(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143383
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ロボット配達システム及び配達方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20230928BHJP
G06Q 50/12 20120101ALI20230928BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06Q50/12
B65G61/00 542
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050714
(22)【出願日】2022-03-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日:令和3年11月5日(展示期間 令和3年11月5日~令和3年11月7日)、展示会名:羽田スマートシティEXPO2021、開催場所:羽田イノベーションシティ(東京都大田区羽田空港一丁目1番4号)
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】忽那 知輝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 篤史
(72)【発明者】
【氏名】徳光 勇人
(72)【発明者】
【氏名】天沼 徹太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC24
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】ロボットによる配達の効率を向上させる。
【解決手段】ロボット配達システムは、注文用端末10の位置情報を継続的または断続的に取得する位置情報取得部25と、配達ロボット30の目的地を、位置情報に基づいて設定する目的地設定部26と、を備え、目的地設定部26は、目的地を所定時間毎に更新し、更新された目的地に向けて配達ロボット30を移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文用端末を介して注文者が注文した注文品を自律移動型ロボットによって前記注文者へ配達するロボット配達システムであって、
前記注文用端末の位置情報を継続的または断続的に取得する位置情報取得部と、
前記自律移動型ロボットの目的地を、前記位置情報に基づいて設定する目的地設定部と、を備え、
前記目的地設定部は、前記目的地を所定時間毎に更新し、更新された前記目的地に向けて前記自律移動型ロボットを移動させる、
ロボット配達システム。
【請求項2】
前記所定時間は、前記自律移動型ロボットの移動速度に応じて設定される、
請求項1に記載のロボット配達システム。
【請求項3】
前記所定時間は、前記自律移動型ロボットが前記目的地に到達するまでの間に、少なくとも1回は、前記目的地の更新が行われるように設定される、
請求項1に記載のロボット配達システム。
【請求項4】
前記目的地設定部は、前記注文用端末が前記自律移動型ロボットの移動可能範囲内にない場合、前記自律移動型ロボットの移動可能範囲内であって、前記注文用端末に最も近い位置を前記目的地として設定し、設定された前記目的地を前記注文用端末に送信する、
請求項1から3の何れか1つに記載のロボット配達システム。
【請求項5】
前記目的地設定部は、前記自律移動型ロボットが前記目的地周辺に到達する時点における前記注文者の位置を、前記位置情報の変化に基づいて予測し、予測された位置を前記目的地として設定する、
請求項1から4の何れか1つに記載のロボット配達システム。
【請求項6】
前記目的地設定部は、前記注文用端末から受取要求を受信した場合、前記自律移動型ロボットを現在の位置で停止させる、
請求項1から5の何れか1つに記載のロボット配達システム。
【請求項7】
注文用端末を介して注文者が注文した注文品を自律移動型ロボットによって前記注文者へ配達する配達方法であって、
前記注文用端末の位置情報を継続的または断続的に取得する位置情報取得ステップと、
前記自律移動型ロボットの目的地を、前記位置情報に基づいて設定する目的地設定ステップと、を含み、
前記目的地設定ステップは、所定時間毎に繰り返し実行され、前記目的地が更新される、
配達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット配達システム及び配達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動型ロボットによって調理物を配達先へ配達するロボット給仕システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたロボット給仕システムでは、移動型ロボットによって調理物が予め指定された座席へと配達される。つまり、移動型ロボットは、予め指定された座席に到着するまで障害物を避けながら移動し、この間、調理物を保持し続ける。このため、注文者が移動型ロボットに気付き、迎えに行って調理物を受け取ろうとしても、移動型ロボットが座席に到着するまでは調理物を受け取ることができず、また、注文者が別の座席へ移動した場合であっても調理物は予め指定された座席、すなわち、注文者がもう座っていない座席へ配達されてしまうことになる。この結果、移動型ロボットによる配達効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、ロボットによる配達の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、注文用端末を介して注文者が注文した注文品を自律移動型ロボットによって注文者へ配達するロボット配達システムであって、注文用端末の位置情報を継続的または断続的に取得する位置情報取得部と、自律移動型ロボットの目的地を、位置情報に基づいて設定する目的地設定部と、を備え、目的地設定部は、目的地を所定時間毎に更新し、更新された目的地に向けて自律移動型ロボットを移動させる。
【0007】
また、本発明は、注文用端末を介して注文者が注文した注文品を自律移動型ロボットによって注文者へ配達する配達方法であって、注文用端末の位置情報を継続的または断続的に取得する位置情報取得ステップと、自律移動型ロボットの目的地を、位置情報に基づいて設定する目的地設定ステップと、を含み、目的地設定ステップは、所定時間毎に繰り返し実行され、目的地が更新される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロボットによる配達の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るロボット配達システムにより行われる配達の一例を示す概念図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るロボット配達システムの全体構成を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るロボット配達システムの注文用端末の概略構成を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るロボット配達システムのサーバの概略構成を示す構成図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るロボット配達システムの配達ロボットの概略構成を示す構成図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るロボット配達システムの店舗用端末の概略構成を示す構成図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るロボット配達システムにより行われる配達方法の処理の流れを示すフロー図である。
【
図8】
図7で示される処理の流れに続く処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るロボット配達システムにより行われる目的地の更新の変形例を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るロボット配達システムにより行われる配達方法の第1変形ケースの処理の流れを示すフロー図である。
【
図11】本発明の実施形態に係るロボット配達システムにより行われる配達方法の第2変形ケースの処理の流れを示すフロー図である。
【
図12】本発明の実施形態に係るロボット配達システムにより行われる配達方法の第3変形ケースの処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るロボット配達システム及び配達方法について説明する。
【0011】
まず、
図1~6を参照して、本発明の実施形態に係るロボット配達システム100について説明する。ロボット配達システム100は、注文用端末を介して注文者が注文した注文品を自律移動型ロボットによって注文者の元へと配達するシステムである。
【0012】
以下では、
図1において例示されるように、エリアBにいる注文者が、エリアAにある店舗Aの料理(注文品)を注文したときに、自律移動型ロボットである配達ロボット30によって、店舗Aから注文者がいる場所まで料理(注文品)を配達する場合を例に説明する。
図1は、ロボット配達システム100により行われる配達の一例を示す概念図である。
【0013】
なお、ロボット配達システム100が適用される分野は、料理等の注文品の配達に限定されず、例えば、工場や建築現場において部品や工具の配達に用いられてもよいし、オフィス内での資料や備品の配達や病院内での医療機器や薬剤の配達に用いられてもよい。また、大規模商業施設内での商品購入及びその配達や、セルフサービス形式のフードコートでの料理の注文及びその配達、マンション等の集合住宅への注文品の配達に適用することも可能である。
【0014】
図2に示すように、ロボット配達システム100は、注文者が注文操作する注文用端末10と、料理(注文品)を取り扱う店舗の従業員が操作する店舗用端末50と、ネットワーク60を介して注文用端末10及び店舗用端末50と通信可能なサーバ20と、サーバ20からの指示により料理(注文品)を注文者へと届ける配達ロボット30と、で主に構成される。
図2は、ロボット配達システム100の全体構成を示す構成図であり、
図3は、注文用端末10の概略構成を示しており、
図4は、サーバ20の概略構成を示しており、
図5は、配達ロボット30の概略構成を示しており、
図6は、店舗用端末50の概略構成を示している。
【0015】
注文用端末10は、注文者が所持するスマートフォンやタブレット端末といった携帯型の情報処理端末であり、基地局61や無線LAN62を介してインターネット等のネットワーク60に接続可能なものである。注文用端末10には、後述の注文用プログラムがアプリケーションソフトウェアとして予めインストールされている。なお、注文用端末10は、料理(注文品)の注文用に特化して製造された専用端末であってもよい。
【0016】
注文用端末10は、
図3に示すように、無線通信により外部とデータのやり取りを行う通信部12と、注文用の画面やサーバ20から受信した情報等を表示可能な表示部14と、注文者の入力操作を受け付ける入力部15と、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を構成するGPS衛星等の測位衛星66からの信号を受信可能な衛星信号受信部16と、加速度、角速度及び地磁気を検出可能なモーションセンサ17と、これら各部の作動を制御するCPU(Central Processing Unit)を主体として構成された制御部11と、制御部11で実行されるプログラムや各部で取得されたデータが記憶される記憶部18と、を有する。なお、入力部15は、タッチスクリーンとして表示部14と一体的に構成されていてもよい。また、
図3は、注文用端末10の構成の一例を示す図であり、注文用端末10は、
図3に示される機能以外の機能を有していてもよい。
【0017】
通信部12は、基地局61を介してネットワーク60にアクセスしサーバ20とデータの送受信を行う際に用いられるCDMA(Code Division Multiple Access)やLTE(Long Term Evolution)、5Gといった無線通信手段を有するとともに、無線LAN62を介してネットワーク60にアクセスしサーバ20とデータの送受信を行う際に用いられるWi-Fi(登録商標)等の無線通信手段を有する。また、通信部12は、後述の無線タグ64から送信される信号を受信する際に用いられるBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信手段も有している。
【0018】
衛星信号受信部16は、複数の測位衛星66からの信号に基づいて注文用端末10の位置を検出可能な測位センサであり、モーションセンサ17は、加速度センサ、ジャイロセンサ及び地磁気センサがユニット化された、いわゆる慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)である。
【0019】
サーバ20は、例えば、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ及びデータベースが組み合わせられることによって構成されたものであり、ネットワーク60上に設けられる。なお、サーバ20は、クラウドサーバにより構成されてもよい。
【0020】
サーバ20は、
図4に示すように、注文用端末10、配達ロボット30及び店舗用端末50とデータのやり取りを行う通信部22と、通信部22の作動を制御するCPUを主体として構成された制御部21と、注文用端末10、配達ロボット30及び店舗用端末50から送られてきたデータや制御部21で実行されるプログラムが記憶される記憶部23と、を有する。なお、
図4は、サーバ20の構成の一例を示す図であり、サーバ20は、
図4に示される機能以外の機能を有していてもよい。
【0021】
制御部21は、注文用端末10及び配達ロボット30の位置情報を継続的または断続的に取得する位置情報取得部25と、位置情報取得部25で取得された注文用端末10の位置情報に基づいて、配達ロボット30が向かう目的地を設定する目的地設定部26と、位置情報取得部25で取得された注文用端末10及び配達ロボット30の位置情報に基づいて、注文用端末10及び配達ロボット30の位置が示されたマップを生成するマップ生成部27と、を有する。
【0022】
なお、これら位置情報取得部25等は、制御部21の各機能を、仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。また、位置情報取得部25、目的地設定部26及びマップ生成部27は、1つのサーバ20内に設けられている必要はなく、それぞれ異なるサーバに設けられていてもよい。
【0023】
配達ロボット30は、外部からの操作を必要としない自律走行型ロボットであり、料理(注文品)を収容可能な収容部を備えている。
【0024】
配達ロボット30は、
図5に示すように、無線通信により外部とデータのやり取りを行う通信部32と、現在の配達ロボット30のステータスが表示されるとともに注文者や店舗の従業員へのメッセージ等が表示される表示部34と、注文者や店舗の従業員の入力操作を受け付ける入力部35と、音や音声によって注文者や店舗の従業員、周囲の人にメッセージ等を発報する報知部36と、全球測位衛星システムを構成するGPS衛星等の測位衛星66からの信号を受信可能な衛星信号受信部37と、加速度、角速度及び地磁気を検出可能なモーションセンサ38と、前後方向だけではなく周囲の障害物等の状況を検知可能な周囲検知部39と、車輪及び車輪を駆動する電動モータで主に構成される走行部40と、これら各部の作動を制御するCPUを主体として構成された制御部31と、制御部31で実行されるプログラムや各部で取得されたデータが記憶される記憶部41と、を有する。通信部32、衛星信号受信部37及びモーションセンサ38は、注文用端末10に設けられたものと同等のものであるため、その説明を省略する。
【0025】
表示部34は、注文者や店舗の従業員の目に付きやすい配達ロボット30の上面や側面に配置され、入力部35は、注文者や店舗の従業員が操作等しやすい配達ロボット30の上面や側面に配置される。なお、入力部35は、タッチスクリーンとして表示部34と一体的に構成されていてもよい。
【0026】
報知部36は、目的地に到着した際や走行中に周囲に人がいる場合に注意を促す音や音声を発報するスピーカである。なお、報知部36は、音や音声を発報するとともに、ランプ等を点灯ないし点滅させたり、表示部34にメッセージを表示させたりするものであってもよい。
【0027】
周囲検知部39は、配達ロボット30周辺の情報を取得可能な全天球型または半天球型のカメラであり、周囲検知部39によって撮像された画像は制御部31へと送られ、障害物を検知するために用いられる。周囲検知部39としては、カメラに代えて、または、カメラに加えて、光を照射し物体で反射された反射光を計測することで周囲の空間を認識可能なレーザスキャナ等の三次元測域センサ、いわゆる、3D-LiDAR(light detection and ranging)センサや電波を使って障害物までの距離を計測可能なレーダセンサ(RADAR:Radio Detection and Ranging)、若しくは超音波センサが用いられてもよい。
【0028】
走行部40は、床面を前後左右に自走可能であって所定の位置へと移動することが可能な一般的な走行装置である。
【0029】
また、配達ロボット30には、収容部に料理(注文品)が収容されているか否かを検知するセンサや収容部の扉の開閉を検知可能なセンサといった種々センサが設けられている。
【0030】
なお、配達ロボット30は、自律走行型ロボットに限定されず、自律移動が可能であればどのような形式のロボットであってもよく、例えば、斜面や段差を移動可能な歩行型ロボットであってもよいし、ドローン等の飛行型ロボットであってもよいし、水上を移動可能な水上航行型ロボットであってもよい。
【0031】
店舗用端末50は、料理(注文品)を提供する店舗に設けられた端末であって、ネットワーク60を介してサーバ20と有線接続されたパーソナルコンピュータであり、主に店舗の従業員によって操作される。店舗用端末50には、後述の受注用プログラムがアプリケーションソフトウェアとして予めインストールされている。
【0032】
店舗用端末50は、
図6に示すように、サーバ20とデータのやり取りを行う通信部52と、サーバ20から受信した受注内容等を表示可能な表示部53と、店舗従業員の入力操作を受け付ける入力部54と、これら各部の作動を制御するCPUを主体として構成された制御部51と、制御部51で実行されるプログラムや各部で取得されたデータが記憶される記憶部55と、を有する。なお、店舗用端末50は、上述の注文用端末10と同等の構成を有するスマートフォンやタブレット端末といった無線接続型端末であってもよく、入力部54は、タッチスクリーンとして表示部53と一体的に構成されていてもよい。また、
図6は、店舗用端末50の構成の一例を示す図であり、店舗用端末50は、
図6に示される機能以外の機能を有していてもよい。
【0033】
上記構成のロボット配達システム100において、注文者の位置、すなわち、注文用端末10の位置は、以下のような位置特定方法によって、通信部12のBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信手段によって受信される無線タグ64からの信号や衛星信号受信部16で受信される測位衛星66からの信号に基づいて特定される。
【0034】
無線タグ64は、例えば、BLEビーコン(Bluetooth(登録商標)Low Energy Beacon)であり、
図1に示すように、エリアA内の建物やエリアB内の建物に複数配置される。各無線タグ64には、タグIDが予め割り当てられているとともに、設置される位置に関する情報、例えば、エリア内での位置や建物内での階数といった位置情報が予め記憶されている。各無線タグ64は、タグIDと位置情報とを含むビーコン信号を所定時間毎(例えば、1秒毎)に周囲10m程度の範囲内に送信する。これら無線タグ64は、建物の内外問わず、エリア内のほぼすべての領域をカバーするように、エリア内に設けられた図示しない柱などにも取り付けられる。
【0035】
このため、例えば、
図1に示すように、注文者がエリアBの建物内にいる場合には、注文用端末10の通信部12で受信された複数の無線タグ64のビーコン信号に基づいて、建物内での注文者の位置を特定することが可能である。
【0036】
具体的には、受信されたビーコン信号の強度が大きい順に3つの無線タグ64を選択し、これら3つの無線タグ64の位置情報とビーコン信号の強度とに基づき公知の三角測量によって、建物内での注文者の位置が特定される。注文者の位置を特定するための演算は、注文用端末10において行われてもよいし、注文用端末10から無線タグ64の情報を取得したサーバ20において行われてもよいし、無線タグ64を通じて注文用端末10の情報を取得した無線タグ管理システムにおいて行われてもよい。
【0037】
なお、無線タグ64は、BLEビーコンに限定されず、設置された位置に関する情報を周囲に送信可能な装置であればどのような形式のものであってもよく、例えば、アクティブRFIDであってもよい。
【0038】
一方、注文者が建物の外にいる場合、特にエリア外にいる場合であって、何れのエリアの無線タグ64のビーコン信号も届かなかったり、受信強度が弱すぎたりすることによって無線タグ64のビーコン信号から注文者の位置を特定することができない場合には、注文用端末10の衛星信号受信部16で受信された複数の測位衛星66の信号に基づいて、公知の手法により注文者の位置を特定することが可能である。
【0039】
このように、位置を特定できる程度に無線タグ64からのビーコン信号を受信できているか否かに応じて、位置を特定する手段を適宜切り替えることにより、注文者がどこにいる場合であっても、注文者の位置、すなわち、注文用端末10の位置を特定することが可能である。
【0040】
なお、上述の位置特定方法では、ビーコン信号の受信状況に応じて位置を特定する手段が切り換えられることになるが、例えば、測位衛星66と同等の信号を送信するIMES(Indoor Messaging System)送信機を無線タグ64として利用した場合、注文用端末10の衛星信号受信部16で受信された信号のみに基づいて、建物の内外にいる注文者の位置を継ぎ目なく特定することが可能である。
【0041】
また、位置特定方法としては、モーションセンサ17を利用した公知の歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)が用いられてもよく、例えば、無線タグ64からの信号強度や測位衛星66からの信号強度が低い場合には、歩行者自律航法によって注文用端末10の位置を推定することにより、注文者の位置の特定精度を向上させることができる。
【0042】
また、位置特定方法としては、光を用いたものであってもよく、例えば、赤外線や可視光線により、所定の位置に配置された発光装置と注文用端末10との間で通信を行うことによって注文用端末10の位置を特定するものや、注文用端末10のカメラにより撮像された画像から検出されるカメラの画角及び画像内に写った建造物等の位置に基づいて注文用端末10の位置を特定するものであってもよい。
【0043】
また、位置特定方法としては、音波を用いたものであってもよく、例えば、所定の位置に配置された音波発信器から発信された音波を注文用端末10のマイクで受信することによって注文用端末10の位置を特定するものであってもよい。
【0044】
また、配達ロボット30の位置についても、上述の位置特定方法によって特定される。
【0045】
次に、上記構成のロボット配達システム100により行われる配達ロボット30を用いた料理(注文品)の配達方法について、
図7及び
図8に示されるフローチャートを参照して説明する。
【0046】
まず、
図7を参照し、注文者により料理が注文され、配達ロボット30が料理の配達を開始するまでの流れ(ステップS11~S22)について説明する。
【0047】
ステップS11において、注文者は、所定のログインIDを用いて注文用端末10に予めインストールされた注文用プログラムを起動し、料理及びその数を選択し、送信する。注文用プログラムは、注文可能な料理等を注文用端末10の表示部14に表示し、選択された料理の注文と決済を自動的に行うことを可能とするプログラムである。注文用プログラムの内容、例えば、注文可能な料理等については、サーバ20により随時更新される。
【0048】
ステップS11において、サーバ20には、注文者により選択された料理及びその数が送信されるとともに、ログインID、注文用端末10のID及び注文用端末10の位置情報が送信される。これに対してサーバ20は、受信した注文に注文IDを設定し、この注文IDとともに注文が受け付けられた旨を注文用端末10へと送信する。なお、サーバ20の記憶部23には、注文用プログラムをインストールする際に入力された注文者の氏名や決済方法といった情報がログインIDまたは注文用端末10のIDに紐付けられて保存されている。
【0049】
続くステップS12では、サーバ20から注文された料理を提供可能な店舗Aの店舗用端末50へと、注文者により選択された料理及びその数が送信されるとともに、ステップS11で設定された注文IDが送信される。なお、これらに加えて、注文用端末10のID等が送信されてもよい。
【0050】
ステップS12において、店舗用端末50の表示部53には、受注用プログラムを介して、注文ID、注文された料理及びその数が表示される。受注用プログラムは、注文された料理及びその調理状況等を表示部53に表示するとともに、料理の提供に応じた決済を自動的に行うことを可能とするプログラムである。
【0051】
次にステップS13において、表示部53に表示された注文内容を確認した従業員により、料理の準備状況及び調理完了予定時刻が店舗用端末50に入力される。料理の準備状況は、例えば、「調理前」、「調理中」、「調理終了」など、調理の進行状況に応じたステータスであり、調理完了予定時刻は、店舗Aの混雑状況や他の料理の調理状況に応じて設定される。なお、調理完了予定時刻は、店舗Aで蓄積された過去のデータに基づきAIにより予測されるものであってもよい。このように店舗用端末50に入力された情報は、逐次、サーバ20へと送信される。
【0052】
続くステップS14において、サーバ20は、ステップS13で取得された情報に基づいて、料理の準備状況及び配達予定時刻を注文用端末10へと送信する。配達予定時刻は、ステップS13で取得された調理完了予定時刻に対して、配達に要すると予測される時間を加算することによって求められる。配達に要する時間は、例えば、店舗AからステップS11で位置情報取得部25が取得した注文用端末10の位置までの距離に基づいて算出される。
【0053】
なお、料理の準備状況は、店舗用端末50に入力されるステータスが変更される度に、サーバ20を通じて注文用端末10へと送信され更新される。このため、注文者は、注文用端末10を見ることによって、調理の進行状況と配達予定時刻を確認することができる。
【0054】
次にステップS15において、サーバ20は、待機場で待機中の配達ロボット30に対して料理を準備中の店舗Aに向かうよう指示を送信する。なお、上記指示が送信される配達ロボット30は、待機場で待機中の配達ロボット30に限定されず、店舗Aの近くにいる配達中ではない配達ロボット30であってもよく、例えば、配達が完了し待機場に戻る途中の配達ロボット30が店舗Aの付近にいる場合には、この配達ロボット30に上記指示が送信される。また、すべての配達ロボット30が配達中である場合は、最速で対応可能と予測される配達ロボット30に対して上記指示が送信される。
【0055】
図1に示すように、配達ロボット30が待機している待機場と店舗Aがあるエリアが同じエリアAである場合、配達ロボット30の記憶部41には、エリアAのBIM(Building Information Modeling)等の三次元データや各店舗の位置が予め保存される。このため、ステップS15において、サーバ20は、店舗Aの座標データ、具体的には店舗A内において料理を受け取る位置として予め登録された場所の座標データを目的地として送信する。なお、三次元データは、BIMに限定されず、建築物内の構成部材の配置が三次元的に示されたデータであればどのような形式のデータであってもよく、3D-CADデータや二次元設計図から生成された三次元データ、BIMデータに基づいて生成された三次元データであってもよい。
【0056】
なお、エリアAのBIM等の三次元データは、配達ロボット30の記憶部41に予め保存されていなくともよく、ステップS15において、店舗Aの座標データとともに、サーバ20から配達ロボット30へと送信されてもよい。
【0057】
また、ステップS15では、移動の指示とともに、配達ロボット30が配達する料理の注文ID、すなわち、配達ロボット30が店舗Aか受け取る料理の注文IDがサーバ20から配達ロボット30へと送信される。
【0058】
このようにサーバ20から目的地の座標データを受信した配達ロボット30は、目的地(店舗A)に向けて移動を開始する(ステップS16)。
【0059】
配達ロボット30は、BIM等の三次元データ内での自己位置を上述の位置特定方法によって確認しながら店舗Aへと自律的に移動する。なお、配達ロボット30は、周囲検知部39を用いて自己位置を認識するために、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)機能を有していてもよい。また、移動経路は、サーバ20側で設定されてもよい。
【0060】
そして、設定された目的地である店舗A内において予め設定された料理受け取りエリアに到着すると、配達ロボット30からサーバ20へと到着した旨の信号が送信される(ステップS17)。料理受け取りエリアには、配達ロボット30を誘導するための所定の信号を発信する無線タグが設けられていてもよい。
【0061】
なお、配達ロボット30の停止は、サーバ20によって制御されていてもよく、配達ロボット30の位置が、料理受け取りエリアから所定の距離以内(例えば、1m以内)となったときに、配達ロボット30の移動を停止させるようにしてもよい。
【0062】
続くステップS18において、サーバ20は、店舗用端末50に配達ロボット30が到着した旨を通知する。
【0063】
配達ロボット30の到着を確認した店舗Aの従業員は、調理済みの料理を配達ロボット30の収容部内に格納する(ステップS19)。このとき、誤った料理が格納されることを防止するために、配達ロボット30の表示部34には、ステップS15で受信した注文IDが表示される。店舗Aの従業員は、料理の格納を完了すると、配達ロボット30の入力部35の格納完了ボタンを押す。なお、配達ロボット30に表示部34や入力部35が設けられていない場合、配達ロボット30へ格納すべき料理の確認や配達ロボット30への料理の格納の完了は、店舗用端末50を介して実行されてもよい。
【0064】
収容部内に料理が格納されたことがセンサ等により検知されると、配達ロボット30は、料理が格納された旨をサーバ20へと通知する(ステップS20)。なお、この通知はサーバ20を経由して店舗用端末50に送信される。これにより、店舗Aの従業員は、注文された料理が無事、配達状態になったことを確認することができる。また、この通知はサーバ20を経由して注文用端末10へ送信されてもよく、これにより、注文者は、料理の調理が完了し、配達可能な状態となったことを確認することができる。
【0065】
ステップS20において、料理が格納されたことが確認されると、サーバ20は、ステップS21において、配達ロボット30に対して注文者の位置、すなわち、注文用端末10の位置に向かうよう指示を送信する。
【0066】
ステップS21において指示を送信するにあたって、サーバ20では、まず、ステップS11で位置情報取得部25が取得した注文用端末10の位置が、目的地設定部26によって、暫定的な目的地として設定される。そして、マップ生成部27により、現在地である店舗Aから目的地に至るまでのルートが生成される。
【0067】
例えば、
図1に示すように、目的地となる注文者の位置が、エリアAの隣のエリアB内の建物にある場合、マップ生成部27は、エリアAのBIM等の三次元データと、エリアBのBIM等の三次元データと、エリアAとエリアBとを接続する部分のマップと、を合成したマップを生成する。
【0068】
そして、生成されたマップに現在地である店舗Aと、目的地と、店舗Aから目的地に至るまでのルートと、が示されたデータがステップS21において配達ロボット30に送信される。なお、配達ロボット30の記憶部41にエリアBのBIM等の三次元データやエリアAとエリアBとを接続する部分のマップが予め保存されている場合には、目的地の座標データ及び目的地に至るまでのルートのみを送信するようにしてもよい。
【0069】
このようにサーバ20から目的地及びマップを受信した配達ロボット30は、目的地(注文用端末10の位置)に向けて移動を開始する(ステップS22)。なお、配達ロボット30が店舗Aから目的地へと向かうルートは、マップ生成部27によって生成されたものに限定されず、配達ロボット30によって生成されたものであってもよいし、マップ生成部27で生成された複数のルートから注文者によって選択されたルートであってもよいし、注文者によって指定されたルートであってもよい。
【0070】
続いて、
図8を参照し、料理の配達を開始した配達ロボット30が、配達を完了して待機場に戻るまでの流れ(ステップS31~S46)について説明する。
【0071】
目的地へ移動する間、配達ロボット30の位置情報は、所定時間毎にサーバ20へ送信される(ステップS31)。配達ロボット30の位置は、配達ロボット30が屋内及び屋外の何れにいるかに関わらず、上述の位置特定方法によって連続的に特定される。
【0072】
なお、位置情報をサーバ20へ送信する時間間隔は、配達ロボット30の移動速度に応じて設定され、移動速度が速いほど短く、遅いほど長く設定される。配達ロボット30が人の歩行速度(秒速1m前後)と同程度の速度で移動する場合、上記時間間隔は、例えば、10秒に設定され、配達ロボット30が自律飛行型であって、比較的移動速度が速い場合には、これよりも短い時間に設定される。
【0073】
続くステップS32において、サーバ20は、料理が配達中である旨を注文用端末10へ送信するとともに、ステップS31で取得された情報に基づき配達ロボット30の現在位置及び配達予定時刻を注文用端末10へと送信する。
【0074】
配達ロボット30の現在位置は、ステップS21においてマップ生成部27により生成されたマップ上に配達ロボット30の位置を表示する形で注文用端末10の表示部14に表示される。
【0075】
また、配達予定時刻は、配達ロボット30の現在位置から目的地設定部26によって設定された目的地までの距離に基づいて算出された時刻が送信される。つまり、配達予定時刻は、ステップS14で送信された配達予定時刻から、実際の配達状況に応じた時刻に更新される。
【0076】
これにより、注文者は、注文用端末10を見ることによって、注文した料理が配達ロボット30によって配達中であり、今、どの辺を移動中であるかを確認することができるとともに、あとどの程度の時間で到着するのかを確認することができる。
【0077】
また、ステップS32では、料理を受け取る際に必要となるパスワードまたはQRコード(登録商標)が注文IDと関連付けられてサーバ20から注文用端末10へと送信される。なお、料理を受け取る際に必要となるパスワード等は、料理が注文された段階や料理の調理が開始された段階など、ステップS32よりも前の行程においてサーバ20から注文用端末10へと送信されてもよい。
【0078】
ステップS32において、配達ロボット30の現在位置等を送信する際、サーバ20は、注文用端末10から注文用端末10の現在位置情報を取得する(ステップS33)。注文用端末10の位置は、注文用端末10を所持した注文者が屋内及び屋外の何れにいるかに関わらず、上述の位置特定方法によって連続的に特定される。
【0079】
ステップS32で行われる配達ロボット30の現在位置等を送信は、ステップS31において配達ロボット30から位置情報が送信される時間間隔と同じく所定時間毎(例えば、10秒毎)に行われ、同様に、ステップS33で行われる注文用端末10の現在位置情報の取得も所定時間毎(例えば、10秒毎)に行われる(位置情報取得ステップ)。このように、注文用端末10の位置情報は、サーバ20の位置情報取得部25によって継続的かつ断続的に取得される。
【0080】
ここで、注文者は、ステップS11において注文を行ったときから同じ席や場所に留まっているとは限らず、何らかの事情で違う場所や違う階に移動している場合がある。このような場合に、注文が行われたときの場所へと配達ロボット30が料理を配達してしまうと、注文者が料理を受け取ることができないおそれがある。
【0081】
このため、本実施形態では、続くステップS34において、サーバ20は、ステップS33で取得された注文用端末10の現在位置情報に基づいて目的地の更新を行っている。
【0082】
具体的には、位置情報取得部25が取得した注文用端末10の現在位置が、目的地設定部26によって、新たな目的地として設定される(目的地設定ステップ)。ステップS34で行われる目的地の更新は、位置情報取得部25が注文用端末10の現在位置を取得する度に行われる。
【0083】
そして、更新された目的地は、サーバ20から配達ロボット30へと送信され、配達ロボット30は、更新された目的地に向けて移動する。
【0084】
このように更新された目的地に向けて配達ロボット30が移動する間も、配達ロボット30の位置情報は、所定時間毎にサーバ20へ送信される(ステップS31)。
【0085】
なお、目的地の更新が行われる時間間隔は、ステップS33においてサーバ20が注文用端末10の現在の位置情報を取得する時間間隔、すなわち、ステップS31においてサーバ20が配達ロボット30の現在の位置情報を取得する時間間隔と同じである。この時間間隔は、上述のように、配達ロボット30の移動速度に応じて設定され、移動速度が速いほど短く、遅いほど長く設定される。
【0086】
これにより、何らかの事情で注文者がステップS11において料理を注文したときにいた場所から移動した場合であっても、注文者が今現在いる場所へと配達ロボット30を向かわせることが可能となる。
【0087】
続くステップS36では、配達ロボット30が目的地に到着したか否かが判定される。
【0088】
具体的には、配達ロボット30の現在位置が、目的地として設定された注文用端末10の現在位置から所定の距離(例えば、2~4m)以内となったか否かにより配達ロボット30が目的地に到着したか否かが判定される。
【0089】
配達ロボット30の現在位置が、目的地から所定の距離以内ではない場合、サーバ20は、まだ配達ロボット30が目的地に到着していないと判定して、ステップS31からステップS35の行程を繰り返す。
【0090】
つまり、ステップS31からステップS35の行程は、配達ロボット30が目的地に到着するまで、配達ロボット30の位置情報及び注文用端末10の位置情報をサーバ20が受信する度、すなわち、所定時間毎(例えば、10秒毎)に繰り返し行われる。したがって、目的地の更新は、注文用端末10の位置が近いとしても、配達ロボット30が目的地に到着するまでの間に少なくとも1回以上は行われることになる。
【0091】
一方、配達ロボット30の現在位置が、目的地から所定の距離以内である場合、サーバ20は、配達ロボット30が目的地に到着したと判定して、配達ロボット30に停止指示を送信する(ステップS37)。
【0092】
サーバ20から停止指示を受信した配達ロボット30は、現在の位置で停止し、停止した旨と現在位置とをサーバ20へ送信する(ステップS38)。
【0093】
配達ロボット30の停止を確認したサーバ20は、続くステップS39において、ステップS38で取得された配達ロボット30の現在位置及び配達ロボット30が到着した旨を注文用端末10へと送信する。これにより注文者は、配達ロボット30の到着を確認することができる。
【0094】
これとほぼ同時に、ステップS38で移動を停止した配達ロボット30は、報知部36を通じて周囲に到着を報知する。具体的には、ステップS15で受信した注文IDが、報知部36を通じて音声で読み上げられるとともに、表示部34に表示される。なお、配達ロボット30にスピーカ等が設けられていない場合、ランプ等を点灯ないし点滅させることによって周囲に到着を報知するようにしてもよい。
【0095】
配達ロボット30の到着に気付いた注文者は、配達ロボット30の収容部から料理の取り出しを行う(ステップS41)。配達ロボット30の収容部に鍵が掛けられている場合、ステップS32で注文用端末10に送信されたパスワードが注文者によって入力部35を介して入力されるか、QRコード(登録商標)が配達ロボット30に読み取られることで注文者であることが確認された後、配達ロボット30は収容部の鍵を外す。
【0096】
配達ロボット30による注文者の確認方法は、上記方法に限定されず、配達ロボット30の図示しない認証部に近付けられた注文用端末10から、NFC(Near Field Communication)等によって、注文情報を取得し、この注文情報と配達ロボット30に記憶された注文情報とを照合することによって行われもよいし、注文用端末10の表示部14に表示された受取ボタンがクリックされることによって行われてもよい。
【0097】
そして、収容部から料理が取り出されたことがセンサ等により検知されると、配達ロボット30は、配達が完了した旨をサーバ20へと通知する(ステップS42)。
【0098】
配達完了通知を受け取ったサーバ20は、注文用端末10に配達が完了したことを通知するとともに決済についての通知を行う(ステップS43)。これと同時に、サーバ20は、店舗用端末50に配達が完了したことを通知するとともに決済についての通知を行う。
【0099】
続く、ステップS44において、サーバ20は、配達を完了した配達ロボット30に待機場へ戻るよう指示を送信する。
【0100】
サーバ20からの指示を受信した配達ロボット30は、待機場へと移動し(ステップS45)、到着後、待機状態となっている旨をサーバ20へ送信する(ステップS46)。待機場では、配達から戻ってきた配達ロボット30への充電が行われる。
【0101】
以上のようなステップを経て、料理(注文品)は配達ロボット30によって注文者へと配達される。
【0102】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0103】
上述のロボット配達システム100では、注文用端末10の位置情報に基づいて設定される配達ロボット30の目的地が、所定時間毎に更新される。このように、配達ロボット30の目的地を所定時間毎に更新することによって、注文者が配達ロボット30に近寄って料理(注文品)を受け取ろうとする場合や、注文者が座っている座席や待っている場所が変わった場合であっても、配達時間が無駄に長くなってしまうことなく料理(注文品)を注文者へと迅速に配達することが可能となる。これにより、配達ロボット30による配達の効率を向上させることができる。
【0104】
なお、次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0105】
(1)上記実施形態では、配達ロボット30の配達先である目的地は、目的地設定部26によって、注文用端末10の現在位置に設定されている。つまり、配達ロボット30の目的地は、注文者が移動することに伴って随時変更される。これに代えて、配達ロボット30の目的地は、注文者が移動すると予測される位置に設定されてもよい。具体的には、配達ロボット30が注文者の周辺に到達する時点における注文者の位置を、注文用端末10から送信される位置情報の変化に基づいて予測し、予測された位置を配達ロボット30の目的地として設定するようにしてもよい。
【0106】
例えば、
図9に示すように、注文者が位置1から位置2に移動している場合、位置2を目的地として設定せず、位置1から位置2への移動速度及び移動方向に基づいて、配達ロボット30が注文者の周辺に到達する時点における注文者の位置(予測位置)を予測し、この予測位置を配達ロボット30の目的地として設定する。
【0107】
このように配達ロボット30を注文者が移動する方向に先回りさせることによって、配達ロボット30による配達の効率を向上させることができる。なお、目的地として設定される予測位置は、所定時間毎(例えば、10秒毎)に更新されることが好ましい。
【0108】
(2)また、上記実施形態では、配達ロボット30は、目的地周辺に到達し、サーバ20から停止の指令を受けるまで停止しない。このため、例えば、注文者が近付いてくる配達ロボット30に気付き、走り寄って料理(注文品)を受け取ろうとしても、配達ロボット30が止まるまでは料理(注文品)を受け取ることができない。このような事象に対応するために、サーバ20は、注文用端末10から受取要求を受信した場合には、配達ロボット30をその場で即座に停止させるようにしてもよい。
【0109】
具体的には、配達ロボット30が配達中であるときに、注文用端末10の表示部14に表示された受取ボタンが注文者によりクリックされると、
図10に示すように、ステップS51において、受取要求が注文用端末10からサーバ20へと送信される。
【0110】
そして、受取要求を受信したサーバ20は、ステップS52において、配達ロボット30に停止指示を送信する。サーバ20から停止指示を受信した配達ロボット30は、現在の位置で即座に停止し(ステップS53)、停止した旨と現在位置とをサーバ20へ送信する(ステップS54)。なお、以降の処理は、上記実施形態で説明されるステップS39以降の処理と同じである。
【0111】
このように配達ロボット30が注文者の近くに到達していない場合であっても、注文者からの指示によって配達ロボット30を停止させることが可能となることで、注文者は任意のタイミングで料理(注文品)を受け取ることができる。これにより、配達ロボット30による配達の効率を向上させることができる。
【0112】
(3)また、上記実施形態では、配達ロボット30の目的地は、注文用端末10の位置に設定されている。これに代えて、配達ロボット30の目的地、すなわち、配達場所は、注文者により予め指定されてもよい。
【0113】
具体的には、配達ロボット30の配達が始まる前または配達中に、注文用端末10の表示部14に表示されたマップ上の任意の地点が注文者により受取場所に指定されると、
図11に示すように、ステップS61において、受取場所が注文用端末10からサーバ20へと送信される。
【0114】
そして、受取場所を受信したサーバ20は、ステップS62において、指定された位置を目的地として配達ロボット30に送信し、配達ロボット30は、指定された位置(目的地)に向けて移動を開始する(ステップS63)。指定された位置(目的地)へ移動する間、配達ロボット30の位置情報は、所定時間毎にサーバ20へ送信される(ステップS64)。
【0115】
続くステップS65では、配達ロボット30が目的地に到着したか否かが判定される。
【0116】
具体的には、配達ロボット30の現在位置が、目的地として設定された指定位置から所定の距離(例えば、2~4m)以内となったか否かにより配達ロボット30が目的地に到着したか否かが判定される。
【0117】
サーバ20は、配達ロボット30の現在位置が、目的地から所定の距離以内である場合、配達ロボット30が目的地に到着したとして、配達ロボット30に停止指示を送信する(ステップS66)。一方、配達ロボット30の現在位置が、目的地から所定の距離以内ではない場合、まだ配達ロボット30が目的地に到着していないとして、配達ロボット30から新たな位置情報が送信されてくるのを待つ。
【0118】
サーバ20から停止指示を受信した配達ロボット30は、現在の位置で停止し、停止した旨と現在位置とをサーバ20へ送信する(ステップS67)。なお、以降の処理は、上記実施形態で説明されるステップS39以降の処理と同じである。
【0119】
このように注文者から指定された位置に配達ロボット30を停止させることが可能となることで、例えば、注文者が一時的に席を離れる必要が生じた場合などには、配達ロボット30の目的地を注文者の移動に合わせて更新しないようにすることができる。この結果、配達ロボット30による配達の効率を向上させることができる。なお、配達場所を、注文用端末10の位置とするか、注文者の指定場所とするか、については、注文品を注文する時点で注文者に選択させるようにしてもよい。
【0120】
(4)また、上記実施形態では、配達ロボット30の目的地は、注文用端末10の位置に設定されているが、注文用端末10の位置へと至るルートに階段や急斜面がある場合、配達ロボット30が目的地に辿り着けないおそれがある。このような事象に対応するために、サーバ20は、注文用端末10の位置が配達ロボット30の移動可能範囲内にない場合、配達ロボット30の移動可能範囲内であって、注文用端末10の位置に最も近い位置を目的地として設定する。
【0121】
具体的には、配達ロボット30の配達が始まる前または配達中に、
図12に示すように、注文用端末10から位置情報がサーバ20に送信され(ステップS71)、その位置が配達ロボット30の移動可能範囲内にないと判定された場合、ステップS72において、サーバ20は、配達ロボット30の移動可能範囲内であって、注文用端末10の位置に最も近い位置、つまり、注文用端末10の位置以外の位置を目的地として設定する。
【0122】
このように設定される場所は、注文者から離れた場所であって、配達ロボット30の到着に注文者が気付かないおそれがある。このため、サーバ20は、設定された目的地を受け渡し可能場所として注文用端末10に送信する(ステップS73)。なお、受け渡し可能場所は、注文者が選択できるように、複数設定されることが好ましい。また、注文用端末10の表示部14に表示されたマップ上に受け渡し可能エリアを示すようにしてもよい。
【0123】
そして、注文用端末10の表示部14に表示された受け渡し可能場所が注文者によって承認されると、その旨がサーバ20へと送信される(ステップS74)。なお、注文者により受け渡し可能場所が承認されなかった場合、注文はキャンセルされる。
【0124】
受け渡し可能場所が注文者により承認されると、サーバ20は、ステップS75において、受け渡し可能場所を目的地として配達ロボット30に送信し、配達ロボット30は、受け渡し可能場所(目的地)に向けて移動を開始する(ステップS76)。なお、ステップS77以降の行程は、上述のステップS64以降の行程と同じであるためその説明を省略する。
【0125】
このように注文用端末10の位置へと配達ロボット30が辿り着けない場合には、目的地を配達ロボット30の移動可能範囲内であって、注文用端末10の位置に最も近い位置に設定することによって、配達ロボット30による配達の効率を向上させることができる。
【0126】
(5)また、上記実施形態では、配達ロボット30は1つの店舗のみの料理を配達しているが、配達ロボット30は複数の店舗の料理を配達するようにしてもよい。例えば、配達ロボット30は、
図1に示される店舗Aと店舗Bとの2つの店舗の料理を同時に配達してもよい。この場合、サーバ20は、調理完了予定時刻が早い方の店舗に先に向かうよう配達ロボット30に指示する。
【0127】
(6)また、上記実施形態では、注文品は、店舗から配達ロボット30に引き渡されたものである。これに代えて、注文品は、配達ロボット30の収容部内に予め保管されたものであってもよい。例えば、保存が可能な食品やお菓子を配達ロボット30の収容部に予め保管しておき、注文に応じて保管された注文品を配達するようにしてもよい。また、配達ロボット30の収容部には、飲料を提供可能なドリンクディスペンサー等が設置されていてもよい。
【0128】
(7)また、上記実施形態では、各配達ロボット30は、1つのサーバ20により遠隔操作されている。これに代えて、サーバ20は、各配達ロボット30に内蔵されていてもよい。また、サーバ20は、店舗用端末50と一体化され、店舗毎に設けられていてもよく、配達ロボット30は、各店舗により共用されていてもよい。
【0129】
(8)また、上記実施形態では、BLEビーコンやIMES送信機を無線タグ64として用いることによって、建物内にいる注文者や配達ロボット30の位置を特定している。これに代えて、建物内にいる注文者や配達ロボット30の位置の特定は、無線LAN62のアクセスポイントから送信されるビーコン信号に基づいて測位を行う、いわゆるWi-Fi測位によって行われてもよい。
【0130】
この場合、BLEビーコンを無線タグ64として利用した場合と同様に、受信されたビーコン信号の強度が大きい順に3つのアクセスポイントを選択し、これら3つのアクセスポイントの位置情報とビーコン信号の強度とに基づき公知の三角測量によって、建物内での注文者や配達ロボット30の位置を特定できる。なお、Wi-Fi測位は、注文者や配達ロボット30が移動する範囲においてアクセスポイントから送信されるビーコン信号及びその強度を予め測定しておき、注文用端末10や配達ロボット30で検出されたビーコン信号及びその強度と、予め測定された状況と、を比較することにより注文者や配達ロボット30の位置を特定するものであってもよい。
【0131】
また、建物内にいる配達ロボット30の位置を特定は、配達ロボット30が撮影する画像とBIM等の三次元データとを照合することにより測位を行う、いわゆるVPS(Visual Positioning Service)によって行われてもよい。なお、建物内にいる注文者や配達ロボット30の位置の特定は、上述の方法に限定されず、測位が可能であれば、どのような方法が用いられてもよい。
【0132】
(9)また、上記実施形態では、自律走行型の1台の配達ロボット30のみを用いて配達が行われている。これに代えて、配達は複数のロボットが互いに連携することにより行われてもよく、例えば、自律走行型の配達ロボット30からドローン等の自律飛行型ロボットに料理(注文品)を一旦、受け渡し、さらにこのロボットから別の配達ロボット30に料理(注文品)を受け渡すことによって、最終的に注文者のところへ料理(注文品)を配達するようにしてもよい。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0134】
100・・・ロボット配達システム
10・・・注文用端末
20・・・サーバ
25・・・位置情報取得部
26・・・目的地設定部
30・・・配達ロボット(自律移動型ロボット)
50・・・店舗用端末
60・・・ネットワーク
61・・・基地局
62・・・無線LAN
64・・・無線タグ
66・・・測位衛星