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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143428
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/18 20060101AFI20230928BHJP
   H01C 10/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01K7/18 A
H01C10/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050785
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井並 祥太
(72)【発明者】
【氏名】安岡 祐二
【テーマコード(参考)】
2F056
5E030
【Fターム(参考)】
2F056NA02
5E030BA11
5E030CA01
(57)【要約】
【課題】自己発熱による温度測定誤差を低減する。
【解決手段】温度センサ1は、基板11と、抵抗体12と、を備える。抵抗体12は、基板11上に形成されている。抵抗体12は、抵抗体12の抵抗値を調整するための抵抗値調整部121を有する。抵抗値調整部121は、第1パターン部1211と、第2パターン部1212と、を含む。第1パターン部1211は、基板11の厚さ方向からの平面視においてL字状に形成されている。第2パターン部1212は、第1パターン部1211に電気的に接続されており、第1パターン部1211に沿ってL字状に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されている抵抗体と、を備え、
前記抵抗体は、前記抵抗体の抵抗値を調整するための抵抗値調整部を有し、
前記抵抗値調整部は、
前記基板の厚さ方向からの平面視においてL字状に形成されている第1パターン部と、
前記第1パターン部に電気的に接続されており、前記第1パターン部に沿ってL字状に形成されている第2パターン部と、を含む、
温度センサ。
【請求項2】
前記抵抗体は、前記抵抗値調整部を複数有し、
前記複数の抵抗値調整部の長さは、互いに異なる、
請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記複数の抵抗値調整部は、前記基板の前記厚さ方向である第1方向と交差する第2方向における一端側から他端側に向けて前記長さが順番に短くなるように配置されている、
請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記抵抗体は、前記複数の抵抗値調整部のうち隣接する2つの抵抗値調整部を電気的に接続する接続部を更に有し、
前記接続部は、前記基板の前記厚さ方向からの平面視において、L字状に形成されており、前記2つの抵抗値調整部の間に位置する、
請求項2又は3に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記抵抗体は、
前記抵抗値調整部を含む第1領域と、
前記基板の前記厚さ方向である第1方向と直交する第2方向において前記第1領域と隣接する第2領域と、を有し、
前記第2領域は、ミアンダ配線部を含み、
前記ミアンダ配線部は、各々が前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に沿って直線状であって、前記第2方向に沿って並んでおり、順番に電気的に接続されている複数の第3パターン部を有する、
請求項1又は2に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記抵抗体は、前記第1領域及び前記第2領域とは異なる第3領域を更に有し、
前記第3領域は、前記第3方向に沿って直線状に延びている溝を含み、
前記第3領域は、前記第2方向において前記第2領域に対して前記第1領域側とは反対側に位置する、
請求項5に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記第1パターン部及び前記第2パターン部の各々は、
前記基板の前記厚さ方向である第1方向と直交する第2方向に沿って延びている第1部分と、
前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に沿って直線状に延びている第2部分と、を有する、
請求項1又は2に記載の温度センサ。
【請求項8】
前記抵抗値調整部は、前記抵抗体を流れる電流が通る経路を、前記第1パターン部及び前記第2パターン部を含む第1経路と、前記第1パターン部及び前記第2パターン部を含まない第2経路とで選択可能な経路選択部を更に含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の温度センサ。
【請求項9】
前記抵抗体の材料は、白金、ニッケル、銅、又はニッケル-コバルト合金を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の温度センサ。
【請求項10】
前記基板は、アルミナ基板である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に温度センサに関し、より詳細には、基板と基板上に形成されている抵抗体とを備える温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子部品等に接続される温度センサ素子(温度センサ)が記載されている。特許文献1に記載の温度センサ素子は、基板と、基板上に配置された抵抗素子(抵抗体)と、を備える。抵抗素子は、基板の長手方向に沿って並んでいる複数のパターン部を有する。各パターン部は、基板の短手方向に沿って直線状に延びており、複数のパターン部は、基板の長手方向に沿って順番に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/174968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の温度センサ素子では、パターン部の本数を増やすことで抵抗値を高精度に調整することが可能となるが、この場合、電流密度が集中する曲折部分も増えることとなり、その結果、自己発熱による温度測定誤差が大きくなる可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、自己発熱による温度測定誤差を低減することが可能な温度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る温度センサは、基板と、抵抗体と、を備える。前記抵抗体は、前記基板上に形成されている。前記抵抗体は、前記抵抗体の抵抗値を調整するための抵抗値調整部を有する。前記抵抗値調整部は、第1パターン部と、第2パターン部と、を含む。前記第1パターン部は、前記基板の厚さ方向からの平面視においてL字状に形成されている。前記第2パターン部は、前記第1パターン部に電気的に接続されており、前記第1パターン部に沿ってL字状に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る温度センサによれば、自己発熱による温度測定誤差を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る温度センサに関し、抵抗値調整後の平面図である。
図2図2は、同上の温度センサに関し、図1のX1-X1線断面図である。
図3図3は、同上の温度センサに関し、抵抗値調整前の平面図である。
図4図4は、同上の温度センサに関し、抵抗体の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る温度センサ1について、図1図4を参照して説明する。以下の実施形態等において参照する図1図4は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(実施形態)
(1)概要
まず、実施形態に係る温度センサ1の概要について、図1を参照して説明する。
【0011】
実施形態に係る温度センサ1は、温度を測定するための電子部品である。温度センサ1は、例えば、後述の一対の電極14を介して、外部基板(図示せず)の表面(実装面)に実装される表面実装型のチップ部品である。外部基板は、例えば、プリント配線板である。
【0012】
実施形態に係る温度センサ1は、図1に示すように、基板11と、抵抗体12と、を備える。抵抗体12は、基板11上に形成されている。抵抗体12は、抵抗体12の抵抗値を調整するための抵抗値調整部121を有する。抵抗値調整部121は、第1パターン部1211と、第2パターン部1212と、を含む。第1パターン部1211は、基板11の厚さ方向D1からの平面視においてL字状に形成されている。第2パターン部1212は、第1パターン部1211に電気的に接続されており、第1パターン部1211に沿ってL字状に形成されている。
【0013】
実施形態に係る温度センサ1では、抵抗値調整部121の第1パターン部1211及び第2パターン部1212の各々がL字状に形成されている。このため、基板の短手方向に沿って直線状に延びているパターン部の本数を変更することで抵抗値を調整する場合に比べて曲折部分を減らすことが可能となり、その結果、曲折部分における発熱量を低減することが可能となる。これにより、自己発熱による温度測定誤差を低減することが可能となる。
【0014】
(2)詳細
次に、実施形態に係る温度センサ1の詳細について、図1図4を参照して説明する。なお、図1及び図3では、後述の保護層13、第1めっき層15及び第2めっき層16の図示を省略している。また、図4では、保護層13の図示を省略している。さらに、図1図3及び図4では、抵抗体12を識別しやすいように、抵抗体12にドットハッチングを付している。すなわち、図1図3及び図4のドットハッチングは、断面を示すものではない。
【0015】
実施形態に係る温度センサ1は、図1及び図2に示すように、第2方向D2に沿って長い直方体状に形成されている。以下では、温度センサ1の厚さ方向(基板11の厚さ方向)が第1方向D1であり、温度センサ1の長手方向が第2方向D2であり、温度センサ1の短手方向(幅方向)が第3方向D3であるとして説明するが、これらの方向は温度センサ1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の「D1」、「D2」、「D3」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2と第3方向D3とが互いに直交している。
【0016】
実施形態に係る温度センサ1は、図1図3に示すように、基板11と、抵抗体12と、を備える。また、温度センサ1は、保護層13と、一対の電極14と、一対の第1めっき層15と、一対の第2めっき層16と、を更に備える。
【0017】
(2.1)基板
基板11は、例えば、セラミック基板である。セラミック基板の材料は、例えば、アルミナ含有率が96%以上のアルミナ焼結体である。すなわち、基板11は、アルミナ焼結体を材料とするアルミナ基板である。基板11は、温度センサ1の厚さ方向である第1方向D1からの平面視において、温度センサ1の長手方向である第2方向D2に長い矩形状に形成されている。基板11は、図1図3に示すように、第1主面111と、第2主面112と、外周面113と、を有する。第1主面111及び第2主面112の各々は、第2方向D2、及び温度センサ1の短手方向(幅方向)である第3方向D3の両方に沿った平面である。言い換えると、第1主面111及び第2主面112の各々は、第1方向D1と交差(直交)する平面である。第1主面111と第2主面112とは、第1方向D1において互いに対向している。外周面113は、第1主面111と第2主面112とをつなぐ4つの側面を含む。4つの側面の各々は、第1方向D1に沿った平面である。
【0018】
(2.2)抵抗体
抵抗体12は、図1図3に示すように、基板11の第1主面111上に形成されている。抵抗体12の材料は、例えば、白金(Pt)を含む。抵抗体12は、例えば、スパッタリングにより形成されたスパッタ膜である。
【0019】
抵抗体12は、第1領域12Aと、第2領域12Bと、を有する。また、抵抗体12は、第1領域12A及び第2領域12Bとは異なる第3領域12Cを更に有する。第2領域12Bは、基板11の厚さ方向である第1方向D1と直交する第2方向D2において第1領域12Aと隣接している。本開示において、「第2領域12Bは、第2方向D2において第1領域12Aと隣接している」とは、第2方向D2において第1領域12Aと第2領域12Bとの間に他の領域が存在せず、第1領域12Aと第2領域12Bとが隣り合っていることを意味する。第1領域12Aと第2領域12Bと第3領域12Cとは、第1方向D1からの平面視において、第2方向D2における一端側(図1の左側)から、第1領域12A、第2領域12B、第3領域12Cの順に並んでいる。
【0020】
第1領域12Aは、図1図3及び図4に示すように、複数(図示例では7つ)の抵抗値調整部121を含む。複数の抵抗値調整部121は、抵抗体12の抵抗値を調整するための部分である。複数の抵抗値調整部121の各々は、第1パターン部1211と、第2パターン部1212と、を含む。第1パターン部1211は、基板11の厚さ方向である第1方向D1からの平面視においてL字状に形成されている。また、第2パターン部1212は、第1パターン部1211に電気的に接続されており、第1パターン部1211に沿ってL字状に形成されている。第1パターン部1211と第2パターン部1212とは、互いの先端部において電気的に接続されている。
【0021】
より詳細には、第1パターン部1211は、図4に示すように、第1部分1214と、第2部分1215と、を有する。第1部分1214は、基板11の厚さ方向である第1方向D1と直交する第2方向D2に沿って直線状に延びている。第2部分1215は、第1方向D1及び第2方向D2と直交する第3方向D3に沿って直線状に延びている。第1部分1214と第2部分1215とは、曲折部分1216を介して電気的に接続されている。ここで、「L字状に形成されている第1パターン部1211」とは、第1部分1214と第2部分1215とがなす角度が90度±5度であるパターン部をいう。第1部分1214と第2部分1215とがなす角度は、図4に示すように、90度であることが好ましい。
【0022】
また、第2パターン部1212は、図4に示すように、第1部分1217と、第2部分1218と、を有する。第1部分1217は、基板11の厚さ方向である第1方向D1と直交する第2方向D2に沿って直線状に延びている。第2部分1218は、第1方向D1及び第2方向D2と直交する第3方向D3に沿って直線状に延びている。第1部分1217と第2部分1218とは、曲折部分1219を介して電気的に接続されている。ここで、「L字状に形成されている第2パターン部1212」とは、第1部分1217と第2部分1218とがなす角度が90度±5度であるパターン部をいう。第1部分1217と第2部分1218とがなす角度は、図4に示すように、90度であることが好ましい。
【0023】
図4に示すように、第1パターン部1211の第1部分1214の長さは、第2パターン部1212の第1部分1217の長さよりも長い。また、第1パターン部1211の第2部分1215の長さは、第2パターン部1212の第2部分1218の長さよりも長い。したがって、第1パターン部1211の長さは、第2パターン部1212の長さよりも長い。
【0024】
本実施形態では、複数の抵抗値調整部121の長さは互いに異なっている。より詳細には、複数の抵抗値調整部121の長さは、第2方向D2における一端側(図4の左側)から他端側(図4の右側)にいくほど短くなっている。すなわち、複数の抵抗値調整部121は、第2方向D2における一端側から他端側に向けて長さが短くなるように配置されている。
【0025】
さらに、複数の抵抗値調整部121の各々は、経路選択部1213を更に含む。経路選択部1213は、抵抗体12を流れる電流が通る経路(以下、「電流経路」ともいう)を選択するための部分である。経路選択部1213によれば、上記電流経路として、第1経路又は第2経路を選択可能である。第1経路は、第1パターン部1211及び第2パターン部1212を含む経路である。第2経路は、第1パターン部1211及び第2パターン部1212を含まない経路である。例えば、図1及び図4に示すように、経路選択部1213の一部を切断した場合、上記電流経路として第1経路が選択される。また、図3に示すように、経路選択部1213を切断していない場合、上記電流経路として第2経路が選択される。
【0026】
また、抵抗体12は、接続部122を更に有する。接続部122は、複数の抵抗値調整部121のうち隣接する2つの抵抗値調整部121を電気的に接続するための部分である。本実施形態では、抵抗体12は、複数(図示例では6つ)の接続部122を有する。複数の接続部122の各々は、第1パターン部1221と、第2パターン部1222と、を有する。第1パターン部1221及び第2パターン部1222の各々は、第1方向D1からの平面視においてL字状に形成されている。第1パターン部1221と第2パターン部1222とは、互いの先端部において電気的に接続されている。複数の接続部122の各々は、複数の抵抗値調整部121のうち隣接する2つの抵抗値調整部121の間に配置されている。すなわち、複数の接続部122の各々は、第1方向D1からの平面視において、L字状に形成されており、隣接する2つの抵抗値調整部121の間に位置する。複数の接続部122の各々は、隣接する2つの抵抗値調整部121のうち一方の抵抗値調整部121よりも短く、かつ残りの抵抗値調整部121よりも長い。
【0027】
第2領域12Bは、図1及び図3に示すように、ミアンダ配線部123を含む。ミアンダ配線部123は、複数(図示例では20本)の第3パターン部1231を有する。複数の第3パターン部1231の各々は、第3方向D3に沿って直線状に形成されている。複数の第3パターン部1231は、第2方向D2に沿って等間隔に並んでいる。複数の第3パターン部1231のうち隣接する2つの第3パターン部1231は、第3方向D3における第1端部(図1の上端部)又は第2端部(図1の下端部)において電気的に接続されている。すなわち、複数の第3パターン部1231は、いわゆるミアンダ形状に形成されている。要するに、ミアンダ配線部123は、各々が第3方向D3に沿って直線状であって、第2方向D2に沿って並んでおり、順番に電気的に接続されている複数の第3パターン部1231を有する。
【0028】
第3領域12Cは、図1に示すように、複数(図示例では2つ)の溝124を含む。複数の溝124の各々は、第3方向D3に沿って直線状に延びている。より詳細には、複数の溝124のうち一方(図1の左側)の溝124は、抵抗体12のうち第3領域12Cに含まれる部分の第3方向D3における第1端(図1の上端)から第2端(図1の下端)に向けて直線状に延びている。また、複数の溝124のうち他方(図1の右側)の溝124は、抵抗体12のうち第3領域12Cに含まれる部分の第3方向D3における第2端から第1端に向けて直線状に延びている。
【0029】
(2.3)保護層
保護層13は、抵抗体12を保護するための層である。保護層13は、図2に示すように、抵抗体12を覆うように形成されている。より詳細には、保護層13は、抵抗体12のうち一対の電極14により覆われていない部分を覆っている。保護層13の材料は、例えば、二酸化シリコン(SiO)を含む。
【0030】
(2.4)電極
一対の電極14は、図1図3に示すように、抵抗体12上に形成されている。一対の電極14は、基板11の厚さ方向である第1方向D1と交差(直交)する第2方向D2における基板11の両端側(図1の左右両側)に位置する。一対の電極14の材料は、例えば、CrCuNi合金を含む。一対の電極14の各々は、上面電極141と、端面電極142と、下面電極143と、を含む。上面電極141は、抵抗体12上に形成されている。端面電極142は、基板11の短手方向(第3方向D3)に沿って基板11の長手方向(第2方向D2)の外周面113を覆うように形成されている。下面電極143は、基板11の第2主面112上に形成されている。一対の電極14の各々は、第3方向D3からの平面視においてU字状に形成されている。一対の電極14の各々は、例えば、スパッタリングにより形成されたスパッタ膜である。
【0031】
(2.5)めっき層
一対の第1めっき層15の各々は、例えば、ニッケルめっき層である。一対の第1めっき層15の各々は、一対の電極14のうち対応する電極14を覆うように形成されている。すなわち、一対の第1めっき層15の各々は、対応する電極14の上面電極141、端面電極142及び下面電極143を覆っている。したがって、一対の第1めっき層15の各々は、第3方向D3からの平面視においてU字状に形成されている。
【0032】
一対の第2めっき層16の各々は、例えば、錫めっき層である。一対の第2めっき層16の各々は、一対の第1めっき層15のうち対応する第1めっき層15を覆うように形成されている。したがって、一対の第2めっき層16の各々は、第3方向D3からの平面視においてU字状に形成されている。
【0033】
(3)温度センサの製造方法
次に、実施形態に係る温度センサ1の製造方法について説明する。
【0034】
温度センサ1の製造方法は、以下に示す第1工程~第9工程を有している。
【0035】
第1工程では、基板11を準備する。より詳細には、第1工程では、複数の温度センサ1の各々の基板11の元となる基板本体を準備する。基板本体は、例えば、セラミック基板である。基板本体となるセラミック基板の材料は、例えば、アルミナ含有率が96%以上のアルミナ焼結体である。
【0036】
第2工程では、基板本体の第1主面上に抵抗体12を形成する。より詳細には、第2工程では、例えば、スパッタリングにより、基板本体の第1主面上に抵抗体12の元となる抵抗体膜を形成する。また、第2工程では、例えば、フォトリソ工法により抵抗体膜をパターニングして抵抗体12を形成する。基板本体の第1主面は、複数の温度センサ1の各々の基板11の第1主面111となる面である。
【0037】
第3工程では、保護層13を形成する。より詳細には、第3工程では、例えば、抵抗体12の一部を覆うように、スクリーン印刷にて二酸化シリコンのペーストを塗布した後、焼成することにより保護層13を形成する。第3工程では、抵抗体12における一対の電極14との接続部分を除いた領域を覆うように、保護層13を形成する。
【0038】
第4工程では、複数の温度センサ1の各々における一対の上面電極141を基板本体の第1主面上に形成する。より詳細には、第4工程では、例えば、スパッタリングによって基板本体の第1主面上にCrCuNi合金膜を形成することにより、複数の温度センサ1の各々における一対の上面電極141を形成する。
【0039】
第5工程では、複数の温度センサ1の各々における一対の下面電極143を基板本体の第2主面上に形成する。より詳細には、第5工程では、例えば、スパッタリングによって基板本体の第2主面上にCrCuNi合金膜を形成することにより、複数の温度センサ1の各々における一対の下面電極143を形成する。基板本体の第2主面は、複数の温度センサ1の各々の基板11の第2主面112となる面である。
【0040】
第6工程では、第1工程~第5工程によって一体に形成された複数の温度センサ1を個々の温度センサ1に切断する。より詳細には、第6工程では、例えば、レーザ又はダイシングを用いて、一体に形成された複数の温度センサ1を個々の温度センサ1に切断する。
【0041】
第7工程では、個々に切断された温度センサ1に対して、一対の端面電極142を形成する。より詳細には、第7工程では、例えば、スパッタリングによって基板11の外周面113上にCrCuNi合金膜を形成することにより、複数の温度センサ1の各々における一対の端面電極142を形成する。これにより、一対の上面電極141と一対の下面電極143とが、一対の端面電極142を介して電気的に接続される。
【0042】
第8工程では、複数の温度センサ1の各々において一対の第1めっき層15を形成する。より詳細には、第8工程では、例えば、複数の温度センサ1の各々に対して、一対の電極14を覆うように、一対の第1めっき層15を形成する。
【0043】
第9工程では、複数の温度センサ1の各々において一対の第2めっき層16を形成する。より詳細には、第9工程では、例えば、複数の温度センサ1の各々に対して、一対の第1めっき層15を覆うように、一対の第2めっき層16を形成する。
【0044】
以上説明した第1工程~第9工程によって、実施形態に係る温度センサ1を製造することが可能となる。
【0045】
(4)温度センサの放熱特性
次に、実施形態に係る温度センサ1の放熱特性について説明する。以下では、各抵抗値調整部のパターン部がI字状であり、複数の抵抗値調整部が第2方向(基板の長手方向)に沿って並んでいる場合を比較例とする。
【0046】
比較例に係る温度センサでは、ミアンダ配線部で発生した熱は、第2方向に沿って並んでいる複数の抵抗値調整部に順番に伝達される。すなわち、比較例に係る温度センサでは、ミアンダ配線部で発生した熱が、隣接する2つの抵抗値調整部間の非導電部を跨いで伝達する必要があるため、熱が拡散しにくく、内部に熱がこもりやすい。
【0047】
一方、実施形態に係る温度センサ1では、ミアンダ配線部123で発生した熱が、複数の抵抗値調整部121の各々のパターン部(第1パターン部1211及び第2パターン部1212)に沿って伝達するから、熱が拡散しやすい。すなわち、実施形態に係る温度センサ1では、複数の抵抗値調整部121に沿って同時に放熱されるため、放熱性能を向上させることが可能となる。
【0048】
(5)効果
実施形態に係る温度センサ1では、抵抗値調整部121の第1パターン部1211及び第2パターン部1212の各々がL字状に形成されている。これにより、基板の短手方向に沿って直線状に延びているパターン部の本数を変更することで抵抗値を調整する場合に比べて曲折部分を減らすことが可能となり、その結果、曲折部分における発熱量を低減することが可能となる。よって、自己発熱による温度測定誤差を低減することが可能となる。
【0049】
また、実施形態に係る温度センサ1では、抵抗体12は、複数の抵抗値調整部121を有している。これにより、抵抗値調整部121の数に応じた抵抗値の調整が可能となる。
【0050】
また、実施形態に係る温度センサ1では、複数の抵抗値調整部121は、第2方向D2における一端側(図1の左側)から他端側(図1の右側)に向けて長さが順番に短くなるように配置されている。これにより、複数の抵抗値調整部121が配置される第1領域12Aにおいて無駄なスペース(デッドスペース)が生じにくくなる。
【0051】
また、実施形態に係る温度センサ1では、隣接する2つの抵抗値調整部121を電気的に接続する接続部122がL字状に形成されている。これにより、接続部がI字状である場合に比べて、第1領域12Aにおいて無駄なスペースが生じにくくなる。
【0052】
また、実施形態に係る温度センサ1では、抵抗値調整部121を含む第1領域12Aと、ミアンダ配線部123を含む第2領域12Bとが隣接している。これにより、ミアンダ配線部123で発生した熱を、抵抗値調整部121を介して電極14に放熱することが可能となる。
【0053】
また、実施形態に係る温度センサ1では、第3方向D3に沿って直線状に延びている溝124が第3領域12Cに設けられている。これにより、抵抗体12の抵抗値の微調整が可能となる。
【0054】
また、実施形態に係る温度センサ1では、第1パターン部1211の第1部分1214と第2部分1215とのなす角度が90度であり、第2パターン部1212の第1部分1217と第2部分1218とのなす角度が90度である。これにより、第1領域12Aにおいて無駄なスペースが更に生じにくくなる。
【0055】
また、実施形態に係る温度センサ1では、抵抗値調整部121は、経路選択部1213を更に有している。これにより、抵抗値調整部121において第1経路又は第2経路を選択することが可能となる。
【0056】
また、実施形態に係る温度センサ1では、抵抗体12の材料が白金を含む。これにより、検出温度に対して良好な抵抗温度係数を得ることが可能となる。
【0057】
また、実施形態に係る温度センサ1では、基板11は、アルミナ基板である。これにより、抵抗体12で発生する熱の放熱性を向上させることが可能となる。
【0058】
(6)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0059】
上述の実施形態では、抵抗体12の材料が白金を含んでいるが、抵抗体12の材料は、例えば、ニッケルを含んでいてもよいし、銅を含んでいてもよいし、ニッケル-コバルト合金を含んでいてもよい。すなわち、抵抗体12の材料は、白金、ニッケル、銅、又はニッケル-コバルト合金を含んでいればよい。
【0060】
上述の実施形態では、基板11としてのアルミナ基板上に抵抗体12が形成されているが、例えば、アルミナ基板上にガラスグレーズ層を形成し、ガラスグレーズ層上に抵抗体12が形成されていてもよい。すなわち、基板11は、アルミナ基板と、アルミナ基板上に形成されているガラスグレーズ層とを含んでいてもよい。この場合、抵抗体12が形成される基板11の表面を平坦化することが可能となり、その結果、温度の検出精度の劣化を抑制することが可能となる。
【0061】
また、基板11は、アルミナ基板に限らず、例えば、サファイア基板であってもよいし、酸化マグネシウム基板であってもよい。
【0062】
上述の実施形態では、接続部122がL字状であるが、接続部122はL字状であることに限らず、例えば、I字状(直線状)であってもよい。
【0063】
上述の実施形態では、抵抗体12は、複数の抵抗値調整部121を有しているが、抵抗体12は、例えば、1つの抵抗値調整部121を有していてもよい。
【0064】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0065】
第1の態様に係る温度センサ(1)は、基板(11)と、抵抗体(12)と、を備える。抵抗体(12)は、基板(11)上に形成されている。抵抗体(12)は、抵抗体(12)の抵抗値を調整するための抵抗値調整部(121)を有する。抵抗値調整部(121)は、第1パターン部(1211)と、第2パターン部(1212)と、を含む。第1パターン部(1211)は、基板(11)の厚さ方向(D1)からの平面視においてL字状に形成されている。第2パターン部(1212)は、第1パターン部(1211)に電気的に接続されており、第1パターン部(1211)に沿ってL字状に形成されている。
【0066】
この態様によれば、自己発熱による温度測定誤差を低減することが可能となる。
【0067】
第2の態様に係る温度センサ(1)では、第1の態様において、抵抗体(12)は、抵抗値調整部(121)を複数有する。複数の抵抗値調整部(121)の長さは、互いに異なる。
【0068】
この態様によれば、複数の抵抗値調整部(121)の数に応じた抵抗値の調整が可能となる。
【0069】
第3の態様に係る温度センサ(1)では、第2の態様において、複数の抵抗値調整部(121)は、基板(11)の厚さ方向である第1方向(D1)と交差する第2方向(D2)における一端側から他端側に向けて長さが順番に短くなるように配置されている。
【0070】
この態様によれば、複数の抵抗値調整部(121)が配置される領域(第1領域12A)において無駄なスペースが生じにくくなる。
【0071】
第4の態様に係る温度センサ(1)では、第2又は第3の態様において、抵抗体(12)は、接続部(122)を更に有する。接続部(122)は、複数の抵抗値調整部(121)のうち隣接する2つの抵抗値調整部(121)を電気的に接続する。接続部(122)は、基板(11)の厚さ方向(D1)からの平面視において、L字状に形成されており、2つの抵抗値調整部(121)の間に位置する。
【0072】
この態様によれば、接続部がI字状である場合に比べて、複数の抵抗値調整部(121)が配置される領域(第1領域12A)において無駄なスペースが生じにくくなる。
【0073】
第5の態様に係る温度センサ(1)では、第1又は第2の態様において、抵抗体(12)は、第1領域(12A)と、第2領域(12B)と、を有する。第1領域(12A)は、抵抗値調整部(121)を含む。第2領域(12B)は、基板(11)の厚さ方向である第1方向(D1)と直交する第2方向(D2)において第1領域(12A)と隣接する。第2領域(12B)は、ミアンダ配線部(123)を含む。ミアンダ配線部(123)は、複数の第3パターン部(1231)を有する。複数の第3パターン部(1231)は、各々が第1方向(D1)及び第2方向(D2)と直交する第3方向(D3)に沿って直線状であって、第2方向(D2)に沿って並んでおり、順番に電気的に接続されている。
【0074】
この態様によれば、ミアンダ配線部(123)で発生した熱を、抵抗値調整部(121)を介して放熱することが可能となる。
【0075】
第6の態様に係る温度センサ(1)では、第5の態様において、抵抗体(12)は、第1領域(12A)及び第2領域(12B)とは異なる第3領域(12C)を更に有する。第3領域(12C)は、第3方向(D3)に沿って直線状に延びている溝(124)を含む。第3領域(12C)は、第2方向(D2)において第2領域(12B)に対して第1領域(12A)側とは反対側に位置する。
【0076】
この態様によれば、抵抗体(12)の抵抗値の微調整が可能となる。
【0077】
第7の態様に係る温度センサ(1)では、第1又は第2の態様において、第1パターン部(1211)及び第2パターン部(1212)の各々は、第1部分(1214,1217)と、第2部分(1215,1218)と、を有する。第1部分(1214,1217)は、基板(11)の厚さ方向である第1方向(D1)と直交する第2方向(D2)に沿って延びている。第2部分(1215,1218)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)と直交する第3方向(D3)に沿って直線状に延びている。
【0078】
この態様によれば、第1領域(12A)において無駄なスペースが更に生じにくくなる。
【0079】
第8の態様に係る温度センサ(1)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、抵抗値調整部(121)は、経路選択部(1213)を更に含む。経路選択部(1213)は、抵抗体(12)を流れる電流が通る経路を、第1パターン部(1211)及び第2パターン部(1212)を含む第1経路と、第1パターン部(1211)及び第2パターン部(1212)を含まない第2経路とで選択可能である。
【0080】
この態様によれば、第1経路又は第2経路を選択することが可能となる。
【0081】
第9の態様に係る温度センサ(1)では、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、抵抗体(12)の材料は、白金、ニッケル、銅、又はニッケル-コバルト合金を含む。
【0082】
この態様によれば、温度センサ(1)による検出温度に対して良好な抵抗温度係数を得ることが可能となる。
【0083】
第10の態様に係る温度センサ(1)では、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、基板(11)は、アルミナ基板である。
【0084】
この態様によれば、抵抗体(12)で発生する熱の放熱性を向上させることが可能となる。
【0085】
第2~第10の態様に係る構成については、温度センサ(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 温度センサ
11 基板
12 抵抗体
12A 第1領域
12B 第2領域
12C 第3領域
121 抵抗値調整部
122 接続部
123 ミアンダ配線部
124 溝
1211 第1パターン部
1212 第2パターン部
1213 経路選択部
1214,1217 第1部分
1215,1218 第2部分
1231 第3パターン部
D1 第1方向(基板の厚さ方向)
D2 第2方向
D3 第3方向
図1
図2
図3
図4