブルを支持する構造物を示す第3オブジェクトを配置する操作の受け付けと、
前記第1オブジェクトと前記第2オブジェクトとの間を前記ケーブルでルーティングする操作の受け付けと、
前記ケーブルを、前記構造物の梁又は柱に沿わせながら前記始点と前記終点とのルーティングと、を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記ケーブルのルーティング経路は、直線状の経路を示すリンクと、前記リンク同士の交点となるノードと、により構成され、
前記ケーブルのルーティングでは、
暫定ルートとして、前記始点と前記終点をつなぐ最短経路の探索と、
前記暫定ルートを構成する複数の前記ノードのうち、複数の前記ノードの重心の最も近くに位置する前記ノードである経由点の算出と、
前記始点と前記終点をつなぎ、かつ前記経由点を経由する変更ルートを探索する再探索と、を実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記経由点の算出では、
複数の前記ノードそれぞれについて、連結された前記リンクの数により、前記ノードに重み付けを行ったうえで、前記経由点を算出する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記再探索は、
複数の前記暫定ルートがまたがる前記構造物ごとに行われる、請求項2又は3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記再探索の後に、
前記変更ルートと前記暫定ルートとを比較し、
予め設定された採用条件を満たさない場合には、当該変更ルートは採用しない、請求項2から4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
プロセッサを備えるコンピュータに実行させる方法であって、前記方法は、プラントの設計を行うためのものであり、前記プロセッサが、
仮想空間に、始点を有する機器を示す第1オブジェクトと、終点を有する機器を示す第2オブジェクト、およびケーブルを支持する構造物を示す第3オブジェクトを配置する操作の受け付けと、
前記第1オブジェクトと前記第2オブジェクトとの間を前記ケーブルでルーティングする操作の受け付けと、
前記ケーブルを、前記構造物の梁又は柱に沿わせながら前記始点と前記終点とのルーティングと、を実行する方法。
【請求項7】
プロセッサを備えるコンピュータに実行させるシステムであって、前記システムは、プラントの設計を行うためのものであり、前記プロセッサが、
仮想空間に、始点を有する機器を示す第1オブジェクトと、終点を有する機器を示す第2オブジェクト、およびケーブルを支持する構造物を示す第3オブジェクトを配置する操作を受け付けるモジュールと、
前記第1オブジェクトと前記第2オブジェクトとの間を前記ケーブルでルーティングする旨の操作を受け付けるモジュールと、
前記ケーブルを、前記構造物の梁又は柱に沿わせながら前記始点と前記終点とのルーティングを行うモジュールと、を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラントのような大規模な設備を建設するためには、各種設備を適切に配置し、機器を配置し、各機器に電力を供給するケーブルのルーティングが行われる。プラントの設計段階で行われるケーブルルーティングは、プラントを構成する各機器の位置関係に基づく要件、各機器に供給される電力から選定されるケーブルのサイズの条件、メンテナンス性のように様々な要素の検討が必要であり、膨大な作業が必要になる。このような作業を支援するため、CADのような設計ツールが使用され、各種機器の配置、ケーブルのルーティング等の各種設計が行われている。
【0003】
特許文献1には、プラントの設計段階において使用される、配管ルート作成装置の技術が開示されている。この技術は、配管ルートを自動で決定する処理の効率を向上させるため、配管の目標位置である整列ガイドを用いて配管ルートの位置を調節し、複数の配管ルートを整列させ、配管同士の干渉を回避し、配管の間隔を一定にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-106141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プラント設計の際には、各種の機器につながれる電力線や信号線といったケーブルのルーティングが必要であり、配管や機器を支持する設備を利用した効率的なケーブルのルーティングを行うシステムが求められていた。
【0006】
そこで、本開示では、配管や機器を支持する設備の柱や梁を利用した効率的なケーブルのルーティングを行うことができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のプログラムは、プロセッサを備えるコンピュータに実行させるプログラムであって、プログラムは、プラントの設計を行うためのものであり、仮想空間に、始点を有する機器を示す第1オブジェクトと、終点を有する機器を示す第2オブジェクト、およびケーブルを支持する構造物を示す第3オブジェクトを配置する操作の受け付けと、第1オブジェクトと第2オブジェクトとの間をケーブルでルーティングする操作の受け付けと、ケーブルを、構造物の梁又は柱に沿わせながら始点と終点とのルーティングと、を実行させるプログラム。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配管や機器を支持する設備を利用した効率的なケーブルのルーティングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るシステムの全体の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るシステムを構成する端末装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るシステムを構成するサーバの機能的な構成を示す図である。
図4】サーバが記憶する設備データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図5】サーバが記憶する設計空間データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図6】サーバが記憶するケーブルデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るシステムで扱う機器の種類を示す図である。
図8】サーバが記憶する設備位置データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図9】サーバが記憶するケーブル定義データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図10】サーバが記憶するノードデータベース、リンクデータベース、ルーティング経路データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係るシステムによる処理の全体を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態に係るシステムによるケーブルルーティング処理の具体的な手順を示すフロー図である。
図13】本発明のケーブルルーティングの第1例における、暫定ルートを設定した状態を説明する図である。
図14】本発明のケーブルルーティングの第1例における、暫定ルートの一部を変更ルートに変更した状態を説明する図である。
図15】本発明のケーブルルーティングの第2例における、暫定ルートを設定した状態を説明する図である。
図16】本発明のケーブルルーティングの第1例における、暫定ルートの一部を変更ルートに変更した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<概要>
以下、プラント設計におけるケーブルルーティングの概要、および本開示に係るケーブルルーティングシステム1(以下、システム1という)について説明する。このシステム1は、LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)プラントや石油化学プラントのように、化学反応による様々な生産工程を経由して化学製品を製造するための設備群に対して電力供給用のケーブル、および各種通信用のケーブルの設計を行うためのシステムである。
【0012】
プラントに配置される設備とは、LNGプラントを例に説明すると、液化処理の対象である原料ガス中に含まれる酸性ガス(H2S、CO2、有機硫黄等)を除去する酸性ガス除去設備、除去された酸性ガスから単体硫黄を回収する硫黄回収設備、原料ガス中に含まれる水分を除去する水分除去設備、原料ガスの冷却や液化に用いられる冷媒(混合冷媒、プロパン冷媒等)の圧縮設備等が含まれる。ここで、プラントの設備とは、そのプラントの目的に応じて敷設された装置群や機器群のことをいう。
【0013】
このようなプラントを設計するためには、例えば、以下のような工程が含まれる。まず、プラント内の各設備、ポンプや熱交換器等の各種機器、各種配管を通すための架構(配管ラック)の配置、主要な配管のルートを決定し、プラントのレイアウトを設計してプロットプランと呼ばれる配置図を作成する。次に、プラント全体の機能要件に基づき、プラントにて使用される原料の受け入れから製品出荷までのプロセスユニット(一連の製造工程)を詳細に策定し、プロセスごとに物質/熱収支計算を行い、プロセスフローダイアグラム(PFD)と呼ばれるプロセスフローを作成する。さらに、PFDに基づき、シミュレーションを繰り返してプロセス計算を修正し、計測及び制御の対象となる機器が決定され、詳細な配管計装図であるP&ID(Piping and Instrument Diagram)の作成が行われる。本開示に係るシステム1は、このような各工程において、プラント全体および各設備における機器およびケーブル等のレイアウト設計を行い、ケーブルのレイアウト設計を行い、配管レイアウト等との統合設計を支援するための3DCADシステムである。
【0014】
<実施形態>
以下、システム1について説明する。以下の説明では、例えば、端末装置10がサーバ20へアクセスすることにより、サーバ20が、端末装置10で画面を生成するための情報を応答する。端末装置10は、サーバ20から受信した情報に基づいて画面を生成し表示する。
【0015】
<1.システム1の全体構成>
図1は、システム1の全体の構成を示す図である。図1に示すように、システム1は、複数の端末装置(図1では、端末装置10Aおよび端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」という)と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0016】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。ここで、ユーザとは、端末装置10を使用してシステム1の機能であるプラント設計を行う者をいう。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCなどにより実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0017】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、5G、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0018】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。
【0019】
出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。
メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0020】
記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0021】
サーバ20は、各ユーザの情報、各種機器および各種ケーブルの情報、および、設計を行った仮想空間(設計途中のものも含む)の情報を管理する装置である。
サーバ20は、ユーザに対して、プラント設計をするための仮想空間内に配置する機器の種類、配置位置、ケーブルのルーティングを行う指示等の入力を受け付ける。
【0022】
具体的には、例えばプラント設計をするための仮想空間内の視点(仮想カメラ)を設定し、ユーザの指示により配置された各種機器、ルーティングされケーブルについて、仮想カメラの設定に基づきレンダリングを行い、端末装置10へ表示させる。
サーバ20は、入力された各種機器の種類、配置位置に基づいて仮想空間に配置し、ケーブルのルーティングを行うユーザからの指示に基づいてケーブルのルートを決定して、仮想空間上でルーティングを行い、ユーザの端末に表示させる。
【0023】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0024】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。
【0025】
メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0026】
<2.端末装置10の構成>
図2は、システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置10は、アンテナ111と、アンテナ111に対応する無線通信部121と、操作受付部130(キーボード131およびディスプレイ132を含む)と、記憶部160と、制御部170とを含む。端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0027】
アンテナ111は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。
無線通信部121は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ111を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。
【0028】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、キーボード131と、ディスプレイ132とを含む。なお、操作受付部130は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する、タッチスクリーンとして構成してもよい。
【0029】
キーボード131は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。キーボード131は、文字入力を行う装置であり、入力された文字情報を入力信号として制御部170へ出力する。
【0030】
ディスプレイ132は、制御部170の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0031】
記憶部160は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部160は、ユーザ情報161を記憶する。
【0032】
ユーザ情報161は、端末装置10を使用してシステム1の機能であるプラント設計を行うユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの名称、ユーザが所属している企業等の組織情報等が含まれる。
【0033】
制御部170は、記憶部160に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部170は、例えば予め端末装置10にインストールされているアプリケーションプログラムである。制御部170は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部171と、送受信部172と、データ処理部173と、表示処理部174としての機能を発揮する。
【0034】
入力操作受付部171は、キーボード131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0035】
送受信部172は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0036】
データ処理部173は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0037】
表示処理部174は、ユーザに対し情報を提示する処理を行う。表示処理部174は、表示画像をディスプレイ132に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理、振動をカメラ150に発生させる処理等を行う。
【0038】
<3.サーバ20の構成>
図3は、システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0039】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0040】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータおよびプログラムを記憶する。記憶部202は、設備データベース(DB:Date Base)2021、設計空間データベース2022、ケーブルデータベース2023、設備位置データベース2026、ケーブル定義データベース2027、ノードデータベース2028、リンクデータベース2029、ルーティング経路データベース2030と、を記憶している。
【0041】
設備データベース2021は、システム1においてプラント設計をするために提示される仮想空間に配置される、各種設備に相当するオブジェクトの3次元モデル(BIMモデル)に関する情報を保持するためのデータベースである。システム1における各種の設備としては、以下が含まれる。
・階層構造をもち、主に機器およびケーブルが載置されるストラクチャ
・階層構造をもち、主に配管およびケーブルが敷設されるラック
・システム1において扱われる各種の機器(図7参照)
【0042】
なお、この説明において、構造物とは機器、配管、およびケーブルの少なくともいずれかを支持するための設備を指し、本実施例ではストラクチャやラックが該当する。
また、機器には、信号線や電力線といった各種のケーブルを、各種の機器に接続する際に用いられる各種の計装品を含む。計装品の具体例としては、トランスミッター、インスツルメントバルブ、ジャンクションボックス等が挙げられる。これらの各計装品の機能は以下のとおりである。
・トランスミッター:プロセス状態(圧力、液位、流量、温度、成分分析、等)を測定して信号を送り出す発信器又はスイッチ類の計器。
・インスツルメントバルブ:操作端となる自動弁(調節弁、オンオフ弁等)。
・ジャンクションボックス:計装信号ケーブル又は計装用電源ケーブルを中継する為の接続端子箱。
なお、計装品としては、上記に限られず、各種のケーブルを、機器に接続する際に用いられるその他の設備を含む。
【0043】
設計空間データベース2022は、ユーザが設計を行った仮想空間(以下、単に仮想空間という)の情報を保持するためのデータベースである。
【0044】
ケーブルデータベース2023は、プラントの設計に用いられるケーブルの種類と、ケーブルの種類に応じて決められた、ケーブルを収容するケーブルトレイの種類と、を記憶するデータベースである。
【0045】
設備位置データベース2026は、仮想空間上に配置された各種の設備に相当するオブジェクトについて、主に仮想空間上の位置に関する情報を保持するためのデータベースである。システム1において、オブジェクトとは、仮想空間に配置される物体を示すモデルデータを指す。
各種の設備としては、以下が含まれる。
・階層構造をもち、主に機器が載置されるストラクチャ
・階層構造をもち、主に配管およびケーブルが敷設されるラック
・システム1において扱われる各種の機器(図6参照)
また、各種の機器については、始点と終点の情報を含む。
【0046】
ケーブル定義データベース2027は、ケーブルルーティングを行うためにユーザが定義したルーティングの対象となるケーブルの仕様に関する情報を保持するためのデータベースである。
【0047】
ノードデータベース2028は、ケーブルが敷設される経路であるルーティング経路を構成するノードの仮想空間上の座標を管理するデータベースである。
【0048】
リンクデータベース2029は、ルーティング経路を構成するリンクの始点および終点の仮想空間上の位置を管理するデータベースである。
【0049】
ルーティング経路データベース2030は、ケーブルの仮想空間上のルーティング経路を管理するデータベースである。設備データベース2021からルーティング経路データベース2030のデータ構造の詳細は後述する。
【0050】
制御部203は、サーバ20のプロセッサが記憶部202に記憶されるプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、機器入力受付モジュール2033、機器配置モジュール2034、編集入力受付モジュール2035、編集表示モジュール2037、およびルーティングモジュール2038としての機能を発揮する。
【0051】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0052】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0053】
機器入力受付モジュール2033は、システム1を使用してプラント設計を行うための仮想空間に配置する、各種機器の種類、および当該機器を仮想空間内に配置する位置の入力操作を、ユーザから受け付ける処理を制御する。
ユーザが、端末装置10を使用してプラント設計を行うとき、端末装置10のディスプレイ132には、プラント設計を行う実際の敷地を模した平面上に存在する仮想空間が表示される。その後、ユーザは、ディスプレイ132の画面上で所定の操作をすることにより、仮想空間内に配置する各種機器の種類、および仮想空間内の配置位置を入力し、機器入力受付モジュール2033は、入力された各種機器の種類、および仮想空間内の配置位置の情報を受け付ける。
【0054】
機器入力受付モジュール2033で受け付ける、ディスプレイ132の画面上における所定の操作とは、例えば、画面上に表示される複数パターンの各種機器の一覧から所望する種類の機器を示すオブジェクトをクリック等することにより選択し、画面上に表示される仮想空間の所望の箇所をクリック等することにより、当該オブジェクトの配置位置を選択する操作である。また、所定の操作の他の例は、画面上に表示される各種機器の外観を示す画像の一覧から所望の画像を選択してドラッグし、画面上に表示される仮想空間の所望の箇所まで移動させることにより配置位置を選択する操作である。なお、各種機器の入力は、このような入力操作に限られない。
【0055】
機器配置モジュール2034は、機器入力受付モジュール2033で受け付けた各種機器の種類、および仮想空間内の配置位置の情報に基づき、仮想空間に配置して表示させる処理を制御する。ユーザの端末装置10への所定の操作により、仮想空間内に配置する各種機器の種類、および仮想空間内の配置位置の情報を受け付けるので、それらの情報に基づき、端末装置10のディスプレイ132に表示されている仮想空間に、当該各種機器を入力された配置位置に配置し、端末装置10のディスプレイ132に表示させる。
ここで、仮想空間内に配置される機器を示すオブジェクトは、ケーブルが接続される始点および終点を備えている。オブジェクトは始点および終点の情報を含んでいる。
【0056】
編集入力受付モジュール2035は、各種機器を示すオブジェクトの編集を行う入力操作を、ユーザから受け付ける処理を制御する。ユーザが、端末装置10のディスプレイ132に表示されている各種機器に対して、各種調整を行うための編集情報を入力すると、編集入力受付モジュール2035は、入力された各種機器の編集情報を受け付ける。各種機器の編集は、例えば機器の種類、形状、サイズ、数量のいずれか1つまたは複数に対応した編集である。
【0057】
編集入力受付モジュール2035における、ユーザによる各種機器の編集を行う入力操作は、例えば、各種機器に設定されているパラメータを編集する入力操作である。ユーザによる入力操作の他の例は、ディスプレイ132に表示されている各種機器をドラッグ等することで大きさや長さ等を編集する入力操作であり、その大きさや長さに対応する数値をパラメータとして受け付ける。
【0058】
編集表示モジュール2037は、編集入力受付モジュール2035で受け付けた各種機器の編集情報に基づき、各種機器の表示態様を変更して仮想空間に表示させる処理を制御する。ユーザの端末装置10への所定の操作により、仮想空間内に配置されている各種機器を編集、例えば配管の長さや機器との接続角度を編集する情報を受け付けるので、それらの情報に基づき、端末装置10のディスプレイ132に表示されている仮想空間に、当該各種機器の表示態様を変更、例えば受け付けた付設配管の長さや機器との接続角度に合わせてその外観を変更し、端末装置10のディスプレイ132に表示させる。
【0059】
ルーティングモジュール2038は、システム1を使用して設計を行うプラントに配置するケーブルのルーティングを、仮想空間内に配置されている各種機器に関連付けて行う指示操作をユーザから受け付け、ルーティングを行う処理を制御する。プラントに配置するケーブルとは、電力を各種機器に供給する電力ケーブル、計装・制御信号用のケーブル、および各種機器同士の通信に用いる通信ケーブルを含む。
【0060】
ユーザは、例えば端末装置10のディスプレイ132に表示されている画面上で、仮想空間に配置されている各種機器の所定の箇所、例えば、機器のケーブル接続の端点をルーティングの開始位置または終了位置として指定し、ルーティングの指示をする操作(例えば、画面上の所定のボタン押下)をする。ルーティングモジュール2038は、ユーザからのルーティングの指示を受け付け、ケーブルのルーティングを行う。
【0061】
なお、ルーティングモジュール2038は、ユーザが仮想空間上で行う詳細な入力情報に基づくケーブルのルーティング(いわゆるマニュアル)を行ってもよく、ユーザが始終点を指定することによる自動ルーティングを行ってもよい。このとき、所定の条件によりケーブルのルーティングの方向が定められ、既存の各種機器、配管を避けるようなアルゴリズムにより自動ルーティングが行われる。自動ルーティングの詳細についてはフローチャートを参照して後述する。また、ルーティングモジュール2038は、ユーザから入力されたパラメータ、またはあらかじめ設定されたパラメータにより指定されたケーブルに対するルーティングを行ってもよい。
【0062】
本実施形態では、上記のようにサーバ20で、各種機器の種類および配置位置の入力を受け付けて端末装置10へ表示指示を行い、各種機器の編集入力を受け付けて端末装置10へ表示指示を行い、ケーブルルーティングの指示を受け付けてルーティングを行い、端末装置10へ表示させる構成としているが、このような構成に限られない。
例えば、上記の機能の一部またはすべてについて、端末装置10で入力を受け付けて端末装置10内で処理を行い、端末装置10のディスプレイ132に表示させる構成としてもよい。このような構成にするため、ユーザは、端末装置10を介してサーバ20へアクセスし、サーバ20が提供するプログラムを端末装置10へインストールさせ、端末装置10内で処理を行う構成にしてもよい。この場合、サーバ20の機能として、機器入力受付モジュール2033、機器配置モジュール2034、編集入力受付モジュール2035、編集表示モジュール2037、またはルーティングモジュール2038の一部またはすべてを備えなくてもよい。
【0063】
<4.データ構造>
図4は、サーバ20が記憶する設備データベース2021のデータ構造の一例を示す図である。
【0064】
図4に示すように、設備データベース2021のレコードのそれぞれは、項目「機器ID」と、項目「機器名称」と、項目「BIMモデルデータ」等を含む。
【0065】
項目「機器ID」は、システム1にて仮想空間に配置可能な各種機器の種類を識別する情報である。
【0066】
項目「機器名称」は、各種機器単体の種類を示す名称であり、例えば、ポンプ、熱交換器、フィルタ、バルブ、ラックのような種類を示す名称の情報が格納されている。また、ポンプや熱交換器の場合、エンド-トップ型等のポンプの型式、多管式のような熱交換器の種類を示す情報も格納されている。なお、機器を示す名称は、所定の規格等により指定された記号でもよく、メーカにより指定された型番等でもよい。
【0067】
項目「BIMモデルデータ」は、システム1にて仮想空間に配置するモデルデータのデータ名(ファイル名)を示す情報であり、サーバ20が提供する3DCADシステムで使用されるモデルデータである。サーバ20が提供する3DCADシステムでは、3次元仮想空間を構築し、3次元仮想空間上に機器の形状を表現するモデリングを行う。また、仮想空間内の特定の座標位置を視点として設定し、この視点から特定方向に視野を有する仮想カメラを設定して、この仮想カメラの設定に基づいてレンダリングを行う。当該項目「BIMモデルデータ」に格納されるモデルデータは、実際の機器について、所定の仮想カメラによる視点でレンダリングするためのモデルデータである。
【0068】
図5は、設計空間データベース2022のデータ構造の一例を示す図である。
設計空間データベース2022のレコードのそれぞれは、項目「空間ID」と、項目「ユーザID」と、項目「空間内配管情報」等を含む。
【0069】
項目「空間ID」は、システム1にてユーザが設計した仮想空間を識別する情報である。
【0070】
項目「ユーザID」は、システム1を使用するユーザそれぞれを識別する情報である。なお、項目「ユーザID」には、項目「空間ID」が「#0302」の場合の例として示すように、複数のユーザを識別する情報が格納されてもよい。これは、複数のユーザにより1の仮想空間が設計されて共有されることを可能にするためであり、後述する項目「空間内設計情報」の情報が、ユーザごとに紐づけて格納されてもよい。
【0071】
項目「空間内配管情報」は、システム1にてユーザが「空間ID」により特定される仮想空間に配置したブロックパターンや機器単体、ルーティングを行った配管に関する情報であり、具体的には、項目「基準座標」と、項目「配置物」と、項目「詳細情報(パラメータ)」等を含む。
【0072】
項目「基準座標」は、仮想空間に配置した機器又はケーブルの、仮想空間における相対位置を示す情報であり、例えば、仮想空間内における3次元座標の座標データが格納されている。基準座標は、例えば、機器の基準となる位置(例えば中心となる位置、6方向いずれかの端点)の、仮想空間をXYZ座標で表現した場合の基準座標であるが、この方式に限られない。
【0073】
項目「配置物」は、仮想空間に配置した設備を示す情報であり、設備データベース2021の項目「設備ID」に対応している。
【0074】
項目「詳細情報(パラメータ)」は、仮想空間に配置した設備を編集した際の編集情報、ルーティングを行ったケーブルの情報であり、例えば、機器の編集パラメータが格納されている。機器の編集パラメータとは、数量やサイズに関する情報である。
【0075】
サーバ20の機器入力受付モジュール2033は、各ユーザから機器の配置情報を受け付けることに伴って、設計空間データベース2022にレコードを追加し、更新する。編集入力受付モジュール2035は、各ユーザから機器の編集パラメータ情報を受け付けることに伴って、設計空間データベース2022にレコードを追加し、更新する。ルーティングモジュール2038は、ケーブルルーティングの処理を行うことに伴って、設計空間データベース2022にレコードを追加し、更新する。
【0076】
図6は、サーバ20が記憶するケーブルデータベース2023のデータ構造の一例を示す。
図6に示すように、ケーブルデータベース2023は、項目「ケーブルタイプ」と、項目「トレイタイプ」等を含む。
【0077】
項目ケーブルタイプは、ケーブルの種類を示す情報である。このうち、「MV」は中電圧ケーブルを示す。「LV」は、低電圧ケーブルを示す。「Control」は、制御ケーブルを示す。「Telecom」は、テレコミュニケーション用ケーブルを示す。「InstPower」は、計装用低電圧ケーブルを示す。「FO」は、光ファイバーケーブルを示す情報である。「SignalIS」および「Signal NonIS」は、計装ケーブルの本質安全仕様に対する区分けを示す。
【0078】
項目「トレイタイプ」は、ケーブルの種類に応じて決められたケーブルトレイの種類を示す情報である。トレイタイプにより、同じレイヤーに配置することができるケーブルトレイのグループが分類される。ケーブルの種類のうち、「InstPower」と「FO」は、同じトレイグループに分類される。
【0079】
図7は、システム1で扱う機器の種類を示す図である。
図7に示すように、システム1では、ポンプ、コンプレッサー、サブステーション、ジャンクションボックス等の各種の機器が使用される。これらは、機器の種類時に応じて決められた設置区画に配置される。なお、図6に示される機器に限定されず、システム1ではどのような機器を扱ってもよい。
【0080】
図8は、サーバ20が記憶する設備位置データベース2026のデータ構造の一例を示す図である。図8に示すように、機器位置DBは、項目「設備ID」と、項目「機器の種類」と、項目「位置座標」と、項目「始点座標」と、項目「終点座標」と、と含む。
【0081】
項目「設備ID」は、設備を特定するIDである。設備には、機器と構造物が含まれる。すなわち、設備が機器である場合には、設備IDは機器IDに相当し、設備が構造物である場合には、設備IDは構造物IDに相当する。
【0082】
項目「設備の種類」は、設備IDに相当するオブジェクトが示す設備の種類を示す情報である。
【0083】
項目「位置座標」は、設備IDに相当するオブジェクトが仮想空間上に配置される際の基準となる座標である。
【0084】
項目「始点座標」は、設備IDに相当するオブジェクトが機器である場合に、ケーブルがルーティングされる際の始点の座標を示す情報である。設備IDに相当するオブジェクトが構造物である場合は、空欄となる。
【0085】
項目「終点座標」は、設備IDに相当するオブジェクトが機器である場合に、ケーブルがルーティングされる際の終点の座標を示す情報である。設備IDに相当するオブジェクトが構造物である場合は、空欄となる。
【0086】
図9は、サーバ20が記憶するケーブル定義データベース2027のデータ構造の一例を示す図である。図10に示すように、ケーブルDBは、項目「ID」と、項目「From」と、項目「To」と、項目「Type」と、項目「Redundant」と、項目「Width」と、項目「Core」と、項目「Power」と、を含む。
【0087】
項目「ケーブルID」は、ケーブルを識別するための情報である。
【0088】
項目「From」は、ケーブルIDに相当するケーブルの始点を示す情報である。始点を示す情報としては、例えば、始点となる機器の機器IDの情報である。ここで、始点として選択されたオブジェクトが本発明の第1オブジェクトとなる。
【0089】
項目「To」は、ケーブルIDに相当するケーブルの終点を示す情報である、終点を示す情報としては、例えば、終点となる機器の機器IDの情報である。ここで、終点として選択されたオブジェクトが本発明の第2オブジェクトとなる。なお、機器を示すオブジェクトは、それぞれが始点と終点とを対で備えている。それぞれの機器を示すオブジェクトが第1オブジェクトに該当するか、第2オブジェクトに該当するかは、ルーティングごとに相対的に決まるものである。
【0090】
項目「Type」は、ケーブルIDに相当するケーブルの種類を示す情報である。
【0091】
項目「Redundant」は、冗長性に関する情報である。例えば、同じ種類のケーブルを複数のグループに分け、グループ毎に異なる経路でルーティングをすることで、ケーブルの冗長性が確保される。このような場合に、項目「Redundant」に異なるグループを示す符号(例えばA、B、…)を付与する。
【0092】
項目「Width」は、ケーブルIDに相当するケーブルの幅寸法を示す情報である。
【0093】
項目「Core」は、ケーブルIDに相当するケーブルの断面構造に関する情報である。
【0094】
項目「Power」は、ケーブルIDに相当するケーブルの電力に関する情報である。
【0095】
図10Aは、ノードデータベース2028のデータ構造の一例を示す図である。図10Bは、リンクデータベース2029のデータ構造の一例を示す図である。図10Cは、ルーティング経路DB2030のデータ構造の一例を示す図である。
【0096】
システム1において、ケーブルの始点から終点までのルーティング経路は、リンクとノードにより構成される。リンクは、構造物の一部である梁又は柱に沿って配置される直線状の経路を指す。ノードは、リンクの両端(一端部ノードおよび他端部ノード)を構成し、リンク同士を接続する節点を指す。言い換えれば、ノードは、リンク同士の交点を指す。そしてリンクは、一端部ノードおよび他端部ノードにより特定され、ケーブルのルーティング経路は、複数のリンクにより構成される。
【0097】
図10Aに示すように、ノードデータベース2028は、項目「ノードID」と、項目「ノード座標」と、を備えている。
【0098】
項目「ノードID」は、ノードを識別するためのIDである。
項目「ノード座標」は、ノード座標に相当するノードの仮想空間上の座標である。
【0099】
図10Bに示すように、リンクデータベース2029は、項目「リンクID」と、項目「一端部ノードID」と、項目「他端部ノードID」と、を備えている。
項目「リンクID」は、リンクを識別するためのIDである。
【0100】
項目「一端部ノードID」は、リンクの一方の端部である一端部ノードのIDである。
項目「他端部ノードID」は、リンクの他方の端部である他端部ノードのIDである。
【0101】
図10Cに示すように、ルーティング経路データベース2030は、項目「ケーブルID」と、項目「リンクID」と、を備えている。
【0102】
項目「ケーブルID」には、ルーティング経路が管理されるケーブルを特定するケーブルIDが格納されている。
【0103】
項目「リンクID」には、ケーブルIDに相当するケーブルのルーティング経路を構成するリンクIDが格納されている。すなわち、ケーブルIDに含まれる全てのリンクIDを特定することで、ケーブルの始点から終点までのルーティング経路が特定される。
【0104】
<5.動作および画面例>
以下、図面を参照しながら、本実施形態におけるシステム1によるケーブルルーティング処理について説明する。
【0105】
図11は、システム1による処理の全体を示すフローチャートである。
ユーザは、端末装置10のWebブラウザを介してサーバ20へアクセスし、サーバ20が提供するプラント設計サービスの提供を受ける旨の指示を行うことで、処理が開始される。このとき、ユーザに対して所定の認証が行われてもよい。
【0106】
図11に示すように、まず、端末装置10は、ユーザからのケーブルの始点となる機器を示す第1オブジェクトの位置の指定を受け付ける(ステップS101)。
ステップS101において、サーバ20の制御部203は、プラント設計を行う仮想空間に配置する第1オブジェクトが示す機器の種類、および仮想空間内の配置位置の入力を受け付けるため、初期状態の空間を表示させる指示を、端末装置10へ通信部201を介して送信する。
【0107】
ステップS101において、端末装置10の送受信部172は、サーバ20から送信された初期状態の空間を表示させる指示情報を受け付ける。表示処理部174は、初期状態の空間をディスプレイ132に表示させる。初期状態の空間の情報は、サーバ20の制御部203が端末装置10へ送信してもよく、端末装置10があらかじめ記憶してもよい。
【0108】
ステップS101において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザから、各種機器の種類、および仮想空間内の配置位置の入力操作を受け付ける。送受信部172は、受け付けた各種機器の種類、仮想空間内の配置位置の情報、およびユーザ情報をサーバ20へ送信する。
【0109】
ステップS101の後に、サーバ20は、仮想空間の指定された位置に、機器を示す第1オブジェクトを配置する(ステップS201)。ステップS201において、サーバ20の機器入力受付モジュール2033は、端末装置10から送信された機器の種類、仮想空間内の配置位置の情報、およびユーザ情報を、通信部201を介して受け付ける。
【0110】
ステップS201において、サーバ20の機器配置モジュール2034は、ステップS101で受け付けた機器の種類、および仮想空間内の配置位置の情報に基づき、設備データベース2021を参照し、第1オブジェクトを仮想空間に配置して表示させる指示情報を、端末装置10へ通信部201を介して送信する。また、機器配置モジュール2034は、受け付けた機器の種類、および仮想空間内の配置位置の情報を設計空間データベース2022へ格納する。
【0111】
ステップS201において、送受信部172は、サーバ20から送信された第1オブジェクトを、仮想空間に配置して表示させる指示情報を受け付ける。表示処理部174は、送信された第1オブジェクトを仮想空間に配置し、ディスプレイ132に表示させる。
【0112】
ステップS201の後に、端末装置10は、ユーザからケーブルの終点となる機器を示す第2オブジェクトの位置の指定を受け付ける(ステップS102)。第2オブジェクトについても、第1オブジェクトと同様に、仮想空間上でのユーザの操作により、その位置が指定される。
【0113】
ステップS102の後に、サーバ20は、仮想空間における指定された位置に第2オブジェクトを配置する(ステップS202)。ステップS201およびステップS202が操作を繰り返されることで、仮想空間上にプラントに必要な複数の機器が配置される。
【0114】
ステップS202の後に、端末装置10は、ユーザから構造物を示す第3オブジェクトの位置の指定を受け付ける(ステップS103)。第3オブジェクトについては、仮想空間上でのユーザの操作により、その大きさと位置が指定される。
【0115】
ステップS103の後に、サーバ20は、仮想空間における指定された位置に第3オブジェクトを配置する(ステップS203)。ステップS201からステップS203までの操作を繰り返されることで、仮想空間上に必要な複数の機器および必要な構造物が配置される。なお、機器の配置と構造物の配置は変更することができる。
【0116】
ステップS203の後に、端末装置10は、ユーザからのルーティング指示の入力を受け付ける(ステップS104)。具体的には、ユーザが、仮想空間上に配置された複数の計装品(機器)のうち、ケーブルの片側に接続される計装品(機器)としての第1オブジェクトおよび反対の片側に接続される第2オブジェクトを指定し、これらをルーティングする旨の指示を入力する。
【0117】
ステップS104の後に、サーバ20のルーティングモジュール2038は、ケーブルのルーティングを実行する(ステップS204)。ここで、ルーティングモジュール2038がケーブルをルーティングする際の具体的な手順について詳述する。
【0118】
図12は、システム1によるケーブルルーティング処理の具体的な手順を示すフロー図である。
図12に示すように、ケーブルのルーティングでは、サーバ20のルーティングモジュール2038が、第1オブジェクトの始点および第2オブジェクトの終点をつなぐ最短経路の探索を行う(ステップS2041)。最短経路の探索では、例えばダイクストラ法などの手法により、始点から終点までの経路が探索される。探索された最短経路が暫定ルートとなる。ルーティングモジュール2038は、新たに探索した暫定ルートのルーティング経路について、ノードDB2028、リンクDB2029、およびルーティング経路DB2030に記録する。
【0119】
システム1において、機器のうち、計装品同士をつなぐケーブルの経路として選択できる領域は、構造物における梁又は柱である。このため、システム1における計装品同士のケーブルルーティングでは、構造物の梁又は柱に沿わせるように、第1オブジェクトの始点の位置と、第2オブジェクトの終点の位置と、をつなぐケーブルのルーティング経路が設定される。
【0120】
図13は、自動ルーティングの第1例のうち、計装品同士について最短ルートによるルーティングを行った状態を示す図である。図13Aはストラクチャの梁および柱に沿ってルーティングがされている状態を示す図である。図13Bは、図13Aからストラクチャを不図示とした図である。
【0121】
図13Aおよび図13Bに示すように、システム1では、ケーブルは、構造物であるストラクチャの梁および柱に沿ってルーティングされる。図示の例では、ストラクチャST上に配置されたジャンクションボックスM1、および3つのトランスミッターM2~M4に対して、以下のケーブルがルーティングされている。
・ケーブルC1…ジャンクションボックスM1(始点)とトランスミッターM2(終点)とを繋ぐケーブル
・ケーブルC2…ジャンクションボックスM1(始点)とトランスミッターM3(終点)とを繋ぐケーブル
・ケーブルC3…ジャンクションボックスM1(始点)とトランスミッターM4(終点)とを繋ぐケーブル
これらの各ケーブルは、各計装品同士を繋ぐ最短経路となる暫定ルート上に敷設されている。
【0122】
ここで、ケーブルC1のルーティング経路においては、始点を有するジャンクションボックスM1が第1オブジェクトとなり、終点を有するトランスミッターM2が第2オブジェクトとなる。
また、ケーブルC2のルーティング経路においては、始点を有するジャンクションボックスM1が第1オブジェクトとなり、終点を有するトランスミッターM3が第2オブジェクトとなる。
また、ケーブルC3のルーティング経路においては、ジャンクションボックスM1が第1オブジェクトとなり、トランスミッターM4が第2オブジェクトとなる。
【0123】
ここで、システム1が有するケーブルルートの再探索(以下、単に再探索という)の機能について説明する。
例えば複数のケーブルが構造物上に敷設される場合において、各ケーブルそれぞれが最短経路を通過するように配置すると、構造物全体に敷設される複数のケーブルの経路はそれぞれバラバラになり、全体としてのまとまりが無くなることがある。この場合、それぞれのケーブル長の総和としての総ケーブル長は最短となるものの、ケーブルルートが増えてしまいケーブルの敷設作業やメンテナンスにおける作業が煩雑となり、かえって敷設作業やメンテナンスの効率が悪くなることが懸念される。すなわち、仮にそれぞれのケーブルのルーティング経路が、最短経路よりも迂回するものであったとしても、複数のケーブルのルーティング経路をできるだけ同じ箇所(経由点)を通過するようにまとめておくことで、敷設作業やメンテナンスの効率化が期待できる。このため、システム1では、最短経路を暫定ルートとして設定しつつ、構造物全体に敷設される複数のケーブルにおいて、全体最適となるルーティング経路の探索を支援するために再探索機能を有している。この再探索機能について、以下に説明する。
【0124】
図12に示すように、ステップS2041の後に、ルーティングモジュール2038は、再探索の前工程として、暫定ルートを構成する複数のノードの重心から、経由点を算出する(ステップS2042)。この説明における重心とは、複数のノードの幾何中心(評価対象となる複数のノードそれぞれの座標値の平均値、または平均値に準ずる値)を指す。また、構造物において、梁および柱が連結される交点は、ノードになりえるノード候補点として、その座標が管理されている。まず、ルーティングモジュール2038は、暫定ルートを構成する複数のノードの座標から重心を算出する。
【0125】
重心の算出では、暫定ルートを構成する複数のノードの平均値を算出する際に、各ノードそれぞれについて連結されたリンクの数により、ノードの座標に重み付けを行ってもよい。
ルーティングモジュール2038は、ノードDB2028、リンクDB2029、およびルーティング経路DB2030を参照して、リンクおよびノードの位置、ノードに接続されたリンクの数量を特定する。
【0126】
ここで、ノードに連結されたリンクの数による重み付けを行わない場合の重心位置の算出方法(1)、およびノードに連結されたリンクの数による重み付けを行う場合の重心位置の算出方法(2)について、以下の3つのノードの重心を例に挙げて説明する。
・ノード1(座標:[x1,y1,z1]、連結リンク数:2)
・ノード2(座標:[x2,y2,z2]、連結リンク数:3)
・ノード3(座標:[x3,y3,z3]、連結リンク数:4)
【0127】
(1)重み付けを行わない場合の重心の算出方法
ノード1からノード3の重心の座標を[xg,yg,zg]とした場合に、重心は以下のとおり算出される。
xg=(x1+x2+x3)/3(ノードの数)
yg=(y1+y2+y3)/3(ノードの数)
zg=(z1+z2+z3)/3(ノードの数)
すなわち、重み付けを行わない場合には、各ノードの座標値の平均値が、重心の座標となる。
【0128】
(2)重み付けを行う場合の重心の算出方法
ノード1からノード3の重心の座標を[xgw,ygw,zgw]とした場合に、重心は以下のとおり算出される。
xgw=(x1×2+x2×3+x3×4)/3
ygw=(y1×2+y2×3+y3×4)/3
zgw=(z1×2+z2×3+z3×4)/3
すなわち、各ノードの座標値に対して、各ノードに連結されたリンクの数を乗じた値の平均値が、重心の座標となる。
【0129】
そして、ルーティングモジュール2038は、算出した重心と最も近いノード候補点を、経由点とする。図13の例では、経由点として符号Gで示すノードが算出されている。
この際、ルーティングモジュール2038は、設計空間DB2022、設備位置DB2026、ノードDB2028、およびルーティング経路DB2030を参照して、重心と最も近いノード候補点を特定する。
【0130】
ステップS2042の後に、ルーティングモジュール2038は変更ルートの再探索を行う(ステップS2043)。再探索とは、ルーティングモジュール2038が、変更ルートを探索する処理である。変更ルートとは、始点および終点を繋ぐルートであって、重心の近傍に設定された経由点を経由するように暫定ルートから変更されたルートである。再探索は、敷設された複数の暫定ルートに対して、構造物単位(ごと)に行われる。なお、複数の構造物にまたがる複数の暫定ルートに対して、一括して変更ルートの探索を行ってもよい。ルーティングモジュール2038は、再探索により得られた変更ルートのルーティング経路を、ルーティング経路DBの新たなレコードとして記録する。
【0131】
ステップS2043の後に、ルーティングモジュール2038は、変更ルートと暫定ルートとを比較する(ステップS2044)。ルーティングモジュール2038が比較するパラメータとしては、例えば以下の条件が挙げられる。
・暫定ルートおよび変更ルートそれぞれの距離の違い
・暫定ルートおよび変更ルートそれぞれを構成するリンク数の違い
・暫定ルートおよび変更ルートそれぞれを構成するノード数の違い
【0132】
ルーティングモジュール2038は、変更ルートと暫定ルートとを比較したうえで、予め設定された採用条件を満たすルートを選択する。具体的には、比較するパラメータとして暫定ルートおよび変更ルートそれぞれの距離違いが設定されている場合には、採用条件として、変更ルートの距離について、暫定ルートの距離に対する増加が許容できる距離が設定されている。
【0133】
そしてルーティングモジュール2038は、距離の違いを変更ルートと暫定ルートとの距離の差分を、予め設定された閾値と比較する。そして、変更ルートの距離が、暫定ルートの距離および閾値の和以下のであれば、(ステップS2045のNo)、ルーティングモジュール2038は、第1オブジェクトの始点と第2オブジェクトの終点を結ぶルーティング経路として、変更ルートを採用する(ステップS2046)。このように、最短経路として設定された暫定ルートと、経由点をとおるルートとして設定された変更ルートと、を比較して、変更ルートに変更する処理を、再ルーティングと呼ぶ。
【0134】
一方、変更ルートの距離が、暫定ルートの距離と閾値との和よりも大きい場合には(ステップS2045のNo)、ルーティングモジュール2038は、第1オブジェクトの始点と第2オブジェクトの終点を結ぶルーティング経路として、変更ルートを採用することなく、暫定ルートを採用する(ステップS2047)。暫定ルートを採用するメリットがないためである。
また、採用条件としては、暫定ルートを変更ルートに変更するうえで、許容できる距離の増加量の他、許容できるリンク数の増加量、許容できるノード数の増加量などを設定してもよい。
【0135】
図14は、ケーブルの再探索の第1例における、暫定ルートの一部を変更ルートに変更した状態を説明する図である。図14Aはストラクチャの梁および柱に沿ってルーティングがされている状態を示す図である。図14Bは、図14Aからストラクチャを不図示とした図である。
【0136】
図14Aおよび図14Bに示すように、図13における3つの暫定ルートのうち、C1は、暫定ルートの時点で経由点Gを経由しているため、変更ルートのルーティングがされていない。
【0137】
図14Aおよび図14Bに示すように、図13における3つの暫定ルートのうち、C2は、経由点Gを経由する変更ルートが再探索されたが、図12に示すステップS2044における変更ルートと暫定ルートの比較において、暫定ルートが採用されたケース(図12におけるステップS2047)となっている。すなわち、変更ルートの方が暫定ルートに対して大幅に迂回することで距離が閾値よりも長くなったケースである。
【0138】
図14Aおよび図14Bに示すように、図13における3つの暫定ルートのうち、C3は、経由点Gを経由する変更ルートC3rが再探索された。図12に示すステップS2044における変更ルートと暫定ルートの比較において、変更ルートが採用されたケース(図12におけるステップS2046)となっている。すなわち、暫定ルートの変更ルートに対する距離の増加分が、閾値以下となったケースである。そして、ストラクチャST全体でみると、3つのルートのうちの2つが経由点Gを経由することとなり、ケーブルルートのパターンを減らすことができケーブルの敷設作業やメンテナンスにおける作業が煩雑を減らす事ができる。
【0139】
図15は、システム1によるケーブルルーティングの第2例における、暫定ルートを設定した状態を説明する図である。このうち、図15Aはストラクチャの梁および柱に沿ってルーティングがされている状態を示す図である。図15Bは、図15Aからストラクチャを不図示とした図である。
【0140】
図15Aに示すように、ストラクチャSTには、熱交換器H、タワーT、サブステーションSB等の各種の機器が配置されている。そして、それぞれの機器の周囲には、トランスミッターM、インスツルメントバルブVといった計装品が配置されている。この状態において、計装品同士をつなぐ複数のケーブルCが、それぞれ最短経路となるように暫定ルートが設定されている。そして、この複数のケーブルCを構成するルーティング経路の経由点はGである。
【0141】
図16は、システム1によるケーブルルーティングの第1例における、暫定ルートの一部を変更ルートに変更した状態を説明する図である。このうち、図16Aはストラクチャの梁および柱に沿ってルーティングがされている状態を示す図である。図16Bは、図16Aからストラクチャを不図示とした図である。
【0142】
図16Aおよび図16Bに示すように、図15に示した暫定ルートのうちのいくつかは、経由点Gを経由するように再ルーティングされている。これにより、それぞれのケーブルにおけるルーティング経路としては、暫定ルートより迂回したルートとなることで距離が長くなる部分が存在している。一方、ストラクチャ全体に敷設される複数のルーティング経路が、全体としてシンプルな経路となっている。
【0143】
<6.小括>
以上説明したように、本実施形態のシステム1によれば、第1オブジェクトの始点と、第2オブジェクトの終点との間をケーブルでルーティングする旨の指示を行った際に、構造物の梁又は柱に沿わせながら始点と終点をつなぐケーブルのルーティングを行うことができる。このため、構造物の柱や梁を利用した効率的なケーブルのルーティングを行うことができる。
【0144】
また、暫定ルートを探索したのちに、暫定ルートを構成する複数のノードの重心を算出し、重心の近傍に設定される経由点を経由する変更ルートに変更する再ルーティングを行う。このため、構造物に付設される複数のケーブルのルーティング経路を、シンプルにまとめることができる。
【0145】
また、重心の算出では、複数のノードそれぞれについて、連結されたリンクの数により、ノードの座標に重み付けを行ったうえで、重心を算出する。このため、リンクの接続数が多いノードに高い重み付けをすることで、より一層シンプルにまとめることができる。
【0146】
また、ケーブルルートの再探索は、一つの構造物を経由する複数の暫定ルートに対して一括して行われる。このため、構造物単位で、敷設されるケーブルをまとめることができる。
【0147】
また、ケーブルルートの再探索の後に、変更ルートと暫定ルートとを比較し、変更ルートが所定の採用条件を満たさない場合には、当該変更ルートは採用しない。このため、ケーブルルートのパターンを減らすことができケーブルの敷設作業やメンテナンスにおける作業が煩雑を減らす事ができる。
【0148】
また、システム1のケーブルのルーティングは、プラントに配置される機器(計装品)と、機器(計装品)と、の電力ケーブル、信号ケーブル、通信ケーブルの接続において行われる。すなわち、電源又は信号をやるとりするケーブルにおいて、効率的なルーティング経路を設定することができる。
【0149】
<7.変形例>
システム1の変形例について説明する。
【0150】
また、上記実施形態では、計装品同士をつなぐケーブルのルーティングを行う例を示したが、この限りではない。システム1によるケーブルのルーティングは、計装品に代えて、プラントに配置される配電盤と、計装品と、の電力線又は信号線の接続において行われてもよい。
【0151】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0152】
1 ケーブルルーティングシステム
10 端末装置
20 サーバ、
80 ネットワーク
130 操作受付部
161 ユーザ情報
22 通信IF
23 入出力IF
25 メモリ
26 ストレージ
29 プロセッサ
201 通信部
202 記憶部
203 制御部
図1
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