(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143416
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】警報装置、警報方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20230928BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G16H50/30
A61B10/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050770
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】町田 佳士
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】心不全増悪の兆候が見落とされる可能性を低減する。
【解決手段】警報装置は、基準日時に心不全の患者の体重を測定して得られた基準測定値を記憶する記憶部と、前記基準日時よりも後の第1日時に前記患者の体重を測定して得られた第1測定値と、前記第1日時よりも後の第2日時に前記患者の体重を測定して得られた第2測定値とを取得し、取得した第1測定値から、取得した第2測定値への変化が第1警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第1警報基準を満たしていると判定すると、警報を出力し、前記記憶部に記憶された基準測定値から当該第2測定値への変化が第2警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第2警報基準を満たしていると判定すると、前記第1警報基準を満たしていると判定していなくても、前記警報を出力する制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準日時に心不全の患者の体重を測定して得られた基準測定値を記憶する記憶部と、
前記基準日時よりも後の第1日時に前記患者の体重を測定して得られた第1測定値と、前記第1日時よりも後の第2日時に前記患者の体重を測定して得られた第2測定値とを取得し、取得した第1測定値から、取得した第2測定値への変化が第1警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第1警報基準を満たしていると判定すると、警報を出力し、前記記憶部に記憶された基準測定値から当該第2測定値への変化が第2警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第2警報基準を満たしていると判定すると、前記第1警報基準を満たしていると判定していなくても、前記警報を出力する制御部と
を備える警報装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が第1閾値以上である場合に、前記第1警報基準を満たしていると判定し、前記第1測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が前記第1閾値未満である場合に、前記第1警報基準を満たしていないと判定する請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記基準測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合に、前記第2警報基準を満たしていると判定し、前記基準測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が前記第2閾値未満である場合に、前記第2警報基準を満たしていないと判定する請求項2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記第2日時は、前記第1日時から1週間以内の日時である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記基準日時は、前記患者の退院日の日時である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の警報装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記基準測定値の更新値を取得すると、前記記憶部に記憶された基準測定値を、取得した更新値に書き換える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の警報装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2測定値を前記基準測定値と比較し、前記第2測定値が前記基準測定値よりも小さいと判定すると、前記基準測定値の更新値を決定し、前記記憶部に記憶された基準測定値を、決定した更新値に書き換える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の警報装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1日時よりも前の複数の日時に前記患者の体重を測定して得られた複数の測定値を更に取得し、取得した複数の測定値、前記第1測定値、及び前記第2測定値を従属変数、経過期間を独立変数として回帰分析を行い、当該回帰分析の結果が第3警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第3警報基準を満たしていると判定すると、前記警報とは別の警報を出力する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の警報装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記回帰分析の結果として得られた回帰係数が第3閾値以下である場合に、前記第3警報基準を満たしていると判定し、当該回帰係数が前記第3閾値を超えている場合に、前記第3警報基準を満たしていないと判定する請求項8に記載の警報装置。
【請求項10】
前記基準測定値、前記第1測定値、及び前記第2測定値は、前記患者の体表面積の値である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の警報装置。
【請求項11】
前記基準日時、前記第1日時、及び前記第2日時は、同じ時間帯である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の警報装置。
【請求項12】
基準日時に心不全の患者の体重を測定して得られた基準測定値を記憶するコンピュータが、前記基準日時よりも後の第1日時に前記患者の体重を測定して得られた第1測定値と、前記第1日時よりも後の第2日時に前記患者の体重を測定して得られた第2測定値とを取得し、
前記コンピュータが、取得した第1測定値から、取得した第2測定値への変化が第1警報基準を満たしているかどうかを判定し、
前記コンピュータが、前記第1警報基準を満たしていると判定すると、警報を出力し、
前記コンピュータが、記憶された基準測定値から当該第2測定値への変化が第2警報基準を満たしているかどうかを判定し、
前記コンピュータが、前記第2警報基準を満たしていると判定すると、前記第1警報基準を満たしていると判定していなくても、前記警報を出力する警報方法。
【請求項13】
基準日時に心不全の患者の体重を測定して得られた基準測定値を記憶するコンピュータに、
前記基準日時よりも後の第1日時に前記患者の体重を測定して得られた第1測定値と、前記第1日時よりも後の第2日時に前記患者の体重を測定して得られた第2測定値とを取得する処理と、
取得した第1測定値から、取得した第2測定値への変化が第1警報基準を満たしているかどうかを判定する処理と、
前記第1警報基準を満たしていると判定すると、警報を出力する処理と、
記憶された基準測定値から当該第2測定値への変化が第2警報基準を満たしているかどうかを判定する処理と、
前記第2警報基準を満たしていると判定すると、前記第1警報基準を満たしていると判定していなくても、前記警報を出力する処理と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、警報装置、警報方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、呼吸困難、浮腫、又は体重変化などの心不全症状のユーザ選択に関する情報、異常心理コンディションのユーザ選択に関する情報、及び生理的患者状態パラメータに関する情報を使用して心不全状態を判定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心不全患者は、1週間で体重が2kg増加するなどの急激な体重変化があったときは、心不全増悪が疑われるため、対処又は受診が必要である。急激でなくても通常とは異なる体重変化があったときは、対処又は受診が必要な可能性がある。すなわち、体重変化があった場合は、それがどのような変化であるかによって、対処又は受診の必要性が決まる。しかし、従来のシステムでは、体重変化があったとしても、それがどのような変化であるかを考慮していないため、心不全状態を正確に判定することが難しい場合がある。その結果、心不全増悪の兆候が見落とされる可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、心不全増悪の兆候が見落とされる可能性を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様としての警報装置は、基準日時に心不全の患者の体重を測定して得られた基準測定値を記憶する記憶部と、前記基準日時よりも後の第1日時に前記患者の体重を測定して得られた第1測定値と、前記第1日時よりも後の第2日時に前記患者の体重を測定して得られた第2測定値とを取得し、取得した第1測定値から、取得した第2測定値への変化が第1警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第1警報基準を満たしていると判定すると、警報を出力し、前記記憶部に記憶された基準測定値から当該第2測定値への変化が第2警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第2警報基準を満たしていると判定すると、前記第1警報基準を満たしていると判定していなくても、前記警報を出力する制御部とを備える。
【0007】
一実施形態として、前記制御部は、前記第1測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が第1閾値以上である場合に、前記第1警報基準を満たしていると判定し、前記第1測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が前記第1閾値未満である場合に、前記第1警報基準を満たしていないと判定する。
【0008】
一実施形態として、前記制御部は、前記基準測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合に、前記第2警報基準を満たしていると判定し、前記基準測定値から前記第2測定値への増加量又は増加率が前記第2閾値未満である場合に、前記第2警報基準を満たしていないと判定する。
【0009】
一実施形態として、前記第2日時は、前記第1日時から1週間以内の日時である。
【0010】
一実施形態として、前記基準日時は、前記患者の退院日の日時である。
【0011】
一実施形態として、前記制御部は、前記基準測定値の更新値を取得すると、前記記憶部に記憶された基準測定値を、取得した更新値に書き換える。
【0012】
一実施形態として、前記制御部は、前記第2測定値を前記基準測定値と比較し、前記第2測定値が前記基準測定値よりも小さいと判定すると、前記基準測定値の更新値を決定し、前記記憶部に記憶された基準測定値を、決定した更新値に書き換える。
【0013】
一実施形態として、前記制御部は、前記第1日時よりも前の複数の日時に前記患者の体重を測定して得られた複数の測定値を更に取得し、取得した複数の測定値、前記第1測定値、及び前記第2測定値を従属変数、経過期間を独立変数として回帰分析を行い、当該回帰分析の結果が第3警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記第3警報基準を満たしていると判定すると、前記警報とは別の警報を出力する。
【0014】
一実施形態として、前記制御部は、前記回帰分析の結果として得られた回帰係数が第3閾値以下である場合に、前記第3警報基準を満たしていると判定し、当該回帰係数が前記第3閾値を超えている場合に、前記第3警報基準を満たしていないと判定する。
【0015】
一実施形態として、前記基準測定値、前記第1測定値、及び前記第2測定値は、前記患者の体表面積の値である。
【0016】
一実施形態として、前記基準日時、前記第1日時、及び前記第2日時は、同じ時間帯である。
【0017】
本開示の一態様としての警報方法は、基準日時に心不全の患者の体重を測定して得られた基準測定値を記憶するコンピュータが、前記基準日時よりも後の第1日時に前記患者の体重を測定して得られた第1測定値と、前記第1日時よりも後の第2日時に前記患者の体重を測定して得られた第2測定値とを取得し、前記コンピュータが、取得した第1測定値から、取得した第2測定値への変化が第1警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記コンピュータが、前記第1警報基準を満たしていると判定すると、警報を出力し、前記コンピュータが、記憶された基準測定値から当該第2測定値への変化が第2警報基準を満たしているかどうかを判定し、前記コンピュータが、前記第2警報基準を満たしていると判定すると、前記第1警報基準を満たしていると判定していなくても、前記警報を出力する、というものである。
【0018】
本開示の一態様としてのプログラムは、基準日時に心不全の患者の体重を測定して得られた基準測定値を記憶するコンピュータに、前記基準日時よりも後の第1日時に前記患者の体重を測定して得られた第1測定値と、前記第1日時よりも後の第2日時に前記患者の体重を測定して得られた第2測定値とを取得する処理と、取得した第1測定値から、取得した第2測定値への変化が第1警報基準を満たしているかどうかを判定する処理と、前記第1警報基準を満たしていると判定すると、警報を出力する処理と、記憶された基準測定値から当該第2測定値への変化が第2警報基準を満たしているかどうかを判定する処理と、前記第2警報基準を満たしていると判定すると、前記第1警報基準を満たしていると判定していなくても、前記警報を出力する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、心不全増悪の兆候が見落とされる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施形態に係る警報システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る警報装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る警報装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態に係る患者用の端末の画面例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る患者用の端末の画面例を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態の変形例に係る警報装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態について、図を参照して説明する。
【0022】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0023】
図1を参照して、本実施形態に係る警報システム10の構成を説明する。
【0024】
警報システム10は、少なくとも1台のサーバ11と、少なくとも1台の、心不全の患者用の端末12と、少なくとも1台の医師用の端末13とを備える。サーバ11は、ネットワーク14を介して端末12、13と通信を行う。患者用の端末12は、ネットワーク14を介して医師用の端末13と通信を行ってもよい。
【0025】
サーバ11は、データセンタなどの施設に設置される。サーバ11は、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバコンピュータである。
【0026】
端末12は、患者によって保持される。あるいは、端末12は、患者の自宅に設置されてもよい。端末12は、患者の代わりに、患者の家族若しくは介護者、又は訪問看護師などの医療従事者によって使用されてもよい。端末12は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、若しくはPCなどの汎用端末、又はガジェットなどの専用端末である。「PC」は、personal computerの略語である。
【0027】
端末13は、クリニック又は病院などの医療施設に設置される。あるいは、端末13は、医師によって保持されてもよい。端末13は、医師の代わりに、看護師など、他の医療従事者によって使用されてもよい。端末13は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、若しくはPCなどの汎用端末、又はガジェットなどの専用端末である。
【0028】
ネットワーク14は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの任意の組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク14は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0029】
本実施形態の概要を説明する。
【0030】
患者用の端末12は、基準測定値V0を記憶する。基準測定値V0は、基準日時D0に心不全の患者の体重を測定して得られた値である。端末12は、第1測定値V1と、第2測定値V2とを取得する。第1測定値V1は、基準日時D0よりも後の第1日時D1に患者の体重を測定して得られた値である。第2測定値V2は、第1日時D1よりも後の第2日時D2に患者の体重を測定して得られた値である。端末12は、取得した第1測定値V1から、取得した第2測定値V2への変化が第1警報基準C1を満たしているかどうかを判定する。端末12は、第1警報基準C1を満たしていると判定すると、警報を出力する。端末12は、記憶された基準測定値V0から、取得した第2測定値V2への変化が第2警報基準C2を満たしているかどうかを判定する。端末12は、第2警報基準C2を満たしていると判定すると、第1警報基準C1を満たしていると判定していなくても、警報を出力する。
【0031】
本実施形態によれば、心不全患者に急激な体重変化があったときだけでなく、急激でなくても通常とは異なる体重変化があったときも、警報を出力することができる。すなわち、体重変化があった場合に、それがどのような変化であるかによって、対処又は受診の必要性をユーザに通知するかどうかを決定することができる。その結果、心不全増悪の兆候が見落とされる可能性を低減することができる。
【0032】
図2を参照して、本実施形態に係る警報装置20の構成を説明する。本実施形態では、患者用の端末12が警報装置20に相当する。
【0033】
警報装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。
【0034】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、警報装置20の各部を制御しながら、警報装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0035】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM、ROM、又はフラッシュメモリである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。フラッシュメモリは、例えば、SSDである。「SSD」は、solid-state driveの略語である。磁気メモリは、例えば、HDDである。「HDD」は、hard disk driveの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、警報装置20の動作に用いられるデータと、警報装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0036】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G規格、若しくは5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェース、IEEE802.11などの無線LAN通信規格に対応したインタフェース、又はEthernet(登録商標)などの有線LAN通信規格に対応したインタフェースである。「LTE」は、Long Term Evolutionの略語である。「4G」は、4th generationの略語である。「5G」は、5th generationの略語である。「IEEE」は、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略称である。通信部23は、サーバ11と通信を行う。通信部23は、医師用の端末13と通信を行ってもよい。通信部23は、警報装置20の動作に用いられるデータを受信し、また警報装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0037】
入力部24は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクロフォンである。入力部24は、警報装置20の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部24は、警報装置20に備えられる代わりに、外部の入力機器として警報装置20に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの規格に対応したインタフェースを用いることができる。「USB」は、Universal Serial Busの略語である。「HDMI(登録商標)」は、High-Definition Multimedia Interfaceの略語である。
【0038】
出力部25は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electroluminescentの略語である。出力部25は、警報装置20の動作によって得られるデータを出力する。出力部25は、警報装置20に備えられる代わりに、外部の出力機器として警報装置20に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの規格に対応したインタフェースを用いることができる。
【0039】
警報装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、警報装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、警報装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを警報装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って警報装置20の動作を実行することにより警報装置20として機能する。
【0040】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0041】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0042】
警報装置20の一部又は全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、警報装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0043】
図3を参照して、本実施形態に係る警報装置20の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る警報方法に相当する。
【0044】
記憶部22には、基準測定値V0が予め記憶されている。基準測定値V0は、基準日時D0に心不全の患者の体重を測定して得られた値である。基準測定値V0は、本実施形態では、患者の体重の値であるが、患者の体表面積の値でもよい。基準日時D0の体表面積の値は、基準日時D0に測定された体重の値、及び基準日時D0以前に測定された身長の値から、藤本式などの既知の方法を用いて算出することができる。基準日時D0以前の身長の値は、標準身長の値で代用されてもよい。基準日時D0は、任意の日時でよいが、本実施形態では、患者の退院日の日時である。
【0045】
ステップS1において、制御部21は、第1測定値V1と、第2測定値V2とを取得する。第1測定値V1は、第1日時D1に患者の体重を測定して得られた値である。第1測定値V1は、本実施形態では、患者の体重の値であるが、患者の体表面積の値でもよい。制御部21は、第1日時D1に測定された体重の値、及び第1日時D1以前に測定された身長の値から、藤本式などの既知の方法を用いて第1日時D1の体表面積の値を算出することができる。第1日時D1以前の身長の値は、記憶部22に予め記憶されていてもよい。第1日時D1以前の身長の値は、基準日時D0以前に測定された身長の値と同じでもよい。第1日時D1以前の身長の値は、標準身長の値で代用されてもよい。第2測定値V2は、第2日時D2に患者の体重を測定して得られた値である。第2測定値V2は、本実施形態では、患者の体重の値であるが、患者の体表面積の値でもよい。制御部21は、第2日時D2に測定された体重の値、及び第2日時D2以前に測定された身長の値から、藤本式などの既知の方法を用いて第2日時D2の体表面積の値を算出することができる。第2日時D2以前の身長の値は、記憶部22に予め記憶されていてもよい。第2日時D2以前の身長の値は、第1日時D1以前に測定された身長の値と同じでもよい。第2日時D2以前の身長の値は、標準身長の値で代用されてもよい。第1日時D1は、基準日時D0よりも後の任意の日時である。第2日時D2は、第1日時D1よりも後の任意の日時でよいが、本実施形態では、第1日時D1から1週間以内の日時である。ステップS1の処理は、具体的には以下の手順で実行される。
【0046】
制御部21は、入力部24を介して、患者データを入力する操作を受け付ける。患者データは、当日の体重の値を第2測定値V2として含む。制御部21は、患者データから第2測定値V2を取得する。制御部21は、取得した第2測定値V2を記憶部22に記憶する。制御部21は、前日など、過去1週間以内の体重の値が記憶部22に記憶されている場合は、その値を第1測定値V1として記憶部22から取得する。そのような値が記憶部22に記憶されていない場合は、ステップS2及びステップS3の処理がスキップされ、制御部21は、翌日など、新たな患者データが入力されるまで待機する。あるいは、患者データが、過去1週間以内の体重の値を第1測定値V1として更に含む場合は、制御部21は、患者データから第1測定値V1を取得してもよい。制御部21は、取得した第1測定値V1を記憶部22に記憶してもよい。
【0047】
患者データは、手動で入力される代わりに、体重計などの測定デバイスから受信されてもよい。すなわち、制御部21は、通信部23を介して、患者データを測定デバイスから受信してもよい。
【0048】
第1日時D1は、第2日時D2から遡って1週間の中で測定された体重の値が最小値の日時でもよい。例えば、制御部21は、過去1週間以内の日々の体重の値が記憶部22に記憶されている場合は、それらの値のうちの最小値を第1測定値V1として記憶部22から取得してもよい。あるいは、患者データが、過去1週間以内の日々の体重の値を第1測定値V1として更に含む場合は、制御部21は、患者データに含まれる値のうちの最小値を第1測定値V1として取得してもよい。
【0049】
ステップS2において、制御部21は、ステップS1で取得した第1測定値V1から、ステップS1で取得した第2測定値V2への変化と、記憶部22に記憶された基準測定値V0から、ステップS1で取得した第2測定値V2への変化とを算出する。ステップS2の処理は、具体的には以下の手順で実行される。
【0050】
制御部21は、ステップS1で取得した当日の体重の値から、ステップS1で取得した過去1週間以内の体重の値を引いて、1週間以内の体重の増加量を算出する。すなわち、制御部21は、第1測定値V1から第2測定値V2への増加量を算出する。あるいは、制御部21は、算出した1週間以内の体重の増加量を、ステップS1で取得した過去1週間以内の体重の値で割って、1週間以内の体重の増加率を算出してもよい。すなわち、制御部21は、第1測定値V1から第2測定値V2への増加率を算出してもよい。
【0051】
制御部21は、ステップS1で取得した当日の体重の値から、記憶部22に記憶された退院日の体重の値を引いて、退院後の体重の増加量を算出する。すなわち、制御部21は、基準測定値V0から第2測定値V2への増加量を算出する。あるいは、制御部21は、算出した退院後の体重の増加量を、記憶部22に記憶された退院日の体重の値で割って、退院後の体重の増加率を算出してもよい。すなわち、制御部21は、基準測定値V0から第2測定値V2への増加率を算出してもよい。
【0052】
ステップS3において、制御部21は、ステップS2で算出した第1測定値V1から第2測定値V2への変化が第1警報基準C1を満たしているかどうかを判定する。制御部21は、第1警報基準C1を満たしていると判定すると、第1警報A1を出力する。制御部21は、ステップS2で算出した基準測定値V0から第2測定値V2への変化が第2警報基準C2を満たしているかどうかを判定する。制御部21は、第2警報基準C2を満たしていると判定すると、第2警報A2を出力する。第1警報A1及び第2警報A2は、心不全増悪の兆候に関する警報であるという点で同じであるが、GUIでの表現は互いに異なっていてもよい。「GUI」は、graphical user interfaceの略語である。第1警報A1に第2警報A2と同じ表現を用いる場合は、例えば、第1警報A1が「要対処」又は「要診察」というフレーズで表されるとすると、第2警報A2も「要対処」又は「要診察」というフレーズで表される。第1警報A1に第2警報A2とは異なる表現、具体的には、第2警報A2よりも緊急度が高い表現を用いる場合は、例えば、第1警報A1が「要対処」又は「要診察」というフレーズで表されるとすると、第2警報A2は「注意」などのフレーズで表される。制御部21は、第1警報基準C1及び第2警報基準C2の両方を満たしていると判定した場合は、第2警報A2を出力せずに、第1警報A1のみを出力してもよい。
【0053】
本実施形態では、制御部21は、複数の測定値Vsを更に取得する。複数の測定値Vsは、複数の日時Dsに患者の体重を測定して得られた値である。複数の測定値Vsは、本実施形態では、患者の体重の値であるが、患者の体表面積の値でもよい。制御部21は、複数の日時Dsについて、各日時に測定された体重の値、及び各日時以前に測定された身長の値から、藤本式などの既知の方法を用いて各日時の体表面積の値を算出することができる。各日時以前の身長の値は、記憶部22に予め記憶されていてもよい。各日時以前の身長の値は、基準日時D0以前に測定された身長の値と同じでもよい。各日時以前の身長の値は、標準身長の値で代用されてもよい。複数の日時Dsは、第1日時D1よりも前の任意の2つ以上の日時でよいが、本実施形態では、第1日時D1から遡って数ヵ月間の2つ以上の日時である。制御部21は、取得した複数の測定値Vs、第1測定値V1、及び第2測定値V2を従属変数、経過期間を独立変数として回帰分析を行う。制御部21は、当該回帰分析の結果が第3警報基準C3を満たしているかどうかを判定する。制御部21は、第3警報基準C3を満たしていると判定すると、第1警報A1及び第2警報A2とは別の第3警報A3を出力する。第3警報A3は、フレイルに関する警報であるという点で、心不全増悪の兆候に関する警報である第1警報A1及び第2警報A2とは異なるが、GUIでの表現は第1警報A1及び第2警報A2と同じでもよい。例えば、第1警報A1が「要対処」又は「要診察」というフレーズで表され、第2警報A2が「要対処」、「要診察」、又は「注意」というフレーズで表されるとすると、第3警報A3も「要対処」、「要診察」、又は「注意」というフレーズで表されてよい。
【0054】
ステップS3の処理は、具体的には以下の4つの手順で実行される。
【0055】
第1手順として、制御部21は、ステップS2で算出した1週間以内の体重の増加量を、例えば2kgに設定された第1閾値T1と比べて、第1警報基準C1を満たしているかどうかを判定する。すなわち、制御部21は、第1測定値V1から第2測定値V2への増加量が第1閾値T1以上である場合に、第1警報基準C1を満たしていると判定する。制御部21は、第1測定値V1から第2測定値V2への増加量が第1閾値T1未満である場合に、第1警報基準C1を満たしていないと判定する。あるいは、制御部21は、ステップS2で算出した1週間以内の体重の増加率を、例えば4%に設定された第1閾値T1aと比べて、第1警報基準C1を満たしているかどうかを判定してもよい。すなわち、制御部21は、第1測定値V1から第2測定値V2への増加率が第1閾値T1a以上である場合に、第1警報基準C1を満たしていると判定してもよい。制御部21は、第1測定値V1から第2測定値V2への増加率が第1閾値T1a未満である場合に、第1警報基準C1を満たしていないと判定してもよい。
【0056】
第2手順として、制御部21は、ステップS2で算出した退院後の体重の増加量を、例えば3kgに設定された、第1閾値T1よりも大きい第2閾値T2と比べて、第2警報基準C2を満たしているかどうかを判定する。すなわち、制御部21は、基準測定値V0から第2測定値V2への増加量が第2閾値T2以上である場合に、第2警報基準C2を満たしていると判定する。制御部21は、基準測定値V0から第2測定値V2への増加量が第2閾値T2未満である場合に、第2警報基準C2を満たしていないと判定する。あるいは、制御部21は、ステップS2で算出した退院後の体重の増加率を、例えば6%に設定された、第1閾値T1aよりも大きい第2閾値T2aと比べて、第2警報基準C2を満たしているかどうかを判定してもよい。すなわち、制御部21は、基準測定値V0から第2測定値V2への増加率が第2閾値T2a以上である場合に、第2警報基準C2を満たしていると判定してもよい。制御部21は、基準測定値V0から第2測定値V2への増加率が第2閾値T2a未満である場合に、第2警報基準C2を満たしていないと判定してもよい。
【0057】
第3手順として、制御部21は、ステップS1で取得した値のほかに、直近6ヵ月間など、過去数ヵ月間の日々の体重の値が記憶部22に記憶されている場合は、それらの値を複数の測定値Vsとして記憶部22から取得する。そのような値が記憶部22に記憶されていない場合は、第3手順がスキップされる。あるいは、ステップS1で入力された患者データが、過去数ヵ月間の日々の体重の値を複数の測定値Vsとして更に含む場合は、制御部21は、患者データから複数の測定値Vsを取得してもよい。制御部21は、取得した複数の測定値Vsを記憶部22に記憶してもよい。制御部21は、取得した過去数ヵ月間の日々の体重の値、ステップS1で取得した過去1週間以内の体重の値、及びステップS1で取得した当日の体重の値を従属変数、経過日数を独立変数として回帰分析を行う。制御部21は、当該回帰分析の結果として得られた回帰係数を、例えば-0.01に設定された第3閾値T3と比べて、第3警報基準C3を満たしているかどうかを判定する。すなわち、制御部21は、得られた回帰係数が第3閾値T3以下である場合に、第3警報基準C3を満たしていると判定する。制御部21は、得られた回帰係数が第3閾値T3を超えている場合に、第3警報基準C3を満たしていないと判定する。一変形例として、制御部21は、回帰分析によって第3警報基準C3を満たしているかどうかを判定する代わりに、基準体重からの差分値を算出し、その差分値が閾値を下回った場合に第3警報基準C3を満たしていると判定してもよい。
【0058】
第4手順として、制御部21は、
図4に示すような画面30を出力部25としてのディスプレイに表示する。画面30には、患者の氏名及び年齢のほかに、患者などのユーザ向けのメッセージ31が表示される。画面30には、第3手順で取得された過去数ヵ月間の日々の体重の値、ステップS1で取得された過去1週間以内の体重の値、及びステップS1で取得された当日の体重の値を日時ごとにプロットして得られたグラフ32も表示される。画面30には、ステップS1で取得された当日の体重の値と、ステップS2で算出された1週間以内の体重の増加量と、ステップS2で算出された退院後の体重の増加量とを含む解析結果33も表示されている。
図4の例では、解析結果33には、ステップS2で算出され得る1週間以内の体重の増加率、並びに体表面積の増加量及び増加率と、ステップS2で算出され得る退院後の体重の増加率、並びに体表面積の増加量及び増加率とが更に含まれている。
【0059】
制御部21は、第1手順で第1警報基準C1を満たしていると判定すると、「要対処」というフレーズを第1警報A1としてメッセージ31に含める。制御部21は、「要対処」というフレーズの代わりに、又は「要対処」というフレーズとともに、「救急車を呼んでください」又は「できるだけ早く受診してください」などの文章を第1警報A1としてメッセージ31に含めてもよい。制御部21は、第1閾値T1と、ステップS2で算出した1週間以内の体重の増加量、すなわち、第1測定値V1から第2測定値V2への増加量との差が、0.1kgなどの一定値未満である場合は、「要対処」の代わりに、「要診察」というフレーズを第1警報A1としてメッセージ31に含めてもよい。あるいは、制御部21は、第1閾値T1aと、ステップS2で算出した1週間以内の体重の増加率、すなわち、第1測定値V1から第2測定値V2への増加率との差が、0.2%などの一定値未満である場合は、「要対処」の代わりに、「要診察」というフレーズを第1警報A1としてメッセージ31に含めてもよい。制御部21は、「要診察」というフレーズの代わりに、又は「要診察」というフレーズとともに、「病院での診察をお勧めします」などの文章を第1警報A1としてメッセージ31に含めてもよい。制御部21は、「体重の前測定からの変化が閾値を超えています」など、第1警報基準C1を満たしていることを示す文章をメッセージ31に更に含めてもよい。
【0060】
第1警報A1に第2警報A2と同じ表現を用いる場合は、制御部21は、第2手順で第2警報基準C2を満たしていると判定すると、「要対処」というフレーズを第2警報A2としてメッセージ31に含める。制御部21は、「要対処」というフレーズの代わりに、又は「要対処」というフレーズとともに、「救急車を呼んでください」又は「できるだけ早く受診してください」などの文章を第2警報A2としてメッセージ31に含めてもよい。制御部21は、第2閾値T2と、ステップS2で算出した退院後の体重の増加量、すなわち、基準測定値V0から第2測定値V2への増加量との差が、0.1kgなどの一定値未満である場合は、「要対処」の代わりに、「要診察」というフレーズを第2警報A2としてメッセージ31に含めてもよい。あるいは、制御部21は、第2閾値T2aと、ステップS2で算出した退院後の体重の増加率、すなわち、基準測定値V0から第2測定値V2への増加率との差が、0.2%などの一定値未満である場合は、「要対処」の代わりに、「要診察」というフレーズを第2警報A2としてメッセージ31に含めてもよい。制御部21は、「要診察」というフレーズの代わりに、又は「要診察」というフレーズとともに、「病院での診察をお勧めします」などの文章を第2警報A2としてメッセージ31に含めてもよい。制御部21は、「体重の基準日からの変化が閾値を超えています」など、第2警報基準C2を満たしていることを示す文章をメッセージ31に更に含めてもよい。
【0061】
第1警報A1に第2警報A2よりも緊急度が高い表現を用いる場合は、制御部21は、第2手順で第2警報基準C2を満たしていると判定すると、「注意」というフレーズを第2警報A2としてメッセージ31に含める。制御部21は、「注意」というフレーズの代わりに、又は「注意」というフレーズとともに、「1週間以内の受診をお勧めします」又は「体調がすぐれないようであれば受診してください」などの文章を第2警報A2としてメッセージ31に含めてもよい。
【0062】
制御部21は、第1手順で第1警報基準C1を満たしていないと判定し、かつ第2手順で第2警報基準C2を満たしていないと判定した場合は、「体重に大きな変化は見られません」など、第1警報基準C1も第2警報基準C2も満たしていないことを示す文章をメッセージ31に含める。制御部21は、第1閾値T1と、第1測定値V1から第2測定値V2への増加量との差が、5kgなどの明らかな異常値以上である場合は、「入力した体重をもう一度確認してください」など、手入力の誤りを指摘する文章をメッセージ31に含めてもよい。あるいは、制御部21は、第1閾値T1aと、第1測定値V1から第2測定値V2への増加率との差が、10%などの明らかな異常値以上である場合は、「入力した体重をもう一度確認してください」など、手入力の誤りを指摘する文章をメッセージ31に含めてもよい。
【0063】
制御部21は、第3手順で第3警報基準C3を満たしていると判定すると、「フレイルの診断をお勧めします」、「医師にご相談ください」、又は「食事量が減っていませんか」などの文章を第3警報A3としてメッセージ31に含める。制御部21は、文章の代わりに、又は文章とともに、「要対処」、「要診察」、又は「注意」などのフレーズを第3警報A3としてメッセージ31に含めてもよい。筋肉の減少などの要因により患者がフレイルになった結果として体重が減少した場合は、筋肉が元の量に戻ってフレイルが解消するまで一時的に基準測定値V0を低めの値に変更しておくことが望ましい。そのため、制御部21は、「基準体重の変更をお勧めします」など、更新データを入力する操作をユーザに促す文章をメッセージ31に更に含めてもよい。更新データは、基準測定値V0の更新値を含む。制御部21は、入力部24を介して、更新データを入力する操作を受け付けると、更新データから基準測定値V0の更新値を取得する。制御部21は、記憶部22に記憶された基準測定値V0を、取得した更新値に書き換える。更新データを入力する操作は、医師の許可の下で行われてもよい。
【0064】
更新データは、手動で入力される代わりに、サーバ11又は医師用の端末13から受信されてもよい。すなわち、制御部21は、通信部23を介して、更新データをサーバ11又は医師用の端末13から受信してもよい。あるいは、基準測定値V0の更新自体が自動的に実施されてもよい。具体的には、制御部21は、第2測定値V2を基準測定値V0と比較し、第2測定値V2が基準測定値V0よりも小さいと判定すると、基準測定値V0の更新値を決定し、記憶部22に記憶された基準測定値V0を、決定した更新値に書き換えてもよい。例えば、制御部21は、ステップS1で取得した当日の体重の値を基準測定値V0の更新値に決定してよい。あるいは、制御部21は、前月の体重の中央値、平均値、又は標準偏差から算出された統計値を基準測定値V0の更新値に決定してもよい。あるいは、制御部21は、全測定期間を含む、ある期間中に測定された体重の値のうちの最小値を基準測定値V0の更新値に決定してもよい。筋肉量の減少で体重が落ちた場合に基準測定値V0を自動的に更新することで、体内水分増加による体重増の見落としを防ぎやすくなる。
【0065】
制御部21は、ユーザが患者、患者の家族及び介護者、並びに訪問看護師などの医療従事者のいずれであるかによって、メッセージ31の内容を調整してもよい。
【0066】
本実施形態の一変形例として、
図5に示すように、画面30には、朝昼夜のうち、選択された時間帯に行われた体重測定のみに関して、メッセージ31、グラフ32、及び解析結果33が表示されてもよい。すなわち、基準日時D0、第1日時D1、及び第2日時D2は、同じ時間帯であってもよい。全日、平日、及び休日のいずれかが更に選択可能であってもよい。曜日が更に選択可能であってもよい。特定の日、週、月、及び年、並びに全期間のいずれかが更に選択可能であってもよい。起床後、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前、夕食後、又は就寝前など、患者の行動に関連する体重測定のタイミングが更に選択可能であってもよい。患者の行動は、時計型、指輪型、若しくはその他の型のウェアラブルデバイスからの睡眠状態、持続血糖計からの食事状態、又はホームカメラなどのIoTデバイスから取得される行動情報に紐付けられてもよい。「IoT」は、Internet of thingsの略語である。
【0067】
本実施形態では、第1閾値T1、第2閾値T2、及び第3閾値T3などの各閾値は、固定値として予め設定されているが、本実施形態の一変形例として、各閾値は、可変値でもよい。例えば、第1閾値T1は、患者の体重の日時ごとの分布に基づいて設定されてもよい。制御部21は、1ヵ月間程度の分布に基づいて標準偏差を算出し、算出した標準偏差を3倍にした値を第1閾値T1として設定してもよい。
【0068】
制御部21は、通信部23を介して、第1手順、第2手順、若しくは第3手順の判定結果、解析結果33、又はこれらの任意の組合せを診断用データとしてサーバ11に送信してもよい。サーバ11は、診断用データを受信すると、受信した診断用データをサーバ11内のストレージ、又はサーバ11が接続可能な外部のストレージに記録してもよい。サーバ11は、医師用の端末13からの要求に応じて、ストレージに記録した診断用データを端末13に送信してもよい。端末13は、診断用データを受信すると、受信した診断用データをディスプレイに表示してもよい。例えば、端末13は、
図4又は
図5の例と同様の画面をディスプレイに表示してもよい。
【0069】
ステップS1からステップS3の処理は繰り返し実行される。
【0070】
本実施形態によれば、例えば、心不全患者の在宅時の体重変化に関するデータを取得及び記録することができる。データを解析して得られた情報を、専門知識のない人でも理解しやすいように提示することによって、迅速かつ正確な心不全状態の推定が可能になる。情報を医師にも提供することによって、医師が診察時にデータを細かく確認する必要がなくなり、患者の状態を短時間で正確に確認できるようになるため、診療の効率化が可能になる。
【0071】
本実施形態の一変形例として、ステップS1において、患者用の端末12の代わりに、サーバ11が、第1測定値V1と、第2測定値V2とを取得してもよい。具体的には、端末12が、入力された患者データをサーバ11に送信し、サーバ11が、患者データから第2測定値V2を取得してもよい。患者データが第1測定値V1を更に含む場合は、サーバ11が、患者データから第1測定値V1を取得してもよい。この変形例において、サーバ11は、ステップS2及びステップS3の処理を実行する。ステップS3において、サーバ11は、メッセージ31、グラフ32、及び解析結果33を端末12に送信する。端末12は、メッセージ31、グラフ32、及び解析結果33を受信すると、
図4又は
図5に示した画面30をディスプレイに表示する。
【0072】
図6を参照して、この変形例に係る警報装置20の構成を説明する。この変形例では、患者用の端末12の代わりに、サーバ11が警報装置20に相当する。
【0073】
警報装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備える。制御部21、記憶部22、及び通信部23の詳細については、通信部23が患者用の端末12及び医師用の端末13と通信を行う点を除き、
図2に示したものと同様であるため、説明を省略する。
【0074】
この変形例に係る警報装置20の動作について、
図3に示した動作との差異を説明する。
【0075】
ステップS1の処理については、患者用の端末12が、患者データを入力する操作を受け付けるため、制御部21が、通信部23を介して、患者データを端末12から受信する点を除き、
図3に示したものと同様である。ステップS2の処理については、
図3に示したものと同様である。ステップS3の処理については、端末12が、更新データを入力する操作を受け付けるため、制御部21が、通信部23を介して、更新データを端末12から受信する点、及び端末12が画面30を表示するため、制御部21が、通信部23を介して、メッセージ31、グラフ32、及び解析結果33を端末12に送信する点を除き、
図3に示したものと同様である。
【0076】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 警報システム
11 サーバ
12、13 端末
14 ネットワーク
20 警報装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 出力部
30 画面
31 メッセージ
32 グラフ
33 解析結果